JP2542908Y2 - 直動玉軸受 - Google Patents
直動玉軸受Info
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- JP2542908Y2 JP2542908Y2 JP10787491U JP10787491U JP2542908Y2 JP 2542908 Y2 JP2542908 Y2 JP 2542908Y2 JP 10787491 U JP10787491 U JP 10787491U JP 10787491 U JP10787491 U JP 10787491U JP 2542908 Y2 JP2542908 Y2 JP 2542908Y2
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- load
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、特に真空中で使用され
る直動玉軸受に関する。
る直動玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の直動玉軸受としては、図
8に示すものがある。この直動玉軸受は、外筒31と、
保持器32と、複数の玉33,33…と、上記保持器3
2の内側に挿入される軸34を有している。上記軸34
の外周面には、周方向に所定の間隔をあけて軸方向に延
びる複数の負荷用軌道溝34aが形成されている。
8に示すものがある。この直動玉軸受は、外筒31と、
保持器32と、複数の玉33,33…と、上記保持器3
2の内側に挿入される軸34を有している。上記軸34
の外周面には、周方向に所定の間隔をあけて軸方向に延
びる複数の負荷用軌道溝34aが形成されている。
【0003】また、図8(B)に示すように、上記外筒3
1の内周面には、軸方向に延びる負荷用軌道部35と、
軸方向に延びる無負荷用軌道溝36とが周方向に所定の
間隔をあけて交互に形成されている。また、上記外筒3
1の内周面には、上記負荷用軌道部35の軸端部と無負
荷用軌道溝36の軸端部とを連絡する連絡部37が形成
されている。
1の内周面には、軸方向に延びる負荷用軌道部35と、
軸方向に延びる無負荷用軌道溝36とが周方向に所定の
間隔をあけて交互に形成されている。また、上記外筒3
1の内周面には、上記負荷用軌道部35の軸端部と無負
荷用軌道溝36の軸端部とを連絡する連絡部37が形成
されている。
【0004】また、上記保持器32は、上記軸34の負
荷用軌道溝34aと上記外筒31の負荷用軌道部35と
の間に複数の玉33,33…を保持するポケット部38
と、複数の玉33を外筒31の無負荷用軌道溝36との
間で保持する無負荷用軌道溝39と、上記ポケット部3
8と無負荷用軌道溝39とを連絡するリターン部(図示
せず)を有する。
荷用軌道溝34aと上記外筒31の負荷用軌道部35と
の間に複数の玉33,33…を保持するポケット部38
と、複数の玉33を外筒31の無負荷用軌道溝36との
間で保持する無負荷用軌道溝39と、上記ポケット部3
8と無負荷用軌道溝39とを連絡するリターン部(図示
せず)を有する。
【0005】46は、外筒31の溝45に嵌合した輪金
であって、玉33を保持する保持器32を外筒31に固
定している。
であって、玉33を保持する保持器32を外筒31に固
定している。
【0006】また、上記玉33には、真空中で蒸発しな
い銀や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤がコーティング
されている。
い銀や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤がコーティング
されている。
【0007】上記軸34が軸方向にスライドすると、上
記玉33は、保持器32によってガイドされ、かつ上記
軸34と外筒31に接した状態で、外筒31の負荷用軌
道部35、連絡部37、無負荷用軌道溝36を順に転動
させられながら循環回転させられる。
記玉33は、保持器32によってガイドされ、かつ上記
