JP2562708B2 - ノイズキャンセル方法及び装置 - Google Patents

ノイズキャンセル方法及び装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は飛行機操縦室等のような高騒音状態で使用す
るヘッドホン或は静寂性が要求される図書館等に用いて
好適なノイズキャンセル方法及び装置に関する。
〔従来技術及びその課題〕
従来、ヘッドホンに対するアクティブ方式を用いたノ
イズキャンセル装置としては、第4図と第5図に示すオ
ープンループ方式とクローズドループ方式が知られてい
る。
オープンループ方式は、第4図に示すように、スピー
カ31を内蔵したヘッドホン30の外部にマイクロホン32を
設け、使用時に、マイクロホン32からヘッドホン外部の
ノイズを検出し、検出した外部ノイズ信号をヘッドホン
30の減衰特性に近似したフィルタ33を介し、さらに、ア
ンプ34により位相反転して音声信号Soに加算する。これ
により、ヘッドホン内部ではノイズがキャンセルされ
る。
しかし、オープンループ方式の場合、使用者の相違及
び同一使用者であっても装着の都度生じる装着状態によ
って、ヘッドホン30による減衰特性は変化する。このた
め、単一のフィルタ33では差異を生じ、この差に基づく
ノイズ成分は除去できない。結局、ノイズキャンセル効
果があまり期待できないばかりでなく、状況によっては
逆効果になることもある。
一方、クローズドループ方式はオープンループ方式の
欠点を排したものであり、第5図に示すように、スピー
カ41を内蔵したヘッドホン40の内部にマイクロホン42を
設け、使用時に、ヘッドホン40の内部のノイズを検出す
るようにした。したがって、この方式の場合、ノイズ成
分は理論上キャンセルされ得るが、反面、音声成分も帰
還するため、クローズドループ系を発振させないよう
に、音声信号Soをスイッチングするなど特殊な補償装置
43を設けて複雑な制御を行う必要があり、また、音声品
質を損なう問題があった。
本発明はこのような従来の技術に存在する課題を解決
したノイズキャンセル方法及び同方法に利用するノイズ
キャンセル装置の提供を目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は内部にスピーカ11を設けた閉空間、例えばヘ
ッドホンHに侵入するノイズをキャンセルするノイズキ
ャンセル方法において、予め、ヘッドホンHを装着し、
かつ音声信号の無い状態で、ヘッドホンHの内部と外部
のノイズを、マイクロホン2iと2oにより検出し、検出し
た内部ノイズ信号Niと外部ノイズ信号Noの差からヘッド
ホンHの遮音特性Nhを求めて記憶する。そして、使用時
に、ヘッドホンHの外部のノイズをマイクロホン2oによ
り検出し、検出した外部ノイズ信号Noを遮音特性Nhで補
正することにより、内部ノイズ信号の疑似信号niを得る
とともに、この疑似信号niを音声信号ラインSに供給す
るようにした。
また、本発明に係るノイズキャンセル装置1は、同方
法を実施するために、ヘッドホンHの内部と外部に設け
た一対のマイクロホン2i、2oと、音声信号の無い状態に
おける各マイクロホン2i、2oから検出した内部ノイズ信
号Niと外部ノイズ信号Noの差からヘッドホンHの遮音特
性Nhを求める比較機能部3と、この遮音特性Nhを記憶す
る記憶機能部4と、外部のマイクロホン2oから検出した
外部ノイズ信号Noを遮音特性Nhにより補正して内部ノイ
ズ信号の疑似信号niを得る補正機能部5と、疑似信号ni
を音声信号ラインSに供給する信号供給部6を備えて構
成する。この場合、外部ノイズ信号No及び内部ノイズ信
号Niをディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル
変換器7o、7iを備えるとともに、疑似信号niをアナログ
信号に変換するディジタル−アナログ変換器8を備えて
いる。なお、補正機能部5としてはディジタルフィルタ
5aを用い、また、信号供給部6としては疑似信号niを位
相反転する位相反転部9と、位相反転した疑似信号(−
ni)を音声信号ラインSに対して供給する混合器10を用
いて構成できる。
このようなノイズキャンセル方法及び装置において得
られた疑似信号niは、音声信号ラインSに供給すること
なく、単独に配したスピーカ11に供給することにより疑
似信号niのみを出力させることもできる。
〔作用〕
本発明に係るノイズキャンセル方法(装置)によれ
ば、ヘッドホンHを装着した状態で、予め、マイクロホ
