JP2557961Y2 - 携帯用においセンサ - Google Patents

携帯用においセンサ

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JP2557961Y2 JP1992011524U JP1152492U JP2557961Y2 JP 2557961 Y2 JP2557961 Y2 JP 2557961Y2 JP 1992011524 U JP1992011524 U JP 1992011524U JP 1152492 U JP1152492 U JP 1152492U JP 2557961 Y2 JP2557961 Y2 JP 2557961Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、小型で簡便な携帯用に
おいセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】携帯用として使用できるにおいセンサと
して、従来、以下のようなものが開発されてきた。
【0003】(1)携帯型アルコールチェッカ(原理:
酸化物半導体の電気伝導度):フィガロ技研(株)販売
カタログ (2)口臭チェッカ(原理:酸化物半導体の電気伝導
度):フィガロ技研(株)販売カタログ (3)携帯用香りセンサ(原理:酸化物半導体の電気伝
導度):B&Hラボ(株)販売カタログ (4)においセンサ(原理:水晶振動子の周波数変
化):相互薬工(株)販売カタログ
【0004】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のにおいセンサを携帯用として使用するには、それぞ
れ次のような欠点があった。
【0005】(1)携帯型アルコールチェッカは、小型
で携帯に便利であるが、酸化物半導体を用いているた
め、アルコールなどに利用が限定される。しかも、酸化
物半導体を加熱して用いるために、消費電力が大きく、
電池など携帯用電源では長時間の使用に耐えない。
【0006】(2)口臭チェッカは、口臭のなかのおも
にSH基を含む有機物を検出するもので、小型で携帯に
便利であるが口臭チェックに利用が限定される。アルコ
ールチェッカと同様に酸化物半導体を加熱して用いるた
めに、消費電力が大きく、電池など携帯用電源では長時
間の使用に耐えない。
【0007】(3)携帯用香りセンサは、香りの相対濃
度を記録できるようになっているが、大きさが31cm
×30cm×20cm、重量6kgと携帯にはやや不便
である。これも酸化物半導体を加熱して用いるために、
消費電力が大きく、電池など携帯用電源では長時間の使
用に不向きである。また、酸化物半導体の電気伝導度の
変化を利用したセンサでは、測定の対象とするにおいが
限定される欠点がある。
【0008】(4)においセンサは、水晶振動子方式を
用いているために酸化物半導体方式に比べて、検出でき
るにおいの種類が多く、加熱する必要もないのでセンサ
ヘッドの消費電力が少ないなどの特徴があり、携帯用に
適した検出原理といえる。しかし、周波数カウンタで直
接計測しその周波数変化を液晶パネルで表示するため
に、大きさが25cm×21cm×11cm、重量が
2.5kgと携帯にはやや不便である。しかも、周波数
カウンタ等の動作が必要なために動作電力が大きく、携
帯用電池等では長時間の使用に向かない。
【0009】以上のように計測対象を限定し、しかも間
欠的に使用するチェッカなどでは比較的実用性のある携
帯用においセンサが可能であるが、汎用的な小型で携帯
性に優れたにおいセンサはまだ開発されていない。
【0010】本発明は、このような課題を解決するため
になされたものであり、その目的は、(1)においの対
象を限定しないこと、(2)携帯に便利な小型であるこ
と、(3)消費電力が少なく長時間の使用に耐えること
の点を解決した携帯用においセンサを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の携帯用においセンサにおいては、電極を有
