JP2566483B2 - 鉄道車両用ディスクブレーキ装置 - Google Patents

鉄道車両用ディスクブレーキ装置

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JP2566483B2
JP2566483B2 JP2162345A JP16234590A JP2566483B2 JP 2566483 B2 JP2566483 B2 JP 2566483B2 JP 2162345 A JP2162345 A JP 2162345A JP 16234590 A JP16234590 A JP 16234590A JP 2566483 B2 JP2566483 B2 JP 2566483B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鉄道車両用ディスクブレーキ装置に係り、特
に、鉄道車両の車軸に回転を伝達付与する駆動用電動機
の回転子軸の端部に備えられるディスクブレーキ装置に
関する。
〔従来の技術〕
従来における鉄道車両用ディスクブレーキ装置の構成
として、例えば実開昭64−4933号公報に開示されたもの
は、第9図に示すように、車輪100,100を軸支する車軸1
01の一側方に誘導電動機(駆動用電動機)102を設置す
ると共に、該誘導電動機102の回転子軸103の一端部にデ
ィスク104を固着し、且つ、キャリパー105に取り付けら
れた一対のパッド106,106間に前記ディスク104を介在せ
しめたものである。尚、前記誘導電動機102は台車等の
車両側部材に固定設置され、またキャリパー105は車両
側部材や誘導電動機102に保持されるものである。そし
て、前記回転子軸103の他端部には可撓継手107を介して
駆動ギヤ108が取り付けられ、且つ、前記車軸101の対応
する端部には前記駆動ギヤ108に噛合される従動ギヤ109
が取り付けられている。このような構成によれば、当該
車両の走行時には誘導電動機102の回転子軸103の回転に
伴って車軸101及び車輪100,100が回転駆動されるが、ブ
レーキ指令が発せられた場合には、キャリパー105のパ
ッド106,106がディスク104の両面に圧接することによ
り、ブレーキ作用が行われて、回転子軸103及び車軸101
ひいては車輪100,100の回転が止まることになる。
しかるに、上記公報に開示されたディスクブレーキ装
置は、一枚のディスク104を用いたものであり而も該デ
ィスク104は鉄系の金属材料で構成されるのが通例であ
るため、その熱容量は小さく、制動時に高温状態になり
易いという特性を有している。これに加えて、前記鉄系
の金属材料は、高温状態の下では極めて強度が低いとい
う特性を有しているため、制動時においては、ディスク
104の強度が熱により急激に低下して該ディスク104に偏
摩耗や亀裂が生じ、ディスク104の寿命が短くなるばか
りでなく、例えばディスク104の釣り合いが悪くなって
振動が発生し、誘導電動機102の回転子軸103の軸受が早
期に損傷するといった問題を生ぜしめることとなる。
このような問題に対処すべく、例えば実開平1−1179
72号公報によれば、第10図に示すように、誘導電動機10
2の回転子軸(中空電気子軸)103の両端に夫々ディスク
104,104を固着し且つこの二枚のディスク104,104を挟持
する二個のキャリパー105,105を備えた構成が開示され
ている。これによれば、制動時におけるディスク104,10
4の高温化及び偏摩耗等の問題に対しては、幾分かは解
消されることが期待できる。
又、特公昭41−5210号公報に記載の層板型摩擦制動機
を持つ駆動機械においては、ディスクを三枚電動機の軸
に固着し、この三枚のディスクを挾圧して制動する構成
となっているので、ディスクの高温化及び偏摩耗等に対
しては、幾分かは解消されることが期待できる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上述の実開平1−117972号公報に開示
のディスクブレーキ装置によるにしても、近年における
鉄道車両の高速化に対しては充分に対処できるものでは
ない。即ち、ディスクを単に二枚備えるといった手法の
