JP2556824B2 - 物流用リールとその構成体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中心部に形成された軸
穴をもつ一対２枚のフランジ体と、これら両フランジ体
間の中間部分に設けられたドラム体とからなり、このド
ラム体にテープ状、線状、チエン状等の可撓性のある長
尺物を巻回して運搬し、使用現物において中心部の軸穴
に支軸を通し、巻回されている長尺物を順次繰り出して
使用するために用いる物流用リールとその構成体に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の物流用リールは巻回する
長尺物の長さが短くて幅の狭いものの場合にはフランジ
体の直径が小さくてドラム体の軸線方向幅即ちフランジ
体間の幅の狭い物流用リールを使用し、逆に、巻回する
長尺物の長さが長くて幅の広いものの場合にはフランジ
体の径が大きくドラム体の幅の大きい物流用リールを使
用するという所謂長尺物の種類や長さに応じて物流用リ
ールの径及び幅の異なるものを選択使用していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって、従来のこ
の種の物流用リールにあっては汎用性がないために、フ
ランジ体の径の大小とフランジ間の幅の大小とが異なっ
た非常に多数の種類の異なった物流用リールを常備して
おく必要があって収納保管とその管理が煩雑で、かつ、
大きな収納保管場所を必要としていた。また、巻回した
長尺物の使用後における搬送に当たっては、長尺物がな
いにも拘わらず、長尺物が巻かれている時と同じ大きさ
の体積をもつ嵩の高いものとなっていた。

【０００４】そこで、本発明は、このような従来の物流
用リールが有していた課題に着目し、このような課題を
解決するために、構造を複雑にすることなく、ドラム体
とフランジ体とを略ワンタッチ式に組立て分解ができ、
フランジ体とドラム体とを選択して組み合わせることに
よって各種サイズのリールを形成することができ、リユ
ーズ時における運送や、保管等の非使用時には嵩を小さ
くしておくことができるリール構成体と、このリール構
成体を用いて組み立て形成した物流用リールとを提供し
ようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】該目的を達成するための
本発明の構成を実施例を示す図面に使用した符号を用い
て説明すると、本発明にいう物流用リール構成体の構成
は、中心部に貫通形成された軸穴４を有する円盤状の一
対２枚のフランジ体２，２と、これら両フランジ体２，
２の間に設けられる円筒状のドラム体３とからなる物流
用リール１を構成するための部材であって、前記ドラム
体３と両フランジ体２，２とはそれぞれ別体として形成
され、該ドラム体は軸線方向に沿って複数体に分割され
た複数の分割ドラム体３ａ…によって構成され、各分割
ドラム体３ａの内周面側の軸線方向両端縁部分と、各フ
ランジ体２，２の内面側のドラム体配置位置の内周側部
分との、何れか一方にこれら両部分が対向する方向に向
かって突出し先端部分に係止爪１２を有する突出体１０
と、何れか他方に該係止爪１２と係合して分割ドラム体
３ａの外周方向への移動を阻止する係合体５とが配置さ
れていて、かつ、何れか一方に前記突出体１０と略平行
な方向に向かって突出する棒状突起１１と、何れか他方
に分割ドラム体３ａの軸線方向において該棒状突起１１
と重合して分割ドラム体３ａの軸線方向への移動を阻止
する接当体５とが配置され、更に、フランジ体２，２に
は前記突出体１０または係合体５を形成した部分に肉厚
方向に貫通する係合解除用の貫通穴１３を形成してある
構造としたものである。

【０００６】また、物流用リールの構成は、前記の物流
用リール構成体を用いて組み立てられたリールであっ
て、所定の間隔を保って対向する２枚のフランジ体２，
２の内面間において複数の分割ドラム体３ａ…をフラン
ジ体２，２の中心方向に向かって摺動させ、前記突出体
１０の係止爪１２と係合体５とを相互に係合させ、同時
に前記棒状突起１１と接当体７とを分割ドラム体３ａの
軸線方向において重合させ、これら複数の分割ドラム体
３ａ…によって対向する２枚のフランジ体２，２間に、
周方向に連続する筒状のドラム体３を形成させて両フラ
ンジ体２，２と一体的に固定させてある構造としたもの
である。

