JP2577476B2 - 液晶性セロビオース誘導体 - Google Patents

液晶性セロビオース誘導体

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JP2577476B2
JP2577476B2 JP1230281A JP23028189A JP2577476B2 JP 2577476 B2 JP2577476 B2 JP 2577476B2 JP 1230281 A JP1230281 A JP 1230281A JP 23028189 A JP23028189 A JP 23028189A JP 2577476 B2 JP2577476 B2 JP 2577476B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、長鎖カルボン酸でエステル化された液晶性
を示すセロビオースに関する。
[従来の技術] 一般に物質の存在状態としては、固体、液体および気
体の3相があることはよく知られているが、この他に固
体(結晶)と液体の中間的な状態である液晶も知られて
いる。液晶は、液晶相となる条件から、熱的に誘起され
るサーモトロピツク液晶と、水やその他の極性溶媒と混
合した状態で液晶となるリオトロピツク液晶とに分類さ
れる。また分子の配列状態からは、スメクチック、ネマ
チツク、コレステリツクなどに分類される。
液晶化合物は、従来オレイン酸アンモニウム、4−シ
アノ−4′−アルコキシビフェニル、コレステリルアセ
テート等の低分子化合物が多かったが、近年液晶性を示
す高分子の研究が盛んになり、芳香族ポリアミドや芳香
族ポリエステルの濃厚溶液が液晶性を示すことが知ら
れ、それから紡糸された繊維が高強度繊維として実用化
されるに至つている。これら液晶性高分子の特徴の一つ
は、液晶状態が固定化されることにある。
セルロースまたはその誘導体は、溶媒と濃度を適当に
選ぶとリオトロピツク液晶を形成することが1976年に見
い出され、以来活発な研究が展開されている。
リオトロピツク液晶は、ポリマーを溶解する溶媒が限
定され、溶媒の除去にも特別な注意をはらわねばならな
い等そのハンドリング性に難点があり、かつ液晶状態の
固定化がむずかしかつた。
一方サーモトロピツク液晶性ポリマーは、従来からの
熱可塑性樹脂の成形法を少し変更することによつて成形
可能となるために、工業材料としてはより望ましい結晶
性ポリマーである。セルロース誘導体のサーモトロピツ
ク液晶への変換は、1981年にK.Shimamuraら(J.Appl.Po
lym.Sci.,26、2165(1981))とD.G.Grayら(Macromole
cules,14、715(1981))によつてヒドロキシプロピル
セルロース系において実現されている。さらに構造のは
つきりしたサーモトロピツク液晶は、宮本ら(高分子加
工、38、168(1989))によつてセルロースの水酸基が
完全に置換されたオキシエチレン鎖を有するエーテル誘
導体、長鎖アルキルエーテル誘導体において実現され
た。これらはいずれもコレステリツク液晶性を示す。
これらサーモトロピツク液晶性セルロース誘導体は、
溶融時の粘度が非常に高いために、液晶に固有の配向状
態を表わすテクスチヤーの発現に通常1日以上の長時間
を要するという欠点があり、これらの改善がなされれ
ば、その応用分野は広がるものと予想される。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、従来のサーモトロピツク液晶性高分子が有
する諸問題を解決することにある。すならち本発明によ
れば、サーモトロピツク液晶状態における粘度が低く、
かつ液晶状態が固定化可能な新規な液晶性セロビオース
誘導体を提供するものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、下記一般式[I]で表わされる長鎖カルボ
ン酸で置換されたセロビオース誘導体に関する。
(式中RはHまたは であり、 Rのうち10%以上が である。またnは5≦n≦30である)。
本発明で用いられる長鎖カルボン酸は、炭素数5から
30、好ましくは7から20のアルキル基を有するものであ
る。炭素数が5より小さい場合は液晶性を示さず、また
炭素数が30より大きい場合にはポリマーの合成が難かし
く好ましくない。
アルキル基は、線状構造が好ましいが、枝分れ構造を
有するものもまた用いることができる。好ましい長鎖カ
ルボン酸の例としては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オク
タン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸などがあげられる。
式[I]中、Rのうち少なくとも10%、好ましくは20
%以上が である。
本発明の長鎖カルボン酸で置換されたセロビオース誘
導体は、様々な方法により合成することができる。例え
ば、(1)酸触媒存在下に長鎖カルボン酸の酸無水物と
セロビオースを反応させる方法、(2)ピリジンなどの
塩基の存在下に長鎖カルボン酸クロリドとセロビオース
を反応させる方法、(3)無水トリフルオロ酢酸の存在
下に長鎖カルボン酸とセロビオースを反応させる方法が
あげられる。特に(3)は、無触媒下に行うことができ
る利点があり、本発明のセロビオース誘導体を得る方法
として好適である。
(3)の反応方法をさらに具体的に述べると、長鎖カ
ルボン酸に無水トリフルオロ酢酸を加えて長鎖カルボン
