JP2539274Y2 - 微小害虫侵入防止粘着ネット - Google Patents

微小害虫侵入防止粘着ネット

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JP2539274Y2
JP2539274Y2 JP1991031235U JP3123591U JP2539274Y2 JP 2539274 Y2 JP2539274 Y2 JP 2539274Y2 JP 1991031235 U JP1991031235 U JP 1991031235U JP 3123591 U JP3123591 U JP 3123591U JP 2539274 Y2 JP2539274 Y2 JP 2539274Y2
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一成 中村
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Nitto Denko Corp
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は微小害虫侵入防止粘着
ネットに係り、その目的は主としてハウス栽培において
使用して微小害虫のハウス内への侵入を防ぎ、ハウス内
の果樹、野菜等への防虫方法である薬剤散布の回数を低
減させることができる微小害虫侵入防止粘着ネットの提
供にある。
【0002】
【従来の技術】従来より害虫を捕獲する、或いは害虫の
侵入を防止する基材としては特定の粘着層が設けられた
捕虫用のテープ、或いはハエ取り紙、ゴキブリ取り器、
又はボール紙、木版、プラスチックフィルム、シート等
の被塗布材に粘着剤を塗布したものが一般に使用されて
いる。
【0003】これら基材に塗布される粘着剤としては例
えば特開昭52-128225 号「ねずみ捕獲用組成物」におい
てはポリイソブチレンとポリブテンの混和物をベースと
した粘着性組成物が、特公昭48-16617号「げっ歯類動物
誘引捕獲剤」では合成樹脂ポリブデンにn-ヒキシルアル
デヒド及び吉草酸アルデヒドを含浸させた粘着性捕獲剤
が、また特公昭53-18586号「有害小生物捕獲用粘着剤組
成物」及び特開昭51-125123 号「有害小生物捕獲用粘着
剤組成物」ではポリイソブテン、天然ゴム、ブタジエン
−スチレン共重合体等のゴム系樹脂、ポリアクリル酸エ
ステル類、ポリビニルエーテル類等の粘着性樹脂で、温
度50℃における粘度を300 〜10000 ボイズとされる粘着
剤組成物が既に開示されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
52-128225 号「ねずみ捕獲用組成物」にて開示された粘
着性組成物は「ねずみ捕獲用」のものであるため、その
粘着層を1000〜2000μm厚と厚く塗布されるものであ
り、また特公昭53-18586号「有害小生物捕獲用粘着剤組
成物」及び特開昭51-125123 号「有害小生物捕獲用粘着
剤組成物」にて開示された粘着剤組成物もその粘着層を
1000μm 厚と、厚く設けなければ害虫に対する接着力が
満足いくものではなく、これら粘着剤をハウス栽培にお
いて使用する場合は、粘着剤が厚く塗布される為に基材
表面より流れ出し、この流れ出た粘着剤が農作物に付着
するという問題があった。また粘着剤が厚く塗布される
ため通気性が悪くなり、ハウス内の温度が上昇し農作物
の成長に影響を及ぼすという問題もあった。
【0005】更に特公昭48-16617号「げっ歯類動物誘引
捕獲剤」にて開示された粘着性捕獲剤はその塗布厚が記
載されてはいないが縦、横25cmの正方形のダンボールに
約50cc塗布されて使用されるものであることから、ビニ
ルハウス外周面全域にこの粘着剤を塗布したダンボール
を貼着することは困難であり、いずれもビニルハウス栽
培等野外での微小害虫の捕獲及び侵入防止を目的とする
には適したものではなかった。
【0006】一方、野外で使用する害虫等の侵入防止材
料としては防虫カヤ、寒冷紗等が使用されているが、こ
れら防虫カヤ、寒冷紗等は比較的大きな害虫に対する防
除には効果が有るが、比較的小さな害虫、例えばアザミ
ウマ類、シロイチモジョイ類等の微小害虫に対してはこ
れら微小害虫が防虫カヤ等の目を通り抜けて侵入するこ
とができるため侵入防止効果は得られなかった。また、
防虫カヤ、寒冷紗等を使用した場合は、ハウス内の通気
性が悪くなるため定期的に設置した防虫カヤ、寒冷紗等
を持ち上げて通気を行なわなければならず、手間がかか
るためハウス栽培等野外での害虫防除には薬剤散布によ
る方法を用いることが多く、この薬剤散布による農作物
への影響が大きな問題とされている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この考案は以上のような
欠点を解消せんとして、ネット基材の表面にアクリル系
ポリマーとアクリル系オリゴマーとの混和物を発泡させ
た発泡粘着剤を塗設したことを特徴とする微小害虫侵入
防止粘着ネット又は発泡粘着剤が黄色又は白色に着色さ
れて、或いは金色又は銀色に着色されてなることを特徴
とする微小害虫侵入防止粘着ネットを提供することによ
り上記従来の課題を悉く解決する。
【0008】
【作用】この考案は主としてビニールハウス等野外にお
いて使用し、ハウス内の果樹、野菜等の微小害虫による
被害を防止する微小害虫侵入防止粘着ネットに関するも
のである。野外で使用されるため耐候性、耐水性の優れ
たアクリル系ポリマーとアクリル系オリゴマーを混合
し、且つこの混和物を発泡させてその接着表面積を増加
させた発泡粘着剤が使用される。従って、この考案では
粘着剤層を従来の技術の如く厚く設けなくとも、微小害
虫に対する接着力が失われることがない。また、発泡粘
着剤を黄又は白色に着色することにより微小害虫を誘因
し、従って害虫を積極的に捕獲することが出来る。更
に、発泡粘着剤を金又は銀色に着色することにより、そ
の色を嫌う害虫の侵入を防止するとともに色に反応しな
い害虫の捕獲効果を高めることが出来る。
【0009】
【実施例】以下この考案の微小害虫侵入防止粘着ネット
の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】図1はこの考案に係る微小害虫侵入防止粘
着ネット(1) の一実施例を示す平面図であり、図2は図
1A−A' 線で切断した断面拡大図である。図中(2) は
ネット基材、(3) はネット基材(2) 表面に塗設された発
泡粘着剤である。
【0011】この考案において、ネット基材(2) として
は通気性を有するものであれば特に限定はされず、具体
例としてはポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の
プラスチックより形成されるもの、或いはレーヨン等か
ら形成される繊維、紙、布等より形成されるものが例示
される。このネット基材(2) の各網目の口径(R) は対象
とする害虫の種類、大きさにより異なるが通常3〜15m
m、より望ましくは5〜10mmとされる。この理由は、一
般に微小害虫はその習性から障害物が有れば一旦その障
害物の前で止まり、この後ネットの網目をくぐり抜けて
侵入する特性を有するので、ネット基材(2) 表面に粘着
処理を施すことによって捕虫が出来るからである。
【0012】この考案においてネット基材(2) 表面には
アクリル系ポリマーとアクリル系オリゴマーとの混和物
を発泡させた発泡粘着剤が塗設される。この考案におい
て粘着剤をアクリル系ポリマーとアクリル系オリゴマー
との混和物を発泡させた発泡粘着剤とした理由はアクリ
ル系ポリマーが耐候性、耐水性、耐寒性に優れており、
野外での使用という点から好ましく、且つ発泡させるこ
とによりその接着表面積を増加させることができるから
である。
【0013】この考案においてアクリル系ポリマーとは
アクリル系単量体の一種又は二種以上を重合させたもの
で、重量平均分子量が約20万以上のものを示し、アクリ
ル系オリゴマーとは前記アクリル系単量の一種又は二種
以上を重合させたものであるがその分子量は小さく、通
常重合度が10〜1000程度のものを示す。この考案で用い
るアクリル系ポリマーとアクリル系オリゴマーとはその
基本単位(繰り返し単位)が同一であるのが相溶性の面
から好ましい。
【0014】この考案においてアクリル系ポリマー及び
アクリル系オリゴマーの基本単位であるアクリル系単量
体の具体例としてはアクリル酸、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリ
ル酸イソオクチル、アクリル酸ターシャリーブチル、ア
