JP2541721Y2 - コイン投擲機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はゲーム機または自動販売
機に用いられる投入コインを所定方向に強制的に投擲す
るためのコイン投擲機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、コインを投入して装置を駆動させ
るようにしたコイン投擲機では、コインの重量による自
然落下を利用したものが多く用いられている。このよう
な従来の装置においてはコインに加わるシュート力が弱
い場合にガイドするシュートレールの途中でコインが詰
まったり滞る等の欠点があった。またコインをシュート
方向に押出す機構を設ける場合に、構造が複雑となり装
置の大型化が避けられず、コインとの接触によって押出
す面が摩耗してしまうとコインへ付与するシュート力が
弱くなる欠点があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】本考案は上記事情に鑑
みて創案されたもので、その主たる課題は、簡単な構成
でありながら、ホイールを用いてコインをシュート方向
に確実に押し出すことができ、またホイールのコインと
の接触面が摩耗した際にも調整して確実なシュート力を
付与することができる信頼性の高いコイン投擲機を提供
することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記課題を解
決するため、回転駆動する弾性体ホイールを利用して投
入されたコインを所定方向に強制的に投擲させるという
手段を採用した。すなわち、本考案は、第１の態様とし
て、投入されたコインを所定方向に強制的に投擲するた
めのコイン投擲機であって、弾性体ホイールと、投入さ
れ回転して走行するコインの上縁部が該弾性体ホイール
の回転面と少なくとも摺接し得る程度に離間するように
して該弾性体ホイールの下方に、所定の勾配をもって設
けられたシュートレールと、該シュートレールの両側か
らほぼ直立して互いに平行に設けられ投入されたコイン
の直立走行状態を維持するための一対のレールガード
と、該弾性体ホイールを回転駆動させる駆動手段と、該
弾性体ホイールを該シュートレール方向に弾性的に付勢
するバネ体と、該弾性体ホイールの該シュートレール方
向への移動を調整するストッパー手段とを具備してなる
コイン投擲機を提供するものである。

【０００５】本考案はさらに、第２の態様として、投入
されたコインを所定方向に強制的に投擲するためのコイ
ン投擲機であって、弾性体ホイールと、投入され回転し
て走行するコインの上縁部が該弾性体ホイールの回転面
と少なくとも摺接し得る程度に離間するようにして該弾
性体ホイールの下方に、所定の勾配をもって設けられた
シュートレールと、該シュートレールの両側からほぼ直
立して互いに平行に設けられ投入されたコインの直立走
行状態を維持するための一対のレールガードと、該弾性
体ホイールを回転駆動させる駆動手段と、該弾性体ホイ
ールの上方にて一端が枢支され、他端に該弾性体ホイー
ルの一側の回転面と当接回転する第１のカムフォロワー
を軸支してなる第１のアームと、該第１のアームと同様
に該弾性体ホイールの上方にて一端が枢支され、該第１
のアームとの間で該弾性体ホイールの両側を挟むように
して他端に該弾性体ホイールの反対側の回転面と当接回
転する第２のカムフォロワーを軸支してなる第２のアー
ムと、該第１のアームの両端間に一端が枢支され、他端
に、該弾性体ホイールの上方回転面と当接するようにし
て第３のカムフォロワーを軸支してなる第３のアーム
と、該第２のアームの両端間に一端が枢支され、他端に
第３のアームと協同して第３のカムフォロワーを軸支し
てなる第４のアームと、第１のカムフォロワーと第２の
カムフォロワーを該弾性体ホイールの回転面に当接させ
るように付勢するバネ体とを具備してなるコイン投擲機
を提供するものである。

【０００６】

【作用】第１の態様の考案において、弾性体ホイールの
下方回転面とシュートレールとの間の距離は投入される
コインの直径より適度に若干狭くなっているため、投入
されたコインに対し、弾性体ホイールによる圧接力が適
当に働き、コインを所望の速度、距離に投擲させること
ができる。またバネ体と、ストッパー手段とにより弾性
体ホイールによる圧接力の調整が図られ、かつ、弾性体
ホイールの使用による磨耗に対しても対処することがで
きる。

