JP2558496B2 - 自己消火性を有する作動油 - Google Patents
自己消火性を有する作動油Info
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- JP2558496B2 JP2558496B2 JP63096581A JP9658188A JP2558496B2 JP 2558496 B2 JP2558496 B2 JP 2558496B2 JP 63096581 A JP63096581 A JP 63096581A JP 9658188 A JP9658188 A JP 9658188A JP 2558496 B2 JP2558496 B2 JP 2558496B2
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- oil
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は自己消火性を有する作動油に関する。
[従来の技術] 自動車の足廻り部品の組付け工程には、多数の溶接機
による溶接が行われる。
による溶接が行われる。
この溶接工程では、溶接中に溶接スパッタ(1000〜20
00℃の溶接金属片)が周囲に飛散する。このため溶接設
備で使用する油種は、難燃化または不燃化したものであ
ることが求められている。
00℃の溶接金属片)が周囲に飛散する。このため溶接設
備で使用する油種は、難燃化または不燃化したものであ
ることが求められている。
この溶接ラインや鋳造ラインで使用される作動油は、
難燃化油として、鉱油、合成油系の作動油にリン系やハ
ロゲン系の難燃化剤を添加したものや、水を主成分とす
る水−グリコール系のものが市販(例えばユシロンルビ
ックHW−5:ユシロ化学工業社製)ないしは提案されてい
る。
難燃化油として、鉱油、合成油系の作動油にリン系やハ
ロゲン系の難燃化剤を添加したものや、水を主成分とす
る水−グリコール系のものが市販(例えばユシロンルビ
ックHW−5:ユシロ化学工業社製)ないしは提案されてい
る。
例えば特開昭55−25466号公報には、アルキルアリー
ルリン酸エステルと、分子量が5000〜50000の脂肪族ポ
リエステルとの混合物からなる難燃性作動油組成物の開
示がある。また特開昭54−129256号公報には、水−グリ
コール系の作動油に対しポリアルキレンポリアミンとア
ルキレンオキサイドとの縮合物を、グリコールの一部ま
たは全部を代替した不燃性作動油の開示がある。
ルリン酸エステルと、分子量が5000〜50000の脂肪族ポ
リエステルとの混合物からなる難燃性作動油組成物の開
示がある。また特開昭54−129256号公報には、水−グリ
コール系の作動油に対しポリアルキレンポリアミンとア
ルキレンオキサイドとの縮合物を、グリコールの一部ま
たは全部を代替した不燃性作動油の開示がある。
[発明が解決すべき課題] しかし前記水系作動油では、水を除けば残りは可燃性
物質であり、水分が蒸発した残留物に飛散スパッタが接
触すると着火し燃焼する。また水系作動油の場合は、ポ
ンプの寿命や設備の劣化水溶液中の油分の濃縮管理、油
液のpHのメンテナンスが必要であり現場での管理が煩し
い。
物質であり、水分が蒸発した残留物に飛散スパッタが接
触すると着火し燃焼する。また水系作動油の場合は、ポ
ンプの寿命や設備の劣化水溶液中の油分の濃縮管理、油
液のpHのメンテナンスが必要であり現場での管理が煩し
い。
一方、リン酸エステル系のものは、粘度が低く単独で
は使用できない。そこで可燃性の増粘剤の合成油や鉱油
が配合されるため、難燃性が低下し一旦着火すると燃焼
が継続するという問題を有している。
は使用できない。そこで可燃性の増粘剤の合成油や鉱油
が配合されるため、難燃性が低下し一旦着火すると燃焼
が継続するという問題を有している。
本発明は、溶接スパッタと接触して着火しても燃焼が
継続しないように自己消火性を有する作動油とすること
を技術的課題とする。
継続しないように自己消火性を有する作動油とすること
を技術的課題とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の自己消火性を有する作動油は、次の一般式で
表される化合物を含有する。
表される化合物を含有する。
N3P3(OC6H5)x{OCH2(CF2CF2)2H}y 但し式中xは0,1または2を、yは6−xの整数を表
す。
す。
ここで自己消火性とは、溶接スパッタにより一旦着火
したとしても、燃焼が継続されず消火してしまう現象を
いう。
したとしても、燃焼が継続されず消火してしまう現象を
いう。
例えば、作動油を含浸させたウエスを平に拡げ、その
上方で丸棒や銅板をアセチレンガスで溶断し、溶断中に
飛散して落下してくる溶接スパッタによって、着火して
も1、2秒で消火し燃焼が継続しない現像である。
上方で丸棒や銅板をアセチレンガスで溶断し、溶断中に
飛散して落下してくる溶接スパッタによって、着火して
も1、2秒で消火し燃焼が継続しない現像である。
この一般式で表される物質は、単独で作動油として用
いることができる。しかし5重量%までは公知の鉱油、
合成油等の作動油を添加混合して用いても自己消火性は
失われない。5重量%を超えると自己消火性の低下が著
しくなり好ましくない。
いることができる。しかし5重量%までは公知の鉱油、
合成油等の作動油を添加混合して用いても自己消火性は
失われない。5重量%を超えると自己消火性の低下が著
しくなり好ましくない。
この一般式で表される物質はその要求される粘度によ
