JP2562463B2 - 非晶質合金コア - Google Patents

非晶質合金コア

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JP2562463B2 JP62267831A JP26783187A JP2562463B2 JP 2562463 B2 JP2562463 B2 JP 2562463B2 JP 62267831 A JP62267831 A JP 62267831A JP 26783187 A JP26783187 A JP 26783187A JP 2562463 B2 JP2562463 B2 JP 2562463B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、荷電粒子加速器、レーダやエキシマレーザ
等の高電圧パルス発生装置等に使用される可飽和リアク
トル用非晶質合金コアに関するものである。
〔従来の技術〕
一例としてパルスパワーレーザの1つであるエキシマ
レーザ用の高電圧パルス発生装置の例を第1図にまた各
波形を第2図に示す。図中Vmは入力直流電圧であり、通
常数十kV程度の直流電圧が印加される。図中、3,9は充
電用インダクタンス,4はサイラトロン,5は突入電流制限
用インダクタンス,6は主コンデンサ,7はピーキングコン
デンサ,8はエキシマレーザ放電部である。本回路では、
レーザー発振後に図示iの方向と逆方向に流れるアフタ
カレントと呼ばれる放電電流を防止するため、通常、主
コンデンサ6とピーキングコンデンサ7のキャパシタン
スは同一に選定される。
本回路においてt=0にて、サイラトロン4がターン
オンすると、あらかじめ主コンデンサ6が図示の極性で
Vmの電圧に充電されていたものとして、回路損失を無視
するとともにVc2の波高値において、放電が開始すると
仮定すれば、放電開始直前までの期間において、次式が
成立する。
L1:5のインダクタンス C1:6,及び7のキャパシタンス このときの各部波形は第2図のようになる。ここで、 となる。
エキシマレーザにおいては、τを100ns程度とする必
要があり、例えばVm=30kV,τ=150nsとするには、
(4)式よりC1=30nF,L1=150nFとする必要があり、こ
のときのi(t)の波高値Imは、(1)式より9.5kA程
度、またdi/dtは130kA/μsにも達する。このためサイ
ラトロンの損失の問題から、くり返し周波数は大幅に制
限され、その出力も50W程度とせざるをえないのが実状
である。さらに、サイラトロンの寿命も、約108ショッ
ト程度と短寿命である。
第3図は、上記第1図の回路方式の欠点を対策するこ
とを目的に磁気パルス圧縮回路を付加したものであり、
その各部波形を第4図に示す。第3図において磁気パル
ス圧縮回路は、可飽和リアクトル10,ピーキングコンデ
ンサ11で構成されている。
本回路においてt=0にて、サイラトロン4がターン
オンすると、主コンデンサ6が図示の極性でVmの電圧に
充電されていたものとして次式が成立する。ただし、こ
こでも第1図の回路と同様の理由により、主コンデンサ
6とピーキングコンデンサ7のキャパシタンスは同一と
し、ピーキングコンデンサ11のキャパシタンスは、主コ
ンデンサ6の1/2とする。本回路において、回路損失を
無視し、可飽和リアクトル10はvc1が零となったときに
飽和するとともに、vc3の波高値において放電が開始す
ると仮定すれば、放電開始直前までの期間には、次式が
成立する。
L1:5のインダクタンス C1:6,及び7のキャパシタンス vc1が零となるのは である。
またvc3が波高値に達するのは、 Ls:10の飽和後のインダクタンス及び(8)式より、 となる。
ここでα=(τ1)を圧縮比と呼び、サイラトロ
ン4の損失を低減することによる高くり返し化、あるい
は長寿命化を図るにはαを大とすることが望ましい。
以上の動作を満足するためには、可飽和リアクトル10
のパラメータを以下のように定める必要がある。
○ 有効断面積Ae N:10の巻数 ΔBBs+Br・10の動作磁束密度 ○ 平均磁路長le μ0:真空の透磁率 μr:10の飽和前の比透磁率 Lr:10の飽和前のインダクタンス L1:5のインダクタンス ここで、可飽和リアクトル10としては、従来、第5図
に示す構造のものが第6図に示すような形で用いられて
いた。この場合、第5図に示す構造のものをn個用いて
第6図のように構成すれば、可飽和リアクトル用磁心1
