JP2545262B2 - 原子燃料集合体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は原子燃料集合体、特に集合体の伸び量を低減
し、燃料設計を容易ならしめた加圧水型原子炉（PWR）
用燃料集合体に関するものである。

（従来の技術） 従来の原子燃料集合体は第５図に示す如く燃料棒
（１），制御棒案内管（２），炉内計装用案内管
（３），支持格子（４），上下部ノズル（５），
（６），押えばね（７）からなっており、第６図に示す
ように支持格子（４）の燃料挿通セル（１）′内の所定
数の選択されたセル位置は制御棒案内管挿通セル
（２）′として燃料棒に替えて前記制御棒案内管（２）
が挿通され、また中央部付近には炉内計装用の案内管を
挿通せるセル（３）′を形成され、前記炉内計装用案内
管（３）が挿通されて集合体に構成されている。

そして、燃料棒（１）および制御棒案内管（２），更
に炉内計装用案内管（３）は上部ノズル（５）と下部ノ
ズル（６）間に位置する複数個、例えば７〜９個の支持
格子（４）で各燃料棒（１），制御棒案内管（２），炉
内計装用案内管（３）間に夫々所定の間隔をもって正方
格子状に配列支持されている。

叙上のような第５図で示される燃料集合体の構成にお
いて、その支持格子（４）は通常、最上部および最下部
の２個所で制御棒案内管（２）に固定されているか、ま
たは別のタイプの燃料集合体ではすべての支持格子位置
で制御棒案内管（２）に固定されている。

そのため、燃料棒が照射により成長すると、その軸方
向の伸び量は一般に制御棒案内管の伸び量より大きいの
で、支持格子を介して制御棒案内管に伝わり、固定され
た支持格子間の制御棒案内管は燃料棒の伸び量に応じて
伸びる。そこで支持格子が制御棒案内管の最上部，最下
部の両端で固定されている場合には、その支持格子間の
燃料棒の伸び量が制御棒案内管を伸張させることによ
り、集合体の伸びに直接影響する。また、すべての支持
格子を固定している場合にもその効果は同じて燃料等の
伸びはひとしく集合体の伸びにつながる。

そして、この集合体の伸び量は原子力発電の経済性向
上を目指して現在、有効な方策と考えられている高燃焼
度までの使用にあたってはさらに増加するものと思われ
る。

若し、集合体の伸び量が大きいと最悪の場合、集合体
上部の押えばね（７）が第５図における上部炉心板
（８）と過度に干渉し、変位量が過大になって健全性が
損なわれる。と云って、この過度の干渉を避けるために
集合体の全長を短くすると、上部の押えばねは燃料寿命
中にわたるより大きな変位量に対応して上昇する冷却材
流による燃料集合体の浮き上がりの防止を確保しなけれ
ばならないが、これは極めて厳しい設計条件となる。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は上述の如き実状に対処し、支持格子と制御棒
案内管との相互関連に着目し、これを究明することによ
り、上記燃料集合体の伸び量を低減し、前記矛盾を解消
することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 即ち、上記目的に適合する本発明の特徴とするところ
は、前述の如き第５図図示の燃料集合体において、特に
その最下部又は実質的に最下方に位置する複数の支持格
子のみを制御棒案内管に固定せしめ、他の支持格子を上
記制御棒案内管に固定することなく摺動可能としたこと
にある。

（作用） 上述の如く最下部又は実質的に最下方に近く位置する
支持格子のみを制御棒案内管に固定せしめたことにより
燃料棒が照射成長し、伸びたとしてもその変位が制御棒
案内管に伝わることはなく、従って、燃料集合体は何ら
影響を受けることはない。

特に最下部の外、その上の支持格子を固定することに
より冷却材流に対する強度を増加する。

また、最下部、更に最上部支持格子の制御棒案内管挿
通セルにスリーブまたはガイド管を符設することにより
集合体の横剛性を強化し、かつ最上部では支持格子と制
御棒案内管の摺動部の構造強度をより高めることとな
る。

（実施例） 以下、更に添付図面を参照し、本発明の具体的実施例
を説明する。

第１図は本発明に係る燃料集合体の１例を示す概要説
明図で、燃料棒（１），制御棒案内管（２），支持格子
（４）を夫々、実際は第５図，第６図に示す如く複数で
あるが、略画的に各体宛又は幾つか例を示し、制御棒案
内管（２）の上下に夫々ノズル（５），下部ノズル
（６）を配している。

しかして、本発明燃料集合体は上記の集合体におい
て、最下部の支持格子（4a）のみを制御棒案内管（２）
に固定（９）した集合体である。

従って、他の支持格子（４）は制御棒案内管（２）に
固定されることなく、そのため、燃料棒（１）が伸びて
もその変位が制御棒案内管（２）に伝わることはない。

しかし、このように最下部の支持格子（4a）以外は制
御棒案内管に対し摺動可能であるが、支持格子の過度な
移動を防ぐために第２図に示すように上下にフエルール
（10）を固定している。勿論、最上部の支持格子にも図
示していないが、同様にフエルールを支持格子上下に設
けている。

なお、支持格子と制御棒案内管の固定（９）は前述の
如く普通はバルジ法によって行われる。即ち、最下部支
持格子に溶接したスリーブ管（11）を制御棒案内管
（２）と局所的に一体拡管させるものである。また第２
図に示すフエルールの固定もやはりバルジ法が適用可能
である。

第３図および第４図は前記実施例の別の応用例を示し
ており、第３図では最下部の支持格子およびその上の支
持格子の２つを固定している。これは固定支持格子数を
所期の目的，効果を阻害しない範囲において増やして冷
却材流に対する強度増加をねらったものである。

又、第４図は最上部支持格子の制御棒案内管位置に制
御棒案内管（２）の外径とほぼ等しい内径をもつガイド
管（12）を支持格子の上または下に溶接し、これに制御
棒案内管（２）を嵌挿した状態で、最上部支持格子は制
御棒案内管に対し摺動可能な構造であるが、最上部支持
格子と制御棒案内管の摺動部の構造強度を高めて重合体
の横剛性の強化を意図するものである。

かくして、燃料棒が照射成長し、伸びを示しても支持
格子と制御棒案内管は最下部または実質的に最下部に位
置する支持格子のみで固定されているにすぎないため、
その伸び量が制御棒案内管を伸張させるに至らず、従っ
て集合体の伸びに直接影響を与えることがなく、集合体
の伸びに起因する種々の問題点を解決することができ
る。

（発明の効果） 本発明は以上のように原子燃料集合体において最下部
または実質的に最下方に位置する複数の支持格子のみを
制御棒案内管に固定せしめ、他の支持格子は固定するこ
となく摺動可能となしたものであり、最下部または実質
的に下方の支持格子以外では支持格子は制御棒案内管に
対し摺動可能状態にあるので、燃料棒が照射成長しても
その伸びは支持格子の摺動により上方に吸収されて集合
体は何らその影響を受けることがなく、また集合体の伸
び量は支持格子の燃料棒保持力の影響を受けにくくなる
ので、燃料設計時の伸び予測解析が簡素化されると共
に、伸び量が低減することから上部押えばねの設計も楽
になり、材料の選択幅が広がり、現行の燃料設計製造技
術に基づく改良に頗る顕著な効果を有し、原子力発電の
経済性向上に対処しその有効さが期待される高燃焼度ま
での使用の面でもその実効が期待される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る燃料集合体の１例を示す要部説明
概略図、第２図はフエルール固定態様を示す説明図、第
３図は本発明の他の実施例の要部概略図、第４図は最上
部支持格子と制御棒案内管の結合態様の１例を示す説明
図、第５図は燃料集合体の構成例を示す一部省略正面概
要図、第６図は燃料棒，制御棒案内管等の配置例を示す
支持格子横断面図である。 （１）……燃料棒，（２）……制御棒案内管， （３）……炉内計装用案内管， （４）……支持格子，（５）……上部ノズル， （６）……下部ノズル，（10）……フエルール， （11）……スリーブ管，（12）……ガイド管，

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の長尺燃料棒を互いに平行に正方格子
   状に配列して軸方向に所定の間隔で配置させた複数個の
   支持格子で横方向移動を拘束し、上記燃料棒の正方格子
   状配列の少なくとも一部の個所には燃料棒に替えて長尺
   中空の制御棒案内管を置換，嵌挿させ、かつ上記制御棒
   案内管の上下端には夫々燃料棒の上下端を区画する上部
   ノズル，下部ノズルを取付け、さらに燃料棒の下端と下
   部ノズルとを接触させると共に、燃料棒の上端と上部ノ
   ズルとの間には間隙を設けた原子燃料集合体において、
   最下部または実質的に最下方に位置する複数の支持格子
   のみを前記制御棒案内管に固定せしめ、他の支持格子を
   上記制御棒案内管に固定することなく摺動可能としたこ
   とを特徴とする原子燃料集合体。