軸34と外筒31に接した状態で、外筒31の負荷用軌
道部35、連絡部37、無負荷用軌道溝36を順に転動
させられながら循環回転させられる。
【0008】ところで、玉33が、軸方向から周方向ま
たは周方向から軸方向に転動方向を変えるために、外筒
31の負荷用軌道部35の軸方向の両端部を通過する時
に、玉33が受ける抵抗力が上記軸受のスライド摩擦力
を増加させる。特に、上述したように玉33が固体潤滑
剤で潤滑されている場合は、玉33が受ける上記抵抗力
が上記スライド摩擦力を大巾に増加させる。
たは周方向から軸方向に転動方向を変えるために、外筒
31の負荷用軌道部35の軸方向の両端部を通過する時
に、玉33が受ける抵抗力が上記軸受のスライド摩擦力
を増加させる。特に、上述したように玉33が固体潤滑
剤で潤滑されている場合は、玉33が受ける上記抵抗力
が上記スライド摩擦力を大巾に増加させる。
【0009】また、上記玉33に加わる荷重も、上記外
筒31の負荷用軌道部35の中央部よりも、上記両端部
で大きくなる。
筒31の負荷用軌道部35の中央部よりも、上記両端部
で大きくなる。
【0010】そこで、図2(B)に示すように、外筒31
の負荷用軌道部35の両端部に上記連絡部37に連なる
傾斜部35aを形成して、玉33が外筒31の負荷用軌
道部35と連絡部37との間を転動する際に、玉33の
上下動を緩やかにして、上記両端部での玉33の転動を
スムーズにしている。
の負荷用軌道部35の両端部に上記連絡部37に連なる
傾斜部35aを形成して、玉33が外筒31の負荷用軌
道部35と連絡部37との間を転動する際に、玉33の
上下動を緩やかにして、上記両端部での玉33の転動を
スムーズにしている。
【0011】
【考案が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
直動玉軸受では、上記両端部の傾斜部35aと上記中央
部の非傾斜部35bとの境界のエッジ35c(図2(B)参
照)を玉33が通過するときに、玉33にコーティング
した固体潤滑膜が剥がれ易いという問題がある。
直動玉軸受では、上記両端部の傾斜部35aと上記中央
部の非傾斜部35bとの境界のエッジ35c(図2(B)参
照)を玉33が通過するときに、玉33にコーティング
した固体潤滑膜が剥がれ易いという問題がある。
【0012】そこで、本考案の目的は、外筒の負荷用軌
道部の両端を玉が通過するときに、玉に加わる接触応力
を抑えて、玉の表面に設けた固体潤滑膜の損傷を抑える
ことができる直動玉軸受を提供することにある。
道部の両端を玉が通過するときに、玉に加わる接触応力
を抑えて、玉の表面に設けた固体潤滑膜の損傷を抑える
ことができる直動玉軸受を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案は、周方向に所定の間隔をあけて軸方向に延
びる複数の負荷用軌道部が外周面に形成された軸と、上
記軸の外周に上記軸と同軸に配設され、内周面に軸方向
に延びる負荷用軌道部と無負荷用軌道部とが周方向に所
定の間隔をあけて交互に形成されると共に、隣接する上
記負荷用軌道部と無負荷用軌道部とを連絡する連絡部が
形成された外筒と、上記軸の負荷用軌道部と上記外筒の
負荷用軌道部との間に複数の玉を保持するポケット部
と、複数の玉を上記外筒の無負荷用軌道部との間で保持
する無負荷用軌道溝と、上記ポケット部と上記無負荷用
軌道溝とを連絡するリターン部とを有した保持器とを備
え、上記複数の玉、もしくは外筒および保持器の軌道部
の少なくともいずれか一つの表面に固体潤滑膜が設けら
れた直動玉軸受において、上記外筒の負荷用軌道部の軸
方向の両端に上記連絡部に連なる傾斜部が形成され、上
記外筒の負荷用軌道部の非傾斜部と上記傾斜部との接合
部を、次の数1で表わした範囲内の値をとる曲率半径R
で湾曲させたことを特徴としている。
め、本考案は、周方向に所定の間隔をあけて軸方向に延
びる複数の負荷用軌道部が外周面に形成された軸と、上
記軸の外周に上記軸と同軸に配設され、内周面に軸方向
