JP2569429B2 - タイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤 - Google Patents
タイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤Info
- Publication number
- JP2569429B2 JP2569429B2 JP6271905A JP27190594A JP2569429B2 JP 2569429 B2 JP2569429 B2 JP 2569429B2 JP 6271905 A JP6271905 A JP 6271905A JP 27190594 A JP27190594 A JP 27190594A JP 2569429 B2 JP2569429 B2 JP 2569429B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- methyl
- isobutyrate
- heptadecenyl
- attractant
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Description
【0001】
【技術分野】本発明は、タイワンキドクガの卵寄生蜂の
誘引剤に関するものであり、詳しくは、(Z)−16−
メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレートを活性成
分として含有するタイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤
に関するものである。
誘引剤に関するものであり、詳しくは、(Z)−16−
メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレートを活性成
分として含有するタイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤
に関するものである。
【0002】
【背景技術】鱗翅目ドクガ科に属するタイワンキドクガ
(学名:Euproctis taiwana)は、沖
縄や台湾などの地方に生息し、マンゴー、ビワ、チャ、
インゲンマメあるいはトウモロコシなどの他、様々な作
物を食害すると共に、2齢以上の幼虫は毒毛針を有し、
これが繭に付着し、成虫、特に雌成虫が羽化するときに
腹部や尾毛に付着し、この毒毛針が人の皮膚に刺さると
炎症を起こす原因となるので、タイワンキドクガは、様
々な作物を食害する害虫であると共に、人に対する衛生
害虫でもある。従来、タイワンキドクガの防除は殺虫剤
散布によってなされてきたが、タイワンキドクガを効果
的に防除するためには、その発生時期を的確に知ること
が必要であり、殺虫剤散布による効果的な防除を期待す
ることは極めて困難である。一方、殺虫剤の使用につい
ては、その残留が大きな社会問題となっている。このよ
うな事情から、タイワンキドクガを効果的に防除するた
めには、発生生態を的確に知るための発生予察手段や、
一般の殺虫剤による防除方法とは異なる格別の防除手段
の開発が強く望まれている。
(学名:Euproctis taiwana)は、沖
縄や台湾などの地方に生息し、マンゴー、ビワ、チャ、
インゲンマメあるいはトウモロコシなどの他、様々な作
物を食害すると共に、2齢以上の幼虫は毒毛針を有し、
これが繭に付着し、成虫、特に雌成虫が羽化するときに
腹部や尾毛に付着し、この毒毛針が人の皮膚に刺さると
炎症を起こす原因となるので、タイワンキドクガは、様
々な作物を食害する害虫であると共に、人に対する衛生
害虫でもある。従来、タイワンキドクガの防除は殺虫剤
散布によってなされてきたが、タイワンキドクガを効果
的に防除するためには、その発生時期を的確に知ること
が必要であり、殺虫剤散布による効果的な防除を期待す
ることは極めて困難である。一方、殺虫剤の使用につい
ては、その残留が大きな社会問題となっている。このよ
うな事情から、タイワンキドクガを効果的に防除するた
めには、発生生態を的確に知るための発生予察手段や、
一般の殺虫剤による防除方法とは異なる格別の防除手段
の開発が強く望まれている。
【0003】最近多くの害虫の寄生蜂の存在が明らかに
され、その寄生蜂を用いた害虫防除法が開発されつつあ
る。新しい試みの一つとして、害虫から放出される化学
物質を用いて有用卵寄生蜂を誘引することによって、害
虫の卵への寄生率を高め、害虫を制御することが考えら
れている。タイワンキドクガの雌成虫に膜翅目クロタマ
ゴバチ科に属する卵寄生蜂(学名:Telenomus
sp.cf.euproctis)がつくことが知ら
れており、この卵寄生蜂を用いたタイワンキドクガの防
除が考えられている。
され、その寄生蜂を用いた害虫防除法が開発されつつあ
る。新しい試みの一つとして、害虫から放出される化学
物質を用いて有用卵寄生蜂を誘引することによって、害
虫の卵への寄生率を高め、害虫を制御することが考えら
れている。タイワンキドクガの雌成虫に膜翅目クロタマ
ゴバチ科に属する卵寄生蜂(学名:Telenomus
sp.cf.euproctis)がつくことが知ら
れており、この卵寄生蜂を用いたタイワンキドクガの防
除が考えられている。
