JP2544305Y2 - 床吹出し口装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、床吹出し構造の空調シ
ステムにおいて使用される床吹出し口装置に関し、更に
詳述すれば、従前の空調システムから床吹出し構造の空
調システムに改修した際、余剰となる圧力エネルギーを
有効な旋回エネルギーに変換して室内に空気を吹出す床
吹出し口装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の床吹出し口装置は、例えば、図６
及び図７に示す構造からなっている。図６及び図７は、
従来のコンセントリックタイプの床吹出し口装置を例示
したもので、この床吹出し口装置は、床の下面に配置さ
れるケーシングが、床パネルｈに固着される外筒ａと該
外筒内周面に沿って回転する内筒ｃとから構成され、か
つ前記外筒ａ及び内筒ｃの夫々の胴部に所定間隔で開口
部ｂが形成されたスライド式二重円筒構造を有し、前記
内筒ｃの回転により回転式ダンパを構成している。更
に、前記ケーシングの上部には床面に設けられる蓋ｄが
載置されており、前記蓋ｄには同心円状の環状開口部ｅ
が形成されている。また、前記蓋ｄの下方に位置するケ
ーシング内部には、上側ガイドベーンｆと下側ガイドベ
ーンｇとから形成される回転体のガイドベーンが配置さ
れている。そして、空調用空気は床下から前記外筒ａと
前記内筒ｃの胴部に夫々設けられた前記開口部ｂを通っ
て内筒内に導入され、導入された空気はケーシング内壁
に当たって自然に旋回流を形成しながら上昇し、前記ガ
イドベーンｆ，ｇを通って蓋ｄの開口部ｅを経て室内に
供給されるようになっている。その際、前記ガイドベー
ンｆ，ｇが略円錐形の案内羽構造により構成されてお
り、このため、強い旋回流を得ようとすると上向きの気
流速を遅くしなければならない。即ち、吹出し流の到達
距離と旋回流とは逆の相関関係にあった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来装置では、前記ガイドベーンの案内羽の角度によ
ってのみ吹出し口の性能が決定し、その吹出し口におい
て制御できるのは風量のみであった。従って、旋回流の
強さを任意に変化させると共に、吹出し流の到達距離及
び風量を共に制御することができなかった。本考案は、
上記事情に鑑みなされたもので、ケーシング内の旋回流
の強さを任意に制御できると共に、風量及び吹出し流の
到達距離を同時制御できる床吹出し口装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００４】

【問題点を解決するための手段】即ち、本考案の上記目
的は、内部に渦巻状の案内隔壁を配置しかつ底部中心近
傍に気流取入開口部を形成したケーシングと、前記案内
隔壁の出口ノズル部に設けられる第１の流量可変手段
と、前記気流取入開口部に設けられる第２の流量可変手
段と、環状吹出口を有して前記ケーシングの上方に螺合
される上蓋とからなることを特徴とする床吹出し口装置
により達成される。

【０００５】

【作用】案内隔壁により形成される渦巻形流路の出口面
積を第１の流量可変手段により可変することにより前記
案内隔壁を通ってケーシング内に発生する気流の旋回流
の強さと風量とを同時に制御できる。又、ケーシングの
底部中心に設けられた気流取入開口部の断面積を第２の
流量可変手段で可変することにより、風量及び吹出し流
の到達距離を同時制御できる。従って、第１の流量可変
手段と第２の流量可変手段の２つの流量可変手段を用い
た総合調整により風量及び吹出し流の到達距離を任意に
調整することが可能である。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の床吹出し口装置の実施例を図
面に基づいて詳細に説明する。図１は本考案の１実施例
を示す平面図、図２は図１のＡ−Ａ線における垂直断面
図を夫々示している。なお、図１の左半分は、後述する
上蓋を省略した状態を示している。図において、この床
吹出し口装置は、略円筒状に設けられかつ二重底構造に
形成されて床下に配置するケーシング６と、前記ケーシ
ング６の内部に配設される渦巻状の案内隔壁１２，１３
（図３参照）と、前記案内隔壁１２，１３の出口ノズル
部１４，１５に配置される第１の流量可変手段となるダ
ンパ１６（図４参照）と、前記二重底構造の上方底板２
６に形成される扇状の気流取入開口部２１と、前記気流
取入開口部２１に配置されて該開口部を開度調整する第
２の流量可変手段となるダンパ２２と、環状吹出口２が
形成されてケーシング上部に螺合される上蓋１とから概
略構成されている。