に延びる負荷用軌道部と無負荷用軌道部とが周方向に所
定の間隔をあけて交互に形成されると共に、隣接する上
記負荷用軌道部と無負荷用軌道部とを連絡する連絡部が
形成された外筒と、上記軸の負荷用軌道部と上記外筒の
負荷用軌道部との間に複数の玉を保持するポケット部
と、複数の玉を上記外筒の無負荷用軌道部との間で保持
する無負荷用軌道溝と、上記ポケット部と上記無負荷用
軌道溝とを連絡するリターン部とを有した保持器とを備
え、上記複数の玉、もしくは外筒および保持器の軌道部
の少なくともいずれか一つの表面に固体潤滑膜が設けら
れた直動玉軸受において、上記外筒の負荷用軌道部の軸
方向の両端に上記連絡部に連なる傾斜部が形成され、上
記外筒の負荷用軌道部の非傾斜部と上記傾斜部との接合
部を、次の数1で表わした範囲内の値をとる曲率半径R
で湾曲させたことを特徴としている。
【数1】D/2≦R≦D 数1において、Dは上記玉の直径である。
【0014】
【作用】この考案の考案者は、上記接合部を湾曲させる
ことで、上記玉が上記接合部を通過するときに上記玉に
加わる接触応力が有効に低下させられることを確認し、
更に、図3に示すように、上記湾曲の曲率半径Rが上記
玉の直径D以上の領域では、曲率半径Rの増加に対する
上記接触応力の低下が非常に緩慢になる一方、曲率半径
Rが上記玉の直径Dの1/2以下の領域では、曲率半径
Rの減少に対する上記接触応力の増大が非常に急峻にな
ることを確かめた。つまり、上記曲率半径Rを上記玉の
直径Dの1/2以上、かつ上記玉の直径D以下にするこ
とで、最小限の曲率半径Rで、上記接合部がエッジをな
す従来例に比べて、非常に効果的に上記接合部での玉の
接触応力を低下させることができることがわかった。し
たがって、本考案によれば、上記玉,もしくは外筒およ
び保持器の軌道部の少なくともいずれか一つの表面に設
けた固体潤滑膜の損傷を抑えることができる。また、上
記曲率半径Rを上記玉の直径D以下にしたので、上記玉
を介して上記軸を有効に支持する上記外筒の負荷用軌道
部の非傾斜部の軸方向寸法が最大限に確保される。
ことで、上記玉が上記接合部を通過するときに上記玉に
加わる接触応力が有効に低下させられることを確認し、
更に、図3に示すように、上記湾曲の曲率半径Rが上記
玉の直径D以上の領域では、曲率半径Rの増加に対する
上記接触応力の低下が非常に緩慢になる一方、曲率半径
Rが上記玉の直径Dの1/2以下の領域では、曲率半径
Rの減少に対する上記接触応力の増大が非常に急峻にな
ることを確かめた。つまり、上記曲率半径Rを上記玉の
直径Dの1/2以上、かつ上記玉の直径D以下にするこ
とで、最小限の曲率半径Rで、上記接合部がエッジをな
す従来例に比べて、非常に効果的に上記接合部での玉の
接触応力を低下させることができることがわかった。し
たがって、本考案によれば、上記玉,もしくは外筒およ
び保持器の軌道部の少なくともいずれか一つの表面に設
けた固体潤滑膜の損傷を抑えることができる。また、上
記曲率半径Rを上記玉の直径D以下にしたので、上記玉
を介して上記軸を有効に支持する上記外筒の負荷用軌道
部の非傾斜部の軸方向寸法が最大限に確保される。
【0015】
【実施例】以下に、本考案を図示の実施例により詳細に
説明する。
説明する。
【0016】図1に示すように、この実施例の直動玉軸
受は、外筒1と、保持器2と、複数の玉3,3…と、上
記保持器2の内側に、上記外筒1と同芯に挿入された軸
4を有している。上記軸4の外周面には、周方向に所定
の間隔をあけて軸方向に延びる複数の負荷用軌道溝4a
が形成されている。
受は、外筒1と、保持器2と、複数の玉3,3…と、上
記保持器2の内側に、上記外筒1と同芯に挿入された軸
4を有している。上記軸4の外周面には、周方向に所定
の間隔をあけて軸方向に延びる複数の負荷用軌道溝4a
が形成されている。
【0017】また、図1(A),(B)に示すように、上記
外筒1の内周面には軸方向に延びる負荷用軌道部5と、
軸方向に延びる無負荷用軌道溝6とが周方向に所定の間
隔をあけて交互に形成されている。また、上記外筒1の
内周面には、上記負荷用軌道部5の軸方向の両端部と上
