JP2579912B2 - 荷電粒子発生装置 - Google Patents

荷電粒子発生装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は荷電粒子発生装置に関し、特に固体電子線発
生装置を用いた荷電粒子発生装置に関する。
〔従来の技術〕
従来独立に制御できる複数の線源を有する荷電粒子発
生装置として、例えば米国特許第4,155,093号のような
放電を用いたイオン発生器、あるいは電子透過記録管
(Thin Film Penetraion Printing Tube)等の陰極線管
等が知られている。
しかしながらこれらの装置は荷電粒子線源として高精
細なものを得ることが困難であった。
一方固体電子線発生装置として、半導体中に形成され
た異種接合に電界を印加して半導体表面から外部に電子
ビームを放射させる装置が知られている。
例えば特公昭54-30274号公報には、AlPとGaPの混晶に
形成したn-p接合に順方向電圧を印加してp型領域の表
面から電子を放出させる装置が開示されている。特開昭
54-111272号公報(または米国特許4,259,678号)および
特開昭56-15529号公報(または米国特許4,303,930号)
に半導体表面の絶縁層に設けた開口内のp-n接合には逆
方向電圧を印加して電子線を取出す固体電子線発生装置
が開示され、またこれら特開昭54-111272号公報、特開
昭56-15529号公報にはそれぞれ半導体基板上に集積され
た電子ビーム発生装置が開示されている。また特開昭57
-38528号公報には、p-n接合に順方向バイアス電圧をか
けて表面から電子を放出させる素子を半導体基板上に集
積させたマルチ冷電子放出陰極が開示されている。
このような固体電子線発生源は半導体プロセスが使用
可能なため非常に高精細な荷電粒子発生装置を得る可能
性がある。
しかしながら、このような固体電子線発生源で大面積
あるいは長尺のものを得ることは困難であり、複数配列
する場合はその継目が問題となる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は上述した従来の欠点を解消し、荷電粒子の出
射部を任意のパターンに配列することができ、かつ長尺
化の可能な荷電粒子発生装置を提供することを目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
このような目的を達成するために、本発明の荷電粒子
発生装置は、複数の固体電子線源が配列されている基板
が複数個配設されている共通基板と、共通基板と対向し
て配設され、電子、イオン等の荷電粒子の出射部が所望
の配列となるように固体電子線源から発生した電子また
は電子によって生成した荷電粒子を偏向または吸引する
手段とを有し、固体電子線源が配列されている複数の基
板のそれぞれが複数の固体電子線源の配列方向と垂直方
向に互いにずれた位置に配列されていることを特徴とす
る。
また本発明の荷電粒子発生装置は複数の固体電子線源
が配列されている基板と、基板と対向して配設された電
子透過窓を有する薄板と、固体電子線源から発生し電子
透過窓を透過した電子または電子によって生成された荷
電粒子を吸引,透過する部材とを有することを特徴とす
る。
〔作用〕
本発明によれば荷電粒子発生源に対向して荷電粒子を
偏向または吸引する手段を備えているので、出射された
荷電粒子は偏向または吸引される。そのために複数の固
体電子線源を配設して所望の配列の荷電粒子射出部を有
する荷電粒子発生装置を実現することができる。
〔実施例〕
第1図(A),(B)に本発明の実施例を示す。同図
(A)はそれぞれ複数の電子線源EBn,1,EBn-1,1,…,EB
1,1;EBn,2,EBn-2,2;EBn-1,3,EBn-2,3,…,EB1,3;EBn,4,
…,EB1,4が設けられている基板SU1,SU2,SU3,SU4を搭載
した共通基板BSの平面図である。以後各電子線源をEBn,
mとして参照する。第1図(A)の例ではn=1,2,3,4;m
=1,2,3,4である。また電子線源EBn,mに対応する各部分
も参照符号n,mを付して参照することとする。第1図
(B)は共通基板BSに対向して設けられる加速電極AEの
平面図である。
第1図(A),(B)の詳細な説明に先立って、まず
複数電子発生源EBを有する一枚の基板SUについて説明す
る。第2図(A),(B),(C)は本発明の荷電粒子
発生装置に用いうる電子線源の一例を示す図で、同図
(A)は平面図、同図(B)および(C)はそれぞれ同
図(A)のX-X線およびY-Y線に沿う断面図である。
図においてSUは電子線源の本体である基板であり、本
