JP2566238B2 - 多層パリソンの押出成形装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、複数の樹脂層が積層された多層パリソンを
押出成形するための押出成形装置に関し、特に、そのパ
リソンを構成する副材樹脂の押出状態を制御するシステ
ムの改良に関するものである。

（従来の技術） 一般に、樹脂製の中空容器は、成形型に挿入されたパ
リソン内に加圧気体を吹き込んで成形するブロー成形に
より形成することが行われているが、このブロー成形に
おいては、単一の樹脂では足りない特性を補うために複
数の樹脂層を積層してなる多層パリソンが用いられるこ
とがある。例えば、高密度ポリエチレン樹脂からなる車
両用の燃料タンク等の場合、そのタンク内のガソリン
（燃料）が外部にしみ出てくるというガソリン透過の問
題があるため、高密度ポリエチレン樹脂層にガソリンが
透過しないナイロン樹脂層を接着材層により接着してな
る多層パリソンでタンクをブロー成形することにより、
タンク壁部が内側から順に高密度ポリエチレン樹脂層、
接着材層、ナイロン樹脂層、接着材層および高密度ポリ
エチレン樹脂層の３種５層により構成されるようにして
いる。

ところで、上記の如き多層パリソンを押出成形するた
めの押出成形装置の一例として、例えば特公昭58−2321
2号公報に開示されるように、多層パリソンにおける主
材樹脂の押出開始時点からの経過時間をタイマにより計
時して、主材樹脂に対する各樹脂層の押出開始時期を該
タイマの計時時間に応じてずらせるとともに、時定数発
生型の制御装置により各樹脂押出用の押出シリンダの立
上り特性を制御するようにしたものが提案されている。

（発明が解決しようとする課題） しかし、この提案のものでは、各樹脂の押出開始時期
をタイマにより一律に設定しているため、押し出される
主材樹脂の温度に起因する粘度や圧力の変化に適確に対
応できず、各樹脂の押出状態を正確に制御することは困
難であった。

また、たとえ、押し出される主材樹脂の温度が一定範
囲内になるようにその温度管理の精度を上げたとして
も、パリソンの押出方向や押出幅をコントロールするダ
イスリットの幅が設定値からずれていると、その温度管
理の効果を活かしきれず、やはり各樹脂の押出制御が不
正確になるのは免れ得ない。

本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その
目的とするところは、上記の如く、主材樹脂層と副材樹
脂層とが積層された多層パリソンを押出成形する押出成
形装置において、押し出されたパリソンの実際の状態に
基づいて残りの樹脂の押出状態を制御するように構成す
ることにより、主材樹脂の温度や圧力の変化、或いはダ
イスリットの幅の変動等の影響を受けることなく、正確
に樹脂の押出制御を行い得るようにすることにある。

（課題を解決するための手段） この目的を達成するため、本発明の解決手段は、押し
出されたパリソン先端の実際の位置を直接、光学的に検
出して、その検出位置に基づいて残りの樹脂の押出状態
を制御するようにしたものである。

具体的には、本発明は、アキュムレータヘッドのダイ
スリットから主材樹脂および副材樹脂を積層してなる多
層パリソンを押出成形する押出成形装置を前提とする。

そして、上記ダイスリットからのパリソンの押出中、
その押出先端位置を経時的に検出するCCDカメラ（電荷
結合素子カメラ）等からなるパリソン押出位置検出手段
と、該検出手段の出力を受け、上記副材樹脂の押出状態
（押出時期や押出圧力等）を上記パリソンの押出先端位
置に応じて制御する押出制御手段とを設けた構成として
いる。

（作用） 上記の構成により、本発明では、アキュムレータヘッ
ドのダイスリットから主材樹脂を含むパリソンが圧送さ
れて押し出されると、その押出中、パリソンの押出先端
位置が経時的にパリソン押出位置検出手段により検出さ
れ、この検出手段の出力信号を受けた押出制御手段にお
いて、上記パリソンの検出位置に基づいて副材樹脂の押
出状態が制御される。したがって、ダイスリットから押
し出されるパリソンの実際の押出位置を基に副材樹脂が
押出制御されるので、この副材樹脂の押出時期をタイマ
によって一律的に制御する場合等と比べ、樹脂の温度や
圧力の変化、或いはダイスリットの幅の変動等があって
も、それらの影響を受けることなく、樹脂を正確に押出
制御できることになる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本発明の一実施例に係る多層パリソンの押出
成形装置Ａの全体構成を示し、１はアキュムレータヘッ
ドであって、該アキュムレータヘッド１は、その下半部
にシリンダ２と該シリンダ２の内周面に沿って上下に摺
動するリングピストン３とを備え、中心部には、上記リ
ングピストン３を貫通しかつシリンダ２に固着された中
子４が設けられている。上記シリンダ２の内部には該シ
リンダ２、上記リングピストン３および中子４によって
によって区画された樹脂貯留室５（樹脂溜）が形成さ
れ、該樹脂貯留室５は環状の連通路７を介して主材樹脂
押出機６に連通されており、この押出機６から連続して
押し出された溶融状態の主材樹脂が樹脂貯留室５内に供
給されるようになされている。

また、上記シリンダ２の下端部には、環状のダイ８が
同心状に固着されている一方、上記中子４の下端部には
環状のコアサポート９が固着され、該コアサポート９の
中心部には、上記ダイ８と同心のコア10が上下方向に摺
動可能に嵌合されている。上記ダイ８の下端部内周面お
よびコア10の下端部外周面はそれぞれ円錐面状に形成さ
れていて、両者間には環状のダイスリット11が形成され
ており、このダイスリット11は、シリンダ２およびダイ
８と中子４およびコアサポート９との間に形成される環
状の樹脂通路12を通して上記樹脂貯留室５に連通してい
る。

上記コア10はロッド13を介して油圧シリンダ（図示せ
ず）に連結されており、この油圧シリンダによるコア10
の上下動により、そのダイ８との間に形成されるダイス
リット11の間隔、すなわち該ダイスリット11から押し出
されるパリソンＰの厚さが調整されるようになってい
る。また、上記リングピストン３は、ロッド14を介して
主材樹脂押出用の油圧シリンダ15に駆動連結されてい
て、該シリンダ15の作動より下降移動するように設けら
れており、この油圧シリンダ15およびリングピストン３
により、樹脂貯留室５内の主材樹脂を樹脂通路12ないし
ダイスリット11側に圧送するアキュムレータ16が構成さ
れる。

さらに、上記樹脂通路12内には、第２図に詳示するよ
うに、断面が略長六角形状のリング部材17が樹脂通路12
と同心状に配設されている。該リング部材17は、シリン
ダに対し４個の支柱18,18,…によってシリンダ２内周面
から所定の間隔をあけた状態で、かつ中子４に対しては
上記支柱18,18,…と円周方向の異なる位置に設けた４個
の支柱19,19,…によって中子４外周面から所定の間隔を
あけた状態でそれぞれ一体的に固定支持されており、こ
のリング部材17によって樹脂通路12が内側環状通路12b
と外側環状通路12aとに２分割されている。上記リング
部材17の内部には、その略中心に位置する環状のバリヤ
材樹脂通路20と、該バリヤ材樹脂通路20の半径方向両側
に位置する２本の環状の接着材樹脂通路21,21とが形成
されており、これらの樹脂通路20,21,21は、それぞれ図
示しない環状のスリットを介してリング部材17の下面に
開口する３本の同心状の環状ノズルに連通されている。