記無負荷用軌道溝6の軸方向の両端部とを連絡する連絡
部7が形成されている。
外筒1の内周面には軸方向に延びる負荷用軌道部5と、
軸方向に延びる無負荷用軌道溝6とが周方向に所定の間
隔をあけて交互に形成されている。また、上記外筒1の
内周面には、上記負荷用軌道部5の軸方向の両端部と上
記無負荷用軌道溝6の軸方向の両端部とを連絡する連絡
部7が形成されている。
【0018】また、上記保持器2は、上記軸4の負荷用
軌道溝4aと上記外筒1の負荷用軌道部5との間に複数
の玉3,3…を保持するポケット部8と、複数の玉3,3
…を外筒1の無負荷用軌道溝6との間に保持する無負荷
用軌道溝9と、ポケット部8と無負荷用軌道溝9とを連
絡するリターン部14(図7参照)を有する。
軌道溝4aと上記外筒1の負荷用軌道部5との間に複数
の玉3,3…を保持するポケット部8と、複数の玉3,3
…を外筒1の無負荷用軌道溝6との間に保持する無負荷
用軌道溝9と、ポケット部8と無負荷用軌道溝9とを連
絡するリターン部14(図7参照)を有する。
【0019】16は、外筒1の両端に形成した溝15に
嵌合した輪金であって、玉3を保持する保持器2の外筒
1に対する軸方向位置を固定している。また、保持器2
の凸部2aを、外筒1の凹部1aに嵌合させて、保持器2
の外筒1に対する周方向位置を固定している。
嵌合した輪金であって、玉3を保持する保持器2の外筒
1に対する軸方向位置を固定している。また、保持器2
の凸部2aを、外筒1の凹部1aに嵌合させて、保持器2
の外筒1に対する周方向位置を固定している。
【0020】また、上記玉3には、真空中で蒸発しない
銀や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤がコーティングさ
れている。
銀や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤がコーティングさ
れている。
【0021】さらに、上記外筒1の負荷用軌道部5の軸
方向の両端に上記連絡部7に連なる傾斜部10,10が
形成され、上記外筒1の負荷用軌道部5の非傾斜部11
と上記傾斜部10,10との接合部12を、上記玉3の
直径Dの1/2の曲率半径Rで湾曲させている(図2
(A)参照)。
方向の両端に上記連絡部7に連なる傾斜部10,10が
形成され、上記外筒1の負荷用軌道部5の非傾斜部11
と上記傾斜部10,10との接合部12を、上記玉3の
直径Dの1/2の曲率半径Rで湾曲させている(図2
(A)参照)。
【0022】この直動玉軸受の基本動作は、前述の従来
例と同じであるので説明を省略する。
例と同じであるので説明を省略する。
【0023】上記実施例は、上記接合部12を上記玉3
の直径Dの1/2の曲率半径Rで湾曲させたので、図2
(B)に示すように、曲率半径Rが零で上記接合部がエッ
ジをなす従来例に比べて、軸4がスライドしたときに上
記接合部12での玉3に加わる接触応力を大巾に低下さ
せることができた(図3参照)。したがって、上記実施例
によれば、玉3の表面にコーティングした固体潤滑剤の
損傷を抑えることができる。
の直径Dの1/2の曲率半径Rで湾曲させたので、図2
(B)に示すように、曲率半径Rが零で上記接合部がエッ
ジをなす従来例に比べて、軸4がスライドしたときに上
記接合部12での玉3に加わる接触応力を大巾に低下さ
せることができた(図3参照)。したがって、上記実施例
によれば、玉3の表面にコーティングした固体潤滑剤の
損傷を抑えることができる。
【0024】さらに、上記曲率半径Rを玉3の直径Dの
1/2にしたので、最小限の曲率半径で効率良く大巾に
上記接触応力を低下させることができると共に、接合部
12の軸方向寸法を最小にでき、玉3を介して上記軸4
を有効に支持する外筒1の負荷用軌道部5の非傾斜部1
1の軸方向寸法を最大限に確保できる。
1/2にしたので、最小限の曲率半径で効率良く大巾に
上記接触応力を低下させることができると共に、接合部
12の軸方向寸法を最小にでき、玉3を介して上記軸4
を有効に支持する外筒1の負荷用軌道部5の非傾斜部1
