JP2553935Y2 - 喀痰検査用集細胞器 - Google Patents

喀痰検査用集細胞器

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JP2553935Y2
JP2553935Y2 JP2148893U JP2148893U JP2553935Y2 JP 2553935 Y2 JP2553935 Y2 JP 2553935Y2 JP 2148893 U JP2148893 U JP 2148893U JP 2148893 U JP2148893 U JP 2148893U JP 2553935 Y2 JP2553935 Y2 JP 2553935Y2
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sputum
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勇之助 武藤
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Muto Pure Chemicals Co Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は喀痰検査用集細胞器、特
に被検者の喀痰を薬液中に溶解して収容する喀痰検査用
集細胞器に関する。
【0002】
【従来の技術】医療分野において、主に肺結核、肺炎、
肺癌等の肺疾患の有無を判定する場合、被検者の喀痰中
の細胞を培養分析して検査を行っていた。また、この喀
痰検査は、痰液を薬液中に溶解させて喀痰中の細胞を沈
殿分離し、この細胞を取り出して染色し診断するもので
ある。
【0003】上記薬液は、痰液中の不要な痰液の粘性を
除いて細胞の沈殿分離を容易にする粘液融解剤と、粘液
融解剤の変質を防止する酸化防止剤と、界面活性剤等の
薬剤成分とを含み、これらを水、アルコール、その他の
溶媒に溶解した溶液である。
【0004】そして、従来より喀痰検査の場合、医療機
関は、集細胞器すなわち上記薬液を収容した容器を被検
者に持ち帰らせ、指定された時期にその容器内に喀痰を
喀出してもらい、それを届けてもらう方法を採用してい
る。
【0005】しかしながら、前記薬剤の成分である粘液
溶解剤及びある種の酸化剤等は、溶媒中に溶解した状態
で経時させると薬効が劣化し易く、かかる場合の薬液の
有効保存期間通常1カ月程度しかない。一方、前記容
器に被検者が持ち帰って喀痰した後医療機関に届けるま
でに2週間から1カ月かかる。このため、従来では医
療機関において使用前の薬液入り容器を長期間保管でき
ず、また被検者が容器内に喀痰を喀出した時点ですでに
薬液中の薬剤成分の薬効が失なわれ、検査の信頼性が乏
しくなるおそれがあった。
【0006】そこで、実開平1−124558号公報の
「喀痰検査用集細胞器」には、溶媒中で薬効の経時劣化
が発生する薬剤成分と溶媒成分とを分離して収容する容
器が提案されている。すなわち、図5に示すように、喀
痰検査用集細胞の筒型容器1は、内部に喀痰検査用薬剤
の溶媒成分2が収容され、また容器1の上端開口部1a
には、指で容易に裂破または隔離可能なフィルム3が設
けられ、液密封止されている。また、容器1の上端部に
はキャップ4が外嵌螺着され、キャップ4が容器1に装
着された状態で、キャップ4の内側とフィルム3との間
に空間5が形成されるようになっている。そして、この
空間5内に喀痰検査用薬剤の固形物6(酵素剤、粘液溶
解剤、ある種の酸化防止剤をバインダーによって塊状固
形物にしたもの)がキャップ4の内底面4aに固着され
ている。
【0007】従って、上記喀痰検査用集細胞器を用いて
喀痰を収容する場合、被検者はフィルム3を開口部1a
より剥がし、喀痰を容器1内に入れてキャップ4を装着
し上下に振動させてることによって、固形物6を溶媒成
分2に溶解させ、所定の薬効を発揮して痰液を液中に均
一に溶解させていた。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記喀
痰検査用集細胞器は、キャップの内側に空間を形成する
必要があるため、容器とキャップとの接面は外嵌螺着さ
れている部分だけである。従って、フィルムを剥離し痰
液を収容した後、容器とキャップの密閉性は使用前に比
べ著しく劣化してしまう。このため、喀痰検査用薬液及
びこの薬液に溶解した痰液が容器から漏れ出したり、喀
痰検査用薬液が揮発してしまう等の不都合が生じ、検査
の信頼性を乏しくしてしまうという問題があった。
【0009】本考案は以上のような問題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、医療機関において使用前の
長期保管が可能で、かつ喀痰時点で薬効喪失がなく、更
に痰液収容後容器からの液漏れ等を防止した喀痰検査用
集細胞器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するために、本考案に係る喀痰検査用集細胞器は、喀痰
検査用薬剤の溶媒成分が予め収容されており、被検者の
痰液が入れられる容器と、前記容器の上方に嵌着する蓋
と、を有し、前記容器上端開口部には、シール部が設け
られ、前記蓋の内側には、前記喀痰検査用薬剤の他の成
分を含浸させた吸水性及び密着性を有するパッキング部
材が嵌合していることを特徴とする。
【0011】また、本考案に係る喀痰検査用集細胞器
は、前記パッキング部材が紙材又は紙製のパッキング、
又はパルプを圧縮形成してなる部材であることを特徴と
する。
【0012】更に、本考案に係る喀痰検査用集細胞器
は、前記パッキング部材の裏面にアルミ箔が添着されて
いることを特徴とする。
【0013】
【作用】以上のように構成された本考案の喀痰検査用集
細胞器において、容器内に喀痰検査用薬剤の溶媒成分
を、また蓋の内側に嵌合したパッキング部材に喀痰検査
用薬剤の他の成分を含浸させ、更に容器上端開口部にシ
ール部を設けたので、痰液を収容する前に溶媒と喀痰検
査用薬剤とが混合されない。このため、経時による薬効
の劣化を防止することができる。
【0014】また、蓋の内側に嵌合させる部材がパッキ
ング部材であるため、薬剤成分を含浸させることがで
き、薬剤成分をパルプ材の繊維の中に保持できる。更に
シール部を剥離した後でも容器と蓋との密閉性が保たれ
る。このため、液漏れが生じない。
【0015】更に、このパッキング部材が紙材、紙製の
パッキング、又はパルプを圧縮形成してなる部材である
場合には、更に容器と蓋の密着性が向上し、かつ薬剤の
含浸性が良好である。
【0016】また、パッキング部材の裏面にアルミ箔が
添着されているので、パッキング部材の裏面から薬剤が
染み出すことがない。
【0017】
【実施例】以下、図に基づいて本考案の好適な実施例を
説明する。
【0018】図1には、本考案に係る喀痰検査用集細胞
器10の構造を説明する断面図が示され、図2には、喀
痰時の操作を説明する要部断面図が示されている。ま
た、図3には、喀痰後の喀痰検査用集細胞器10の状態
を示す要部断面図が示され、図4には、喀痰後に喀痰検
査用薬剤が溶媒に溶解していく状態を説明する要部断面
図が示されている。
【0019】図1に示すように、喀痰検査用集細胞器1
0は、透明性合成樹脂成形物等からなる筒状の容器11
と、容器11の上方に外嵌着される蓋14とからなる。
そして、蓋14と容器11とは、例えば図1に示される
ように螺嵌されている。
【0020】また、容器11の内底部11bは、細胞の
沈積とその細胞を後にスポイトで吸引しやすいように凹
錘形に形成されている。そして、容器11の上方開口部
11aには、使用前の溶媒漏れ及び揮発を防止し、裂破
または剥離可能なシール部13が設けられている。一
方、容器11内には、喀痰検査用薬剤を溶解させる溶媒
成分12が予め収容され、蓋14の内側には、裏面にア
ルミ箔18が添着されている喀痰検査用薬剤の他の成分
が含浸された紙材20が、嵌合されている。なお、蓋1
4の内側に嵌合され、喀痰検査用薬剤を含浸する部材
は、紙材に限るものではなく、コルク材又はパルプを圧
縮形成してなる部材等の吸水性及び密着性を有する部材
であればよい。また、紙材20は、複数枚の紙が積層さ
れ圧縮することによって形成される。
【0021】また、本実施例において、容器11内に収
容されている溶媒成分12は、50%アルコール液であ
り、またシート部13は、パラフィルムである。一方、
紙材20に含浸されているのは、ジチオスレイトール
(D.D.T)等の粘液溶解剤のアルコール溶液である
が、この粘液溶解剤のみならず、アルコール等の溶媒中
で薬効が劣化する酵素剤及びある種の酸化防止剤を紙材
20に含浸されてもよい。
【0022】また、アルミ箔18は、所定量の薬剤を紙
材20に含浸させた際に紙材20の裏面に薬剤が染み出
すことを防止している。このため、所定量の薬剤が溶媒
成分に溶解し、検査の信頼性が保証される。また、紙材
20の厚みは、容器11に蓋14を螺嵌した際に、シー
ル部13と紙材20の表面とが密接するくらいであるこ
とが好ましい。これにより、図3に示すように紙材20
は、容器11と蓋14との間をパッキングして、シール
部13を除去し喀痰17後の保存・運搬の際の液漏れ及
び揮発を防止する。
【0023】次に、上記構成の喀痰検査用集細胞器10
の使用方法について説明する。
【0024】図2に示されるように、被検者は、痰液1
7を容器11内に収容する場合、まず、蓋14を外して
開口部11aよりシール部13を指等で破いたり又は剥