【０００７】上記の各構成要素について、更に詳細に説
明する。図１及び図５に於いて、前記上蓋１は、フラン
ジ面に前記環状吹出口２を有すると共に中心部が開口さ
れており、前記開口には、指針付調整ハンドル２３が回
転可能に嵌入されると共に開口周縁にダンパ開口量調整
用目盛３が刻印されている。また、前記上蓋１は胴部４
に雄ネジ５が螺刻されている。一方、前記ケーシング６
は、床パネル７に設けられる穴部に係合すると共に、上
端フランジ部の複数箇所に形成した座８を介して前記床
パネル７にビス止めされており、また、その上部内周面
に雌ネジ９が刻設されて前記上蓋１が螺合可能に設けら
れている。

【０００８】図１及び図３に於いて、前記案内隔壁１
２，１３は、渦巻状に形成した２つの隔壁が周方向に互
いに１８０°ずれた状態に配置されかつ前記二重底構造
の上方底板２６上に配置され、取入れ空気に旋回流が付
与できるように構成している。即ち、前記ケーシング６
は、その胴部と１つの前記案内隔壁１２とにより設けら
れる渦巻形流路の１箇所が周方向に切欠かれて第１の空
気取入口１０を形成すると共に、前記第１の空気取入口
１０と１８０°対称位置において、ケーシング胴部と他
の前記案内隔壁１３とで区画される渦巻形流路に第２の
空気取入口１１を形成している。更に、前記各渦巻形流
路は、前記空気取入口１０，１１より導入された空気が
１８０°旋回された後、ケーシング内に夫々供給される
ための出口ノズル部１４，１５を渦中心寄りの位置に形
成している。

【０００９】図４に於いて、前記出口ノズル部１４，１
５について更に説明すると、前記出口ノズル部１４，１
５には風量を調整するためのダンパ１６が設けられてい
る。なお、前記出口ノズル部１４，１５は互いに対称位
置に配置されるだけで同一構造を有しているので、１つ
の出口ノズル部１４についてのみ説明する。前記ダンパ
１６は、前記案内隔壁１３の端部を一部切断した形状の
可動片１７により構成されている。

【００１０】前記可動片１７は前記隔壁１３の端部と係
合した軸１８に一端が枢支され、かつ前記軸１８の端部
に配置したスプリング１９により前記出口ノズル部１４
を開放する方向に付勢されている。また、前記可動片１
７はその内周面が、前記出口ノズル部１４近傍において
前記二重底構造の上方底板２６に枢着したエキセントリ
ックなカム２０と当接され、前記カム２０の回動により
揺動自在に設けられている。従って、前記可動片１７
は、前記カム２０の回転に協動して前記出口ノズル部１
４の開口面積を可変にし、風量調整を可能に構成してい
る。図１及び図３に戻って、前記二重底構造の上方底板
２６に形成される前記気流取入開口部２１が前記案内隔
壁１２，１３により形成される渦中心の近傍に複数個設
けられており、前記気流取入開口部２１を開度調整する
前記ダンパ２２が前記上方底板２６の下面側に配置され
ている。再び図５に戻って、前記ダンパ２２は前記気流
取入開口部２１と略同一形状の扇状の羽を複数枚有して
形成され、かつ前記上蓋１に回動可能に取付けられた前
記指針付調整ハンドル２３と軸２４を介して連結されて
いる。図２に於いて、前記ケーシング６は、二重底間に
前記気流取入開口部２１用のフイルタ２５が配設される
と共に、前記二重底間を形成する胴部に図示しない空気
取入口が設けられている。