実施例ではn型のシリコン基板を用いた。EX1,EX2,EX3,
…はX方向の選択を行うX電極であり、各X電極EX1,EX
2,EX3,…は接点領域を介して高ドープn型領域HD1,HD2,
HD3,…とそれぞれ接続されている。また、EYはY電極
で、やはり接点領域を介して高ドープp形通路PPと接続
されており、X電極EX1,EX2,EX3,…とY電極EYとにより
マトリックスを構成している。基板SU上には絶縁層ILを
介して、引き出し電極PEが設けられ、電子線源EB1,EB2,
EB3,…を形成している。
このように構成した複数の電子線源において、X電極
EX1,EX2,EX3,…とY電極EYとにアバランシェ増幅作用が
p-n接合部で生ずるような電圧を印加し、同時に引き出
し電極PEにある大きさの電圧を与えることにより、電子
線源EB1,EB2,EB3,…より電子が流出する。この時、X電
極EX1,EX2,EX3,…を適当に選択することにより任意の電
子線源より電子を取り出すことができる。
第1図に戻り、同図(A)において、EXn,1;EXn,2;EX
n,3;EXn,4はそれぞれ基板SU1,SU2,SU3,SU4上の電子線源
EBn,1;EBn,2;EBn,3;EBn,4の選択を行うためのX電極で
あり、EY1,EY2,EY3,EY4はそれぞれ基板SU1,SU2,SU3,SU4
のY方向電極である。PE1,1;PE2,1;PE1,2;…PE2,4はそ
れぞれ引き出し電極である。同図(B)において、AEn,
1;AEn-1,1;…AE1,4はそれぞれ加速電極AEに設けた穴で
あり、この穴から電子線が取り出される。
第1図(A)に示すように基板SU1〜SU4を2列に配置
すると、一列に配置するより高密度に電子線を配設でき
る。しかしそうすると、電子線源は図示のX1およびX2
の2本の軸上に並ぶことになり、1本の軸上に等間隔に
配列したいという要請を満足することができない。そこ
で基板SU1〜SU4のそれぞれの引き出し電極をPE1,m,PE2,
m(m=1,2,3,4)のように2群に分割し、各引き出し電
極に印加する正の電位VPEn,mをVPE1,1<VPE2,1;V
PE1,2>VPE2,2;VPE1,3<VPE2,3;VPE1,4>VPE2,4を満
足するように与えると、X1,X2軸上から出射する電子線
は軸X0の方向に偏向される。その結果加速電極AEの軸
0上に一定間隔で設けた孔AEn,1ないしAE1,4から電子
線を取り出すことができるので、実効的に一直線上に配
列された多数の電子線源を得ることができる。またそれ
らの電子線源のうち所望のものを選択的に動作させるこ
とができる。
このように真空中において実効的に等間隔で長尺に配
設された電子線源を得ることができるが、電子線源の配
列は直線上等間隔というだけでなく、任意に配列が可能
である。
また電子を薄板を介して大気中に導き、電子を空気に
衝突させて荷電粒子として陽イオンもしくは陰イオンの
線源を得ることもできる。
第3図(A),(B),(C)にその一例を示す。同
図(A)は複数の電子線源EBn,mが配設された基板SU1〜
SU4を搭載した共通基板BSの平面図、同図(B)は共通
基板BSと対向して設けられる表面板FPの平面図、同図
(C)はイオンを取り出すための選択板GEの平面図であ
る。第3図(A)における電子線EBn,mは引き出し電極P
E1ないしPE4が分割されていない点を除いて第1図
(A)に示した例と同様である。
基板BSと表面板FPは所定の間隔で配置される。表面板
FP上には加速電極AEが設けられ、その各電子線源EBn,1
〜EB1,4に対応する部位は窒化ボロン(BN),炭化珪素
(SiC)などの電子透過性の部材によって電子窓Hn,1〜H
1,4が設けられている。電子窓Hn,1〜H1,4にアルミニウ
ムやチタンなどの金属薄膜を用いて加速電極と電子窓を
兼ねることも可能である。基板BSと表面板FPの間の空間
は電子を所望のエネルギーに加速するために真空とする
必要があるが、通常10-5〜10-9Torr程度の圧力が望まし
い。こうした圧力を維持できるように基板BSと表面板FP
を気密封止する。加速電極AEに所定の電圧を印加してお
くことにより、電子線源より流出した電子は、所望のエ
ネルギーまで加速され、表面板FPの電子窓を透過する。
例えば、電子窓として、1μm厚のSiCを用いた場合、
加速電圧AEに25KVを印加することにより、90%の電子を
装置外に取り出すことができる。電子窓Hn,1〜H1,4から
空気中に透過した電子は空気中の分子と衝突し、陽イオ
ンおよび陰イオンを形成する。表面板と対向して配設し
た選択板GE上の選択電極GXn,1〜GX1,4に電圧を印加する
