JP2579349B2 - 流体計測装置 - Google Patents

流体計測装置

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【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、流体計測装置、より詳細には、コリオリ質
量流量計と該コリオリ質量流量計の流入流出端の圧力損
失を計測して質量流量、密度、粘度を算出する流体計測
装置に関する。
従来技術 2点間で支持された流体が流通する導管の中央部を加
振した場合、支持点と加振部との間において流体の流れ
方向と振動の向きとのベクトル積に等しい方向に質量流
量に比例したコリオリの力が発生されることが知られて
おり、導管の両支持点と加振部との間では振動の向きが
反対であることから、コリオリの力を導管振動の基準線
に対する位相差として検出するコリオリ質量流量計が試
みられている。導管が直管の場合は検出する位相差が小
さいので、S/N比が悪化し流量計測精度を向上すること
が困難とされていたが、これを解決するために特公昭60
−34683号公報において、導管を第2軸に軸対称な湾曲
導管とし、第2軸に直交する第1軸を支持点として開口
するコリオリ流量計が提示されている。この流量計は導
管の先端部において、第1軸まわりに固有振動数で駆動
することにより第2軸まわりにコリオリの力に比例した
捩りモーメントが作用し、該捩りモーメントを湾曲導管
の両腕部が湾曲導管の基準面を通過するときの時間差と
して検出されている。この方式においては、導管の第2
軸まわりの捩り剛性が小さいことから高感度に測定でき
る特徴をもっているが、更に第1軸まわりに固有振動数
で加振することから流体の密度も計測できる。即ち、固
有振動数は導管のばね定数と導管質量との比の平方根に
比例し、単管質量は、導管の単体質量と、該導管内に収
容される流体の質量との和であり、流体の質量は予め知
られている導管内容積と密度との積であらわされるので
固有振動数は密度の関数として求められる。尚、導管を
固有振動数で加振して質量流量と流体密度を算出する方
式は、前記特公昭60−34683号公報において開示されて
いるが、導管が直管の場合においても固有振動での加振
により質量流量と密度とは求められるものである。
従来技術の問題点 上述した振動形のコリオリ質量流量計においては、振
動周波数を流体を含む導管の固有振動数で加振すること
により質量流量と密度とが計測できることが示された
が、流体の計測においては、流体の性状を知るために更
に粘度を計測することが要求されることがあり、この場
合においては、別に粘度計を設置する必要があり、粘度
計の費用と設置箇所の確保等経済的に多額の負担を要し
た。
問題点解決のための手段 本発明は、上述の問題点を解決するためになされたも
ので、コリオリ質量流量計において流体の流通する導管
内の粘性により生ずる圧力差を測定し、質量流量・密度
に加えて粘度を求めるもので、コリオリ質量流量計に圧
力計を付加する簡単な構成により安価な流体計測装置を
提供することを目的とするものである。即ち、本発明の
流体計測装置は、2点間で支持固定された等径の導管
と、該導管を導管中央部において支持点まわりに固有振
動数で駆動する駆動手段と、該駆動手段および支持点の
間において、流体の流れにより生ずるコリオリの力を検
出する検出手段と、導管の所定区間における流体の差圧
を検出する差圧検出手段と、前記コリオリの力から流体
の質量流量を、前記固有振動数から流体密度を、前記所
定区間の導管寸法諸元、前記質量流量、流体密度および
流体差圧に基づいて、流体粘度を各々演算する演算手段
とから構成したものである。
実 施 例 第1図は、本発明の流体計測装置における本体部の構
成および作動ブロック図を示す図で、(A)図は平面
図、(B)図は(A)図における矢視L−L断面図、
(C)図は作動ブロック図で、図中、1は基板で、該基
板1には一端に直交した支持部材11が一体的に配設され
ており該支持部材11はU字形の導管2を貫通固設してい
る。導管2は流入口21並びに流出口22である開口をも
ち、該開口近傍で支持部材11に第1軸X−X軸上で固設
されている。また、導管2は第1軸と直交する第2軸
(Y−Y)に軸対称であり、該第2軸上に導管2を駆動
する駆動手段3が装着されている。駆動手段3は駆動コ
イル32と、該駆動コイル32内に挿入されて電磁力を発生
する永久磁石33とで要部を構成し磁石33は支持板31に固
