JP2580122B2 - Fm復調回路 - Google Patents

Fm復調回路

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、FM(周波数変調)信号を復調するFM復調
回路に係り、特に、クォードラーチャ検波器を用いたFM
復調回路におけるリップルリジェクションの改善に関す
る。
〔従来の技術〕
従来、クォードラーチャ検波器を用いたFM復調回路に
ついて、IC化とともに、無調整化を実現するものとして
特開昭55−136707号「FM復調回路」が提案されている。
このFM復調回路は、第3図に示すように、中間周波増
幅器(IF−AMP)2から出力されたFM信号を移相回路4
に加えて位相を偏移させ、位相を偏移させたFM信号と、
位相が偏移していないFM信号とを乗算回路6に加えて乗
算し、その乗算出力を復調出力として出力回路8から取
り出す。
IF−AMP2は、図示しない周波数変更回路から加えられ
たFM信号10を増幅した後、移相回路4に加える。移相回
路4は、FM信号10に対して誘導リアクタンス特性を持つ
固体共振子12および抵抗14、16、18をブリッジ接続して
なる移相器20を設置するとともに、この移相器20の入力
側にエミッタフォロワ回路を構成する各トランジスタ2
2、24に定電流源26、28をそれぞれ接続した入力回路を
設置し、この入力回路を介してIF−AMP2から移相器20に
対してFM信号10が加えられている。
そして、移相器20において、固体共振子12を、たとえ
ば、セラミック共振子を用いるものとすれば、第4図に
示すようなリアクタンス特性を呈する。そこで、このよ
うな固体共振子12を用いた移相器20において、第5図に
示すように、周波数fの交流電圧EIが加えられた場合、
抵抗14、16、18の抵抗値をR、固体共振子12のインダク
タンスをLとして周波数fCに対する固体共振子12のリア
クタンスをX(=2πfCL)とすると、出力電圧E0は、 E0={R/(R+jX)−R/2R}EI ・・・(1) となる。ここで、R=Xとすれば、式(1)は E0=−j(1/2)EI ・・・(2) となり、出力電圧E0は、入力電圧EIに対して位相が90゜
だけ遅れることになる。したがって、入力電圧EIの周波
数fCを、周波数f1と周波数f2との範囲で変化させると、
その周波数fCに対応して入力電圧EIの位相を変化させる
ことができる。このようにして位相偏移を施したFM信号
は、位相偏移を施さないFM信号とともに乗算回路6に加
えられて乗算される。
乗算回路6は、トランジスタ30、32、34、36、38、4
0、42、44、定電流源46からなる二重平衡型マルチプラ
イヤ回路を構成しており、各トランジスタ30、36のベー
スと、各トランジスタ32、34のベースとの間には移相器
20の出力である位相偏移を施したFM信号が加えられ、ま
た、各トランジスタ38、40のベース間には、抵抗48、50
を個別に介して接続された電圧源52によって一定のバイ
アスが設定されているとともに、IF−AMP2からのFM信号
がキャパシタ54、56を介して直接入力されている。
そして、これらのFM信号の乗算結果は、能動負荷とし
ての各トランジスタ42、44から取り出されて出力回路8
に加えられる。出力回路8はトランジスタ58、60、62、
64で構成されており、トランジスタ58はトランジスタ44
とカレントミラー回路を構成し、トランジスタ60はトラ
ンジスタ42とカレントミラー回路を構成しており、トラ
ンジスタ58から取り出された出力電流はトランジスタ6
2、64からなるカレントミラー回路を通してトランジス
タ60からの出力電流と合成される。そして、トランジス
タ60、64のコレクタは、抵抗66および電圧源68によって
一定の直流電位に設定されている。したがって、電圧源
68によって中点電位が設定された乗算出力V0が出力端子
70から取り出され、その出力を低域通過フィルタを通過
させることによってFM復調出力が得られる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、IF−AMP2の出力には、通常、構成素子の特
性の不揃いなどによって直流(DC)オフセットが生じ、
このDCオフセットが、トランジスタ22のベース・エミッ
タ間、移相器20の抵抗16を通して乗算回路6のトランジ
スタ32、34のベースと、トランジスタ24のベース・エミ
ッタ間、移相器20の抵抗14を通して乗算回路6のトラン
ジスタ30、36のベースとの間に加わるため、乗算回路6
のDCバランスが崩れる。すなわち、トランジスタ38、40
に流れる電流をI1、I2、トランジスタ30、36に流れる電
