JP2573523B2 - シールド機の相互位置検出方法 - Google Patents

シールド機の相互位置検出方法

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JP2573523B2
JP2573523B2 JP1081248A JP8124889A JP2573523B2 JP 2573523 B2 JP2573523 B2 JP 2573523B2 JP 1081248 A JP1081248 A JP 1081248A JP 8124889 A JP8124889 A JP 8124889A JP 2573523 B2 JP2573523 B2 JP 2573523B2
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晃嗣 大石
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、地中を掘進するシールド機の地中におけ
る位置を検出する方法に係り、特に、相対向して配置さ
れた1対のシールド機により形成された掘削孔どうしを
接合する際等に用いられて好適なシールド機の相互位置
検出方法に関する。
「従来の技術」 周知の如く、トンネル掘削方法の一例としてのシール
ド工法は、掘削すべきトンネルの発進点及び到達点にそ
れぞれ発進立坑及び到達立坑を掘削し、この発進立坑か
ら到達立坑に向ってシールド機によりトンネルを掘削、
形成するものである。
シールド機により掘削、形成されるトンネル及び到達
立坑の接合、あるいは両側から掘削されるトンネルどう
しの接合は、極めて精度良く行われる必要がある。この
ため、シールド機による地中掘進作業中、あるいはトン
ネル接合作業寸前には、一旦シールド機の掘進作業を停
止した後、掘削計画線に対するシールド機の軸線の位
置、すなわちシールド機の地中位置を正確に測定するこ
とが行われる。
また最近は、長距離海底トンネルや都市トンネル等、
掘削距離が長距離でかつ途中に立坑を掘削できないよう
な施行条件下におけるトンネル掘削では、施工能率、工
期、コスト等を考慮して、掘削すべきトンネルの両側に
それぞれ発進立坑を掘削し、これら発進立坑からそれぞ
れシールド機を発進させてトンネルを掘削、形成して、
これらトンネルを途中で接合することでトンネルを完成
させる、地中接合工法と呼ばれる工法も開発されてい
る。この地中接合工法においては、到達立坑に接合する
場合に比してより高精度な接合作業が要求され、規定値
以上の誤差が絶対に許されない状況にある。
このようなシールド機の地中位置検出方法の例として
は、相対向するシールド機の前部に磁気、音波等を用い
た送受信手段を相互に配置し、これら磁気、音波等の減
衰量や位相変化等により相互のシールド機間の軸線のず
れを検出するような方法や、あるいは一方のシールド機
から他方のシールド機に向けてボーリング孔を穿設し、
このボーリング孔内にトランシット等のレーザー光を通
すことでシールド機間の軸線のずれを検出するような方
法が考えられる。特に、測定精度を高める目的で、受信
手段をシールド機の3点に配置し、これら3台の受信手
段と送信手段との間の距離を測定することで受信手段と
送信手段とで形成される三角錐を決定し、これによりシ
ールド機間の位置関係を検出するような方法(以下、こ
れを3点法と称する)も検討、提案されている。
「発明が解決しようとする課題」 ところが、前述したシールド機の位置検出方法は、以
下に挙げるような解決すべき課題を抱えていた。
すなわち、磁気、音波を用いた検出方法にあっては、
磁気等の土壌透過能力が弱く、従って極めて近距離にお
いてしか測定ができず、検出精度が悪いため、実用的で
ない。また、ボーリング孔を穿設してトランシット等で
検出する方法にあっては、ボーリング孔を穿設する工程
に手間がかかり、同様に実用的でない。さらに、前記3
点法にあっては、各受信手段と送信手段との間の距離測
定が土壌の性状等により左右され、この測定時の誤差が
重畳された状態で位置検出が行われるため、検出精度の
向上に十分寄与できない。
この発明は前記事情に鑑みてなされたもので、土壌の
性状等によらず、シールド機の地中における位置を非接
触状態で高精度にかつ確実に測定できるシールド機の相
互位置検出方法を提供することを目的としている。
「課題を解決するための手段」 そこでこの発明は、地中を掘進するシールド機を1対
用いてトンネルを掘削する場合に相互のシールド機の位