ン2iと2oにより、ヘッドホンHの内部と外部のノイズを
検出し、内部ノイズ信号Niと外部ノイズ信号Noを得る。
比較機能部3は外部ノイズ信号Noと内部ノイズ信号Niの
差からヘッドホンHの遮音特性Nh=No−Niを求め、記憶
機能部4に記憶する。
一方、使用時には、外部のマイクロホン2oによりヘッ
ドホンHの外部のノイズを検出する。そして、補正機能
部5により、検出した外部ノイズ信号Noを、記憶した遮
音特性Nh(フィルタ特性Nhf)で補正し、内部ノイズ信
号の疑似信号ni(≒No−Nh)を得、さらに、信号供給部
6によって、疑似信号niを音声信号ラインSに供給す
る。これにより、スピーカ11からは(−ni)が出力し、
この(−ni)成分により、ヘッドホンHの内部における
ノイズ(+ni)をキャンセルする。この場合、音声信号
が存在するか否かを問わずにノイズはキャンセルされ
る。
〔実 施 例〕
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づ
き詳細に説明する。なお、実施例はヘッドホンに適用し
た場合を示す。
まず、ノイズキャンセル装置1の全体構成について、
第1図を参照して説明する。
点線枠で示すHはスピーカ11を内蔵したヘッドホンで
ある。また、ヘッドホンHの内部にはマイクロホン2iを
設けるとともに、外部にはマイクロホン2oを設ける。マ
イクロホン2iと2oは共にDSP(ディジタルシグナルプロ
セッサ)12の入力側に接続する。なお、DSP12は内部に
記憶機能部4を構成するRAM(ランダムアクセスメモ
リ)4aを備える。DSP12の出力側は位相反転器9を介し
て混合器10の入力側に接続する。この混合器10の他の入
力側には音声信号が入力するとともに、混合器10の出力
側はスピーカ11に接続する。
次に、DSP12の機能部について、第2図を参照して説
明する。
7i、7oはA/D(アナログ−ディジタル)変換器であ
り、入力側に前記マイクロホン2i、2oをそれぞれ接続す
る。A/D変換器7i、7oの出力は比較機能部3に入力し、
比較機能部3の出力はCPU(セントラルプロセッシング
ユニット)13に入力する。一方、A/D変換器7oの出力側
はディジタルフィルタ5aに接続するとともに、ディジタ
ルフィルタ5aにはCPU13を接続する。また、ディジタル
フィルタ5aの出力側はD/A(ディジタル−アナログ)変
換器8の入力側に接続する。そして、D/A変換器8の出
力側は前記位相反転器9に接続する。なお、15は混合器
10とスピーカ11間に接続したアンプを示す。
次に、ノイズキャンセル方法について、ノイズキャン
セル装置1の機能及び使用方法と併せて説明する。
まず、使用者はヘッドホンHを頭部に装着する。そし
て、音声信号の無い状態で、ヘッドホンHの遮音特性Nh
を求め、RAM4aに記憶する。即ち、CPU13の発する処理指
令により、マイクロホン2iと2oからヘッドホンHの内部
と外部のノイズが検出され、検出された内部ノイズ信号
Niと外部ノイズ信号NoはA/D変換器7i、7oによりディジ
タル信号に変換されるとともに、比較機能部3に入力す
る。比較機能部3は外部ノイズ信号Noと内部ノイズ信号
Niの差からヘッドホンHの遮音特性Nh=No−Niを求め、
この遮音特性NhをRAM4aに記憶する。なお、この際の処
理指令は、ヘッドホンHの所定位置に設けたスイッチを
ONさせたり、或は、雑音が発生したことを自動検知する
音センサに基づいて発せられる。また、音声信号がない
ときに、随時本動作を行いRAM4aの記憶データを自動更
新させることもできる。
一方、使用時、即ち、音声信号の入力時には、外部の
マイクロホン2oによりヘッドホンHの外部のノイズNを
検出し、外部ノイズ信号Noを得る。外部ノイズ信号Noは
A/D変換器7oを介してディジタル信号に変換され、ディ
ジタルフィルタ5aに入力する。ディジタルフィルタ5aは
外部ノイズ信号Noに対し、RAM4aに記憶した遮音特性Nh
によりディジタルフィルタリング補正し、内部ノイズ信
号の疑似信号ni(≒No−Nh)を得る。得られた疑似信号
niはD/A変換器8を介してアナログ信号に変換され、位
相反転器9に入力し、さらに、位相反転された疑似信号
(−ni)は混合器10に入力する。混合器10には音声信号
が入力するため、混合器10の出力には音声信号ととも
に、供給された(−ni)を得る。以上はDSP12により、
高速処理される。
よって、信号信号にはヘッドホンHの内部における内
部ノイズ信号とほぼ等しい位相反転されたノイズ信号
