JP2569198B2 - 列車制御装置 - Google Patents

列車制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動列車制御装置(以下、ATC)や自動列車
停止装置(以下、ATS)を備えた路線における列車の高
密度運転に関する。
〔従来の技術〕
従来、ATCは、特開昭48−64604号公報に記載されてい
る如く、区間ごとの速度指示が段階状に与えられるもの
となつていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のようなATCを備えた線区において、列車数を増
加させる高密度運転を行う場合、先行列車との距離があ
まりに近くなりすぎると、追突事故防止のためATCが動
作し、ATCによるブレーキが働く。このATCブレーキは比
較的大きなブレーキであるため、先行列車との運転間隔
である運転時隔が離れてしまう。そして、ATC信号が変
化してから加速するので、列車走行におけるエネルギー
効率及び乗心地が悪くなるという問題があつた。
この問題が発生する原因として、現状の信号方式が固
定閉塞であるることが挙げられる。固定閉塞とは、軌道
を一定の距離を有する範囲(例えば500m)に区分し、こ
の区分毎に列車の存在を検知し、同一閉塞内では前方の
閉塞の信号状態に応じた同一の制限速度が指示されるよ
うなものを指す。
上記のような問題点は、ウエイサイドに信号機を設け
目視で運転する場合、軌道に信号周波数を流し車上アン
テナで検知し制御するATC,ATSで発生する。
次に、この点を第6図を用いて詳細に説明する。第6
図は正常運転時を示している。俗にG追い(グリーン追
い)運転と称される運転で、先行列車51と後続列車52と
の間に常に数閉塞(図では2閉塞)開けて走行する運転
である。この状態では、運転時隔はほとんど変化せず、
両列車は平行移動する格好となり、両列車は最高速度で
走行できる最も良い状態である。
しかし、何らかの事情で先行列車が遅延した場合を考
える。第7図の先行列車51が閉塞2から閉塞1に抜ける
筈が、閉塞2に留つている事があり、遅延列車510とな
る。この場合の制限速度信号は波線で示した530を現示
する。この時、後続列車52が図示のように閉塞4に進入
すると信号はY(イエロー)信号現示となり列車52は速
度軌跡55を描いて強制的に45km/h以下まで低下させられ
てしまう。列車52が45km/hになる寸前に遅延列車510が
閉塞1に抜けると、制限速度信号は急激に70km/hにはね
上がる。それを受けた列車52は、最大加速で70km/hに近
づける。つまり、列車52は急減速,急加速を余儀なくさ
れる。この状態になると列車52の後続列車にも大きな影
響を与えてしまう。つまり、余分に減速した分加速させ
る時間がかかり、結局、列車52が閉塞4を抜ける時間が
かかつてしまうわけである。
この様な問題点は、列車走行速度が遅く、列車密度が
小さい場合には生じなかつた。ところが、現状高密度運
転が必要不可欠となつてきており、上記問題は必ず生ず
る。
さて、単に高密度運転のみを実現するのであれば、全
列車の走行速度を遅くし、Y現示のまま走行すればよ
い。
しかしながら、単位時間あたりの乗客輸送力は増加し
ても、単位時間あたりの走行距離が短くなるので鉄道の
もつ特質がそこなわれてしまう。
本発明の目的は、自列車が存在する閉塞の前方の閉塞
の信号(ATC,ATS等)による列車減速(運転士によるも
の、強制ブレーキによるもの)をさせずに、つまり、列
車保安装置に抵触することなしに、走行列車との間隔を
できるだけ縮めて走行させることにある。
また、上記のような走行をさせるための先行列車の情
報を後続列車に伝達することにある。
〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するため、列車が走行する軌道を複数
の区間に分割し、この区間ごとに列車が走行する走行制
限速度を指示し、この走行制限速度の範囲内で列車を走
行させる列車制御装置において、自列車より前方を走行
する走行列車の位置及び速度をこの自列車に伝達する手
段と、この走行列車の位置,速度及び前記自列車が存在
する区間とから前記自列車の目標走行速度を演算する手
段とを備え、前記自列車の目標走行速度は、前記先行列
車が存在する区間をこの先行列車が抜ける時間より、前
記自列車が存在する区間をこの自列車が抜ける時間を長
くさせる速度にしたものである。
〔作用〕
上記自列車は、先行列車の速度,位置情報及び路線情
報を入力し、これらを基に自列車が走行すべき目標走行
速度を演算する。この目標走行速度を遵守することによ
り、先行列車がその存在する閉塞を抜けるとほぼ同時
に、自列車が前方の閉塞に進入することができる。
〔実施例〕
ここで、本発明の原理を第7図を用いて説明する。