置を検出する方法を、以下の工程を備えたものとしたこ
とを特徴とする。
一方のシールド機の軸線上に放射線源を備えた送信
部を設置すると共に、他方のシールド機の軸線から径方
向に所定距離離間した位置に、放射線検出器を備えた受
信部をこのシールド機の軸線回りに回動自在に設置して
おく工程、 受信部を前記他方のシールド機の軸線回りに回転さ
せ、受信部で検出された放射線量が最大となる時の回転
角を測定する工程、 送信部を受信部の径方向の離間距離及び回転角だけ
移動させた位置に配置する工程、 受信部をシールド機の径方向に沿って移動させ、受
信部で検出された放射線量が最大となる時のシールド機
の軸線からの距離を測定することで、シールド機相互の
位置を検出する工程。
「実施例」 以下、この発明の実施例について図面を参照して説明
する。
第1図ないし第4図は、この発明の一実施例であるシ
ールド機の相互位置検出方法が適用されるシールド機を
示す図である。なお、以下に説明するシールド機は、前
述の地中接合工法に用いられるものであり、2つのシー
ルド機を1組としてトンネルの掘削が行われるものであ
る。
図中、符号Gは両側端から掘削されてきたシールド・
トンネルの接合部付近の地山であり、この地山G内で
は、第1のシールド機10が、その前部に設けられたカッ
タ装置11により右側から左側に向ってトンネルTaを掘削
し、また、第2のシールド機40が、その前部に設けられ
たカッタ装置41により左側から右側に向って他方のトン
ネルTbを掘削している。そして、第1のシールド機10の
後方に形成されたトンネルTaの壁面は、このシールド機
10の内部で組み立てられたセグメント12、12、…によっ
て1次覆工され、同様に、第2のシールド機40の後方に
形成されたトンネルTbの壁面は、このシールド機40の内
部で組み立てられたセグメント42、42、…によって1次
覆工されている。
前記第1のシールド機10の外殻を成す円筒状のスキン
プレート13の先端部は、このスキンプレート13と同径に
形成された外筒14と、この外筒14より小径に形成された
内筒15とにより、二重に形成されており、この内筒15
は、前記スキンプレート13の軸線に直交するように形成
された中空環状の仕切板17によりこのスキンプレート13
に連結されている。これら外筒14と内筒15との間には、
鉄板を円筒状に形成してなる貫入リング16が格納されて
いる。
また、前記第1のシールド機10には、そのスキンプレ
ート13中間部内面に環状の反力板19が取り付けられてい
ると共に、この反力板19前面には、前記貫入リング16押
出用の押出ジャッキ20が、その周方向に間隔を置いて複
数個(図示例では1個のみ図示してある)取り付けられ
ている。この押出ジャッキ20のジャッキロッド21は、前
記仕切板17を貫通して、スキンプレート13の軸線に沿っ
て前方に延在され、その先端が前記貫入リング16後端に
取り付けられている。また、前記外筒14内周面及び内筒
15外周面には、リップシール等のシール材37、37、…
が、前記貫入リング16をその両側面から挾持するように
設けられ、以上の構成により、貫入リング16は、スキン
プレート13の軸線に沿って前後方向に摺動自在に構成さ
れている。
前記仕切板17の内面には、筒状の取付筒18が前記スキ
ンプレート13と同軸状に取り付けられていると共に、こ
の取付筒18内周面には、これよりやや小径な有底円筒状
の支持部23が嵌入されている。この支持部23は、筒状の
摺動筒24及びこの摺動筒24前端部を閉塞してなる仕切板
25とから構成されている。前記取付筒18内周面には、こ
の取付筒18及び摺動筒24の間に介在されるすべり軸受3
8、38及びリップシール、Uシール、Oリング等のシー
ル材37、37が設けられている。そして、仕切板25と、シ
ールド機10後方に設けられたセグメント組立用のエレク
タ装置33との間には、摺動筒24移動用のカッタスライド
ジャッキ34が介在され、これにより、前記支持部23はス
キンプレート13の軸線に沿って前後方向に移動自在に構
成されている。また、図中、符号36は前記仕切板25中心
部に設けられた開閉自在なハッチである。
一方、前記第1のシールド機10のカッタ装置11は、前
記支持部23の仕切板25より小径に形成され、スキンプレ
ート13と同心円状となるようにこの仕切板25に軸支され
た支持ドラム26と、この支持ドラム26先端部に固定さ
れ、スキンプレート13の軸線からその径方向に放射状に