(−ni)が加算されたことになり、スピーカ11から音声
が出力した際にはヘッドホンHの内部におけるノイズn
≒(+ni)をキャンセルする。
次に、本発明に関連する参考例について第3図を参照
して説明する。なお、第2図と同一部分には同一符号を
付し、その詳細な説明は省略する。
まず、5bはディジタルフィルタを示す。このディジタ
ルフィルタ5bは前記ディジタルフィルタ5aと同様に構成
され、フィルタ特性は可変、即ち、フィルタ係数がCPU1
3によって可変制御される周波数特性を有する。このフ
ィルタ特性はヘッドホンHにおける前記遮音特性に相当
する。一方、外部のマイクロホン2oはA/D変換器7oを介
してディジタルフィルタ5bに入力するとともに、内部の
マイクロホン2iはA/D変換器7iを介てCPU13に入力する。
次に、ノイズキャンセル方法について説明する。ま
ず、ヘッドホンHを装着した状態で、予め、ディジタル
フィルタ5bに外部ノイズ信号Noを供給し、これにより補
正信号Ssを得るとともに、スピーカ11から出力させる。
このとき、ディジタルフィルタ5bのフィルタ特性をCPU1
3により可変するとともに、同時に、CPU13は内部ノイズ
信号Niの大きさを監視する。そして、内部ノイズ信号Ni
の大きさが最小になるフィルタ特性Nhfを検出してRAM4a
に記憶する。
このようにして得たフィルタ特性Nhfは前記遮音特性N
hに相当するもので、使用時には、前記第2図に示した
実施例と同様に補正処理が行われる。
一方、上述した実施例及び参考例は音声信号ラインS
が存在する場合を例示したが、得られた疑似信号(−n
i)を直接スピーカ11から出力させてもよい。即ち、第
2図及び第3図において、位相反転器9の出力信号であ
る疑似信号(−ni)を直接スピーカ11に供給して出力さ
せる。これにより、会議室、図書館等の本来的に静寂性
を要求される空間に侵入する外部ノイズをキャンセルす
ることができる。なお、この場合、定期的に本キャンセ
ル方法に基づく動作を繰返し、RAM4aの記憶データを自
動変更させることが望ましい。
以上、実施例について詳細に説明したが本発明はこの
ような実施例に限定されるものではない。例えば、信号
処理部としてDSPを用いた場合を示したが、DSPの各機能
部と同一機能を発揮する回路部品やICの組合わせやソフ
トウェアにより構成してもよい。また、閉空間としてヘ
ッドホンを例示したが、車室内、室内等において、カー
ステレオやカーラジオ、テレビ等を聞く場合や、静寂性
が要求される会議室、図書館、オフィス等の各種空間に
対しても同様に適用できる。その他、細部の回路構成、
部品、用途等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で任意に変更できる。
〔発明の効果〕 このように、本発明に係るノイズキャンセル方法(装
置)は、予め、音声信号の無い状態で、閉空間の内部と
外部のノイズを検出して閉空間の遮音特性を求めて記憶
するとともに、使用時に、外部のノイズを検出し、検出
した外部ノイズ信号を、記憶した遮音特性で補正するこ
とにより、内部ノイズ信号の疑似信号を得、さらに疑似
信号を音声信号ラインに供給或は直接スピーカから出力
するようにしたため、次のような顕著な効果を奏する。
音声品質を何ら損なうことなく、外部のノイズを理
想的にキャンセルできるため、確実なノイズキャンセル
効果を期待できる。
ヘッドホンの場合、使用者が異なったり、使用場所
が異なっても、その都度補正を行うことができるため、
常に、最適な状態で使用でき、汎用性に富む。
会議室、図書館等の静寂性が要求される空間の外部
ノイズをキャンセルできるため、遮音設備を使用するこ
となく快適な環境をつくり出すことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図:本発明に係るノイズキャンセル装置のブロック
回路図、 第2図:同ノイズキャンセル装置におけるDSPの機能ブ
ロック図、 第3図:本発明の参考例に係るノイズキャンセル装置に
おけるDSPの機能ブロック図、 第4図,第5図:従来技術に係るノイズキャンセル装置
のブロック回路図。 尚図面中、 1:ノイズキャンセル装置 2i,2o:マイクロホン 3:比較機能部、4:記憶機能部 5:補正機能部 5a:ディジタルフィルタ 6:信号供給部 7i,7o:アナログ−ディジタル変換器 8:ディジタル−アナログ変換器 H:ヘッドホン、Ni:内部ノイズ信号 No:外部ノイズ信号、Nh:遮音特性 ni:疑似信号 S:音声信号ライン