りx、yを適宜選ぶことができる。またそれらを混合物
として用いることができる。
りx、yを適宜選ぶことができる。またそれらを混合物
として用いることができる。
この一般式で表される物質は、例えば五塩化隣と塩化
アンモニウムとを反応させて得られるN3P3Cl6のヘキサ
クロルホスファゼン化合物を単離し、次いでパーフロル
アルキルアルコールの単独またはフェノールとの混合物
を縮合反応させることにより得られる。この縮合反応時
にアルコールとフェノールのモル比を変えることにより
xとyとの量が調整できる。
アンモニウムとを反応させて得られるN3P3Cl6のヘキサ
クロルホスファゼン化合物を単離し、次いでパーフロル
アルキルアルコールの単独またはフェノールとの混合物
を縮合反応させることにより得られる。この縮合反応時
にアルコールとフェノールのモル比を変えることにより
xとyとの量が調整できる。
このフェノールの割合を表すXは、2以下とすること
が作動油としての粘度を維持するのに必要である。Xが
2より大きくなると粘度が高くなり、かつ潤滑性、自己
消火性の点で好ましくない。なおXが0のフェノールを
含まない場合は、粘度はやや低下するが作動油としての
使用に十分耐えられる。
が作動油としての粘度を維持するのに必要である。Xが
2より大きくなると粘度が高くなり、かつ潤滑性、自己
消火性の点で好ましくない。なおXが0のフェノールを
含まない場合は、粘度はやや低下するが作動油としての
使用に十分耐えられる。
またパーフロルアルキルアルコールはメタノール中で
テトラフロルエチレンの二量化により容易に得ることが
できる。
テトラフロルエチレンの二量化により容易に得ることが
できる。
従ってこの一般式で表される物質は、潤滑性と難燃性
を有するフッ素元素を有し、かつ難燃性を付与する燐と
窒素の元素を含み、自己消火性を有する作動油となる。
しかも単独で潤滑性および必要な粘性を有するため、増
粘剤などの添加物を必要としない。
を有するフッ素元素を有し、かつ難燃性を付与する燐と
窒素の元素を含み、自己消火性を有する作動油となる。
しかも単独で潤滑性および必要な粘性を有するため、増
粘剤などの添加物を必要としない。
[発明の作用と効果] 本発明の自己消火性を有する作動油は、前記一般式の
化合物を使用することにより自己消火性を示す。
化合物を使用することにより自己消火性を示す。
従って溶接時の溶接スパッタが、作動油や潤滑油を含
むウエスやゴミその他油に接触しても燃焼が継続され
ず、直ぐに消火する自己消火性を有しボヤや火災発生を
防ぐことができる。
むウエスやゴミその他油に接触しても燃焼が継続され
ず、直ぐに消火する自己消火性を有しボヤや火災発生を
防ぐことができる。
また作動油としての粘度も、合成反応時の側鎖に形成
するパーフロルアルキルアルコールとフェノールの量に
よって目的に応じて調整することが可能である。
するパーフロルアルキルアルコールとフェノールの量に
よって目的に応じて調整することが可能である。
[実施例] 以下実施例により本発明を説明する。
(式中Rは(−CH2(CF2CF2)2H)4と(−C6H5)が4:2
の割合で結合しており、結合位置は特定できない) 上記の(I)(II)の物質は以下の方法で得た。
の割合で結合しており、結合位置は特定できない) 上記の(I)(II)の物質は以下の方法で得た。
(I)式の物質はヘキサクロルホスファゼン(P3N3CL
6)1モルとオクタフロルペンチルアルコール(C5H4F
8O)6モルとを脱塩化水素による縮合反応で(I)式の
物質を得た。得られた(I)式の物質の作動油としての
性質を第1表に示す。
6)1モルとオクタフロルペンチルアルコール(C5H4F
8O)6モルとを脱塩化水素による縮合反応で(I)式の
物質を得た。得られた(I)式の物質の作動油としての
性質を第1表に示す。
(II)式の物質はヘキサクロルホスファゼン1 モルと2モルのフェノールと4モルのオクタフロルペン
チルアルコールとを、上記の(I)式の場合と同様縮合
して製造されたものであり、作動油としての性質を第1
表に示す。比較例としてはトリクレジルホスフェート
(TCP)を主成分とする難燃性作動油を用いた。このTCP
の作動油としての性質を比較例として第1表に示す。こ
の三種の作動油を用いて以下に述べる自己消化性試験法
により自己消火性の評価を行なった。
チルアルコールとを、上記の(I)式の場合と同様縮合
して製造されたものであり、作動油としての性質を第1
表に示す。比較例としてはトリクレジルホスフェート
(TCP)を主成分とする難燃性作動油を用いた。このTCP
の作動油としての性質を比較例として第1表に示す。こ
の三種の作動油を用いて以下に述べる自己消化性試験法
により自己消火性の評価を行なった。
(1)含油ウエスバーナ点火試験 (方法) 木綿ウエス(約250×300mm)の長手方向の半分を試料
油に完全に浸漬した後約30分間油切りする。この木綿ウ
エスを第1図に示すように試料油浸漬部分を上にしてク
リップで両端を挟んで吊り下げる。約1分経過後アセチ
レンバーナでウエスの下端に点火してウエスの試料油浸
漬分の燃焼状態を観察した。
油に完全に浸漬した後約30分間油切りする。この木綿ウ
エスを第1図に示すように試料油浸漬部分を上にしてク
リップで両端を挟んで吊り下げる。約1分経過後アセチ
レンバーナでウエスの下端に点火してウエスの試料油浸
漬分の燃焼状態を観察した。
(評価法) ウエスの下端に着火した後、油浸漬部分が着火するま
での時間(秒)およびウエスが完全に燃えつきるまでの
時間によって判定した。
での時間(秒)およびウエスが完全に燃えつきるまでの