【０００８】第２の態様の考案において、上記の第１の
アームと、第２のアームと、第３のアームとの組み合わ
せにより、たとえ弾性体ホイールが使用により磨耗し、
直径が小さくなった場合でも、第２のアームと第３のア
ームとにより軸支された第３のカムフォロワーがバネ体
の作用により自動的に弾性体ホイールを上から圧接しこ
れにより弾性体ホイールの下方回転面とシュートレール
との間の距離は自動的に常に一定に保たれ、コイルに対
する弾性体ホイールの圧接力を常に一定に保つことが可
能となる。

【０００９】

【実施例】図１ないし図４は本考案の第１の態様に係わ
るコイン投擲機を示すものであって、図１はその平面
図、図２は正面図、図３は図２のＹ−Ｙ線に沿う断面
図、図４は図２のＸ−Ｘ線に沿う断面図である。これら
の図中において、１はたとえばゴム質材料からなる弾性
体ホイールであって、モータ２により回転駆動されるホ
イール３にホイールワッシャ４を介して固定されてい
る。

【００１０】この弾性体ホイール１の下方には、弾性体
ホイール１の回転面に沿うようにしてシュートレール５
が設けられている。このシュートレール５は図４で明瞭
に示すように、位置Ｐで弾性体ホイール１の下縁に向か
って次第に下向きに傾斜し、弾性体ホイール１の真下で
位置Ｒで示すようにアールをなし、ついでこの弾性体ホ
イール１の下縁から図中位置Ｑで示すように次第に上向
きに傾斜している。なお、上記位置Ｒの曲率中心は、図
示例の場合に弾性体ホイール１の回転中心と略一致して
いるが、後述のように調整が可能となっている。また、
位置Ｒの前後に延びるシュートレール５は弾性体ホイー
ル１の接線と平行するように延出している。

【００１１】しかして、位置Ｒにおいて、弾性体ホイー
ル１との隙間はコインＣの直径より小さい幅のスリット
となっており、投入されたコインＣはシュートレール５
上で弾性体ホイール１により最大の圧接力で押圧され
る。このシュートレール５の両側からは、一対のレール
ガード６がほぼ直立し互いに少なくともコインの厚み以
上の間隔を以て平行をなすようにして設けられている。
これにより、投入されたコインの直立走行状態が維持さ
れる。なお、一対のレールガード６のコイン投入口部は
Ｙ字状のテーパ面を有しており、コインＣを投入しやす
くしている。

【００１２】上記モータ２は、第１のブラケット７およ
び第２のブラケット８に固定されており、これら第１の
ブラケット７および第２のブラケット８は、その一側が
ベースブラケット９にシャフト１０を介して枢支されて
いる。第１のブラケット７の他側には係止部材１１が固
定されていて、これにコイルバネ１２の一端が係止され
ている。このコイルバネ１２の他端はベースブラケット
９の下部に係止されている。したがって、このコイルバ
ネ１２の付勢力により、弾性体ホイール１、モータ２は
第１のブラケット７および第２のブラケット８と共に常
時、シャフト１０を枢軸として下方に揺動すべく付勢さ
れている。

【００１３】しかし、図２および図３に示すように、こ
のコイルバネ１２の近傍のベースブラケット９の一側に
はストッパーブラケット１３が、複数の長孔１４を介し
て上下方向に調整可能に設けられている。すなわちスト
ッパーブラケット１３の上縁部が上記の第１のブラケッ
ト７の他側底部と適宜当接するようになっていて、第１
のブラケット７および第２のブラケット８の下方への動
きを制限し、これにより弾性体ホイール１とシュートレ
ール５との位置Ｒにおける距離（高さ方向の隙間）を適
宜調整し得るようになっている。

【００１４】すなわち、弾性体ホイール１が磨耗によ
り、径が小さくなったとしても、この長孔１４と固定ネ
ジ１５との調整により弾性体ホイール１の位置を上下に
調整し得るようになっていて、投入されたコインＣに対
し、所定の投擲速度、距離を常に与え得るようになって
いる。なお、図２に示すようにシュートレール５もベー
スブラケット９に固定されている。コインの投擲速度、
距離は弾性体ホイール１のコインに対する圧接力の調
整、すなわち、ストッパーブラケット１３の上下方向の
調整により、またはモータ２の回転速度の調整等により
容易に行うことができる。

