JP2581023Y2

JP2581023Y2 - 密閉型コンプレッサ

Info

Publication number: JP2581023Y2
Application number: JP5801092U
Authority: JP
Inventors: 豊佐藤; 洋市大川; 淳一浅井; 誠井尻
Original assignee: カルソニック株式会社; セイコー精機株式会社
Priority date: 1992-08-18
Filing date: 1992-08-18
Publication date: 1998-09-17
Anticipated expiration: 2007-08-18
Also published as: JPH0618686U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、密閉ケーシング内にロ
ータリ式等の圧縮部を有する密閉型コンプレッサ、特
に、異常高温状態からコンプレッサを保護するサーマル
プロテクタを有するものに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車用空気調和装置等に用いられるロ
ータリ式のコンプレッサは、図４に示すように、密閉の
ケーシング１内に圧縮部２を有している。この圧縮部２
は、シリンダ３をフロントサイドブロック４およびリヤ
サイドブロック５間に挟持し、締め付けボルト（不図
示）により締め付けることにより形成している。

【０００３】図５に示すように、シリンダ３のボア３ａ
内にはロータ部６が収納され、このロータ部６はロータ
本体７とスライドベーン８とを有し、楕円形に形成され
たボア３ａの内周面とコンタクトポイントで接触した状
態で回転自在とされている。ロータ本体７には、放射状
に５本のベーン溝９が形成され、このベーン溝９内にス
ライドベーン８が摺動自在に設けられている。そして、
図示しない駆動源によりシャフト１０を介してロータ部
６が回転されると、遠心力等によってスライドベーン８
がベーン溝９から突出し、ボア３ａの内周面に沿って摺
動するようになっている。

【０００４】したがって、圧縮部２では、ケーシング１
の入口１１から流入した冷媒が、フロントサイドブロッ
ク４に開設された吸入口１２を通り、圧縮室Ｃ内で圧縮
される。この圧縮室Ｃは、スライドベーン８、コンタク
トポイントあるいはスライドベーン相互間とボア３ａの
内周面とにより区画形成されている。圧縮室Ｃは、ロー
タ部６の回転にともなって容積変化するので、内部に封
止された冷媒は圧縮され、シリンダ２に開設された吐出
口１３から吐出バルブ１４に抗して吐出され、連通路１
５を通って高圧室１６に入る。前記連通路１５の出口部
分にはオイルセパレータ１７が設けられているので、こ
れにより冷媒中に含まれているオイルは分離され、分離
された後の冷媒は出口１８から外部に流出する。

【０００５】また、このコンプレッサでは、前記高圧室
１６が形成されたケーシング１に高圧室１６内の冷媒の
温度が所定値以上になるとコンプレッサの作動を停止す
るサーマルプロテクタ１９を設けている。このサーマル
プロテクタ１９は、コンプレッサ内が異常高温となる
と、バイメタル等からなる温度感知部が作動し、コンプ
レッサの給電回路のスイッチをオフするようにしたもの
で、吐出冷媒の温度を感知し易いように出口の近傍に設
けられたコンプレッサ保護装置である（実開昭６０−９
２，４４３号公報等参照）。エバポレータから帰還する
冷媒の過熱度が高く、ガス状態で帰還する場合とか、コ
ンプレッサの高速回転している時に潤滑不足になった場
合には、圧縮部２から吐出される冷媒の温度は高くな
り、潤滑油の量が少なくなり、焼付きを起す虞がある
が、このような場合には、通常高圧室２内に吐出される
冷媒の温度も高くなり、前記サーマルプロテクタ１９が
作動し、コンプレッサは停止される。

【０００６】なお、図４，５中、符号「３０」は軸受、
「３１」は潤滑油通路、「Ｏ」は潤滑油である。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】ところが、従来のコン
プレッサにおけるオイルセパレータ１７は、図４に示す
ように、前記圧縮部２の吐出口に設けられた細かなメッ
シュの網状をしたもので、冷媒中のオイルを分離する分
離体２０と、この分離体２０の外周一部を覆う断面半円
状のカバー２１とから構成され、吐出口１３から吐出さ
れた冷媒が分離体２０内を通ることによりオイルと冷媒
が分離され、カバー２１の端板２１ａに衝突した冷媒
は、カバー２１の下部に開設された開口部２２から高圧
室１６内に流出し、白抜き矢印のようにＵターンして出
口から外部に流出されるようになっている。

【０００８】しかし、このように冷媒がＵターンすれ
ば、高温の冷媒がサーマルプロテクタ１９を取付けたケ
ーシング内壁部分に直接当らず、サーマルプロテクタ１
９の感度を低下させ、作動が不正確になる虞がある。

【０００９】なお、このような不正確な作動を防止する
サーマルプロテクタ１９として、感温部が直接高圧室１
６内に臨むようにしたものもある。しかし、このように
すれば、温度感知性能は向上するものの、高圧ガスが外
部に漏れないようにするためのシール手段が必要とな
り、構成が複雑となりコストアップを招来するという不
具合がある。

【００１０】本考案は、このような従来技術の課題に鑑
みてなされたものであり、高圧冷媒が直接サーマルプロ
テクタが設けられたケーシングの壁に向って吐出され、
サーマルプロテクタの感度の低下を防止し、作動が正確
になるようにした密閉型コンプレッサを提供することを
目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本考案は、密閉ケーシング内に、冷媒を圧縮する圧縮
部と、この圧縮部の吐出口から吐出される圧縮冷媒を受
入れる高圧室と、前記吐出口の近傍に設けられたオイル
セパレータとを有し、前記高圧室を構成する密閉ケーシ
ングに高圧室内の冷媒の温度が所定値以上になるとコン
プレッサの作動を停止するサーマルプロテクタを取付け
てなる密閉型コンプレッサにおいて、前記オイルセパレ
ータは、前記圧縮部の吐出口から吐出された冷媒中のオ
イルを分離する分離体と、この分離体の外周一部を覆う
カバーとからなり、該カバーの一部に、前記吐出口から
吐出された冷媒が前記サーマルプロテクタが設けられた
密閉ケーシングの内面に指向するように開口部を設けた
ことを特徴とする密閉型コンプレッサである。

【００１２】

【作用】このように本考案によれば、圧縮部の吐出口か
ら吐出された冷媒がオイルセパレータの分離体内を通る
ときに、含まれているオイルは分離され、高圧の冷媒が
カバーの開口部から直接サーマルプロテクタが設けられ
たケーシングの壁に向って吐出されることになるので、
サーマルプロテクタ部分には、高温の冷媒が衝突するこ
とになり、この結果感度が向上し作動が正確になる。し
かも、構成上においても従来のものと変らず、複雑とな
ることはなく、コストアップを招来することもない。

【００１３】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図１は本考案の一実施例に係る密閉型コンプレ
ッサの全体を示す断面図、図２は図１の要部を示す斜視
図であり、図４，５に示す部材と共通する部材には同一
符号を付し、説明を一部省略する。

【００１４】本実施例に係る密閉型コンプレッサは、図
４，５に示すコンプレッサと同様にロータリ式のコンプ
レッサであり、密閉のケーシング１内に圧縮部２を有し
ている。この圧縮部２を構成するシリンダには圧縮室Ｃ
で圧縮された冷媒が吐出される吐出口が開設され、リヤ
サイドブロック５には吐出口から吐出された冷媒を高圧
室１６に導く連通路１５が設けられ、この連通路１５の
出口部分にはオイルセパレータ１７が設けられている。

【００１５】このオイルセパレータ１７は、前記圧縮部
２のリヤサイドブロック５に取付けられ、前記吐出口か
ら吐出された冷媒中のオイルを分離する分離体２０と、
この分離体２０の外周一部を覆うカバー２１とから構成
されている。該カバー２１の一部には、前記吐出口１３
から吐出された冷媒が、分離体２０内を通過した後に前
記サーマルプロテクタ１９が取付けられた密閉ケーシン
グ１の内壁面に指向させるようにするための開口部４０
が設けられている。この開口部４０は、図２に示すよう
に、カバー２１の頂部の先端部分に設けられ、分離体２
０によりオイルが分離された後の冷媒の一部が吐出され
るようになっている。

【００１６】なお、前記サーマルプロテクタ１９は、図
３に示すように、密閉ケーシング１に設けられた凹部１
９ａ内に螺合された本体４１内にバイメタル４２が設け
られ、コンプレッサ内の温度によりこのバイメタル４２
が変形し、作動棒４３を介してコンプレッサの給電回路
に接続されたリレー（図示せず）を励磁し作動させるス
イッチ４４をオフするようになっている。

【００１７】次に、前記実施例の作動を説明する。

【００１８】図示しない駆動源によりシャフト１０を介
してロータ部６が回転すれば、遠心力と、適当な背面力
とによってスライドベーン８がベーン溝９から突出し、
ボア３の内周面３ａに沿って摺動する。そして、ケーシ
ング１の流入口１１から流入した冷媒が、フロントサイ
ドブロック４に開設された吸入口１２を通って圧縮室Ｃ
内に流入される。

【００１９】この圧縮室Ｃは、ロータ部６の回転にとも
なって容積変化するので、内部に封止された冷媒は圧縮
され、圧縮された後に、シリンダ２に開設された吐出口
１３から吐出バルブ１４に抗して吐出され、連通路１５
よりオイルセパレータ１７に衝突した後に、流出口１８
から外部に流出する。

【００２０】この場合、ケーシング１の底部に貯溜され
ている潤滑油Ｏが、潤滑油通路３１を通ってシャフト１
０の周面あるいはベーン溝内に導かれて潤滑する。

【００２１】本実施例では、圧縮部２の吐出口１３から
吐出された冷媒がオイルセパレータ１７の分離体２０内
を通るときに、そこに含まれているオイルは分離され、
ほぼ高圧の冷媒のみがカバー２１の開口部４０から直接
サーマルプロテクタ１９が設けられたケーシング１の壁
に向って吐出されることになる。このため、サーマルプ
ロテクタ１９が設けられたケーシング１の壁は、高圧の
冷媒の衝突により速やかに温度上昇し、サーマルプロテ
クタ１９の本体４１内に設けられたバイメタル４２は確
実に変形することになり、サーマルプロテクタ１９の感
度が向上し、作動が正確になる。この場合、サーマルプ
ロテクタ１９は、ケーシング１の壁により覆われている
ので、シール手段は不要でその構成も従来のものと変ら
ず、複雑となることはない。

【００２２】本考案は、上述した実施例のみに限定され
るものではなく、実用新案登録請求の範囲の範囲内で種
々改変することができる。例えば、ロータリコンプレッ
サのみでなく、レシプロ式のものであってもよく、ま
た、オイルセパレータの開口部は、１個のみでなく多数
個開設してもよい。さらに、この開口部にフィン等を設
け、開口部から吐出される冷媒がサーマルプロテクタに
向うように方向性を持たせてもよい。

【００２３】

【考案の効果】以上述べたように本考案によれば、圧縮
部の吐出口から吐出された冷媒がオイルセパレータの分
離体内を通るときに、そこに含まれているオイルは分離
され、高圧の冷媒がカバーの開口部から直接サーマルプ
ロテクタが設けられたケーシングの壁に向って吐出され
ることになり、サーマルプロテクタの感度を向上させ、
作動が正確になる。また、構成も従来のものと変らず、
複雑となることはなく、コストアップを招来することも
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】は、本考案の一実施例を示す断面図、

【図２】は、図１の要部を示す斜視図、

【図３】は、サーマルプロテクタの概略図、

【図４】は、従来の密閉型コンプレッサを示す断面図、

【図５】は、図４の５−５線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１…密閉ケーシング、２…圧縮
部、１３…吐出口、１６…
高圧室、１７…オイルセパレータ、１
９…サーマルプロテクタ、２０…分離体、
２１…カバー、４０…開口部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者浅井淳一千葉県習志野市屋敷４丁目３番１号セイコー精機株式会社内 (72)考案者井尻誠千葉県習志野市屋敷４丁目３番１号セイコー精機株式会社内 (56)参考文献実開昭55−167591（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F04C 29/10 331 F04C 18/344 351 F04C 29/02 351

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】密閉ケーシング(1) 内に、冷媒を圧縮す
る圧縮部(2) と、この圧縮部(2) の吐出口(13)から吐出
される圧縮冷媒を受入れる高圧室(16)と、前記吐出口(1
3)の近傍に設けられたオイルセパレータ(17)とを有し、
前記高圧室(16)を構成する密閉ケーシング(1) に高圧室
(16)内の冷媒の温度が所定値以上になるとコンプレッサ
の作動を停止するサーマルプロテクタ(19)を取付けてな
る密閉型コンプレッサにおいて、前記オイルセパレータ
(17)は、前記圧縮部(2) の吐出口(13)から吐出された冷
媒中のオイルを分離する分離体(20)と、この分離体(20)
の外周一部を覆うカバー(21)とからなり、該カバー(21)
の一部に、前記吐出口(13)から吐出された冷媒が前記サ
ーマルプロテクタ(19)が設けられた密閉ケーシング(1)
の内面に指向するように開口部(40)を設けたことを特徴
とする密閉型コンプレッサ。