ことにより片方の極性のイオンを電極上に設けた穴GHn,
1〜GH1,4から吸引,透過させる。第3図(C)に示すよ
うに穴GHn,1〜GH1,4が軸X0上に配列するように選択電
極GXn,1〜GX1,4配設すれば直線上に配設されたイオン源
を得ることができる。選択電極GXn,1〜GX1,4は同電位で
も良いが電子線源EBn,1〜EB1,4のうち動作したものに対
応した電極のみに電圧を印加するほうがイオンのクロス
トークがなく好ましい。
第4図に第3図の基板BS,表面板FPおよび選択板GEを
配置した斜視図を示す。
第5図は陰イオンを試料Sに照射する方法を説明する
図である。各電子線源EBn,mに対して例えばトランジス
タからなるスイッチTRn,mが設けられており、制御端子C
Tn,mに信号パルスを印加することによって電子放出を制
御できる。引き出し電極PEに印加する電圧VPはコレク
タ電圧Vccより大きくしておく。VAは加速電極AEに加え
る加速電圧である。電子線源EBn,mからでた電子は引き
出し電極PEnによって引き出され、加速電極AEによって
加速されて電子窓Hn,mを通って大気中に取り出され、空
気と衝突してイオンを生成する。図示を省略した選択板
上の選択電極GXn,mに印加されている電圧VGのために、
負電荷の粒子、陰イオンおよび電子のみが接地されてい
る試料Sに到達する。第6図は陽イオンを試料に照射す
る場合の例で、選択電極GXn,mに電圧を印加する電圧VG
の極性が異なっている以外は第5図の場合と全く同様で
ある。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、複数の固体電
子線源を配設して所望の配列の荷電粒子射出部を有する
荷電粒子発生装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A),(B)は本発明の実施例を示し、同図
(A)は基板の平面図、同図(B)は加速電極の平面
図、 第2図(A),(B),(C)は本発明に用いる固体電
子線源の一例を示し、同図(A)は平面図、同図
(B),(C)はそれぞれ同図(A)におけるX-X線お
よびY-Y線に沿う断面図、 第3図(A),(B),(C)は本発明の他の実施例を
示し、同図(A)は基板の平面図、同図(B)は表面板
の平面図、同図(C)は選択板の平面図、 第4図は第3図(A),(B),(C)に示した実施例
の斜視図、 第5図は負の荷電粒子を試料に照射する方法を説明する
図、 第6図は正の荷電粒子を試料に照射する方法を説明する
図である。 EB1,EB2,EB3,…EBn,m……電子線源、PE,PEn……引き出
し電極、AE……加速電極、SU,SUn……基板、BS……共通
基板、FP……表面板、GE……選択板、GXn,m……選択電
極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 憲司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 上里 泰生 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 袴田 勲 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−187849(JP,A) 特開 昭56−15529(JP,A) 特開 昭56−98827(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の固体電子線源が配列されている基板
    が複数個配設されている共通基板と、 該共通基板と対向して配設され、電子、イオン等の荷電
    粒子の出射部が所望の配列となるように前記固体電子線
    源から発生した電子または該電子によって生成した荷電
    粒子を偏向または吸引する手段とを有し、 前記固体電子線源が配列されている複数の基板のそれぞ
    れが前記複数の固体電子線源の配列方向と垂直方向に互
    いにずれた位置に配列されていることを特徴とする荷電
    粒子発生装置。
  2. 【請求項2】さらに、電子透過部材よりなる電子窓を有
    する表面板を有し、該表面板は、前記共通基板と前記出
    射部の間に、該共通基板と対向して配設され、 該表面板と該共通基板の間の領域が真空領域であり、該
    表面板と該出射部の間の領域が気体を有する領域である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の荷電粒
    子発生装置。
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