JP2572743Y2 - シャワー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、浴室等に設けるシャワ
ーに係り、とくにシャワーヘッドに流量調整機能を持つ
設備においてシャワーに接続するホースの破損等を防止
するようにしたシャワー装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】浴室に備えるシャワー設備の最も一般的
なものは、たとえば浴槽への給湯にも使用する湯水混合
栓にホースを接続し、このホースの先端にシャワーヘッ
ドを備えるというものである。このようなシャワー設備
では、シャワーを浴びるときには、湯水混合栓側の弁を
シャワー側に切り替えると同時に流量を調整して使用す
る。

【０００３】ところが、人が立ってシャワーを浴びる場
合、シャワーの強さを変えるためには、湯水混合栓が一
般に浴槽のレベルに合わせて設置されていることから、
人は腰を屈めて湯水混合栓の操作ハンドルを取り扱うこ
とになる。このような操作は、面倒であるため、たとえ
ば実開昭５６−１０６８５２号公報や実開昭５５−１６
３０５８号公報に記載されているように、シャワーヘッ
ド自身に流量調整機能を持たせたものが提案されてい
る。

【０００４】この流量調整機能は、前者のものでは散水
板に向かうシャワーヘッド内の流路に複数の孔をそれぞ
れ開けた２枚の板を配置し、いずれか一方を外部操作に
よって回転させることにより、孔どうしの整合度を変え
て流量を調整するというものである。また、後者ではシ
ャワーヘッドの内部流路にロータリー弁を組み込み、こ
れを外部からの操作によって回転させることによって流
量を可変としたものである。

【０００５】いずれにしても、シャワーヘッド自身に流
量調整機能を備えることにより、湯水混合栓側の操作ハ
ンドルを取り扱うことなく、楽にシャワーを浴びること
ができる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ところが、もしシャワ
ーヘッドの流量調整弁によって流路を絞ってしまうと、
湯水混合栓とシャワーヘッドとの間を接続しているホー
スに加わる水圧の負荷が高くなる。この負荷は、給水及
び給湯の供給圧を一定とすれば、シャワーヘッド側の流
路の絞り度に比例する。

【０００７】このように水圧の負荷がホースに作用する
と、弾性材の素材の劣化を招くほか、疲労による破れを
生じる可能性が高くなる。また、ホースと湯水混合栓と
の間又はホースとシャワーヘッドとの間の接続部分が緩
んでしまい、ホースの抜けの発生も考えられる。

【０００８】更に、シャワーヘッド側の流量調整を行う
と、その流路の絞りによって湯水混合栓側の水圧の変動
を招く。すなわち、建屋側からの給水や給湯圧をほぼ一
定としたとき、シャワーヘッド側での流路の絞りが大き
い程、湯水混合栓側での水圧が上昇してしまう。

【０００９】このように、湯水混合栓の内部流路での水
圧が、シャワーヘッド側での流量調整の度に変動してし
まうと、湯と水の混合比にも変動を来たし、その結果シ
ャワーヘッドからの湯の温度や流量も不安定になってし
まう。また、単水栓を利用する場合でも、流量に変動を
生じることは避けられない。したがって、シャワーヘッ
ド自身に流量調整機能を持たせることは、使いやすさの
面での利点はある一方で、流量や温度変動を発生する原
因ともなり兼ねない。

【００１０】本考案において解決すべき課題は、ホース
の破損や抜けを防止すると共に流量や温度に変動のない
安定したシャワー散水が得られるようにすることにあ
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案は、水又は湯と水
との混合水の供給側にホースによって接続され、該ホー
スの先端にシャワーヘッドを備えると共に、該シャワー
ヘッドに流量調整機構を備えたシャワー装置であって、
前記ホースの基端部と供給側との間に、減圧弁を備えて
なり、該減圧弁は供給側に連絡する流入口と、ホースの
基端部に連絡する流出口と、前記流入口と流出口との間
に設けられた弁座と、該弁座の一次側に設けられた弁体
と、該弁体に連係し前記弁座の二次側に設けられ二次側
の水圧上昇で該弁体を閉じる方向に移動させる受圧部材
と、該受圧部材を前記弁体を開く方向に付勢し二次側の
水圧を設定するスプリングを備え、前記流量調整機構の
流量を絞る操作でのホース側の圧力上昇を抑制したこと
を特徴とする。

【００１２】

【作用】供給側からの水又は混合水は減圧弁により減圧
されてホース側へ供給されるので、シャワーヘッドの流
量調整機構によってその流路を絞る操作をしたときで
も、ホースの内圧の上昇が抑えられる。このため、ホー
スとシャワーヘッドとの間及び供給側の湯水混合栓等の
水栓との間の接続部分が緩んだり外れたりすることが防
止され、ホース自体の破損も防ぐことが可能となる。

【００１３】また、シャワーヘッドの流量調整機構を頻
繁に操作しても、ホース内の圧力変動が供給側に伝播さ
れる度合いが減圧弁によって低下する。このため、供給
側の流量変動や湯水混合栓等であれば湯と水の混合比の
変動がなく、安定した流量と温度の散水が維持される。

【００１４】

【実施例】図１は本考案のシャワー装置の概要を示す図
であって、同図の（ａ）は正面図、同図の（ｂ）は左側
面図である。

【００１５】図において、従来の設備と同様に、湯水混
合栓１に接続したホース２の先端にシャワーヘッド３を
連結し、湯水混合栓１の吐水管１ａとこのシャワーヘッ
ド３側との流路を切り替えるための切替えハンドル１ｂ
を湯水混合栓１の前面に備えている。湯水混合栓１は、
水用及び湯用の脚管１ｃ，１ｄを建屋側の給水及び給湯
配管に接続して固定されたものであり、その右端には湯
と水の混合比を変えるための温度設定ハンドル１ｅを備
えている。

【００１６】図２は湯水混合栓１の中央縦断面図であ
る。

【００１７】湯水混合栓１の内部には、吐水管１ａ側と
ホース２側への流路を切り替えるための切替え弁１ｆを
設け、これを切替えハンドル１ｂによって操作可能とし
ている。そして、ホース２側への流路には、湯水混合栓
１の背部に連結したエルボ状の継手４を接続し、この継
手４の下端とホース２の基端との間に減圧弁５を組み込
む。

【００１８】一方、シャワーヘッド３は、従来例として
掲げたものと同様に、ホース２からの給水を受けてこれ
を流量調整する機構を備えたものである。この流量調整
機構には各種のものが採用できるが、たとえば図３に示
すように、シャワーヘッド３の内部流路を横切るロータ
リー式の絞り弁３ａを組み込み、この絞り弁３ａをシャ
ワーヘッド３の側面から突き出して設けた調整ハンドル
３ｂに連結した構成とすることができる。この場合、調
整ハンドル３ｂを回すことによって、図３の（ａ）のよ
うに流路が全開の状態から同図の（ｂ）の絞った状態に
設定でき、これによりシャワーヘッド３からの散水流量
を調整することができる。

【００１９】図４は減圧弁５の詳細を示す拡大縦断面図
である。

【００２０】この減圧弁５は、各種の給水配管や水周り
機器等用のものが利用でき、ハウジング５ａに湯水混合
栓１に接続する流入路５ｂ及びホース２に接続する流出
路５ｃを形成したものである。ハウジング５ａの内部に
はニードル式の弁体５ｄをその軸線方向に移動可能に組
み込み、この弁体５ｄのテーパ部５ｄ−１が接離する弁
座５ｅを内部流路に形成する。弁体５ｄは、その一端を
受圧部材であるダイヤフラム５ｆに一体とした固定金具
５ｇに連結され、固定金具５ｇはダイヤフラム５ｆによ
って内部流路と区画されたチャンバの中のスプリング５
ｈにより図中において左側に付勢されている。

【００２１】このような内部構造を持つ減圧弁５では、
スプリング５ｈの付勢力によって、図示のように弁体５
ｄの中途に形成したテーパ部５ｄ−１が弁座５ｅから離
れて流路を開く。そして、流入路５ｂから流出路５ｃへ
水が流れるとき、弁座５ｅより下流の二次側流路の水圧
をダイヤフラム５ｆが受け、この水圧が或る設定圧力よ
りも低ければ、前記のようにスプリング５ｈによって弁
体５ｄが開弁位置に設定される。もし、二次側流路の水
圧が上昇して設定圧力に近づくと、二次側の水圧によっ
てダイヤフラム５ｆが押され、この押す力がスプリング
５ｈの付勢力を超えると、ダイヤフラム５ｆが図におい
て右側へ変形する。したがって、弁体５ｄのテーパ部５
ｄ−１が弁座５ｅに接近して流路が絞られ、通過流量が
減少して二次側流路の水圧の上昇を抑えることができ
る。

