JP2563361B2 - 麹菌による抗菌性物質の製造法 - Google Patents
麹菌による抗菌性物質の製造法Info
- Publication number
- JP2563361B2 JP2563361B2 JP62203564A JP20356487A JP2563361B2 JP 2563361 B2 JP2563361 B2 JP 2563361B2 JP 62203564 A JP62203564 A JP 62203564A JP 20356487 A JP20356487 A JP 20356487A JP 2563361 B2 JP2563361 B2 JP 2563361B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antibacterial substance
- koji mold
- substance
- extract
- strain
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Compounds Of Unknown Constitution (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus aw
amori)系の麹菌を利用した抗菌性物質の製造方法に関
する。
amori)系の麹菌を利用した抗菌性物質の製造方法に関
する。
(従来の技術と発明が解決しようとする問題点) 一部の清酒用黄麹菌(アスペルギルス・オリザエ:As
p.oryzae)が火落菌に対する抗菌性物質を生産すること
が報告されている(麹菌の生産する抗生物質Oryzacidin
に関する研究;「農化」25巻,254頁)。アスペルギルス
(Aspergillus)属のうちに、緑膿菌(Staphylococcus
aureus)の繁殖を阻止する物質を生産する種類のあるこ
とも報告されている(「農化」22巻34頁)。また泡盛用
黒麹に水を加えたものの水蒸気蒸留液に細菌の抑制作用
のあることを報告している(「発酵工学」27巻320頁、2
8巻73頁)。しかし焼酎用の麹菌として最も普及してい
るアスペルギルス・アワモリ・バル・カワチ・キタハラ
菌株(Asp.awamori var.Kawachii kitahara)の培養物
から抗菌活性を持つ物質が得られることは従来知られて
いない。
p.oryzae)が火落菌に対する抗菌性物質を生産すること
が報告されている(麹菌の生産する抗生物質Oryzacidin
に関する研究;「農化」25巻,254頁)。アスペルギルス
(Aspergillus)属のうちに、緑膿菌(Staphylococcus
aureus)の繁殖を阻止する物質を生産する種類のあるこ
とも報告されている(「農化」22巻34頁)。また泡盛用
黒麹に水を加えたものの水蒸気蒸留液に細菌の抑制作用
のあることを報告している(「発酵工学」27巻320頁、2
8巻73頁)。しかし焼酎用の麹菌として最も普及してい
るアスペルギルス・アワモリ・バル・カワチ・キタハラ
菌株(Asp.awamori var.Kawachii kitahara)の培養物
から抗菌活性を持つ物質が得られることは従来知られて
いない。
他方、従来、種々の抗生物質が開発、製造されている
が、新規な抗生物質を発見、製造することは常に要望さ
れている。
が、新規な抗生物質を発見、製造することは常に要望さ
れている。
南九州で生産される焼酎もろみは通常30℃前後の高温
でアルコール発酵が安全に行われる。これは焼酎つくり
に使用される麹菌、(Aspergillus awamori var.Kawach
ii kitahara)(通称、河内菌)の生産するクエン酸に
より保護されるため、酵母によるアルコール発酵が順調
に進むと考えられている。しかし、一方で清酒用の黄麹
(アスペルギルス・オリザエ)にクエン酸を添加して同
様のもろみをつくっても、その後の酵母醗酵について予
期する効果は得られない。これらの事実から焼酎麹又は
焼酎もろみ中には未知の抗菌生物質の存在が予測され
る。そこで本発明者は焼酎麹中に含まれる抗菌性物質の
単離、採取の研究を行った。
でアルコール発酵が安全に行われる。これは焼酎つくり
に使用される麹菌、(Aspergillus awamori var.Kawach
ii kitahara)(通称、河内菌)の生産するクエン酸に
より保護されるため、酵母によるアルコール発酵が順調
に進むと考えられている。しかし、一方で清酒用の黄麹
(アスペルギルス・オリザエ)にクエン酸を添加して同
様のもろみをつくっても、その後の酵母醗酵について予
期する効果は得られない。これらの事実から焼酎麹又は
焼酎もろみ中には未知の抗菌生物質の存在が予測され
る。そこで本発明者は焼酎麹中に含まれる抗菌性物質の
単離、採取の研究を行った。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は、上記の河内菌(鹿児島市の河内源一郎商
店で市販される麹菌)を入手し、これを殺菌済み蒸米で
培養し、その培養物(すなわち、米麹)を各種の有機溶
媒で抽出し、その抽出液中に抗菌性物質が存在すること
を発見し、この物質を採取することに成功した。
店で市販される麹菌)を入手し、これを殺菌済み蒸米で
培養し、その培養物(すなわち、米麹)を各種の有機溶
媒で抽出し、その抽出液中に抗菌性物質が存在すること
を発見し、この物質を採取することに成功した。
従って、本発明の要旨とするところはアスペルギルス
・アワモリに属する麹菌菌株を培地中で培養し、その培
養物をメタノール、エタノール、n−プロパノール、ア
セトン又は酢酸エチル、あるいはこれらの有機溶媒の二
種又はそれ以上の混合溶媒で抽出し、その抽出液から有
機溶剤を蒸発により除去して抽出液を濃縮し、これによ
り油状の抗菌性物質を採取することを特徴とする、抗菌
性物質の製造法にある。
・アワモリに属する麹菌菌株を培地中で培養し、その培
養物をメタノール、エタノール、n−プロパノール、ア
セトン又は酢酸エチル、あるいはこれらの有機溶媒の二
種又はそれ以上の混合溶媒で抽出し、その抽出液から有
機溶剤を蒸発により除去して抽出液を濃縮し、これによ
り油状の抗菌性物質を採取することを特徴とする、抗菌
性物質の製造法にある。
本発明の方法において、使用する麹菌菌株はアスペル
ギルス・アワモリ・バル・カワチ・キタハラ菌株である
のが好ましい。培地は通常の炭素源、例えばでんぷん、
と窒素源、例えば大豆蛋白、イースト・エキストラク
ツ、等を含む微生物培養用の通常の液体培地又は固体培
地であることができる。固体培地は加熱殺菌した蒸し米
であるのが好ましい。培養温度は25℃〜38℃の範囲であ
るのが好ましい。
ギルス・アワモリ・バル・カワチ・キタハラ菌株である
のが好ましい。培地は通常の炭素源、例えばでんぷん、
と窒素源、例えば大豆蛋白、イースト・エキストラク
ツ、等を含む微生物培養用の通常の液体培地又は固体培
地であることができる。固体培地は加熱殺菌した蒸し米
であるのが好ましい。培養温度は25℃〜38℃の範囲であ
るのが好ましい。
本発明の方法で得られた抗菌性物質は黄褐〜茶褐色の
油状物質であり、良く精製すれば無色物質にすることも
できる。茶褐色の油状物質であっても、これをシリカゲ
ル薄層クロマトグラフィ(展開溶媒;10%酢酸エチル−9
0%クロロホルム混合溶媒)で展開するとRf0.14に単一
スポットを与えるから、単一の物質であると推定され
る。
油状物質であり、良く精製すれば無色物質にすることも
できる。茶褐色の油状物質であっても、これをシリカゲ
ル薄層クロマトグラフィ(展開溶媒;10%酢酸エチル−9
0%クロロホルム混合溶媒)で展開するとRf0.14に単一
スポットを与えるから、単一の物質であると推定され
る。
本発明の方法で得られる抗菌性物質は水、クロロホル
ム、ベンゼン、トルエン、4塩化炭素、ヘキサンには不
溶であるが、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ア
セトン、プロパノールには可溶性である。
ム、ベンゼン、トルエン、4塩化炭素、ヘキサンには不
溶であるが、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ア
セトン、プロパノールには可溶性である。
本発明の方法を次に実施例について説明する。
実施例 1 破砕精米を30分間水に浸漬、50分間水切り後に蒸す。
その蒸し米を30gずつシャーレに入れた後100℃で60分間
殺菌したものに河内菌(Aspergillus awamori var.Kawa
chii kitahara)を一白金耳接種し、35℃で3日間培養
して麹を得た。
その蒸し米を30gずつシャーレに入れた後100℃で60分間
殺菌したものに河内菌(Aspergillus awamori var.Kawa
chii kitahara)を一白金耳接種し、35℃で3日間培養
して麹を得た。
上記のように調製した米麹の50gに酢酸エチル50mlを
加えて適宜攪はんしつつ3時間抽出した。濾過を行い、
酢酸エチル抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮し
て酢酸エチルを完全に留去した。油状物質の0.5gを得
た。この油状物0.3gを直径9mmのペーパーディスクにし
みこませた後、このペーパーディスクを、各種菌類を接
種してペトリ皿に固めた寒天培地上にのせて30℃、24時
間培養して各種菌類に対する生育阻止ゾーンの直径を測
定した。その結果を第1表に示す。
加えて適宜攪はんしつつ3時間抽出した。濾過を行い、
酢酸エチル抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮し
