JP2554980B2 - Lng船のlng強制蒸発装置 - Google Patents

Lng船のlng強制蒸発装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LNG(液化天然ガ
ス)を運搬するLNG船において、LNGタンクからの
ボイルオフガスを主機燃料として利用する場合、これを
補助するため強制的にLNGを蒸発させるLNG強制蒸
発装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、LNG(液化天然ガス)を運搬
するLNG船は、満載航海中、LNGタンク内からボイ
ルオフガスが自然発生する。そのため、これを主機のタ
ービンを回すボイラーの燃料として使用し、ボイルオフ
ガスの有効利用を図っている。このボイルオフガスは、
概ね主機燃料の6〜7割を占め、通常は残り4〜3割を
燃料油を使用しているが、燃料油がLNGに比べて高騰
してくると航海コストが大となる可能性があった。そこ
で、主機燃料の全てを、より安価なLNGとすることも
できる様にするため、強制的にLNGを蒸発させるLN
G強制蒸発装置が提供されるに至った。
【0003】図2に従来のLNG強制蒸発装置を備えた
LNG船を示す。このLNG船は、図の如く、船体10
1内に配されたLNGタンク102の上部に、ボイルオ
フガス導管103が接続され、この導管103にコンプ
レッサ104が設けられ、導管103の末端はボイラー
の燃料噴射ノズルに接続される。そして、LNG強制蒸
発装置105は、LNGタンク102内に設置されたポ
ンプ106と、このポンプ106の出口側に接続され前
記LNGタンク102の外部で導管103に合流接続さ
れたLNG強制汲上路107と、このLNG強制汲上路
107に汲上げたLNGの一部をタンク102へ戻すバ
イパス路110と、前記強制汲上路107に介在された
強制蒸発器108とから構成される。前記蒸発器108
では、ポンプ106から強制的に汲上げたLNGをスチ
ーム109と熱交換し、−40℃程度まで温度上昇さ
せ、導管103に合流させている。なお、LNGタンク
102内のLNGの温度は−163℃、自然蒸発したボ
イルオフガスの温度はコンプレッサ104の入口で−1
20℃程度である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては次のような課題があった。 主機の要求量に応じて蒸発器108への送給量(ポン
プ吐出量)を調整しなければならないが、これはポンプ
吐出量の一部をLNGタンクに返却することで調整す
る。この制御と同時に蒸発器108では送給されたLN
Gを確実に全量ガス化する目的から出口側の温度を一定
にするため、蒸発器108では送給されたLNGの一部
をバイパスさせる等の制御を行う。したがって、その制
御システムが複雑になる。 コンプレッサ104の入口側で、ボイルオフガスと蒸
発器108からのガスとが混合されるが、ボイルオフガ
スはほぼ100%メタンであるのに対し、蒸発器108
からのガスはLNGの組成と同一で、LNGの組成は、
メタン、エタン、プロパン等を含んでおり、したがっ
て、ボイルオフガスと、蒸発器108から供給される蒸
発ガスとでは、その組成が異なる。そのため、両者の混
合比により、ガスの発熱量が変化することになり、ボイ
ラーへのガスの送給量制御上あまり好ましくない。 蒸発器108からの蒸発ガスの温度が高い(−40
℃)ので、コンプレッサ104の入口側で、LNGタン
ク102からのボイルオフガスと、蒸発器108からの
蒸発ガスが混合した後のガスの温度が、LNGタンク1
02からのボイルオフガスの温度に比べ上昇し、その
分、ガスが膨張してコンプレッサ104の負荷が大きく
なり、大型のコンプレッサ104が必要になってくる。 LNGタンク102からのLNGの汲み出しのため
に、ポンプ106を使用するが、強制蒸発のためには、
このポンプ106を常時稼働しなければならない。従
来、LNG船では、3タンクないし5タンクのLNGタ
ンクを備えているが、バラスト航海中、これらのタンク