設され、支持板31は導管2の湾曲部に固着され、駆動コ
イル32は取付台34に固設され基板1に配置される。検出
器41,42は第2軸に対し導管2の対称位置に配設される
もので電磁検出器である。磁石45は紙面に直交した方向
に着磁され取付バンド46により導管2の両腕に固着され
ており、コイル44は磁石45の磁束と叉交するように巻回
されて取付台43を介して固設される。また、導管2の流
入,流出口21,22近傍には該流入,流出口21,22に連通す
る導管23が配設され差圧検出器5に導びかれ、導管2内
を流通する流体の圧力損失を検出する。
以上、第1図(A),(B)に示した本体部の動作を
(C)のブロック図により説明する。尚、(C)図にお
ける検出器(a),(b)は第1図における検出器41,4
2と対応し、駆動コイル(c)、差圧検出器(d)は各
々駆動コイル32、差圧検出器5と対応している。検出器
(b)の信号は駆動回路(e)で増幅され定振幅に制御
され駆動コイル(c)を駆動することで閉ループが構成
される。従って、駆動周波数は固有振動数であり、この
固有振動数から演算回路(f)により密度ρを算出す
る。また、検出器(a),(b)からの信号は整形後位
相比較され位相差に相当する時間差からコリオリの力を
検出して質量流量gが求められる。また、ニュートン流
体においては粘性係数μは次の如くして求められる。真
直な円管において、各断面上での時間平均速度の分布が
変らないときは、流体摩擦による圧力損失ΔPの割合も
一定となり、 但し P1:流入側の圧力,ρ:流体密度,v:流速,P2:流出
側の圧力,d:導管径,l:導管長さ,λ:管摩擦係数であ
る。
即ち、導管形状が一定であれば圧力損失は動圧ρv2/2
に比例し、比例定数は管摩擦係数λである。ここにおい
て、動圧ρv2/2は、質量流量(g)および密度(ρ)が
計測されて既知であり、導管断面積も定められているこ
とから算出される。しかるに管摩擦係数λはレイノルズ
数(以降Reと記す)の関数である。ここで、 但し、νは動粘性係数で である。
導管内の流れが層流の場合は、管摩擦係数λは単純に
粘性係数μに逆比例し、比例定数も一定であるから
(1),(2)式により、 μ∝ΔP …(4) として粘性係数μが求められ、層流限界は圧力損失ΔP
に対して流速vが正確に2乗となる範囲から定められ
る。また、導管内の流れが乱流の場合の管摩擦係数λ
は、導管内壁面の粗さにも依存するが、該粗さは個々の
流量計導管において定められているので単純にReの関数
として与えられる。従って、各々の流量において圧力損
失ΔPを計測すれば粘性係数μを演算することができ
る。また、予め圧力損失ΔPと質量流量gと粘性係数μ
との関係が定められていれば、圧力損失ΔPと質量流量
gとから粘性係数μが直ちに算出できる。導管が湾曲管
である場合は湾曲部における2次流れの影響を受け、圧
力損失を伴なうが、この場合においても導管の形状寸法
が定められていれば前述の直管の場合と同様にして粘性
係数μを算出することができる。
本出願人の実験によれば、導管が第1図に示したU字
形であるときの圧力損失ΔPは、 であることが確められ、密度ρと圧力損失ΔPを知れば
圧力損失係数Cが求められる。また、圧力損失係数Cと
質量流量gとの間には第2図に示した関係があり、この
関係は所定の流量計において粘性係数μをパラメータと
して実験的に求めたものである。従って(5)式によっ
て求めた圧力損失係数Cと、質量流量gとから粘性係数
μが算出できる。上述した関係は演算回路fに記憶さ
れ、該記憶に基づいて演算される。尚、第2図における
粘性係数μ(i=1〜14)の折点Tj(j=5〜12)は
層流から乱流への遷移域をあらわす。本出願人が求めた
U字導管において実験的に求めた(5)式と第2図とか
ら粘性係数μを算出する方法によれば層流域との乱流域
においてRe数の関数として示される管摩擦係数λとを区
別して演算することなしに粘性係数μを求めることがで
きる。
第2図は、予め粘性係数μの知られた複数の流体に関
しての質量流量gと圧力損失係数Cとの関係を示したも
のであり、上記において第2図の関数を予め記憶し、該
記憶値に基づいて粘性係数μを演算するものであるが、
第2図の関係が不明の場合は、該当する流体に関して複
数の質量流量の計測値に対応した圧力損失を検知して各
々の流体に関して粘性係数を校正して記憶し、該記憶値
に基づいて圧力損失および質量流量の計測値から粘性係
数を求めることもできる。
第2図の場合はニュートン流体についての関係である