する他ににおいに対して吸着性を有するポリビニルアセ
テート、ポリブチレンアジペート、ポリハイドロキシビ
ニルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリフェニル
レンオキシド、ポリビニルブチラール、ポリイオンコン
プレックス、ポリカプロラクトンなどの1つまたはそれ
らの混合物からなる高分子薄膜をコーティングした第1
の水晶振動子と、前記第1の水晶振動子と同一の計測環
境に配置され電極のみを有する第2の水晶振動子と、前
記第1の水晶振動子および第2の水晶振動子を独立し
かつあらかじめわずかに差のある周波数で発振させる水
晶発振回路と、これら2つの水晶振動子の発振周波数の
差周波数を取り出す回路とを具備し、一つの構成では、
該差周波数を通過させる帯域の狭いバンドパスフィルタ
と、該差周波数の透過量の大小を増幅または整流増幅す
る回路と、該増幅出力または整流増幅出力の大小を表示
素子の発光状態でまたは可動部材の振れで表示する表示
手段とを具備し、また、別の構成では、該差周波数を可
聴音域周波数に変換する回路と、該可聴音域周波数信号
を電力増幅する回路と、該電力増幅出力を可聴音に変換
する音響器とを具備することを特徴としている。
【0012】
【作用】本考案の携帯用においセンサでは、二つの水晶
振動子の一方に、各種のにおいに対して良好な吸着性を
有する上記高分子薄膜をコーティングし、これらの水晶
振動子を水晶発振回路で独立してかつあらかじめわずか
に差のある周波数で発振させ、この2つの発振周波数の
差周波数を電気的な回路で取り出す。この差周波数は、
の高分子薄膜へのにおい吸着量により感度良く変化し
下記の信号変換を容易にする。ここで、二つの水晶振動
子の差周波数をとることにより、温度変化や湿度変化等
のにおいの吸着以外の原因による周波数変化をキャンセ
ルし、計測場所による環境変化に対してより安定した動
作を可能にしている。以降、一つの構成では、差周波数
を帯域の狭いバンドパスフィルタで通過させて強度信号
に変換した後、その差周波数の透過量の大小を増幅また
は整流増幅して表示することにより、においの吸着量を
視覚的に知らせる。また、別の構成では、差周波数を可
聴音域周波数に変換し、におい吸着量を音の高低で知ら
せる。ここで、上記高分子薄膜は、各種のにおい物質に
対し異なる吸着性を有するため、音の高低等でにおいの
種別を判断することも可能となる。以上のように、本考
案の携帯用においセンサでは、加熱が必要でかつにおい
の対象が限定される酸化物半導体を使用せず一方の水晶
振動子に上記高分子薄膜をコーティングしたものを用い
と、および他方の水晶振動子には高分子薄膜をコー
ティングせず電極のみとして二つの水晶振動子を同一環
境に設置スペースをとらずに配置すること、上記二つの
水晶振動子にはあらかじめわずかに差のある周波数で発
振させておき両者の差周波数の変化を周波数カウンタ等
を必要とせずに計測することで、小型化,軽量化,低消
費電力化,安定化,高感度化を達成し、汎用的で携帯用
に好適なものにしている。
【0013】
【実施例】以下、本考案の実施例を、図面を参照して詳
細に説明する。
【0014】図1は発光ダイオードアレーをセンサ出力
とする本考案の第一の実施例の携帯用においセンサの構
成図であって、(a)は側面図、(b)は前面図であ
る。図において、1は水晶振動子、2はにおい吸着膜付
き水晶振動子、3は発振回路、4は周波数調整回路、5
は周波数混合回路、6は狭帯域バンドパスフィルタ、7
は増幅回路、8は整流回路、9はLED(発光ダイオー
ド)ドライバ、10はLEDアレー、11はLED調整
回路、12は吸引ファン、13はDCモータ、14はモ
ータタイマ回路、15は電源スイッチ、16はNiCd
バッテリ、17はACアダプタ端子を示す。本実施例の
大きさは、先端部直径18mm程度、バッテリ部直径3
2mm程度、長さ180mm程度に作製可能である。
【0015】図2はセンサ回路の回路構成を示すブロッ