【0004】本発明者らは、このような状況に鑑み、タ
イワンキドクガの卵寄生蜂に関し鋭意研究を行った結
果、タイワンキドクガの性フェロモン物質である(Z)
−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレート
を見い出したが、当該物質がタイワンキドクガの卵寄生
蜂に対して極めて強い誘引作用を示すことをも見い出し
た。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたもの
である。
イワンキドクガの卵寄生蜂に関し鋭意研究を行った結
果、タイワンキドクガの性フェロモン物質である(Z)
−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレート
を見い出したが、当該物質がタイワンキドクガの卵寄生
蜂に対して極めて強い誘引作用を示すことをも見い出し
た。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたもの
である。
【0005】
【発明の開示】本発明は、(Z)−16−メチル−9−
ヘプタデセニル・イソブチレートを活性成分として含有
するタイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤を提供するも
のである。当該製剤においてはもちろん、任意に所望さ
れる他の成分を配合することができる。以下、本発明を
詳細に説明する。
ヘプタデセニル・イソブチレートを活性成分として含有
するタイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤を提供するも
のである。当該製剤においてはもちろん、任意に所望さ
れる他の成分を配合することができる。以下、本発明を
詳細に説明する。
【0006】本発明に係る誘引剤の活性成分である
(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチ
レートは、本発明者らによって見出された新規物質であ
るところ、同物質は物質単休で、タイワンキドクガの卵
寄生蜂に対して強い誘引活性を有する。この活性成分物
質は、そのまま、またはヘキサンなどの有機溶媒に溶か
して溶液とし、これを適当な担体、例えば、ポリエチレ
ンなどのプラスチック材料やゴムなどに吸着させるか、
あるいはプラスチック性のカプセルや細管などに封入す
るなどして、それらからその活性成分物質を徐々に空気
中に放出させるというタイプの徐放性の製剤とすること
ができる。以下に、本発明に係る誘引剤の成分物質なら
びにその誘引活性の確認試験について詳細に記述する。
(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチ
レートは、本発明者らによって見出された新規物質であ
るところ、同物質は物質単休で、タイワンキドクガの卵
寄生蜂に対して強い誘引活性を有する。この活性成分物
質は、そのまま、またはヘキサンなどの有機溶媒に溶か
して溶液とし、これを適当な担体、例えば、ポリエチレ
ンなどのプラスチック材料やゴムなどに吸着させるか、
あるいはプラスチック性のカプセルや細管などに封入す
るなどして、それらからその活性成分物質を徐々に空気
中に放出させるというタイプの徐放性の製剤とすること
ができる。以下に、本発明に係る誘引剤の成分物質なら
びにその誘引活性の確認試験について詳細に記述する。
【0007】I.活性物質の単離及び同定 (イ) 活性物質の単離 沖縄県農業試験場内の圃場に発生した幼虫を採集し、室
内で飼育して得たさなぎから成虫を得た。雌成虫262
頭の腹部末端節付近の性フェロモン分泌腺を切り取り、
ヘキサンによって30分間抽出し抽出物を得た。この抽
出物をフロリジルを充填したカラムクロマトグラフィー
により分画した。また、この抽出物と5%−エーテル/
ヘキサン画分を触角電位検出器装着ガスクロマトグラフ
(以下GC−EADと略記する)を用いて分析したとこ
ろ、タイワンキドクガの雄の触角に明確な電位を発生さ
せる成分が2成分あることが認められた。5%−エーテ
ル/ヘキサン画分をガスクロマトグラフ直結質量分析計
(以下GC−MSと略記する)を用いて分析したとこ
ろ、活性成分は、炭素数18個の飽和脂肪族アルコール
と炭素数4個の飽和脂肪酸エステル(以下A成分と略記
する)と、炭素数18個の不飽和度が1の脂肪族アルコ
ールと炭素数4個の飽和脂肪酸エステル(以下B成分と
略記する)の混合物であることが判明した。
内で飼育して得たさなぎから成虫を得た。雌成虫262
頭の腹部末端節付近の性フェロモン分泌腺を切り取り、
ヘキサンによって30分間抽出し抽出物を得た。この抽
出物をフロリジルを充填したカラムクロマトグラフィー
により分画した。また、この抽出物と5%−エーテル/
ヘキサン画分を触角電位検出器装着ガスクロマトグラフ
(以下GC−EADと略記する)を用いて分析したとこ
ろ、タイワンキドクガの雄の触角に明確な電位を発生さ
せる成分が2成分あることが認められた。5%−エーテ
ル/ヘキサン画分をガスクロマトグラフ直結質量分析計
(以下GC−MSと略記する)を用いて分析したとこ
ろ、活性成分は、炭素数18個の飽和脂肪族アルコール
と炭素数4個の飽和脂肪酸エステル(以下A成分と略記
する)と、炭素数18個の不飽和度が1の脂肪族アルコ
ールと炭素数4個の飽和脂肪酸エステル(以下B成分と
略記する)の混合物であることが判明した。
【0008】5%−エーテル/ヘキサン画分をさらに硝
酸銀を含有させたシリカゲルカラムクロマトグラフィー
により分画した。各画分をGC−MSで分析したとこ
ろ、A成分は2%−エーテル/ヘキサン画分に、B成分
は4%−、5%−及び7%−エーテル/ヘキサン画分に
それぞれ溶出され、この2成分を分離することができ
た。
酸銀を含有させたシリカゲルカラムクロマトグラフィー
により分画した。各画分をGC−MSで分析したとこ
ろ、A成分は2%−エーテル/ヘキサン画分に、B成分
は4%−、5%−及び7%−エーテル/ヘキサン画分に
それぞれ溶出され、この2成分を分離することができ
た。
【0009】(ロ) 活性物質の同定 A成分を含むフラクションを加水分解して得られたアル
コール成分をメタンスルフォニルクロリドで処理して塩
化物とし、GC−MSに供した。A成分由来の塩化物は
m/z288に分子イオンピーク、特徴的なフラグメン
トイオンとしてm/z245及び273に塩素原子を含
むピークを示した。この結果から、A成分の炭素数18
個のアルコールには16位にメチル側鎖があるものと判
断された。そこで、別途合成した1−クロロ−16−メ
チルヘプタデカンを同様にGC−MSに供したところ、
保持時間、質量スペクトル共に一致することが確認され
た。さらに、別途合成された16−メチル−1−ヘプタ
デカノールのイソ酪酸エステル(16−メチル−1−ヘ
プタデセニル・イソブチレート)をGC−EADとGC
−MSとを用いて分析を行ったところ、その結果は抽出
物由来のA成分の分析結果と一致した(図1参照)。
コール成分をメタンスルフォニルクロリドで処理して塩
化物とし、GC−MSに供した。A成分由来の塩化物は
m/z288に分子イオンピーク、特徴的なフラグメン
トイオンとしてm/z245及び273に塩素原子を含
むピークを示した。この結果から、A成分の炭素数18
個のアルコールには16位にメチル側鎖があるものと判
断された。そこで、別途合成した1−クロロ−16−メ
チルヘプタデカンを同様にGC−MSに供したところ、
保持時間、質量スペクトル共に一致することが確認され
た。さらに、別途合成された16−メチル−1−ヘプタ
デカノールのイソ酪酸エステル(16−メチル−1−ヘ
プタデセニル・イソブチレート)をGC−EADとGC
−MSとを用いて分析を行ったところ、その結果は抽出
物由来のA成分の分析結果と一致した(図1参照)。
【0010】B成分をジイミドにより還元した生成物の
ガスクロマトグラフでの保持時間とマススペクトル、お
よびジイミド還元物を加水分解して得られたアルコール
成分をメタンスルフォルニルクロリドで処理して得られ
た塩化物のマススペクトルは、A成分の結果と完全に一
致した。従って、B成分の化学構造はA成分の化学構
造、すなわち16−メチルヘプタデセニル・イソブチレ
ートのアルコール部分に1カ所二重結合が存在すること
が示唆された。
ガスクロマトグラフでの保持時間とマススペクトル、お
よびジイミド還元物を加水分解して得られたアルコール
成分をメタンスルフォルニルクロリドで処理して得られ
た塩化物のマススペクトルは、A成分の結果と完全に一
致した。従って、B成分の化学構造はA成分の化学構
造、すなわち16−メチルヘプタデセニル・イソブチレ
ートのアルコール部分に1カ所二重結合が存在すること
が示唆された。
【0011】B成分を含むフラクションを還元的オゾン
分解反応に供し、生成物を直ちにGC−MSを用いて分
析したところ、8−ホルミルオクチル・イソブチレート
及び炭素数9のアルデヒドが検出された。従って、この
オゾン分解反応の結果及びA成分の分析の結果の両方か
ら、B成分は16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソ
ブチレートであると推定された。
分解反応に供し、生成物を直ちにGC−MSを用いて分
析したところ、8−ホルミルオクチル・イソブチレート
及び炭素数9のアルデヒドが検出された。従って、この
オゾン分解反応の結果及びA成分の分析の結果の両方か
ら、B成分は16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソ
ブチレートであると推定された。
【0012】そこで、16−メチル−9−ヘプタデセニ
ル・イソブチレートのそれぞれの幾何異性体を別途合成
し、ガスクロマトグラフ分析を行い、B成分の分析結果
と比較・分析したところ、二重結合の幾何異性体は
(Z)であることが判明した。合成された(Z)−16
−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレートをGC
−MSとGC−EADとを用いて分析を行ったところ、
その結果は抽出物由来のB成分の分析結果と一致した
(図2参照)。
ル・イソブチレートのそれぞれの幾何異性体を別途合成
し、ガスクロマトグラフ分析を行い、B成分の分析結果
と比較・分析したところ、二重結合の幾何異性体は
(Z)であることが判明した。合成された(Z)−16
−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレートをGC
−MSとGC−EADとを用いて分析を行ったところ、
その結果は抽出物由来のB成分の分析結果と一致した
(図2参照)。
【0013】以上の結果から、タイワンキドクガの雄の
触角に明確な電位を発生させる活性物質(天然物)は、
主成分であるB成分(雌1頭あたりの抽出量:22.3
ng)(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イ
ソブチレートであり、少量成分のA成分(雌1頭あたり
の抽出量:7.5ng)は、16−メチルヘプタデシル
イソブチレートであることが同定された。
触角に明確な電位を発生させる活性物質(天然物)は、
主成分であるB成分(雌1頭あたりの抽出量:22.3
ng)(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イ
ソブチレートであり、少量成分のA成分(雌1頭あたり
の抽出量:7.5ng)は、16−メチルヘプタデシル
イソブチレートであることが同定された。
【0014】II.活性成分の合成方法の1例(図3
A、図3Bおよび図3C参照) 以下の記述においては、多くの化学文献において慣用さ
れている方法にならい、化合物名に対し、順次、番号を
カッコをもって付し、その化合物をその番号をもって表
示するものとする。2−プロピン−1−オール(1)
(25g)をパラトルエンスルホン酸存在下3,4−ジ
ヒドロ−2H−ピラン(45g)と反応させて、液状の
1−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−2−プロピ
ン(2)(収量53g、bp 55℃/4mmHg)を
得た。(2)(52g)を無水テトラヒドロフランに溶
解し、n−ブチルリチウムを加え2時間撹拌した。この
反応系に、ヘキサメチルリン酸トリアミドに溶解させた
1−ブロモ−3−メチルブタン(3)(70g)を加
え、8時間撹拌することによって、液状の6−メチル−
1−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−2−ヘプチ
ン(4)(収量41g、bp 104℃/2mmHg)
を得た。
A、図3Bおよび図3C参照) 以下の記述においては、多くの化学文献において慣用さ
れている方法にならい、化合物名に対し、順次、番号を
カッコをもって付し、その化合物をその番号をもって表
示するものとする。2−プロピン−1−オール(1)
(25g)をパラトルエンスルホン酸存在下3,4−ジ
ヒドロ−2H−ピラン(45g)と反応させて、液状の
1−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−2−プロピ
ン(2)(収量53g、bp 55℃/4mmHg)を
得た。(2)(52g)を無水テトラヒドロフランに溶
解し、n−ブチルリチウムを加え2時間撹拌した。この
反応系に、ヘキサメチルリン酸トリアミドに溶解させた
1−ブロモ−3−メチルブタン(3)(70g)を加
え、8時間撹拌することによって、液状の6−メチル−
1−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−2−ヘプチ
ン(4)(収量41g、bp 104℃/2mmHg)
を得た。
【0015】(4)(41g)をメタノールに溶解し、
酸化白金存在下、水素ガスと反応させて、6−メチル−
1−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−ヘプタン
(5)とした後、濾過しパラトルエンスルホン酸を加え
て撹拌することにより液状の6−メチル−1−ヘプタノ
ール(6)(粗精製物33g)を得た。(6)(粗精製
物33g)を硫酸存在下臭化水素酸と共に還流して、液
状の1−ブロモ−6−メチルヘプタン(7)(収量17
g、bp 72℃/20mmHg)を得た。
酸化白金存在下、水素ガスと反応させて、6−メチル−
1−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−ヘプタン
(5)とした後、濾過しパラトルエンスルホン酸を加え
て撹拌することにより液状の6−メチル−1−ヘプタノ
ール(6)(粗精製物33g)を得た。(6)(粗精製
物33g)を硫酸存在下臭化水素酸と共に還流して、液
状の1−ブロモ−6−メチルヘプタン(7)(収量17
g、bp 72℃/20mmHg)を得た。
【0016】リチウムアセチリドエチレンジアミン錯体
を無水ジメチルスルホキシドに溶解し、(7)(17
g)を加え24時間撹拌することによって、液状の8−
メチル−1−ノニン(8)(収量5g、bp 62℃/
18mmHg)を得た。8−ブロモ−1−オクタノール
(9)(10g)をパラトルエンスルホン酸存在下、
3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(5g)と反応させ
て、液状の8−ブロモ−1−(2−テトラヒドロピラニ
ルオキシ)−オクタン(10)(収量10g、bp 1
41℃/2mmHg)を得た。
を無水ジメチルスルホキシドに溶解し、(7)(17
g)を加え24時間撹拌することによって、液状の8−
メチル−1−ノニン(8)(収量5g、bp 62℃/
18mmHg)を得た。8−ブロモ−1−オクタノール
(9)(10g)をパラトルエンスルホン酸存在下、
3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(5g)と反応させ
て、液状の8−ブロモ−1−(2−テトラヒドロピラニ
ルオキシ)−オクタン(10)(収量10g、bp 1
41℃/2mmHg)を得た。
【0017】(8)(5g)を無水テトラヒドロフラン
に溶解し、n−ブチルリチウムを加え2時間撹拌した。
この反応系に、ヘキサメチルリン酸トリアミドに溶解さ
せた(10)(10g)を加え、8時間撹拌することに
よって、液状の16−メチル−1−(2−テトラヒドロ
ピラニルオキシ)−9−ヘプタデシン(11)(粗精製
物収量17g)を得た。(11)(粗精製物収量17
g)をメタノールに溶解し、パラトルエンスルホン酸を
加えて撹拌することにより液状の16−メチル−9−ヘ
プタデシン−1−オール(12)(粗精製物14g)を
得た。
に溶解し、n−ブチルリチウムを加え2時間撹拌した。
この反応系に、ヘキサメチルリン酸トリアミドに溶解さ
せた(10)(10g)を加え、8時間撹拌することに
よって、液状の16−メチル−1−(2−テトラヒドロ
ピラニルオキシ)−9−ヘプタデシン(11)(粗精製
物収量17g)を得た。(11)(粗精製物収量17
g)をメタノールに溶解し、パラトルエンスルホン酸を
加えて撹拌することにより液状の16−メチル−9−ヘ
プタデシン−1−オール(12)(粗精製物14g)を
得た。
【0018】(12)(粗精製物14g)をメタノール
に溶解させ、リンドラー触媒存在下、水素ガスと反応さ
せて、液状の16−メチル−9−ヘプタデセン−1−オ
ール(13)(収量2.2g、bp 137℃/1mm
Hg)を得た。(13)(収量2.2g)をピリジンに
溶解させ、無水イソ酪酸(2.5g)と8時間撹拌する
ことによって、液状の16−メチル−9−ヘプタデセニ
ル・イソブチレート(14)(粗精製物収量2.9g)
を得た。
に溶解させ、リンドラー触媒存在下、水素ガスと反応さ
せて、液状の16−メチル−9−ヘプタデセン−1−オ
ール(13)(収量2.2g、bp 137℃/1mm
Hg)を得た。(13)(収量2.2g)をピリジンに
溶解させ、無水イソ酪酸(2.5g)と8時間撹拌する
ことによって、液状の16−メチル−9−ヘプタデセニ
ル・イソブチレート(14)(粗精製物収量2.9g)
を得た。
【0019】(14)(粗精製物2.2g)を硝酸銀を
含有させたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにか
け、(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソ
ブチレート(14−Z)(収量2.0g)および(E)
−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレート
(14−E)(収量0.1g)と幾何異性体ごとに精製
した。(14)(粗精製物0.2g)をメタノールに溶
解し、酸化白金存在下、水素ガスと反応させることによ
り、液状の16−メチルヘプタデシル・イソブチレート
(15)を得、精製はシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーにより行った(収量0.1g)。
含有させたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにか
け、(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソ
ブチレート(14−Z)(収量2.0g)および(E)
−16−メチル−9−ヘプタデセニル・イソブチレート
(14−E)(収量0.1g)と幾何異性体ごとに精製
した。(14)(粗精製物0.2g)をメタノールに溶
解し、酸化白金存在下、水素ガスと反応させることによ
り、液状の16−メチルヘプタデシル・イソブチレート
(15)を得、精製はシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーにより行った(収量0.1g)。
【0020】III.成分物質の誘引活性の確認試験 タイワンキドクガの雌成虫から性フェロモンとして同定
されている(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル
・イソブチレート(B成分)および16−メチルヘプタ
デシル・イソブチレート(A成分)を用いて、B成分単
独、または混合して卵寄生蜂に対する誘引活性を調べ
た。B成分単独、またはそれらの混合物を濾紙に含ませ
たものを誘引源にして捕獲器内にとりつけたものを野外
に設置した。誘引されたタイワンキドクガの卵寄生蜂を
捕獲し、その捕獲数によって化合物の誘引活性を比較し
た。なお、ここで用いた捕獲器は、粘着物質を塗布した
粘着板の上に誘引源またはタイワンキドクガの未交尾雌
を入れた金属製の小カゴを吊り下げ、雨露を防ぐため粘
着板とほぼ同型の屋根部で覆う構造のものとした。この
誘引活性試験の結果を表1と表2に示す。
されている(Z)−16−メチル−9−ヘプタデセニル
・イソブチレート(B成分)および16−メチルヘプタ
デシル・イソブチレート(A成分)を用いて、B成分単
独、または混合して卵寄生蜂に対する誘引活性を調べ
た。B成分単独、またはそれらの混合物を濾紙に含ませ
たものを誘引源にして捕獲器内にとりつけたものを野外
に設置した。誘引されたタイワンキドクガの卵寄生蜂を
捕獲し、その捕獲数によって化合物の誘引活性を比較し
た。なお、ここで用いた捕獲器は、粘着物質を塗布した
粘着板の上に誘引源またはタイワンキドクガの未交尾雌
を入れた金属製の小カゴを吊り下げ、雨露を防ぐため粘
着板とほぼ同型の屋根部で覆う構造のものとした。この
誘引活性試験の結果を表1と表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】この試験の結果、(Z)−16−メチル−
9−ヘプタデセニル・イソブチレート(B成分)および
16−メチルヘプタデシル・イソブチレート(A成分)
との混合物に卵寄生蜂に対する顕著な誘引活性を有する
ことが認められた。また、それらの誘引活性はタイワン
キドクガの処女雌3頭の誘引性を上回ることが認められ
た。
9−ヘプタデセニル・イソブチレート(B成分)および
16−メチルヘプタデシル・イソブチレート(A成分)
との混合物に卵寄生蜂に対する顕著な誘引活性を有する
ことが認められた。また、それらの誘引活性はタイワン
キドクガの処女雌3頭の誘引性を上回ることが認められ
た。
【0023】
【表2】
【0024】上述の試験の結果、(Z)−16−メチル
−9−ヘプタデセニル・イソブチレート(B成分)単独
で、タイワンキドクガの処女雌3頭の誘引性を上回る卵
寄生蜂に対する誘引活性が確認された。
−9−ヘプタデセニル・イソブチレート(B成分)単独
で、タイワンキドクガの処女雌3頭の誘引性を上回る卵
寄生蜂に対する誘引活性が確認された。
【図1】A成分の質量スペクトル(EI 70 eV)
である。
である。
【図2】B成分の質量スペクトル(EI 70 eV)
である。
である。
【図3A】BおよびA成分の合成経路である。
【図3B】図3Aのつづき。BおよびA成分の合成経路
である。
である。
【図3C】図3Bのつづき。BおよびA成分の合成経路
である。
である。
Claims (1)
- 【請求項1】 (Z)−16−メチル−9−ヘプタデセ
ニル・イソブチレートを活性成分として含有することを
特徴とするタイワンキドクガの卵寄生蜂に対する誘引
剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6271905A JP2569429B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | タイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6271905A JP2569429B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | タイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0899807A JPH0899807A (ja) | 1996-04-16 |
JP2569429B2 true JP2569429B2 (ja) | 1997-01-08 |
Family
ID=17506527
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6271905A Expired - Lifetime JP2569429B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | タイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2569429B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016063963A1 (ja) * | 2014-10-22 | 2016-04-28 | アース製薬株式会社 | 吸血性害虫卵の孵化阻害剤、吸血性害虫の殺虫組成物および吸血性害虫の殺虫方法 |
CN105028178A (zh) * | 2015-06-23 | 2015-11-11 | 潍坊友容实业有限公司 | 一种采用蜜蜂进行生物授粉的方法及其在枸杞盐碱地种植的应用 |
-
1994
- 1994-09-30 JP JP6271905A patent/JP2569429B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0899807A (ja) | 1996-04-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Jacobson et al. | Insect sex attractants. 13. Isolation, identification, and synthesis of sex pheromones of the male Mediterranean fruit fly | |
Attygalle et al. | (3E, 8Z, 11Z)-3, 8, 11-Tetradecatrienyl acetate, major sex pheromone component of the tomato pest Scrobipalpuloides absoluta (Lepidoptera: Gelechiidae) | |
Schmuff et al. | The chemical identification of the rice weevil and maize weevil aggregation pheromone | |
Francke et al. | The pheromone bouquet of Ips amitinus | |
US5728376A (en) | Tetradecatrienyl and tetradecadienyl acetates and their use as sex attractants for tomato pests | |
US4732756A (en) | (Z)-3-dodecen-1-ol (E)-2-butenoate and its use in monitoring and controlling the sweetpotato weevil | |
Phillips et al. | The chemical identification of the granary weevil aggregation pheromone | |
Subchev et al. | Sex pheromone of female vine bud moth, Theresimima ampellophaga comprises (2 S)-butyl (7 Z)-tetradecenoate | |
Gago et al. | A tetraene aldehyde as the major sex pheromone component of the promethea moth (Callosamia promethea (Drury)) | |
Sasaerila et al. | Sex pheromone components of male Tirathaba mundella (Lepidoptera: Pyralidae) | |
JP2569429B2 (ja) | タイワンキドクガの卵寄生蜂の誘引剤 | |
JP2569430B2 (ja) | タイワンキドクガの性誘引剤 | |
Munoz et al. | Synthesis of allylic trifluoromethyl ketones and their activity as inhibitors of the sex pheromone of the leopard moth, Zeuzera pyrina L.(Lepidoptera: Cossidae) | |
DE60013442T2 (de) | (e8,z10)-tetradeca-8,10-dienal,verfahren zu seiner herstellung und seine verwendung als sexuallockstoff für miniermotten | |
FR2472340A1 (fr) | Attractant composite d'insectes, pour les agrotis males a ligne blanche et procede de preparation des constituants actifs de cet attractant | |
Naka et al. | Synthesis and characterization of 3, 13-and 2, 13-octadecadienyl compounds for identification of the sex pheromone secreted by a clearwing moth, Nokona pernix | |
Zhu et al. | Identification of (Z)-4-tridecene from defensive secretion of green lacewing, Chrysoperla carnea | |
JP4512133B2 (ja) | テルペン化合物 | |
JP2689319B2 (ja) | キボシカミキリの性刺激剤 | |
JP4017107B2 (ja) | 新規エステル化合物及びその用途 | |
US4734524A (en) | Synthetic pheromone 8-methyl-2-decanol propanoate | |
JP2923763B2 (ja) | レイシヒメハマキの性誘引剤 | |
JPS6039651B2 (ja) | 14−メチル−1−オクタデセン,その製造法およびその化合物を有効成分とする昆虫誘引剤 | |
JPH0247977B2 (ja) | *e**4**z**100tetoradekajeniruasetaato*sonoseizohooyobisonokagobutsuto*z**100tetoradeseniruasetaatoojukoseibuntosurukonchujuinzai | |
JPH05221806A (ja) | アミノ酸メチルエステルを有効成分とするコガネムシ類の誘引剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |