JP2565849Y2 - バイパス機能を有するヘッダ付きオイルクーラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、バイパス機能を有するヘッダ付きオイル
クーラに関するものである。 従来の技術 従来、並列状の冷却管の両端部が接続された一対のヘ
ッダのうち、一方のヘッダが仕切板を介してオイル導入
部とオイル排出部とに仕切られているオイルクーラは既
に知られている。 このオイルクーラを例えば発動機のオイルクーラとし
て使用した場合には、発動機の駆動初期においては、オ
イルはまだ低温であり、従って、これを循環冷却する必
要がないうえに、オイルは粘性が高いため、これを全部
循環させれば、オイル循環用ポンプに大きな負荷がかか
り、ポンプの初期駆動力を大きくする必要があった。 そこで従来、ヘッダのオイル排出部の一側壁と仕切板
とにオイル排出部を貫通するバイパス管が渡され、バイ
パス管のヘッダ側壁寄り部分に開口部が設けられ、この
開口部が、ヘッダ側壁に取り付けられかつオイル温度に
基づいて作動する弁によって開閉せしめられるようにな
されたオイルクーラが開発された。 考案が解決しようとする課題 しかしながら、このような従来のオイルクーラでは、
バイパス管が、ヘッダのオイル排出部の上壁に設けられ
たオイル排出部を塞がないように配慮しなければならな
いし、バイパス管と仕切板の接合およびヘッダ側壁と弁
取付用ソケットとの接合作業が非常に面倒で、手間がか
かり、オイルクーラの製造が容易でないという問題があ
ッた。 また従来、ヘッダのオイル導入部とオイル排出部とに
それぞれ接続されたオイル導入管および同排出管に、こ
れらの中間部どうしをヘッダの外部において相互に連結
するバイパス管が渡され、このバイパス管の中間に弁が
介在させられたオイルクーラも知られているが、このよ
うな従来のオイルクーラによれば、余分な配管や設置ス
ペースを必要ととするという問題があった。 この考案の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、
発動機等の駆動初期において低温の粘性の高いオイルの
一部を、オイルクーラのコア内へ移動させることなく、
オイルをヘッダのオイル導入部からオイル排出部へと速
やかにバイパスさせることができ、従ってポンプの初期
の駆動力を小さく設定することができて、非常に経済的
であるオイルクーラについて、構造が非常に簡単で、余
分な配管や設置スペースを必要とすることなく、また従
来のようにバイパス管がヘッダのオイル排出口を塞ぐと
いった心配もなく、オイルクーラの製造をきわめて容易
かつ安価になし得る、バイパス機能を有するヘッダ付き
オイルクーラを提供しようとするにある。 課題を解決するための手段 上記の目的を達成するために、この考案によるバイパ
ス機能を有するヘッダ付きオイルクーラは、並列状の冷
却管の両端部が接続された上下一対のヘッダを備え、上
部ヘッダに、内部にバイパス用流路を有する角形ブロッ
ク状仕切部材が、ヘッダの底壁に対して傾斜状に組み込
まれて、上部ヘッダ内が仕切部材を介して右側のオイル
導入部と左側のオイル排出部とに仕切られており、仕切
部材の左方下向き傾斜状の側壁に、オイル導入部に連通
するバイパス用オイル入口が設けられるとともに、仕切
部材の右方下向き傾斜状の側壁に、オイル排出部に連通
するバイパス用オイル出口が設けられ、オイル導入部側
の側壁に対向する右方上向き傾斜状の上壁に、バイパス
用オイル入口に向い合う弁取付け用雌ねじ部が設けら
れ、この雌ねじ部に、温度感知作動式自動調整弁がねじ
止められ、該弁の弁棒先端に設けられた弁体がバイパス
用オイル入口にのぞませられ、オイルの循環初期におい
ては温度感知作動式自動調整弁がオイルの低い温度を感
知して、バイパス用流路が開かれた状態に保持されてお