後続列車520の先行列車510に遅延が生じて閉塞2に留
つている場合、後続列車520が閉塞4に進入すると急減
速,急加速の問題が生じることは前述した。このとき、
後続列車520の速度を多少減速ぎみにしておき、先行列
車510が閉塞2を抜けた直後に後続列車520が閉塞4に進
入すれば、45km/hの減速信号にかからず、不要な急減
速,急加速を回避でき、先行列車510と後続列車520の運
転時隔を大きく変化させずに走行させることができる。
この様な運転が現状の列車運転で不可能な理由を自動
車の運転を例にとつて説明する。
後続車を運転する運転手の視界には、前方の信号機の
状態及びその信号機により運転上の制約を受ける先行車
の状態が入る。つまり、後続車は許容最高速度で赤信号
で停車中の先行車の終了まで進むより、ある程度減速し
ておき、信号が青になり先行車が発進を始めた頃に追い
着く方が流れに沿つた運転であり、また効率も良い。列
車の運行でこの運転ができないのは、後続列車において
先行列車の状態が認識できないからである。
以下、本発明の一実施例を第1図〜第5図を用いて説
明する。
第1図は、列車上の装置を示したものである。
列車1は先行列車の位置及び速度情報を地上送受信器
2,地上アンテナ3及び車上アンテナ4を介して車上送受
信器5により受信する。演算装置10は、上記先行列車の
位置,速度情報を車上送受信器5から、自列車の位置,
速度情報を速度・位置検出部7を介して速度発電機6か
ら、自列車または自列車と先行列車の列車特性を列車特
性8から、全ての閉塞が格納された路線情報を路線メモ
リ9から入力し列車1がATC信号にひつかからずに次の
閉塞に進入できる目標走行速度を演算する。この演算結
果を運転台に設置したデイスプレイに与え目標走行速度
を表示する。また、その演算結果は自動列車運転装置
(ATO)12に入力し、ATO12は、速度発電機6から入力し
た車速との偏差に応じてブレーキ制御をする。
次に演算装置10で演算される演算内容を第4図を用い
て説明する。
先行列車51が存在する閉塞2の長さをl1,後続列車52
が存在する閉塞5の長さl2とする。後続列車52は先行列
車51の位置S1,速度v1を入力し先行列車が閉塞2を抜け
る時間t1(=S1/v1)を演算する。この時間t1より早く
後続列車52が閉塞4に入つてしまうと、ATC信号の減速
指令に抵触してしまうため、後続列車52では、自列車の
閉塞5内の位置S2を入力して、 (v2′:t1=t2となる後続列車速度) の関係を演算する。そして、目標走行速度v2にゆるやか
に減速することを考慮して、v2′より数km/h小さい値を
目標走行速度v2とする。
簡略的には、この演算で良いが第1図の列車特性8に
格納してある力行性能,ブレーキ性能を用いるとさらに
正確な目標走行速度が得られる。
で演算することができる。
所要の近似度に応じ、いずれを採用しても良い。ある
いは、列車特性の代わりに標準距離対速度特性(所定速
度減速させるのに必要な距離)を予め計算しておき、区
間S2の走行所要時間をそのデータより求める事も可能で
ある。
他に時間t1,t2を求める例として、 走行区間S1を走行する時間t1を演算装置内部で先行列
車51を模擬走行させて算出する。また、後続列車52つい
ても同様に区間S2を抜ける時間t2を演算する。t2≧t1
なつてしまつた場合、後続列車52の走行速度を変化させ
模擬走行させ時間t2を算出する。この後続列車の走行速
度の変化のさせ方は、一定比率内径地点毎に変化率を変
える方法がある。
次に、第2図を用いて地上側設備を説明する。
各閉塞毎に独立の地上アンテナを有する場合を示す。
路線は第1閉塞,第2閉塞,第3閉塞……に区切られ、
その夫々に地上アンテナ3を配している。地上アンテナ
3の夫々は、地上送信器21,地上受信器22に接続され、
地上受信器22にて受信された信号は信号処理部25に入力
され、処理を終了した後、地上送信器21からアンテナ3
に送られ各列車に伝送する。信号処理部25には、単に各
列車データの交換機的役割をさせても良いし、先行列車
の位置及び速度,後続列車の位置から、後続列車の目標
走行速度を演算し、その結果を後続列車に伝達させても
良い。
この実施例の問題点は、地上アンテナが飛び飛びに配
置してあるため、後続列車が地上アンテナを通過する時
に得られる先行列車情報は現時点のものではなくなつて
しまつていることである。
この点を解決するものを第5図に示す。各閉塞の所定
地点(図に示すように閉塞の境界から距離rの地点)に
地上子を配置し、地上子を通過する際、その時の速度に
その時刻を付して後続列車(地上の信号処理部でも良
い)に送付し、それをさらに後方の地上子より受けた後
続列車は、現在の時刻と前記の付された時刻及び先行列
車の速度から現時点における先行列車の位置を推測し、
時列車の目標走行速度を演算する。この時、各閉塞の長