個あたりの有効断面積Ae′は、 となる。第5図における非晶質磁性薄帯の幅をH、占積
率をKとすると、可飽和リアクトル磁心の外径D0、及び
内径Diは 次に、可飽和リアクトル10の飽和後のインダクタンス
Lsは、可飽和リアクトル10の構造を第6図のようなもの
とし、中心導体、及び外筒アース導体の寸法を第7図の
ように考えると、 となる。一方、エキシマレーザの放電に必要なパルス幅
の最大値をτとすれば、次式を満足する必要がある。
したがって、(16),(17)式より、 となる。さらに絶縁耐圧の制約により、 EB:絶縁テープの絶縁耐圧 を満足する必要がある。
ここで、d0D0,diDi,lnHと考えると、可飽和リ
アクトルの主パラメータとΔBの間には、以下の関係が
ある。(11)式より (16)式より であるから(18)を満足するにはNを同一とすればAe/l
eを一定とすればよいから、(20)より となる。したがって実効体積Veは となる。すなわち可飽和磁心の体積は、ΔBの2乗に反
比例する。一方、全磁心損失Pctは Pct=Pc・Ve …(23) Pc:単位体積あたりの磁心損失 であるから、磁心の冷却が十分になされており、磁心の
発熱の影響が十分無視される場合、全磁心損失は、(2
2),(23)式より となる。
すなわち、本用途の可飽和磁心としては、ΔBが大き
くかつ全磁心損失が小さい程好ましい。ここでΔBを大
にするには飽和磁束密度Bsが大きくかつ残留磁束密度Br
がなるべく大きい(すなわち角形比Br/Bsが大)ことが
必要である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来非晶質合金リボンとしてはCo系のものとFe系のも
のが使用されてきた。Co系の非晶質合金はコア損失は小
さいがBsが小さい為、本用途としては余り好ましくな
い。一方Fe系の非晶質合金はコア損失はCo系の非晶質合
金と比べてやや大きいが、Bsが大なる為、本用途として
好ましい。
ところが、第5図の様に絶縁テープを使用した場合に
は、Bsが大きいというFe系非晶質合金リボンのもつ特長
が実質的に消滅してしまう。その理由は、層間絶縁を保
ち、かつ占積率Kを高める為に、従来絶縁テープとして
数μm〜十数μm程度の薄手の有機フィルムが用いられ
てきたことによる。すなわち、これらのフィルムとして
代表的なものはポリエステルやポリイミド系フィルムで
あり、その実質的な耐熱温度はせいぜい400℃程度であ
る。現在知られている最高の耐熱性をもつポリイミド系
フィルムは400℃前後の耐熱性をもつがその価格が非晶
質合金よりも高く、およそ経済的でない為、研究用以外
には本用途には殆んど用いられていない。
また、比較的安価なポリエステル系フィルムを用いた
場合には、その実用的耐熱温度が200℃前後であり、Fe
系非晶質合金の最高熱処理温度(通常400℃前後)より
はるかに低い耐熱性しか有していない。従って、ポリエ
ステルフィルムを用いた場合には、Fe系非晶質合金を最
適条件にて熱処理することができず、十分な角形比が得
られない為、材料本来のBsが大きくても、大きなΔB
(Bs+Br,第7図参照)を得ることができないという問
題があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、高電圧パルス発生装置に使用される可飽和
リアクトルとして、従来使用されてきた非晶質合金コア
がもつ上記問題点を改良し、新らしい非晶質合金コアを
提供せんとするものである。
すなわち、本発明は非晶質合金リボンを巻回してなる
磁気コアにおいて、非晶質合金リボン間に粒径が5μm
以下のセラミック粒子層を介在させることにより、リボ
ン間に絶縁耐圧性を付与し、その占積率が50%以上、ま
たその直流における角形比が60%以上であることを特長
とするものであり、高電圧パルス発生装置に使用される
可飽和リアクトルとして用いられるものである。
本発明において、セラミック粒子の粒径が5μm以下
としたのは5μmを越えると絶縁耐圧性のバラツキが大
となる為であり、粒径を2μm以下とすれば、絶縁耐圧
のバラツキはさらに小さくなる。また用いるセラミック
粒子はMgO,Al2O3,SiO3系の粒末をアルコール等の溶媒に
懸濁後電気泳動法やスプレー等により非晶質合金リボン
表面に塗布することができる。またシリコン,アルキル
シリケート,ポリボロシロキサン,チラノポリマー等を
用いた有機系セラミック塗料、あるいは金属アルコキシ