ク図であり、3は発振回路、5は周波数混合回路、6は
狭帯域バンドパスフィルタ、7は増幅回路、8は整流回
路、9はLEDドライバ、10は4ドットLEDアレー
(正常値;緑色、第一レベル;オレンジ色、第2レベ
ル;赤色、第3レベル;赤色)、11はLED調整回路
である。
【0016】水晶振動子1は参照用であり、電極表面に
はにおい吸着剤は塗布していない。一方、水晶振動子2
はにおい吸着用であり、振動子表面には高分子被膜(ポ
リビニルアセテート,ポリブチレンアジペート,ポリハ
イドロキシルビニルセルロース,ポリビニルピロリド
ン,ポリフェニレンオキシド,ポリビニルブチラール,
ポリイオンコンプレックス,ポリカプロラクトンなどの
1つまたは混合物)を形成している。これらを2台の独
立した発振回路3で例えば60MHzで直接発振させ
る。この時、2つの発振周波数にはわずかな差があり、
この差分の変化を利用して、においの直接センシングを
行う。本実施例では、水晶振動子1を60.000MH
zで発振させ、水晶振動子2を60.455MHzで発
振させる。この2つの高周波をダブルバランスドミキサ
などの周波数混合回路5に入力し、2つの差周波数成分
を取り出す。この中の差周波数成分のみを狭帯域バンド
パスフィルタ6(中心周波数455KHz)で取り出
す。これを増幅回路7で増幅し、整流回路8で直流電圧
に変換する。
【0017】ここで、におい物質が水晶振動子1,2付
近に飛来した場合、水晶振動子2にのみにおいが吸着
し、水晶振動子2の振動数がにおいの吸着量に比例して
僅かに減少する。このとき、水晶振動子1は電極のみで
あるために、におい物質は吸着せず、発信周波数も変化
しない。従って、周波数混合器5からの差周波数は45
5KHzより低くなる。狭帯域バイドパスフィルタ6か
らの出力は帯域特性を関数として、周波数変化に応じて
減少することになる。この高周波出力を増幅器7,整流
回路8で直流に変換すると、におい吸着に伴う周波数変
化が直流電圧の変化として取り出せる。この直流出力を
電圧値が測定可能なLEDドライバ9に入力し、直流電
圧に変化によってLEDアレー10の複数個のLEDを
順次発光させ、においの存在および強弱をLEDの発光
状態(点灯色変化や点灯数変化等)で視覚的に示すこと
ができる。なお、LEDアレー10に代えて、数字表示
LED素子や可動部材を振れさせる小型メータ等を使用
して表示を行っても良い。小型メータ等が交流式であれ
ば、整流回路8は不要である。以下に、さらに具体的構
成例による動作例を詳しく述べる。
【0018】携帯においセンサの水晶振動子2に厚さ
0.5μmのポリカプロラクトンを被膜し、水晶振動子
1の銀電極の状態として、3次オーバートーンの発振を
行わせた。水晶振動子1の発振周波数を60.000M
Hzとし、水晶振動子2の発振周波数を60.455M
Hzとした。この状態でLEDアレー10の4つのLE
Dの中でにおいの無い状態を示す緑のLEDを発光させ
た。ここでDCモータ13を動かし、吸引ファン12を
回し、大気を水晶振動子1,2側に吸引した。吸引時間
はモータタイマ回路14でプリセットが可能であり、こ
こでは5秒とした。吸引ファン12を無臭の状態で5秒
間回しても、吸引前と同じ緑色のLEDが点灯してい
た。
【0019】次にT&Tオルファクトメータを用いて、
におい強度を補正した。この試験は人間の嗅覚障害を検
査する機器であり、5つのにおいの異なる試薬がにおい
強度を1桁づつ変えて試薬瓶に入ったものである。5つ
のにおいは、A:バラの花のにおい、B:焦げたカラメ
ルのにおい、C:汗くさいにおい、D:桃のにおい、
E:糞臭,口臭,いやなにおいである。携帯用においセ
ンサの最大値の校正は、T&TオルファクトメータA
2,B2,C2,D2,E2(嗅覚の正常な人間の嗅覚
閾値より100倍ににおい強度が強い)を用いて行っ
た。各瓶の蓋を取り、瓶口から3cmの距離に携帯用に
おいセンサの先端部を持って行き、吸引ファン12で5
秒間においを吸引した。この時、携帯用においセンサの