【０００７】

【作用】一対２枚のフランジ体の間で軸穴方向に向け
て、複数の分割ドラム体を滑らせていくことによって両
フランジ体に対してこれら複数の分割ドラム体を確実に
固定保持させて円筒状のドラム体を形成させることがで
きる。即ち、フランジ体に対して分割ドラム体を摺動さ
せることによって、両部分に形成してある係止爪１２と
係合体５とを係合させると同時に棒状突起１１と接当体
７とを重合接当させることによって、両フランジ体の間
に円筒状に連続したドラム体形成させることができる。
この分割ドラム体は外周方向への移動を係止爪１２と係
合体５との係合によって阻止され、軸線方向への移動を
棒状突起１１と接当体との重合によって阻止され一体的
に固定される。このようにすることによって、簡単に通
常形態のリールを形成することができる。また、本発明
にいうリールは、このようにして組み立て形成されたリ
ールである。このようにして組み立てられたリールを分
解するに当たっては、フランジ体の外面側から係合解除
用の貫通穴１３を介して突出体１０を押して係止爪１２
と係合体５との係合を解いた状態で分割ドラム体３ａを
外周方向に移動させればよい。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。初めに、本発明にいう物流用リールとは、魚釣り
用リールや糸巻きリールその他のリールと区分するため
の表現であり、産業用に使用するリールであることを明
瞭化するための表現である。

【０００９】図１乃至図８は本発明にいう物流用リール
の第１実施例について示した図であって、リール１は、
合成樹脂材料にて中心部に設けられた軸穴４を有する一
対２枚のフランジ体２、２と、これらの間に位置するド
ラム体３とによって形成されている。該実施例における
フランジ体２は、平盤状のもので、その中心部分に回転
時に支軸を挿入するための軸穴４が形成されており、図
１，図３等にみられるように、この軸穴４を中心として
その周りに４つの貫通穴１３…と側面視コの字形とした
８つの接当体７…と、２つの位置合せ用突起８…とが形
成されている。

【００１０】前記の貫通穴１３は、その一側縁が後述す
る係止爪１２と係合する係合体５になっている。前記コ
の字形の接当体７は、フランジ体２の内面側に上向きに
突出して形成してあり、その内面に後述する棒状突起１
１が挿入されるようにしてある。これらの係合体５を形
成する貫通穴１３とと接当体７とは、後述するドラム体
３を構成する分割ドラム体３ａの数に応じて最低１つ宛
形成してあればよい。前記の位置合せ突起８は、その外
周面側を、前記ドラム体３を構成する分割ドラム体３ａ
の内周面と同形の円弧状に形成してあって、分割ドラム
体３ａの切断端縁の軸方向両端の内面側に接当するよう
にしてある。しかしながら、この位置合わせ突起８は必
ずしも必要なものではない。

【００１１】前記ドラム体３は、軸線方向に沿って２分
割された半円弧状の同形同大の２つの分割ドラム体３
ａ、３ａによって構成される。該分割ドラム体３ａは、
図１，図５，図６等にみられるように、幅方向の中間部
分の内側に円弧状の補強リブ９が形成されている。該分
割ドラム体３ａは、軸方向両端にそれぞれフランジ体２
の前記係合体５と係合する係止爪１２をもつ２つの突出
体１０…と、前記差し込み穴６に差し込まれる４つの棒
状突起１１…とが一体的に平行に突出形成されている。
該分割ドラム体３ａは、同形同大の三分割又は四分割で
あってもよい。

【００１２】該突出体１０は、図６にみられるように、
先端の係止爪１２が分割ドラム体３ａの軸方向端面より
も突出するように形成されており、成形素材の弾性によ
って内外方向への揺動変位を可能にしてある。この弾性
によって該突出体１０の係止爪１２はフランジ体２の貫
通穴１３に嵌まり込み係合体５を構成する一端縁と互い
に係合し合うように形成してある。この係合は、フラン
ジ体２に貫通してある前記貫通穴１３の外側からドライ
バー等の適宜金具の先端で係止爪１２を押すことによっ
て係合を解除できるように形成してある。前記棒状突起
１１は、分割ドラム体３ａをフランジ体２の外周側から
中心側に向けてフランジ体２の内面に沿って摺動させる
ことによって、前記コの字形接当体７の差し込み穴６に
差し込まれ、接当体７と互いに重合する。

【００１３】このようにして、２つの分割ドラム体３
ａ，３ａはフランジ体２に嵌合セットされた状態で、そ
の切断端縁の両側部分が前記位置合せ突起８と接当し内
周方向への変形が規制される。これら２つの分割ドラム
体３ａ，３ａはこの状態で円筒状のドラム体３を構成す
る。

【００１４】以上の第１実施例では、係止爪１２を有す
る突出体１０と棒状突起１１とを分割ドラム３ａ側に形
成し、この係止爪１２と係合する係合体５と棒状突起１
１と重合する接当体７とをフランジ体２側に形成してあ
るものとした実施例について説明したが、これらの突出
体１０と棒状突起１１及び係合体５と接当体７とは必ず
しもこのように形成されいる必要はなく、それぞれが対
応するようにフランジ体２側と分割ドラム体３ａ側とに
配置形成してあればよいのである。

【００１５】而して、図９に示した第２実施例は、フラ
ンジ体２側に向かって突出する係止爪１２を先端部側に
形成した突出体１０と前記第１実施例と同じコの字形の
接当体７とをフランジ体２側に形成し、平板状で貫通穴
１４を形成しその先端部側を係合部として前記係止爪１
２と係合するようにした係合体５と前記第１実施例と同
じ棒状突起１１とを分割ドラム体３ａ側に形成してある
構造としたものである。また、前記突出体１０の背面側
には係合解除用貫通穴１３を形成してあって、解体時に
はこの係合解除用貫通穴１３と前記の貫通穴１４とを介
して係止爪１２を解除するようにしたものである。

【００１６】また、図１０に示した第３実施例は、前記
第２実施例における係合体５にも係止爪を形成して前記
係止爪１２と互いに係止するものとし、棒状突起１１を
フランジ体２側に形成し、コの字形とした接当体７を分
割ドラム体３ａ側に形成した構造としたものである。

【００１７】本発明にいうリール並びにリール構成体
は、このような構造として実施することができるもので
ある。その他本発明は、前記の構成要件を備え、前記の
目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において
各部の形状を任意に変更して実施することができるもの
である。

【００１８】

【効果】以上の説明から明らかなように、本発明にいう
物流用リールの構成体は、フランジ体と、その中間部分
に設けられるドラム体とを別体とし、かつ、該ドラム体
を軸線方向に沿って複数個の個体に分割してある分割ド
ラム体とし、各分割ドラム体の内周面側の軸線方向両端
縁部分と、両フランジ体の内面側のドラム体配置位置の
内周側部分との、何れか一方にこれら両部分が対向する
方向に向かって突出し先端部分に係止爪を有する突出体
と、何れか他方に該係止爪と係合して分割ドラム体の外
周方向への移動を阻止する係合体とが配置されていて、
かつ、何れか一方に前記突出体と略平行な方向に向かっ
て突出する棒状突起と、何れか他方に分割ドラム体の軸
線方向において該棒状突起と重合して分割ドラム体の軸
線方向への移動を阻止する接当体とが配置され、更に、
フランジ体には前記突出体または係合体を形成した部分
に肉厚方向に貫通する係合解除用の貫通穴を形成してあ
る構造としたものであるから、係止爪と係合体及び、棒
状突起と接当体とを同位置に形成した径の異なる数種の
フランジ体と軸方向の長さの異なる数種の分割ドラム体
とを形成しておくことによって、これらを適宜に選択し
組み立てることにより、フランジ径とフランジ間の幅の
異なる多数種のリールを容易に組み立て形成することが
できる利点が有る。

【００１９】また、前記のリール構成体を用いて組み立
て形成されたリールは、分解するに当たって係止爪と係
合体との係合を貫通穴を介して解除した状態で分割フラ
ンジ体を外周方向に向けて移動させることによって容易
に分解でき、分解によって損傷する部分を生ずることが
ないので、巻回した長尺物の巻き取り使用後におけるリ
ールのリユーズに際しては分解して嵩の小さいものとし
て移送することができ、また、保管管理の際にはこれら
の各部材を分解状態のまま保管することができるので、
大きな保管庫を必要とせず、保管管理が容易であるとい
う利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例を示す分解斜視図。

【図２】組み立て状態を示す全体正面図。

【図３】フランジ体の内面側の平面図。

【図４】図２のＡ−Ａ断面図。

【図５】分割ドラム体の平面図。

【図６】図５の右側からみた側面図。

【図７】上部フランジ体を除去した組立て状態の平面
図。

【図８】図７のＢ−Ｂ断面図。

【図９】第２実施例を示す部分斜視図。

【図１０】第３実施例を示す部分斜視図。

【符号の説明】

２…フランジ体 ３…ドラム体 ３ａ…分割ドラム体 ４…軸穴 ５…係合体 ７…接当体 １０…突出体 １１…棒状突起 １２…係止爪 １３…貫通穴

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心部に貫通形成された軸穴(4)を有す
   る円盤状の一対２枚のフランジ体(2)，(2)と、これら両
   フランジ体(2)，(2)の間に設けられる円筒状のドラム体
   (3)とからなる物流用リール(1)を構成する部材であっ
   て、前記ドラム体(3)と両フランジ体(2)，(2)とはそれ
   ぞれ別体として形成され、該ドラム体は軸線方向に沿っ
   て複数体に分割された複数の分割ドラム体(3a)…によっ
   て構成され、各分割ドラム体(3a)の内周面側の軸線方向
   両端縁部分と、両フランジ体(2)，(2)の内面側のドラム
   体配置位置の内周側部分との、何れか一方にこれら両部
   分の対向する方向に向かって突出し先端部分に係止爪(1
   2)を有する突出体(10)と、何れか他方に該係止爪(12)と
   係合して分割ドラム体(3a)の外周方向への移動を阻止す
   る係合体(5)とが配置され、かつ、何れか一方に前記突
   出体(10)と略平行な方向に向かって突出する棒状突起(1
   1)と、何れか他方に分割ドラム体(3a)の軸線方向におい
   て該棒状突起(11)と重合して分割ドラム体(3a)の軸線方
   向への移動を阻止する接当体(5)とが配置され、更に、
   フランジ体(2)，(2)には前記突出体(10)または係合体
   (5)を形成した部分に肉厚方向に貫通する係合解除用貫
   通穴(13)が形成されている構造とされた物流用リール構
   成体。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の物流用リール構成体を
   用いて組み立てられた物流用リールであって、所定の間
   隔を保って対向する２枚のフランジ体(2)，(2)の内面間
   において、複数の分割ドラム体(3a)…と両フランジ体
   (2)，(2)との前記係止爪(12)と係合体(5)とが相互に係
   合され、同時に前記棒状突起(11)と接当体(7)とが分割
   ドラム体(3a)…の軸線方向において重合され、これら複
   数の分割ドラム体(3a)…によって対向する２枚のフラン
   ジ体(2)，(2)間に、周方向に連続する筒状のドラム体
   (3)が形成されて両フランジ体(2)，(2)と一体的に固定
   されている物流用リール。