【００２２】以上の構成において、切替えハンドル１ｂ
によってホース２側への流路を開くと、湯と水の混合水
は減圧弁５及びホース２を経由してシャワーヘッド３か
ら散水される。この散水のとき、調整ハンドル３ｂによ
って図３の（ａ）の全開の流路面積から同図の（ｂ）の
ように大幅に流路を絞っても、減圧弁５によって湯水混
合栓１からの供給圧が抑えられているので、ホース２の
内圧の上昇度合いも抑制される。このため、従来のよう
にシャワーヘッド３側で流量を絞ったときに発生するホ
ース２の破損や、継手４及びシャワーヘッド３との間で
の抜けも防止できる。

【００２３】更に、シャワーヘッド３側で流路を大きく
絞っても、減圧弁５からシャワーヘッド３側までの混合
水の圧力自体が低く抑えられ、その圧力自体も減圧弁５
による抵抗によって湯水混合栓１側へは伝播し難い。こ
のため、絞り弁３ａによって頻繁に流路面積を変更する
操作をしても、湯水混合栓１側にへの圧力変動の伝達は
無視できる程度となる。したがって、湯水混合栓１の内
部での圧力変動が抑えられ、湯と水の混合比を設定値に
維持して安定温度を保った定流量の散水が可能となる。

【００２４】なお、実施例では湯水混合栓１にホース２
を接続した例としたが、湯水混合栓１に代えて単水栓で
もよく、また給湯器等にホース２を直結した設備であっ
てもよい。いずれにしろ、ホース２の基端側に減圧弁５
を備えるようにする点だけが肝要であることに変わりは
ない。

【００２５】

【考案の効果】本考案では、シャワーヘッドに向かうホ
ースの基端に減圧弁を設けているので、シャワーヘッド
側で流量を絞る操作をしても、ホースの内圧の上昇はな
い。したがって、ホースの破損やこれに接続する配管部
材や水栓からの抜けが防止できる。また、シャワーヘッ
ド側で頻繁に流量調整しても、湯水混合栓等の供給側に
は圧力変動の伝達がなく、温度や流量の変動がない安定
した散水が維持され、使い勝手も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】シャワー設備の概要を示す図であって、同図の
（ａ）はその平面図、同図の（ｂ）は左側面図である。

【図２】湯水混合栓の中央縦断面図である。

【図３】シャワーヘッドに設ける流量調整用のロータリ
ー式の絞り弁の動きを示す概略断面図である。

【図４】減圧弁の内部構造を示す拡大縦断面図である。

【符号の説明】

１ 湯水混合栓 ２ ホース ３ シャワーヘッド ３ａ 絞り弁 ３ｂ 調整ハンドル ５ 減圧弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−23822（ＪＰ，Ａ) 実開 昭55−163058（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A47K 3/22

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水又は湯と水との混合水の供給側にホー
   スによって接続され、該ホースの先端にシャワーヘッド
   を備えると共に、該シャワーヘッドに流量調整機構を備
   えたシャワー装置であって、前記ホースの基端部と供給
   側との間に、減圧弁を備えてなり、該減圧弁は供給側に
   連絡する流入口と、ホースの基端部に連絡する流出口
   と、前記流入口と流出口との間に設けられた弁座と、該
   弁座の一次側に設けられた弁体と、該弁体に連係し前記
   弁座の二次側に設けられ二次側の水圧上昇で該弁体を閉
   じる方向に移動させる受圧部材と、該受圧部材を前記弁
   体を開く方向に付勢し二次側の水圧を設定するスプリン
   グを備え、前記流量調整機構の流量を絞る操作でのホー
   ス側の圧力上昇を抑制したことを特徴とするシャワー装
   置。