みによっては、当該ディスクの材質が鉄系の金属材料で
ある以上、熱容量を大きくするにも限界があり、高速走
行からの制動が続けばディスク104が高温状態になるの
は当然の事であり、ディスク104の高温化に伴う既述の
問題を生ずるのは勿論のこと、ディスク及びキャリパー
を夫々誘導電動機本体を挟んでその両側に配設せなばな
らないため、当該ディスク装置を取り付けるためのレイ
アウト面での困難化を余儀無くされるという問題をも生
ぜしめることとなる。
更に又、特公昭41−5210号公報に開示の駆動機械にお
いても、上記と同様にディスクの枚数を増加させただけ
では、鉄系の金属材料である以上、熱容量を大きくする
にも限界が生ずるという問題点がある。
このような問題点を解決するために、例えば、特開昭
52−43073号公報に開示のようなカーボン製のディスク
を用いることが考えられるが、カーボン製の材質の材料
を用いた場合には、特公昭41−5210号公報に開示のよう
なディスクに直接に大量の冷却用空気を接触させる構成
を採用すると、材料が酸化して風化するので、実用化で
きないという問題点がある。
本発明は、上記諸事情に鑑みてなされたものであり、
ディスクの構成に改良を加えて、発熱量の軽減を実現し
た上で当該装置のコンパクト化及び取付性の容易化を図
ると共に、高速走行からの制動時に高温化現象が発生し
てもこの高温化現象に確実に対処することを可能ならし
めることを技術的課題とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記技術的課題を解決するための具体的手段とすると
ころは、鉄道車両の車軸と回転伝達可能に接続された駆
動用電動機の回転子軸の端部に取付けられ、前記回転子
軸と共に回転する炭素系複合材料からなる複数のロータ
部材と回転不能に固定された炭素系複合材料からなる複
数のステータ部材とを押圧部材の押圧によって摩擦によ
る制動力を発生させる鉄道車両用ディスクブレーキ装置
において、前記回転子軸と共に回転し内部に内孔を形成
した回転軸と、この回転軸に前記ロータ部材が共に回転
し且つ軸方向にのみ摺動自在となるように外嵌して設
け、ケースに固定されたキー部材に軸方向にのみ摺動自
在となるように前記ステータ部材を外嵌して設け、前記
キー部材の外周において、ケース内周面とキー部材との
間に通路室を形成するように金属環板を設け、前記回転
軸の内孔と前記通路室とに、前記ステータ部材及びロー
タ部材に直接に吹き掛けることなく、冷却用空気を導入
する冷却空気導入手段とを設けたところにある。
〔作用〕
上記手段によると、多板式のディスクブレーキ装置
は、押圧部材による制動力の非作用時においては、鉄道
車両の車軸と接続される回転軸と共に回転する複数枚の
ロータ部材が、キー部材に取り付けられた複数枚のステ
ータ部材に対して自由に回転することとなるが、その一
方において、押圧部材による制動力の作用時において
は、ロータ部材及びステータ部材が軸方向一方側に摺動
し且つ押し集められて該各部材間は圧接した状態とな
り、この時に生じる摩擦によってロータ部材のステータ
部材に対する相対回転が阻止される。つまり、キー部材
によりステータ部材は軸方向にのみ摺動できるだけであ
るので、上記のようにロータ部材のステータ部材に対す
る相対回転が阻止された場合には、ロータ部材と共に回
転する回転軸に接続されている車軸ひいては車輪の回転
が止まることになる。
そして、本発明は、炭素系複合材料からなる複数枚の
ロータ部材と炭素系複合材料からなる複数枚のステータ
部材及び押圧部材とからなる多板式のディスクブレーキ
装置を鉄道車両に採用したことにより、当該車両の高速
走行からの制動時に発生する熱は前記複数枚のロータ部
材及びステータ部材の各相互間の摩擦熱に分散されて、
個々の部材についての発熱量が大幅に軽減されるばかり
でなく、その取付性の容易化や装置のコンパクト化が図
られることとなる。
更に、本発明は、前記多板式のディスクブレーキ装置
は、駆動用電動機の回転子軸の端部に取付けられた回転
軸に内孔を形成し、且つ、キー部材の外周においてケー
ス内周面とキー部材との間に金属環板を設けて通路室を
形成するように構成したので、近年における鉄道車両の
