JP2551497Y2 - フラッシュバルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、便器に洗浄水を供給
するフラッシュバルブの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】従来、便器に洗浄水を供給
する際に操作されるフラッシュバルブは、図４に一部断
面構成図で示すような構造となっており、フラッシュバ
ルブ１の本体部２内には上下動可能にピストン部３が内
装されており、このピストン部３は図３に拡大して示す
ように、ピストン上部材４とピストン下部材５が螺合さ
れて一体化され、ピストン下部材５の下面には弁パッキ
ン６が設けられ、さらにその下方には垂下状にピストン
ガイド７が形成されており、また、ピストン下部材５の
上面には起動弁パッキン８が設けられており、起動弁パ
ッキン８の上面に当接して垂下状に起動弁９が配設さ
れ、起動弁９の上面はピストンスプリング１０により押
圧されており、ピストン上部材４の上面側には上下に貫
通して水孔１１，１１が形成され、また、ピストン上部
材４には貫通状に１個の小孔１４が形成されており、小
孔の下部の外周側にはストレーナー１３がピストン上部
材の外周に巻着状に取付けられており、このピストン部
３は外周に設けられたＵパッキン１２により水密状に本
体部２内に内装されたものであり、本体部２の前記スト
レーナー１３の外周側には水路Ｒが形成されており、さ
らにピストン部３の上面側の本体部２内には水室Ｗが形
成されており、本体部２には、ユニオン１５を介し連通
状にチャッキ弁部１６が接続されており、さらに本体部
２の下部には押棒１８を有するハンドル１７が配設さ
れ、本体部２の下方にはバキュームブレーカー部１９が
設けられた構造となっており、用便後に用便者がハンド
ル１７を操作することにより、押棒１８を介して前記起
動弁９が傾動し、起動弁９の傾動により、起動弁９と起
動弁パッキン８間に隙間が生じて、前記水室Ｗ内に溜め
られている水が、水孔１１を通し水路Ｒ側に落下し、こ
れによりチャッキ弁部１６およびユニオン１５内を通し
て本体部２内へ流入する水の水圧により、瞬間的にピス
トン部３全体が水室Ｗ側へ上動し、これにより弁パッキ
ン６と本体部２間に隙間が生じて、洗浄水が一気に下流
側に流され、洗浄水が便器に供給されるものであり、こ
の時に、空気室Ｅの左弁２３が開かれ、アーム２１を介
し右弁２２は閉ざされた状態となる。水路Ｒを通る洗浄
水は除々にピストン部３の小孔１４から前記水室Ｗ内に
流入し、水室Ｗ内が水で満たされることにより、ピスト
ン部３は下方へ移動して洗浄水Ｋ供給が終了する。この
場合には空気室Ｅの左弁２３が閉じ右弁２２が開放され
て、ハキュームブレーカー部１９の空気路２０から外気
が空気室Ｅ内に流入されて、空気Ｅは大気圧に保持さ
れ、便器側からの汚水の逆流が防止される。

【０００３】このようなフラッシュバルブ１において、
図５に概略平面図で示すように、操作時等にピストン部
３が水平面内で回転して、前記小孔１４が前記ユニオン
１５側に位置したような場合には、ストレーナー１３を
通りユニオン１５側からの水圧が直接小孔１４に作用
し、小孔１４から急速に水が水室Ｗ内に流入されること
となり、水室Ｗ内への水の充満が急速に行われ、従っ
て、ピストン部３が早期に下方へ移動して閉じられるこ
とになり、ピストン部３の開放時間が短くなって、十分
な洗浄水量が便器側へ供給されなくなるという問題点が
あった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は上記従来の問題
点に鑑み案出したものであって、ピストン部の小孔に直
接的に水が流入することを良好に防止でき、便器側へ供
給される洗浄水の量を十分に確保することのできるフラ
ッシュバルブを提供せんことを目的とし、その要旨は、
水路と水室を連通させる小孔と、該小孔の水路側外周に
巻着された網状のストレーナーを有するピストン部を内
装してなるフラッシュバルブにおいて、前記ストレーナ
ーの前記小孔の位置に、該小孔へ直接的に水が流入する
のを防ぐ遮蔽部を形成し、該遮蔽部に、ストレーナーの
位置決め用の係合凹部を形成したことである。

【０００５】

【作用】ピストン部を構成するストレーナーには、網の
存在しない遮蔽部が形成されており、この遮蔽部には係
合凹部が形成されているため、係合凹部を介してピスト
ン部の外周の小孔の位置に確実に遮蔽部を配置させ、こ
の遮蔽部により小孔へ直接的に水が流入するのを良好に
防ぐことができ、小孔が水圧のかかる位置に回動された
時にも水室内への急激な水の充満を防ぎ、十分な洗浄水
量を確保することができる。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は、前記図４で示したフラッシュバルブの本
体部２内に内装されるピストン部３の斜視図であり、図
２はこのピストン部３の外周に巻着されるストレーナー
１３の斜視図である。又、図３はピストン部３の縦断面
図である。

【０００７】ピストン部３の構成部材については先に説
明しているため説明を省略するが、本例におけるピスト
ン部３の外周に巻着されるストレーナー１３には、網部
１３ａ，１３ａの存在しない板状の遮蔽部１３ｂが一体
形成されたものとなっており、この遮蔽部１３ｂの上縁
部には窪み状に係合凹部１３ｃが形成され、さらに遮蔽
部１３ｂの下縁部にも窪み状に係合凹部１３ｄが対向状
に形成されたものとなっている。

【０００８】また、ピストン部３のピストン上部材４の
前記小孔１４の外側には、下方へ突出して係合突部４ａ
が一体形成されており、また、この係合突部４ａと対向
してピストン下部材５からは上方へ突出して係合突部４
ｂが一体形成されたものとなっており、この係合突部４
ａおよび４ｂが、前記ストレーナー１３の係合凹部１３
ｃ，１３ｄ内に係合できる構造に形成されており、係合
突部４ａ，４ｂと係合凹部１３ｃ，１３ｄの係合によ
り、ピストン部３の外周に位置決めされた状態でストレ
ーナー１３が取付けられる。この取付状態においては、
ストレーナー１３の遮蔽部１３ｂが小孔１４の入口側外
周に配置されることとなり、小孔１４内へ直接的に水流
が流入することが遮蔽部１３ｂにより防がれる。

【０００９】したがって、このようなピストン部３をフ
ラッシュバルブ１の本体部２内に内装すれば、本体部２
内でピストン３が水平面内で回動して、図５に示すよう
に小孔１４がユニオン１５側に移動した場合にも、ユニ
オン１５からピストン部３に直接的に加わる水圧は、ス
トレーナー１３の遮蔽部１３ｂに当接し、迂回して網部
１３ａを通り小孔１４に流入することとなるため、従来
のように直接的に水圧の大なる水流が小孔１４を通り水
室Ｗ内に流入することがなく、遮蔽部１３ｂにより遮蔽
されて小孔１４を通りゆっくりと水室Ｗ内へ水が充満
し、その間の時間を稼ぐことができるため、ピストン部
３の開放時間は十分に確保されて、十分な洗浄水量が便
器側へ供給される。このように、ピストン部３がどのよ
うな位置に移動しても、良好にピストン部３の開放時間
を確保することができる。

【００１０】

【考案の効果】本考案は、水路と水室を連通させる小孔
と、該小孔の水路側外周に巻着された網状のストレーナ
ーを有するピストン部を内装してなるフラッシュバルブ
において、前記ストレーナーの前記小孔の位置に、該小
孔へ直接的に水が流入するのを防ぐ遮蔽部を形成し、該
遮蔽部に、ストレーナーの位置決め用の係合凹部を形成
したことにより、遮蔽部により遮断されて直接的に小孔
へ高圧水が流入することがなく、したがって小孔から除
々に水室内に水が充満され、十分な洗浄水の便器側への
流出時間を稼ぐことができ、従来のようにピストン部の
回動により十分な洗浄水量が確保できなくなるという不
具合を良好に解消できる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のピストン部の斜視構成図である。

【図２】ピストン部の外周に巻着されるストレーナーの
斜視構成図である。

【図３】図１のピストン部の縦断面拡大図である。

【図４】フラッシュバルブの全体構成を示す一部断面構
成図である。

【図５】小孔がユニオン側に移動した状態の要部概略平
面図である。

【符号の説明】

１ フラッシュバルブ ２ 本体部 ３ ピストン部 ４ ピストン上部材 ４ａ，４ｂ 係合突部 ５ ピストン下部材 ６ 弁パッキン １３ ストレーナー １３ａ 網部 １３ｂ 遮蔽部 １３ｃ，１３ｄ 係合凹部 １４ 小孔 Ｒ 水路 Ｗ 水室

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水路と水室を連通させる小孔と、該小孔
   の水路側外周に巻着された網状のストレーナーを有する
   ピストン部を内装してなるフラッシュバルブにおいて、
   前記ストレーナーの前記小孔の位置に、該小孔へ直接的
   に水が流入するのを防ぐ遮蔽部を形成し、該遮蔽部に、
   ストレーナーの位置決め用の係合凹部を形成したことを
   特徴とするフラッシュバルブ。