JP2559525C - - Google Patents

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JP2559525C
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、液体クロマトグラフィーに適した充填剤、特に弱カチオン交換クロ
マトグラフィーに適した充填剤に関する。 (従来の技術) 各種物質の分離又は検出に液体クロマトグラフィーが使用され、生体試料から
のタンパク質の分離など、特に親水性物質の分離には、水系のゲル浸透クロマト
クフフイー、イオン交換クロマトグラフィー等が利用されている。イオン交換ク
ロマトグラフィー法はイオン交換基を有する充填剤を用い、分離対象成分イオン
の充填剤に対するイオン交換吸着性の差異によって分離する方法である。 イオン交換基としてカルボキシル基を持つものは弱イオン交換クロマトグラフィ
ーとして、タンパク質やペプチドの分析に有用である。 弱カチオン交換クロマトグラフィー用として最もよく用いられる充填剤は、ス
チレンージビニルベンゼンの架橋重合体粒子の表面にカルボキシル基を導入した
ゲル、或はスチレン、ジビニルベンゼンとカルボキシル基を有する単量体との架 橋共重合体ゲル等がある。このような合成高分子系充填剤は、通常、特開昭58-2
21164 号に開示された方法、つまり架橋性単量体及びカルボキシル基を有する単
量体に重合開始剤を加えて懸濁重合することによって調製される。或はスチレン
、ジビニルベンゼン及び加水分解反応によりカルボキシル基を生成し得る官能基
(以下、加水分解性の基、とする)を有する単量体とを共重合させた後、加水分
解反応により該官能基をカルボキシル基としたゲルも用いられ得る。このような
充填剤の耐圧性を向上させるには架橋度を上げる必要があるが、架橋部分が疎水
性なので架橋度を上げると、ゲルの疎水性が増し、タンパク質の非特異的吸着が
生じる。このため架橋剤量が制限され、十分な耐圧性を得ることが難しい。更に
上記方法で得られた充填剤は、重合体粒子内の全体にカルボキシル基が分散して
存在するため、水性溶媒中では膨潤・収縮し易く、このような理由からも耐圧性
が不十分である。 耐圧性に優れ、比較的高速処理が可能で分離能に優れた充填剤として、多孔性
シリカゲルの表面にカルボキシル基を化学結合したシリカ系充填剤がある。しか
しこの充填剤は表面の残存シラノール基の影響によりタンパク質などの塩基性基
を有する物質を吸着する特性を有する。更にシリカゲルは酸及びアルカリで溶解
するため、溶離液のpHが3〜8に限定される。 更に、上記弱カチオン交換クロマトグラフィー用充填剤に使用され得、比較的
耐圧性に優れた充填剤として、特開昭59-18705号、特開昭62-63856号及び特開昭
63-79064号に開示されている、いわゆるシード重合法によって得られる充填剤が
ある。 この重合法は、架橋重合体粒子に重合開始剤及び単量体を含浸させて、これらを
懸濁重合に供し、二層構造の粒子を得ようとする方法である。この方法において
、架橋重合体粒子に含浸させる単量体としてカルボキシル基を有する単量体を用
いれば、弱カチオン交換クロマトグラフィー用充填剤が得られる。また加水分解
性の基を有する単量体を含浸させて重合し、その後加水分解しても同様の弱カチ
オン交換クロマトグラフィー用充填剤が得られる。しかし、得られる充填剤粒子
の内部にカルボキシル基が存在するため、上記と同様の理由により、水系溶媒中
で膨潤・収縮し易く、従って耐圧性はなお不十分である。 (発明が解決しようとする課題) 本発明は上記従来の欠点を解決するものであり、その目的とするところは、タ
ンパク質等の親水性物質の分離に適したクロマトグラフィー用充填剤であって、
耐圧性が高く、膨潤・収縮が少なく、かつタンパク質等の非特異吸着が少ない充
填剤の製造法を提供することにある。本発明の他の目的は、上記の優れた性質を
有し、特に弱カチオン交換クロマトグラフィーに好適な充填剤の製造法を提供す
ることにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤の製造法は、予め単離された疎水性