高速化に伴って、仮に当該車両の高速走行からの制動時
に前記ブレーキ装置のロータ部材及びステータ部材が高
温状態となったとしても、前記内孔や通路室に冷却空気
導入手段によって冷却用空気が導入されるので、これに
よってロータ部材及びステータ部材の外周に溜まった摩
擦熱や回転軸部に伝わった摩擦熱が冷却される。
尚、前記内孔や通路室に導入された冷却用空気は、別
途設けられた排出通路から大気中に排出される。これに
より、ロータ部材とステータ部材との間で発生した摩擦
熱が回転軸を介して駆動用電動機の回転子軸に伝導され
るという事態は軽減され、駆動用電動機の熱に対する内
部保護が良好に行なわれる。又、ロータ部材及びステー
タ部材に炭素系複合材料を用いているので、軽量,高弾
性,異方性の少ない微細組織,優れた摺動性及び耐耗性
が得られる。
更に、炭素系複合材料に直接に多量の冷却用空気を接
触させると、酸化により風化して使用できなくなるが、
この発明では前記のように、回転子軸部の小内孔やケー
ス内周面とキー部材との間に金属環板によって形成した
通路室に冷却用空気を導入して冷却するように構成した
ので、冷却用空気が前記ロータ部材及びステータ部材に
直接に接触することなく、ロータ部材及びステータ部材
のより一層の耐久性が向上する。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を第1図乃至第7図に基づいて
説明する。
先ず、第1図に示す概略構成に基づいて、本発明に係
るディスクブレーキ装置1の取付状態を説明すると、空
気バネ50,50を介して車体51を支持する台車52の下方に
は駆動用電動機2が取り付けられており、該駆動用電動
機2の回転子軸3の一端部に固着された駆動ギヤ4と、
車輪53,53を軸支する車軸5に固着された従動ギヤ6と
が噛合されていると共に、前記駆動用電動機2の反ギヤ
側端部(左端部)には、本発明に係るディスクブレーキ
装置1が取り付けられている。従って、当該車両の走行
時には、駆動用電動機2の回転子軸3の回転が、駆動ギ
ヤ4及び従動ギヤ6を介して車軸5及び車輪53,53に伝
達される一方、ブレーキ指令が発せられた時には、前記
ディスクブレーキ装置1の動作により回転子軸3の回転
が止まり、これに伴って車軸5及び車輪53,53の回転が
止まることにより制動作用が行われる構成である。尚、
前記車軸5をその両端において回動自在に保持する車軸
ケース54,54と前記台車52との間には、軸バネ55,55が介
設されている。
次に、前記ディスクブレーキ装置1の細部にわたる構
造を、第2図及び第7図に基づいて説明する。
このディスクブレーキ装置1は、前記駆動用電動機2
の反ギヤ側端部にボルト56,56を用いて固定されたドラ
ム状のケース部材7を有し、該ケース部材7の内周面部
には複数のキー部材8…8が固定されていると共に、該
ケース部材7の内方中心部には前記駆動用電動機2の回
転子軸3に結合された中空軸9が該回転子軸3と一体回
転可能に保持されている。そして、前記中空軸9の外周
には、該中空軸9ひいては回転子軸3と共に回転し且つ
横方向(第3図a−b方向)に摺動自在な二枚のロータ
部材10,10が取り付けられ、また前記キー部材8…8の
内周には、軸方向にのみ摺動自在な三枚のステータ部材
11…11が取り付けられている。詳述すれば(第2図参
照)、前記中空軸9には等角度間隔で外方に突出する複
数の凸条9a…9aが横方向に沿うように一体形成されてい
ると共に該中空軸9の外径と同形状の貫通孔10aが前記
ロータ部材10の中心部に形成され且つこの両者が嵌合さ
れることによりロータ部材10が中空軸9と共に回転し而
も軸方向に摺動自在とされているのに対し、前記キー部
材8…8は等角度間隔毎に配設されてケース部材7に固
定支持されていると共にこれらのキー部材8…8の軸直
角輪郭形状と同形状の切欠部11a…11aがステータ部材11
の外周縁に形成され且つこの両者が嵌合されることによ
りステータ部材11がキー部材8…8に対して軸方向にの
み摺動自在とされている。この場合、前記ロータ部材10
とステータ部材11とは軸方向に交互に配設されており、
ロータ部材10の外周面10bとキー部材8…8の内周面と
の間、及びステータ部材11の内周面11bと中空軸9の外
