JP2554025Y2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP2554025Y2
JP2554025Y2 JP4227791U JP4227791U JP2554025Y2 JP 2554025 Y2 JP2554025 Y2 JP 2554025Y2 JP 4227791 U JP4227791 U JP 4227791U JP 4227791 U JP4227791 U JP 4227791U JP 2554025 Y2 JP2554025 Y2 JP 2554025Y2
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伸彦 林
忠夫 戸田
英幸 野中
寿 阿部
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は半導体レーザ装置に関
し、特に高出力動作に適する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザ装置の応用分野が拡大する
につれて、半導体レーザ装置の高出力化の要求が高まっ
ている。
【0003】一般に、半導体レーザ装置の光出力を制限
している要因としては、レーザ共振器端面での光吸収に
よって端面が加熱、破壊される光損傷(COD:Catastr
ophic Optical Damage)がある。
【0004】これは、半導体レーザ装置の連続動作時
に、ジュール熱の発生により接合温度が上昇し、それに
伴って端面の温度が上昇すると、端面でのバンドギャッ
プが小さくなるため光吸収が大きくなり、さらに端面の
温度が上昇していくことによって生じるものである。
【0005】斯るCODを抑制する半導体レーザ装置と
して、レーザ共振器端面近傍に電流の流れない電流非注
入領域を設けた端面非注入型半導体レーザ装置が提案さ
れている(例えば、1990年秋季応用物理学会予稿集,28p
-R-4,963頁参照)。
【0006】この端面非注入型半導体レーザ装置のレー
ザ共振器端面近傍においては、電流が流れないため、ジ
ュール熱は発生しない。従って、斯る端面非注入型半導
体レーザ装置では、レーザ共振器端面での温度上昇が抑
えられるので、CODの発生が抑えられ、端面も電流が
流れる半導体レーザ装置に比べ、高出力まで動作が可能
となる。
【0007】一方、高出力用の半導体レーザ装置におい
ては、素子内で発生するジュール熱を効率良く放熱させ
るため、素子の発振層側、即ち基板と反対側で、良熱伝
導体のサブマウントに載置固着するジャンクションダウ
ン組立法が用いられる。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】しかるに、斯る端面非
注入型半導体レーザ装置においても、素子内の電流注入
領域で発生したジュール熱が基板を伝わって端面に伝導
するため、端面での温度上昇は免れない。
【0009】従って、本考案はさらにレーザ共振器端面
での温度上昇を抑えることができ、高出力化が図れる半
導体レーザ装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本考案は、半導体基板上
に発振層が形成され、レーザ共振器を有する半導体レー
ザ素子を、その発振層側で良熱伝導体のサブマウント上
に載置固着した半導体レーザ装置であって、上記課題を
解決するため、上記半導体レーザ素子には上記レーザ共
振器の端面近傍において電流非注入領域が設けられ、上
記レーザ共振器の内部において電流注入領域が設けられ
ていると共に、上記半導体レーザ素子の半導体基板に
は、上記電流注入領域と電流非注入領域の間に熱伝導抑
制手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
【作用】本考案によれば、半導体レーザ素子の基板の、
電流注入領域と電流非注入領域との間に、熱伝導を抑制
する熱伝導抑制手段を設けることによって、素子内で発
生したジュール熱が基板を伝わってレーザ共振器端面に
伝導されない。
【0012】
【実施例】図1(a)(b)(c)は本考案装置の一実施例を
示し、図1(a)は本実施例の斜視図、図2(b)は図1
(a)の断面図、図1(c)は図1(a)を基板側から見た斜
視図である。
【0013】図において、(1)は(100)面を主面に有
するn型GaAsからなる基板で、幅800μm、長さ
600μm、厚さ100μmの大きさを持つ。
【0014】(2)はn型Al0.6Ga0.4Asからなるn
型クラッド層、(3)はGRIN−SCH層、(4)はp型
Al0.6Ga0.4Asからなるp型クラッド層、(5)はp
型GaAsからなるキャップ層、(6)はn型GaAsか
らなるブロック層で、これらの層は表1に示す条件で、
基板(1)上に順次積層される。
【0015】
【表1】GRIN−SCH層(3)は、n型クラッド層
(2)上に、厚さ2000Åのn型AlXGa1-XAsから
なるn型GRIN部、厚さ400ÅのGaAs活性層、
厚さ2000Åのp型AlXGa1-XAsからなるp型G
RIN部を順次積層したもので、各GRIN部は夫々活
性層側のAl組成比を0.2として、厚さ方向に0.2
〜0.6の範囲で漸次変化させている。
【0016】(7)はブロック層(6)を選択的にエッチン
グ除去して形成した、幅150μm、長さ550μmの
開口で、この部分が電流通路となる。従って、レーザ共
振器方向(長さ方向)において、各端面近傍に夫々25μ
m長さの電流非注入領域(図中領域A)、内部に550μ
m長さの電流注入領域(図中領域B)が形成される。
【0017】(8)はブロック層(6)上及び露出したキャ
ップ層(5)上に形成されたp側電極、(9)は基板(1)裏
面に形成されたn側電極である。
【0018】また、図1(c)に示すように、基板(1)裏
面には、領域A,Bの各境界に幅300μm、長さ20
μm、深さ95μmの溝(10)が形成されている。
【0019】以上の構造を有する半導体レーザ素子(11)
において、レーザ共振器の前側端面に8%、後側端面に
80%の反射膜を形成し、これをSiからなるサブマウ
ント(12)にジャンクションダウン組立法で載置固着して
本実施例装置とし、斯る本実施例装置を光出力1Wで連
続駆動させたときのレーザ共振器方向における素子中央
断面の温度上昇分布及び活性層の温度上昇特性を調べ
た。その結果を図2及び図3に示す。
【0020】比較のため、本実施例の半導体レーザ素子
(11)において、溝(10)を設けていない比較素子(11’)を
作製し、これをサブマウント(12)にジャンクションダウ
ン組立法で載置固着したものを比較装置として、同様に
断面の温度上昇分布及び活性層の温度上昇特性を調べ
た。その結果を図4及び図5に示す。斯る温度上昇は、
サブマウント(12)の底部の温度を0℃として求めたもの
である。
【0021】これらの図から、比較素子(11’)では、素
子内で発生したジュール熱が基板を伝わってレーザ共振
器端面まで達するため、端面の温度が4.3℃上昇して
いるのに対し、本実施例の素子(11)では、溝(10)の存在
によって、基板を伝わって端面に達する熱が遮断される
ため、端面での温度上昇は1.5℃に抑えられているこ
とが分かる。
【0022】図6に本実施例装置及び比較装置の電流−
光出力特性を夫々実線及び破線で示す。
【0023】図より、比較装置では光出力2.7WでC
ODが発生するのに対し、本実施例では光出力3.8W
までCODの発生が抑えられていることが分かる。
【0024】本実施例では、溝(10)の幅を300μmと
したが、斯る溝幅は電流通路幅よりも大きくする必要が
あり、且つ素子の幅に対して大きくなると素子の強度が
弱くなるため、できるだけ小さくするのが好ましい。
【0025】また、斯る実施例装置では、溝(10)内を空
洞としたが、この溝内を熱伝導率の小さい材料、例えば
SiO2で埋め込んでも良い。
【0026】図7に本考案の他の実施例を示す。図にお
いて、図1の実施例と同じものには同番号を付してい
る。
【0027】斯る実施例では、基板(1)の電流非注入領
域部分を除去したものである。この場合、図7(a)に示
すように、電流非注入領域のブロック層(6)は省略して
もよい。
【0028】以上、これらの実施例では、電流通路幅が
150μmのブロードエリアレーザを例にしたが、電流
通路幅が数μmの通常のレーザにおいても本考案は高出
力化に効果的であり、またレーザ材料もAlGaAs系
に限定されることはなく、AlGaInP等、他のレー
ザ材料においても同様に適用できる。
【0029】
【考案の効果】本考案によれば、半導体レーザ素子の基
板の、電流注入領域と電流非注入領域との間に、熱伝導
を阻害する熱拡散防止手段を設けることによって、素子
内の電流注入領域で発生したジュール熱が基板を伝わっ
てレーザ共振器端面に伝導されないので、端面に置ける
温度上昇が抑えられ、これによってCODの発生を抑え
ることができ高出力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本考案装置の一実施例を示す斜視
図、図1(b)は図1(a)の断面図、図1(c)は図1(a)
を基板裏面から見た斜視図である。
【図2】本実施例装置のレーザ共振器方向における素子
中央断面の温度上昇分布図である。
【図3】本実施例装置のレーザ共振器方向における活性
層の温度上昇特性図である。
【図4】比較装置のレーザ共振器方向における素子中央
断面の温度上昇分布図である。
【図5】比較装置のレーザ共振器方向における活性層の
温度上昇特性図である。
【図6】本実施例装置と比較装置の電流−光出力特性図
である。
【図7】図7(a)は本考案装置の他の実施例を示す斜視
図、図7(b)は図7(a)を基板裏面から見た斜視図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 阿部 寿 守口市京阪本通2丁目18番地 三洋電機 株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−8383(JP,A) 特開 平2−224288(JP,A) 特開 昭52−135281(JP,A)

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に発振層が形成され、レー
    ザ共振器を有する半導体レーザ素子を、その発振層側で
    良熱伝導体のサブマウント上に載置固着した半導体レー
    ザ装置において、上記半導体レーザ素子には上記レーザ
    共振器の端面近傍において電流非注入領域が設けられ、
    上記レーザ共振器の内部において電流注入領域が設けら
    れていると共に、上記半導体レーザ素子の半導体基板に
    は、上記電流注入領域と電流非注入領域の間に熱伝導抑
    制手段が設けられていることを特徴とする半導体レーザ
    装置。
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