JP2565327B2 - 信号処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は人工衛星に搭載され地球上のマツピングを行
う合成開口レーダの信号処理，その中でも特にレンジマ
イグレーシヨン補正処理を行う信号処理装置に関するも
のである。

〔従来の技術〕

一般に人工衛星搭載用の合成開口レーダにおいては，
静止した地球上のある点を運動する衛星から長時間（数
秒）にわたつて観測するため，地球上のある１点から取
得されたデータは，刻々と衛星との距離が変化するので
時間とともにそのレンジ方向（合成開口レーダの移動方
向に対し垂直な方向）の位置が変化する。第２図に取得
されたデータの１例を示す。図において（７）はレンジ
方向，（８）は合成開口レーダの移動方向に対し平行な
方向であるアジマス方向，（９）は地球上のある１点か
ら反射し衛星において取得されたデータの軌跡を表わ
す。合成開口レーダの１送信ごとにレンジ方向１ライン
のデータが取得され，連続的な送信によつてアジマス方
向に順番に１ラインずつ格納される。なお，本図におい
ては簡略化のため，レンジ方向に15,アジマス方向に15
のデータのみを示したが，実際の衛星搭載用合成開口レ
ーダでは１画面分のデータでレンジ方向に4000程度，ア
ジマス方向に16,000程度のデータ量となる。図において
斜線で示したように地球上のあるデータ（９）は，送信
ごとに異なつたレンジ位置に受信，格納される。従つて
このようなデータをアジマス圧縮処理等のようにアジマ
ス方向に処理する場合には，第３図のようにデータ
（９）をデータ（９′）のように同じレンジ位置に並べ
直す必要がある。このようにデータを並べ直す処理をレ
ンジマイグレーシヨン補正処理と呼ぶ。この処理は衛星
搭載用の合成開口レーダの信号処理にとつて不可欠なも
のである。

従来このレンジマイグレーシヨン補正処理を行う装置
として第４図に示すような信号処理装置が提案されてい
る。図において（１）は画像データを格納するための画
像メモリ部，（10）は前記画像メモリ部のメモリアドレ
スを生成するためのメモリアドレス生成部，（６）は全
体の制御を司り，かつ前記アドレス生成部において必要
なパラメータの計算を行う制御部である。レンジマイグ
レーシヨン補正処理を行うためにはまず制御部（６）に
おいて送信ごとの合成開口レーダと地球上のある観測点
との間の距離を計算し，メモリアドレス生成部（10）へ
転送する。これらの情報はメモリアドレス生成部（10）
において上記画像メモリ部（１）のアドレスに変換さ
れ，異なつたレンジ位置からの画像データに対してアク
セスすることが可能となる。以上によつて上記画像メモ
リ部においてレンジ方向に広がつた画像データを等価的
に同じレンジ位置に並べた状態でアクセスすることが可
能となり，レンジマイグレーション補正処理が実現され
る。これにより以降のアジマス方向の処理が可能とな
る。従来の信号処理装置は上記のように構成されている
ので，レンジマイグレーシヨン補正処理を行う場合には
制御部（６）によつて合成開口レーダと地球上のある観
測点との間の距離を計算してメモリアドレス生成部（1
0）によつてメモリアドレスを生成するという手順を遂
次行い，順番にデータにアクセスするという方法を採つ
ていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来の信号処理装置では，レンジマイグレーシヨン補
正処理を行う際上記のように制御部においてパラメータ
を遂次計算しデータにアクセスしていたため，アドレス
計算に時間がかかり，高速データアクセスが不可能とな
り，合成開口レーダ信号処理の処理速度の高速化を計る
ことができないという問題点を有していた。

この発明は，このような問題点を解決するためになさ
れたもので，高速な所望の画像データへのアクセスを可
能とし，レンジマイグレーシヨン補正処理，さらには信
号処理全体の処理時間を短縮できる信号処理装置を得る
ことを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係る信号処理装置は，レンジマイグレーシ
ヨン補正処理を行うために必要なレンジ位置情報を保持
する間接アドレスメモリ部と，アジマス方向のアドレス
情報を発生するアジマスアドレスカウンタと，メモリア
ドレスのオフセツト値を保持するカウンタを設けたもの
である。

〔作用〕

この発明においては，レンジマイグレーシヨン補正処
理の際に必要な画像メモリ部のアドレスを，間接アドレ
スメモリ部において保持しているレンジ位置情報及びア
ジマスアドレスカウンタが発生するアジマスアドレス情
報と，カウンタが保持するアドレスオフセツト値を加え
ることによつて発生する。

〔実施例〕

第１図は，この発明による信号処理装置の１実施例を
示すブロツク図である。（１）は合成開口レーダにより
取得された画像データの格納，及び処理結果の一時格納
を行う画像メモリ部，（２）はレンジマイグレーシヨン
補正処理に必要なレンジ位置情報を保持する間接アドレ
スメモリ部，（３）はアジマス方向に順番にアドレスを
発生するアジマスアドレスカウンタ，（４）はアジマス
方向に１ライン読み出すごとに１カウントアツプし，ア
ドレスのオフセツト値を保持するカウンタ，（５）は上
記間接アドレスメモリ部（２）からのレンジ位置情報
と，上記カウンタ（４）からのアドレスオフセツト値を
加算し，上記画像メモリ部（１）に対してアドレス信号
を与える加算器，（６）は全体の制御を司り，かつレン
ジ位置を求めるのに必要なパラメータを計算する制御部
である。（１），（６）は第４図で説明したものと全く
同一のものである。