クリル酸ノニル、アクリル酸デシル等を挙げることがで
きる。
【0015】この考案においては上記したアクリル系ポ
リマーとアクリル系オリゴマー以外に発泡剤を添加し
て、発泡させて発泡粘着剤(3) とされる。発泡剤として
は加熱処理で発泡する素材であればよく、その具体例と
しては炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸
水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水酸化硼素ナト
リウム、アジト類の無機化合物、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾジカルボキシアミド、バリウムアゾジカル
ボキシレート等のアゾ系化合物、トルエンスルホニルヒ
ドラジド、4-4'- オキシビス( ベンゼンスルホヒドラジ
ド) 、アリルビス(スルホヒドラジド)等のヒドラジン
系化合物、p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4-
4'- オキシビス( ベンゼンニルセミカルバジド) 等のセ
ミカルバジド系化合物、5-モルホリル-1,2,3,4- チアト
リアゾール等のN- ニトロソ系化合物等の有機化合物が
使用できるほか、マイクロカプセル様の熱膨張性微小球
も好適に使用できる。
【0016】また、請求項2及び3記載の考案において
発泡粘着剤(3) は黄又は白色、或いは金又は銀色に着色
されている。請求項2記載の考案において発泡粘着剤
(3) を黄又は白色に着色する理由は、黄又は白色が微小
害虫を誘引する色であるため、害虫量が少ない場合で
も、発泡粘着剤(3) が着色されていない粘着ネットに比
べて、微小害虫を誘引して多く捕獲でき、微小害虫侵入
防止の効果が増すからである。以下、請求項3記載の考
案において発泡粘着剤(3) を金又は銀色に着色する理由
について説明する。害虫量が多い場合、粘着ネットによ
り捕獲された害虫が粘着ネットの発泡粘着剤表面全面に
付着し、次に侵入してくる害虫は捕獲された害虫の上に
一旦止まり侵入してくる為、微小害虫侵入防止の効果が
劣化する危険性がある。この為、害虫が粘着ネットに多
量に付着した時点で粘着ネットの取り替え若しくは害虫
を洗流し、粘着表面を露出させ使用する必要性があり、
その作業工数が増すという弊害が生じる。しかしながら
忌避効果の有る金又は銀色に着色することにより、その
色を嫌う害虫は粘着ネットに近寄らなくなり、色に反応
しない害虫のみが粘着ネットに近寄り侵入しようとして
捕獲される為、害虫量が多い場合でも、長期間粘着ネッ
トの粘性を保持できるとともに取り替え工数を軽減でき
る。発泡粘着剤(3) を着色する着色顔料としては特に限
定されず、アクリル系ポリマーと相溶性の良いアクリル
系バインダーを含有する顔料が好ましい。
【0017】この考案の発泡粘着剤(3) においてアクリ
ル系オリゴマーは通常アクリル系ポリマー100 重量部に
対して50〜 300重量部、より好ましくは70〜120 重量部
配合される。この理由は50重量部未満ではアクリル系オ
リゴマーの混入量が少なすぎて得られる粘着剤の粘着性
が十分でない場合があり、一方300 重量部を超えると混
入量が多すぎて凝集力が不足し、粘着剤が流れる現象が
発生する場合があり、いずれの場合も好ましくないから
である。発泡剤は添加する量が多すぎると粘着剤塗設面
に凹凸が生じ、十分な粘着性が発現されないので、この
考案においては通常アクリル系ポリマー100 重量部に対
して5〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部配合さ
れる。着色顔料は通常1〜5重量部配合される。また、
より一層粘着性を付与するために粘着付与剤を添加する
こともできるが、この粘着付与剤はその添加量が多すぎ
ると耐候性、耐低温性が低下する傾向が現れてくるので
その配合はアクリル系ポリマー100 重量部に対して15重
量部以下の範囲とされることが好ましい。
【0018】図3はこの考案に係る微小害虫侵入防止粘
着ネット(1) をロール状に巻き取った状態を示す説明図
である。この考案の微小害虫侵入防止粘着ネット(1)
ビニールハウスの外周底面約1.5m以下全面に設置する、