最大感度を示す赤色LEDが点灯するようにLED調整
回路11を用いて調整した。この操作で人間の嗅覚閾値
から2桁強い濃度を最大値とする携帯用においセンサの
校正が終了した。
【0020】このようににおいの感度が人間の嗅覚と同
程度に調整された携帯用においセンサを用いて、表1の
ようなにおいセンシングを行った。いずれも吸引ファン
12を用いた値である。結果は実用的ににおいが検出で
きることを示している。吸引ファン12を用いなくて
も、においの検出は可能であるが、におい強度レベルが
低下するとともに、応答時間が10倍程度長くなる。し
かし、長時間のバッテリ動作による携帯が必要な場合
は、消費電力の多い吸引ファン12による動作を必ずし
も必要としない。
【0021】
【表1】
【0022】次に、本考案の第二の実施例を示す。図3
は可聴音の周波数変化をセンサ出力とする本考案の第二
の実施例の携帯用においセンサの構成図であって、
(a)は側面図、(b)は前面図である。図において、
1は水晶振動子、2はにおい吸着膜付き水晶振動子、3
は発振回路、4は周波数調整回路、5は周波数混合回
路、18はローパスフィルタ、19は差周波数を可聴音
域の周波数に変換するための発振器、20は周波数混合
器、21は可聴音周波数域増幅器、22は音量調整回
路、23は電力増幅器、24はスピーカ、12は吸引フ
ァン、13はDCモータ、14はモータタイマ回路、1
5は電源スイッチ、16はNiCdバッテリ、17はA
Cアダプタ端子を示す。
【0023】図4は上記センサ回路の回路構成を示すブ
ロック図であり、3は発振回路、5は周波数混合回路、
18はローパスフィルタ、19は差周波数を可聴音域の
周波数に変換するための発振器、20は周波数混合器、
21は可聴音周波数域増幅器、22は音量調整回路、2
3は電力増幅器、24はスピーカである。本実施例の大
きさも、先端部直径18mm程度、バッテリ部直径32
mm程度、長さ180mm程度に作製可能である。
【0024】第一の実施例と同様に水晶振動子1は参照
用であり、電極表面にはにおい吸着剤は塗布していな
い。一方、水晶振動子2はにおい吸着用であり、振動子
表面には高分子被膜(ポリビニルアセテート,ポリブチ
レンアジペート,ポリハイドロキシルビニルセルロー
ス,ポリビニルピロリドン,ポリフェニレンオキシド,
ポリビニルブチラール,ポリイオンコンプレックス,ポ
リカプロラクトンなどの1つまたは混合物)を形成して
いる。これらを2台の独立した発振回路3で、例えば6
0MHzで直接発振させる。この時、2つの発振周波数
にはわずかな差があり、この差分の変化を利用して、に
おいの直接センシングを行う。ここでは、一例として水
晶振動子1を60.000MHzで発振させ、水晶振動
子2を60.455MHzで発振させる。この2つの高
周波をダブルバランスドミキサなどの周波数混合回路5
に入力し、2つの差周波数成分を取り出す。この中の差
周波数成分のみをローパスフィルタ(遮断周波数1MH
z)18で取り出す。19の発振器を454.5KHz
で発振させ、これを周波数混合器20に入力し、可聴音
域周波数のみ増幅器21に入力する。音量調整回路22
を通して、電力増幅器23に入力し、これをスピーカ2
4で可聴音として取り出す。においが吸着して水晶振動
子2の周波数が変化すると、この周波数変化に応じて、
可聴音の周波数は変化し、においの吸着量が直接、音の
周波数変化として取り出せる。なお、上記のスピーカ2
4に代えて、イヤホンや圧電素子等の他の音響器を用い
ても良い。以下に、さらに具体的構成例による動作例を
詳しく述べる。
【0025】携帯においセンサの水晶振動子2に厚さ
0.5μmのポリカプロラクトンを被膜し、水晶振動子
1の銀電極の状態として、3次オーバートーンの発振を
行わせた。水晶振動子1の発振周波数を60.000M
Hzとし、水晶振動子2の発振周波数を60.455M
Hzとした。においの無い状態でスピーカ24から出る
音の高さは500Hzになるように発振器19の周波数