をLNGを用いて冷却するため、1個ないし2個のポン
プを有している。通常、LNG強制蒸発装置105の構
成部品であるポンプ106を、この冷却用のポンプと兼
用させているが、上記の如く、強制蒸発用のポンプ10
6は、常時稼働するため、ベアリングの寿命の点からポ
ンプ106を交替で使用するよう各LNGタンク102
に1台づつポンプを配置しなければならない。そうする
と、ポンプ台数が多くなり、コスト高となる。
【0005】本発明の目的は、LNGの送給制御が容易
で、かつシステム制御も簡単に行えるLNG強制蒸発装
置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係るLNG船
のLNG強制蒸発装置は、LNGタンクからのボイルオ
フガスを主機燃料として利用するLNG船において、L
NGタンクの外側に、その内部のLNGを強制的に蒸発
させる加熱手段を設けたものである。請求項2のLNG
強制蒸発装置では、前記加熱手段が冷媒循環装置に接続
された熱交換器で構成されている。請求項3のLNG強
制蒸発装置では、前記冷媒循環装置に、熱交換器に送る
冷媒量を制御する制御弁を設け、LNGタンクの上部に
タンク内のガス圧を検出するガス圧検出手段を設け、こ
のガス圧検出手段からの信号に基いて前記制御弁の開度
を調整制御する制御装置を設けている。
【0007】
【作用】請求項1のLNG強制蒸発装置においては、加
熱手段によりLNGタンクの内部のLNGを強制的に蒸
発させて、ボイルオフガス量の増加を図ることができ
る。ここで、請求項1〜3のLNG強制蒸発装置につい
て、包括的に説明すると、ボイラーにボイルオフガスを
供給する場合、ボイラーのガス必要量が増すと、ボイル
オフガス量が不足し、タンク内のガス圧が低下する。こ
のガス圧の低下をガス圧検出手段で検出し、その信号に
基いて制御弁の開度を調整し、熱交換器への熱エネルギ
ーの供給量を大にする。そうすると、LNGタンクの加
熱量が大になり、LNGの蒸発量が多くなってボイルオ
フガス量が多くなる。逆に、タンク内のガス圧が大のと
きは、熱交換器への熱エネルギーの供給量を小にして、
LNGの蒸発量を低減させる。このとき、ボイラーへの
ガス供給量制御は、タンク内のガス圧のみをパラメータ
としているので、その制御が簡単かつ容易に行える。ま
た、ボイラーへのガス供給は、単一燃料(メタン)であ
るため、発熱量は一定しており、ガスの供給制御がさら
に容易に行える。さらに、従来の如き強制蒸発用のポン
プが不要であるため、5個程度のLNGタンクを冷却す
るための1個または2個の冷却用ポンプがあればよく、
また強制蒸発器も不要となるので、その製造コストも従
来に比べて低減できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。図1は本発明の実施例に係るLNG船のLN
GタンクとそのLNG強制蒸発装置の構成を示す図であ
る。前記LNG船においては、船体1内に配されたLN
Gタンク2の上部に、ボイルオフガスを排出する為の導
管3が接続され、この導管3にコンプレッサ4が設けら
れ、導管3の末端はボイラー5の燃料噴射ノズル6に接
続されている。LNG強制蒸発装置8は、LNGタンク
2の内部のLNGを強制的に蒸発させるためのもので、
基本的には、加熱手段としての第2熱交換器9と、この
第2熱交換器9に冷媒を循環させる冷媒循環装置10と
で構成されている。前記第2熱交換器9は、LNGタン
ク2の外側の底部、厳密にはLNGタンク2の外面に形
成された防熱層(図示略)の底部内側に設けられてい
る。
【0009】前記冷媒循環装置10は、前記第2熱交換
器9に冷媒を循環させる為の冷媒循環回路13と、この
冷媒循環回路13に介設された冷媒循環用のポンプ11
と、このポンプ11の吐出口側において冷媒循環回路1
3に介設された第1熱交換器12とを有し、ポンプ11
で加圧された冷媒は、第1熱交換器12で加温されて、
第2熱交換器9へ供給され、その後ポンプ11へ戻るよ
うに構成されている。更に、冷媒循環回路13にポンプ
11の吐出口側と第1熱交換器12の出口側とを短絡す
るバイパス回路14が形成され、このバイパス回路14
に、第2熱交換器9に送る冷媒量を制御する制御弁15
が設けられている。
【0010】前記第2熱交換器9は、球形のLNGタン
ク2の径が40mとすると、その底部に防熱層を介して
リング状に5m幅で設置されている。この第2熱交換器
9に流れる冷媒は、LNGタンク2内のLNGが−16
3℃であるため、これにより固化しない非可燃性液体、
例えばフロン系の冷媒が用いられ、第2熱交換器9に
は、−100℃前後の冷媒が流れる。第1熱交換器12
は、循環冷媒とスチーム17との間で熱交換を行うもの
で、スチームの代わりに海水を用いてもよい。これらの
ポンプ11および第1熱交換器12は、甲板上に配され
る。
【0011】前記制御弁15は、比例電磁弁やステッピ
ングモータ等により弁開度を調整可能なものが用いられ
ている。そして、LNGタンク2の上部にタンク内のガ
ス圧を検出するガス圧検出手段20が設けられ、このガ
ス圧検出手段20からの信号に基いて前記制御弁15の
開度を調整制御する制御装置21が設けられている。ガ
ス圧検出手段20は、圧力センサであって、コンプレッ
サ4の吸入口よりもLNGタンク2側に配される。制御
装置21は、マイクロコンピュータ等から構成され、圧
力センサ20からの信号に基いて前記制御弁15を制御
する。なお、図において、23はLNGタンク2の上部
保護ガバーである。
【0012】上記構成において、主機のボイラー5にボ
イルオフガスを供給する場合、ボイルオフガス導管3を
通ってLNGタンク2の上部から蒸発したボイルオフガ
スがコンプレッサ4から吐出され、このボイルオフガス
が30℃程度に加温されてボイラー5に供給される。コ
ンプレッサ4はボイラー5に必要なだけのガスを送給す
るので、ボイラー5の必要ガス量が大きくなり、ボイル
オフガス量が不足すると、タンク内のガス圧が低下する
ので、このガス圧の低下をガス圧検出手段20で検出
し、制御装置21は、その信号に基いて制御弁15の開
度を小さくするよう制御する。そうすると、冷媒循環装
置10では、ポンプ11から吐出された冷媒の大部分が
冷媒循環回路13の第1熱交換器12を通り、ここで加
熱されて第2熱交換器9に流れ、第2熱交換器9でLN
Gタンク2内のLNGを加熱し、−160℃程度のボイ
ルオフガスを強制的に発生させる。そうすると、コンプ
レッサ4の送給ガス量とタンク内で発生するボイルオフ
ガス量がバランスする。
【0013】逆に、ボイラー5の必要ガス量が小さくな
ると、コンプレッサ4から供給されるボイルオフガス量
が少なくなり、タンク内のガス圧が増大するので、この
ガス圧をガス圧検出手段20で検出し、制御装置21
は、その信号に基いて制御弁15の開度を大きくする。
そうすると、冷媒循環装置10では、ポンプ11から吐
出された冷媒の一部は、第1熱交換器12を通ることな
く、バイパス回路14を通って第2熱交換器9に戻るの
で、冷媒循環回路13では第2熱交換器9へ供給される
熱エネルギーが少なくなる。したがって、LNGタンク
2内から蒸発するボイルオフガスの量が減少し、コンプ
レッサ4の送給ガス量とタンク内で発生するボイルオフ
ガス量が再びバランスする。
【0014】このように、タンク内のガス圧をガス圧検
出手段20で検出し、制御弁15をフィードバック制御
して第2熱交換器9に送る熱エネルギーを調整し、所定
のガス圧を保つようにすると、コンプレッサ4から送ら
れるボイルオフガスの量がボイラー5の必要ガス量に追
随し、100%ボイルオフガスにより、ボイラー5の燃
料を賄える。また、コンプレッサ4に送られるボイルオ
フガスは、約−120℃のメタンガスであり、その組成
が図2に示す従来の強制蒸発装置と異なり、単一燃料に
近く、そのため、ガスの供給制御が容易に行える。ま
た、強制蒸発装置8を含むボイラー5への燃料供給制御
は、ガス圧のみをパラメータとして制御弁15をフィー
ドバック制御しているので、その制御が容易かつ確実に
行える。更に、図2に示す従来の強制蒸発装置では、−
120℃の自然蒸発ガスに−40℃の強制蒸発ガスが混
合し、温度が上昇したガスが供給されていたため、コン