そして、上記バリヤ材樹脂通路20は、リング部材17と
シリンダ２との間の１つの支柱18に形成した通路22を通
してアキュムレータヘッド１外部のバリヤ材樹脂押出機
23に連通され、上記通路22の途中にはピストン24aを備
えたバリヤ材樹脂射出のためのアキュムレータ24が配設
され、このアキュムレータ24のピストン24aはバリヤ材
樹脂射出用の油圧シリンダ25に駆動連結されており、上
記押出機23から連続して押し出される溶融状態のバリヤ
材樹脂をアキュムレータ24内に一旦貯蔵するとともに、
その貯蔵された樹脂を油圧シリンダ25によるピストン24
aの押圧作動によって樹脂貯留室５内に環状ノズルから
射出するようになされている。

また、上記接着材樹脂通路21,21は、リング部材17と
シリンダ２との間の他の支柱18に形成した通路26を通し
てアキュムレータヘッド１外部の接着材樹脂押出機27に
連通され、この押出機27の先端部にも接着材樹脂射出の
ためのアキュムレータ28が設けられ、このアキュムレー
タ28のピストン28aは接着材樹脂射出用の油圧シリンダ2
9に駆動連結されており、上記アキュムレータ28によ
り、押出機27から連続して押し出される接着材樹脂を一
旦貯蔵するとともに、その貯蔵樹脂を上記油圧シリンダ
29によるピストン28aの押圧作動によって各環状ノズル
から樹脂貯留室５内に射出させるようになされている。

上記リングピストン３を駆動する主材樹脂押出用油圧
シリンダ15、バリヤ材樹脂射出用の油圧シリンダ25およ
び接着材樹脂射出用の油圧シリンダ29はいずれも同じ構
成で、プランジャ15a,25a,29aによって区画形成される
押圧側の油圧室15b,25b,29bを備えてなり、その各油圧
室15b,25b,29bはそれぞれ油圧通路30〜32を介して油圧
ポンプ等の油圧供給装置33に接続されている。また、上
記各油圧通路30〜32には上記各油圧シリンダ15,25,29に
対する油圧を制御する第１〜第３の電磁比例式圧力サー
ボ弁34〜36が配設され、この第１の圧力サーボ弁34は主
材樹脂パリソン制御回路37により、また第２および第３
の圧力サーボ弁35,36は本発明での押出制御手段として
の多層リングパリソン制御回路38によりそれぞれ作動制
御されるように構成されている。

上記主材樹脂パリソン制御回路37には、上記主材樹脂
押出用の油圧シリンダ15のプランジャ15aの移動位置
（変位）を検出するプランジャ位置検出器39の出力信号
が入力されており、このプランジャ位置検出器39により
検出されるプランジャ15aの移動位置を基に同油圧シリ
ンダ15を伸縮作動させて、リングピストン３を上下移動
させるようになされている。

一方、上記多層リングパリソン制御回路38には、上記
主材樹脂パリソン制御回路37による制御によりリングピ
ストン３が駆動されて樹脂貯留室５内の主材樹脂を含む
パリソンＰがダイスリット11から押し出された状態を示
すパリソン押出信号と、上記バリヤ材樹脂通路22内のバ
リヤ材樹脂の実際の圧力を検出するバリヤ材樹脂圧力検
出器40からの出力信号と、上記接着材樹脂通路26内の接
着材樹脂の実際の圧力を検出する接着材樹脂圧力検出器
41からの出力信号と、上記ダイスリット11からのパリソ
ンＰの押出中、その押出先端位置を経時的に検出する検
出手段としてのCCDカメラ42（電荷結合素子カメラ）か
らの出力信号とが入力されている。上記CCDカメラ42
は、第４図に示すように、アキュムレータヘッド１の下
方に配置されるブロー成形装置Ｂにおける１対の対向す
る成形型用支持板B₁，B₁の一方の対向側面にブロー成形
状態で干渉しないように取り付けられていて、撮像した
パリソンＰのイメージを画像処理してその押出先端位置
を検出するものである。

