JP2554971Y2 - 取水可能な中間縦樋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、縦樋の中途に設置する
ことにより、普段は単なる縦樋の一部として雨水は通過
して流下していくが、ホース等の取水管を取付けること
により容易に取水が可能となる中間縦樋に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来の縦樋は建物に付属した単なる排水
管である。屋根は建物を雨水から守って軒樋に流し、軒
樋の雨水は縦樋から流下し、縦樋から流出する雨水はす
べて下水に排水される。

【０００３】従来、雨水を利用するための装置として、
地中に埋設した雨水貯留槽や浸透枡がみられる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】屋根に降る雨水も貴重
な資源である。しかし、その天の恵みをすべて下水に捨
て去ってしまっている。「水不足」が社会問題となり
「水道の節約」が叫ばれて久しいが、それを解決する一
助となる重要な水源である雨水に関しては、余りに無関
心であり、大きな無駄をしていることに気付いていない
ことが多い。雨水の利用が可能になるならば、水道を節
約することができ、非常に経済的である。

【０００５】近年、急速に都市化宅地化が進み、集中豪
雨などによってもたらされた雨水は一挙に下水に流れ込
み、狭隘化された都市河川を、氾濫させて、冠水、浸水
などの被害を起こしている。これも、雨水を利用せずに
下水に流してしまっていることが原因である。雨水の活
用は、排水施設の拡充以上に緊急必要事となっている。

【０００６】雨水貯留槽は縦樋から雨水を地下に引き込
んで貯水し利用するが、雨水貯留槽、ポンプ、建物の中
の配水管等設備が大掛かりなため、新築でもなければ導
入は難しく、維持するにも手間と費用が掛かり、経済的
でない。

【０００７】浸透枡は縦樋から排出される雨水を地中に
浸透させるものであるが、雨水の吸収と地下水の補給と
いう以外に、実生活上の利益はほとんどないに等しい。
しかも、設置するには工事費用がかさむため、普及して
効果を上げるまでには至っていない。

【０００８】雨水貯留槽と浸透枡はともに縦樋から排出
された後の雨水を対象とした施設であり、その手前で雨
水を取水して、何にでも簡単に利用するということはで
きない。

【０００９】この考案は、上記の問題を解決することの
できる、取水可能な中間縦樋を提供することを目的とす
るものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この考案は、縦樋の中途
に設置される中間縦樋において、本体の上下両端には連
結部を有し、本体の内部には上方に所用数の溢出口が形
成され下部にホース等の取水管を取付可能な排水口が形
成された漏斗を有し、本体の側面には取水管差入口が設
けられていることを特徴とする取水可能な中間縦樋に関
するものである。

【００１１】

【作用】以上のように構成された本考案の取水可能な中
間縦樋は、上下両端の連結部４で縦樋１の中途に容易に
設置することができる。既設の縦樋１を中途から切断す
るだけで簡単に設置できる。図２（Ａ）に示すように、
通常は、縦樋１の上方から流下してくる雨水は、中間縦
樋２の内部で漏斗８の下端の排水口７に集水され、縦樋
１の下方へと排出される。その後の処理は自由であっ
て、下水に排出しても、雨水貯留槽に貯水しても、浸透
枡に流入させてもよい。

【００１２】図２（Ｂ）に示すように、取水時は、漏斗
８の下端の排水口７にホース等の取水管６を取付ける。
取水管６から流出する雨水の利用は自由であって、地面
に浸透させても、植物や庭等に散水しても、受水槽やバ
ケツ等に貯水してもよい。

【００１３】短時間に集中的な豪雨が降った場合、漏斗
８の下端の排水口７からだけでは排水または取水が間に
合わず、縦樋１に異常な圧と重量が掛かってしまう。そ
こで、図２（Ｃ）に示すように、漏斗８の上方に形成さ
れた所用数の溢出口５からオーバーフローした雨水は縦
樋１の下方に排出され、縦樋１は保護される。