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部にスピーカを配した閉空間に侵入する
    ノイズをキャンセルするノイズキャンセル方法におい
    て、予め、音声信号の無い状態で、閉空間の内部と外部
    のノイズをマイクロホンにより検出し、検出した内部ノ
    イズ信号と外部ノイズ信号の差から閉空間の遮音特性を
    求めて記憶するとともに、使用時に、閉空間の外部のノ
    イズをマイクロホンにより検出し、検出した外部ノイズ
    信号を前記遮音特性で補正することにより、内部ノイズ
    信号の疑似信号を得、疑似信号を音声信号ラインに供給
    することを特徴とするノイズキャンセル方法。
  2. 【請求項2】閉空間はヘッドホンであることを特徴とす
    る請求項1記載のノイズキャンセル方法。
  3. 【請求項3】内部にスピーカを配した閉空間の内部と外
    部に設けた一対のマイクロホンと、音声信号の無い状態
    における各マイクロホンから検出した内部ノイズ信号と
    外部ノイズ信号の差から閉空間の遮音特性を求める比較
    機能部と、当該遮音特性を記憶する記憶機能部と、外部
    のマイクロホンから検出した外部ノイズ信号を前記遮音
    特性により補正して内部ノイズ信号の疑似信号を得る補
    正機能部と、疑似信号を音声信号ラインに供給する信号
    供給部を備えることを特徴とするノイズキャンセル装
    置。
  4. 【請求項4】閉空間はヘッドホンであることを特徴とす
    る請求項3記載のノイズキャンセル装置。
  5. 【請求項5】外部ノイズ信号及び内部ノイズ信号をディ
    ジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器を備
    えるとともに、疑似信号をアナログ信号に変換するディ
    ジタル−アナログ変換器を備えることを特徴とする請求
    項3記載のノイズキャンセル装置。
  6. 【請求項6】補正機能部はディジタルフィルタを用いる
    ことを特徴とする請求項3記載のノイズキャンセル装
    置。
  7. 【請求項7】信号供給部は疑似信号を位相反転する位相
    反転器と、位相反転した疑似信号を音声信号に混合する
    混合器を用いることを特徴とする請求項3記載のノイズ
    キャンセル装置。
  8. 【請求項8】閉空間に侵入するノイズをキャンセルする
    ノイズキャンセル方法において、予め、音声信号の無い
    状態で、閉空間の内部と外部のノイズをマイクロホンに
    より検出し、検出した内部ノイズ信号と外部ノイズ信号
    の差から閉空間の遮音特性を求めて記憶するとともに、
    使用時に、閉空間の外部のノイズをマイクロホンにより
    検出し、検出した外部ノイズ信号を前記遮音特性で補正
    することにより、内部ノイズ信号の疑似信号を得るとと
    もに、閉空間に配したスピーカから疑似信号を出力させ
    ることを特徴とするノイズキャンセル方法。
  9. 【請求項9】閉空間に設けたスピーカと、前記閉空間の
    内部と外部に設けた一対のマイクロホンと、音声信号の
    無い状態における各マイクロホンから検出した内部ノイ
    ズ信号と外部ノイズ信号の差から閉空間の遮音特性を求
    める比較機能部と、当該遮音特性を記憶する記憶機能部
    と、外部のマイクロホンから検出した外部ノイズ信号を
    前記遮音特性により補正して内部ノイズ信号の疑似信号
    を得るとともに、前記スピーカから出力させる補正機能
    部を備えることを特徴とするノイズキャンセル装置。
  10. 【請求項10】外部ノイズ信号及び内部ノイズ信号をデ
    ィジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器を
    備えるとともに、疑似信号をアナログ信号に変換するデ
    ィジタル−アナログ変換器を備えることを特徴とする請
    求項9記載のノイズキャンセル装置。
  11. 【請求項11】補正機能部はディジタルフィルタを用い
    ることを特徴とする請求項9記載のノイズキャンセル装
    置。
  12. 【請求項12】補正機能部は疑似信号を位相反転する位
    相反転器を含むことを特徴とする請求項9記載のノイズ
    キャンセル装置。
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