て酢酸エチルを完全に留去した。油状物質の0.5gを得
た。この油状物0.3gを直径9mmのペーパーディスクにし
みこませた後、このペーパーディスクを、各種菌類を接
種してペトリ皿に固めた寒天培地上にのせて30℃、24時
間培養して各種菌類に対する生育阻止ゾーンの直径を測
定した。その結果を第1表に示す。
但し第1表において供試菌の各記号は次の意味をも
つ。
つ。
A:大腸菌(E.coli),B:緑膿菌(Staphylococcus aureu
s),C:枯草菌(Bacillus subtlkis),D:カンジタ菌(Ca
ndida arbicans),E:黄麹菌(Aspergills oryzae),F:
河内菌(Aspergillus awamori),G:酵母菌(Saccharomy
ces cerevisiae) この様に本発明の方法で得られた抗菌性物質はグラム
陽性菌、グラム陰性菌、酵母、糸状菌等の広範な微生物
に抗菌活性を示す。
s),C:枯草菌(Bacillus subtlkis),D:カンジタ菌(Ca
ndida arbicans),E:黄麹菌(Aspergills oryzae),F:
河内菌(Aspergillus awamori),G:酵母菌(Saccharomy
ces cerevisiae) この様に本発明の方法で得られた抗菌性物質はグラム
陽性菌、グラム陰性菌、酵母、糸状菌等の広範な微生物
に抗菌活性を示す。
実施例 2 実施例1と同様にアスペルギルス・アワモリ(A.awam
ori)に属する河内菌を蒸米に生育させた米麹を、各種
の有機溶媒で抽出後、その抽出液をロータリーエバポレ
ーターで濃縮して溶媒を除去した。得られた油状物質の
各々0.3gをペーパーディスクに浸透させ、実施例1と同
様の方法で酵母を検定菌としてその生育阻止ゾーンの直
径を測定した結果を次表に示す。
ori)に属する河内菌を蒸米に生育させた米麹を、各種
の有機溶媒で抽出後、その抽出液をロータリーエバポレ
ーターで濃縮して溶媒を除去した。得られた油状物質の
各々0.3gをペーパーディスクに浸透させ、実施例1と同
様の方法で酵母を検定菌としてその生育阻止ゾーンの直
径を測定した結果を次表に示す。
これらの結果から明らかな様にアスペルギルス・アワ
モリ(Asp.awamori)に属する河内菌を培養して得られ
る抗菌性物質はエタノール、メタノール、プロパノー
ル、アセトン、酢酸エチルによって可溶性で抽出され
る。また、夫々、得られた油状物質はシリカゲル薄層ク
ロマトグラフィ(10%酢酸エチル−90%クロロホルムで
展開)でRf0.14に単一スポットを与えた。
モリ(Asp.awamori)に属する河内菌を培養して得られ
る抗菌性物質はエタノール、メタノール、プロパノー
ル、アセトン、酢酸エチルによって可溶性で抽出され
る。また、夫々、得られた油状物質はシリカゲル薄層ク
ロマトグラフィ(10%酢酸エチル−90%クロロホルムで
展開)でRf0.14に単一スポットを与えた。
Claims (3)
- 【請求項1】アスペルギルス・アワモリに属する麹菌菌
株を培地中で培養し、その培養物をメタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、アセトン又は酢酸エチル、あ
るいはこれらの有機溶媒の二種又はそれ以上の混合溶媒
で抽出し、その抽出液から有機溶剤を蒸発により除去し
て抽出液を濃縮し、これにより油状の抗菌性物質を採取
することを特徴とする、抗菌性物質の製造法。 - 【請求項2】使用する麹菌菌株はアスペルギルス・アワ
モリの変異株であるカワチ・キタハラ菌株である特許請
求の範囲第1項記載の方法。 - 【請求項3】培地は殺菌済みの蒸し米であり、30〜35℃
の温度で24〜80時間培養を行う特許請求の範囲第1項記
載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62203564A JP2563361B2 (ja) | 1987-08-18 | 1987-08-18 | 麹菌による抗菌性物質の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62203564A JP2563361B2 (ja) | 1987-08-18 | 1987-08-18 | 麹菌による抗菌性物質の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6447794A JPS6447794A (en) | 1989-02-22 |
JP2563361B2 true JP2563361B2 (ja) | 1996-12-11 |
Family
ID=16476222