を調整し、音量調整回路22で適当な音量に調整した。
ここでDCモータ13を動かし、吸引ファン12を回
し、大気を水晶振動子1,2側に吸引した。吸引時間は
モータタイマ回路14でプリセットが可能であり、ここ
では第一の実施例と同様に5秒とした。吸引ファンを無
臭の状態で5秒間回しても、音の周波数は変化せず、に
おいの無い状態を表していた。
【0026】次に第一の実施例と同様にT&Tオルファ
クトメータを用いて、におい強度を補正した。校正に用
いたT&Tオルファクトメータは正常な嗅覚の持ち主の
嗅覚閾値より100倍におい強度の大きな試薬瓶A2,
B2,C2,D2,E2を用いて行った。各瓶の蓋を取
り、瓶口から3cmの距離に携帯用においセンサの先端
部を持って行き、吸引ファン12で5秒間においを吸引
した。この時、携帯用においセンサの音の高さはA2で
3KHz、B2で3.5KHz、C2で2.8KHz、
D2で2.6KHz、E2で3KHzと高くなった。こ
れで人間の嗅覚閾値から2桁強い濃度をにおいがセンサ
ヘッドに吸引された時に、500Hzから3000Hz
まで音の周波数が高くなる可聴音周波数変化型携帯用に
おいセンサができた。
【0027】このように、においの感度が人間の嗅覚と
同程度な可聴音周波数変化型の携帯用においセンサを用
いて、表2のようなにおいセンシングを行った。いずれ
も吸引ファンを用いた値である。結果は、実用的ににお
いを検出できることを示している。吸引ファンを用いな
くてもにおいの検出は可能であるが、におい強度レベル
が低下するとともに、応答時間が10倍程度長くなる。
しかし、長時間のバッテリ動作による携帯が必要な場合
は消費電力の多い、吸引ファンによる動作を必ずしも必
要としない。
【0028】第一の実施例に比べて、この携帯用におい
センサは、肉眼で他の業務を行っている時でも可聴音に
よる変化でにおいの変化を捕らえることができる利点が
ある。可聴音の発生時間はモニタしたい時だけ音が出る
ようにしてある。吸引ファンを用いるときはファンと連
動してモニタ音が出る。
【0029】
【表2】
【0030】次に本考案の第三の実施例を示す。図5は
発光ダイオードアレーの点灯色変化と可聴音の周波数変
化の2つのセンサ出力を有する本考案の第三の実施例の
携帯用においセンサの構成図であって、(a)は側面
図、(b)は前面図である。図において、1は水晶振動
子、2はにおい吸着膜付き水晶振動子、3は発振回路、
4は周波数調整回路、5は周波数混合回路、6は狭帯域
バンドパスフィルタ、7は増幅回路、8は整流回路、9
はLEDドライバ、10はLEDアレー、11はLED
調整回路、12は吸引ファン、13はDCモータ、14
はモータタイマ回路、15は電源スイッチ、16はNi
Cdバッテリ、17はACアダプタ端子、18はローパ
スフィルタ、19は差周波数を可聴音域の周波数に変換
するための発振器、20は周波数混合器、21は可聴音
周波数域増幅器、22は音量調整回路、23は電力増幅
器、24はスピーカを示す。本実施例の大きさも、先端
部直径18mm程度、バッテリ部直径32mm程度、長
さ180mm程度に作製可能である。ただし、第一の実
施例および第二の実施例に比べて32mmφの部分が長
くなっている。
【0031】図6はセンサ回路の回路構成を示すブロッ
ク図であり、3は発振回路、5は周波数混合回路、6は
狭帯域バンドパスフィルタ、7は増幅回路、8は整流回
路、9はLEDドライバ、10は4ドットLEDアレー
(正常値;緑色、第一レベル;オレンジ色、第2レベ
ル;赤色、第3レベル;赤色)、11はLED調整回
路、18はローパスフィルタ、19は差周波数を可聴音
域の周波数に変換するための発振器、20は周波数混合
器、21は可聴音周波数域増幅器、22は音量調整回
路、23は電力増幅器、24はスピーカである。
【0032】第一の実施例,第二の実施例と同様に水晶
振動子1は参照用であり、電極表面にはにおい吸着剤は
塗布していない。一方、水晶振動子2はにおい吸着用で
あり、振動子表面には高分子被膜(ポリビニルアセテー
