JP2580422B2 - 絹繊維製品の機能性付与加工方法 - Google Patents

絹繊維製品の機能性付与加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は絹繊維製品に優れた機能
性を付与する加工方法に関するものであり、さらに詳し
くは、絹繊維を主要成分として構成される糸条、編物、
織物及び縫製品などの繊維集合体に、絹繊維特有の優れ
た官能特性を保持させたまま、従来から絹繊維の欠点と
して指摘されてきた摩耗性、黄褐変性、防皺性及び洗濯
収縮性などを大幅に改善する機能性を付与するための加
工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】絹繊維製品に、絹繊維が本来所有する優
れた感触・風合及び光沢・艶などの外観に由来する官能
特性を維持したまま、イージーケア性を付与するための
改質加工技術は、次の三つのグループに区分されて発展
してきた。その第一は、錫及びタンニン酸などにより絹
繊維製品に重厚な感触と独特の光沢を付与するための加
工方法として知られている増量加工を発展・拡大し、合
理化してきたところの、絹繊維製品の価格対策を主眼と
するビニルモノマーによるグラフト加工と呼ばれる繊維
内重合法である。また、その第二は、繊維素繊維製品の
加工に応用される熱硬化性樹脂初期縮合物または繊維素
反応型樹脂ないし反応剤などによる改修された条件下で
の改質加工方法であり、第三は、主としてエポキシ化合
物などの多官能性化合物による架橋化効果を付与するこ
とを目的とした、いわゆる化学加工と呼ばれる加工方法
である。
【0003】しかしながら、第一の加工方法は、その目
的からも容易に類推し得るように、絹繊維本来の官能特
性を保持しながら優れた消費特性を顕現しようとすると
ころの、一般のアパレル用途に求められる機能性の付与
という視点からは、著しく逸脱する領域が混在する。ま
た、第二の方法は、ミクロ的には繊維内部に構成される
樹脂成分による粗硬化と、加工工程中に採用される乾燥
及び湿潤下での高温熱処理による絹繊維自体の風合低下
及び黄変化傾向があるのに加えて、マクロ的には織物組
織内で自由を拘束された絹長繊維の崇高性の低下などが
交絡して、防皺性の改善は必ずしも予期した効果を得ら
れないことが指摘されている。
【0004】これらの改善策としては、ウレタンオリゴ
マーなどの併用策が提案されている(特開昭64−45
871号公報)が、一般的なアパレル用途における最大
の難点のひとつとして挙げられるところの遊離ホルムア
ルデヒドの問題が許容される熱処理条件を勘案しても潜
在的に内包され、その欠点を解消することは極めて困難
である。
【0005】したがって、絹繊維製品に本来の官能特性
を保持させたまま所期の機能特性を付与する改質加工
は、前記第三の方法を中心に絞られている。実際に、そ
の代表例として、中性塩水溶液を飽充した絹繊維をエポ
キシ化合物含有有機溶媒溶液中で加熱する二相法(特公
昭52−38131号公報)による改質加工方法が、ク
ローズドシステム化された特殊プロセス(特公平2−5
3544号公報)の開発により企業化され、ウォッシャ
ブルシルクとして市場に供給され、広く定着してきたこ
とも、よく知られている事実である。
【0006】しかしながら、これらの優れた生産方式
も、その量産過程を通じて、処理時間の短縮が二相法の
ため促進できず、それが生産性の難点として指摘され、
さらに難燃性から推奨されるエポキシ化合物溶液として
利用される塩素系溶剤が、反応終結後の水洗に伴って微
量ではあるがシステム系外に流出するという問題が抽出
されている。
【0007】本発明者らは、これらの量産態勢下での欠
点を解消する方法として、先に、絹繊維とエポキシ化合
物との反応を極性非プロトン性溶媒系で推進すること
が、反応速度を促進するのに有効であることを見出し、
高温蒸気中での熱処理と複合化して生産性を大幅に合理
化する技術を確立している(特公平2−42943号公
報)。さらに、相間移動触媒をパッド・ドライした後、
エポキシ含有極性プロトン溶媒をパッドして、乾燥する
ことなく、常圧、高圧ないし高温蒸熱する方式を確立し
ている(特願平3−167418号)。
【0008】しかるに、同方法を量産化する過程におい
て、次のような問題がクローズアップされた。 相間移動触媒を含浸、乾燥した絹繊維製品の多官能
性エポキシ化合物水系反応液で処理する次工程までの取
り扱いは、ポリエチレングリコールが最も安定していて
安全性が高く、その作業性が良好であり、他の薬剤と対
比して相対的に低価格である。
【0009】 多官能性エポキシ化合物について、水
以外の極性プロトン性溶媒溶液を使用する場合、該エポ
キシド溶液の粘性が上昇し、減圧ないし加圧脱液で絹繊
維製品への飽充を規制することが現業的に極めて困難に
なり、飽充作業ないしその環境を著しく悪化させる。
【0010】 しかしながら、最も現業的に有利なエ
ポキシド水溶液を採用した場合、他の極性プロトン溶媒
溶液を使用した場合と比較して、蒸熱処理により促進さ
れる架橋反応が、その重量変化からみて予期した水準に
到達しないケースが散見される。
【0011】 また、エポキシド水溶液を使用した場
合、連続式の高温蒸熱に比較して、バッチ式の常圧また
は高圧蒸熱した絹繊維製品に、蒸熱斑に起因すると考え
られる反応斑を発生することが、処理後の染色斑などか
ら推測され、その改善はかなり困難であることが確認さ
れた。
【0012】 したがって、連続高温蒸熱方式による
反応の促進が望まれるが、該方式は生産能力が高く、多
品種少ロットの絹繊維製品の加工にはエネルギーコスト
がかさみ、必ずしも適切な量産加工技術とはいえない。
まして、絹繊維製品を100℃の高温蒸気に接触させる
ことは風合劣化の視点からも推奨できない。
【0013】 一般的な絹繊維とエポキシ化合物との
反応促進のための加熱方式の代表例として、エポキシド
水溶液を飽充した絹繊維製品を従来から知られている多
孔質ビームにバッチアップしてフィルムなどで密封加熱
する方式も、反応斑の解消には到らず、むしろ、加熱中
に生ずる絹繊維の収縮による繊維集合体の歪が皺などと
して固定される欠点は修正できない、などの問題点が抽
出された。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ポリエ
チレングリコールを含浸、乾燥した絹繊維製品に多官能
性エポキシ化合物水溶液を飽充するという、極めて現場
作業に適したプロセスからなる改質加工技術について、
その効果的な架橋反応の促進を図るための加熱条件を鋭
意研究した結果、該反応系においては、外部から特定温
度の蒸気を通入する従来の蒸熱方式では、繊維と接触し
た飽和蒸気により繊維内部に含有された相間移動触媒能
を有するポリエチレングリコール及びエポキシ化合物の
繊維上での濃度低下ないしは分布に変動が誘発され、予
期した架橋反応率の達成が阻害される結果を生ずること
を確かめた。また、同時に、繊維集合体に対する蒸気の
接触斑が反応斑に連動してその発生を完全に抑制するこ
とが困難であることが判明した。
【0015】本発明の技術的課題は、これらの絹繊維上
において均等に分布された易溶性相間移動触媒としての
ポリエチレングリコール並びにエポキシ化合物の加熱過
程での濃度及び分布変化を極力抑制し、それによって、
絹繊維を主要成分とする繊維集合体に、優れた感触・風
合及び光沢・艶などの外観に由来する官能特性を保持さ
せたまま、従来から絹繊維の欠点として指摘されてきた
摩耗性、黄褐変性、防皺性及び洗濯収縮性などを大幅に
改善するための機能性を付与する技術を提供することに
ある。
【0016】
【課題を解決するための手段、作用】上記課題を解決す
るため、本発明の絹繊維製品の機能性付与加工方法は、
ポリエチレングリコールを含浸、乾燥した絹繊維製品
に、多官能性エポキシ化合物水系反応液を、該反応液中
の水分量が該絹繊維製品の重量に対して40ないし10
0%の範囲で含有されるように飽充した後、該処理液含
有絹繊維製品を密閉系処理装置の反応室内において熱風
を送入することにより加熱し、該絹繊維製品内に含有さ
れた水分により発生する飽和蒸気によって湿熱処理する
ことを特徴とするものである。
【0017】さらに具体的に説明すると、本発明の加工
方法においては、絹繊維を主要成分として構成される糸
条、編物、織物及び縫製品などの絹繊維製品において、
絹繊維上に均等に分布された易溶性相間移動触媒として
のポリエチレングリコール並びに多官能性エポキシ化合
物の加熱過程での濃度及び分布変化を極力抑制するた
め、例えば、密閉型の反応室内において上下に対応させ
て配設した駆動ロール間に、上記ポリエチレングリコー
ル及びエポキシ化合物を含有させた絹繊維製品を懸垂担
持させ、駆動ロールをゆっくり回転させながら、所要温
度の熱風を送入循環させる。これにより、該繊維内部に
含有されるポリエチレングリコール及びエポキシ化合物
水溶液を徐々に昇温させ、反応を促進させる。したがっ
て、反応は所定温度における飽和蒸気中で、安定にして
温和な条件下で遂行されるので、既提案の方式における
乾燥ないし蒸熱処理に比較して、絹繊維固有の官能特性
を維持したまま、極めて優れた機能特性を付与すること
ができる。絹繊維製品に多官能性エポキシ化合物水系反
応液を飽充する場合には、該反応液中の水分量が該絹繊
維製品内にその絹繊維製品重量に対して40ないし10
0%の範囲で含有されるように管理するが、上記水分量
がその上限値を越えると処理の効率が悪くなり、また下
限値を越えると反応斑が生じることになる。
【0018】また、本発明による架橋反応の促進は、ミ
クロ的には一定の水分を含有した絹繊維上で遂行するこ
とが必須条件であり、マクロ的には、改質加工すべき繊
維集合体に処理によって発生する歪みを最大限に抑制す
ることが所望される。したがって、処理すべき絹繊維製
品と密閉された反応室の容積比がその改質効果に直接影
響することになる。一般的に、繊維製品の見掛けの比重
は繊維集合体としての形態によって異なることは避けら
れないが、本発明の加工方法を適用する絹繊維製品と反
応室との容積比は、20倍から100倍の範囲が有効で
ある。
【0019】上記容積比が100倍を超すと、エネルギ
ーコストの上昇と併行して、湿熱処理中における繊維内
含有水分量の減少から湿潤防皺度向上を減殺する傾向が
現われる。一方、20倍以下になると、処理中の繊維集
合体に発生する歪が固定されて繊維製品の品位を著しく
低下させる傾向がでる。そのため、繊維及び糸条での処
理では20倍から50倍、布帛ないし縫製品などでは5
0倍から100倍の範囲が好適である。
【0020】本発明の方法において使用される湿熱条件
としては、一般的には、50℃から120℃の温度範囲
で1ないし3時間の処理時間が採用できるが、70℃前
後で2時間の処理条件が好適である。
【0021】相間移動触媒としては、分子量が200〜
400,000のポリエチレングリコールを用い、それ
を0.01〜2モル濃度の水溶液として絹繊維製品に常
法で飽充、乾燥させる。触媒含有絹繊維製品は吸湿性が
あるので、エポキシ化合物付与前の保管には十分な管理
が重要である。また、多官能性エポキシ化合物として
は、例えば、グリセリンジグリシジルエーテル、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグ
リシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのような
ジグリシジルエーテル類などを挙げることができる。
【0022】図1は、本発明の方法の実施に際し、飽和
蒸気による絹繊維の湿熱処理のために用いる反応室を備
えた密閉系処理装置の概要を示すものである。この密閉
系処理装置においては、ポリエチレングリコールを含
浸、乾燥した絹繊維製品に多官能性エポキシ化合物の水
系反応液を飽充した後に、それを巻取り枠にかけて収容
する反応室を備えている。この反応室は、内部の温度分
布が均一になるように循環風量の調節を可能にしたもの
で、その反応室内においては上下に対応させて駆動ロー
ルを配設し、これらのロールに絹繊維製品を懸垂担持せ
しめ、該製品をロールの回転駆動により移動させながら
加熱することにより、繊維内部に含有される水分からの
飽和蒸気内で絹繊維とエポキシ化合物との反応を促進さ
せるものである。
【0023】したがって、図示していないが、図1に示
す密閉系処理装置の他に、加工しようとする絹繊維製品
に予めポリエチレングリコールを含浸させるための浸漬
槽、その浸漬後の絹繊維製品から脱液する真空脱水機等
の脱液装置、その脱液後の乾燥を行う乾燥装置、多官能
性エポキシ化合物の水系反応液を飽充する浸漬槽等が別
設される。
【0024】密閉系処理装置における密閉可能な上記反
応室には、反応槽内の絹繊維の加熱を行う加熱設備、上
記加熱による反応を停止するためにポンプPで反応室下
部より水を注入・排出する給排水設備、及び溶剤回収設
備等が配管接続され、その溶剤回収設備によって排出さ
れる有機溶剤成分等の分離除去を可能とし、作業環境の
整備、さらには、溶剤成分による大気ないしは排水の汚
染を防止をはかっている。
【0025】即ち、反応室には、加熱設備として、バル
ブSVによって加熱流体の送給を制御するようにした加
熱装置を付設すると共に、反応室内に熱風を送入するヒ
ーターを備えた循環系路を設けている。通常、上記加熱
装置は、反応槽内の絹繊維が一定温度に達した後にバル
ブSVによる加熱流体の送給を停止するように制御され
るものである。一方、上記循環系路には、インバーター
付ファン、クーラーコンデンサ、三方弁V、及び温調用
ニードル弁Nにより供給を制御される加熱流体により循
環空気を加熱するヒーターを備えている。
【0026】一方、上記溶剤回収設備は、上記三方弁V
から排気する空気を導入する活性炭回収装置、該回収装
置から分離回収した水分を除去するための水分分離器、
並びに排水処理装置を備え、この排水処理装置からの排
水を、給排水設備における冷却水タンクからの排水と共
に外部に排出するようにしている。一方、上記三方弁の
切換によって大気に放出される排気は、有機溶剤成分等
を吸着回収するため、活性炭回収装置を通して外部に排
出される。
【0027】
【実施例】次に、本発明の加工方法の実施例について説
明する。 実施例 1 経糸に生糸27中平糸2本、緯糸に生糸27中4本の水
撚り強撚糸諸糸を使用した和装長襦袢綸子(3/1破れ
斜紋)生地を常法により精練、漂白、乾燥した後仕上整
理を終えた生地に、ポリエチレングリコール(分子量4
00)の0.5規定水溶液を含浸させ、真空脱水機で絞
り率100%に絞り、ショートループ・ドライヤーによ
り乾燥した。その後、多官能性エポキシ化合物(日本油
脂製EP−E100、10%)水溶液に浸漬し、真空脱
水機で絞り率100%に絞りながら巻取り枠に巻き上げ
た。したがって、生地内における該反応液中の水分量は
生地重量の90%になる。
【0028】得られた布帛を巻取り枠から外して反応室
のローラに装巻し、一定速度(5分間−10cm)で布帛
を回転させながら、反応室内の生地温度を常温から75