1の軸方向寸法を最大限に確保できる。
【0025】尚、上記実施例では、上記外筒1の負荷用
軌道部5の非傾斜部11の上面の延長面と上記傾斜部1
0とがなす角度すなわち逃げ角度θを通常は7°に設定
するが、上記逃げ角度θを4°に設定してもよい。上記
玉3が傾斜部10を通過するときに、玉3が受ける抵抗
力は、上記逃げ角度θの正接であるtanθに比例する。
そして、上記逃げ角度θを7°から4°に減小させるこ
とで、tanθの値が約1/2になる(tan4°/tan7°≒
0.57)。したがって、上記逃げ角度θを7°から4°
にすることで、傾斜部10を通過するときに玉3が受け
る抵抗力を約1/2にすることができる。
軌道部5の非傾斜部11の上面の延長面と上記傾斜部1
0とがなす角度すなわち逃げ角度θを通常は7°に設定
するが、上記逃げ角度θを4°に設定してもよい。上記
玉3が傾斜部10を通過するときに、玉3が受ける抵抗
力は、上記逃げ角度θの正接であるtanθに比例する。
そして、上記逃げ角度θを7°から4°に減小させるこ
とで、tanθの値が約1/2になる(tan4°/tan7°≒
0.57)。したがって、上記逃げ角度θを7°から4°
にすることで、傾斜部10を通過するときに玉3が受け
る抵抗力を約1/2にすることができる。
【0026】上記実施例において逃げ角度θを7°にし
た直動玉軸受と、逃げ角度θを4°にした直動玉軸受と
を、作動試験し、軸のスライド走行距離に対するスライ
ド摩擦力の変化を測定した。上記作動試験において、軸
受荷重を5kgf、軸のスライド速度を25mm/秒、軸の
スライドストロークを100mm、雰囲気圧力を10-6T
orrとし、上記軸受の軸挿入部の内接円の径を12mm、
外径を21mm、全長を30mmとした。また、上記玉3は
銀イオンプレーティング球とした。逃げ角度θを7°に
した上記直動玉軸受の3個のサンプルA,B,Cの上記試
験結果を図4に示し、逃げ角度θを4°にした直動玉軸
受の3個のサンプルD,E,Fの上記試験結果を図5に示
す。図4に示すように、逃げ角度θが7°のサンプル
A,B,Cは、夫々、軸4のスライド走行距離が115
3.0m,980.0m,715.6mに達した時に軸4のスラ
イド摩擦力が1kgfに達した。したがって、軸4のスラ
イド摩擦力が1kgfに達したときに軸受寿命が終了した
ものとみなし、上記軸受寿命を、軸受寿命が終了するま
での軸4のスライド走行距離で表わすと、上記サンプル
A,B,Cの平均寿命は949.5mであった。
た直動玉軸受と、逃げ角度θを4°にした直動玉軸受と
を、作動試験し、軸のスライド走行距離に対するスライ
ド摩擦力の変化を測定した。上記作動試験において、軸
受荷重を5kgf、軸のスライド速度を25mm/秒、軸の
スライドストロークを100mm、雰囲気圧力を10-6T
orrとし、上記軸受の軸挿入部の内接円の径を12mm、
外径を21mm、全長を30mmとした。また、上記玉3は
銀イオンプレーティング球とした。逃げ角度θを7°に
した上記直動玉軸受の3個のサンプルA,B,Cの上記試
験結果を図4に示し、逃げ角度θを4°にした直動玉軸
受の3個のサンプルD,E,Fの上記試験結果を図5に示
す。図4に示すように、逃げ角度θが7°のサンプル
A,B,Cは、夫々、軸4のスライド走行距離が115
3.0m,980.0m,715.6mに達した時に軸4のスラ
イド摩擦力が1kgfに達した。したがって、軸4のスラ
イド摩擦力が1kgfに達したときに軸受寿命が終了した
ものとみなし、上記軸受寿命を、軸受寿命が終了するま
での軸4のスライド走行距離で表わすと、上記サンプル
A,B,Cの平均寿命は949.5mであった。
【0027】また、図5に示すように、逃げ角度θが4
°のサンプルD,E,Fは、夫々、軸4のスライド走行距
離が1458.8m,1068.0m,1233.2mに達した
ときに軸4のスライド摩擦力が1kgfに達した。したが
って、軸4のスライド走行距離で表した上記サンプル
D,E,Fの平均寿命は1253.3mとなる。すなわち、