ト,ポリブチレンアジペート,ポリハイドロキシルビニ
ルセルロース,ポリビニルピロリドン,ポリフェニレン
オキシド,ポリビニルブチラール,ポリイオンコンプレ
ックス,ポリカプロラクトンなどの1つまたは混合物)
を形成している。これらを2台の独立した発振回路3で
60MHzで直接発振させる。この時、2つの発振周波
数にはわずかな差があり、この差分の変化を利用して、
においの直接センシングを行う。ここでは、一例として
水晶振動子1を60.000MHzで発振させ、水晶振
動子2を60.455MHzで発振させる。この2つの
高周波をダブルバランスドミキサなどの周波数混合回路
5に入力し、2つの差周波数成分を取り出す。
【0033】発光ダイオードでにおいの強度を示す方法
は第一の実施例と同様な方法で、また可聴音の周波数変
化でにおいの強弱を示す方法は第二の実施例と同様に行
う。LEDの発光状態および可聴音の周波数偏移の最大
値は人間の正常嗅覚閾値のおよそ100倍のにおい強度
を指標とするために、T&TオルファクトメータA2,
B2,C2,D2,E2を用いて行った。この携帯用に
おいセンサでは視覚と聴覚の両方によってセンサ情報を
表現できるから、におい強度を騒音の激しい場所では発
光ダイオードにより、視覚が他の業務で使用できないと
きは可聴音の周波数変化により確実にセンシングするこ
とが可能である。実際の実施例は、第一実施例と第二実
施例の結果を合わせたものと等しくなった。
【0034】以上に述べた本考案の実施例の携帯用にお
いセンサでは、水晶振動子1に対し温度変化等のにおい
の吸着以外の原因による周波数変化をキャンセルするた
めの補償用に水晶振動子2を加えたデュアルヘッド構成
としている。これにより、計測場所による環境変化に対
してより安定した動作が可能となる。このデュアルヘッ
ドの差周波数の変化を、狭帯域バンドパスフィルタと整
流回路で直流電圧の変化に直接変換してLEDの発光状
態で知らせるか、または可聴音域周波数に変換してし音
で知らせるかして、従来の周波数カウンタ方式を採らな
い。この結果、周波数カウンタを利用しないために小型
化,軽量化,低消費電力化が達成される。また、このよ
うに周波数変化に相当する直流電圧をLEDの点灯や音
の高低で知らせるために、周波数の数字表示で知らせる
従来の方式に比べて、においの相対濃度を視覚的にある
いは聴覚的に表示でき、携帯用により便利になってい
る。さらに、においを吸引ファンで集めるために計測時
間が短く、携帯作業が迅速に行えるために便利である。
以上により、本考案では、水晶振動子方式のにおいセン
サの長所を十分に生かした携帯に便利な低消費電力,小
型な携帯用においセンサを実現している。
【0035】
【考案の効果】以上の説明で明らかなように、本考案の
携帯用においセンサは、従来の携帯用においセンサに比
べて、センサ出力を視覚的な表示あるいは可聴音の周波
数変化すなわち音の高低とし、従来の周波数カウンタを
用いないために、大きさが小さくなり、しかも携帯に便
利な低消費電力型になり、非常に携帯に便利になる利点
がある。
【0036】この結果、本実施例の携帯用においセンサ
は各種香りにおい製品の最終検査,嗅覚障害者用携帯用
センサ,オフィス環境計測,悪臭腐敗臭検出等の携帯形
の随時計測器として広く応用できる利点がある。さら
に、本考案の携帯用においセンサは、センサ出力が視覚
的表示あるいは可聴音の周波数変化であるために、騒音
の多い場所,暗い場所,センサ出力を見ることのできな
い作業など幅広い作業環境に適応できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は本考案の第一の実施例を示す
発光ダイオードアレーをセンサ出力とする携帯用におい
センサの構成図
【図2】上記第一の実施例の回路構成を示すブロック図
【図3】(a),(b)は第二の実施例を示す可聴音の
周波数変化をセンサ出力とする携帯用においセンサの構
成図
【図4】上記第二の実施例の回路構成を示すブロック図
【図5】(a),(b)は第三の実施例を示す発光ダイ
オードアレーの点灯状態と可聴音の周波数変化の二つの
センサ出力を有する携帯用においセンサの構成図
【図6】上記第三の実施例の回路構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…水晶振動子 2…におい吸着膜付き水晶振動子 3…発振回路 5…周波数混合回路 6…狭帯域バンドパスフィルタ 7…増幅回路 8…整流回路 9…LEDドライバ 10…LEDアレー 12…吸引ファン 13…DCモータ 16…NiCdバッテリ 18…ローパスフィルタ 19…差周波数を可聴音域の周波数に変換するための発
振器 20…周波数混合器 21…可聴音周波数域増幅器 23…電力増幅器 24…スピーカ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−50637(JP,A) 特開 平2−206742(JP,A) 特開 平2−293644(JP,A) 特開 平3−215731(JP,A) 特開 昭56−166448(JP,A) 特開 昭57−64890(JP,A) 実開 平2−89353(JP,U)

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を有する他ににおいに対して吸着性
    を有するポリビニルアセテート、ポリブチレンアジペー
    ト、ポリハイドロキシビニルセルロース、ポリビニルピ
    ロリドン、ポリフェニルレンオキシド、ポリビニルブチ
    ラール、ポリイオンコンプレックス、ポリカプロラクト
    ンなどの1つまたはそれらの混合物からなる高分子薄
    をコーティングした第1の水晶振動子と、前記第1の水
    晶振動子と同一の計測環境に配置され電極のみを有する
    第2の水晶振動子と、前記第1の水晶振動子および第2
    の水晶振動子を独立してかつあらかじめわずかに差のあ
    る周波数で発振させる水晶発振回路と、これら2つの水
    晶振動子の発振周波数の差周波数を取り出す回路と、該
    差周波数を通過させる帯域の狭いバンドパスフィルタ
    と、該差周波数の透過量の大小を増幅または整流増幅す
    る回路と、該増幅出力または整流増幅出力の大小を表示
    素子の発光状態でまたは可動部材の振れで表示する表示
    手段とを具備することを特徴とする携帯用においセン
    サ。
  2. 【請求項2】 電極を有する他ににおいに対して吸着性
    を有するポリビニルアセテート、ポリブチレンアジペー
    ト、ポリハイドロキシビニルセルロース、ポリビニルピ
    ロリドン、ポリフェニルレンオキシド、ポリビニルブチ
    ラール、ポリイオンコンプレックス、ポリカプロラクト
    ンなどの1つまたはそれらの混合物からなる高分子薄
    をコーティングした第1の水晶振動子と、前記第1の水
    晶振動子と同一の計測環境に配置され電極のみを有する
    第2の水晶振動子と、前記第1の水晶振動子および第2
    の水晶振動手を独立してかつあらかじめわずかに差のあ
    る周波数で発振させる水晶発振回路と、これら2つの水
    晶振動子の発振周波数の差周波数を取り出す回路と、該
    差周波数を可聴音域周波数に変換する回路と、該可聴音
    域周波数信号を電力増幅する回路と、該電力増幅出力を
    可聴音に変換する音響器と、を具備することを特徴とす
    る携帯用においセンサ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の携帯用
    においセンサの本体中央部を長くして、測定対象のにお
    いを第1および第2の水晶振動子に向けて強制吸引する
    吸引ファン付き小型モータを設置したことを特徴とする
    携帯用においセンサ。
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