ド,シリカゲル,リン酸塩,アルカリ金属ケイ酸塩等の
無機系セラミクス塗料を塗布後、加熱によりセラミック
化させること等によっても、本発明を達成することがで
きる。
さらに本発明の構成要件として、占積率が50%以上、
また直流の角形比が60%以上とした理由を以下に示す。
すなわち、本用途に用いられる可飽和リアクトルの代表
的磁化曲線は第7図に示す如きであり、図中ΔB(即
ち、飽和磁束密度Bs,および残留磁束密度Brの和)が大
きい程、磁心が小型化でき、本用途として好ましい事を
意味する。従来、本用途に用いられてきた磁心材料とし
てフェライトがあるが、その場合Bsはせいぜい0.5T,Br
は0.3T程度であり、従ってΔBは約0.8Tである。
一方、本用途に用いられる非晶質合金のBsは約1.0T以
上であり、その場合角形比が60%とするとBrは約0.6Tと
なり、ΔB(=Bs+Br)は約1.6Tとなる。しかし非晶質
合金リボンを用いた磁心は、リボン表面が凹凸な事や、
リボン間に電気的絶縁物を介在させる為に空隙部が多
く、磁心の断面積に対する非晶質合金の真の断面積を除
した値を占積率Kとして表わす。従って、今非晶質合金
磁心を用いた磁心の占積率を考慮し、これを50%とする
と、素材のΔBが1.6Tであっても、実質的には占積率を
掛けた0.8Tしかなくなり、フェライトとの有意差が無く
なる。従って、本用途に用いる場合は、占積率が50%以
上であることが好ましい。
また、電気絶縁性を高める為に、セラミック粒子層を
厚くすれば、占積率が低下し、またセラミック粒子ある
いは塗布時に用いる溶媒の性質によっては非晶質合金リ
ボンに著るしい歪を与える為、高い角形比が得られない
場合があり、その場合、5μm以下のセラミック粒子で
はあっても従来の磁心との有意差が明瞭でない為、角形
比が60%未満のものは本発明から除外した。
さらに、第8図に示す如く非晶質合金リボン間に介在
するセラミック粒子層の厚さが、リボン中央部(a)よ
りリボン端部(b)において同等以上の厚さを有する様
にセラミック粒子層を形成することにより、その電気絶
縁性が向上すると同時に、その場所によるバラツキが著
しく小さくなる。その理由は、セラミック粒子を非晶質
合金リボンに塗布してみればわかる事であるが、リボン
端部は非常に付着しずらく、リボン中央部と比べてセラ
ミック層の厚さは薄くなる。また、各リボン間に加わる
電圧により、電荷はリボン端部に集中し易く、リボン端
部で放電し易い性質を持つ。上記2つの理由により、リ
ボン中央部でセラミック粒子層が十分な絶縁耐圧を示す
厚さを持っていても、端部が同等以下の厚さの場合著る
しく絶縁耐圧が低下し、かつそのバラツキが大きくな
る。リボン端部のセラミック層を中央部に比べて厚くす
る方法としては、電気泳動法を利用しても良いし、また
通常の塗布方法であっても、コア成形後に端部のみ再度
セラミック粒子を塗布すること等により実現することが
できる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
実施例1 第1表に、(Fe0.9Ni0.1775Si13.5B9なる組成の非
晶質合金リボンを用い、表面に電気泳動法により各種粒
径のMgO粉末を片面約10μm塗布した場合、及び各種粒
径の雲母粉末をメタノール中に分散させたものをリボン
表面に厚さ片面約10μm塗布した後、いずれも400℃で
1時間熱処理した場合の絶縁耐圧のバラツキを示す。
電気絶縁性の評価は第9図に示す方法を考案し、電圧
上昇率500V/μs,電圧最大値5kVの条件で2枚のリボン間
に電圧を加え、絶縁破壊する時の電圧を読みとった。尚
この場合、非晶質合金リボン17の幅は20mm、ドラム19の
径はφ50mmであり、ドラムには500grの荷重を加えて測
定した。測定は各条件10試料行ない、その時の絶縁破壊
電圧のバラツキ範囲を第1表に示す。表から明らかな様
に、セラミックの粒径が5μm以上では絶縁破壊電圧の
バラツキが大きく、かつほぼゼロボルトの場合があり、
実用に耐えないのに対し、粒径が5μm以下では絶縁破
壊電圧が200V以上あり、かつそのバラツキも小さい。
実施例2 次に、第2表に示す各種セラミックを実施例1と同一
組成の非晶質合金リボンに塗布後、リボンを巻回し、外
径160mm、内径80mm、厚さ25mmのトロイダルコアを作製
し、その時の占積率、動作磁束密度ΔB、μ、全磁心
損失比を求めた結果を第3表に示す。占積率、ΔB,μ