り、かつ循環オイルの昇温により、温度感知作動式自動
調整弁がオイルの高い温度を感知し、該弁の弁体がバイ
パス用オイル入口を塞いでバイパス用流路を閉じるよう
になされていることを特徴としている。 実施例 つぎに、この考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。 この明細書において、前後および左右は第２図を基準
とし、前とは第２図図面紙葉の表側、後とは同裏側をい
い、また左右とは同図左側、右とは同右側をいうものと
する。 図面において、この考案によるオイルクーラは、並列
状の冷却管（13）の両端部が接続された上下一対のヘッ
ダ（１）（２）を備え、上部ヘッダ（１）に、該ヘッダ
（１）とは別体でかつバイパス用流路（４）およびこの
流路（４）を開閉する温度感知作動式自動調整弁（７）
を含む仕切部材（３）が組み込まれて、第１図に示すよ
うに、溶接によって取り付けられている。 上部ヘッダ（１）内は、仕切部材（３）を介して右側
のオイル導入部（1a）と左側のオイル排出部（1b）とに
仕切られている。 上記仕切部材（３）は、第１図および第２図に示すよ
うに、内部にバイパス用流路（４）を有する角形ブロッ
ク状であり、詳しくは、仕切部材（３）は、ヘッダ
（１）の幅と略同一の長さを有するアルミニウム（アル
ミニウム合金を含む）中空押出形材製の角筒状仕切部本
体と、これの前後両端に被せ止められた一対の蓋部材と
よりなり、ヘッダ（１）の底壁（19）に対して45°の角
度をもって配置されている。 そして、仕切部材（３）のオイル導入部（1a）側の左
方下向き傾斜状の側壁（3a）に、オイル導入部（1a）に
連通するバイパス用オイル入口（８）が設けられるとと
もに、オイル排出部（1b）側の右方下向き傾斜状の側壁
（3b）に、オイル排出部（1b）に連通するバイパス用オ
イル出口（９）が設けられ、オイル導入部（1a）側の側
壁（3a）に対向する右方上向き傾斜状の上壁（3c）に、
バイパス用オイル入口（８）に向い合う弁取付け用雌ね
じ部（10）が設けられ、この雌ねじ部（10）に、温度感
知作動式自動調整弁（７）がねじ止められ、該弁（７）
の弁棒（11）先端に設けられた弁体（12）がバイパス用
オイル入口（８）にのぞませられ、オイルの循環初期に
おいては温度感知作動式自動調整弁（７）がオイルの低
い温度を感知して、粘性の高い低温オイルの一部を通過
させるためにバイパス用流路（４）が開かれた状態に保
持されており、かつ循環オイルの昇温によりオイルの粘
性が低くなると、温度感知作動式自動調整弁（７）がオ
イルの高い温度を感知し、該弁（７）の弁体（12）がバ
イパス用オイル入口（８）を塞いでバイパス用流路
（４）を閉じるようになされている。 上記弁（７）の弁棒（11）先端に設けられた弁体（1
2）は、バイパス用オイル入口（８）にのぞませられて
いる。第１図に示すように、温度感知作動式自動調整弁
（７）を含む仕切部材（３）がヘッダ（１）内に斜めに
配置されているため、温度感知作動式自動調整弁（７）
の一部をヘッダ（１）内に直接入り込むように配置する
ことができ、従ってオイルの温度を感知して作動しやす
いものである。 並列状の冷却管（13）同士の間には、コルゲート・フ
ィン（14）が介在され、また上部ヘッダ（１）のオイル
導入部（1a）の上壁にオイル導入管（15）が接続される
とともに、同オイル排出部（1b）の上壁にオイル排出管
（16）が接続されている。 ところで、オイルクーラが例えば発動機のオイルクー
ラとして使用された場合には、発動機の駆動初期におい
ては、オイルはまだ低温であり、従ってこれを循環冷却
する必要がないうえに、オイルは粘性が高いため、これ
を全部循環させれば、オイル循環用ポンプ（図示略）に
大きな負荷がかかり、ポンプの初期駆動力を大きくする
必要があるため不経済である。 この考案のオイルクーラによれば、上部ヘッダ（１）
に、該ヘッダ（１）とは別体でかつバイパス用流路
（４）および温度感知作動式自動調整弁（７）を含む仕
切部材（３）が組み込まれており、発動機の駆動初期で
あってオイルが循環初期の低温で粘性の高い時には、弁
（７）の作動により弁体（12）が、第１図に実線で示す
ように、バイパス用オイル入口（８）より離れ、これに
よって上部ヘッダ（１）のオイル導入部（1a）内のオイ
ルが仕切部材（３）のバイパス用流路（４）を通ってオ
イル排出部（1b）に速やかに移動するものであり、従っ
てオイル循環用ポンプに大きな負荷がかからない。な
お、この場合、オイルの一部はオイルクーラのコアへす
なわち冷却管（13）内に流れ込む。 引き続き、発動機の駆動によりオイルが昇温して冷却
を必要とする温度に至ってオイルの粘性の低い時に、温
度感知作動式自動調整弁（７）は、バイパス用流路
（４）を閉じるように作動する。すなわち、弁（７）の
作動により弁体（12）が、仕切部材（３）の傾斜状の側
壁（3a）に内側より当接してバイパス用オイル入口
（８）を塞ぐ。これによって上部ヘッダ（１）のオイル
導入部（1a）内のオイルがオイルクーラのコアへすなわ
ち冷却管（13）内にすべて流れ込み、これよりさらに昇
温する循環オイルは該コア内において冷却せしめられる
ものである。 上記のこの考案によるオイルクーラによれば、上部ヘ
ッダ（１）に、該ヘッダ（１）とは別体でかつバイパス
用流路（４）およびこの流路（４）を開閉する温度感知
作動式自動調整弁（７）を含む仕切部材（３）が、ヘッ
ダ（１）の底壁（19）に対して傾斜状に組み込まれて、
上部ヘッダ（１）内が、仕切部材（３）を介してオイル
導入部（1a）とオイル排出部（1b）とに仕切られてい
る。 そして、仕切部材（３）のオイル導入部（1a）側の左
方下向き傾斜状の側壁（3a）にバイパス用オイル入口
（８）が、オイル排出部（1b）側の右方下向き傾斜状の
側壁（3b）にバイパス用オイル出口（９）がそれぞれ設
けられるだけで、ヘッダ（１）のオイル導入部（1a）と
オイル排出部（1b）とが仕切部材（３）内のバイパス用
流路（４）を介して連通せしめられ、また仕切部材
（３）の右方上向き傾斜状の上壁（3c）に設けられた雌
ねじ部（10）に、温度感知作動式自動調整弁（７）がね
じ止められることにより、弁（７）の弁棒（11）先端の
弁体（12）がバイパス用オイル入口（８）にのぞませら
れているものである。 従って、バイパス機能を有するヘッダ付きオイルクー
ラは、構造が非常に簡単で、従来のような余分な配管や
設置スペースを必要とすることなく、また従来のように
バイパス管がヘッダのオイル排出口を塞ぐといった心配
もなく、バイパス機能を有するヘッダ付きオイルクーラ
の製造をきわめて容易かつ安価になし得るものである。 考案の効果 この考案は、上述の次第で、この考案によるバイパス
機能を有するヘッダ付きオイルクーラによれば、発動機
等の駆動初期において低温の粘性の高いオイル等のオイ
ルの一部をオイルクーラのコア内へ移動させることな
く、オイルをヘッダのオイル導入部からオイル排出部へ
と速やかにバイパスさせることができ、従ってポンプの
初期の駆動力を小さく設定することができて、非常に経
済的であることは、勿論である。 そして、とくにこの考案では、ヘッダとは別体でかつ
バイパス用流路およびこの流路を開閉する温度感知作動
式自動調整弁を含む仕切部材が、ヘッダの底壁に対して
傾斜状に組み込まれて、上部ヘッダ内が、仕切部材を介
してオイル導入部とオイル排出部とに仕切られるととも
に、仕切部材のオイル導入部側の左方下向き傾斜状の側
壁にバイパス用オイル入口が、オイル排出部側の右方下
向き傾斜状の側壁にバイパス用オイル出口がそれぞれ設
けられるだけで、ヘッダのオイル導入部とオイル排出部
とが仕切部材内のバイパス用流路を介して連通せしめら
れ、さらに仕切部材の右方上向き傾斜状の上壁に設けら
れた雌ねじ部に、温度感知作動式自動調整弁がねじ止め
られることにより、弁の弁棒先端の弁体がバイパス用オ
イル入口にのぞませられている。 従って、この考案のオイルクーラによれば、構造が非
常に簡単で、余分な仕切壁や隔壁を必要とせずに、部品
点数が非常に少なくてすみ、また従来のような余分な配
管や設置スペースを必要とすることなく、さらに従来の
ようにバイパス管がヘッダのオイル排出口を塞ぐといっ
た心配もなく、バイパス機能を有するヘッダ付きオイル
クーラの製造をきわめて容易かつ安価になし得るという
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】 第１図はこの考案の実施例を示す要部拡大部分切欠き正
面図、第２図は同概略正面図である。 （１）（２）…ヘッダ、（1a）…オイル導入部、（1b）
…オイル排出部、（３）…仕切部材、（3a）…左方下向
き傾斜状側壁、（3b）…右方下向き傾斜状側壁、（3c）
…右方上向き傾斜状上壁、（４）…バイパス用流路、
（７）…温度感知作動式自動調整弁、（８）…バイパス
用オイル入口、（９）…バイパス用オイル出口、（10）
…弁取付け用雌ねじ部、（11）…弁棒、（12）…弁体、
（13）…冷却管、（19）…底壁。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭56−85765（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−46993（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−150557（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−58179（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−43939（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

1. (57)【実用新案登録請求の範囲】 １．並列状の冷却管（13）の両端部が接続された上下一
   対のヘッダ（１）（２）を備え、上部ヘッダ（１）に、
   内部にバイパス用流路（４）を有する角形ブロック状仕
   切部材（３）が、ヘッダ（１）の底壁（19）に対して傾
   斜状に組み込まれて、上部ヘッダ（１）内が仕切部材
   （３）を介して右側のオイル導入部（1a）と左側のオイ
   ル排出部（1b）とに仕切られており、仕切部材（３）の
   左方下向き傾斜状の側壁（3a）に、オイル導入部（1a）
   に連通するバイパス用オイル入口（８）が設けられると
   ともに、仕切部材（３）の右方下向き傾斜状の側壁（3
   b）に、オイル排出部（1b）に連通するバイパス用オイ
   ル出口（９）が設けられ、オイル導入部（1a）側の側壁
   （3a）に対向する右方上向き傾斜状の上壁（3c）に、バ
   イパス用オイル入口（８）に向い合う弁取付け用雌ねじ
   部（10）が設けられ、この雌ねじ部（10）に、温度感知
   作動式自動調整弁（７）がねじ止められ、該弁（７）の
   弁棒（11）先端に設けられた弁体（12）がバイパス用オ
   イル入口（８）にのぞませられ、オイルの循環初期にお
   いては温度感知作動式自動調整弁（７）がオイルの低い
   温度を感知して、バイパス用流路（４）が開かれた状態
   に保持されており、かつ循環オイルの昇温により、温度
   感知作動式自動調整弁（７）がオイルの高い温度を感知
   し、該弁（７）の弁体（12）がバイパス用オイル入口
   （８）を塞いでバイパス用流路（４）を閉じるようにな
   されている、バイパス機能を有するヘッダ付きオイルク
   ーラ。