℃まで1時間かけて昇温させて、75℃の蒸熱温度を1
時間維持し、さらに80℃まで昇温して1時間温度を維
持した後、反応室下部より水を注入して、反応を止め
た。20分間放置した後、水を抜取って生地を取り出
し、常法により1時間30分ソーピングして、未反応樹
脂、触媒等を取り除いた後、水洗いし、ハンギングドラ
イヤーで乾燥してノールランホール仕上を行った。
【0029】このようにして得られた処理布帛は、処理
前後の重量変化からして、反応生成物を7.8重量%含
み、この処理布帛は未処理布帛と対比して同等以上の優
れた風合い、外観、感触を有すると共に、耐収縮性、耐
黄禍性、耐皺性(乾、湿防皺性)、耐染色性、耐スレ
性、耐洗濯性などが著しく改善されていた。特に、同一
反応系で乾熱処理して得られた、ほぼ同一レベルの反応
生成物含有布帛よりも風合いが良く、優れたウォッシュ
アンドウエア性を示した。
【0030】実施例 2 経糸生糸27中平糸3本、緯糸27中10本変り撚
(左、右)一越交互の和装変り無地ちりめん生地を、実
施例1に準じて、反応室内の生地を温度75℃で1時間
30分蒸熱温度を維持する他は実施例1と同様にして、
5.8重量%の反応生成物を含有する処理布帛を得た。
処理布帛の風合いは未処理布帛の風合いよりも柔軟性に
富み、寸法安定性、耐スレ性、染色性、特に発色性にお
いて、実施例1と同様の改善が見られた。
【0031】実施例 3 生糸31中を生成のままで、ポリエチレングリコール
(分子量400)0.7規定水溶液を含浸させて、遠心
脱水機で絞り率60%に絞り、乾燥室において室温60
℃で10時間乾燥した後、多官能性エポキシ化合物(日
本油脂製EP−G100、15%)水溶液に浸漬し、遠
心脱水機で絞り率60%に絞った。したがって、生糸内
における該反応液中の水分量はその重量の51%にな
る。次いで、これを綛糸のままローラに枠掛けして、一
定速度(5分間−6cm)で綛糸を回転させながら、反
応室内の綛糸の温度を常温から70℃まで1時間かけて
昇温し、70℃で2時間蒸熱した後、熱源のスチーム及
びクローズ温度風量調整スイッチを切って6時間反応室
を密閉したまま放置してから取り出した。
【0032】その後、常法により1時間30分ソーピン
グして、未反応樹脂、触媒等を取り除き、水洗いした。
乾燥室で60℃−10時間乾燥して得られた処理糸は、
処理前後の重量変化からして、反応生成物を8.2重量
%含んでいた。この処理糸でオーガンジ織物を製織し、
常法による精練漂白をしても、図2に示すように練り減
りがなく、また、従来のオーガンジ織物ではセリシン定
着が不充分で、製織時に付着する汚れ落しを含め製織後
の精練漂白ができないという問題があるが、その問題が
解消され、実用的なセリシン定着糸を得ることができ
た。さらに、耐染色性、耐摩擦性にも著しい改善の効果
が見られた。
【0033】実施例 4 柞蚕糸35中6本弱撚諸糸撚糸をした編糸を綛状にと
り、常法によって酵素精練、漂白、乾燥した後、パーク
ロロエチレン中で70℃1時間のドライクリーニング処
理をして、含有する残存ロー質、膠質及び油溶成分を除
去、乾燥し、該洗浄綛糸を、実施例1に準じて綛糸の温
度75℃で2時間蒸熱温度を維持するほかは、実施例1
と同様にして、4.8重量%の反応生成物を含有する処
理綛糸を得た。
【0034】綛糸の風合は、生糸に比較してヤング率が
生糸の600〜700kg/mmに対して350〜400kg
/mmで、生糸のフイラメント糸より柔かく、ソフト性が
あり、伸度は生糸の19〜21%に対して29〜31%
あり、伸びのあるフイラメント糸になった。強度は、生
糸の3.4〜3.7g/dに対して、3.6〜3.9g
/dである。弱撚糸でストレッチがあり、エラスチック
性(弾性回復性)がある。また、ラウジネス(毛羽立
つ)に特に効果が見られ、感触には従来にないソフトな
感性がある。さらに、切断面が定型で、糸が受ける光の
反射角度が違うため、生糸にみられない新しい光沢をも
つものになった。
【0035】染色性については、表1に示すように、従
来に見られない湿摩擦の向上が見られた。染色後の乾燥
は低温乾燥が好ましく、吸湿度乾燥が最も好ましいこと
が分かった。また、失透性現象などの改善において顕著
な効果が確認され、編織物以外に広く発展性が期待され
る。
【0036】
【0037】実施例 5 経糸に生糸31中2本駒糸、緯糸に生糸31中乾撚糸6
本諸糸からなる和装中振用五枚朱子生機を常法により精
練、漂白、乾燥したのち、実施例2に準じ、該実施例2
と同様に7.2重量%の反応成生物を含有する処理布帛
を得た。効果としては実施例1.2と同様の効果が見ら
れ、特に、弱撚糸織物にかかわらず、図3に示すように
防皺性に向上が見られ、強撚糸の和装変り無地ちりめん
に匹敵する防皺率まで向上することがわかった。特に注
意を要するのは、樹脂の付着工程の真空脱水機で絞りな
がら枠に巻取る作業において、皺をつけないようにする
ことである。皺をつけたまま反応させると、ソーピング
仕上工程、染色仕上工程に至っても、一旦皺になると抑
制することができない。また、弱撚糸織物に積極的に皺
を付与し、エポキシ化合物反応液を付与して架橋反応を
促進すると、耐洗濯性に優れた皺加工が可能である。
【0038】
【発明の効果】以上に説明した本発明の方法によれば、
絹繊維を主要成分として構成される糸条、編物、織物及
び縫製品などの繊維集合体において、均等に分布された
易溶性相間移動触媒としてのポリエチレングリコール並
びにエポキシ化合物の加熱過程での濃度及び分布変化を
極力抑制し、それにより、絹繊維が本来所有する優れた
感触・風合及び光沢・艶などの外観に由来する官能特性
を維持させたまま、従来から絹繊維の欠点として指摘さ
れてきた耐摩耗性、耐黄褐変性、湿潤防皺性などを大幅
に改善すると同時に、優れた染色性及び帯電抑制効果な
どの後加工性能も向上させることができる。
【0039】しかも、その加工プロセスでは、安全性の
高い水系で、かつ極めて温和な処理条件下で架橋反応が
遂行されるため、共存する他の繊維もしくは付属品など
の損傷を著しく低減することができると同時に、一般的
に特殊加工に付随して義務づけられる多くの労働安全衛
生及び環境保全対策などを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に用いる装置の実施態様を
示す構成図である。
【図2】本発明の方法で加工した処理糸についてのセリ
シン定着試験成績を示すグラフである。
【図3】本発明の方法で加工した弱撚糸織物の防皺試験
成績についての実験結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増 田 俊 彦 京都府中郡峰山町字杉谷40番地 増実株 式会社内 (56)参考文献 特開 平1−266276(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレングリコールを含浸、乾燥した
    絹繊維製品に、多官能性エポキシ化合物水系反応液を、
    該反応液中の水分量が該絹繊維製品の重量に対して40
    ないし100%の範囲で含有されるように飽充した後、
    該処理液含有絹繊維製品を密閉系処理装置の反応室内に
    おいて熱風を送入することにより加熱し、該絹繊維製品
    内に含有された水分により発生する飽和蒸気によって湿
    熱処理することを特徴とする絹繊維製品の機能性付与加
    工方法。
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