逃げ角度θが4°のサンプルの平均寿命は、逃げ角度θ
が7°のサンプルの平均寿命949.5mの1.32倍で
あった。上記実験結果から、逃げ角度θを減らすことに
よって、上記直動玉軸受の寿命を伸ばすことができるこ
とがわかった。
°のサンプルD,E,Fは、夫々、軸4のスライド走行距
離が1458.8m,1068.0m,1233.2mに達した
ときに軸4のスライド摩擦力が1kgfに達した。したが
って、軸4のスライド走行距離で表した上記サンプル
D,E,Fの平均寿命は1253.3mとなる。すなわち、
逃げ角度θが4°のサンプルの平均寿命は、逃げ角度θ
が7°のサンプルの平均寿命949.5mの1.32倍で
あった。上記実験結果から、逃げ角度θを減らすことに
よって、上記直動玉軸受の寿命を伸ばすことができるこ
とがわかった。
【0028】上記逃げ角度θを小さくする程、直動玉軸
受の玉が受ける抵抗力が小さくなり、寿命を伸ばすこと
ができるが、上記逃げ角度θを少なくとも1°以上にし
て、上記玉3が上記傾斜部10をスムーズに通過できる
ようにする必要がある。また、上記逃げ角度θを小さく
した分だけ、上記傾斜部10の軸方向寸法を長くして、
傾斜部10両端間の落差を確保しなければならない。し
たがって、逃げ角度θを小さくする程、外筒1の軸方向
寸法を大きくしなければならなくなる。したがって、軸
受寿命だけでなく、軸受に対する許容スペースを考慮し
た上で逃げ角度θを設定することが必要である。
受の玉が受ける抵抗力が小さくなり、寿命を伸ばすこと
ができるが、上記逃げ角度θを少なくとも1°以上にし
て、上記玉3が上記傾斜部10をスムーズに通過できる
ようにする必要がある。また、上記逃げ角度θを小さく
した分だけ、上記傾斜部10の軸方向寸法を長くして、
傾斜部10両端間の落差を確保しなければならない。し
たがって、逃げ角度θを小さくする程、外筒1の軸方向
寸法を大きくしなければならなくなる。したがって、軸
受寿命だけでなく、軸受に対する許容スペースを考慮し
た上で逃げ角度θを設定することが必要である。
【0029】また、図6に示すように、上記接合部12
中央から軸端側へ延び、上記玉3の直径Dの1/2以上
で、かつ上記直径D以下の軸方向長さLを有し、かつ上
記逃げ角度θが1°以上4°以下の第1傾斜部10a
と、上記第1傾斜部10aの軸端から、さらに軸端側に
延び、上記第1傾斜部10aの上面の延長面となす角度
つまり第1傾斜部10aに対する逃げ角度θが1°以上
4°以下である第2傾斜部10bを形成し、上記第1傾
斜部10aと第2傾斜部10bとの接合部18を上記玉3
の直径Dの1/2以上で、かつ上記直径D以下の曲率半
径Rcで湾曲させた場合には、玉3が上記接合部12お
よび傾斜部10を通過する際の接触応力を、接合部がエ
ッジをなす従来例に比べて、大巾に低下させることがで
きると共に、上記逃げ角度θが4°以下であるので、上
記逃げ角度θが4°を越える場合に比べて、上記玉3が
傾斜部10を通過するときに玉3が受ける抵抗力を減少
させることができ、軸受寿命を伸ばすことができる。そ
の上、上述の場合、第1傾斜部10aに対して傾斜する
第2傾斜部10bを設けたので、第1傾斜部10aから第
1傾斜部10aと平行に延長された傾斜部を形成した場
合に比べて、短かい軸方向寸法で傾斜部10の両端間の
落差を確保できる。したがって、上述のように2段階に
傾斜する傾斜部を有する場合には、傾斜部が単調に傾斜
する場合に比べて、軸受の軸方向寸法を小さくでき、軸
受をコンパクトにできる。また、上述の場合には、傾斜
部10を2段階に傾斜させたが、傾斜部10を3段階以
上に傾斜させてもよい。
中央から軸端側へ延び、上記玉3の直径Dの1/2以上
で、かつ上記直径D以下の軸方向長さLを有し、かつ上
記逃げ角度θが1°以上4°以下の第1傾斜部10a
と、上記第1傾斜部10aの軸端から、さらに軸端側に
延び、上記第1傾斜部10aの上面の延長面となす角度
つまり第1傾斜部10aに対する逃げ角度θが1°以上
4°以下である第2傾斜部10bを形成し、上記第1傾
斜部10aと第2傾斜部10bとの接合部18を上記玉3
の直径Dの1/2以上で、かつ上記直径D以下の曲率半
径Rcで湾曲させた場合には、玉3が上記接合部12お
よび傾斜部10を通過する際の接触応力を、接合部がエ
ッジをなす従来例に比べて、大巾に低下させることがで
きると共に、上記逃げ角度θが4°以下であるので、上
記逃げ角度θが4°を越える場合に比べて、上記玉3が
傾斜部10を通過するときに玉3が受ける抵抗力を減少
させることができ、軸受寿命を伸ばすことができる。そ
の上、上述の場合、第1傾斜部10aに対して傾斜する
第2傾斜部10bを設けたので、第1傾斜部10aから第
1傾斜部10aと平行に延長された傾斜部を形成した場
合に比べて、短かい軸方向寸法で傾斜部10の両端間の
落差を確保できる。したがって、上述のように2段階に
傾斜する傾斜部を有する場合には、傾斜部が単調に傾斜
する場合に比べて、軸受の軸方向寸法を小さくでき、軸
受をコンパクトにできる。また、上述の場合には、傾斜
部10を2段階に傾斜させたが、傾斜部10を3段階以
上に傾斜させてもよい。
【0030】尚、上記実施例では、玉3に固体潤滑剤を
コーティングした場合について説明したが、玉3に直接
固体潤滑剤をコーティングせず、外筒1や保持器2等の
軌道部に配した固体潤滑剤が、玉3の表面に転移した結
果、玉3の表面に固体潤滑剤の膜が形成された場合に
も、上述と同様の説明が成り立つ。また、上記実施例に
おいては、軸4や外筒1に軌道溝4aおよび軌道溝6を
形成したものについて述べているが、これに限らず溝な
しのものでもよい。
コーティングした場合について説明したが、玉3に直接
固体潤滑剤をコーティングせず、外筒1や保持器2等の
軌道部に配した固体潤滑剤が、玉3の表面に転移した結
果、玉3の表面に固体潤滑剤の膜が形成された場合に
も、上述と同様の説明が成り立つ。また、上記実施例に
おいては、軸4や外筒1に軌道溝4aおよび軌道溝6を
形成したものについて述べているが、これに限らず溝な
しのものでもよい。
【0031】
【考案の効果】以上より明らかなように、本考案の直動
玉軸受は、外筒の負荷用軌道部の軸方向の両端に形成し
た傾斜部と上記負荷用軌道部の非傾斜部との接合部を、
玉の直径D以下で、かつ玉の直径Dの1/2以上の曲率
半径Rで湾曲させたものである。
玉軸受は、外筒の負荷用軌道部の軸方向の両端に形成し
た傾斜部と上記負荷用軌道部の非傾斜部との接合部を、
玉の直径D以下で、かつ玉の直径Dの1/2以上の曲率
半径Rで湾曲させたものである。
【0032】したがって、上記接合部の曲率半径が零で
接合部がエッジをなす従来例に比べて、上記玉が上記接
合部を通過するときに、上記玉に加わる接触応力を小さ
くできる。したがって、上記玉の表面に設けた固体潤滑
膜の損傷を抑えることができる。また、図3に示すよう
に、曲率半径Rを玉の直径D以上にしても上記接触応力
があまり減らない一方、曲率半径Rを玉の直径Dの1/
2以下にすると上記接触応力が急激に増加することを確
かめて、曲率半径Rを上記玉の直径Dの1/2以上かつ
上記玉の直径D以下にしたので、湾曲した部分の長さが
比較的短くても、上記玉に加わる接触応力を大巾に低減
できる。
接合部がエッジをなす従来例に比べて、上記玉が上記接
合部を通過するときに、上記玉に加わる接触応力を小さ
くできる。したがって、上記玉の表面に設けた固体潤滑
膜の損傷を抑えることができる。また、図3に示すよう
に、曲率半径Rを玉の直径D以上にしても上記接触応力
があまり減らない一方、曲率半径Rを玉の直径Dの1/
2以下にすると上記接触応力が急激に増加することを確
かめて、曲率半径Rを上記玉の直径Dの1/2以上かつ
上記玉の直径D以下にしたので、湾曲した部分の長さが
比較的短くても、上記玉に加わる接触応力を大巾に低減
できる。
【図1】 本考案の直動玉軸受の実施例の断面図であ
る。
る。
【図2】 本考案および従来例の外筒の負荷用軌道部の
軸端部の断面図である。
軸端部の断面図である。
【図3】 傾斜部と非傾斜部の接合部の曲率半径Rと玉
に加わる接触応力の関係を示す図である。
に加わる接触応力の関係を示す図である。
