JP2557103B2 - 固液分離方法および固液分離装置 - Google Patents

固液分離方法および固液分離装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、固液分離方法および固液分離装置に関し、
詳細には、溶解性固相分を含む固液混合体を対象とする
固液分離方法および固液分離装置に関する。
(従来の技術) 固液混合体には、温度や固相分濃度の変化により、固
相分が溶解又は析出するもの、即ち、溶解性固相分を含
む固液混合体(以降、溶解性固液混合体という)と、固
相分が溶解及び析出しないもの(以降、不溶性固液混合
体という)とがある。例えば、冷却晶析法により得られ
る固液混合体が前者に相当し、汚泥水が後者に相当す
る。本発明は前者の溶解性固液混合体を対象とする。従
来、この溶解性固液混合体についての固液分離は、真空
濾過機や遠心分離機を用いて行われている。
(発明が解決しようとする課題) 上記真空濾過機や遠心分離機を用い、溶解性固液混合
体の固液分離を行うと、固液混合体中の固相分はケーキ
状固形物(以降、ケーキという)となり、液体と分離さ
れて得られる。ところが、固体分離の際に液体が固相粒
子間に閉じ込められ易く、そのためケーキ中には比較的
多量の液体が残留している。この液体は固相分以外の成
分を多量に含むものである。故に、得られるケーキの純
度が低いという欠点がある。
そこで、かかるケーキ純度の向上を図るため、溶解性
固液混合体についての固液分離を種々検討したところ、
管状加圧濾過機を用いて固液分離を行うと、液体が固相
粒子間に閉じ込められ難く、ケーキ中の液体の含有率
(以降、含液率という)を確実に小さくし得、その結果
ケーキ純度を高め得る事が判った。
即ち、従来汚泥水などの不溶性固液混合体の固液分離
に使用されている管状加圧濾過機を用い、該管状加圧濾
過機の内室(濾過材で外周面が覆われた内側管状体と弾
性不透過膜との間に形成された環状の内室)に溶解性固
液混合体を供給し、次いで外室(前記不透過膜と外側管
状体との間に形成された環状の外室)に加圧流体を導入
して内室内固液混合体を加圧し、濾過材を介して小孔か
ら固液混合体中の液体を排出し、濾過材上に固相分のケ
ーキを形成した後、外室から加圧流体を抜出し、内室か
らケーキを取出した。該ケーキ取出し後、上述の固液混
合体供給からケーキ取出しに至る工程を繰り返した。そ
の結果、ケーキの含液率が極めて小さく、ケーキ純度を
高め得る事が確認された。従って、管状加圧濾過機は、
含液率の低下或いは排出液体量の増大が要求される場
合、中でもケーキ純度向上のため含液率の極低下が要求
される場合の固液分離に好適な固液分離装置である。
しかしながら、上記工程の繰り返し数が多くなると、
上記含液率の低下の度合いが小さくなり、遂には真空濾
過機や遠心分離機による場合とほぼ同水準の含液率にま
で上昇するという問題点があることも判った。この原因
を調べたところ、工程繰り返し数が多くなると、固相粒
子による濾過材の目詰まりが生じて濾過機能が低下し、
その結果残留液体量が増大してくるためである事が確認
された。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであっ
て、その目的は上記の如き管状加圧濾過機での工程繰り
返しに伴う濾過機能の低下という問題点を解決し、真空
濾過機や遠心分離機による場合に比較して、常に得られ
るケーキの含液率を低く、純度を高くし得る固液分離方
法および固液分離装置を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するために、本発明に係る固液分離
装置は次のような構成としている。
即ち、第1請求項に記載の固液分離方法は、管状加圧
濾過機により溶解性固相分を含有する固液混合体を固液
分離するに際し、濾過材で外周面が覆われた内側管状体
と弾性不透過膜との間に形成された環状の内室に、固液
混合体を供給する工程と、前記不透過膜と外側管状体と
の間に形成された環状の外室に加圧流体を導入して前記