がしたりして、開放された開口部11aより喀痰する。
その後、蓋14を容器11に装着密封し、喀痰検査用集
細胞器10を繰り返し上下に振り動かす。このとき、図
4に示すように、喀痰検査用集細胞器10が逆さにな
り、紙材20の表面と溶媒成分12が接すると、紙材2
0に含浸されたD.D.T等の粘液溶解剤が溶媒成分1
2に溶け出す。従って、従来の蓋の内側に固着された固
形薬剤に比べ溶出速度が速く、このため短時間で所定量
の粘液溶解剤が溶媒中に溶出する。
【0025】これによって、所望の薬効が発揮され、溶
媒成分12中の痰液17は液中に均一に溶解し、痰液1
7中に含まれていた細胞が容器11の内底部11bに沈
積する。従って、医療機関では、この沈積した細胞をス
ポイト等で吸引してスライドグラスに塗抹し、染色し、
診断することができる。
【0026】
【考案の効果】以上のように、本考案の喀痰検査用集細
胞器は、容器内に喀痰検査用薬剤の溶媒成分を、また蓋
の内側に嵌合した吸水性及び密着性を有するパッキング
部材に喀痰検査用薬剤の他の成分を含浸させ、更に容器
上端開口部にシール部を設けたので、痰液を収容する前
に溶媒と喀痰検査用薬剤とが混合されない。このため、
経時による薬効の劣化を防止することができ、検査の信
頼性を保証できる。
【0027】また、蓋の内側に嵌合させる部材がパッキ
ング部材であるため、薬剤成分を含浸させることがで
き、更にシール部を剥離した後でも容器と蓋の密閉性が
保たれる。このため、液漏れが生じず、検査の信頼性を
保証できる。
【0028】更に、このパッキング部材が紙材、紙製の
パッキング、又はパルプを圧縮形成してなる部材である
場合には、容器と蓋の密着性が向上し、液漏れを防止で
きる。また、蓋の内側に嵌合させる前に、薬剤を容易に
所定量含浸させることができる。更に上記のパンキング
材にしたことによって、安価に喀痰検査用集細胞器を製
造することができる。
【0029】また、パッキング材の裏面にアルミ箔を添
着したことにより、パッキング材の裏面に薬剤が染み出
すことがない。このため、検査に必要な所定量の薬剤を
痰液と反応させることができ、検査の信頼性を保証でき
る。
【0030】また、薬剤を含浸させているので、固形薬
剤に比べ容器内の溶媒に短時間で溶出し、容易に痰液が
溶媒に溶解する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る喀痰検査用集細胞器の構造を説明
する断面図である。
【図2】喀痰時の操作を説明する要部断面図である。
【図3】喀痰後の喀痰検査用集細胞器の状態を示す要部
断面図である。
【図4】喀痰後に喀痰検査用薬剤が溶媒に溶解していく
状態を説明する要部断面図である。
【図5】従来の喀痰検査用集細胞器の構造を説明する断
面図である。
【符号の説明】
10 喀痰検査用集細胞器 11 容器 11a 開口部 11b 内底部 12 溶媒成分 13 シート部 14 蓋 17 痰液 18 アルミ箔 20 紙材

Claims (5)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 喀痰検査用薬剤の溶媒成分が予め収容さ
    れており、被検者の痰液が入れられる容器と、 前記容器の上方に嵌着する蓋と、 を有し、 前記容器上端開口部には、シール部が設けられ、 前記蓋の内側には、前記喀痰検査用薬剤の他の成分を含
    浸させた吸水性及び密着性を有するパッキング部材が嵌
    合していることを特徴とする喀痰検査用集細胞器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の喀痰検査用集細胞器にお
    いて、 前記パッキング部材は、紙材であることを特徴とする喀
    痰検査用集細胞器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の喀痰検査用集細胞器にお
    いて、 前記パッキング部材は、紙製のパッキングであることを
    特徴とする喀痰検査用集細胞器。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の喀痰検査用集細胞器にお
    いて、 前記パッキング部材は、パルプを圧縮形成してなる部材
    であること特徴とする喀痰検査用集細胞器。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の喀痰検査用集細胞器にお
    いて、 前記パッキング部材の裏面には、アルミ箔が添着されて
    いることを特徴とする喀痰検査用集細胞器。
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