延在する8本のスポーク27、27、…とから概略構成され
ている。
これらスポーク27、27、…は、その先端を通る円の直
径が前記内筒15の内径よりやや小径となるように形成さ
れている。スポーク27の前面には切削刃28、28、…が多
数配設されている。また、スポーク27、27、…のうち、
一本おきのスポーク27の内部には先端刃29が格納されて
いると共に、この先端刃29には、これをシールド機10の
径方向に伸縮させてスポーク27の内外へ格納、露出させ
る、ジャッキ等からなる伸縮機構30が付設されている。
また、前記支持ドラム26は、前記仕切板25に軸受31を
介して軸支されている。さらに、摺動筒24内周面には、
支持ドラム26後端部と係合して、この支持ドラム26を回
転駆動する油圧モータ等の駆動機構32が取り付けられ、
これにより、カッタ装置11全体が前記スキンプレート13
の軸線を中心軸として回転駆動されることとなる。
さらに、前記スポーク27、…のうち1本のスポーク27
内には、この発明の一実施例に用いられる受信器71が配
設されている。この受信器71は、例えばGM(ガイガー・
ミューラー)管サーベイメーターや、NaI(沃素ナトリ
ウム)を検出部とするシンチレーションカウンタ等の放
射線検出器を備えたものであり、その上下からワイヤ73
で吊持され、図示されない移動機構によりシールド機10
の径方向に移動自在に構成されている。
一方、前記第2のシールド機40は、その概略構成が前
記第1のシールド機10と同様であり、そのスキンプレー
ト43の先端部が前記第1のシールド機10と同径の円筒状
の外筒44及び内筒45とにより二重に形成されている。こ
の内筒45は、スキンプレート43の軸線に直交して形成さ
れた中空環状の仕切板47により連結されている。そし
て、これら外筒44、内筒45及び仕切板48で囲繞される空
間が、第1のシールド機10の貫入リング16が貫入される
貫入室46とされている。
この貫入室46内には、前記外筒44及び内筒45間の間隔
より僅かに薄い肉厚に形成された保護リング52が嵌入さ
れている。この保護リング52の前面には、シールド機2
の中心に向って後方に傾斜する傾斜面52aが形成され、
これにより、貫入リング16との圧着性の増大、及び、掘
削土砂の円滑な取り込みが図られている。また、前記第
2のシールド機40には、そのスキンプレート43中間部内
面に環状の反力板49が取り付けられていると共に、この
反力板49前面には、前記保護リング52引込用の引込ジャ
ッキ50が、その周方向に間隔を置いて複数個(図示例で
は1個のみ図示してある)取り付けられている。この引
込ジャッキ50のジャッキロッド51は、前記仕切板47を貫
通して、スキンプレート43の軸線に沿って前方に延在さ
れ、その先端が前記保護リング52後端に取り付けられて
いる。また、前記外筒44内周面及び内筒45外周面には、
リップシール等のシール材37、37、…が、前記保護リン
グ52をその両側面から挾持するように設けられ、以上の
構成により、保護リング52は、スキンプレート43の軸線
に沿って前後方向に摺動自在に構成されている。
前記仕切板47の内面には、前記第1のシールド機10と
同様に、筒状の取付筒48が前記スキンプレート43と同軸
状に取り付けられていると共に、この取付筒48内周面に
は、これよりやや小径な有底円筒状の支持部53が嵌入さ
れている。この支持部53は、前記支持部23と同様に、筒
状の摺動筒54及び仕切板55とから構成されている。前記
取付筒48内周面には、すべり軸受38、38及びリップシー
ル、Uシール、Oリング等のシール材37、37が設けられ
ている。そして仕切板55と、シールド機40後方に設けら
れたエレクタ装置63との間には、摺動筒54移動用のカッ
タスライドジャッキ64が介在され、これにより、前記支
持部53はスキンプレート43の軸線に沿って前後方向に移
動自在に構成されている。また、図中、符号66は前記仕
切板55中心部に設けられた開閉自在なハッチである。
一方、前記カッタ装置41は、前記第1のシールド機10
のカッタ装置11と同様に、前記支持部53の仕切板55に軸
支された支持ドラム56と、この支持ドラム56先端部に固
定され、スキンプレート43の軸線からその径方向に放射
状に延在する8本のスポーク57、57、…とから概略構成
されている。
これらスポーク57、57、…は、前記第1のシールド機
10のスポーク27と同様に、その先端を通る円の直径が前