内室内固液混合体を加圧し、濾過材を介して液体を排出
し、濾過材上に固体状ケーキを形成する工程と、外室か
ら加圧流体を抜出し、内室からケーキを取出す工程とを
繰返すと共に、濾過材の目詰りの検知を行い、目詰りが
検知された場合は、ケーキ取出し後固液混合体供給前の
間に、濾過材洗浄を行う固液分離方法であって、固液混
合体中の固体に対し溶解性を有する洗浄物質を濾過材に
接触させて、前記濾過材洗浄を行うことを特徴とする固
液分離方法である。
第2請求項に記載の固液分離方法は、前記濾過材への
洗浄物質の接触を、前記洗浄物質を濾過材へ吹きつける
事により行う第1請求項に記載の固液分離方法である。
第3請求項に記載の固液分離方法は、前記洗浄物質が
固液混合体または前記排出された液体である第1請求項
に記載の固液分離方法である。
第4請求項に記載の固液分離方法は、前記固液混合体
が有機物であり、前記洗浄物質として有機溶剤を用いる
第1請求項に記載の固液分離方法である。
第5請求項に記載に固液分離方法は、前記有機溶剤で
濾過材洗浄後、濾過材に残留する有機溶剤を固液混合体
または前記排出された液体で置換する第4請求項に記載
の固液分離方法である。
第6請求項に記載の固液分離方法は、前記有機溶剤が
揮発性有機溶剤である第4請求項に記載の固液分離方法
である。
第7請求項に記載の固液分離方法は、前記濾過材洗浄
後、濾過材を加熱する第1請求項に記載の固液分離方法
である。
第8請求項に記載の固液分離装置は、である。換言す
ると、該装置は従来の管状加圧濾過機に濾過材への洗浄
物質の吹きつけ手段を付設したものである。
(作 用) 本発明に係る固液分離方法は、以上説明したように、
溶解性固液混合体供給からケーキ取出しに至る工程を繰
返すと共に、濾過材の目詰りの検知を行い、目詰りが検
知された場合は、ケーキ取出し後固液混合体供給前の間
に、固液混合体中の固体に対し溶解性を有する洗浄物質
を濾過材に接触させて、濾過材洗浄を行うようにしてい
る。
上記洗浄物質は濾過材に接触するので、濾過材の目に
詰まっている固相粒子(以降、目詰り粒子という)とも
接触する。該目詰り粒子は、固液混合体中に存在してい
た固体又は該混合体中液体から析出した固体である。故
に、該目詰り粒子は上記洗浄物質に溶解し、そのため濾
過材から除去され得る。該除去は目詰りが検知された場
合に行われる。従って、工程繰り返しに伴う濾過機能の
低下という問題点を解決し、真空濾過機や遠心分離機に
よる場合に比較して、常に得られるケーキの含液率を低
く、純度を高くし得るようになる。
前記濾過材への洗浄物質の接触を、前記洗浄物質を濾
過材へ吹きつけて行う事が望ましい。該吹きつけによ
り、上記目詰り粒子を溶解・除去する作用の他に、機械
的に洗い流して除去する作用が加わり、より目詰り粒子
除去が促進されるようになるからである。
前記洗浄物質としては、固液混合体または前記固液分
離の排出工程で回収される液体(以降、固液混合体相当
液という)を使用する事が望ましい。洗浄後濾過材に残
留し、固液分離の排出工程で排出液中に混入しても、そ
の液の純度が低下しないからである。
固液分離対象の固液混合体が有機物である場合は、目
詰り粒子の溶解性の向上の観点から、前記洗浄物質とし
て有機溶剤を使用するのがよい。
かかる有機溶剤を使用する場合、固液分離の排出工程
で得られる排出液の純度をより向上させるためには、濾
過材洗浄後濾過材に残留する有機溶剤を固液混合体相当
液で置換する事が望ましい。又は前記有機溶剤として揮
発性のものを使用するか、洗浄後濾過材を加熱する事が
望ましい。
本発明に係る固液分離装置は、従来の管状加圧濾過機
に濾過材への洗浄物質の吹きつけ手段を付設するように
しているので、前記の如き濾過材への洗浄物質の吹きつ
けを行う事ができる。故に、目詰り粒子の除去をし得る
ようになる。このとき該吹きつけの圧力を高くすると、
より該除去が促進される。その結果洗浄時間を短縮し得
るようになる。
上記吹きつけ手段に関しては、第2図に示す如く、内
部に環状の密閉空間(2)を有する管状体(3)と、該