時間によって判定した。
(2)含油ウエス溶接火花点火試験 (方法) 木綿ウエスを試料油中に完全に浸漬した後、両手で油
がしたたり落ちない程度に絞る。その含油ウエスを鋼板
上に拡げ第2図の模式図に示すように、その上部750mm
のところで厚さ9mmの鋼板をアセチレンバーナで切断す
る。この時溶接スパッタを30秒間上記の含油ウエス上に
落下させる。
がしたたり落ちない程度に絞る。その含油ウエスを鋼板
上に拡げ第2図の模式図に示すように、その上部750mm
のところで厚さ9mmの鋼板をアセチレンバーナで切断す
る。この時溶接スパッタを30秒間上記の含油ウエス上に
落下させる。
(評価法) 溶接スパッタを30秒間落下させた直後のウエス上の燃
焼箇所数と、その燃焼箇所が消火する迄の時間の長さで
判定した。
焼箇所数と、その燃焼箇所が消火する迄の時間の長さで
判定した。
前記の式IおよびIIの作動油および比較例1のリン酸
エステル系作動油(TCP)について、含油ウエスバーナ
点火試験と含油ウエス溶接火花点火試験を行なって作動
油の自己消火性を調べた。結果を第2表に示す。
エステル系作動油(TCP)について、含油ウエスバーナ
点火試験と含油ウエス溶接火花点火試験を行なって作動
油の自己消火性を調べた。結果を第2表に示す。
IおよびIIの作動油は、含油ウエスバーナ点火試験で
も点火後15秒前後で消火し自己消火性を示した、比較例
の含油ウエスは難燃性のため鉱油に比べて着火までの時
間は長い、しかし着火したのちは燃えつきるまで燃焼が
続いた。含油ウエス溶接火花試験では本発明のI、IIの
作動油は点火しても1、2秒で消火したが、比較例のリ
ン酸エステルでは11秒も燃焼し、難燃性を有しない鉱油
の例では連続して燃焼が続いた。したがって本発明の作
動油はいずれも比較例に比べて優れた自己消火性を示し
た。
も点火後15秒前後で消火し自己消火性を示した、比較例
の含油ウエスは難燃性のため鉱油に比べて着火までの時
間は長い、しかし着火したのちは燃えつきるまで燃焼が
続いた。含油ウエス溶接火花試験では本発明のI、IIの
作動油は点火しても1、2秒で消火したが、比較例のリ
ン酸エステルでは11秒も燃焼し、難燃性を有しない鉱油
の例では連続して燃焼が続いた。したがって本発明の作
動油はいずれも比較例に比べて優れた自己消火性を示し
た。
第1図は含油ウエスバーナ点火試験を説明する模式図、
第2図は含油ウエス溶接火花点火試験を説明する模式図
である。
第2図は含油ウエス溶接火花点火試験を説明する模式図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 博志 東京都千代田区丸の内3丁目1番1号 出光興産株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−278998(JP,A) 特開 昭63−165492(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】次の一般式で表される化合物を含有する自
己消火性を有する作動油 N3P3(OC6H5)x{OCH2(CF2CF2)2H}y 但し式中xは0,1または2を、yは6−xの整数を表
す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63096581A JP2558496B2 (ja) | 1988-04-19 | 1988-04-19 | 自己消火性を有する作動油 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63096581A JP2558496B2 (ja) | 1988-04-19 | 1988-04-19 | 自己消火性を有する作動油 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01268792A JPH01268792A (ja) | 1989-10-26 |
JP2558496B2 true JP2558496B2 (ja) | 1996-11-27 |
Family
ID=14168919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63096581A Expired - Lifetime JP2558496B2 (ja) | 1988-04-19 | 1988-04-19 | 自己消火性を有する作動油 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2558496B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011125679A1 (ja) | 2010-03-31 | 2011-10-13 | 出光興産株式会社 | 難燃性能を有する生分解性潤滑油組成物 |
-
1988
- 1988-04-19 JP JP63096581A patent/JP2558496B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011125679A1 (ja) | 2010-03-31 | 2011-10-13 | 出光興産株式会社 | 難燃性能を有する生分解性潤滑油組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01268792A (ja) | 1989-10-26 |
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