架橋重合体粒子に重合開始剤を含浸させる工程;該疎水性架橋重合体粒子を分散
させた分散液に、加水分解反応によりカルボキシル基を生成し得る官能基を有す
る単量体を添加して溶解させ、該疎水性架橋重合体粒子の表面部分で該単量体を
重合させ、該疎水性架橋重合体粒子の表面部分に、加水分解反応によりカルボキ
シル基を生成し得る官能基を有する重合体の層を10〜300Åの厚さに形成す
る工程;および該官能基を加水分解し、前記疎水性架橋重合体粒子表面をカルボ
キシル基を有する重合体で10〜300Åの厚さで被覆する工程を包含し、その
ことにより上記目的が達成される。 本発明に使用される疎水性架橋重合体粒子の素材としては、疎水性架橋性単量
体を(共)重合させて得られる(共)重合体又は疎水性架橋性単量体と疎水性非
架橋性単量体との共重合体が挙げられる。これらの(共)重合体は、上記のよう
に本発明の充填剤の骨格部分であるから、後述する加水分解反応条件において化
学反応(例えば、加水分解)しない重合体を形成するものであることが必要であ
る。従って素材となる上記単量体は、加水分解反応条件において、化学反応し得
る官能基を持たない単量体である。また上記の疎水性架橋重合体は、疎水性架橋
性単量体の単独重合体、或は二種以上の架橋性単量体よりなる共重合体である。
また必要に応じて、一種以上の非架橋性の単量体を添加する事も出来る。 上記疎水性架橋性単量体としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン等の2個以上のビニル基を有する芳
香族系化合物が挙げられる。また必要に応じて素材とし得る、疎水性非架橋性の 単量体としては、例えはスチレン、メチルスチレン等のスチレン系単量体が挙げ
られる。上記架橋性及び非架橋性単量体を混合して用いる場合には、架橋性単量
体が全単量体100 重量部に対して10重量部以上、好ましくは20重量部以上となる
よう使用される。 本発明において、疎水性架橋重合体粒子を被覆する重合体の素材としては、加
水分解性の基を有する単量体を重合して得られるものである。この様な単量体と
しては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル酸又はメタ
クリル酸(以下、(メタ)アクリル酸とする)のアルキルエステル類;(メタ)
アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらの加水分解
性の基を有する単量体は、必要に応じて二種以上が混合して用いられ得る。該単
量体の使用量は単量体の種類によって異なるが疎水性架橋重合体100 重量部に対
して5〜50重量部の割合である。 上記の加水分解性の基を有する単量体は、疎水性架橋重合体の表面で重合され
て該重合体を被覆するが、その被覆層の厚みは10〜300Åである。該被覆層
は、重合後に加水分解されてカルボキシル基を生成し、弱カチオン交換能を有す
る様になると共に、親水性を有する様になる。そのため平均厚さが300 Åを超え
ると、該被覆層部の膨潤・収縮効果が無視できないほど大きくなり、分離能の低
下、圧力の上昇が起こり易くなる。また、平均厚さが300 Åを超えると、溶離液
との平衡化に時間が掛かるため分離能の低下、分析時間の延長を起こすので好ま
しくない。平均厚さが10Åより小さい場合は被覆が不完全であり、疎水性架橋重
合体粒子の表面が露出している部分が生じ易い。このような露出があると、被分
離物質(例えば、タンパク質等)が充填剤に非特異的に吸着する可能性がある。 本発明における被覆層の観察及びその厚さの測定は以下の様にして行われる。
試料とする充填剤粒子からミクロトームで1000Å以下の切片を作成する。該切片
を、カルボキシル基に特異的なラベル化剤又は染色試薬で処理し、透過型電子顕
微鏡で観察および写真撮影する。例えば硝酸銀溶液で処理する事により、カルボ
キシル基は銀と反応し-COOAgとなるので、透過型電子顕微鏡により充填剤粒子内
のカルボキシル基の分布状態、被覆層の状態及び平均厚さの測定をする事が出来
る。 次に本発明の充填剤を調製する為の代表的な製造例を説明する。但し本発明の
充填剤は、下記の方法によって得られた物に限定されるものではない。 本発明の弱イオン交換クロマトグラフィー用充填剤を調製するには、最初に疎
水性架橋重合体粒子が調製される.この疎水性架橋重合体粒子は、既知の任意の
水性懸濁重合法により調製され得る。まず、上記疎水性単量体(疎水性架橋性単
量体及び必要に応じて疎水性非架橋性単量体)と重合開始剤とを希釈剤に溶解さ
せる。該重合開始剤及び得られた疎水性架橋重合体粒子に含浸させる(後述)重
合開始剤は、ラジカルを発生する触媒であり、疎水性であれば特に限定されない
。例えばベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、クメンパーオキ
サイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチロア
ミド等のアゾ化合物等、既知のラジカル発生触媒のいずれもが使用され得る。 上記の希釈剤は多孔形成剤として添加するもので、上記単量体を溶解させ、か
つその重合体を溶解させない有機溶媒のいずれもが使用可能である。例えば、ト
ルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類
;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和炭化水素類;イソアミルアル
コール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール類が挙げられ
る。その使用量は何等限定されないが、上記単量体混合物100 重量部に対して20
0 重量部以下の割合である事が好ましい。 上記単量体混合物(単量体、開始剤、希釈剤)をポリビニルアルコール、リン
酸カルシウム等の懸濁安定剤を溶解した水相に添加し、窒素置換後攪拌しながら
40〜100 ℃に加熱する事により懸濁重合を行う。得られた重合体粒子中には希釈
剤である有機溶媒が分散して存在する為、重合終了後に有機溶媒を除去する事に
より、多孔性の球状粒子が得られる。希釈剤として上記単量体混合物と相溶性の
異なる種々の有機溶媒を使用する事により、多孔性重合体の細孔の大きさを任意
に変化させる事が可能である。 次に、得られた疎水性架橋重合体粒子を単離し、単離された疎水性架橋重合体
粒子に重合開始剤を含浸させる。重合開始剤を含浸させるには、該重合開始剤を
低沸点でかつ疎水性架橋重合体と親和性の良い溶媒に溶解させ、これに上記疎水
性架橋重合体粒子を浸漬する。これにより重合開始剤が粒子中に浸透する。これ を必要に応じて重合開始剤の分解点以下の温度で加熱して溶媒を留去すれば、そ
の内部に重合開始剤を含有する疎水性架橋重合体粒子が得られる。この重合開始
剤含有粒子を上記加水分解性の基を有する単量体が溶解する分散媒中に分散させ
、或は該粒子が分散する分散媒中に加水分解性の基を有する単量体を添加し、溶
解させて、窒素置換後攪拌下に加熱して重合を行う。この重合により、加水分解
性の基を有する単量体が疎水性架橋重合体粒子の表面に重合し、該粒子を被覆す
る。上記の分散媒としては加水分解性の基を有する単量体を溶解する水又は有機
溶媒、或は両者の混合物が使用され得る。分散媒には疎水性架橋重合体の分散性
を安定させる為、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の分散
安定剤を添加することも出来る。重合の温度及び時間は、反応させる加水分解性
の基を有する単量体の種類と重合開始剤の種類によっても異なるが、40〜100 ℃
で0.5 〜20時間程度である。以上の方法により、上記の二層構造の重合体粒子が
調製される。 上記方法で得られた重合体粒子を熱水、有機溶媒等で十分洗浄し、粒子に含有
されている、或いは付着している懸濁安定剤、溶媒、残存単量体等を除去する。 得られた重合体粒子を酸触媒又はアルカリ触媒により加水分解を行う事により
、粒子表面の被覆層に存在する加水分解性の官能基が加水分解されてカルボキシ
ル基となる。例えば加水分解性の基を有する単量体としてアクリル酸メチルを用
いた場合、重合体粒子を水酸化ナトリウムの15〜25重量%メタノール溶液中で60
〜80℃の温度で4 〜10時間反応させる事によって粒子表面の-COOCH3基はカルボ
キシル基となる。 加水分解反応後、重合体粒子を濾取し、数回洗浄して乾燥し、更に必要に応じ
て粒子を分級する事により、弱カチオン交換クロマトグラフィー用の充填剤が得
られる。本発明の充填剤は疎水性架橋重合体を骨格とし、カルボキシル基を有す
る重合体で該疎水性架橋重合体の表面部分が被覆された二層構造の重合体粒子で
ある。骨格部分として架橋度の高い重合体を用いる事によって、機械的強度が極
めて大きく耐圧性に優れた液体クロマトグラフィー用充填剤を得る事が出来る。
この充填剤の骨格部分には親水性基が存在しない為、膨潤及び収縮の度合が極め
て小さい。表面はカルボキシル基を有する親水性の重合体が被覆されている為、 タンパク質等の非特異吸着が無く、弱カチオン交換クロマトグラフィー用充填剤
として好適である。この充填剤は広いpH範囲において使用する事が可能である。
さらに上記の様に耐圧性が大きく、膨潤・収縮の度合が極めて低い為、粒径の微
小化が図れ、その結果高精度での分離が可能となる。高圧条件下での使用が可能
な為、迅速分析がなされ得る。 (実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。 以下の実施例及び比較例において得られた充填剤の物性測定及び性能評価の方
法は次の通りである。 「被覆層の平均厚さの測定方法」 充填剤に用いる被覆重合体粒子をエポキシ樹脂に包埋した後、Reichert-Jung
社製ミクロトームULTRACUTE を用いて厚さ約900 Åの切片を得る。この切片を、
硝酸銀溶液(容量分析用、和光純薬工業(株)製)でラベル化し、日本電子(株)製
透過型電子顕微鏡JEM100S にて観察および写真撮影を行い、カルボキシル基の分
布状態及び被覆層の平均厚さを測定した。 「充填剤の評価方法」 得られた充填剤を内径6mm および長さ75mmのステンレス製カラムに充填し、耐
圧性および水に対する膨潤性を調べた。耐圧性はカラムに精製水を流し、流速を
変えて流速と圧力損失との関係より測定した。膨潤性は、イオン強度の異なる液
を流したときのカラム圧の変化より求めた。 京都電子工業(株)製電位差自動滴定装置AT-310により充填剤表面のカルボキシ
ル基を定量した。更に(株)京都第一科学製Hi-AUTO A1cでヒト血液の分析を行い
分離能などを従来品と比較した。測定方法は次の通りである。ヒト血液検体とし
て、同一人(健康人)の血液を採取後直ちにヘパリンを添加したものを用いた。
血液検体は、本装置付属の専用溶血液21L(ノニオン系界面活性剤を含むリン酸緩
衝液)によって、自動的に290 倍に希釈、溶血される。溶離液は本装置付属の専
用試薬であるA液(pH5.9 のリン酸緩衝液)、B液(pH7.2 のリン酸緩衝液)お
よびC液(pH5.9 のリン酸緩衝液)を使用した。別に、積水化学工業(株)製液体
クロマトグラフシステムSSLC-20 を用いてタンパク質標準物質の分離を行った。 実施例1 疎水性架橋重合体粒子として積水化学工業(株)製ポリスチレン系ゲルHSG-50 2
00g を用い、これをアセチルパーオキサイド(重合開始剤)0.5gが溶解している
アセトン1lに浸漬して該重合開始剤を含浸させた。次に、アセトンを20℃にお
いて減圧下で留去した。50%メタノール水溶液2lに上記の含浸処理した疎水性
架橋重合体を分散させ、攪拌しながらアクリル酸メチル(加水分解性の基を有す
る単量体)50g を添加し、窒素置換後70℃で5 時間重合反応を行った。生成物を
熱水およびアセトンで順次洗浄し、乾燥した。得られた微小のポリマー粒子150g
を、水酸化ナトリウムの20重量%メタノール溶液500 ml中に添加し、75℃にて5
時間加熱してポリアクリル酸メチルのエステル部分を加水分解した。反応混合物
を室温に冷却した後、重合体粒子を濾取して、数回洗浄し乾燥した。得られたポ
リマー粒子を、日清エンジニアリング(株)製空気分級機ターボクラシファイアTC
-15Nにより分級して粒径が8 〜10μmの粒子を集め、充填剤を得た。これを内径
6mmおよび長さ75mmのステンレス製カラムに充填した。充填は精製水35mlに充填
剤2gを取り5 分間攪拌した後、2.0 ml/ 分で定流量充填することより行った。 上記の方法により耐圧性及び膨潤性の評価を行った。耐圧性評価においては、
150kg/cm2まで圧力損失が流速と比例した。膨潤性試験を行ったところ、溶離液
を40mMのリン酸緩衝液から200mM のリン酸緩衝液に変えた場合、カラム圧力の上
昇は認められなかった。滴定により充填剤表面のイオン交換能を測定したところ
0.7meq/gであった。また充填剤を上記の方法により硝酸銀溶液で処理して、被覆
層の平均厚さを測定したところ、約100 Åであった。(株)京都第一科学製Hi-AUT
O A1cでヒト血液の分析を行った。その結果得られたクロマトグラムを第1図に
示す。第1図および後述の第3図、第5図において、1はヘモグロビン(以下Hb
とする)A1aおよびA1b、2は胎児性Hb(F)、3は不安定型HbA1c、4は安定型HbA1c
、そして5は正常Hb(A0)に起因するピークである。 さらに積水化学工業(株)製液体クロマトグラフシステムSSLC-20 を用いて数種
のタンパク質(Sigma社製)の混合物の分離を行った。溶離は、20mMリン酸緩衝液(
pH7.0、以下A液と表す);およびA液と0.5M NaCl との等量混合物(以下B液と
表す)を用い、A液100%からB液100%へのリニアグラジエント法により行った。
そ の結果得られたクロマトグラムを第2図に示す。第2図及び後述の第4図、第6
図において、ピーク6はミオグロビン、7はトリプシノーゲン、8はリボヌクレ
アーゼA、9はチトクロームC、そして10はリゾチームに起因するピークである
。 実施例2 スチレン(疎水性非架橋性単量体)100g、ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量
体)200g 及びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gをトルエン(希釈剤)20
0g に溶解させた。これを4%ポリビニルアルコール水溶液2.5 lに添加して、攪
拌しながら調粒した後、窒素置換下で80℃に加熱し懸濁重合を行った。80℃で8
時間重合した後、生成物を熱水及びアセトンで順次洗浄し、乾燥して微小の疎水
性架橋重合体粒子を得た。 この疎水性架橋重合体粒子200gをアセチルパーオキサイド(重合開始剤)0.5gが
溶解しているアセトン1lに浸漬して、該重合開始剤を含浸させた。次に、アセ
トンを20℃において減圧下で留去した。50%メタノール水溶液2lに上記の含浸
処理した疎水性架橋重合体を懸濁させ、攪拌しながらアクリロニトリル(加水分
解性の基を有する単量体)50gを添加し、窒素置換後70℃で10時間重合反応を行っ
た。生成物を熱水及びアセトンで順次洗浄し、乾燥した。このポリマー粒子を実
施例1 と同様に加水分解、分級及び充填して評価した。 その結果、耐圧性については150kg/cm2まで圧力損失が流速と比例した。膨潤
性試験を行ったところ、溶離液を40mMのリン酸緩衝液から200mM のリン酸緩衝液
に変えた場合、カラム圧力の上昇は認められなかった。滴定により充填剤表面の
イオン交換能を測定したところ0.4meq/gであった。また、充填剤を硝酸銀溶液で
処理して、上記の方法にしたがって被覆層の平均厚さを測定したところ、約70Å
であった。実施例1と同様にしてヒト血液および種々のタンパク質の分離を行っ
た。その結果得られたクロマトグラムを第3図および第4図に示す。 比較例1 スチレン100g、ジビニルベンゼン200g、及びアクリル酸メチル(加水分解性の
基を有する単量体)70g、アセチルパーオキサイド1gをトルエン200gに溶解し、4%
ポリビニルアルコール水溶液2.5 lに添加して、攪拌しながら調粒した後、70℃ に加熱し懸濁重合した。70℃で8 時間重合した後、生成物を実施例1と同様の操
作により加水分解、分級、充填し評価した。 実施例1と同様の評価を行った結果、耐圧性については80kg/cm2まで圧力損失
は流速と比例した。膨潤性試験を行ったところ、溶離液を40mMのリン酸緩衝液か
ら200mM のリン酸緩衝液に変えた場合、カラム圧力が20kg/cm2上昇した。このよ
うに実施例1の充填剤より耐圧性および耐膨潤性は劣ることが明らかである。ま
た、充填剤を硝酸銀溶液で処理して、上記の方法にしたがって被覆層の平均厚さ
を測定したところ、カルボキシル基は充填剤粒子内にも一様に存在していた。さ
らに実施例1と同様にヒト血液および種々のタンパク質の分離を行った。その結
果を第5図および第6図に示す。第1図および第2図に比較すると明らかに分離
能が劣っていることがわかる。 比較例2 疎水性架橋重合体粒子として積水化学工業(株)製ポリスチレン系ゲルHSG-50 2
00g を用い、また加水分解性の基を有する単量体としてアクリル酸メチル300gを
用いて実施例1と同様に操作して充填剤を調製し、その評価を行った。 その結果、耐圧性については150kg/cm2まで圧力損失と流速が比例した。膨潤
性試験を行ったところ、溶離液を40mMのリン酸緩衝液から200mM のリン酸緩衝液
に変えた場合、カラム圧力が25kg/cm2上昇した。これは後述の如く、被覆層が厚
くなったために耐膨潤性が劣化したものと思われる。滴定によって充填剤表面の
イオン交換能を測定したところ1.2meq/gであった。また、充填剤を硝酸銀溶液で
処理して、上記の方法にしたがって被覆層の平均厚さを測定したところ、約400
Åであった。しかし被覆層が厚く細孔が殆ど塞がれていた。 実施例1と同様にタンパク質の分離を行った。その結果得られたクロマトグラ
ムを第7図に示す。第2図および第4図に比べ保持力が弱くなっているが、これ
は上述のように細孔が塞がれたため、表面積が減少したことによる。 比較例3 疎水性架橋重合体粒子として積水化学工業(株)製ポリスチレン系ゲルHSG-50 2
00g を用い、また加水分解性の基を有する単量体としてアクリル酸メチル10g を
用いて実施例1と同様に操作して充填剤を調製し、その評価を行った。 その結果、耐圧性については150kg/cm2まで圧力損失と流速が比例した。膨潤
性試験を行ったところ、溶離液を40mMのリン酸緩衝液から200mM のリン酸緩衝液
に変えた場合、カラム圧力の上昇は認められなかった。滴定によって充填剤表面
のイオン交換能を測定したところ0.1meq/gであった。また、充填剤を硝酸銀溶液
で処理して、上記の方法にしたがって被覆層の平均厚さを測定したところ、約8
Åであった。また充填剤表面の一部に、被覆されていない箇所があった。 実施例1と同様にタンパク質の分離を行った。その結果得られたクロマトグラ
ムを第8図に示す。第2図および第4図と溶出順が異なっているが、これは被覆
が不十分のため、疎水性相互作用により分離が行われていることによると思われ
る。 (発明の効果) 本発明によれば、このように、耐圧性に優れ、かつ膨潤および収縮が少なく、
タンバク質の非特異的吸着がない水系の液体クロマトグラフイー用充填剤が得ら
れる。このような充填剤は、弱カチオン交換クロマトグラフィー用充填剤として
各種親水性物質の単離もしくは分析に広範囲に利用され得る。
【図面の簡単な説明】 第1図、第3図および第5図は、それぞれ実施例1、実施例2および比較例1
で得られた充填剤を充填したカラムを用いて血液の分析を行った時に得られたク
ロマトグラムを示す。 第2図、第4図および第6〜8図は、それぞれ実施例1、実施例2及び比較例
1〜3で得られた充填剤を充填したカラムを用いて種々のタンパク質の分離を行
った時に得られたクロマトグラムを示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.液体クロマトグラフィー用充填剤の製造法であって、 予め単離された疎水性架橋重合体粒子に重合開始剤を含浸させる工程; 該疎水性架橋重合体粒子を分散させた分散液に、加水分解反応によりカルボキ
    シル基を生成し得る官能基を有する単量体を添加して溶解させ、該疎水性架橋重
    合体粒子の表面部分で該単量体を重合させ、該疎水性架橋重合体粒子の表面部分
    に、加水分解反応によりカルボキシル基を生成し得る官能基を有する重合体の層
    を10〜300Åの厚さに形成する工程;および該官能基を加水分解し、前記疎
    水性架橋重合体粒子表面をカルボキシル基を有する重合体で10〜300Åの厚
    さで被覆する工程; を包含する液体クロマトグラフィー用充填剤の製造法。

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