管状体(3)に付設された流体導入口(4)と、該該管
状体の内面側に付設された多数のスプレーノズル(15)
とで形成された吹きつけ装置(1)を使用するのがよ
い。かかる吹きつけ装置(1)は、外側管状体を不透過
膜と共に、軸線方向に移動させて内側管状体から遠ざ
け、ケーキを取出した後、内側管状体の周りに配置する
事ができる。該配置後、洗浄物質を前記流体導入口
(4)から管状体内部(環状の密閉空間(2))に導入
すると、洗浄物質がスプレーノズル(15)から噴出し、
濾過材の全面に吹きつけられ、そのため濾過材全体をよ
く洗浄し得るようになる。
(実施例) 実施例1 第1図に、実施例1に係る固液分離装置の概要図(側
断面図)を示す。本装置は、管状加圧濾過機(6)に、
濾過材への洗浄物質の吹きつけ手段(図示していない)
が付設されたものである。
管状加圧濾過機(6)は、周壁貫通孔(5)を有する
内側管状体(7)と、濾過材(8)と、外側管状体
(9)と、弾性の不透過膜(10)と、加圧手段(13)
と、固液混合体の供給手段(14)と、内側管状体(7)
を軸方向に駆動させる手段(図示されていない)とを有
し、膜(10)と外側管状体(9)との間に外室(11)が
形成され、膜(10)と濾過材(8)との間に内室(12)
が形成されている。
上記吹きつけ手段は前述の第2図で説明した吹きつけ
装置(1)(即ち、多数のスプレーノズル(15)を有す
るもの)を使用した。
先ず、P−クルゾールの成分を61%,m−クレゾールの
成分を39%含む原料液であって、室温でP−及びm−ク
レゾールの結晶が混在しているものを、15℃に加熱して
全てを液体とした後、2.5℃まで徐冷してP−クレゾー
ル結晶のみの析出を目的とする冷却晶析を行い、固液混
合体を得た。尚、室温は、2℃であった。
次いで、上記固液混合体を内室(12)に供給し、外室
(11)に加圧流体を導入して内室(12)の固液混合体を
加圧し、液体を排出してケーキを形成した後、外室(1
1)から加圧流体を抜出し、続いて内側管状体(7)を
下降させ、内側管状体(7)の小孔から空気を噴出させ
て内室(12)からケーキを取出した。
該ケーキ取出し後、上述の固液混合体供給〜ケーキ取
出しの工程を繰返すと共に、濾過材の目詰りの検知を行
い、目詰りが検知された場合は、ケーキ取出し後固液混
合体供給前の間に、濾過材洗浄を行った。この洗浄は、
前記吹きつけ手段を内側管状体(7)の周りに配置し、
洗浄物質(:m−クレゾール)をスプレーノズル(15)か
ら濾過材全面に吹きつけて行った。
その結果、工程繰り返し数が多くなった時点でも、工
程繰り返し数が少ない時と同様、濾過機能が高く維持さ
れ、排出される液体量が多く、ケーキの含液率は低水準
であり、純度は高水準であった。即ち、ケーキ中のP−
クレゾールの割合(ケーキ純度)は、工程繰り返し数に
関係なく、常に、92%であった。
実施例2 濾過材の洗浄物質としてアセトンを用いた。この点を
除き、実施例1と同様の装置を用い、同様の方法で固液
混合体の固液分離を行った。
その結果、工程繰り返し数に関係なく常に、濾過機能
が高く維持され、ケーキ含液率は低水準であり、ケーキ
純度は93%であった。洗浄時間は実施例1の場合より短
縮された。
比較例1 本比較例は濾過材への洗浄物質の吹きつけ手段(1)
が付設されていない従来型の管状加圧濾過機を使用し
た。この点を除き、実施例1と同様の装置を用い、同様
の方法で固液混合体の固液分離を行った。即ち、濾過材
の洗浄は行わなかった。
その結果、工程繰り返し数:7回の時点で、濾過機能が
著しく低下し、排出液体量が少なくなり、ケーキの含液
率は後述の真空濾過機による場合と同様の水準にまで上
昇し、そのときのケーキ純度は80.0%であった。尚、こ
れ以降は益々ケーキ純度低下の程度が大きくなった。
比較例2 実施例1の場合と同様の固液混合体を、真空濾過機に
供給し、固液分離した。ケーキ純度は80.0%であった。
室温は2℃であった。
以上のことは、本発明に係る固液分離方法および装置
によれば、真空濾過機や遠心分離機等の従来装置による
場合に比較して、常に得られるケーキの含液率を低く、
純度を高くし得ることを裏付けている。
(発明の効果) 本発明に係る装置によれば、溶解性固液混合体の固液
分離に際し、真空濾過機や遠心分離機等の従来装置によ
る場合に比較して、常に、得られるケーキの含液率を低
く、純度を高くし得るようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1に係る固液分離装置の概要を示す側断
面図、第2図は濾過材への洗浄物質の吹きつけ装置を示
す側断面図である。 (1)……濾過材への洗浄物質の吹きつけ装置、(2)
……環状の密閉空間、(3)……管状体、(4)……流
体導入口、(5)……周壁貫通孔、(6)……管状加圧
濾過機、(7)……内側管状体、(8)……濾過材、
(9)……外側管状体、(10)……弾性の不透過膜、
(11)……外室、(12)……内室、(13)……加圧手
段、(14)……固液混合体の供給手段、(15)……スプ
レーノズル
フロントページの続き (72)発明者 ▲吉▼田 紳吾 兵庫県神戸市灘区篠原伯母野山町2―3 ―1 (72)発明者 永岡 浩一 兵庫県神戸市須磨区一ノ谷町1―1―9 ―303

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管状加圧濾過機により溶解性固相分を含有
    する固液混合体を固液分離するに際し、濾過材で外周面
    が覆われた内側管状体と弾性不透過膜との間に形成され
    た環状の内室に、固液混合体を供給する工程と、前記不
    透過膜と外側管状体との間に形成された環状の外室に加
    圧流体を導入して前記内室内固液混合体を加圧し、濾過
    材を介して液体を排出し、濾過材上に固体状ケーキを形
    成する工程と、外室から加圧流体を抜出し、内室からケ
    ーキを取出す工程とを繰返すと供に、濾過材の目詰りの
    検知を行い、目詰りが検知された場合は、ケーキ取出し
    後固液混合体供給前の間に、濾過材洗浄を行う固液分離
    方法であって、固液混合体中の固体に対し溶解性を有す
    る洗浄物質を濾過材に接触させて、前記濾過材洗浄を行
    うことを特徴とする固液分離方法。
  2. 【請求項2】前記濾過材への洗浄物質の接触を、前記洗
    浄物質を濾過材へ吹きつける事により行う第1請求項に
    記載の固液分離方法。
  3. 【請求項3】前記洗浄物質が固液混合体または前記排出
    された液体である第1請求項に記載の固液分離方法。
  4. 【請求項4】前記固液混合体が有機物であり、前記洗浄
    物質として有機溶剤を用いる第1請求項に記載の固液分
    離方法。
  5. 【請求項5】前記有機溶剤で濾過材洗浄後、濾過材に残
    留する有機溶剤を固液混合体または前記排出された液体
    で置換する第4請求項に記載の固液分離方法。
  6. 【請求項6】前記有機溶剤が揮発性有機溶剤である第4
    請求項に記載の固液分離方法。
  7. 【請求項7】前記濾過材洗浄後、濾過材を加熱する第1
    請求項に記載の固液分離方法。
  8. 【請求項8】周壁を貫通する多数の小孔を設けた内側管
    状体と、該内側管状体の外周面を覆って配置した濾過材
    と、該内側管状体のまわりに配置して該内側管状体との
    間に環状の密閉空間を形成する外側管状体と、これら内
    外の管状体の間に設けて前記環状密閉空間を二つの室に
    分けている弾性の不透過膜と、該不透過膜と前記外側管
    状体との間の外室に加圧流体を導入して該不透過膜を内
    側管状体に向かって変位させる加圧手段と、該不透過膜
    と前記内側管状体との間の内室に固液混合体を供給する
    手段と、前記内外の管状体間に軸線方向の相対変位を生
    じさせる駆動機構とを有し、さらに前記濾過材への洗浄
    物質の吹きつけ手段を有することを特徴とする固液分離
    装置。
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