本装置によりレンジマイグレーション補正処理を行う
手順は以下のようになる。まず、制御部（６）において
合成開口レーダと地球上の画像化しようとする地点との
間の各送信ごとの距離を計算し、レンジ方向アドレスと
して各送信ごとのレンジアドレス初期値とアドレスの変
化アジマスポイントに分けて間接アドレスメモリ部
（２）に格納する。この各信号ごとのレンジ位置は第２
図で示したデータ（９）のようなカーブを描くことにな
る。このレンジ位置を示すカーブは本来レンジ方向の距
離によって変化するものであるが、処理後の距離分解能
の1/2までのレンジずれまでを許容すると、約100アジマ
スラインは同一のカーブが使用可能となる。従って上で
述べた制御部（６）におけるレンジ位置の計算は100ア
ジマスラインに１回程度行えば良く、全体で数10回程度
となる。これに応じて間接アドレスメモリの容量も数10
アジマスライン分となりしかもレンジ方向アドレスだけ
なので比較的小容量となる。また、アジマス方向のアド
レスは必ず順次アクセスとなるため、カウンタで発生可
能である。画像メモリ部（１）に対してアクセスするた
めの１アジマスライン分のメモリアドレスはレンジ方
向、アジマス方向に分けて以下のように発生される。レ
ンジ方向アドレスは上記間接アドレスメモリ部（２）か
ら順次読み出されるレンジ方向アドレス初期値に対し
て、オフセット値を与えるカウンタ（４）の出力を加算
器（５）によって加算することによって発生する。カウ
ンタ（４）から出力されるアドレスオフセット値はアジ
マス位置に応じて同じく間接アドレスメモリ部（２）か
ら読み出されるアドレス変化アジマスポイントを基準に
制御部（６）において現在のアジマス方向アドレスがア
ドレス変化ポイントかどうかを判断し、変化ポイントで
あれば制御部（６）がカウンタ（４）に対してカウント
アップ信号を発生させ、初期値０であるカウンタ（４）
の出力を＋１させることによって発生される。アジマス
方向の変化に伴うレンジ方向アドレスの増加分は必ず０
又は１であるのでこのような制御が可能となる。アジマ
ス方向のアドレスは、上述したレンジ方向アドレスの発
生に同期させてアジマスアドレスカウンタ（３）から０
を初期値として１ずつカウントアップしながら発生させ
る。以上のように画像メモリ部（１）に対してアクセス
するアドレスが連続的にしかも高速に発生される。これ
により等価的に同じレンジ位置からのデータを画像メモ
リ部（１）からアジマス方向に読み出すことが可能とな
り，レンジマイグレーシヨン補正処理が実現される。

制御部（６）は例えば通常のマイクロプロセッサ等に
よって構成され、上記レンジ情報の計算、ライン数のカ
ウントを行う機能を有する。

制御部（６）におけるレンジ位置情報の計算及び間接
アドレスメモリ部（２）への転送は，画像メモリ部
（１）を使用して他の信号処理を行つている間に実行し
ておけば見かけ上，その時間を無視することができる。

なお，間接アドレスメモリ部（２）からのデータは約
100アジマスライン分画像メモリ部（１）からデータを
読み出すごとに更新されるが，その更新と同時にカウン
タ（４）は制御部（６）によつてセツトされ，出力が０
となる。

〔発明の効果〕

以上のようにこの発明によれば，レンジマイグレーシ
ヨン補正処理において，比較的小さなハードウエアによ
つてアクセスするメモリアドレスを高速に発生でき，そ
れゆえデータの切り出しを高速に発生することが可能と
なりレンジマイグレーシヨン補正処理，さらには信号処
理全体の処理時間短縮が達成される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による合成開口レーダ信号処理装置の
１実施例のブロツク図，第２図は合成開口レーダによつ
て取得されたデータ配置の１例を表わした図，第３図は
第２図に示したデータに対してレンジマイグレーシヨン
補正処理を施した後のデータ配置を表わした図，第４図
は従来の合成開口レーダ信号処理装置を示すブロツク図
である。 図において，（１）は画像メモリ部，（２）は間接アド
レスメモリ部，（３）はアジマスアドレスカウンタ，
（４）はカウンタ，（５）は加算器，（６）は制御部で
ある。 なお，各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】人工衛星搭載の合成開口レーダで取得され
   た地球上の観測点における画像データを処理する信号処
   理装置において、上記画像データを格納する画像メモリ
   部と、合成開口レーダと地球上の観測点間の各送信ごと
   の距離に対応したレンジ位置を示すレンジ方向アドレス
   を保持する間接アドレスメモリ部と、上記間接アドレス
   メモリ部のレンジ方向アドレスの読出しに対応してカウ
   ントアップし、アジマス方向にアジマス方向アドレスを
   発生するアジマスアドレスカウンタと、上記画像メモリ
   部の１アジマスラインへの読出しに対応してカウントア
   ップし、アドレスのオフセット値を保持するカウンタ
   と、上記間接アドレスメモリ部、上記アジマスアドレス
   カウンタおよびカウンタからそれぞれ出力される１アジ
   マスラインのレンジ方向アドレス、アジマス方向アドレ
   スおよびオフセット値とを加算し、同じレンジ位置から
   のデータを上記画像メモリからアジマス方向に読出すた
   めのアドレス信号を出力する加算器と、合成開口レーダ
   と観測点間の各送信ごとの距離を計算し、それを送信ご
   とのレンジ位置を示すアドレスに変換して上記間接アド
   レスメモリ部ヘ出力し、上記の画像メモリ部、間接アド
   レスメモリ部、アジマスアドレスカウンタ、カウンタお
   よび加算器の制御をつかさどる制御部とを備えることを
   特徴とする信号処理装置。