酸を活性化した後、セロビオースを加えて0〜150℃、
好ましくは30〜80℃でエステル化反応を行い、反応終了
後、反応混合物を大量のメタノールに投入し、生成した
沈殿を目的物として回収する。
本発明の長鎖カルボン酸で置換されたセロビオース誘
導体は、次のような特徴を有する。
(1) 溶融成形が可能であり、かつ溶融時の粘度が低
いので成形が容易である。
(2) 溶融状態から急冷することにより、液晶状態の
ガラス化(固定化)を完全に行うことができる。
(3) 固定化後は液晶への転移温度以下では安定であ
る。
本発明の液晶は、セロビオース骨格がカラム状につみ
重なり、その周囲を長鎖アルキル鎖がとりかこむカラム
ナー液晶に属するものと推定される。またセロビオース
骨格は、本来的に不斉中心を含むが故に、不斉中心を有
する液晶分子に表われる諸特性が発現される可能性を有
している。
以上のような特徴を有する本発明の液晶性セロビオー
ス誘導体は、オプトエレクトロニクス用素子、記憶・記
録素子、等への応用が可能である。
[実施例] 以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。
実施例1 デカン酸25.8g(0.15モル)に無水トリフルオル酢酸1
7mlを加えて60℃で2時間撹拌することによつてデカン
酸を活性化した後、セロビオース1gを加えて60℃で2時
間エステル化反応を行つた。反応終了後、大量のメタノ
ールに投入することによりエステル化物を沈殿させ、回
収した。エステル化物は、溶媒および沈殿剤としてそれ
ぞれテトラヒドロフランとメタノールを用い、溶解−沈
殿を数回繰り返すことにより精製した。
得られたエステル化物のIRスペクトルを第1図に示
す。3400cm-1付近の水酸基の吸収が消失していることに
よりセロビオースの水酸基はほぼ完全にエステル化され
ていることがわかる。10℃/minで降温時に測定したDSC
サーモグラム(第2図)およびホツトステージを用いる
偏光顕微鏡観察より、82℃に等方相から液晶性への相転
移が、43℃に液晶相から結晶相への相転移が認められ
た。スライドガラスにはさんだ試料を62.5℃に保持して
液晶相のテクスチヤーを発達させた時の偏光顕微鏡写真
を第4図に示す。1時間以内にフアンシエイプテクスチ
ヤーが発達した。この温度からスライドガラスを氷水中
に投じて急冷すると液晶組織が固定化できることが確め
られた。また、スライドガラスにはさんで液晶状態にあ
る試料に剪断力を加えたところ、容易に変形が起つて第
5図に示すモザイク状のテクスチャーに変換した。
実施例2 長鎖カルボン酸をオクタン酸にかえて実施例1と同じ
方法でセロビオースの水酸基が完全に置換されたエステ
ル化物を得た。DCSサーモグラムを第3図に示す。85℃
から24℃の間で液晶相をとることが確認された。
実施例3、4、5 長鎖カルボン酸をヘキサン酸、ドデカン酸、テトラデ
カン酸にそれぞれかえて実施例1と同じ方法でセロビオ
ースの水酸基が完全に置換されたエステル化物を得た。
これらの転移温度を表1に示す。
比較例1 デカン酸25.8g(0.15モル)に無水トリフルオル酢酸1
7mlを加え、50℃で30分間撹拌することによつてデカン
酸を活性化した後、再生セルロース1gを加えて50℃で5
時間エステル化反応を行つた。反応終了後、大量のメタ
ノールに投入することによりエステル化物を沈殿させ、
回収した。エステル化物は、溶媒としてクロロホルム、
沈殿剤としてメタノールを用い、溶解−沈殿を数回くり
返すことにより精製した。得られたエステル化物は、セ
ルロースの水酸基が完全に置換されたものであつた。エ
ステル化物は、10℃/minで昇温時に測定したDSCから56
℃と106℃に転移点を示したが、粘度が極めて高く、こ
の間の温度で光学異方性は認められるものの、明確なテ
クスチヤーは観察されなかつた。
[発明の効果] 本発明の長鎖カルボン酸で置換されたセロビオース誘
導体は、サーモトロピツク液晶性を示し、かつ低粘性の
ために容易に変形、成形が可能である。また液晶状態か
ら急冷することによつて液晶組織を固定化することも可
能である。これらの特性を利用して、オプトエレクトロ
ニクス用素子、記憶・記録素子など多くの用途に用いる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得られたデカン酸で置換されたセ
ロビオース誘導体のIRスペクトル図である。 第2図は、同上セロビオース誘導体のDSCサーモグラム
の一例を示す。 第3図は、実施例2で得られたオクタン酸で置換された
セロビオース誘導体のDSCサーモグラムの一例である。 第4図は、実施例1で得られたデカン酸で置換されたセ
ロビオース誘導体を62.5℃に過熱液晶化した時の結晶構
造を示す偏光顕微鏡写真であり、第5図は、このものに
剪断力を加えた時の変化した結晶構造を示す偏光顕微鏡
写真である(剪断力の方向は、細長モザイクに対して直
角方向)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[I]で表わされるセロビオー
    ス誘導体: 式中、RはHまたは であり、 Rの少なくとも10%が であり、nは5≦n≦30である。
JP1230281A 1989-09-07 1989-09-07 液晶性セロビオース誘導体 Expired - Lifetime JP2577476B2 (ja)

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