【００１５】次に、この構成からなるコイン投擲機の動
作について説明する。まず、図４に示すようにコインＣ
が図中Ｈの位置から一対のレールガード６の断面Ｖ字形
のコイン投入口部から投入される。コインＣは、自重に
より位置Ｐを落下し、ついで位置Ｉで弾性体ホイール１
と接して連動し、位置Ｊへ向かって弾性体ホイール１に
より除々に加圧され、最大の加圧力がコイン上部に加え
られる位置Ｊで接線方向へ押し出され、コインの上部に
付与された円運動の慣性力により位置Ｋで示すように斜
面Ｑに沿って投擲される。

【００１６】図５および図６は、本考案の第２の態様に
係わるコイン投擲機を示すものであって、図５はその断
面図、図６は側面図である。この実施例において、弾性
体ホイール１、シュートレール５およびレールガード６
の構成ならびにこれら部材相互の関係については、前記
の第１の態様の場合と同様であるので、同一符号を付す
ことにより説明を省略する。

【００１７】この第２の態様で特徴的なことは、弾性体
ホイール１の使用による磨耗に対しても自動的に弾性体
ホイール１を下方に押し下げ、弾性体ホイール１とシュ
ートレール５との間隔を常に一定に保つようにしたこと
である。そのための手段として、図６に示すような弾性
体ホイール自動調整機構が設けいられている。

【００１８】すなわち、この弾性体ホイール自動調整機
構は、モータ４を支持し弾性体ホイール１の一側に沿っ
て立設する第１ブラケット７’と、該第１ブラケット
７’と弾性体ホイール１を介して対峙する第２ブラケッ
ト８’を立設している。そして上記弾性体ホイール１の
上方にて上記ブラケット７’、８’に上端が枢支され、
下端に弾性体ホイール１の一側の回転面と当接回転する
第１のカムフォロワー２１を軸支してなる第１のアーム
２２を設け、この第１のアーム２２と同様に弾性体ホイ
ール１の上方にて同軸に上端が枢支され、第１のアーム
２２との間で弾性体ホイール１の両側を挟むようにして
下端に弾性体ホイール１の反対側の回転面と当接回転す
る第２のカムフォロワー２３を軸支してなる第２のアー
ム２４とを有している。

【００１９】また、上記第１のアーム２２の両端間に一
端が枢支され、他端に、弾性体ホイール１の上方回転面
と当接するようにして第３のカムフォロワー２５を軸支
してなる第３のアーム２６と、第２のアーム２４の両端
間に一端が枢支され、他端に第３のアーム２６と協同し
て第３のカムフォロワー２５を同軸に軸支してなる第４
のアーム２７とを形成し、上記第１のアーム２２または
第２のアーム２４の少なくとも一方にバネ体２８の一端
が係止され、その他端が第１のブラケット７’または第
２のブラケット８’に固定されており、バネ体２８の付
勢力により第１のカムフォロワー２１と第２のカムフォ
ロワー２３を弾性体ホイール１の回転面に当接させてい
る。なお、弾性体ホイール１は上記第１ブラケット７’
と第２ブラケット８’との間で撓み継手２９を介して軸
支されておりモータ２に連結されている。

【００２０】次に、この弾性体ホイール自動調整機構の
動作について説明すると、弾性体ホイール１のコインと
の接触面が使用により磨耗したとき、弾性体ホイール１
の直径が小さくなるが、第１のアーム２２と第２のアー
ム２４とがバネ体２８の作用により自動的に互いに接近
する方向に移動する。このとき、第３のアーム２６およ
び第４のアーム２７も自動的に互いに接近する方向に移
動することになる。

【００２１】その結果、第３のアーム２６と第４のアー
ム２７とにより協同して軸支されている第３のカムフォ
ロワー２５が弾性体ホイール１を図中、下方向に自動的
に圧接することになり、したがって、弾性体ホイール１
とシュートレール５の中央部との間隔は常に自動的に一
定に保たれることになる。なお、弾性体ホイール１は上
述のように撓み継手２９によりモータ２に連結されてい
るので、弾性体ホイール１が下方に押し下げられたとし
ても回転上支障はない。その他の動作については、前記
の第１の態様の場合と実質的に同一であるのでその説明
を省略する。