プレッサ4の負荷が増大していたが、本実施例では、常
に低温(−120℃)のガスが供給されるので、コンプ
レッサ4の負荷も低減でき、小型のコンプレッサを用い
ることができる。
【0015】また、加熱手段としての第2熱交換器9
に、ボイラー5の燃焼により発生するスチームを直接供
給することも考えられるが、停泊時などのエンジン停止
時には、スチームは発生せず、またLNGタンク2の温
度が−163℃程度の低温であるため、熱交換器内の水
が氷結するおそれがあり、循環用のパイプが破損するお
それがある。その点、本実施例のように、低温でも固化
しないフロン系の冷媒を使用すれば循環パイプの氷結の
おそれがない。
【0016】尚、本発明は、上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の適用範囲内で多くの修正・変更を
加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施
例では、制御弁をバイパス回路14に配したが、バイパ
ス回路を設けず、直接、冷媒循環回路に制御弁を設けて
もよく、また、ポンプ11の回転数を制御するように構
成してもよい。また、冷媒循環装置の熱交換器の熱源と
して、上記実施例ではスチームを用いたが、これに限ら
ず太陽熱を利用することも可能である。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るL
NG強制蒸発装置によれば、LNGタンクの外側にその
内部のLNGを強制的に蒸発させる加熱手段を設けたの
で、従来の如く強制蒸発用のポンプが不要となり、冷却
用のポンプも5個タンクの場合でも2個程度でよく、そ
の製造コストを低減できる。しかも、ガス排出路のコン
プレッサに供給されるガスも単一燃料に近く、ガスの供
給制御も容易に行える。さらに、コンプレッサに送られ
るボイルオフガスは、従来と異なり低温の蒸発ガスであ
るため、コンプレッサにかかる負荷も低減でき、小型の
コンプレッサが使用でき、さらにコストの低減を実現で
きる。請求項2のLNG強制蒸発装置では、加熱手段と
して熱交換器を使用するため、海水やボイラーから発生
したスチームの熱エネルギーを有効に使用でき、新たな
エネルギーを用いることなく、その省エネルギー効果も
大である。請求項3に係るLNG強制蒸発装置によれ
ば、主機への燃料供給制御は、ガス圧のみをパラメータ
として制御弁をフィードバック制御しているので、その
制御が容易かつ確実に行えるといった優れた効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るLNG船のLNGタンク
とそのLNG強制蒸発装置の構成図
【図2】従来のLNG船のLNG強制蒸発装置の構成図
【符号の説明】
2:LNGタンク 3:導管 4:コンプレッサ 5:ボイラー 8:LNG強制蒸発装置 9:第2熱交換器(加熱手段) 10:冷媒循環装置 11:ポンプ 12:第1熱交換器 13:冷媒循環回路 14:バイパス回路 15:制御弁 20:ガス圧検出手段 21:制御装置

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LNGタンクからのボイルオフガスを主
    機燃料として利用するLNG船において、LNGタンク
    の外側に、その内部のLNGを強制的に蒸発させる加熱
    手段を設けたことを特徴とするLNG強制蒸発装置。
  2. 【請求項2】 前記加熱手段は、冷媒循環装置に接続さ
    れた熱交換器であることを特徴とする請求項1に記載の
    LNG強制蒸発装置。
  3. 【請求項3】 前記冷媒循環装置に、熱交換器に送る冷
    媒量を制御する制御弁を設け、前記LNGタンクの上部
    にタンク内のガス圧を検出するガス圧検出手段を設け、
    このガス圧検出手段からの信号に基いて前記制御弁の開
    度を調整制御する制御装置を設けたことを特徴とする請
    求項2に記載のLNG強制蒸発装置。
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