JP2557774B2 - カートリッジ式加熱壁を持つ石炭乾留炉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は加熱壁面の交換が容易に
変更することが可能なカートリッジ式加熱壁を持つ石炭
乾留炉に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の石炭乾留炉においては、一度構築
した加熱壁の取替えは煉瓦解体を前提とした方式によっ
てのみ取替えが可能であり、そのために交換効率が悪
く、更には補修コストの大幅な増大、特に試験炉にあっ
ては、試験効率が非常に悪いという問題がある。また、
解体後の煉瓦積み替えでは解体前の乾留炉内空間距離を
再現することは極めて難しく、そのために試験炉にあっ
ては、試験精度の低下を招くという問題がある。これら
に関連として、実開昭５９−１５３３４６号公報などが
知られている。この実用新案公報にあっては、内部を貫
通孔の設けられた仕切板で上下２室に分割し、上室には
セラミック製粒状物を充填すると共に下室には試料石炭
を充填するようにした円筒状乾留管と該乾留管を内装す
る加熱炉とよりなり、更に該加熱炉には乾留管の上室、
下室をそれぞれ別個に加熱する発熱体を備えてなる試験
用加熱炉にある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の固定式の石炭乾留炉にあっては、加熱壁を取替えるた
めの交換効率が極めて悪く、かつ補修コストの大幅な増
大という問題があり。また、実開昭５９−１５３３４６
号公報にあっては試験用乾留炉として、簡易な装置では
あるが、しかし、断熱部材によるもので実炉にはほど遠
い装置であって実炉試験のための装置には適合しないと
いう問題がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記したような問題を解
消するべく、鋭意研究を重ねた結果、実炉と同一条件で
の試験炉において、任意の煉瓦及びモルタル材質、鋼材
等の炉壁材質並びに厚さを容易に変化させることが可能
な石炭乾留炉を提供せんとするものである。その発明の
要旨とするところは、乾留室加熱壁を構成する煉瓦構造
をカートリッジ組み替えとする炉壁構造とし、乾留室内
の気密性を保持するシール構造にて、任意の煉瓦及びモ
ルタル材質、鋼材等の炉壁材質並びに厚さの選定を自在
に可能としたことを特徴とするカートリッジ式加熱壁を
持つ石炭乾留炉にある。

【０００５】以下本発明について実施例である図面に基
づいて詳細に説明する。図１は本発明に係るカートリッ
ジ組替方式の石炭乾留炉側面断面図である。図１に示す
ように床面上に支持架台１を設置し、該支持架台１上に
左右に脱着可能な脱着炉蓋２を上下に設けた組替炉壁部
３に装着させて乾留室を形成する。この乾留室上部に石
炭装入ホッパー４を設けて該石炭装入ホッパー４より石
炭を装入する。また、乾留室内の石炭を乾留加熱するた
めの炉壁加熱体５を組替炉壁部３に多数配置し、この炉
壁加熱体５によって乾留室内を高温加熱して乾留するも
のである。一方乾留室内に貫通するように発生ガス抽出
管６を設けて石炭を乾留したときに発生するガスを排出
させるものである。

【０００６】図２は図１のカートリッジ組替方式の石炭
乾留炉平面図である。図２に示すように左右両側面に脱
着炉蓋２をその両側面に組替炉壁部３を設け、該組替炉
壁部３の内部に多数の炉壁加熱体５を内蔵させている。
図３は本発明に係る乾留炉における組替炉壁部を示す平
面図である。乾留室内には石炭層６を形成させ両側面の
炉体７の乾留室内側にカートリッジ式の組替炉壁部３に
内蔵させた炉壁加熱体５から加熱されて石炭層６を乾留
するものである。

【０００７】図４は本発明に係るカートリッジ組替方式
炉壁構造を示す断面図である。図４（Ａ）は一体型炉壁
を示す断面図であり、図４（Ｂ）は分割型炉壁を示す断
面図である。すなわち、図４（Ａ）に示すように通常の
炉材８の内側面に一体型炉壁材９を用いたものであり、
図４（Ｂ）に示す内側面に使用する煉瓦は凹状煉瓦１０
と凸状煉瓦１１を組合わせて一体の内側面を形成するも
のである。本発明に用いる煉瓦はこのいずれかをも試験
可能に構成することが出来る。図５は本発明に係る組替
炉壁部シール構造を示す断面図である。この部分は図３
に示す組替炉壁部３の取替部１２に当たり、カートリッ
ジ組替方式であることから組替ごとに完全なシール構造
が必要である。そのためにシール部にセラミックブラケ
ット等のシール材１３を装着し、乾留室内の気密性を完
全に保持することが出来るものである。

【０００８】このような加熱壁部煉瓦構造を簡易交換可
能なカートリッジ方式にし、かつ、このような煉瓦構造
において、乾留室内気密性をもつシール構造にしたこと
によって、予め一体加工構築している煉瓦幅寸法及び材
質等の違う加熱壁を迅速かつ簡便に交換することが出来
るため、各種煉瓦の状況に応じた実炉試験と同等の精度
の高い試験が可能となった。

【０００９】

【実施例】本発明の装置による乾留試験方法の具体例及
び効果について実施例をもって説明する。乾留室内に石
炭層を装入し、カートリッジ組替方式の炉壁に内蔵させ
た炉壁加熱体によって乾留され、このとき発生するガス
は発生ガス抽出管より排出される。このように本発明装
置を採用することによって、各種炉壁材質または厚さを
変えて乾留する実験が容易に可能となった。

【００１０】

【発明の効果】以上述べたように、加熱壁煉瓦の一体化
交換方式を採用することにより、乾留炉加熱壁煉瓦の解
体並びに再構築の無駄を省き、かつ変更毎の寸法バラツ
キに起因する試験精度の低下を完全に回避することが出
来、実炉と同一条件による各種の試験が可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るカートリッジ組替方式の石炭乾留
炉側面断面図

【図２】カートリッジ組替方式の石炭乾留炉平面図

【図３】本発明に係る乾留炉における組替炉壁部を示す
平面図

【図４】本発明に係るカートリッジ組替方式炉壁構造を
示す断面図

【図５】本発明に係る組替炉壁部シール構造を示す断面
図である。

【符号の説明】

１ 支持架台 ２ 脱着炉蓋 ３ 組替炉壁部 ４ 石炭装入ホッパー ５ 炉壁加熱体 ６ 発生ガス抽出管 ７ 炉体 ８ 炉壁支持部材 ９ 一体型炉壁 １０ 凹状煉瓦 １１ 凸状煉瓦 １２ 取替部 １３ シール材料

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乾留室加熱壁を構成する煉瓦構造をカー
   トリッジ組み替えとする炉壁構造とし、乾留室内の気密
   性を保持するシール構造にて、任意の炉壁材質並びに厚
   さの選定を自在に可能としたことを特徴とするカートリ
   ッジ式加熱壁を持つ石炭乾留炉。