【図4】 上記実施例において傾斜部の逃げ角θを7°
にした場合の寿命特性図である。
にした場合の寿命特性図である。
【図5】 上記実施例において上記傾斜部の逃げ角θを
4°にした場合の寿命特性図である。
4°にした場合の寿命特性図である。
【図6】 2段階に傾斜させた傾斜部の断面図である。
【図7】 上記実施例の保持器の要部平面図である。
【図8】 従来の直動玉軸受の断面図である。
1 外筒 2 保持器 3 玉 4 軸 4a 負荷用軌道溝 5 負荷用軌道部 6 無負荷用軌道溝 7 連絡部 8 ポケット部 9 無負荷用軌道溝 10 傾斜部 11 非傾斜部 12 接合部 14 リターン部 15 溝 16 輪金
Claims (1)
- 【請求項1】 周方向に所定の間隔をあけて軸方向に延
びる複数の負荷用軌道部が外周面に形成された軸と、 上記軸の外周に上記軸と同軸に配設され、内周面に軸方
向に延びる負荷用軌道部と無負荷用軌道部とが周方向に
所定の間隔をあけて交互に形成されると共に、隣接する
上記負荷用軌道部と無負荷用軌道部とを連絡する連絡部
が形成された外筒と、 上記軸の負荷用軌道部と上記外筒の負荷用軌道部との間
に複数の玉を保持するポケット部と、複数の玉を上記外
筒の無負荷用軌道部との間で保持する無負荷用軌道溝
と、上記ポケット部と上記無負荷用軌道溝とを連絡する
リターン部とを有した保持器とを備え、上記複数の玉,
もしくは外筒および保持器の軌道部の少なくともいずれ
か一つの表面に固体潤滑膜が設けられた直動玉軸受にお
いて、 上記外筒の負荷用軌道部の軸方向の両端に上記連絡部に
連なる傾斜部が形成され、上記外筒の負荷用軌道部の非
傾斜部と上記傾斜部との接合部を、次の数1で表わした
範囲内の値をとる曲率半径Rで湾曲させたことを特徴と
する直動玉軸受。 【数1】D/2≦R≦D 数1において、Dは上記玉の直径である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10787491U JP2542908Y2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 直動玉軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10787491U JP2542908Y2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 直動玉軸受 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0554818U JPH0554818U (ja) | 1993-07-23 |
JP2542908Y2 true JP2542908Y2 (ja) | 1997-07-30 |
Family
ID=14470282
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10787491U Expired - Lifetime JP2542908Y2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 直動玉軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2542908Y2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6970454B2 (ja) * | 2019-11-29 | 2021-11-24 | 日本ベアリング株式会社 | ベアリング装置 |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP10787491U patent/JP2542908Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0554818U (ja) | 1993-07-23 |
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