JP2559693Y2 - 軒樋隠蔽装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、建物の屋根軒先に取り
付けられている軒樋を化粧カバーで隠蔽することによ
り、その建物の外観上の美観を向上するための軒樋隠蔽
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、建物の屋根軒先に取り付けられて
いる軒樋を化粧カバーで隠蔽する軒樋隠蔽装置に関して
は、例えば実公昭５７−３４２７０号公報、実開昭５７
−１３９５３４号公報等に記載されたような考案が存在
する。これらの考案は、いずれも軒樋の前面を蔽う化粧
カバーを、その軒先長手方向に沿って複数箇所をビス止
め又は溶接等の方法により固定して取り付けるものであ
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記した従来の技術の
ように、化粧カバーを、その軒先長手方向に沿って複数
箇所をビス止め又は溶接等の方法により固定して取り付
けるものでは、建物の屋根軒先のような高所での工事を
行うに際してビスを落下したり、又溶接機を持ち上げた
りするので作業能率が悪いのは勿論のこと、迅速な工事
を行うことができない問題点がある。又化粧カバーは軒
樋前面を覆うのみで軒樋下面を覆っておらず、下方から
見上げた時に、軒樋と破風板との間が見えて外観上見苦
しいという問題点もあった。

【０００４】本考案は、上記のような問題点に鑑み、建
物の屋根軒先の軒樋を隠蔽する化粧カバーを取り付ける
工事を行うに際して、取り付け箇所が低い場所は勿論、
高い場所でも作業を効率的に而も迅速に行うことがで
き、而も軒樋の前面と下面を覆う軒樋隠蔽装置を提供す
ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本考案に係る軒樋隠蔽装置では、建物の屋根軒先
の長手方向に装着された軒樋受具の前縁に先端が係止さ
れて取着された軒樋隠蔽用の化粧カバーの基端を、建物
の外壁に設置されている破風板の下部に係合するもので
あって、破風板の下部に設けられた突片に弾性部材を設
け、その弾性部材を押圧しながら化粧カバーの基端を前
記破風板の下部に設けた段部に係合するのである。

【０００６】

【作用】前記のように構成された本考案に係る軒樋隠蔽
装置では、建物の屋根軒先の長手方向に装着された軒樋
受具の前縁に、軒樋隠蔽用の化粧カバーの先端を係止し
て取着した後、その化粧カバーの基端を破風板の下部に
設けた段部に係合して取り付け、その化粧カバーにより
軒樋が外観上見えないように隠蔽して建物と一体感を出
すのである。

【０００７】

【実施例】以下図面を参照しながら本考案に係る軒樋隠
蔽装置の実施例を説明する。図１は建物の屋根軒先に軒
樋を取り付けてその軒樋を化粧カバーで隠蔽した状態を
示したもので、本考案に係る軒樋隠蔽装置の縦断面図で
ある。図１において、建物Ａの屋根軒先の長手方向に装
着されている軒樋Ｂの受具Ｃの前縁Ｃ１に、軒樋隠蔽用
の化粧カバー１の先端２を係止して取着し、その化粧カ
バー１の基端３を建物Ａの外壁に設置されている破風板
４の下部に形成された段部５に係合し、化粧カバー１に
より軒樋Ｂの前面及び下面を覆うのである。

【０００８】ここで、軒樋Ｂは合成樹脂製の前高の角軒
樋である。受具Ｃは剛性を有する金属で軒樋Ｂの外形状
に合致するように曲成されており、その上端の前縁Ｃ１
は略逆Ｕ字状に屈曲されていて化粧カバー１の先端２に
係止し易くしてある。又受具Ｃの前面にはコ字状の抑え
杆Ｃ２を溶接により固定して化粧カバー１の前面中間と
前面下端をこの抑え杆Ｃ２に当接させて風圧によるバタ
ツキが起こらないようにしている。更に受具Ｃの底面に
は支持杆Ｃ３を固定し、その支持杆Ｃ３の先端を破風板
４の表面に当接することにより、軒樋Ｂと化粧カバー１
が軒樋取付の前方に傾斜することを防止している。そし
て受具Ｃの後面には凹陥部Ｆを有する取付杆Ｃ４が固定
され、その取付杆Ｃ４を破風板４の嵌合部１３に嵌入し
て固定することにより、受具Ｃを破風板４に取着してい
る。

【０００９】破風板４はアルミニウム等の金属で作製さ
れた長尺体であって、屋根軒先の長手方向全長に亙って
釘着けされており、その上部と中間部にはＬ字片１６が
設けられて嵌合部１３が形成されている。又破風板４の
下部には前方へ突出する突片６と段部５が隣接して設け
られ、突片６には弾性部材が取付けられている。更にそ
の下端は内側に屈曲されて外壁Ｗに取着されるようにな
っている。又中間部のＬ字片１６の上側には外方へ突出
する固定片１７が設けられている。上部のＬ字片１６の
先端には外下方へ突出する水切り片１８が連設されてい
て、雨水が雨樋Ｂと破風板４との間に浸入しないように
なっている。

【００１０】化粧カバー１は塩ビ鋼板を屈曲して形成し
たもので、その先端２は内方へ折り曲げられ、更に下方
へ曲げられた後に外方へ曲折されていて、受具Ｃの前縁
Ｃ１に嵌着できるようになっている。その嵌着を確実に
するために、前記先端２をさらに上方に立ち上がらせて
もよいし、ビス等で固定してもよい。中間部は内方にへ
こまされていて外観的な美観を向上させると同時に、受
具Ｃの抑え杆Ｃ２と当接されて化粧カバー１の風圧によ
るバタッキを防止している。化粧カバー１は前側下端か
ら後方へ折曲げられて軒樋下面を完全に隠蔽し、その端
部即ち化粧カバー１の基端３は、上方へ折曲された後に
後方へ延出されている。この実施例では化粧カバー１は
二枚の鋼板を中間部で溶接または止具で接続したものを
示したが、一枚の鋼板で曲成してもよい。

【００１１】而して先ず破風板４を止具で軒先に固定す
る。そして受具Ｃの取付杆Ｃ４の上端を上部のＬ字片１
６に差し込んだ後に下方に落し込んで取付杆Ｃ４を嵌合
部１３に嵌着させ、その後凹陥部Ｆと破風板４の固定片
１７との間に、図５に示すように楔材１４を側方より打
ち込んで受具Ｃを破風板４に確実に固定する。そして受
具Ｃの前縁Ｃ１に化粧カバー１の先端２を嵌着し、化粧
カバー１の基端３を図２乃至図４に示す弾性部材の弾性
に抗して破風板４の段部５に係合させて軒樋Ｂの前面及
び下面を化粧カバー１で隠蔽して外観上見えなくする。

【００１２】図２は化粧カバー１の基端３を建物Ａの外
壁に設置されている破風板４の下部に形成された段部５
に係合する状態の第１実施例を示した一部切欠断面図で
あって、破風板４の適宜位置に設けた突片６の先端に、
弾性部材、即ち、コイルバネ７により自由端９が弾発的
に可動する係合片８を設け、その係合片８の自由端９を
上方に押圧しながら化粧カバー１の基端３を破風板４の
下部に設けた段部５に係合するものである。この係合状
態に於いて、コイルバネ７により係合片８は下方に回動
しにくく化粧カバー１の基端の抜けが確実に防止され
る。又図３は化粧カバー１の基端３を建物Ａの外壁に設
置されている破風板４に形成した段部５に係合する状態
の第２実施例を示した一部切欠断面図であって、破風板
４の適宜位置に設けた突片６の先端に一端が固定された
弾性部材、即ち、バネ板１０の自由端を、そのバネ力に
抗して上方に押圧しながら化粧カバー１の基端３を破風
板４の下部に設けた段部５に係合するものである。更に
又図４は化粧カバー１の基端３を建物Ａの外壁に設置さ
れている破風板４に形成した段部５に係合する状態の第
３実施例を示した一部切欠断面図であって、破風板４の
下部に設けられた突片５の先端に弾性部材、即ち、コイ
ルバネ１１により下方向に弾発力が付与されたピン１２
を装定し、そのピン１２を上方向に押圧しながら化粧カ
バー１の基端３を破風板４の下部に設けた段部５に係合
するものである。この係合は他の方法でもよく、例えば
段部５と基端３とをビス止めしてもよく、この場合は突
片６は不要となる。

【００１３】図６は本考案に使用する受具の変形例を用
いた軒樋隠蔽装置の縦断面図、図７は受具の変形例の斜
視図である。この実施例に於ける受具Ｃは、鉄板を折り
曲げ及び溶接加工を行って作成したり、或いは合成樹脂
で一体成形したりしたもので受具本体Ｃ５と補強部Ｃ６
とより成るもので、両者は直角に交差している。受具本
体Ｃ５の上端は軒樋Ｂの外形状に合致した形状に為され
ており、軒樋Ｂを載置できるようにしてある。補強部Ｃ
６は受具本体Ｃ５より直角に側方に突出して板状受具本
体Ｃ５の強度を高めている。この補強部Ｃ６の後面には
凹陥部Ｆを有する取付板Ｃ７が固着されている。この受
具Ｃを使用していても、前記実施例と同様に破風板４に
取着され軒樋Ｂの前面１と下面を化粧カバー１で覆い隠
すのである。なお、スペーサ１８は受具Ｃが破風板４側
の方向に傾くことを防止して化粧カバー１が前方へ傾向
することを防止している。

【００１４】

【考案の効果】本考案に係る軒樋隠蔽装置は上記したよ
うに、建物の屋根軒先の長手方向に装着された軒樋受具
の前縁に先端が係止されて取着された軒樋隠蔽用の化粧
カバーの基端を、建物の外壁に設置されている破風板の
下部に係合するものであって、破風板の下部に設けた突
片の先端に弾性部材を設け、その弾性部材を押圧しなが
ら化粧カバーの基端を前記破風板の下部に設けた段部に
係合するようにしたから、従来の技術のように化粧カバ
ーをビス止め又は溶接等の方法により固定して取り付け
るものに比較して、建物の屋根軒先の軒樋を隠蔽する化
粧カバーを取り付ける工事を行うに際し、取り付け場所
が低い場所は勿論のこと、高い場所でも効率的に而も迅
速に行うことができ、工事の省力化を図ることができ、
更に化粧カバーにより軒樋の前面と下面が覆い隠されて
建物と一体化し、軒先の外観が美麗になるという秀れた
効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る軒樋隠蔽装置の縦断面図。

【図２】本考案に係る軒樋隠蔽装置の要部の第１実施例
を示す一部切欠断面図。

【図３】本考案に係る軒樋隠蔽装置の要部の第２実施例
を示す一部切欠断面図。

【図４】本考案に係る軒樋隠蔽装置の要部の第３実施例
を示す一部切欠断面図。

【図５】図１のＸ−Ｘ線に於ける断面図。

【図６】本考案に係る他の実施例を示す軒樋隠蔽装置の
縦断面図。

【図７】本考案の上記実施例の軒樋隠蔽装置に使用され
る受具の斜視図。

【符号の説明】

１ 化粧カバー ２ 化粧カバーの先端 ３ 化粧カバーの基端 ４ 破風板 ５ 破風板の形成された段部 ６ 破風板に設けた突片 Ａ 建物 Ｂ 軒樋 Ｃ 軒樋の受具 Ｄ 軒樋の受具の前縁

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物の屋根軒先の長手方向に装着された
   軒樋受具の前縁に先端が係止されて取着された軒樋隠蔽
   用の化粧カバーの基端を、建物の外壁に設置されている
   破風板の下部に係合してなり、 破風板の下部に設けられた突片に弾性部材を設け、その
   弾性部材を押圧しながら化粧カバーの基端を前記破風板
   の下部に設けた段部に係合するようにした軒樋隠蔽装
   置。