【００１４】

【実施例】図中１は建物の縦樋であり、図中２は縦樋１
の中途に設置された中間縦樋である。図１（Ａ）は正面
図であり、図１（Ｂ）は側面断面図である。中間縦樋２
の本体３の上下両端には連結部４を有し、上方と下方の
縦樋１と連結されている。連結部４から雨水が漏れない
よう、上端の連結部４の径は縦樋１より大、本体３の径
は縦樋１とほぼ同じ、下端の連結部４の径は縦樋１より
小である。本体３の側面には取水管差入口９が設けられ
ている。

【００１５】図中８は、本体３の内部上方に配された漏
斗であり、該漏斗８の上方には所用数の溢出口５が形成
されており、漏斗８の下部にはホース等の取水管６を取
付可能な排水口７が形成されている。図１の実施例の溢
出口５は４つであり、排水口７は下向きに形成されてい
る。溢出口５は単なる穴でもよいが、図３に示すような
傾斜付の穴であれば、オーバーフロー時以外にここから
排水されることは絶対ないので、取水量を減少させるこ
となしに、穴を大きくしたり数を多くしたりすることが
できる。そうすることにより、ひどい集中豪雨時にも、
縦樋を異常な圧と重量から容易に保護することができ
る。

【００１６】図４の中間縦樋２は、排水口７から落下す
る雨水を、縦樋１の内周を流下するよう、本体３の下方
に円錐状に形成され周縁部に所用数の排水穴１０を有す
る内周流下器１１を配した実施例である。排水の勢いと
水音を和らげることができる。

【００１７】図５の中間縦樋２は、排水口７を回動式に
形成した実施例である。この排水口７を１８０度、前下
後と回動自在にすれば、排水時には後方や斜めに向け、
落下する雨水が縦樋１の内周を流下するようにでき、排
水の勢いと水音を和らげることができる。取水管６を取
付けるには水が掛からないように下方を向けて作業し、
取水時には前方を向けて取水管６と縦樋１に無理な力が
加わらないようにすることができる。

【００１８】

【考案の効果】以上説明したように、本考案に係る取水
可能な中間縦樋は、縦樋の中途に設置することにより、
普段は単なる縦樋の一部として雨水を通過させ流下させ
ることができ、ホース等の取水管を取付けることにより
容易に取水して雨水を利用することもできる。

【００１９】また、この中間縦樋は、既設の縦樋に簡単
に設置することができ、費用も安く済ませることができ
る。

【００２０】また、この中間縦樋によれば、取水した雨
水の利用は自由であって、地面に浸透させて地下水の補
給をしても、植物や庭等に散水しても、受水槽やバケツ
等に貯水してもよい。水道の節約ができるので非常に経
済的である。

【００２１】また、この中間縦樋によれば、短時間に集
中的な豪雨が降っても、溢出口からオーバーフローした
雨水を縦樋の下方に排出することができるので、縦樋を
異常な圧と重量から保護することができる。

【００２２】また、縦樋にこの中間縦樋を設置しても、
外観上まったく違和感がなく、建物全体のデザインに自
然に溶け込むことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る中間縦樋の実施例をあらわす説明
図である。

【図２】本考案に係る中間縦樋の使用状態をあらわす説
明図である。

【図３】本考案に係る中間縦樋の溢出口の他の実施例の
部分拡大断面図である。

【図４】本考案に係る中間縦樋の他の実施例をあらわす
断面図である。

【図５】本考案に係る中間縦樋の他の実施例をあらわす
断面図である。

【符号の説明】

１ 縦樋 ２ 中間縦樋 ３ 本体 ４ 連結部 ５ 溢出口 ６ 取水管 ７ 排水口 ８ 漏斗 ９ 排水管差入口

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 縦樋１の中途に設置される中間縦樋２に
   おいて、本体３の上下両端には連結部４を有し、本体３
   の内部には上方に所用数の溢出口５が形成され下部にホ
   ース等の取水管６を取付可能な排水口７が形成された漏
   斗８を有し、本体３の側面には取水管差入口９が設けら
   れていることを特徴とする取水可能な中間縦樋。