【００２２】

【考案の効果】以上詳述したように、本考案のコイン投
擲機によれば、投入されたコインを弾性体ホイールに確
実に圧接させてコインに回転力および円運動を付与さ
せ、投擲するようにしたから、コインを所望の方向、速
度、距離を以て信頼性高く投擲させることが可能とな
る。したがって、ゲーム機、両替機、自動販売機その他
のコイン投擲機を備える装置の小型化や設計上の容易化
が図られ、また、装置の確実な駆動が可能となる。な
お、弾性体ホイールのコインとの接触面が使用により磨
耗した場合でも、弾性体ホイールとシュートレールとの
間隔が適宜または自動的に一定に保たれるようにしたか
ら、弾性体ホイールの磨耗による装置の駆動不良の発生
の虞もない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のコイン投擲機の平面図である。

【図２】図１のコイン投擲機の正面図である。

【図３】図２のＹ−Ｙ線に沿う断面図である。

【図４】図１のＸ−Ｘ線に沿う断面図である。

【図５】本考案の他の実施例に係わるコイン投擲機の断
面図である。

【図６】図５のコイン投擲機の側面図である。

【符号の説明】

１ 弾性体ホィール ２ モータ ５ シュートレール ６ レールガード １２ コイルバネ １３ ストッパーブラケット ２１ 第１のカムフォロワー ２２ 第１のアーム ２３ 第２のカムフォロワー ２４ 第２のアーム ２５ 第３のカムフォロワー ２６ 第３のアーム ２７ 第４のアーム ２８ バネ体 ２９ 撓み継手

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 投入されたコインを所定方向に強制的に
   投擲するためのコイン投擲機であって、 弾性体ホイールと、 投入され回転して走行するコインの上縁部が該弾性体ホ
   イールの回転面と少なくとも摺接し得る程度に離間する
   ようにして該弾性体ホイールの下方に、所定の勾配をも
   って設けられたシュートレールと、 該シュートレールの両側からほぼ直立して互いに平行に
   設けられ投入されたコインの直立走行状態を維持するた
   めの一対のレールガードと、 該弾性体ホイールを回転駆動させる駆動手段と、 該弾性体ホイールを、該シュートレール方向に弾性的に
   付勢するバネ体と、 該弾性体ホイールの該シュートレール方向への移動を調
   整するストッパー手段とを具備してなるコイン投擲機。
2. 【請求項２】 投入されたコインを所定方向に強制的に
   投擲するためのコイン投擲機であって、 弾性体ホイールと、 投入され回転して走行するコインの上縁部が該弾性体ホ
   イールの回転面と少なくとも摺接し得る程度に離間する
   ようにして該弾性体ホイールの下方に、所定の勾配をも
   って設けられたシュートレールと、 該シュートレールの両側からほぼ直立して互いに平行に
   設けられ投入されたコインの直立走行状態を維持するた
   めの一対のレールガードと、 該弾性体ホイールを回転駆動させる駆動手段と、 該弾性体ホイールの上方にて一端が枢支され、他端に該
   弾性体ホイールの一側の回転面と当接回転する第１のカ
   ムフォロワーを軸支してなる第１のアームと、 該第１のアームと同様に該弾性体ホイールの上方にて一
   端が枢支され、該第１のアームとの間で該弾性体ホイー
   ルの両側を挟むようにして他端に該弾性体ホイールの反
   対側の回転面と当接回転する第２のカムフォロワーを軸
   支してなる第２のアームと、 該第１のアームの両端間に一端が枢支され、他端に、該
   弾性体ホイールの上方回転面と当接するようにして第３
   のカムフォロワーを軸支してなる第３のアームと、 該第２のアームの両端間に一端が枢支され、他端に第３
   のアームと協同して第３のカムフォロワーを軸支してな
   る第４のアームと、 第１のカムフォロワーと第２のカムフォロワーを該弾性
   体ホイールの回転面に当接させるように付勢するバネ体
   とを具備してなるコイン投擲機。