周面との間には、僅かな隙間が存在している。尚、前記
ロータ部材10及びステータ部材11の枚数は、第3図のも
のに限定されるものではなく、これ以上或いはこれ以下
の枚数であっても差し支えない。
更に、第3図に示すように、左端に配設されたステー
タ部材11の左側方には熱強度,伝導性の良い金属材料で
なるリング状の加圧プレート12が近接配置されている。
この加圧プレート12は、第4図に示すように、中心部に
中空軸9を挿入する挿入穴12aが設けられ、ステータ部
材11に面する側面は平坦に形成され、ステータ部材11と
反対側の側面すなわちケース部材7側の外側面には前記
挿入穴12aから少し間隔を開けた位置から外周方向に向
って放射状に通路溝12bと突起12cが交互に多数設けられ
ている。又、その外周には、前記キー部材8を嵌め込む
キー穴12dが所定のピッチで複数個形成され、更に、前
記突起12cには所定のピッチで平坦部12e,12fが形成さ
れ、このうちの平坦部12eには、隙間調整機構19のピス
トンロッド21(後述する)が嵌入される孔部12gが設け
られている。そして、この加圧プレート12は、前記ステ
ータ部材11と同様にして中空軸9に挿入穴12aが嵌め込
まれ、且つ、キー穴12dにはキー部材8が嵌め込まれる
ことによって軸方向に摺動自在に嵌合されている。前記
各部材のうちの右端に配設されたステータ部材11の右側
方には前記加圧プレート12と同様の金属材料でなるリン
グ状のストッパプレート13が配置されている。このスト
ッパプレート13は、第5図に示すように、中心部に中空
軸9を挿入する挿入穴13aが設けられ、ステータ部材11
に面する側面は平坦に形成され、ステータ部材11と反対
側の側面すなわちケース部材7側の外側面には前記挿入
穴13aから少し間隔を開けた位置から外周方向に向って
放射状に通路溝13bと突起13cが交互に多数設けられてい
る。又、その外周には、前記キー部材8を嵌め込むキー
穴13dが所定のピッチで複数個形成されている。そし
て、このストッパプレート13は中空軸9に挿入穴12aが
嵌め込まれ、溝13bと突起13cを設けた外側面がケース部
材7の右側壁7a内面に当接した状態で前記キー部材8…
8に堅固に固定されることによって、ケース部材7の右
側壁7a内面とストッパプレート13の間に通路溝13bと突
起13cによって径方向に延びる複数のスリット14…14が
放射状に形成されている。
一方、前記ケース部材7の左側壁7bには、その先端が
前記加圧プレート12の平坦部12fに当接する複数個のピ
ストン(押圧部材)15…15が軸方向に摺動自在に嵌合保
持されていると共に、該ピストン15の後面に液圧(油
圧)を作用させる液圧室16が形成されており、且つ該液
圧室16は第2図のように液圧通路17を介して液圧供給口
18(液圧源に通じている)に連通されている。
更に、前記ケース部材7の左側壁部7bには、複数の隙
間調整機構19…19が設けられている。この隙間調整機構
19は、第3図に示すように、圧縮コイルバネ20により左
方に付勢されたピストンロッド21と、該ピストンロッド
21の段付面が当接してその左動を規制するストッパ板22
と、該ストッパ板22に固定されたリテーナ23の右動を規
制するフリクションリング24とを有する。そして、前記
ピストンロッド21の右端部は前記加圧プレート12の平坦
部12eに設けた孔部12gに固定されており、従って加圧プ
レート12は前記圧縮コイルバネ20により左方すなわちス
テータ部材11から離れる方向に付勢された状態にある。
また、前記フリクションリング24は所定力以上の力が作
用することにより左右動し、この左右動に応じて、前記
ピストンロッド21に嵌着された鍔部材25と前記リテーナ
23との間の隙間Xつまりピストンロッド21の移動範囲が
変化するようになっている。
以上の構成によれば、当該車両の走行時には、駆動用
電動機2の回転子軸3の回転に伴って、中空軸9及びロ
ータ部材10,10が回転することになるが、この場合に
は、ピストン15の後面の液圧室16が無圧状態となってい
るため、該ピストン15が加圧プレート12を右方へ押圧す
るための力は発生せず、従って前記ロータ部材10,10は