流の変化分をΔI1、ΔI2とすると、オフセットが生じた
場合、トランジスタ42に流れる電流IA、トランジスタ44
に流れる電流IBは、 IA=(I1+I2+ΔI1−ΔI2)/2 ・・・(3) IB=(I1+I2−ΔI1+ΔI2)/2 ・・・(4) となる。電源電圧VCCにリップル成分が乗ると、トラン
ジスタ30、36とトランジスタ32、34には、同相で大きさ
の異なる信号が加えられるので、式(3)、(4)から
信号によって発生する電流変化分ΔI1、ΔI2が異なった
大きさとなり、これらの差分が出力V0に加わる。このた
め、乗算回路6のリップルリジェクションが、大幅に悪
化するおそれがある。
このような不都合を回避するには、たとえば、DCオフ
セットを抑制するためのキャパシタを設置することが考
えられるが、ICではキャパシタの接続用端子やその接続
用部品のためにIC化の利点が損なわれる欠点がある。こ
のため、現状では電源回路に直流安定化回路を用いる
か、あるいは、高価な大容量のキャパシタを用いて電源
リップルによる影響を回避している。
そこで、この発明は、このようなFM復調回路におい
て、特別な部品の追加や端子を増加することなく、IF−
AMP側のDCオフセットによる不都合を完全に解消したFM
復調回路の提供を目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明のFM復調回路は、第1図に例示するように、
FM信号を特定の位相角だけ偏移させる移相器(20)を設
置し、この移相器から得られた位相偏移を施したFM信号
と位相偏移を施さないFM信号とを乗算してFM信号を復調
するFM復調回路であって、前記移相器は、前記FM信号を
受ける入力部に固体共振子(12)と第1の抵抗(14)と
の直列回路と、第1のキャパシタ(72)と第2のキャパ
シタ(74)からなる直列回路とを並列に接続し、前記固
体共振子と前記第1の抵抗の接続点と前記第1及び第2
のキャパシタの接続点との間に前記位相偏移を施した前
記FM信号を取り出す出力部を成す第2の抵抗(76)を接
続したブリッジ回路で構成するとともに、前記第2の抵
抗の両端電位をFM復調用乗算手段(乗算回路6)の入力
信号電位に設定したことを特徴とする。
〔作用〕
固体共振子12と抵抗14とのインピーダンス関係と、キ
ャパシタ72、74の分割によるインピーダンス関係とから
なるブリッジ回路で構成される移相器20を用いると、IF
−AMP2の出力にDCオフセットが生じても、そのDCオフセ
ットをキャパシタ72、74によって除去でき、FM復調用乗
算手段(乗算回路6)側のDCバランスを一定に保持する
ことができる。
また、この発明のFM復調回路において、移相器20は、
キャパシタ72、74の分割点と固体共振子12と抵抗14の接
続点とを第2の抵抗76で結合し、この第2の抵抗76の両
端電位をFM復調用乗算手段(乗算回路6)の入力信号電
位に設定すれば、特定のバイアス設定によってDCバラン
スを一定に維持できる。
また、この発明のFM復調回路において、移相器20の出
力部と、FM復調用乗算手段(乗算回路6)の差動入力部
との間を、第2の抵抗76と同様の第3の抵抗78を挿入し
て結合すれば、第2の抵抗76との関係から一定のバイア
スを設定でき、DCバランスを安定化することができる。
〔実 施 例〕
第1図は、この発明のFM復調回路の実施例を示す。
このFM復調回路は、第1図に示すように、移相器20
に、FM信号に対して誘導リアクタンス特性を持つ固体共
振子12、第1の抵抗14、第1および第2のキャパシタ7
2、74からなるブリッジ回路を用いたものである。そし
て、この移相器20に対する入力回路は第3図に示したFM
復調回路と同様に構成し、その出力部にバイアス用の直
流インピーダンス素子としての第2及び第3の抵抗76、
78を接続して位相偏移を生じたFM信号を取り出して、乗
算回路6に加えている。
したがって、このようなFM復調回路では、図示しない
周波数変更回路から加えられたFM信号10がIF−AMP2によ
って増幅された後、移相回路4に加えられ、固体共振子
12を、たとえば、セラミック共振子を用いるものとすれ
ば、第4図に示すようなリアクタンス特性を呈するの
で、第2図に示すように、周波数fCの交流電圧EIが入力
された場合、抵抗14の抵抗値をR、キャパシタ72、74の
容量をC1、C2として周波数fCに対するリアクタンスを
Y1、Y2、固体共振子12のインダクタンスをLとして周波
数fCに対する固体共振子12のリアクタンスをXとする