上記多層リングパリソン制御回路38は、第３図に示す
ように、上記ダイスリット11から押し出されたパリソン
長（パリソンＰの押出長さ）を上記CCDカメラ42の出力
信号を基に演算するパリソン長演算回路43と、上記バリ
ヤ材樹脂圧力検出器40の出力信号を増幅する第１のバッ
ファ増幅器44と、上記接着材樹脂圧力検出器41の出力信
号を増幅する第２のバッファ増幅器45と、上記アキュム
レータヘッド１の樹脂貯留室５からダイスリット11に至
る空間内の容積に基づいて該空間内に残留している樹脂
量に相当するパリソン長を記憶するヘッド内残留樹脂補
正器46とを備えている。そして、加算器47において上記
パリソン長演算回路43の出力信号に上記ヘッド内残留樹
脂補正器46の出力信号をバイアス信号として加え、この
加算処理によりパリソン長を補正する。この加算器47で
補正された補正パリソン長に対応する信号を第１の関数
発生器48に入力し、該関数発生器48において、パリソン
長に対して予め設定されたバリヤ材樹脂の射出圧力（押
出圧力）の特性関数に基づいて上記補正パリソン長に対
応する目標のバリヤ材樹脂射出圧力の信号を発生させ
る。さらに、第１の減算器49において、上記関数発生器
48の出力信号に上記第１のバッファ増幅器44で増幅され
た信号をフィードバック信号として入力して、その差に
応じた信号を該減算器49から出力する。そして、この第
１の減算器49の出力信号を上記第２の圧力サーボ弁35を
作動制御するための第１のサーボアンプ50に出力する。

また、上記加算器47で加算されたパリソン長に対応す
る信号を第２の関数発生器51にも入力し、パリソン長に
対して予め設定された接着材樹脂の射出圧力（押出圧
力）の特性関数に基づいて補正パリソン長に対応する目
標の接着材樹脂射出圧力の信号を発生させる。さらに、
第２の減算器52において、上記第２の関数発生器51の出
力信号に対し上記第２のバッファ増幅器45で増幅された
信号をフィードバック信号として入力するとともに、そ
の差に応じた信号を該減算器52から出力する。さらに、
この減算器52の出力信号を上記第３の圧力サーボ弁36を
作動制御するための第２のサーボアンプ53に出力するよ
うに構成されている。尚、上記関数発生器48,51におけ
る特性関数は、例えばパリソン押出後のブロー成形に伴
って大きく伸びる部位の厚さを厚くするために、その部
位についての樹脂の押出圧力を増大させるように、或い
はパリソン長が長くなると、その自重により伸びが大き
くなるいわゆるドローダウンを補償するため、パリソン
長が長くなるほど樹脂の押出圧力が高くなるように設定
されている。

さらに、上記各減算器49,52の出力部とサーボアンプ5
0,53の入力部との接続回路には、上記主材パリソン制御
回路37からのパリソン押出信号の有無に応じてON状態
（導通状態）又はOFF状態（非導通状態）に切り換わる
リレースイッチ54,55が設けられており、主材パリソン
制御回路37からパリソン押出信号が入力されてアキュム
レータヘッド１からパリソンＰが押し出されたとき（非
ブロー成形時）にのみ、両リレースイッチ54,55がON状
態となって、各減算器49,52の出力信号をサーボアンプ5
0,53に伝え、それ以外の状態ではサーボアンプ50,53の
入力部をアースしてその電位を零にするように構成され
ている。

次に、上記実施例の作動について説明する。

通常時には、アキュムレータヘッド１のリングピスト
ン３およびその外部のアキュムレータ24,28の各ピスト
ン24a,28aは、いずれもフリーの状態とされている。こ
のため、アキュムレータヘッド１においては、主材樹脂
押出機６から押し出されて樹脂貯留室５に導かれた主材
樹脂は、リングピストン３および該リングピストン３と
一体の主材樹脂押出用の油圧シリンダ15のプランジャ15
aを押し上げながら、その樹脂貯留室５内に貯蔵され
る。またバリヤ材および接着材樹脂押出機23,27から各
々押し出された副材樹脂たるバリヤ材樹脂および接着材
樹脂は、それぞれアキュムレータ24,28のピストン24a,2
8aならびに該ピストン24a,28aと一体のバリヤ材樹脂射
出用および接着材樹脂射出用の油圧シリンダ25,29のプ
ランジャ25a,29aを押し上げながら該アキュムレータ24,
28内に貯蔵される。

そして、上記各樹脂の貯蔵量が所定量に達して、上記
主材樹脂用油圧シリンダ15のプランジャ15aが上昇端位
置に移動すると、そのことをプランジャ位置検出器39が
検出して、そのプランジャ位置検出器39から主材パリソ
ン制御回路37に出力信号が出力され、この制御回路37の
作動により第１の圧力サーボ弁34が作動制御されて、上
記主材樹脂押出用油圧シリンダ15が押出作動し、この油
圧シリンダ15の作動に伴いアキュムレータヘッド１のリ
ングピストン３が押し下げられる。

また、このような主材パリソン制御回路37の作動によ
る主材樹脂押出用油圧シリンダ15の作動開始に伴い、同
制御回路37からパリソン押出信号が多層リングパリソン
制御回路38に出力され、このパリソン押出信号により該
制御回路38のリレースイッチ54,55がON作動して各減算
器49,52とサーボアンプ50,53とが導通され、このサーボ
アンプ50,53の作動により第２および第３の圧力サーボ
弁35,36が作動制御されて上記バリヤ材樹脂射出用およ
び接着材樹脂射出用の油圧シリンダ25,29が作動し、こ
の油圧シリンダ25,29の作動に伴いバリヤ材樹脂および
接着材樹脂の射出のためのアキュムレータ24,28のピス
トン24a,28aが上記リングピストン３の下降移動と略同
時に押し下げられる。このことにより、樹脂貯留室５内
の主材樹脂は環状の樹脂通路12に向けて圧送される一
方、各アキュムレータ24,28内のバリヤ材および接着材
樹脂はそれぞれ通路22,26および通路20,21を介して各ノ
ズルへ圧送される。その際、上記樹脂通路12は、リング
部材17によって内側の環状通路12bと外側の環状通路12a
とに分割されているので、この樹脂通路12を通る主材樹
脂は、リング部材12により内層と外層とに分割され、こ
の主材樹脂の内層と外層との間に、リング部材17下面の
ノズルからバリヤ材樹脂および接着材樹脂が射出され
る。このノズルから射出される樹脂は、中心がバリヤ材
樹脂層で、その内外両側が接着材樹脂層の筒状体とな
り、リング部材17を通過して合流しようとする主材樹脂
の内層および外層は、この筒状体のバリヤ材樹脂層に対
しその内外両面から接着材樹脂層を介して接着されるよ
うになる。このことにより樹脂通路12において積層状と
された溶融樹脂は、幅の狭いダイスリット11を通してア
キュムレータヘッド１下方のブロー成形装置Ｂ内に押し
出されて、各樹脂層間が緊密に接着されるとともに、所
定の肉厚の筒状体に成形される。よって中心のバリヤ材
樹脂層を接着材樹脂層を介して主材樹脂の内外層により
挾んで積層された３種５層構造の多層パリソンＰが得ら
れる。

この場合、上記ダイスリット11からブロー成形装置Ｂ
内に押し出された主材樹脂を含むパリソンＰの押出先端
位置が、その押出中、ブロー成形装置Ｂの一方の支持板
B₁上のCCDカメラ42によって経時的に検出される。そし
て、多層リングパリソン制御回路38において、その検出
されたパリソンＰの先端位置に基づいてパリソン長が演
算により求められ、そのパリソン長は、アキュムレータ
ヘッド１の空間内の樹脂容積に対応するバリソン長の加
算により補正される。この後、各関数発生器48,51で上
記パリソン長に対応する接着材樹脂およびバリヤ材樹脂
の適正な目標射出圧力が設定される。これらバリヤ材お
よび接着材樹脂の目標射出圧力は減算器49,52において
接着材樹脂圧力検出器およびバリヤ材樹脂圧力検出器に
よりそれぞれ検出された実際の射出圧力と比較されて、
その実際の射出圧力との差分の信号が減算器49,52から
出力され、この減算器49,52の出力信号は上記ON作動し
ているリレースイッチ54,55を経て各サーボアンプ50,53
に出力され、このサーボアンプ50,53の作動により上記
バリヤ材および接着材樹脂の射出圧力（押出圧力）が上
記目標圧力になるように上記第２および第３の圧力サー
ボ弁35,36が作動制御される。

したがって、この実施例では、アキュムレータヘッド
１のダイスリット11から押し出される主材樹脂を含むパ
リソンＰの実際のパリソン長を基に副材樹脂（バリヤ材
樹脂および接着材樹脂）の射出圧力が調整されて、それ
ら樹脂が押出制御されるので、主材樹脂の温度や圧力が
変化し、或いはダイスリット11の幅に変動等があったと
しても、それらの影響を受けることなく、副材樹脂を先
行の主材樹脂を含むパリソンＰに対して正確に押出制御
することができ、よってパリソン押出後にブロー成形さ
れるブロー成形品の品質を高めることができる。

尚、上記実施例では、ダイスリット11からのパリソン
Ｐの押出中、その先端位置をCCDカメラ42によって経時
的に検出するようにしているが、このCCDカメラ42の
他、例えばラインセンサを利用して検出するようにして
もよい。その場合、例えば第４図に仮想線にて示すよう
に、ラインセンサ56のスケール状の発光部56aおよび受
光部56bをそれぞれブロー成形装置Ｂの対向する支持板B
₁，B₁にパリソンＰの押出方向（上下方向）に沿って取
り付ければよい。

また、上記実施例では、副材樹脂のバリヤ材樹脂を主
材樹脂と略同時に押し出すようにしたが、本発明は、ブ
ロー成形品においてバリヤ層を部分的になくすためにバ
リヤ材樹脂を押出ししないようにする場合にも適用で
き、その場合、そのバリヤ材樹脂の押出開始時期および
終了時期をパリソン長に正確に対応させることができ
る。

さらに、上記実施例では、３種５層構造の多層パリソ
ンＰを形成する押出装置Ａに適用した場合について説明
したが、本発明は、他の構造の多層パリソンを押出しす
る場合にも適用することができるのはいうまでもない。

（発明の効果） 以上の如く、本発明によれば、多層パリソンの押出成
形装置におけるアキュムレータヘッドのダイスリットか
ら押し出された主材樹脂を含むパリソンの実際の先端位
置をパリソンの押出中は経時的に検出し、その検出位置
に基づいて副材樹脂の押出状態を制御するようにしたこ
とにより、主材樹脂の温度変化に起因する粘度や圧力の
変化、或いはダイスリットの幅の変動等に関係なく、副
材樹脂の押出状態を正確に保つことができ、よって多層
パリソンの押出精度を高め得、ひいてはブロー成形品の
品質の向上を図ることができるという実用上優れた効果
を得ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図はその全体
構成を示す説明図、第２図は第１図におけるアキュムレ
ータヘッドのII−II線断面図、第３図は多層リングパリ
ソン制御回路の構成を示すブロック回路図、第４図はCC
Dカメラの取付構造を示す斜視図である。 Ａ……押出成形装置、１……アキュムレータヘッド、11
……ダイスリット、38……多層リングパリソン制御回
路、42……CCDカメラ、56……ラインセンサ、Ｐ……パ
リソン。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アキュムレータヘッドのダイスリットから
   主材樹脂および副材樹脂を積層してなる多層パリソンを
   押出成形する多層パリソンの押出成形装置において、 上記ダイスリットからのパリソンの押出中、その押出先
   端位置を経時的に検出するパリソン押出位置検出手段
   と、 該検出手段の出力を受け、上記副材樹脂の押出状態を上
   記パリソンの押出先端位置に応じて制御する押出制御手
   段とを備えてなることを特徴とする多層パリソンの押出
   成形装置。