JP2581412B2 - 電子波動固体増幅器 - Google Patents

電子波動固体増幅器

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JP2581412B2
JP2581412B2 JP25740793A JP25740793A JP2581412B2 JP 2581412 B2 JP2581412 B2 JP 2581412B2 JP 25740793 A JP25740793 A JP 25740793A JP 25740793 A JP25740793 A JP 25740793A JP 2581412 B2 JP2581412 B2 JP 2581412B2
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邦一 太田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子波動の量子干渉効果
を利用した固体増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超LSIの微細化、高密度化に伴って微
小信号を増幅する技術が重要になりつつある。このため
に電子波動の干渉を電磁ポテンシャルで制御できること
を利用することが出来る。このような効果はアハラノフ
・ボーム(AB)効果と呼ばれる。(アハラノフ(Y.
Aharanov),ボーム(D.Bohm),フィジ
カル・レビュー(Phys.Rev.)115(195
9)485)。真空系における電子顕微鏡を用いた実験
的検証については外村彰氏の報告がある(Rev.Mo
d.Phys.59(1987)639及びM.Pes
hkin,A.Tonomura,The Aharo
nov−Bohm Effect,Springer
Verlag,Lecture rote in Ph
ysics 340,1989)。しかるにこの効果を
固体増幅器に使えることを最初に示したのは超伝導ジョ
セフソン効果を利用したSQUIDである(R.C.J
aklevic他、Phys.Rev.Letter
s,12(1964)274。この効果は超伝導リング
を貫く磁束によってSQUIDを流れる電流が磁束の関
数として振動する効果であって、ジョセフソンコンピュ
ータの基本素子として応用されている。
【0003】これに対して二つの電子のパスの一方に静
電ポテンシャルを印加することによって現われる干渉効
果は真空系ではメレンステッドら(G.Mollens
tedt)によって実験された(Naturwisse
nsheften 4(1982)81)。この効果の
固体化はファウラー(A,B,Fowler)(”Se
miconductor interferomete
r,”U.S.Patent 4,550,330.I
nterference Device,”Granu
lar Nanoelectronics,P.K.F
erry他編Plenum Press,1990,P
63)及びS.Datta他、(Phys.Rev.L
etters,55,2344(1985))によって
行われた。この素子は注目されたが、電子のエネルギー
によって波長が変化し干渉効果が変化するため全電子波
を重ね合せると干渉効果が弱められる。これを解決する
手段として単色エネルギーの電子を用いる方法が考え出
された。固体系では共鳴トンネル効果によって単色のエ
ネルギーの電子波が得られる。これらを利用した発明と
して以下のものがある。 特開平2−44735号公報 ABリングの前段に共鳴トンネルバリヤーを置いて単色
エネルギーを入射させる方法が記載されている。 特開平2−125472号公報 ABリングとソース電極の間に波数選択のための共鳴ト
ンネルバリヤーをもうける。 特開平3−46368号公報 ABリングの前段に共鳴トンネルバリヤーを設ける。 特開平3−46368号公報 ABリングの前段に共鳴トンネルバリヤーを前置きす
る。 特開平3−196573号公報 ABリングの前段又は後段に共鳴バリヤーを置いた装置
が記載されている。これらは素子構造に各種のバリエー
ションガ提案されてはいるが、基本構成はABリングの
入力段に前置きの単色波化のための共鳴トンネル素子を
置いたものである。
【0004】又、本発明に類似の構造として共鳴トンネ
ルトランジスターを並列接続した発明がある。 特開平4−192567号公報 これは共鳴トンネルダイオードを2個以上並列に結合
し、これらの特性のそろった小さな素子を組合せること
によって大電力の共鳴トンネルダイオードを得る方法を
示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の〜の発明で
は素子構造に対する各種の提案が行われているが、入力
信号に対するコンダクタンスの変化率が小さく感度が小
さいという問題がある。
【0006】またの発明は共鳴トンネルダイオードは
単に特性を揃えるための作り易さを目的としたものであ
ってそれらのダイオードを通過した電子波の位相差によ
る干渉効果を利用するという概念は何ら記載されていな
い。共鳴トンネルバリヤー中に形成される共鳴レベルが
リング及びリングに接続された導体のフェルミレベルに
十分近くないと十分感度よいコンダクタンス変化が得ら
れない。
【0007】本発明の目的は様々の共鳴現象を利用して
小さな磁束密度の変化または静電ポテンシャルの変化に
対しても感度よくコンダクタンスの変化が現われること
にある。
【0008】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例である。
【0009】図1(a)は本発明の平面図、(b)は
(a)の点線に沿って切った断面図である。
【0010】まず平面図1(a)について説明する。
【0011】電子波は電極1から電極2まで散乱されな
いか、あるいは弾性散乱をされながら通過する。その通
路は1−3−4−5−6−7−2のパスと1−9−10
−11−12−13−2の2つのパスに分枝され、合流
する。上のパスでは微小領域5は両側の間隙4,6によ
って前後の通路と分離され、電子はこの間隙をトンネル
効果で通過し、2つのトンネルバリヤによって共鳴トン
ネルが起る。この微小領域5はゲート電極8のバイアス
によって大きさが変調され、その結果間隙4,6の長さ
が変調され共鳴トンネル確率が変調される。同様に下側
のパスでは微小領域11が間隙10,12,によって分
離され電子波はここをトンネル効果で通過し、2つのト
ンネル効果によって共鳴トンネルが起る。この共鳴トン
ネルが微小領域11上のゲート電極14によって変調さ
れる。これによって電極1,2間のコンダクタンスが変
調される。
【0012】次に図1(b)の断面図によって、このデ
バイスの立体構造を説明する。絶縁性GaAs基板15
上にエピタキシャルGaAs層16、Al1 - x Gax
As(x=0.3)層17を順に形成するとその間に電
子の伝導チャンネル18,19,20が金属ゲート電極
8に印加されたバイアスによって形成される。これがリ
ングを構成する「導体」となる。
【0013】具体的な数値例としてはリング径1000
A(オングストローム)電子経路の断面は100〜20
0Aの矩形又は半円形状、共鳴トンネルのバリヤー層
(間隙4,6)の厚さ50A,バリヤーの深さ0.3e
V共鳴トンネルの井戸の厚さは20−30A動作温度は
この数値例では20Kとしたが、4.2−100Kの間
で動作させることができる。
【0014】図1(c)はポテンシャルバリヤー4−5
−6及び10−11−12の形を示したものである。V
はバリヤーの高さ、dはバリヤーの幅、Lは二つのバリ
ヤー間の距離である。これらのポテンシャルバリヤーの
形はゲート電極8と14の電位によって幅dと高さVを
変えることができる。二つの枝のポテンシャルバリヤー
の形に差を設けることによって電極1,2間のコンダク
タンスを変調できる。
【0015】二つの枝のポテンシャルバリヤーの形に差
を設けるには、それぞれのポテンシャルの深さと幅のど
ちらか又は両方に違いを持たせればよい。
【0016】上述の数値例では共鳴準位が1個又は2個
存在し得る条件になっている。バリヤーの幅が十分に厚
くトンネル確率TB が低い場合は共鳴準位は二つのバリ
ヤーが無限に厚い場合のバリヤーにはさまれたポテンシ
ャルの井戸の固有値に一致する。電子がトンネルによっ
て有限の寿命を持つことによって共鳴準位は幅をもつ
が、その幅Γは
【0017】
【数1】
【0018】となり、前述の数値例では10- 4 eVと
十分小さい。但しvは共鳴準位のエネルギーにおける電
子の速度dはポテンシャルの井戸の幅である。
【0019】今2つのバリヤーの共鳴準位に(最低の)
のエネルギーをそれぞれE1 ,E2とすると差δE=E
2 −E1 》kB Tとなればよい。(但しTは温度、kB
はボルツマン定数)。こうなるようにポテンシャルの井
戸の深さと幅を変えればよい。
【0020】井戸の深さ(V0 )と幅L1 をどのような
値にするかは次の井戸型ポテンシャルの解によって決定
される(例.シッフ(Schiff)著、新版量子力学
(上)吉岡書店1987,4.25第15刷,P46−
49)。井戸型ポテンシャルの共鳴準位が一個の場合の
エネルギー準位E0 はE0 /V0 ≧0.352となる。
但しこの時の
【0021】
【数2】
【0022】また2個の場合は2番目の準位をE1 とす
るとE0 /V0 ≧0.14(E1 −E0 )/V0 ≧0.
40,E1 /V0 ≧0.54となる。但しこの時
【0023】
【数3】
【0024】とする。
【0025】例えば77Kの時kB T=7meVである
から、共鳴準位のエネルギー差を7meV以上にすれば
よい。Alx Ga1 - x As層17の厚さを200Aキ
ャリア層の厚さを100Aとするとゲート電極8.14
の電位の違いを20mV程度にすればよい。これは非常
に小さな電圧でシャープにコンダクタンスの変化が起こ
るという効果がある。
【0026】次に2つの共鳴トンネルポテンシャルを同
じ形にして磁束と静電ポテンシャルのいずれか又は両方
を印加する場合について述べる。磁束の印加は素子全体
をリングに垂直な磁界の中に置くと、磁束密度Bに対し
てリングを貫く磁束ΦはΦ=Bx (リングが囲む円の面
積)となり、Φについて磁束量子Φ0 =h/eの周期で
コンダクタンスがe2 /hと0の間を変化する。又下側
のブランチの上にゲート電極をおいてこれに静電ポテン
シャルを印加すると上の枝と下の枝のパスに対して位相
【0027】
【数4】
【0028】が生ずる。但し、m* は電子の有効質量、
Lは各枝の長さ、Vは下側のブランチに印加した静電ポ
テンシャルEは共鳴トンネル準位のエネルギーである。
コンダクタンスはΦについて2πの周期関数になる。こ
れらは通常の意味での磁界型AB効果と静電型AB効果
であるが、共鳴トンネルバリヤーによってエネルギーが
Eだけの電子が選別され、温度によって色々なエネルギ
ーの電子の干渉効果が互いに打ち消し合う効果を除去す
ることが出来る。
【0029】そうして、コンダクタンスと磁束または静
電ポテンシャルとの関係でΦの狭い共鳴のピークが現わ
れるので、これらの微小な変化によってコンダクタンス
が変化する、つまり高感度の増幅器を実現出来る。
【0030】図2(a)は本発明の第2の実施例であ
る。電極101、102の間にリングを結合する。10
3、104はリングを構成する枝である。電極とリング
をつなぐ導線105、106にポテンシャルバリヤー1
07、108を設ける。さらに枝104に静電ポテンシ
ャルのゲート電極109を設ける。ゲート109にはポ
テンシャルVが印加されてる。
【0031】図2(b)はポテンシャルバリア107、
108の形を示したものである。V0 はポテンシャルの
高さ、dはバリヤーの厚さである。図2(a)の構成で
は電子波は、バリア107と108の間をリングの枝1
03と104を介して定在波を立てる。枝104の定在
波は電極109の電位によって位相が変調され、2つの
枝103と104を通過する電子波に位相差を生ずる。
この位相差によって電極101、102間のコンダクタ
ンスがポテンシャルVの関数として振動する。
【0032】図2(c)に図2(a)の直線の部分で切
断した断面図を示す。半絶縁性GaAs基板上に高純度
のn型GaAsのエピタキシャル層113を形成する。
その上に真性のAlx Ga1 - x As(x<0.3)1
14とN型Alx Ga1 - xAs層115を形成する。
【0033】更にその上に金属電極107、104、1
08を形成する。Alx Ga1 - xAs層114の厚さ
とドーピング量及び115の厚さは金属電極のバイアス
が0の時及びそれがない領域で電子のチャンネル11
6、117、118が形成される(いわゆるデプリーシ
ョン形、ノーマリーオン型)条件に設定する。電子チャ
ンネルによって電子のパスを形成するには、図2(a)
のパス以外の領域にH+イオンの注入を行ない、GaA
sのエピタキシャル層を絶縁性に変換する。又はパス以
外の領域をGaAsエピタキシャル層113までエッチ
ングで除去してもよい。
【0034】次にゲート電極110、111に負のバイ
アスを印加すると電子のチャンネルが切断されてトンネ
ルバリヤ107、108が形成される。電極104はバ
イアスVを印加する。数値例としては、実施例1と同一
寸法のリングを用いて、d=20Aとすると、V0 <1
0mV以下の低電圧でe2 /h程度の大きさのコンダク
タンスの変化を実現することがでる。
【0035】またリングを貫く磁Φを印加することによ
ってもコンダクタンス変化し量子磁束Φ0 の数分の1と
いう小さなΦの変化でe2 /h程度のコンダクタンスの
変化が得られる。つまり高感度になる。
【0036】コンダクタンスGが小さなΦ又はV0 の変
化でe2 /hの程度変化することが本実施例の特徴であ
る。
【0037】なお、静電ポテンシャルと磁界を同時に印
加してもよい。
【0038】図3は本発明の第3の実施例である。図3
(a)の実施例は電極301、302とリングを構成す
る二つの枝303、304とこれらをつなぐ導線30
5、306と共鳴トンネルバリア307Aと307Bと
リングの枝304にもうけられた静電ポテンシャルを印
加するための電極308から構成されている。電極30
8に印加された静電ポテンシャルV、またはリングを貫
く磁束Φ309、あるいはVとΦの両方によって端子3
01、302間のコンダクタンスが周期的に変調され
る。ここまでは図1の実施例と同じである。
【0039】本実施例では共鳴トンネルバリアの形を変
える図3(b)に共鳴トンネルのポテンシャル307の
形を示す。dはポテンシャルの幅、L1 はポテンシャル
の井戸の幅ΔEは導線側のバリヤー高さ、V0 はポテン
シャルの井戸の深さでV0 >ΔEとなっている。V1
Lによって井戸の中の共鳴準位310は導線の伝導帯の
レベルに近い位置に生じている。そのための井戸の深さ
と幅と導体のフェルミレベルの位置は図2の実施例と同
じものとする。
【0040】つまりΔE=0.3eV,V0 =0.44
1eV,L1 =36A,d=20A,導体のフェルミレ
ベル=14meV(伝導帯の底から)。この時は共鳴ト
ンネルの共鳴準位の変化によるコンダクタンスの変化が
鋭くなる。
【0041】図4は本発明の第4の実施例である。図4
(a)に示すように本実施例は電極601、602とリ
ング603、604を導線605、606で接続する。
導線605の側に共鳴トンネルバリア607、608井
戸609とこれらに対する電極610,611,612
とリングの枝604に静電ポテンシャルを印加するため
の電極613から構成されている。断面の構造は図2
(c)と同様とし、電極のパターンの配置のみが異なる
ものとする。
【0042】第4(b)に共鳴トンネルバリヤーのポテ
ンシャルの図を示す。
【0043】今リングの導体のフェルミレベルとバリア
の高さをそれぞれ伝導帯の底からEF 及びΔEC にある
とする。
【0044】
【数5】
【0045】のときを考え、E0 /V0 ≡α=0.35
2とすると、ポテンシャルの井戸の伝導帯の底がリング
の導体の伝導帯よりδEだけ低いとする。するとV0
(ΔEC −EF )/(1−α),δE=V0 −ΔEC
なる。ΔEC 0.3eV,EF=14meV,α=0.
352とするとV0 =0.441eV,δE=0.14
eVとなる。この時の井戸の幅はL1 =36Aとする。
この時共鳴レベルE0 はリングの導体のフェルミレベル
にちょうど一致する。バリアの幅が20A以上の時は共
鳴レベルの幅は10- 4 eVと狭い。従って例えばT=
20〜300Kの温度域でも電子波はフェルミレベルに
一致する単色波だけがフィルターされてリングに入射す
るので静電AB効果で温度分散による特性の劣化が起ら
ない。
【0046】なお図4では電極613を設けて静電ポテ
ンシャルを印加する場合を述べたが、それに代えて、前
述の実施例で述べたように、リングに磁界を印加しても
よい。また静電ポテンシャルと磁界を両方印加してもよ
い。
【0047】また図1〜4で説明した実施例では静電ポ
テンシャルを印加する電極は二つの枝の一方にだけ設け
たが両方に設けてもよいことは明らかである。
【0048】図5は本発明の第5の実施例である。本実
施例は導体のリング401と静電ポテンシャルVが印加
されたゲート電極402から構成されている。リング内
部の固有状態はポテンシャルVとリングを貫く磁束Φ4
03によって変わる。その結果、リングを通過する光、
マイクロ波、赤外線、紫外線等の電磁波に対する応答関
数がVとΦで変調できる。電磁波はリングの面に垂直方
向に通過する場合、リングの面内を通過する場合、及び
それらの重ね合せの場合が含まれる。
【0049】図6はポテンシャルバリアの色々のバリエ
ーションを示したものである。図1(c)のポテンシャ
ルバリア、図3(b)のポテンシャルバリアのかわりに
用いることができる。図6(a)はN段の周期的なポテ
ンシャルバリアである。これによって強い単色電子波を
得ることができる。
【0050】図6(b)は多段の井戸のポテンシャルを
深くしたもので、コンダクタンスを増やす効果はさらに
増大する。
【0051】図6(c)は、図6(a)の周期的なバリ
アの周期性を電気的に乱すことによってコンダクタンス
を変調するものである。
【0052】図7に第6の実施例を示す。N個のリング
1 ,R2 ,・・・,RN を直列に接続し、各リングの
一方の枝に静電ポテンシャルVを印加するための電極G
1 ,G2 ・・・,GN を設ける。
【0053】各リングの構造はこれまでの実施例から共
鳴トンネルバリヤーを取り除いたいずれのタイプでもよ
い。
【0054】図8にN=5、リング間の距離L1 =50
Aの場合のコンダクタンスとΦの関係を示す。リングの
半周をL=1050A、電子のフェルミ波数kはkL=
5.25πを満足する値、リングと電極との結合を表わ
すパラメーターε=0.5(εの定義としてはD.Ta
kai,K.ohta,”Aharanov.Bohm
Effect in a Mesoscopic R
ing,”PhysRev.B,1993,7.15号
及び、M Cahay他、Phys.Rev,B39
(1989)12989参照)とした。Φ/π=1〜
1.5、3〜3.5の間にそれぞれ4つの鋭いピークが
現れている。一般にはN−1本のピークが現れる。例え
ばN=2の時は一本の共鳴ピークが現れる。このピーク
の近くのΦの領域では静電ポテンシャルΦのごく小さな
変化に対してコンダクタンスがe2/hのオーダー変化
する。従ってこれを利用すれば高成度の増幅器が実現さ
れる。
【0055】図8はN=4で、ε=0.5、0.4、
0.3と小さくすると、コンダクタンスが静電ポテンシ
ャルφの関係として鋭い共鳴ピークが現れることを示
す。
【0056】図9はN=2で、ε=0.5、0.4、
0.05と小さくした場合、コンダクタンスが磁場θの
関係として鋭い共鳴ピークが現れることを示す。
【0057】これらの例に示すようにεを小さくする
と、鋭い共鳴ピークが現れるので、ピークの近くでθま
たはφの微小変化に対してコンダクタンスがe2 /hの
程度変化する。従って高感度の増幅が可能になる。
【0058】図8、9はL1 =0の場合であるが、L1
が0でない場合にも同様の結果を得る。
【0059】εを小さくするには導線とリングの接点に
おける断面を絞り、電子を多少通りにくくすればよい。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、電子波の干渉作用を利
用し、微小信号の高感度な増幅が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図で、リングの二
つの枝に共鳴トンネルバリアを設けた増幅器を示す図で
ある。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図で、リングの両
端にポテンシャルバリアを設けた増幅器を示す図であ
る。
【図3】本発明の第3の実施例を示す図で、リングの二
つの枝に設けた共鳴トンネルバリアの井戸の底を深くし
た例を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施例を示す図で、リングの片
側だけポテンシャルバリアを設けた例を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施例を示す図で、リングによ
って電磁波の変調を行う例を示す図である。
【図6】本発明の共鳴トンネルバリアのバリエーション
を示す図である。
【図7】本発明の第6の実施例を示す図であり、リング
を直列に接続した例を示す図である。
【図8】本発明の第6の実施例で、コンダクタンスが静
電ポテンシャルφの関係として鋭い共鳴ピークが現れる
ことを示す図である。
【図9】本発明の第6の実施例で、コンダクタンスが磁
束θの関係として鋭い共鳴ピークが現れることを示す図
である。
【符号の説明】
1、2、101、102、601、602 電極 4、6、10、12、 間隙 5 微小領域 8、9、109、402 ゲート電極 103、104 枝 105、106 導線 107、108、607、608 バリア 609 井戸 112 半絶縁性GaAs基板 113 GaAsエピタキシャル層 117 電子のチャンネル 310 共鳴準位 401 リング 403 磁束

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子の弾性散乱波長と同程度かそれより
    短い細線の導体リングと、このリングの対称の位置に設
    けられた電極と、この電極によって分けられる前記リン
    グの両方の枝にそれぞれ共鳴トンネルバリアが設けら
    れ、トンネルバリアにそのポテンシャルの形を変えるた
    めの電極が設けられ、それぞれの共鳴トンネルバリアの
    ポテンシャルの形を変えて共鳴準位を異ならせることで
    コンダクタンスの変調を行う手段を有することを特徴と
    する電子波動固体増幅器。
  2. 【請求項2】 それぞれの共鳴トンネルバリアのポテン
    シャルの形を同じにし、前記電極で分けられるリングの
    少なくとも一方の枝に静電ポテンシャルを印加するか、
    あるいはリングを貫く磁束を印加するか、あるいは静電
    ポテンシャルと磁束の両方を印加して、一つの枝と他の
    枝の間に電子波の位相差を生じさせる請求項1に記載の
    電子波動固体増幅器。
  3. 【請求項3】 電子の弾性散乱波長と同程度かそれより
    短い細線の導体リングと、このリングの対称位置に設け
    られた電極と、この電極とリングの間にバリアを設け、
    しかも前記電極で分けられるリングの少なくとも一方の
    枝に静電ポテンシャルを印加するか、あるいはリングを
    貫く磁束を印加するか、あるいは静電ポテンシャルと磁
    束の両方を印加して、一つの枝と他の枝の間に電子波の
    位相差を生じさせてコンダクタンスの変調を行うことを
    特徴とする電子波動固体増幅器。
  4. 【請求項4】 電極とリングの間に設けるバリアとし
    て、ポテンシャルの井戸の底がバリアの外側の導体より
    も低い共鳴トンネルバリアを用いる請求項1、2または
    3に記載の電子波動固体増幅器。
  5. 【請求項5】 ポテンシャルの井戸の最も底の共鳴レベ
    ルがバリアの外側の導体のフェルミレベルに一致する請
    求項4に記載の電子波動固体増幅器。
  6. 【請求項6】 周期的なポテンシャルバリアで共鳴トン
    ネル効果によって通過する単色の電子波をポテンシャル
    バリアの周期性を電気的に乱すことによって共鳴トンネ
    ルバリアの透過性を変調して、共鳴トンネルのコンダク
    タンスを変調することを特徴とする固体増幅器。
  7. 【請求項7】 電子の弾性散乱波長と同程度かそれより
    短い細線の導体リングと、このリングの対称の位置に設
    けられた電極と、電子波が入射する側の電極とリングの
    間に周期的なポテンシャルバリアを設けて電子波を単色
    化する手段と、前記電極で分けられるリングの少なくと
    も一方の枝に静電ポテンシャルを印加するか、あるいは
    リングを貫く磁束を印加するか、あるいは静電ポテンシ
    ャルと磁束の両方を印加して、一つの枝と他の枝の間に
    電子波の位相差を生じさせてコンダクタンスの変調を行
    うことを特徴とする電子波動固体増幅器。
  8. 【請求項8】 周期的なポテンシャルバリアとして、ポ
    テンシャルの井戸の底がバリアの外側の導体よりも低い
    共鳴トンネルバリアを用いる請求項6または7に記載の
    電子波動固体増幅器。
  9. 【請求項9】 ポテンシャルの井戸の最も底の共鳴レベ
    ルがバリアの外側の導体のフェルミレベルに一致する請
    求項8に記載の電子波動固体増幅器。
  10. 【請求項10】 電子の弾性散乱波長と同程度かそれよ
    り短い細線の導体リングと、このリングの対称の位置に
    設けられた電極と、この電極とリングの間にバリアを設
    け、しかも前記電極で分けられるリングの少なくとも一
    方の枝に静電ポテンシャルを印加するか、あるいは静電
    ポテンシャルと磁束の両方を印加して、リングを通過す
    る電磁波を変調することを特徴とする電磁波変調器。
  11. 【請求項11】 電子の弾性散乱波長と同程度かそれよ
    り短い細線の導体リングと、このリングの対称の位置に
    設けられた電極を有する素子を複数個直列に接続し、前
    記電極で分けられる個々のリングの少なくとも一方の枝
    に静電気ポテンシャルを印加するか、あるいはこれらす
    べてのリングを貫く磁束を印加するか、あるいは静電ポ
    テンシャルと磁束の両方を印加して、その際現れる共鳴
    ピークを用いてコンダクタンスを変調することを特徴と
    する増幅器。
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