記内筒45の内径よりやや小径となるように形成されてい
る。スポーク57の前面には切削刃58、58、…が多数配設
されている。また、スポーク57、57、…のうち、一本お
きのスポーク57の内部には先端刃59が格納されていると
共に、この先端刃59には、これをシールド機40の径方向
に伸縮させてスポーク57の内外へ格納、露出させる、ジ
ャッキ等からなる伸縮機構60が付設されている。
また、前記支持ドラム56は、前記仕切板55に軸受61を
介して軸支されていると共に、摺動筒54内周面には、支
持ドラム56後端部と係合して、この支持ドラム56を回転
駆動する油圧モータ等の駆動機構62が取り付けられ、こ
れにより、カッタ装置41全体が前記スキンプレート43の
軸線を中心軸として回転駆動されることとなる。
さらに、前記支持ドラム56先端部内には、この発明の
一実施例に用いられる送信器72が配設されている。この
送信器72は、例えばγ線源である60Co等が収納された容
器を備えたものであり、図示されない移動機構によりシ
ールド機40の径方向に移動自在に構成されている。
また、図中、符号35、65は、それぞれシールド機10、
40の仕切板17、47後面に周方向に間隔を置いて設けら
れ、前記セグメント12、42の先端に反力を取ってシール
ド機10、40を前方に推進させるためのシールドジャッ
キ、符号39、69は、それぞれシールド機10、40のスキン
プレート13、43後端部内面に設けられ、前記セグメント
12、42とスキンプレート13、43との間の間隙を閉塞する
テールパッキンである。
次に、以上のような構成を有するシールド機10、40を
用いて、前述の地中接合方向と共に、この発明の一実施
例であるシールド機の相互位置検出方法について説明す
る。
(i)トンネル掘削 まず、シールド機10、40を用いて、トンネルの両側端
からトンネルTa、Tbを掘削しつつ、トンネルTa、Tbの壁
面にセグメント12、42を組み立てることで、1次覆工を
行う。この際、カッタ装置11、41の先端刃29、59を伸縮
機構30、60により伸長させることで、掘削するトンネル
Ta、Tbの径を外筒14、44と少なくとも同径としておく。
また、これらシールド機10、40によるトンネル掘削にお
いては、第2のシールド機40による掘削を先行させ、こ
の第2のシールド機40のほうが後述するトンネル接合部
に先に到達するように掘削計画を立てておく。
なお、前記第2のシールド機40の保護リング52の貫入
室46内での位置は、いずれであっても良いが、トンネル
Tb掘進時に保護リング52を貫入室46前部に位置させてお
くことで、この貫入室46内部への掘削土砂や礫の侵入を
阻止することができる。
(ii)第2のシールド機停止 前述の如く、第2のシールド機40によるトンネル掘削
が第1のシールド機10によるトンネル掘削より先行され
ているので、まず、第2のシールド機40がトンネル接合
部に到達する(第5図参照)。次に、伸長させておいた
先端刃59を元の長さにまで短縮し、カッタスライドジャ
ッキ64とシールドジャッキ65とを駆動させることで、カ
ッタ装置41を内筒45内に収納すると共に、このカッタ装
置41収納に伴いシールド機40前面と地山との間に生じる
空隙の分だけシールド機40を前方に推進させる(第6図
参照)。
(iii)トンネル接合 第2のシールド機40が前述したカッタ装置40収納工程
を行っている際にも、第1のシールド機10はトンネルを
掘削している。そして、これらシールド機10、40がシー
ルド機の機長の3倍程度の距離にまで接近した時点で、
シールド機10、40間の相対位置を確認する。
まず、第9図に示すように、第2のシールド機40の送
信器72を、シールド機40の軸線上に位置させた後、第1
のシールド機10のカッタ装置11(支持ドラム26)を所定
角度ずつ(例えば60゜ずつ)回転させ、その位置での受
信器71による放射線量を所定時間測定し、その積分量を
求める(第10図参照)。測定時間は両シールド機10、40
間の距離等により決定されるが、例えば両シールド機1
0、40間の距離が2m程度であれば、10秒程測定すること
となる。
次に、各回転角における積分量を比較し、その最大値
が得られる時の回転角まで再度カッタ装置11を回転させ
てから、その近傍においてカッタ装置11を微動させ、積
分量の最大値が得られる時の回転角(第11図中θ)を
決定する。すなわち、この回転角が角度方向における送
信器72(放射線源)の位置となる。