さは、列車上の路線メモリに格納してあるので問題はな
い。
第3図に、現時点の先行列車情報が得られる装置を示
す。第2図と同一符号は同一構成を示す。第2図と相違
する点は、送信アンテナ(地上子)をアンテナ線30とし
たことである。これにより、先行列車が地上子を通過し
た際に発信した情報が瞬時に後続列車に伝わる。
また、周波数帯域を相違させることにより、受信アン
テナもアンテナ線30で共用させることができる。この場
合位置を認識するために、交叉誘導線等の公知の装置を
用いる。
ところで、第1図において、ATO12により自動運転さ
れる場合を説明してきたが、もちろん、ATO12がなくと
も目標走行速度を運転台のデイスプレイ11に出力し、運
転士の判断により走行させることも可能である。
また、先行列車と後続列車との関係のみを説明してき
たが、先々行列車の状態を見ることで、先行列車の状態
を推測することにより、後続列車の走行目標速度に反映
させることも可能である。
例えば、先々行列車が退避線に入ることが予め分かつ
ていれば退避線に進入した時点で先行列車のATC信号は
許容最高速度が示され、後続列車の目標走行速度を速く
することができる。これにより、さらに密度の高い運転
をすることができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、先行列車との距離をほぼ一定に保つ
ための目標走行速度が得られるので、先行列車との距離
を保安上必要な距離まで縮めることができ、かつ、後続
列車はATC等によるブレーキのかけ過ぎがないので、乗
心地が向上し、また、必要以上に速度を落さないので再
力行時の消費電力も少なくて済むという効果を奏する。
また、列車をATO、ベテラン運転士または非ベテラン
運転士が運転したとしてもほぼ均一な高密度運転を達成
することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例の車上側装置を示す図、第2
図及び第3図は同地上側装置を示す図、第4図は本発明
の原理を示す図、第5図は本発明の一実施例の地上子を
閉塞の関係を示す図、第6図及び第7図は従来技術の問
題点を指摘する図である。 10……演算装置、11……デイスプレイ、12……ATO。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 和博 茨城県勝田市市毛1070番地 株式会社日 立製作所水戸工場内 (72)発明者 関野 真一 茨城県勝田市市毛1070番地 株式会社日 立製作所水戸工場内 (72)発明者 松本 邦顕 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所 内 (72)発明者 能見 誠 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所 内 (72)発明者 古村 文伸 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所 内 (72)発明者 川島 治仁 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所 内 (56)参考文献 特開 昭58−199271(JP,A) 特開 昭50−59908(JP,A) 特開 昭63−166655(JP,A) 特開 昭62−225111(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】列車が走行する軌道を複数の区間に分割
    し、この区間ごとに列車が走行する走行制限速度を指示
    し、この走行制限速度の範囲内で列車を走行させる列車
    制御装置において、 自列車より前方を走行する先行列車の位置及び速度を自
    列車に伝達する手段と、この先行列車の位置,速度及び
    前記自列車の存在する区間とから前記自列車の目標走行
    速度を演算する手段とを備え、 前記自列車の目標走行速度は、前記先行列車が存在する
    区間をこの先行列車が抜ける時間より、前記自列車が存
    在する区間をこの自列車が抜ける時間を長くさせる速度
    にしたことを特徴とする列車制御装置。
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JP5512193B2 (ja) * 2009-08-19 2014-06-04 株式会社東芝 列車制御方法、列車制御装置、および車両

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JPS58199271A (ja) * 1982-05-14 1983-11-19 株式会社日立製作所 列車の自動運転方式
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