とも大きい程、また全磁心損失比は小さい程本用途の化
飽和リアクトルとして好ましい。
ここで、μは第10図に示す評価回路により、第11図
に示す各部波形を測定する事により求めた。
第10図において、制御用半導体スイッチ28がターンオ
ンすると、図示巻線25の黒丸と逆極性に第11図erのよう
な電圧が印加される。ここで、 Tr:28のオン期間 Nr:25の巻数 Ae:23の有効断面積 Er:27の電圧 とすれば、例えば磁心23は第12図に示すB−Hループに
おける第3象限側−Brに飽和する。次に Tp≫Tr …(26) Tp:周期 とすれば、ゲート回路の主スイッチ21のターンオン直前
に磁心23の磁束密度は、第12図に示すB−Hループにお
ける直流磁気特性における残留磁束密度−Brにある。次
に主スイッチ21がターンオンすると、 Tg:21のオン期間 Ng:24の巻数 Eg:20の電圧 であれば、磁心は飽和し、第12図に示す Igm:ゲート電流igの波高値 le:23の平均磁路長 まで磁化される。以上の動作における、主スイッチ21が
ターンオンしてからターンオンするまでの期間Tgの磁心
Bの動作は、第12図の実線のようになる。ここで である。一方、第12図よりわかるように である。
第3表から明らかな様に、本発明コアは可飽和リアク
トルとして重要な特性が、従来のコアに対して優れ、か
つ第1表に示す様に、十分な絶縁耐圧をもつ(通常1層
当り100V程度の絶縁破壊電圧であれば実用可能)ことが
わかる。
実施例3 第4表に、リボン中央部と端部とで塗布厚に差のある
試料を選び、絶縁破壊電圧を測定した結果を示す。セラ
ミック粒子は粒径1μmのMgO、溶剤はメタノールを用
い、電気泳動およびハケ塗り、スプレー等の方法により
塗布した。
表から明らかな様に、セラミック粒子層の厚さが、中
央部に比べて端部が小さい場合、絶縁破壊電圧は低くか
つバラツキが大きいことがわかる。
〔発明の効果〕 以上示した様に、本発明による非晶質合金コアは、粒
子線加速器、レーダやエキシマレーザ等の高電圧パルス
発生装置に使用される可飽和リアクトルとして、絶縁耐
圧に優れ、かつ大きなΔBがとれる為磁心の小型化が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来のエキシマレーザ用高電圧パルス発生装置
の一例、第2図は第1図回路上の各部波形、第3図は可
飽和リアクトル10を含む高電圧パルス発生装置の一例、
第4図はその各部波形、第5図は従来の可飽和リアクト
ルコアの例、図中12は絶縁テープ、13は非晶質合金リボ
ン、第6図は可飽和リアクトルユニットとして組立られ
た例、第7図は直流B−H曲線、第8図は非晶質合金リ
ボンにセラミック粒子を塗布した様子、15は非晶質合金
リボン、16はセラミック粒子層、第9図は絶縁耐圧試験
装置、17は非晶質合金リボン、18はセラミック粒子層、
19はプラスチックドラム、第10図はμおよび磁心損失
評価回路、第11図は各部波形、第12図は動作時の可飽和
リアクトルコアの磁化曲線、を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒川 俊介 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地 日立金属 株式会社磁性材料研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−65403(JP,A) 特開 昭62−65404(JP,A) 特開 平1−96911(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非晶質合金リボンの巻回してなる磁気コア
    において、非晶質合金リボン間に粒径が5μm以下のセ
    ラミックス粒子層を介在させることにより、リボン間に
    電気絶縁性を付与し、その占積率が50%以上、またその
    直流における角形比が60%以上であり、高電圧パルス発
    生装置に使用される可飽和リアクトルとして用いること
    を特長とする非晶質合金コア。
  2. 【請求項2】非晶質合金リボン間に介在するセラミック
    粒子層の厚さが、リボン中央部に比べてリボン端部にお
    いてより大きい厚さを有することを特長とする特許請求
    の範囲第1項記載の非晶質合金コア。
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