さらに、前記回転角測定時におけるシールド機10の軸
線と受信器71との間の距離(第9図中r2)と等距離だけ
送信器72をシールド機40の軸線から離間させ(第12図参
照)、シールド機40のカッタ装置41(支持ドラム56)を
前記受信器71による積分量の最大値が得られる時の回転
角(θ)だけ回転する(第13図参照)。これにより、
送信器72と受信器71とは、互いのシールド機10、40の径
方向に沿う一直線上に位置することとなる。
そして、受信器71をシールド機10の径方向に沿って往
復動させ、受信器71による積分量の最大値が得られる時
の径方向の位置を決定する(第14図参照)。すなわち、
この位置が径方向における送信器72(放射線源)の位置
となる。
以上の手順により、送信器72と受信器71との間のずれ
が、シールド機10、40の回転方向及び径方向の値として
得られる。すなわち、これがシールド機10、40の軸線間
の位置ずれとなるのである。
そして、これらシールド機10、40の両軸線が一致する
ように、第1のシールド機10の掘進方向を修正しつつ、
さらにトンネル掘削を継続する。
そして、トンネルの接合部において、シールド機10、
40間に所定長さの地山Gi(約30cm〜1m程度)を残した状
態で第1のシールド機10を停止させることで、シールド
機10、40をトンネル接合部において相対向させる(第7
図参照)。
次に、第1のシールド機10のカッタ装置11収納工程を
行う。すなわち、伸長させておいた先端刃29を元の長さ
にまで短縮させた後に、カッタスライドジャッキ34とシ
ールドジャッキ35とを駆動させることで、カッタ装置11
を内筒15内に収納しながら、このカッタ装置11収納に伴
いシールド機10前面と地山との間に生じる空隙の分だけ
シールド機10を前方に推進させる(第8図参照)。
これと同時に、前記保護リング52が貫入室46の奥にあ
る場合には、引込ジャッキ50、50、…を駆動すること
で、保護リング52を貫入室46前部にまで摺動させ、これ
により貫入室46内に侵入した土砂や礫を外部に排出して
おく。この状態で、押出ジャッキ20、20、…を駆動する
ことで、貫入リング16を第1のシールド機10のスキンプ
レート13の軸線に沿って前方に摺動させ、その先端を保
護リング傾斜面52aに当接させる。さらに、押出ジャッ
キ20、20、…による貫入リング16の押し出しを続けつ
つ、これに連動して、引込ジャッキ50、50、…を駆動す
ることで、その傾斜面52aに貫入リング16の先端を当接
させたまま、保護リング52を後方に摺動させ、これによ
り、貫入リング16を貫入室46奥にまで引き込む。すなわ
ち、この貫入リング16により、シールド機10、40の間に
残されたトンネル接合部の地山Giを覆うのである(第8
図参照)。
(iv)トンネル接合部仕上 この後、カッタ装置11、41及び支持部23、53を解体、
撤去すると共に、エレクタ装置33、63等の周辺機材を撤
去し、更に貫入リング16の両端部を内筒15、45に溶接し
て固定する。そして、シールド機10、40のスキンプレー
ト13、43内面に、2次覆工分の厚さを含めた場所打ちコ
ンクリートを打設することで、トンネル接合部の覆工を
行う。ここで、前記トンネル接合部を補強する目的で、
内筒15、45の内面に、例えばH形鋼からなる支保工を設
けても良い。
以上説明した方法により、シールド機10、40間の軸線
のずれを検出し、両軸線が一致するように掘進方向を修
正することで、トンネル接合部において精確なトンネル
接合作業を行うことができる。ここで、この実施例で
は、シールド機10、40の回転方向及び径方向に沿って受
信器71を移動させることで送信器72の位置を受信器71で
検出し、これら両方向の位置ずれからシールド機10、40
間の軸線のずれを検出しているので、従来の3点法によ
る位置検出方法と比較して、土壌の性状等によりその測
定精度が左右される距離測定の工程を介さずにシールド
機の相互位置を検出でき、従って、土壌の性状等によら
ず確実かつ正確な位置検出を行うことができる。また、
送信器72をγ線源(放射線源)を備えたものとし、この
γ線によって位置検出を行っているので、磁気や音波を
用いた場合に比較してγ線は土壌透過能力が大きく、従
って、シールド機10、40間の距離が比較的大きくても測
定が可能で、かつ、その精度も良好である。さらに言え
ば、従来の如くボーリング孔を穿設する手間もいらず、
非接触、非破壊状態で位置検出が可能であり、大変簡便
に位置検出を行うことができる。
特に、位置検出のために行う測定も、放射線量の積分
量の最大値を求める測定のみで十分であり、何等特殊か
つ複雑な計算等を必要とせずにシールド機10、40間の位
置検出を行うことができるので、工事現場において行う
測定として大変好適である。
次に、本発明者が行った、本発明による相互位置検出
方法の検出精度を検討した実験の結果について説明す
る。
送信器にはγ線源(60Co)を用いた。また、受信器に
はGMサーベイメーター及びNaI(T1)シンチレーション
カウンタ(面積2″×2″)を用いた。実験系には、第
15図に示すような形状、寸法の土及び砂を用いた。
実験方法は、まず前記実験系中にγ線源を埋設した
後、実験系外の一定平面上に第15図に示すような原点
(0,0)を設定して、この原点から水平方向及び垂直方
向に引いたX軸、Y軸に沿って受信器を移動させること
で、この受信器により放射線量の最大値が得られる座標
値を求めた。放射線量の測定は、先ずはじめにGMサーベ
イメーターで強度の強い部分を検出し、次にNaI(T1)
シンチレーションカウンタを用いて放射線量を詳細に調
べた。測定時間は、各点とも10秒間とした。測定時に得
られたγ線スペクトルの一例を第16図に示す。
第17図ないし第18図は、測定平面から1.25m離れた土
中にγ線源を埋設した場合の水平方向及び垂直方向の放
射線量の分布を示す図である。なお、この実験例ではγ
線源にコリメータが付設されていたため、水平方向の放
射線量の分布が正規分布から離れている。これら分布の
ピーク値から、γ線源は測定平面上の原点からの座標値
として(−20cm,0cm)の位置にあると推定できる。ま
た、分解能をピーク値におけるカウントとピークから±
20cm離れた位置でのカウントとの比 P/C(±20)=(x−Δx,x+Δx),(y−Δy,y+
Δy)で定義すれば、P/C(±20)=1.029,1.205であっ
た。
次に、第19図は、測定平面から3.0m離れた砂中にγ線
源を埋設した場合の水平方向の放射線量の分布を示す図
である。分解能は低下しているものの、−24cm付近にピ
ーク値を認めることができ、従ってこの位置にγ線源が
あることが推定できる。また、分解能P/C(±20)=1.0
28であった。
以上のことから、γ線源と受信器との間の距離が1.25
mの時、±2cmの分解能でγ線源の位置を推定することが
できることが理解できる。また、放射線量の分布はほぼ
正規分布に近い分布を示すため、最小二乗法等の統計処
理を行えば、ピーク値を自動的かつ正確に求めることが
可能となる。
一方、従来検討されている3点法を用いたシールド機
の相互位置検出方法について、距離測定の誤差が相互位
置検出に与える影響について検討した。
まず、3点法の原理について説明すれば、第20図に示
すように、点P0に位置する線源T1と正三角形P1P2P3の頂
点に位置する受信手段Rとの間の距離が、それぞれP0P1
=a、P0P2=b、P0P3=cであったと仮定する。する
と、土中においてQ[Ci]なる線量の60Co線源からa
[m]離れた位置の照射線量率Ia[R/hr]は次式で与え
られる。
ただし、60 Coの照射線量率定数は1.35[R/hr・Ci]60 Coのγ線に対する土砂の1/10価層は0.3[m] 散乱線を考慮した60Coのγ線の再生係数BはB≒1+
μa(μは透過率) としている。従って、受信手段Rにより照射線量率Iaが
測定されれば、P0P1間の距離aを求めることができる。
同様にして、P0P2間の距離b、P0P3間の距離cも求める
ことができる。
次に、第21図に示すように、線源T1の位置P0を正三角
形上に垂直に投影させた点をP′とし、P0P′=S、P
1P′=a′、P2P′=b′、P3P′=c′とすると、これ
らは次式で与えられる値となる。
従って、第22図に示すように、点P1を原点として点P2
がX軸上に位置する座標平面を考え、前記点P′の座標
を(x,y)とすれば、 x2+y2=a′ (L−x)+y2=b′ 上式をx、yについて解けば、 よって、正三角形P1P2P3の重心点Oと点P′との間の
距離OP′及びP0P′間の距離Sは、 これにより、線源T1の位置P0を正三角形に投影した点
P′と重心Oとの間の位置関係が求められる。
第23図は、点P′を重心Oに一致させ、さらに理論上
a′=b′=c′=30cm、s=1.25mとした時の、各距
離a、b、cの測定誤差に対する点P′の位置測定誤差
の関係を示した図である。図に見るように、たとえ各距
離の測定誤差が1%であっても、点P′の位置測定誤差
はX座標で±6.5cm、Y座標で±10cmの誤差を生じ、ま
た、距離の測定誤差が5%であると、X座標、Y座標そ
れぞれ±31.5cm、±36.5cmの誤差を生じることが理解で
きる。従って、3点法においては、距離の決定精度が最
も重要なポイントとなるが、この距離決定精度は土壌の
性状等により大きく左右され、実際の場での適用は困難
である。
なお、この発明のシールド機の相互位置検出方法は、
その適用が地中接合工法に限定されず、種々の適用が可
能であることはいうまでもない。また、前記実施例で
は、送信器及び受信器を共にカッタ装置内に備えた構成
としたが、これに限らずシールド機内の任意の位置に配
置可能であることはいうまでもない。
「発明の効果」 以上詳細に説明したように、この発明によれば、シー
ルド機の回転方向及び径方向に沿って受信器を移動させ
ることで受信器の位置を受信器で検出し、これら両方向
の位置ずれからシールド機間の相互位置を検出している
ので、従来の3点法による位置検出方法と比較して、土
壌の性状等によりその測定精度が左右される距離測定の
工程を介さずにシールド機の相互位置を検出でき、従っ
て、土壌の性状等によらず確実かつ正確な位置検出を行
うことができる。また、送信器を放射線源を備えたもの
とし、この放射線によって位置検出を行っているので、
磁気や音波を用いた場合に比較して放射線は土壌透過能
力が大きく、従って、シールド機間の距離が比較的大き
くても測定が可能で、かつ、その精度も良好である。さ
らに言えば、従来の如くボーリング孔を穿設する手間も
いらず、非接触、非破壊状態で位置検出が可能であり、
大変簡便に位置検出を行うことができる。
よって、この発明によれば、土壌の性状等によらず、
シールド機の地中における位置を非接触状態で高精度に
かつ確実に測定できるシールド機の相互位置検出方法を
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第2図は、この発明の一実施例であるシー
ルド機の相互位置検出方法が適用されるシールド機の例
を示す図であって、第1図は断面図、第2図は左側面
図、第3図ないし第4図は同他の例であるシールド機を
示す図であって、第3図は断面図、第4図は右側面図、
第5図ないし第8図は同シールド機を用いた地中接合工
法を説明するための工程図、第9図ないし第14図は、こ
の発明の一実施例であるシールド機の相互位置検出方法
を説明するための工程図、第15図は実験系の概略を示す
図、第16図は実験に用いたγ線源のγ線スペクトルの一
例を示す図、第17図は実験系内の土中における放射線量
の水平方向の分布を示す図、第18図は同垂直方向の分布
を示す図、第19図は実験系内の砂中における放射線量の
水平方向の分布を示す図、第20図は3点法における受信
手段の位置を示す概略正面図、第21図は送信手段及び受
信手段の位置関係を示す概略図、第22図は同シールド機
前面への投影図、第23図は3点法における距離測定誤差
と位置測定誤差との関係を示す図である。 10、40……シールド機、11、41……カッタ装置、71……
受信部、72……送信部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地中を掘進するシールド機を1対用いてト
    ンネルを掘削する場合に相互のシールド機の位置を検出
    する方法であって、一方のシールド機の軸線上に放射線
    源を備えた送信部を設置すると共に、他方のシールド機
    の軸線から径方向に所定距離離間した位置に、放射線検
    出器を備えた受信部をこのシールド機の軸線回りに回動
    自在に設置しておき、この受信部を前記他方のシールド
    機の軸線回りに回転させ、受信部で検出された放射線量
    が最大となる時の回転角を測定してから、前記送信部を
    受信部の径方向の離間距離及び回転角だけ移動させた位
    置に配置し、さらに、受信部をシールド機の径方向に沿
    って移動させ、受信部で検出された放射線量が最大とな
    る時のシールド機の軸線からの距離を測定することで、
    シールド機相互の位置を検出することを特徴とするシー
    ルド機の相互位置検出方法。
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