【００１１】以上のように構成した床吹出し口装置は、
旋回流の強さと風量及び吹出し流の到達距離を、以下の
操作によって制御する。 第１の流量可変手段となる前記ダンパ１６を揺動し
て、前記出口ノズル部１４，１５の開口面積を変更する
ことにより、旋回流強さ及び風量を調整する。 前記指針付調整ハンドル２３を前記ダンパ開口量調
整用目盛３に基づいて回転する。この操作に連動して第
２の流量可変手段となる前記ダンパ２２が回転されて前
記気流取入開口部２１の開度を変更することにより、風
量と吹出し流の到達距離を調整する。即ち、上記操作の
実施により、ケーシング胴部に設けた２箇所の空気取入
口１０、１１より導入された空気は、ケーシング内部に
渦巻状に設けられた案内隔壁１２、１３及び案内隔壁出
口に設けられた第１の流量可変手段となるダンパ１６を
通ってケーシング中央部に吹き出し、旋回流となってケ
ーシング中心部に渦を形成する。その際、案内隔壁１
２、１３の出口ノズル部１４、１５が開口面積を変化さ
せることで、渦巻形流路の出口風速が変化し、旋回流の
強さを変化させる。一方、旋回流は渦中心部の気圧が低
いために、ケーシング底面の二重底の胴部に設けた空気
取入口より導入された空気は、二重底間を通って渦中心
に設けられたケーシング底部中央の気流取入開口部２１
よりケーシング内に誘引される。誘引された空気は、ケ
ーシング胴部より案内隔壁１２、１３を通って導入され
た空気旋回流と合流し、旋回流となってケーシングの軸
線方向に上昇し、上蓋の環状吹出口２を通じて室内に供
給される。

【００１２】

【考案の効果】以上記載したとおり、本考案の床吹出し
口装置によれば、旋回気流の強さと気流到達距離を任意
に調整できるようになり、好適な空調システムを実現で
きる。また、２個のダンパの設置により、どのような圧
力下でも旋回気流の強さと風量とを夫々独立に調整でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１実施例に基づく床吹出し口装置の概
要を示す平面図である。

【図２】図１に示す床吹出し口装置の一部断面図であ
る。

【図３】本考案における床吹出し口装置でのケーシング
内の旋回流発生構造を説明する図である。

【図４】図１の床吹出し口装置における出口ノズル部を
拡大して示す斜視図である。

【図５】図１の床吹出し口装置における上蓋とケーシン
グとの取付状態を示す分解斜視図である。

【図６】従来例を説明する床吹出し口の部分平面図であ
る。

【図７】図６の垂直断面図である。

【符号の説明】

１ 上蓋 ２ 環状吹出口 ３ ダンパ開口量調整用目盛 ４ 胴部 ５ 雄ネジ ６ ケーシング ７ 床パネル ８ 座 ９ 雌ネジ １０ 第１の空気取入口 １１ 第２の空気取入口 １２，１３ 案内隔壁 １４，１５ 出口ノズル部 １６ ダンパ（第１の流量可変手段） １７ 可動片 １８ 軸 １９ スプリング ２０ カム ２１ 気流取入開口部 ２２ ダンパ（第２の流量可変手段） ２３ 指針付調整ハンドル ２４ 軸 ２５ フイルタ ２６ 上方床板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に渦巻状の案内隔壁を配置しかつ底
   部中心近傍に気流取入開口部を形成したケーシングと、
   前記案内隔壁の出口ノズル部に設けられる第１の流量可
   変手段と、前記気流取入開口部に設けられる第２の流量
   可変手段と、環状吹出口を有して前記ケーシングの上方
   に螺合される上蓋とからなることを特徴とする床吹出し
   口装置。