JP2572408Y2 - 水栓器具 - Google Patents

水栓器具

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JP2572408Y2
JP2572408Y2 JP1993016599U JP1659993U JP2572408Y2 JP 2572408 Y2 JP2572408 Y2 JP 2572408Y2 JP 1993016599 U JP1993016599 U JP 1993016599U JP 1659993 U JP1659993 U JP 1659993U JP 2572408 Y2 JP2572408 Y2 JP 2572408Y2
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光則 河村
毅 鈴木
秀具 穂積
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株式会社イナックス
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は水栓器具に関し、詳し
くは漏れ検査に際して誤判定を防止するために技術手段
に関する。
【0002】
【従来の技術】水栓器具の一種に、スピンドルの前進運
動により弁体を通水路に形成した弁座に押し付け、通水
路を閉じるようにしたものがある。図4はその一例を示
している。図において100は水栓本体で、102は内
部の通水路である。
【0003】104は所謂コマと称される部材であって
通水路102に形成された弁座112に着座し又はこれ
より離間することによって通水路102を開閉する弁体
であり、106は弁体104を弁座112に押し付ける
スピンドルである。
【0004】弁体104は円板形状の弁本体108を有
しており、その一面側にゴムパッキン110がナットに
て固定されていて、このパッキン110において弁座1
12に着座するようになっている。
【0005】弁本体108の他面側の中心部からは軸状
部114が延び出しており、この軸状部114が、スピ
ンドル106の中心孔116内に所定の嵌合クリアラン
スをもって嵌合している。
【0006】この水栓器具においては、ハンドル118
を回転操作するとスピンドル106がねじ作用で図中下
向きに押し込まれる。そしてその先端面において弁体1
04における弁本体108の上面を押圧し、弁体104
を弁座112に押し付ける。即ち弁体104を弁座11
2に強制着座させて通水路102を閉じる。
【0007】この水栓器具は、製造後において主に水栓
本体100に穴等の漏れ個所がないかどうか調べるため
の検査を行なう。その検査方法として従来、弁体104
を押し当てて通水路102を閉じた状態で通水路102
内部にA方向又はB方向からエア圧を供給し、エアの漏
れの有無を調べる方法が用いられている。
【0008】図5はその方法を具体的に示している。こ
の方法は、予め漏れのないことが確認済の水栓器具12
4と検査を行なうべき水栓器具126とにエア回路12
8を通じてエア圧を供給し、そして一定のエア圧を供給
した後にバルブ130を閉じてその後一定時間放置し、
回路128を連絡する連絡通路131上に設けた差圧セ
ンサ132にて漏れの有無を検出するといったものであ
る。
【0009】検査対象としての水栓器具126に漏れが
あると、図中右側の回路128と左側の回路128とに
差圧が生じるため、その差圧を差圧センサ132にて検
出することで漏れの有無を調べるのである。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】この検査方法は、水栓
器具の漏れの有無を速やかに検査できる利点を有する半
面、水栓器具に漏れがないにも拘らず漏れがあるものと
誤って判定してしまう問題があった。
【0011】本考案者がその原因を調べたところ、次の
ような理由によるものであることが判明した。即ち図4
(ィ)中A方向にエア圧を供給する場合において、エア
圧供給後一定時間放置しておくと、当初スピンドル10
6の先端面120((ロ)参照)と弁体104における
弁本体108の上面122との当接により閉じられてい
たスピンドル106の中心孔116内に、それら面12
0,122に付着していたグリース(ねじ部の潤滑のた
めのもの)のエア圧による排除その他何らかの理由でエ
アが入り込み、これがエア漏れと認識されて水栓器具に
漏れ有りと誤判定されてしまうものと認められた。
【0012】水栓器具における漏れの検査方法として、
他に、水栓器具の内部(通水路102)にエア圧を供給
した状態で水栓器具全体を水没させ、泡の発生の有無を
目視確認する方法があり、この方法によれば上記中心孔
116内へのエアの侵入に起因する誤判定を防止するこ
とが可能である。
【0013】しかしながらこの方法の場合、作業者は一
々水栓器具を水中に入れたり、水の中から出したりしな
ければならず、また泡の発生の有無をある時間かけて観
察しなければならない上に、水栓器具の表面等に付着し
ていたエアが泡となって発生するといったこともあり、
泡の発生の確認に関して細心の注意が必要である等検査
が非能率的であり、水栓器具の生産性を低下させる要因
となる問題がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本考案はこのような問題
を解決するためになされたものである。而して本考案
は、水栓本体内部の通水路に形成された弁座に対して一
面側が押し当てられる板状の弁本体の他面側の中心部か
ら軸状部が延び出した形態の弁体と、所定深さの中心孔
において該弁体の軸状部に嵌合し、先端面において該弁
本体の該軸状部側の面に当接して該弁体に軸方向の操作
力を及ぼし、該弁体を該弁座に強制着座させるスピンド
ルとを備えた水栓器具において、該スピンドルにおける
前記中心孔の内部と前記通水路における前記弁体より下
流側の部分とを連通させる連通路を該スピンドル及び/
又は該弁体に設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0015】また本願の別の考案は、前記通水路が、前
記スピンドルの先端面又は前記弁本体の前記軸状部側の
面に、前記中心孔の内部と前記通水路とを連通させる状
態に形成された隙間から成っていることを特徴とする
(請求項2)。
【0016】
【作用及び考案の効果】請求項1の考案に係る水栓器具
においては、閉弁状態でスピンドルの中心孔内部と通水
路の弁体よりも下流側の部分とが連通した状態にあり、
従って弁体よりも下流側からエア圧を供給して漏れの検
査を行なうに際して、エア圧供給後に何らかのはずみで
エアが中心孔内部に入り込み、これに起因して漏れ有り
と誤判定されてしまうのを防止することができる。
【0017】請求項2の考案は、スピンドル先端面又は
弁本体の軸状部側の面、つまりスピンドル先端面に当接
する側の面に形成した隙間をもって前記連通路と成した
もので、本考案によればスピンドル又は弁体の製造と同
時に連通路形成ができ、二次加工にて連通路を形成しな
くても良い利点が得られる。
【0018】これらスピンドル,弁体の製造用の型に予
め対応する突部を設けておくことで上記スピンドル,弁
体の成形時に同時に隙間を形成できるからである。
【0019】
【実施例】次に本考案を単水栓に適用した場合の実施例
を図面に基づいて詳しく説明する。図1において10は
鋳物からなる水栓本体で、12はその内部の通水路、1
4は金属製のスピンドルで上端にハンドル16が取り付
けられている。スピンドル14は、袋ナット18にて水
栓本体10に固定されたパッキン20に対して外周面が
水密に嵌合している。
【0020】スピンドル14には大径部22が設けられ
ており、その外周面にねじ部24が形成されていて、こ
のねじ部24が水栓本体10に形成されたねじ部に螺合
しており、ハンドル16を回転操作するとそのねじ部2
4の送り作用でスピンドル14が図中上下方向に進退す
る。このスピンドル14には先端面(下端面)において
開口する行止り穴形態の中心孔26が形成されている。
【0021】28は金属製の弁体であって、図1(ロ)
にも示しているように円板形状の弁本体30を有し、こ
の弁本体30の下面側にゴムパッキン34がナット32
にて固定されていて、このパッキン34において弁座1
5に着座するようになっている。
【0022】弁本体30の上面側の中心部からは軸状部
36が延び出しており、この軸状部36が上記スピンド
ル14の中心孔26内に所定の嵌合クリアランスをもっ
て嵌合している。ここで軸状部36の高さは中心孔26
の深さよりも低くされている。
【0023】弁本体30の上面及び前記スピンドル14
の下端面はそれぞれ平坦面となっていてそれらの面にお
いて互いに当接し、スピンドル14に加えられた下向き
の操作力がこれら当接面において弁体28に作用する。
【0024】弁本体30の上面には、図2に明らかに示
しているように3つの溝38が互いに120°隔てて放
射状に設けられている。これら溝38は、軸状部36の
外周部位から弁本体30の外周部位まで延びている。
【0025】本例の水栓器具の場合、ハンドル16を回
転操作してスピンドル14を下向きに前進させ、弁体2
8を弁座15に押し付けた時においても、弁本体30の
上面に形成された放射状の溝38によって、スピンドル
14の中心孔26内部と通水路12の弁体28よりも下
流側の部分とが連通した状態にある。
【0026】従って前述した図5に示す方法で水栓器具
の漏れ検査を行なうに際して、図1(イ)中A方向にエ
ア圧を供給したとき、通水路12内のエア圧が当初より
中心孔26内部に導入される。
【0027】それ故図5に示す方法で検査を行なったと
き、エア圧供給後の放置時の段階でエア圧が初めて中心
孔26内に入り込むといったことがなく、従ってこれに
基づく誤判定を防止することができる。
【0028】因みに従来の水栓器具において、閉弁状態
でA方向にエア圧を供給して漏れ検査を行なったときに
は12.7%の率で漏れ有りと判定されていたのが、本
例の水栓器具を用いて同じ検査を行なった場合、4%の
率で漏れ有りと判定され、検査における不良判定率が著
しく減少した。
【0029】即ち従来漏れ有りと判定されていたものの
うち多くのものが正常品であり、本例によれば正常品で
ありながら漏れ有りと誤判定されるのを有効に防止でき
ることが確認された。
【0030】尚弁体28における弁本体30の上面はス
ピンドル14から押圧力を受ける部分であり、従って同
部分に溝38を形成しても水栓としての機能上何ら支障
はない。
【0031】以上本考案の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示である。例えば本考案においては図3に示
しているようにスピンドル39の下端面に放射状の溝4
0を形成して、スピンドル39の中心孔26の内外を連
通させるようにすることも可能である。
【0032】この場合においても、スピンドル39製造
時に同時に溝40を形成でき、製造後において連通路を
二次加工で形成しなくても良い利点が得られる。
【0033】また中心孔26の内部と外部とを連通させ
るための手段として、スピンドルの下端面又は弁本体の
上面に上例とは異なった形態の突起等凹凸を設けること
も可能であるし、また場合によってスピンドル下端面か
ら所定距離上側の部位においてかかるスピンドルに連通
孔を設けるといったことも可能である。
【0034】また本考案は上述のような単水栓のみなら
ず止水栓その他形態の水栓、即ちコマと称される弁体を
スピンドルで押圧して水路を開閉する形態の水栓器具一
般に適用可能である等、本考案はその主旨を逸脱しない
範囲において、当業者の知識に基づき様々な変更を加え
た形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例である水栓器具及びその弁体
と周辺部の断面構成を示す図である。
【図2】図1における弁体の詳細図である。
【図3】本考案の他の実施例の要部断面図である。
【図4】従来の水栓器具における図1に相当する図であ
る。
【図5】水栓器具の漏れ検査方法の説明図である。
【符号の説明】
10 水栓本体 12 通水路 14 スピンドル 15 弁座 26 中心孔 28 弁体 30 弁本体 36 軸状部 38,40 溝
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16K 51/00 F16K 1/36

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水栓本体内部の通水路に形成された弁座
    に対して一面側が押し当てられる板状の弁本体の他面側
    の中心部から軸状部が延び出した形態の弁体と、所定深
    さの中心孔において該弁体の軸状部に嵌合し、先端面に
    おいて該弁本体の該軸状部側の面に当接して該弁体に軸
    方向の操作力を及ぼし、該弁体を該弁座に強制着座させ
    るスピンドルとを備えた水栓器具において該スピンドル
    における前記中心孔の内部と前記通水路における前記弁
    体より下流側の部分とを連通させる連通路を該スピンド
    ル及び/又は該弁体に設けたことを特徴とする水栓器
    具。
  2. 【請求項2】 前記通水路が、前記スピンドルの先端面
    又は前記弁本体の前記軸状部側の面に、前記中心孔の内
    部と前記通水路とを連通させる状態に形成された隙間か
    ら成っていることを特徴とする請求項1に記載の水栓器
    具。
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