と、出力電圧E0は、 E0=〔1/(R+jX)−1/{(1/jY1) +(1/jY2)}・(1/jY2)〕・EI ・・・(5) となる。ここで、X=R=Y1=Y2=Yとするとすれば、
式(5)は E0=−j(1/2)EI ・・・(6) となり、式(2)との比較から明らかなように、第3図
に示した移相器20と同様に、出力電圧E0は、入力電圧EI
に対して位相が90゜だけ遅れることになる。したがっ
て、入力電圧EIの周波数fCを、周波数f1と周波数f2との
範囲で変化させると、その周波数fCに対応して入力電圧
EIの位相を変化させることができる。このようにして位
相偏移を施したFM信号は、位相偏移を施さないFM信号と
ともに乗算回路6に加えられて乗算される。
乗算回路6は、第3図に示したFM復調回路と同様に構
成されており、各トランジスタ30、36のベースと、各ト
ランジスタ32、34のベースとの間には移相器20の出力で
ある位相偏移を施したFM信号が加えられ、また、各トラ
ンジスタ38、40のベース間には、抵抗48、50を個別に介
して接続された電圧源52によって一定のバイアスが設定
されているとともに、IF−AMP2から位相偏移を施してい
ないFM信号がキャパシタ54、56を介して入力されてい
る。
そして、これらのFM信号の乗算結果は、能動負荷とし
ての各トランジスタ42、44から取り出されて出力回路8
に加えられ、電圧源68によって中点電位が設定された乗
算出力V0が出力端子70から取り出され、その出力を低域
通過フィルタを通過させることによってFM復調出力が得
られる。
ところで、このように移相器20を構成した場合、IF−
AMP2の出力にDCオフセットが生じても、そのDCオフセッ
トをキャパシタ72、74によって除去でき、乗算回路6側
のDCバランスを一定に保持することができる。
そして、このようなキャパシタ72、74を用いた場合、
各キャパシタ72、74はIC上の容量素子で構成できるの
で、特別な容量素子や接続のための端子は不要である。
なお、実験によれば、この発明の実施によって、リッ
プルリジェクションが40dB程度改善されることが確認さ
れた。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、キャパシタ
を用いて移相器を構成したので、特別な部品や端子を増
加させることなく、中間周波増幅器側で生じたDCオフセ
ットを、移相器中のキャパシタによって遮断して、乗算
側への影響を除くことができ、DCオフセットによるリッ
プルリジェクションの悪化を完全に防止でき、従来、電
源部に対して必要としていたリップルフィルタが不要に
なるとともに、直流安定化電源などの対策が不要にな
り、大幅なコストダウンが実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のFM復調回路の実施例を示す回路図、
第2図は第1図に示したFM復調回路中の移相器の構成を
示す回路図、第3図は従来のFM復調回路を示す回路図、
第4図は固体共振子のリアクタンス特性を示す図、第5
図は第3図に示したFM復調回路中の移相器の構成を示す
回路図である。 4……移相回路 6……乗算回路(FM復調用乗算手段) 12……固体共振子 14……第1の抵抗 20……移相器 72……第1のキャパシタ 74……第2のキャパシタ 76……第2の抵抗

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】FM信号を特定の位相角だけ偏移させる移相
    器を設置し、この移相器から得られた位相偏移を施した
    FM信号と位相偏移を施さないFM信号とを乗算してFM信号
    を復調するFM復調回路であって、 前記移相器は、前記FM信号を受ける入力部に固体共振子
    と第1の抵抗との直列回路と、第1及び第2のキャパシ
    タからなる直列回路とを並列に接続し、前記固体共振子
    と前記第1の抵抗の接続点と前記第1及び第2のキャパ
    シタの接続点との間に前記位相偏移を施した前記FM信号
    を取り出す出力部を成す第2の抵抗を接続したブリッジ
    回路で構成するとともに、前記第2の抵抗の両端電位を
    FM復調用乗算手段の入力信号電位に設定したことを特徴
    とするFM復調回路。
  2. 【請求項2】前記移相器の前記出力部と、前記FM復調用
    乗算手段の差動入力部との間を、前記第2の抵抗と同様
    の抵抗を以て結合したことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項に記載のFM復調回路。
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