が、後者の場合は非ニュートン流体に関しても対応でき
る。尚、すべての流体の粘性係数は温度の関係であり、
上記の関係は基準温度に補正された粘性係数として示さ
れている。従つて、当然のことながら、温度変化に対し
ての粘度変化の関係は予め知られていることを前提とし
ている。
第1図においては差圧検出器5を流入口21,流出口22
の近傍において連通する圧力導入管23に接設している
が、各々の圧力導入管23部に圧力検出器を取付け、この
圧力検出器の出力信号をとってもよい。
第3図は、流出口22側に装着した場合を示すもので、
(A)図は平断面図、(B)図は(A)図のZ−Z矢視
断面図である。導管2の流出口22側面に取付座24を溶着
し、該取付座24を介して圧力検出器51を螺合装着する。
同様に流入口21側にも他の圧力検出器が装着され相互の
出力信号が演算回路(f)において演算される。
以上は、2点間で支持された等径の単一導管について
述べたが、本発明は、同形等大の導管を同一支持部材に
平行して支持された場合にも適用されるものである。こ
の場合、平行して支持された導管には同一の流体が分流
されることから支持部材に対して実質的に等しい固有振
動数をもった振動体となるので支持部材を振動節部とし
て音叉状に駆動される。質量流量および密度は単一導管
の場合と同一の原理に基づいて検知され、差圧検知手段
は平行導管に流通する流体の全流の圧力損失が検知され
る。
効果 上述のように、本発明の流体計測装置によると、流体
計測対象となる物理量としての質量流量、密度および粘
性係数が測定され、しかも、粘性係数は単に導管に流通
する圧力損失を差圧検出手段により検知するのみで、別
に高価な粘度計等を必要とせず、また、そのための設置
場所等を必要とせず安価に計測できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の流体計測装置の平面図で、(A)図
は平面図、(B)図は(A)図のL−L矢視断面図、
(C)図は本発明の動作を説明するブロック図、第2図
は、流体粘度μをパラメータとした質量流量gと圧力損
失係数Cとの関係をしめす実験結果を示す図、第3図
は、圧力検出器51の取付図で、(A)図は側断面図、
(B)図は(A)図のZ−Z矢視断面図である。 1……基板、2……導管、3……駆動手段、41,42……
検出手段、5……差圧検出器。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2点間で支持固定された等径の導管と、該
    導管を導管中央部において支持点まわりに固有振動数で
    駆動する駆動手段と、該駆動手段および支持点の間にお
    いて、流体の流れにより生ずるコリオリの力を検出する
    検出手段と、導管の所定区間における流体の差圧を検出
    する差圧検出手段と、前記コリオリの力から流体の質量
    流量を、前記固有振動数から流体密度を、前記導管の寸
    法諸元、前記質量流量、流体密度および流体差圧から流
    体粘度を各々演算する演算手段とを有することを特徴と
    する流体計測装置。
  2. 【請求項2】前記導管を同形等大として流体を等流量に
    分配するとともに該導管を2点間で平行して支持し、前
    記駆動手段は、前記導管を各々の導管の支持点まわりに
    共振周波数で逆位相に駆動することを特徴とする請求項
    第1項に記載の流体計測装置。
  3. 【請求項3】前記導管をU字形状として開口近傍で軸対
    称に支持し、該開口近傍における圧力差を検出する差圧
    検出手段により前記導管内の圧力損失を計測し、該計測
    値における圧力損失と密度とを乗算して圧力損失係数を
    算出し、該算出値及び質量流量を予め粘性係数をパラメ
    ータとして検知された質量流量と圧力損失係数との関係
    を記憶した記憶値と対比して該当する粘性係数を求める
    ことを特徴とする請求項第1項又は第2項に記載の流体
    計測装置。
  4. 【請求項4】所定範囲の粘性係数をもち、予め複数の異
    なつた粘性係数をもつ流体で、複数の異なる質量流量と
    該質量流量に対応する導管の所定区間における流体の差
    圧との関係から粘性係数を校正し、質量流量、密度およ
    び粘性係数を計測するようにしたことを特徴とする請求
    項第1項に記載の流体計測装置。
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