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62203564A Expired - Fee Related JP2563361B2 (ja) | 1987-08-18 | 1987-08-18 | 麹菌による抗菌性物質の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2563361B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012043743A1 (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-05 | 国立大学法人広島大学 | 抗菌組成物およびその利用 |
-
1987
- 1987-08-18 JP JP62203564A patent/JP2563361B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6447794A (en) | 1989-02-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Kai et al. | Volatiles of bacterial antagonists inhibit mycelial growth of the plant pathogen Rhizoctonia solani | |
CN109957515B (zh) | 一株拟茎点霉菌株及其在对雷公藤红素进行生物转化中的应用 | |
US3892850A (en) | Pimaricin and process of producing same | |
US6319497B1 (en) | Non-obligate predatory bacterium burkholderia casidaeand uses thereof | |
CN109956991B (zh) | 一种新化合物及其在制备细菌抑制剂中的应用 | |
CN117106649B (zh) | 一株拮抗黄曲霉的菌株及其在黄曲霉生物防治中的应用 | |
JPH02288889A (ja) | Ab‐021抗生物質およびその製造法 | |
JP2563361B2 (ja) | 麹菌による抗菌性物質の製造法 | |
CN108033905A (zh) | 化合物pencolide的制备方法和应用 | |
US2652356A (en) | Fumagillin and preparation | |
CN110205262B (zh) | 类球红细菌a2菌株、生防菌剂及其制备方法和应用 | |
Krassilnikov et al. | PROPERTIES OF TOXINS OF VERTIGILLIUM DAHLIAE, THE CAUSATIVE AGENT OF COTTON WILT DISEASE | |
Hur et al. | Isolation, cultivation, and antifungal activity of a lichen-forming fungus | |
Ayers et al. | Violet-pigmented Pseudomonads with antifungal activity from the rhizosphere of beans | |
CN117903950B (zh) | 一种用于烟草靶斑病的弱毒菌株by168及其应用 | |
JPS60176590A (ja) | 抗生物質およびその製造方法 | |
JP2535784B2 (ja) | エポキシ化合物の製造法 | |
US3737523A (en) | Antibiotic complex mm4462 and process preparing same | |
US2938836A (en) | Process of preparing omicron-carbamyl-d-serine | |
US3323996A (en) | Antiviral antibiotic from trichoderma todica and method of producing same | |
EP0472186A2 (en) | Antibiotics AB-023 and process for preparing them | |
JP2500314B2 (ja) | オクタデカ−ジエン・テトライン−カルボン酸誘導体及びその製造法 | |
JP4074261B2 (ja) | 光分解性農薬組成物の製造方法 | |
Srinivasan et al. | Two new phytopathogenic bacteria on verbenaceous hosts | |
US3123530A (en) | Antibiotic aa |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |