JP2561227C - - Google Patents

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JP2561227C
JP2561227C JP2561227C JP 2561227 C JP2561227 C JP 2561227C JP 2561227 C JP2561227 C JP 2561227C
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帝人製機株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は産業ロボットの関節駆動用減速装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 産業ロボットにおいては、一般に、作業に適した出力トルクを得るために、ア ーム等の関節部の駆動系には、高速低トルクの電動サーボモータまたは電動パル
スモータと、この出力を低速高トルクに変換する減速装置とを用いている。 また、そのような減速装置は、例えば、減速比1/120程度の大減速比を有
していること、また、歯車間のガタ、すなわち、いわゆるバックラッシュが小さ
いこと、さらに、慣性を小さくするため軽量であること等が要求される。 【0003】 このような要求を満たす従来の減速装置としては、例えば、特開昭59−17
5986号公報に開示されているような調和歯車装置(撓み噛合式の遊星歯車装
置)および特開昭59−106744号公報に開示されているような偏心揺動型
の遊星歯車装置がある。前者の減速比は一般に1/80〜1/320程度であり
、後者の減速比は一般に1/6〜1/200程度である。また、前者は後者に比
して減速比当たりの外径、重量が小さく、かつ、ほとんどのロボットアームの関
節部の駆動用減速装置として必要な減速比および機械的強度を満足している。し
たがって、ロボットアームの関節部駆動用減速装置のほとんどは調和歯車装置単
体が適用され、まれに、調和歯車装置でも得られないほどの大減速比を必要とす
るもの、すなわち、小容量高速回転(例えば、出力が1000ワット以下で回転
数が5000rpm)型のモータをロボットアームの駆動に用いる場合のように
1/625程度の減速比を必要とするもの、については特開昭56−15259
4号公報に開示されているように調和歯車装置に前段減速装置を結合したものが
用いられている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述した各減速装置をロボットの関節装置に用いた場合、減速
装置に入力する電動モータ回転数が低い領域で減速装置とロボットアーム等とが
ねじり共振を起こすという問題点があった。共振現象としては、ロボットアーム
の関節部近傍にねじり振動が現われることが多く、その結果、ロボットアームの
先端位置が定まらなくなり、ロボットによる作業のうち溶接、シーリング、組立
等、一般に電動モータの低回転数領域で行われる作業において、正確な作業軌跡
を得られない等の問題が生じる。 【0005】 このような問題に対し、特開昭58−211881号公報には、発生した振動
を打ち消すように電動モータの速度指令信号を変化させる電気的制御方式が提案
されている。しかしながら、このような方式においてはフィードバックゲインを
大きくすると系が不安定となり、特に剛性の低いロボット駆動系においては、逆
に発振し易くなるという問題を生じるため、ゲインを大きくできず、したがって
、充分な振動打ち消し効果を得られない。 【0006】 また、特開昭59−175986号公報には高張力を与えたタイミングベルト
で減速機を駆動し、該ベルトで振動を吸収する方式のものが提案されている。し
かしながら、この方式においてはタイミングベルトが破断するという危険がある
。また、特開昭59−115189号公報には減速機の主軸にばねとおもりから
成る吸振器を取付ける方式が提案されている。しかし、この方式においては遠心
力により吸振器が破損したり、ロボットの負荷荷重に対応しておもり等を調整し
なければならないという問題点がある。さらに、これらのものは、複雑になり、
部品数も多くなるという問題点がある。 【0007】 【課題を解決するための手段】 そこで、本発明は、最も大きな振動がロボットに生じる時のポイントを、ロボ
ットによる作業のうち溶接作業等のように正確な作業軌跡を要する作業の領域外
にシフトできる産業ロボットの関節駆動用減速装置を提供することを目的とする
。 【0008】 本発明は、産業ロボットの関節駆動用減速装置において、内歯歯車、該内歯歯
車に噛み合う外歯歯車、該外歯歯車に係合してこれを偏心揺動させる複数のクラ
ンク軸、およびそれらクランク軸を軸受を介して支持すると共に外歯歯車の自転
運動を被駆動部に伝達する出力部材としての支持体を有する偏心揺動型の遊星歯
車装置と、前記遊星歯車装置の外歯歯車および支持体を挿通し、電動モータ回転
軸嵌合用の嵌合孔が設けられた一端部および該一端部より小径であって自由端の
他端部を有し、かつ前記支持体と同一軸上に配設された入力軸部材としての入力 回転軸、該入力回転軸の他端部に結合された入力歯車、および該入力歯車に噛み
合うと共に前記各クランク軸にそれぞれ結合された出力歯車、を有する平行軸型
歯車装置と、を備え、前記入力歯車および前記出力歯車と前記支持体の前記入力
回転軸一端部側平端面との間に前記外歯歯車が位置し、前記支持体の前記入力回
転軸他端部側平端面と前記外歯歯車との間に前記入力歯車および前記出力歯車が
位置し、前記支持体の前記入力回転軸他端部側平端面をロボットアーム駆動軸取
付用着座面とし、前記平行軸型歯車装置の減速比をロボットの固有ねじり振動数
と電動モータの通常制御域における毎秒当たり最高回転数との比より大きくする
と共に1/2〜1/5の範囲内とし、前記遊星歯車装置の減速比を1/25〜1
/60の範囲内とし、前記平行軸型歯車装置と前記遊星歯車装置とにより総減速
比を1/110〜1/190としたことを特徴とするものである。 【0009】 【実施例】 以下、本発明に係る産業ロボットの関節駆動用減速装置を図面に基づいて説明
する。第1図ないし第3図は本発明に係る一実施例を示す図である。 【0010】 まず、構成について説明する。第1図は本発明に係る産業ロボットの関節駆動
用減速装置を用いたロボットの関節部の全体概略図である。1は電動モータであ
り、電動モータ1のフランジ2は減速装置3の筒体4に固定されている。筒体4
は第1部材としての第1アーム5の先端部5aに固定されている。電動モータ1
の出力の回転軸(駆動軸)7は減速装置3の入力回転軸(入力軸部材)8(第2
図)に連結され、減速装置3の出力は軸10に伝達され、軸(出力軸部材)10
は円筒体11を貫通してロボットの第2アーム12に固定されている。 【0011】 第2アーム12の端部の筒状体13と第1アーム5の先端部5aの下面から下
方に突出する円筒型の突出体15との間には一対のベアリング16が介装され第
2アーム12は第1アーム5に回転自在に支持されている。突出体15の内周面
と円筒体11の中央部の外周面との間には一対のベアリング17が介装されてい
る。円筒体11の上部および下部の内面と軸10との間にはそれぞれ一対のベア リング18が介装されている。したがって、減速装置3は電動モータ1の回転数
を減速してロボットの被駆動部すなわち第2アーム12を回動させる。また、電
動モータ1、減速装置3、第2アーム12および第2アームに接続された負荷は
駆動系を構成する。 【0012】 減速装置3は第2図および第3図に示すように、電動モータ1の回転数を減速
する前段回転伝導手段としての前段減速機20に連結され、回転数をさらに減速
する後段回転伝導手段としての後段減速機21と、から構成されている。前段減
速機20は通常の平行軸型歯車装置であり、平歯歯車により構成され、後段減速
機21の遊星歯車装置の入力側に設けられ、後段減速機21とはわざわざ異なる
型式になされている。 【0013】 電動モータ1の回転軸7の先端部7aはテーパ軸であり、先端にねじ7bを有
する。ねじ部7bにはモータ出力軸の一部を構成する連絡軸7cが螺合されてい
る。8は入力回転軸であり、その先端部8aは自由端、つまり軸受等で支持され
ておらず、この先端部8aに前段減速機20のピニオン22が設けられると共に
モータ回転軸7を貫通させる孔8bを有し、且つ孔8bは回転軸7をテーパ部と
係合するテーパ孔部を有する。入力回転軸8は電動モータ1の回転軸7の先端部
7aにナット23によりねじ止めされる。回転軸7の先端部7aは入力回転軸8
に半月キー24により固定されている。すなわち、入力回転軸8は、電動モータ
1の回転軸7と同軸に配置され、後段減速機21の外歯歯車29を挿通して電動
モータ1の回転軸7を覆うようにして回転軸7に嵌合する一端部およびこの一端
部より小径であって自由端の他端部を有している。このような構成により入力回
転軸8の先端部8aの軸径はモータの回転軸7の軸径より小さくすることができ
、したがって、ピニオン22の歯数はモータ回転軸7に歯車を直接装着させる場
合に比べ、少なくすることができ、容量の割に回転軸径の大きい市販電動モータ
1を用いる場合であっても、所定の前段減速比を得ることができる。ピニオン2
2に噛み合う3個の平歯歯車25は、後述する3本の入力クランク軸30にそれ
ぞれ結合している。ピニオン22およびお平歯歯車25は、それぞれ前記平行軸
型 歯車装置の入力歯車、出力歯車を構成している。 【0014】 遊星歯車装置(後段減速機)21は筒体4に固定して設けられた内歯歯車28
と、内歯歯車28に噛み合う一対の外歯歯車29と、外歯歯車29に係合して外
歯歯車29を揺動回転させる偏心入力軸としての3本の入力クランク軸30と、
から構成されている。また、内歯歯車28はピン歯31を用いたピン歯車で構成
され、かつ外歯歯車29の歯数より1つだけ多い歯数を有している。33は円板
状のフランジであり、フランジ33は遊星歯車装置21の前端部を構成し、かつ
、入力クランク軸30を円周上に等配しベアリング34を介して軸支している。 【0015】 35はブロック体であり、ブロック体35はその中心部に軸方向の円筒状孔3
7を有し、入力回転軸8が遊嵌されている。同様に外歯歯車29およびフランジ
33の中心部にも孔が設けられている。ブロック体35はその後端部に凹み36
を設けたフランジ部35aを有し、軸10のフランジ部39に対向している。凹
み36とフランジ部39とによって形成された空洞内には、前段減速機20が収
納されている。ブロック体35のウランジ部35aは入力クランク軸30を円周
上に等配しベアリング41を介して軸支している。入力クランク軸30の延在部
30aは凹み36内まで突出し、平歯歯車25を固定している。 【0016】 入力クランク軸30は円板部33とブロック体35の円周上に軸受34、41
を介して支持され、入力クランク軸30の中央には180°の位相差をもつ一対
のクランク部42を有し、各クランク部42はベアリング43を介して外歯歯車
29を偏心揺動させるようにしている。ここで、前述したフランジ部33と、ブ
ロック体35とは支持体44を構成する。フランジ部33、ブロック体35およ
びフランジ部39は複数のボルト46および固定ナット47により同時に一体的
に固定されている。前述したピニオン(入力歯車)22および平歯歯車(出力歯
車)25と支持体44のモータ1側端面との間に、後段減速手段の外歯歯車29
が位置し、支持体44のロボットアーム駆動軸10取付用着座面である反モータ
側端面(フランジ部39への当接面)と前記外歯歯車29との間にピニオン22 および平歯歯車25が位置している。 【0017】 電動モータ1の回転は回転軸7および入力回転軸8を介して前段減速機20の
ピニオン22に伝達され、前段減速機20で減速される。前段減速機20の出力
は平歯歯車25の歯車軸により遊星歯車装置21のクランク軸30に入力される
。次いで、クランク軸30の回転により偏心揺動させられる外歯歯車29と、こ
の外歯歯車29と噛み合い外歯歯車29より1つ多い歯数を有する内歯歯車28
とによりさらに減速され、外歯歯車29のゆっくりした自転運動はキャリアとし
て作用する支持体44から軸10に伝達されアーム12が回動される。 【0018】 本実施例においては、入力回転軸8から軸10までの総減速比は、1/120
に設定されている。一般に、遊星歯車装置単体が現実にとり得る減速比は当該歯
車の歯数の許容応力等から自ずとその上限、下限が定まれるものであり、本願の
「外歯歯車に係合して外歯歯車を駆動するカム軸を有する型式の遊星歯車装置」
においては、実在物としての上限は1/320程度で、下限は1/10程度であ
る。したがって、本実施例における総減速比1/120は、第2段減速部21と
しての遊星歯車装置単体の実在する減速比の範囲1/10程度〜1/320程度
内に設定されている。 【0019】 また本実施例においては、電動モータ1の通常制御回転数(ロボットの通常作
業時、例えば溶接ロボットに主作業たる溶接作業を行わしめる時のモータ回転数
)は0〜1000rpm、前段減速機20の減速比i1は1/3、遊星歯車装置
21の減速比i2は1/40、減速装置3の総減速比iは上述したように1/1
20、電動モータ1、減速装置3および第2アーム12を含んで構成される駆動
系の固有ねじり振動数f0は約8.4Hzである。したがって、電動モータ1は
産業ロボットの駆動系の固有ねじり振動数に対応する回転数(8.4Hzに相当
する500rpm)を通常制御域(0〜1000rpm)内に有している。また
、前段減速機20は電動モータ1の通常制御域における毎秒最高回転数(100
0rpmに相当する毎秒16.7回転)を、駆動系の固有ねじり振動数f0(約
8. 4Hz)以下になるよう(毎秒5.6回転)に減速する減速比i1(1/3)を
有している。 第2アームと軸10を中心としたねじりばね定数K1 は約37.5kg・m/
分である。 【0020】 次に作用について説明する。 電動モータ1を0〜1000rpmの通常回転数で回転させると、減速比i1
が1/3の前段減速機20の出力回転数は0〜333rpmとなり、減速比i2
が1/40の後段減速機21の出力回転数は0〜8.3rpmとなり、この範囲
では実質的に有害となるような振動は生じない。電動モータ1の出力回転数が1
500rpm近辺(このときの前段減速機20の出力回転数は1500rpm×
1/3=500rpm近辺、遊星歯車減速機21の出力回転数は1500rpm
×1/3×1/40=12.5rpm近辺)で最大共振現象が生じ、この時の振
動が最も大きい。このような共振現象が電動モータ1の通常回転数領域外で生じ
る理由は明らかではないが、実験結果から推定するとそのような共振現象の主因
となるトルク変動が前段減速機20ではなく、後段減速機21に生じ、そのトル
ク変動が実施例のような偏心揺動型の遊星歯車装置では入力軸(クランク軸30
)1回転当たり1生じるためと考えられる。 【0021】 この実施例では、電動モータの通常の回転数領域において遊星歯車装置の入力
軸の最回転数は、333rpm、すなわち毎秒5.6回であり、トルク変動は毎
秒5.6回発生することになる。このため、毎秒5.6回のトルク変動があって
も駆動系の固有ねじり振動数f0(約8.4Hz)より小さく、かつ離れている
ので、共振現象は生じないものと考えられる。 調和歯車装置(撓み噛み合い式遊星歯車装置)は、実験結果から推定すると、
入力軸(ウェーブジェネレータ)の1回転当たりの2つのトルク変動が生じる。 なお、電動モータ1および前段減速機20のトルク変動が駆動系の共振に影響
を及ぼさないのは、これらのトルク変動は小さいこと、後段部21を介すること
により吸収されること等によるものと考えられる。 【0022】 【実験例】 前述の実施例の減速装置の他に次表の比較例1〜3に示す減速装置について実
施した振動測定試験について説明する。比較例1、2の偏心揺動型の遊星歯車装
置は、クランク軸および外歯歯車の揺動によるアンバランスを防いで振動の振幅
を小さくするため、前述の実施例同様に外歯歯車を2枚としこれらを180度の
位相差をもって組み付けたもので、かつ、内歯歯車が外歯歯車の歯数より1つ多
い歯数を有するものを用いた。また、調和歯車装置は内歯歯車が外歯歯車の歯数
より2つ多い歯数を有するものを用いた。それぞれ、減速装置の減速段数、減速
比i1、i2、回転ばね定数K1(第9図参照)および慣性モーメントJは次表に
示してある。 【0023】 【表1】 【0024】 実験は第5図に示す全体構成図によって実施した。すなわち、電動サーボモー
タ51の出力軸51aに減速装置52を取付け、減速装置52の主力軸52aに
ロボットの被駆動部(第2アーム)の慣性モーメントJに相当する慣性負荷とし
てフライホイール53が取付けられた。フライホイール側面53aの半径上の位
置に、円周方向の加速度および振幅を測定できる圧電素子を利用した加速度ピッ
クアップ54を取り付けた。この加速度ピックアップ54の出力はインジケータ
56に連結されている。モータ51、減速装置52およびフライホイール53か
ら成る駆動系の固有振動数f0は約8.4Hzになるよう調整してある。電動モ
ータの回転数を変化させて、その時のフライホイールの加速度の大きさを測定し
た。測定結果は第4図に示す。横軸は電動サーボモータ51の回転数であり、縦
軸は加速度ピックアップ54で検出された円周方向の加速度(単位:G)を示す
。 【0025】 比較例1、比較例2および比較例3においては、共振のピークはそれぞれ、電
動モータ51の回転数が、略750rpm、略500rpmおよび250rpm
のときであり、電動モータ51の通常制御回転数0〜1000rpmの範囲で最 も大きな振動が生じている。しかしながら、本発明に係る減速装置を用いた実施
例の場合には、電動モータの通常制御領域外である1500rpmを中心とする
近傍で共振ピークが生じ、この時の振動が最も大きい。しかし、通常制御回転数
0〜1000rpmの範囲では、振動が低く押えられており、問題がない大きさ
になっている。 【0026】 なお、後段回転伝導手段としての偏心揺動型遊星歯車装置を用いた本発明にお
いては、前段減速機の減速比をロボットの固有ねじり振動数と電動モータの通常
制御域における毎秒当たり最高回転数との比より大きくすることにより、最大共
振現象の発生を電動モータのロボットにおける一般的通常制御回転数範囲0〜1
000rpm以上の領域にシフトすることができる。例えばロボットの固有ねじ
り振動数f0が5〜9Hz、電動モータ回転数が最高回転数2000rpmで通
常制御回転数0〜1000rpmの範囲で共振ピークを生じさせないこととし、
更に必要減速比が1/110〜1/190の場合は、前段減速比i1を1/2〜
1/5、後段減速比i2を1/25〜1/60から選択することができる。 【0027】 ここで、通常制御回転数0〜1000rpm以上の範囲に振動ピークをシフト
させる目的で、以上述べた総減速比の範囲及び固有ねじり振動数の範囲における
各種の場合について、前段減速比i1と後段減速比i2を計算してみる。 総減速比1/110の場合の計算を行うと、f0=5Hzではi1は1/3.3
より高減速比の例えば1/4を選べ、i2=1/27.5が求まり共振ピークは
1200rpmと予測できる。f0=9Hzではi1は1/1.85より高減速比
の例えば1/2を選べ、i2=1/55が求まり共振ピークは1080rpmと
予測できる。同様に総減速比1/190の場合の計算を行うと、f0=5Hzで
はi1として例えば1/4を選ぶとi2=1/47.5が求まり共振ピークは12
00rpmと予測できる。f0=9Hzではi1として例えば1/3.3を選べば
2=1/57.6が求まり共振ピークは1782rpmと予測できる。 いずれの場合においても前述の減速比範囲からi1、i2を選択することができ
、しかも共振ピークは1000rpm以上とすることができることがわかる。 【0028】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、本来なら、撓み噛み合い型遊星歯車装
置(調和歯車装置)や偏心揺動型遊星歯車装置のように内歯歯車、内歯歯車に噛
み合う外歯歯車および該外歯歯車に係合してこれを駆動するカム軸を有する型式
の単一の遊星歯車装置(以下、「カム軸入力型遊星歯車装置」と言う。)により
総減速比を満足できる産業ロボットの関節駆動用減速装置において、偏心用動型
遊星歯車装置(後段回転伝導手段)の入力側にわざわざ平行軸歯車装置(前段回
転伝導手段)を設けて前段回転伝導手段と後段回転伝導手段とにより上記総減速
比を得るようにしているので、本発明に係る減速装置をロボットの関節駆動に用
いてロボットに共振が生じるとしても最大共振現象の生じるポイント若しくは最
も大きな振動の生じるポイントを、従来に比し格段に高い駆動源(電動モータ)
回転数領域あるいは所望の駆動源回転数領域にシフトさせることができる。した
がって、最も大きな振動の生じる時のポイントを、ロボットによる作業のうち溶
接作業等のように正確な作業軌跡を要する作業の領域外にシフトさせることがで
き、ロボットの作業効率の向上に寄与することができる。 【0029】 加えて、本発明によれば、平行軸歯車装置が遊星歯車装置を貫通する回転軸を
有すると共に、その回転軸が、偏心揺動型の遊星歯車装置の外歯歯車を挿通して
モータの駆動軸を覆うようにして該駆動軸に嵌合する一端部および該一端部より
小径の他端部を有しているので、回転軸の他端軸径をモータ軸径より補足するこ
とができ、モータ軸径が太い場合であっても簡単な構造により入力歯車の大きさ
を小さく設定することも、大きく設定することもできる。その結果、モータ軸径
が太い場合であっても平行軸歯車装置の減速比を幅広い値から選定することがで
き、上記最大共振現象の生じるポイントをシフトさせることのできる領域に充分
に確保することができる。 【0030】 さらに、本発明によれば、前段減速手段の回転軸は、偏心揺動型遊星歯車装置
を貫通し、そのモータ側がモータの駆動軸と嵌合されているのに対し、入力歯車 が結合された反モータ側が自由端となっているため、回転軸の入力歯車が結合さ
れた部分が放射方向に微動可能となる。その結果、複数の出力歯車に均等に伝達
トルクがかかるように、回転軸が自動調心性を有するものとなる。従って、複数
のクランク支持用の軸受に、均等に負荷が作用し、減速機の寿命の低下が防止で
きる。 【0031】 前段減速手段の回転軸はこのように構成されており、しかも、偏心揺動型遊星
歯車装置の外歯歯車を、前段減速手段の入力歯車および出力歯車と後段減速手段
の支持体のモータ側端面との間に位置させ、且つ支持体のロボットアーム駆動軸
取付用着座面である反モータ側端面と前記外歯歯車との間に前記入力歯車および
出力歯車を位置させているので、減速装置全体がコンパクトになるとともに、支
持体の前記反モータ側端面にロボットアーム駆動軸を簡単且つコンパクトに取り
付けることができる
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に係る産業ロボットの関節装置の第1実施例の全体概略説明図 【図2】 第1実施例の減速装置の要部断面図 【図3】 図2のIII−III矢視断面図 【図4】 本発明に係る産業ロボットの関節装置の実施例および比較例の性能の説明図 【図5】 図4に係る実施例の全体構成図 【符号の説明】 1 電動モータ 3 減速装置 5 第1アーム 8 入力回転軸(入力軸部材) 12 第2アーム(第2部材) 20 前段減速機(前段回転伝導手段、平行軸歯車装置) 21 後段減速機(後段回転伝導手段、遊星歯車装置) 28 内歯歯車 29 外歯歯車 30 入力クランク軸(カム軸、クランク軸) 33、35a フランジ(支持体)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 内歯歯車、該内歯歯車に噛み合う外歯歯車、該外歯歯車に係合
    してこれを偏心揺動させる複数のクランク軸、およびそれらクランク軸を軸受を
    介して支持すると共に外歯歯車の自転運動を被駆動部に伝達する出力部材として
    の支持体を有する偏心揺動型の遊星歯車装置と、 前記遊星歯車装置の外歯歯車および支持体を挿通し、電動モータ回転軸嵌合用
    の嵌合孔が設けられた一端部および該一端部より小径であって自由端の他端部を
    有し、かつ前記支持体と同一軸上に配設された入力軸部材としての入力回転軸、
    該入力回転軸の他端部に結合された入力歯車、および該入力歯車に噛み合うと共
    に前記各クランク軸にそれぞれ結合された出力歯車、を有する平行軸型歯車装置
    と、を備え、 前記入力歯車および前記出力歯車と前記支持体の前記入力回転軸一端部側平端
    面との間に前記外歯歯車が位置し、前記支持体の前記入力回転軸他端部側平端面
    と前記外歯歯車との間に前記入力歯車および前記出力歯車が位置し、前記支持体
    の前記入力回転軸他端部側平端面をロボットアーム駆動軸取付用着座面とし、前
    記平行軸型歯車装置の減速比をロボットの固有ねじり振動数と電動モータの通常
    制御域における毎秒当たり最高回転数との比より大きくすると共に1/2〜1/
    5の範囲内とし、前記遊星歯車装置の減速比を1/25〜1/60の範囲内とし
    、前記平行軸型歯車装置と前記遊星歯車装置とにより総減速比を1/110〜1
    /190としたことを特徴とする産業ロボットの関節駆動用減速装置。

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