ステータ部材11…11に対して自由に回転できることとな
る。一方、ブレーキ指令が発せられた時には、前記液圧
室16が加圧状態となり、これに伴ってピストン15が右方
へ移動して加圧プレート12を押圧し且つロータ部材10,1
0及びステータ部材11…11をストッパプレート13に対し
て押し付け、この時に生じるロータ部材10,10とステー
タ部材11…11との各相互間の摩擦によって、ロータ部材
10,10ひいては中空軸9及び回転子軸3の回転が止ま
る。この場合において、前記車両の制動時に発生する熱
量は、ロータ部材10,10とステータ部材11…11との各相
互間に発生する複数箇所の摩擦熱として分散されること
になるので、個々の部材10,10,11…11についての発熱量
は大幅に軽減されることになる。また、前記ロータ部材
10,10及びステータ部材11…11をC/Cコンポジット(Carb
on/Carbon Composites)で構成しているので、仮に当該
車両の高速走行からの制動時に前記各部材10,10,11…11
が高温状態となった場合においても、C/Cコンポジット
は、炭素繊維をレジン、ピッチ等で結合強化した後に炭
化及び黒鉛化熱処理を行って製造された炭素繊維/炭素
複合材料であるから、第8図に示すように、その温度特
性は、鋼が符号(イ)で示す特性曲線を有するのに対
し、符号(ロ)で示すように高温状態の下では高強度を
有するため、偏摩耗やブレーキ力の変化等の不具合を生
じなくなる。
そして、ブレーキ指令が解除された場合には、加圧プ
レート12は隙間調整機構19の圧縮コイルバネ20のバネ力
により左方へ移動して当初の位置に復帰する。
当該車両の制動時に発生した熱量はロータ部材10,10
及びステータ部材11…11に蓄熱されることになるが、こ
の熱量は以下に示す構成により好適に放熱される。
即ち、中空軸9の内孔60の左端は開口され且つこの開
口部が空気供給孔61とされており、該空気供給孔61の左
側方にはフィルター62が装着されていると共に、前記複
数のキー部材8…8には、ロータ部材10,10及びステー
タ部材11…11の外周部を全周にわたって覆うように薄肉
の金属環板63(例えばステンレス製)が取り付けられて
いる。この金属環板63は、第6図に示すように、金属板
を環状に形成し、必要に応じてロータ部材10とステータ
部材11の摩擦によって生ずる粉塵を通過させる細孔63a
を多数形成したものである。尚、図示のものは、キー部
材8をリベット63bによって固定した状態を示してい
る。そして、前記空気供給孔61より取り入れられた空気
は、中空軸9の左右両端部に穿設された通孔64及び65を
通過して、矢印x及びyで示すように、加圧プレート12
の外側面とケース左側壁部7bとの間の隙間と加圧プレー
ト12の通路溝12bと突起12cによって形成されたスリット
14a、及びストッパプレート13の外側面に形成した通路
溝13bと突起13cによってできるケース右側壁部7aとの間
の隙間(スリット14)に流入し、更に前記金属環板63と
ケース内周面との間の円周上に形成された通路室66を通
過して、この通路室66の下部に設けた排出室67の蓋部材
68にあるフィルター69付の空気排出口68aより外方に排
出される。このように冷却用の空気が通過していくこと
により、加圧プレート12、ストッパプレート13及び金属
環板63より放熱が行われて、ロータ部材10,10及びステ
ータ部材11…11の過度な温度上昇が防止されるのであ
る。
また、前記中空軸9と回転子軸3とが一体になった回
転軸であるような場合には、車両の制動時に発生した熱
は軸受へ直接的に伝導されるので、該回転子軸3の軸受
を早期に損傷させるといった不具合を招くことになる
が、本実施例においては、上記の熱伝導を可及的抑制す
るために以下に示すような構成が採用されている。
即ち、第7図に示すように、中空軸9と回転子軸3と
は別体で構成されており、且つこの両者間には断熱カッ
プリング70が介設されている。具体的には、中空軸9の
右端部には噛合凹凸面9aが形成されており、この噛合凹
凸面9aと断熱カップリング70の左端部に形成された噛合
凹凸面70aとが噛み合って結合されていると共に、回転
子軸3の左端部にも噛合凹凸面3bが形成されており、こ
の噛合凹凸面3bと断熱カップリング70の右端部に形成さ
れた噛合凹凸面70bとが噛み合って結合されているので
ある。このような構成によれば、中空軸9から回転子軸
3への熱伝導が好適に軽減されて、当該車両の制動に起
因して回転子軸3が温度上昇するといった不具合が効果
的に防止されることとなる。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、鉄道車両用ブレーキ装
置として、炭素系複合材料からなる炭素系複合材料から
なる複数枚のロータ部材と複数枚のステータ部材とを有
してなる多板式のディスクブレーキ装置を用いたことに
より、当該車両の制動時に発生するが熱が、前記各部材
相互間の複数箇所にて生じる摩擦熱となって分散される
ことになり、各部材の発熱量が軽減されて、偏摩耗の発
生や寿命の低下等の不具合が回避されると共に、当該装
置のコンパクト化や取付性の容易化等をも図り得るとい
う利点が得られることとなる。
更に、前記中空軸(回転軸)の内孔と、前記金属環板
とケース内周面との間に設けた通路室に冷却用空気を導
いて排出するので、制動時に生じたロータ部材とステー
タ部材の摩擦熱は加圧プレート及びストッパプレートを
通じても吸収され、ケース部材内が高温度になるのを防
止することができる。更に又、ロータ部材及びステータ
部材に炭素系複合材料を用いたことによって、軽量,高
弾性,異方性の少ない微細組織,優れた摺動性及び耐耗
性が得られる。
更に、炭素系複合材料に直接に多量の冷却用空気を接
触させると、酸化により風化して使用できなくるが、こ
の発明では前記のように、回転子軸部の小内孔やケース
内周面とキー部材との間に金属環板によって形成した通
路室に冷却用空気を導入して冷却するように構成したの
で、ロータ部材及びステータ部材のより一層の耐久性が
向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第8図は本発明の実施例を示すもので、第1
図は鉄道車両用ディスクブレーキ装置の取付状態を示す
概略正面図、第2図は鉄道車両用ディスクブレーキ装置
の内部構造を示す要部縦断側面図、第3図は鉄道車両用
ディスクブレーキ装置の内部構造を示す要部縦断正面
図、第4図は加圧プレートの説明図、第5図はストッパ
プレートの説明図、第6図は金属環板の斜視説明図、第
7図は回転子軸と中空軸との結合状態を示す部品分解配
列斜視図、第8図はC/Cコンポジットの特性を示すグラ
フである。また、第9図は一の従来例を示す概略平面
図、第10図は他の従来例を示す概略平面図である。 1…ディスクブレーキ装置 3…回転子軸(回転軸) 5…車軸 7…ケース部材 8…キー部材 9…中空軸(回転軸) 10…ロータ部材(プレート部材) 11…ステータ部材(プレート部材) 15…押圧部材(ピストン) 61…空気供給孔 63…金属環板 66…通路室

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄道車両の車軸と回転伝達可能に接続され
    た駆動用電動機の回転子軸の端部に取付けられ、前記回
    転子軸と共に回転する炭素系複合材料からなる複数のロ
    ータ部材と回転不能に固定された炭素系複合材料からな
    る複数のステータ部材とを押圧部材の押圧によって摩擦
    による制動力を発生させる鉄道車両用ディスクブレーキ
    装置において、 前記回転子軸と共に回転し内部に内孔を形成した回転軸
    と、 この回転軸に前記ロータ部材が共に回転し且つ軸方向に
    のみ摺動自在となるように外嵌して設け、 ケースに固定されたキー部材に軸方向にのみ摺動自在と
    なるように前記ステータ部材を外嵌して設け、 前記キー部材の外周において、ケース内周面とキー部材
    との間に通路室を形成するように金属環板を設け、 前記回転軸の内孔と前記通路室とに、前記ステータ部材
    及びロータ部材に直接に吹き掛けることなく、冷却用空
    気を導入する冷却空気導入手段とを設けたことを特徴と
    する鉄道車両用ディスクブレーキ装置。
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