JP2580423B2 - 外科用フィラメントの製造方法 - Google Patents

外科用フィラメントの製造方法

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JP2580423B2
JP2580423B2 JP4033029A JP3302992A JP2580423B2 JP 2580423 B2 JP2580423 B2 JP 2580423B2 JP 4033029 A JP4033029 A JP 4033029A JP 3302992 A JP3302992 A JP 3302992A JP 2580423 B2 JP2580423 B2 JP 2580423B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体組織通過性や結び
おろし性等の表面すべり特性を改善した、手術用縫合糸
や結紮糸等の外科用フィラメントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】外科手術においては、内蔵、皮膚、筋
肉、骨、関節、血管等の組織を縫合、固定、結紮するた
めに、種々の縫合糸や結紮糸等の外科用フィラメントが
使用される。これらの外科用フィラメントは、モノフィ
ラメント状で縫合糸または結紮糸として用いられる場合
があるが、多くの場合マルチフィラメント状あるいはそ
の編組みまたは撚り構造にて使用される。表面すべり特
性が比較的良好なモノフィラメントよりなる外科用フィ
ラメントの場合においても、その表面を未処理のままで
は、該フィラメントの表面が充分に滑らかではない場合
が多い。従って、例えば縫合時や組織固定時に、該フィ
ラメントと組織との無視し得ない摩擦により組織を傷つ
けることがある。
【0003】このようなことを防ぐために、あるいは、
縫合糸の結び目を所望の位置に滑らせたりするために、
外科用フィラメントには種々のコーティングが施され
る。例えば、特公昭60−25974号公報には、ステ
アリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の金属塩と生体吸収
性の重合体との混合物により被覆された合成マルチフィ
ラメント縫合糸が開示されている。また、特開昭61−
76163号公報には同じく高級脂肪酸の金属塩を乾式
コーティングした外科用フィラメントが開示されてい
る。外科用フィラメントは、使用時、すなわち外科手術
過程において、結び目を作る前に1回ないし数回は体液
に曝されたり、あるいは、湿った組織を通過させられた
りするのが通常である。
【0004】しかしながら、従来公知のコーティング
剤、例えば、ステアリン酸カルシウム等を生体吸収性縫
合糸の表面にコーティングした場合、乾燥状態ではある
程度の効果を示すが、湿潤状態では表面すべり特性が悪
化することがあり、縫合糸の結び目を所望の位置に滑り
おろすのが困難になり、また、生体組織通過性の点でも
問題がある。
【0005】本発明者らは、特願平2−314426号
(特開平3−236852号公報参照)に係わる特許出
願において、外科用フィラメントの表面が、炭素数6〜
22の脂肪酸アシル基を有するN−長鎖モノアシル塩基
性アミノ酸の少なくとも一種、または、それらを含有す
る組成物によりコーティングされた外科用フィラメント
が、湿潤時における結びおろし特性や生体組織通過性等
の表面すべり特性が実質的に乾燥時とほとんど変わら
ず、しかも生体に対する安全性の高い外科用フィラメン
トであることを提案している。
【0006】該特許出願において、外科用フィラメント
の表面に該N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の少なく
とも一種、または、それらを含有する組成物をコーティ
ングする方法として、これらの粉末を無溶媒で直接フィ
ラメントの表面に付着させる方法、これらを溶剤に懸濁
させた液にフィラメントを通過させた後に溶剤を乾燥、
除去する方法,および,それらを生体吸収性で、且つ熱
可塑性または溶媒可溶性の重合体と混合した組成物の形
でフィラメントの表面に付着させる方法によって、フィ
ラメント100重量部に対して該N−長鎖モノアシル塩
基性アミノ酸0.1〜20重量部をコーティングする方
法を開示している。
【0007】しかし、さらに研究を重ねた結果、これら
の方法は、必ずしも満足できる方法とはいえないことが
判明した。何故なら、市販の該N−長鎖モノアシル塩基
性アミノ酸は、平均粒径約20〜30μm、最大粒径約
100μmの白色の薄片板状結晶であり、これを外科用
フィラメントの表面に付着させた場合、該N−長鎖モノ
アシル塩基性アミノ酸の大粒子の粉末がそのまま付着す
ることとなり、種々の弊害が生じることがある。
【0008】例えば、大粒子の該N−長鎖モノアシル塩
基性アミノ酸の少なくとも一種、または、それらを含有
する組成物の粉末を無溶媒で直接フィラメントの表面に
付着させた場合、あるいは、それらを含有する組成物の
粉末を,溶融した熱可塑性生体吸収性重合体に分散して
フィラメントの表面に付着させた場合、満足できる表面
すべり特性を得るためにはフィラメントの重量に対し
て、最大20重量%程度コーティングする必要がある。
コーティング量が10重量%を越えた場合、または、大
粒径の該N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸粉末をコー
ティングした場合は、外科用フィラメントが小麦粉を塗
布したような白色を帯び、商品価値が低下するので好ま
しくない。
【0009】また、大粒子の該N−長鎖モノアシル塩基
性アミノ酸粉末は単位重量当たりの付着面積が小さいた
め、付着力が不足する傾向がある。
【0010】そのため、該N−長鎖モノアシル塩基性ア
ミノ酸粉末がコーティングされた外科用フィラメント
を、包装、輸送あるいは保管したり、縫合糸または結紮
糸として用いる際に、該N−長鎖モノアシル塩基性アミ
ノ酸の粉末が脱落し、周囲を汚染したり、または、該フ
ィラメントの結びおろし特性(tie down 特
性)や生体組織通過性等の表面すべり特性が実質的に低
下することがある。
【0011】具体的には、外科手術における縫合に際し
て、外科用フィラメントに結び目を作る時、または、そ
の結び目を縫合箇所まで結びおろし(tie dow
n)する時の摩擦力により該N−長鎖モノアシル塩基性
アミノ酸の粉末が脱落し、表面すべり特性が実質的に低
下するばかりでなく、脱落した粉末が人体の患部に散乱
し、洗浄・除去する必要が生じ好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題を解決し、外観が良好で、かつ、包装、輸送ある
いは保管中、及び、縫合糸または結紮糸として用いる際
にコーティング剤が脱落しない外科用フィラメントの製
造方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、少量のコーティング
でも湿潤時の表面すべり特性が実質的に乾燥時と変わら
ず、しかも生体に対する安全性の高い外科用フィラメン
トの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、外科用フィラメントの表面に、特定の粒子径
を有する長鎖モノアシル基を有する塩基性アミノ酸をコ
ーティングする方法が上記課題を解決するために有効で
あることを見出し、本発明に到った。
【0015】すなわち、本発明は外科用フィラメントの
表面を、粒子の80容量%以上が20μm以下である
炭素数6〜22の脂肪族アシル基を有するN−長鎖モノ
アシル塩基性アミノ酸の少なくとも一種の粉末、該粉
末の懸濁液、および該粉末を含有する組成物からなる
群より選ばれた被覆剤を用いてコーティングすることを
特徴とする外科用フィラメントの製造方法である。
【0016】さらに好ましくは、該N−長鎖モノアシル
塩基性アミノ酸が体積分率においてその80%以上が2
0μm 以下の粒子径を有し、かつ、その平均粒子径が7
μm以下であるものを用いてコーティングすることを特
徴とする外科用フィラメントの製造方法である。
【0017】本発明において、炭素数6〜22の脂肪族
アシル基を有するN−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸と
しては、一般式(1)〔化2〕
【0018】
【化2】 (式中、Rは炭素数が5〜21までの長鎖アルキル基を
示し、nは1〜4の整数を示す)で表される化合物が好
ましく使用される。
【0019】本発明の方法において、該N−長鎖モノア
シル塩基性アミノ酸をそれ自身単独で外科用フィラメン
トの表面にコーティングしてもよいし、また、数成分の
混合物からなるコーティング剤組成物の一成分としてコ
ーティングしてもよい。
【0020】また、該N−長鎖モノアシル塩基性アミノ
酸の少なくとも一種を含有する組成物において、他の含
有成分として生体吸収性重合体、例えば、グリコリドお
よび/またはラクチドの重合体であるポリグリコール
酸、ポリ乳酸およびグリコール酸と乳酸との共重合体が
好ましく使用される。
【0021】また、本発明において「コーティング」と
いう場合、外科用フィラメントの表面全体が必ずしも完
全に覆い尽くされている必要はなく、脱落がないよう強
固に付着し、且つ、表面すべり特性が低下しない範囲に
おいて、コーティング剤がフィラメントの表面にまばら
状、あるいは、まだら状に部分的に被覆、あるいは付着
していてもよい。
【0022】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で使用されるN−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸
は、複数のアミノ基を有する塩基性アミノ酸の一種のア
ミノ基が長鎖カルボン酸によりアシル化された構造を有
するものである。このようなN−長鎖モノアシル塩基性
アミノ酸において、塩基性アミノ酸としては、例えば、
α,β−ジアミノプロピオン酸、α,γ−ジアミノ酪
酸、オルニチン、リジン等が挙げられ、特に好ましいコ
ーティング効果、即ち、表面すべり特性を示すものはリ
ジンである。
【0023】一方、長鎖アシル基としては、炭素数が6
〜22のものが好ましい。例えば、カプロン酸、エナン
ト酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イ
コサン酸、ドコサン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、イソ
ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等に由来する
アシル基が挙げられ、中でもラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸が好ま
しく、さらにはラウリン酸が特に好ましい。
【0024】炭素数が6未満のアシル基をもつN−アシ
ル塩基性アミノ酸では親水性が高すぎて良好なコーティ
ング効果を示さない。また、炭素数が22を越えるアシ
ル基のものも良好なコーティング効果は望めない。従っ
て、本発明に係わるN−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸
は、上記一般式(1)で表されるものが好ましく、さら
に好ましくは式(2)〔化3〕
【0025】
【化3】 で表される化合物、すなわち、N−ε−ラウロイル−L
−リジンである。これらのN−長鎖モノアシル塩基性ア
ミノ酸は、例えば、塩基性アミノ酸のアルカリ水溶液中
に長鎖カルボン酸クロリドを滴下させる、いわゆるショ
ッテンバウマン(SHOTTEN BAUMANN )
反応、あるいは、特公昭51−128610号公報に開
示されているように、塩基性アミノ酸のカルボン酸塩を
加熱脱水する方法によって得ることができる。ただし、
これらのN−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の合成法に
ついては特に限定されるものではなく、他の方法で合成
されたものであっても何ら差し支えない。
【0026】これらのN−長鎖モノアシル塩基性アミノ
酸類は、およそ200〜250℃程度の融点をもつ、白
色の薄片板状結晶で滑沢性に優れ、クロロホルム、ベン
ゼン等の汎用の有機溶媒や水等に不溶または難溶であ
り、かつ、膨潤もせずに粉体として安定な形態を保つ。
従って、これらのN−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸を
外科用フィラメントの表面にコーティングすることによ
り、該フィラメントの表面摩擦抵抗を効果的に減少させ
ることができる。
【0027】さらに、N−長鎖モノアシル塩基性アミノ
酸は撥水性を有するため、該物質によりコーティングさ
れた外科用フィラメントは、体液に曝されたり湿潤した
生体組織を通過した場合でも、その表面は効果的に水を
はじくため乾燥状態と実質的に変わらないすべり特性を
発揮することができる。
【0028】しかも、N−長鎖モノアシル塩基性アミノ
酸は、その構造から明らかなように、生体に対して極め
て安全である。特に長鎖モノアシル基が脂肪酸である場
合、急性毒性、亜急性毒性は共に無く、皮膚刺激、粘膜
刺激、変異原性のいずれの試験結果も陰性である。した
がって、該物質をコーティング剤として用いることは本
発明の目的に合っている。
【0029】本発明において、上記のコーティング剤を
塗布する外科用フィラメントは、生体吸収性のものでも
非生体吸収性のものでもよい。また、その形状はモノフ
ィラメント構造であっても極細なマルチフィラメントの
構造であってもよいが、特にマルチフィラメントの編組
構造のものにおいて効果が大きい。
【0030】すなわち、本発明に使用されるN−長鎖モ
ノアシル塩基性アミノ酸は、特定の粒子径を有し、比較
的小粒径であるため、N−長鎖モノアシル塩基性アミノ
酸の粒子がマルチフィラメント間の間隙に整然と入り込
み、該フィラメントの表面全体にわたって均一なコーテ
ィグを施すことができる。従って、コーティグ量が少量
であっても良好なすべり特性を発揮し、かつ、フィラメ
ントの外観も損なわれることがない。さらに、コーティ
グの後、該フィラメントの包装、輸送、保管する際、あ
るいは縫合等に使用する際にフィラメントの表面からN
−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の粒子が脱落すること
がほとんどない。
【0031】本発明が適用される生体吸収性外科用フィ
ラメントとしては、例えば、従来から知られている天然
の腸線(カットグット)、コラーゲンやキチンからなる
もの、合成のグリコリド重合体(ポリグリコール酸)、
ラクチド重合体(ポリ乳酸)、あるいは、グリコリド−
ラクチド共重合体、グリコリド−カプロラクトン共重合
体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジオキサノン、トリメチ
レンカーボネート重合体等からなるものが挙げられる。
これらの重合体の内で、コーティングによる表面すべり
特性の改良効果、フィラメントの強度および加水分解性
等の点でグリコリド重合体、ラクチド重合体またはグリ
コリド−ラクチド共重合体からなる外科用フィラメント
が好ましい。
【0032】本発明の特徴は、特定の粒子径を有するN
−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸を使用することにあ
る。
【0033】すなわち、本発明で使用するN−長鎖モノ
アシル塩基性アミノ酸は、体積分率においてその80%
以上が20μm以下の粒子径を有するものであり、好ま
しくは、体積分率においてその80%以上が20μm以
下の粒子径を有し、かつ、平均粒子径が7μm以下であ
るものである。該粒径を有するN−長鎖モノアシル塩基
性アミノ酸は、前記の方法で得られるN−長鎖モノアシ
ル塩基性アミノ酸を粉砕および/またはふるい分けする
ことにより調製することができる。該N−長鎖モノアシ
ル塩基性アミノ酸を粉砕する方法には、特に制限はな
く、従来より用いられている振動ボールミル、ハンマー
ボールミル等の機械的衝撃によるもの、または、ジェッ
ト粉砕機等の高速気流の衝撃によるもの等が好ましく用
いられる。後者の方法が特に適している。
【0034】上記方法により粉砕された粉末、または、
微粒子を分級する方法にも特に制限はなく、従来より用
いられているマルチサイクロンを用いて分級する方法、
または、JIS Z−8801等に規定される標準ふる
いを数個組み合わせて分級する方法等が好ましく用いら
れる。いずれの方法においても粉砕、分級により本発明
の目的に合致する粒子径、すなわち、体積分率において
その80%以上が20μm以下の粒子径とならなかった
場合は、再度粉砕、分級を繰り返し目的に合致した粒子
径を有するものを得る。
【0035】本発明においては、上記粒径を有するN−
長鎖モノアシル塩基性アミノ酸(以下、単にN−長鎖モ
ノアシル塩基性アミノ酸という)をそのまま、あるい
は、他の物質との組成物の形で外科用フィラメントの表
面にコーティングする。
【0036】本発明の特徴は、用いるコーティング剤の
粒子径にあり、適用されるコーティング方法には特別の
制限はないが、好ましく用いられるコーティング方法と
しては、該N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の粉
末、または、微粒子を直接外科用フィラメントの表面に
コーティングする方法、該N−長鎖モノアシル塩基性
アミノ酸の粉末、または、微粒子を水または有機溶媒等
に懸濁させて、その懸濁液をコーティングする方法、
該N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の粉末、または、
微粒子を生体吸収性重合体等の溶融物、または、その溶
液に分散させて、その分散液をコーティングする方法等
が例示できる。
【0037】その他、該N−長鎖モノアシル塩基性アミ
ノ酸、または、それらを含有する組成物の粉末、また
は、微粒子を適当な有機溶媒に溶解させてコーティング
する方法も、本発明に用いるN−長鎖モノアシル塩基性
アミノ酸が比較的小粒子径であるため、溶解性に優れる
点で効果を発揮するが、この効果は顕著とはいい難く、
好ましい方法とはいえない。
【0038】上記の方法としては、室温、または、そ
の近傍の温度において、該N−長鎖モノアシル塩基性ア
ミノ酸の粉末、または、微粒子を人指、筆または刷毛等
を用いて直接外科用フィラメントの表面にコーティング
する。また、室温、または、その近傍の温度において、
0.5〜5気圧程度の圧力で噴出する空気、または、窒
素等の不活性気体流により吹きつける、いわゆる、スプ
レーコーティングによる方法等が例示できる。
【0039】の方法としては、該N−長鎖モノアシル
塩基性アミノ酸の粉末、または、微粒子を室温、また
は、その近傍の温度において、水、または、クロロホル
ム、ジオキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エ
タノール等の有機溶媒に懸濁分散させて、攪拌下でその
中を外科用フィラメントを通過させることによりコーテ
ィングした後、溶媒を蒸発させて除去する方法。また、
上記の懸濁液を0.5〜5気圧程度の圧力で噴出する空
気、または、窒素等の不活性気体流により吹きつける、
いわゆる、スプレーコーティングによる方法等が例示で
きる。上記の懸濁液の濃度は水等の懸濁媒100重量部
に対し2〜100重量部の範囲が好ましい。2重量部未
満の場合はコーティング剤の付着量が充分でなく、ま
た、100重量部を越えるとコーティング剤が沈澱する
等して良好な懸濁液が得にくなるので好ましくない。
【0040】また、上記の懸濁液を得る際に、懸濁状態
を安定化する目的で少量の界面活性剤や乳化剤等を添加
することもできる。懸濁分散に用いた溶媒を蒸発させる
温度、すなわち、フィラメントの乾燥温度は、用いた溶
媒の揮発性および沸点によるが、例えば、トルエンを懸
濁液とした場合は空気または窒素等の不活性気体を用い
て、40〜120℃程度の温度範囲で行うことが好まし
い。乾燥機の形式は回分式、連続式のいずれでも差支え
ないが、乾燥機の出口における温度および用いる空気等
の乾燥媒体の量は、乾燥機の内部および出口において、
トルエン等の懸濁媒体の露点以上となるよう調節するこ
とが重要である。
【0041】の方法としては、該N−長鎖モノアシル
塩基性アミノ酸の粉末、または、微粒子を、生体適合性
重合体または生体吸収性重合体等の重合体溶融物に混
合、分散させて、その分散物の中を外科用フィラメント
を通過させる等してコーティングした後、冷却する方
法、または、該重合体をトルエン、キシレン、クロロホ
ルム、ジオキサン等の有機溶媒に溶解させて、その溶液
に該N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の粉末、また
は、微粒子を懸濁分散させて、その懸濁液の中を外科用
フィラメントを通過させるか、または、該懸濁液を0.
5〜5気圧程度の圧力で噴出し吹きつける、いわゆる、
スプレーコーティングした後、乾燥する方法等が例示で
きる。
【0042】上記の方法に用いる重合体は外科用フィラ
メントと同様、生体適合性を有し、かつ、生体吸収性、
熱可塑性を有することが好ましい。例示するならば、グ
リコリド重合体、ラクチド重合体、グリコリド−ラクチ
ド共重合体、ポリカプロラクトン、ポリオキシアルキレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン樹脂等が
挙げられる。これらのうちで、生体吸収性を示すグリコ
リド重合体、ラクチド重合体、グリコリド−ラクチド共
重合体が特に好ましい。
【0043】グリコール酸−乳酸共重合体、ポリカプロ
ラクトン等の溶融物を用いる場合は、100 〜200 ℃に加
熱することにより溶融させ、次いで、N−長鎖モノアシ
ル塩基性アミノ酸を添加し、その溶融物の中に外科用フ
ィラメントを通してコーティングする方法が好ましい。
コーティング後は水冷、空冷等により冷却する。この場
合の組成物の組成は、上記重合体100重量部に対して
N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸が30〜200重量
部であることが好ましい。組成比が上記範囲を外れると
フィラメント表面への付着状態が軟弱になり好ましくな
い。
【0044】また、上記重合体の溶液を用いる場合は、
上記重合体を室温〜100℃において、トルエン、キシ
レン、クロロホルム、ジオキサン等の溶媒に溶解し、次
いで、N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸を添加し懸濁
液とする。この懸濁液の中に外科用フィラメントを通し
てコーティングする。また、該懸濁液を0.5〜5気圧
程度の圧力で噴出し吹きつける、いわゆる、スプレーコ
ーティングした後、乾燥する方法も用いられる。
【0045】コーティングする温度は室温〜50℃が好
ましい。高温であると溶媒が蒸発し溶液濃度が経時的に
変化するので好ましくない。該懸濁液にフィラメントを
入れておく時間は、2秒〜1分間で充分にコーティング
することができる。
【0046】懸濁液の調製方法は、有機溶媒100重量
部に対して、上記重合体を0.01〜10重量部、N−
長鎖モノアシル塩基性アミノ酸を0.1〜20重量部添
加し、室温〜50℃の温度範囲において攪拌下に保つこ
とが好ましい。懸濁液の調製からコーティングが完了す
るまで攪拌を続け、N−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸
の濃度のバラツキをなくすことが好ましい。コーティン
グが完了した後、室温〜120℃程度の温度範囲で1〜
24時間空気中または、窒素等の不活性気体中で乾燥
し、有機溶媒を除去する。減圧下での乾燥は更に効果的
である。
【0047】本発明に係わるフィラメントのコーティン
グ方法においては、上記N−長鎖モノアシル塩基性アミ
ノ酸と共に、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリ
ン酸アルムニウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸カ
ルシウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸バ
リウム、パルミチン酸アルムニウム、パルミチン酸亜
鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸マグネシウム、
オレイン酸バリウム、オレイン酸アルムニウム、オレイ
ン酸亜鉛等の炭素数6以上の脂肪酸金属塩、または、炭
素数6以上の脂肪酸と庶糖とのエステル等の従来知られ
ている他の滑剤やコーティング剤を併用することもでき
る。
【0048】この場合、併用比は該N−長鎖モノアシル
塩基性アミノ酸が20〜100重量%、上記脂肪酸金属
塩等が0〜80重量%であることが好ましい。該N−長
鎖モノアシル塩基性アミノ酸の量が20重量%未満では
湿潤時の表面滑り特性が充分に改善されない。炭素数6
以上の脂肪酸金属塩、または、炭素数6以上の脂肪酸と
庶糖とのエステル等を併用する方法としては、上記〜
の方法において併用してもよいが、好まし方法は、例
えば、キシレン等の有機溶媒に上記の脂肪酸金属塩を添
加し、撹拌しながら、キシレン等の沸点において30分
〜1時間還流した後、30〜80℃に冷却することによ
り、脂肪酸金属塩をキシレン等の有機溶媒中にゲル状に
分散させ、次いで撹拌下に、該N−長鎖モノアシル塩基
性アミノ酸の粉末を懸濁分散させて、その懸濁液の中を
外科用フィラメントを通過させる等してコーティングし
た後、乾燥する方法等が例示できる。
【0049】本発明において、フィラメントの表面にコ
ーティングされる上記N−長鎖モノアシル塩基性アミノ
酸の量は、フィラメントの構造、例えばマルチフィラメ
ントの場合には、フィラメントの数やブレードまたは撚
りの目の詰まり具合等に依存して変わるが、該フィラメ
ントの重量に対して、好ましくは0.1〜10重量%の
範囲から適宜選択される。0.1重量%未満の場合は、
良好なコーティング効果の発現は望み難いし、10重量
%を越えてもよいが、コストが高くなるので好ましくな
い。さらに好ましくはおよそ0.5〜5.0重量%であ
る。
【0050】
【実施例】次に、実施例に基づいてさらに詳細に説明す
る。なお、実施例において示す諸物性値は下記の方法で
測定した。
【0051】結びおろし試験 主観的方法 本発明により提供される外科用フィラメントのすべり特
性、特に結び目のすべりおろし性(タイダウン性)の評
価は、主観的には極めて容易である。すなわち、図1に
示すように棒状体1をくぐらせたフィラメント2の上部
で固く結んだ後、フィラメント2の両端(2aおよび2
b) を矢印の方向に引張ることにより結び目3を引きお
ろす。その引きおろし易さにより容易に判断できる。
【0052】客観的方法 図2に示すように、試験するフィラメント2を内径40
mm、外径50mmの円筒形のスポンジ4のまわりに1
回まわし、図1のような結び目3を施した。フィラメン
ト2の両端を引張り強度試験機のチャック5aおよび5
bに固定して、速度100mm/minで引張った。試
験するフィラメント2によっては結び目がすべらず、フ
ィラメント2は破断する結果となった。結び目がすべる
場合には、30mmすべらせた。ロードセル6により検
出される応力はフィラメント2のすべりの程度によっ
て、変動したので、結び目をすべらせた30mmの内、
すべり始めとすべり終わりの各10mmを無視し、中間
の10mmにおける最大応力と最小応力を記録した。
【0053】N−ラウロイルリジンの粉砕と粒度分布の
測定 シングルトラックジェットミル粉砕機(セイシン企業
(株)製、形式STD−4)を用いて、市販のN−ラウ
ロイルリジンを粉砕して、テトロン製バグフィルターに
より回収した。粉砕により2種類の粒度分布を有するN
−ラウロイルリジンを得て、それぞれコーティング剤の
試料1および試料2とした。また、未粉砕のものを試料
3とした。400mlの純水に市販の液体中性洗剤を2
〜3滴添加し、界面活性剤を微量含有する水溶液を調製
した。該水溶液中に上記の各試料をそれぞれ0.5g添
加し、3分間超音波分散により分散させた。セイシン企
業(株)製、光線照射式粒度測定機、形式、SK−LA
SER MICRON SISER 7000を用い
て、該分散液中の各試料の粒度分布を測定した。各試料
の粒子径の体積分率累積値が50vol.%となる粒子
径を平均粒子径とした。各試料の粒度分布および平均粒
子径を〔表1〕に示す。
【0054】
【表1】
【0055】実施例1〜4、比較例1〜4 〔表1〕に示す各種の粒子径を有するコーティング剤の
試料1、試料2または試料3の粉末を、人の手指にて外
科用フィラメント〔用いたフィラメントは、全てマルチ
フィラメントの編組み構造であり、そのサイズは〔表
2〕にUnitedStates Pharmacop
eia(以下、USPという)XIX規格で示す〕の表
面に直接付着させ、乾いた布を用いてフィラメントをこ
すりながら余剰のコーティング剤を拭き取った。布で拭
き取る回数によりコーティング剤の付着量が異なるフィ
ラメントを得た。コーティング前後のフィラメントの重
量を測定し、その差よりコーティング剤の付着量を算出
して、フィラメントの重量に対する百分率にて示した。
コーティングを施したフィラメントの乾燥時におけるす
べり特性を客観的方法により評価した。また、コーティ
ングを施したフィラメントを37℃の蒸留水中に1分間
浸漬した後、上記と同様に湿潤時におけるすべり特性を
客観的方法により評価した。試料1および試料2がコー
ティングされたフィラメントは、コーティング量が少量
にもかかわず良好なすべり特性を示し、コーティング剤
の脱落も認められなかった。得られた結果を〔表2〕に
示す。
【0056】
【表2】 〔表2〕から明らかなように、実施例1と比較例2、実
施例2と比較例3、実施例4と比較例4はそれぞれコー
ティング剤の付着量が略同等であるが、いずれも実施例
の方がフィラメントの表面すべり特性が良好であり、コ
ーティング剤の粒度を特定した効果が現れている。ま
た、比較例4は、表面すべり特性の絶対値が大きいだけ
でなく、最小値と最大値の差が大きかった。また、いず
れの実施例においてもタイダウン(tie down)
時にコーティング剤の脱落が認められなかった。さら
に、フィラメントの外観も良好であった。
【0057】実施例5〜7、比較例5〜7 〔表3〕に示す樹脂1gを所定量のクロロホルムに添加
して、室温において30分間攪拌し、樹脂のクロロホル
ム溶液を調製した。次いで、攪拌下に、該溶液に〔表
1〕に示す各種の粒子径を有する所定量のコーティング
剤の試料1または試料3を添加して、コーティング剤の
懸濁液を調製した。該懸濁液を攪拌しながら、実施例1
で用いたものと同種のフィラメントを約10秒間浸漬
し、各種樹脂および試料をコーティングした。次いで、
該フィラメントを50℃において1時間空気中で乾燥し
て、コーティングを施したフィラメントを得た。フィラ
メントへのコーティング剤の付着量は、フィラメントに
対する上記樹脂および試料1または3の合計量で示し
た。乾燥時および湿潤時におけるフィラメントの滑りお
ろし性の評価を主観的方法により行った。 実施例5は
比較例5に対し、実施例6は比較例6に対し、実施例7
は比較例7に対しそれぞれコーティング量が少ないにも
かかわらず、良好な表面滑りおろし性(tie dow
n性)を示した。また、試料1のコーティング剤を用い
た全ての実施例においては、タイダウン時にコーティン
グ剤の脱落は認められなかった。さらに、フィラメント
の外観も良好であった。得られた結果を〔表3〕に示
す。
【0058】実施例8 平均分子量が50000のポリ(D,L−乳酸)2gを
キシレン94gに添加して、室温において30分間攪拌
し、該樹脂のキシレン溶液を調製した。次いで、攪拌下
に、該溶液に〔表1〕に示す試料1のコーティング剤4
gを添加して、コーティング剤の懸濁液を調製した。該
懸濁液を攪拌しながら、実施例1で用いたものと同種の
フィラメントを約10秒間浸漬し、該樹脂および試料1
をコーティングした。次いで、該フィラメントに50℃
の熱風を当てて、1時間空気中で乾燥して、コーティン
グを施したフィラメントを得た。コーティング剤の付着
量は、2.3重量%であった。コーティングを施したフ
ィラメントの主観的表面滑り性を実施例1と同様にして
実施した。その結果、主観的評価は4であった。また、
該フィラメントの外観は良好で、タイダウン時のコーテ
ィング剤の脱落も認められなかった。
【0059】実施例9 〔表1〕に示すコーティング剤の試料1の80gを、1
000mlのキシレン中に添加し、激しく攪拌して懸濁
液を調製した。該懸濁液を容積が1000ml、噴霧口
のノズル径が2mmの市販の手動式噴霧機を用いて、約
3kg/cm2 の圧力で実施例1で用いたものと同種の
フィラメントに噴霧してコーティング剤をコーティング
した。次いで、100℃において30分間空気中で乾燥
した。このコーティングと乾燥の操作を3回繰り返し、
コーティング剤の付着量がフィラメントの重量に対し
6.5重量%であるコーティングが施されたフィラメン
トを得た。実施例5と同様の方法で乾燥時および湿潤時
におけるフィラメントの滑りおろし性の評価を主観的方
法により行った。得られた結果は、乾燥時および湿潤時
のいずれにおいても表面滑り特性が4であり、良好であ
った。また、結び目をつくる時およびタイダウン時にコ
ーティング剤の脱落は認められなかった。フィラメント
の外観も良好であった。
【0060】実施例10 キシレン1000mlにステアリン酸カルシウム40g
を添加し、撹拌下で、150℃において30分間還流し
た後、50℃に冷却して、キシレン中にステアリン酸カ
ルシウムのゲルが分散した液を作った。該液に〔表1〕
に示すコーティング剤の試料1の40gを添加し、激し
く撹拌し、懸濁液を調製した。この懸濁液をコーティン
グ液として用いた以外、実施例8と同様にしてコーティ
ングし、コーティング剤の付着量が5.8重量%である
コーティングが施されたフィラメントを得た。得られた
フィラメントについて実施例8と同様の評価を行なっ
た。得られた結果は、乾燥時および湿潤時のいずれにお
いても表面滑り特性が4であり、良好であった。また、
結び目をつくる時およびタイダウン時にコーティング剤
の脱落は認められなかった。フィラメントの外観も良好
であった。
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明により、湿潤時における結びおろ
し特性および生体組織通過性等の表面すべり特性が実質
的に乾燥時とほとんど変わらず、しかも生体にたいする
安全性の高い外科用フィラメントの製造方法が提供され
る。すなわち、本発明の方法により製造された外科用フ
ィラメントは、外観が良好で、かつ、包装、輸送あるい
は保管中、及び、縫合糸または結紮糸として用いる際に
コーティング剤が脱落しない。さらに、より少量のコー
ティング量で良好なすべり特性をフィラメントに付与す
ることができる。これらの効果は、外科用フィラメント
がマルチフィラメントの編組み構造である場合に特に顕
著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は結びおろし試験にて行う、フィラメントの結
び方および引張方向を示す図である。
【図2】は結びおろし試験に用いた装置の概略を示す図
である。
【符号の説明】 1は棒状体の断面 2はフィラメント 2a、2bはフィラメントの両端 3は結び目 4はスポンジ 5a,5bは引張試験機のチャック 6はロードセル 7は記録計

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外科用フィラメントの表面を、粒子の
    80容量%以上が20μm以下である炭素数6〜22の
    脂肪族アシル基を有するN−長鎖モノアシル塩基性アミ
    ノ酸の少なくとも一種の粉末、該粉末の懸濁液、およ
    び該粉末を含有する組成物からなる群より選ばれた被
    覆剤を用いてコーティングすることを特徴とする外科用
    フィラメントの製造方法。
  2. 【請求項2】 コーティング量が、該外科用フィラメン
    トの重量に対し、0.1〜10重量%である請求項1記
    載の外科用フィラメントの製造方法。
  3. 【請求項3】 懸濁液が、水、クロロホルム、ジオキサ
    ン、トルエン、キシレン、メタノールおよびエタノール
    からなる群より選ばれた懸濁媒100重量部および該N
    −長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の粉末2〜100重量
    部を含有する懸濁液である請求項1記載の外科用フィラ
    メントの製造方法。
  4. 【請求項4】 懸濁液が、トルエン、キシレン、クロロ
    ホルムまたはジオキサンを含む有機溶剤100重量部に
    グリコリド重合体、ラクチド重合体またはグリコリド−
    ラクチド共重合体を含む生体吸収性重合体0.01〜1
    0重量部を溶解させた溶液に、該N−長鎖モノアシル塩
    基性アミノ酸の粉体0.1〜20重量部を懸濁させた懸
    濁液である請求項1記載の外科用フィラメントの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 組成物がグリコリド重合体、ラクチド重
    合体またはグリコリド−ラクチド共重合体を含む生体吸
    収性重合体の溶融物100重量部および該N−長鎖モノ
    アシル塩基性アミノ酸の粉体30〜200重量部を含有
    する組成物である請求項1記載の外科用フィラメントの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 組成物が該N−長鎖モノアシル塩基性ア
    ミノ酸の粉体20〜100重量%及び炭素数6以上の脂
    肪酸金属塩を0〜80重量%を含有する組成物である請
    求項1記載の外科用フィラメントの製造方法。
  7. 【請求項7】 外科用フィラメントが生体吸収性重合体
    である請求項1記載の外科用フィラメントの製造方法。
  8. 【請求項8】 生体吸収性重合体がグリコリド重合体、
    ラクチド重合体またはグリコリド−ラクチド共重合体で
    ある請求項7記載の外科用フィラメントの製造方法。
  9. 【請求項9】 外科用フィラメントがマルチフィラメン
    トの編組み構造である請求項1または7記載の外科用フ
    ィラメントの製造方法。
  10. 【請求項10】 炭素数6〜22の脂肪族アシル基を有
    するN−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸の粉末粒子の8
    0容量%以上が20μm以下であり、かつ、平均粒子径
    が7μm以下である請求項1記載の外科用フィラメント
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 炭素数6〜22の脂肪族アシル基を有
    するN−長鎖モノアシル塩基性アミノ酸が、一般式
    (1)〔化1〕 【化1】 (式中、Rは炭素数が5〜21のアルキル基、nは1か
    ら4の整数を示す)で表される化合物である請求項1ま
    たは10記載の外科用フィラメントの製造方法。
  12. 【請求項12】 一般式(1)〔化1〕において、Rが
    ウンデシル基、nが4である請求項11記載の外科用フ
    ィラメントの製造方法。
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