或いはハウス内の天井部分に貼着することにより微小害
虫のハウス内への侵入を防止することができる。
【0019】
【考案の効果】以上詳述した如くこの考案はネット基材
の表面にアクリル系ポリマーとアクリル系オリゴマーと
の混和物を発泡させた発泡粘着剤を塗設したことを特徴
とする微小害虫侵入防止粘着ネット又は発泡粘着剤が黄
色又は白色に着色されて、或いは金色又は銀色に着色さ
れてなることを特徴とする微小害虫侵入防止粘着ネット
であるから以下の効果を奏する。
【0020】すなわちハウス栽培においてビニルハウス
外周底面部をこの考案に係る微小害虫侵入防止粘着ネッ
トで覆うことにより、微小害虫のハウス内への侵入が防
止できるため薬剤使用による防虫回数を低減することが
できる。また、この考案の微小害虫侵入防止粘着ネット
の発泡粘着剤を微小害虫を誘因する黄又は白色に着色す
ることによって、害虫量が少ない場合でも微小害虫を誘
因してネットの発泡粘着剤層で捕虫できるので微小害虫
侵入防止の効果が増す。害虫量が多い場合には、発泡粘
着剤を微小害虫の嫌う金又は銀色に着色することによっ
て、その色を嫌う害虫を忌避し、色に反応しない害虫の
みを補虫できるので、侵入しようとする害虫量が少なく
なり、長時間粘着ネットの粘性を保持できる。更に、こ
の考案の微小害虫侵入防止粘着ネットでは剥離紙を使用
する必要がないので貼着作業性が容易である。また、こ
の考案の微小害虫侵入防止粘着ネットは塗設される発泡
粘着剤層の特性から耐候性、耐水性、耐寒性に優れ、且
つ発泡粘着剤層が薄層であるため粘着剤の流れがなく、
また薄層でも微小害虫の接着能力を十分発揮する優れた
効果を奏する。
【0021】(試験例) 以下に試験例を示すことによりこの考案に係る微小害虫
侵入防止粘着ネットの効果をより一層明確なものとす
る。
【0022】(試験例1) (1) アクリル系ポリマー アクリル酸2- エチルヘキシル100 重量部とアクリル酸
2重量部、官能基としてトリメチロールプロパンアクリ
レート0.01重量部、反応開始剤0.2 重量部を混合しトル
エン溶液中で重合してアクリル系ポリマーを得た。 (2) アクリル系オリゴマー アクリル酸2- エチルヘキシル100 重量部とヒドロキシ
エチルアクリレート2.25重量部、2-メルカプトエタノー
ル 1.5重量部、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニ
トリル0.1 重量部を重合してアクリル系オリゴマーを得
た。上記(1) で得られたアクリル系ポリマー 100重量部
と(2) で得られたアクリル系オリゴマー100 重量部、発
泡剤(商品名:マツモトマイクロスフェアーF−30D,
松本油脂製薬株式会社製)10重量部を溶剤としてトルエ
ンを用いて混合調製し粘着剤とした。この粘着剤をポリ
プロピレン性ネット基材( 網目口径0.5cm ×0.5cm)の両
面に塗布し、130 ℃で2分間加熱発泡させてこの考案に
係る微小害虫侵入防止粘着ネットを得た。
【0023】(試験例2乃至5) 試験例1で得られた発泡粘着剤に下記表1に示す着色顔
料(黄、白、銀、金)2重量部を混合した以外は試験例
1と同様の考案に係る微小害虫侵入防止粘着ネットを得
た。試験例1乃至5で得られた各微小害虫侵入防止粘着
ネットを福岡県(8月12日13:00 〜9月12日16:00)のビ
ニルハウスの特定場所、試験例1はハウス外周底面1.5m
以下の全面に、試験例2乃至5はハウス内天井部分に貼
着して設置した。黄色の着色顔料を混合したネット(試
験例2)での補虫率を100%とした場合の各試験例に
おける補虫率を表1に示した。
【0024】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案に係る微小害虫侵入防止粘着ネットの
一実施例を示す平面図である。
【図2】同上、A−A' 線断面拡大図である。
【図3】同上、巻取り状態を示す説明図である。
【符号の説明】 微小害虫侵入防止粘着ネット 2 ネット基材 3 発泡粘着剤

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ネット基材の表面にアクリル系ポリマー
    とアクリル系オリゴマーとの混和物を発泡させた発泡粘
    着剤を塗設したことを特徴とする微小害虫侵入防止粘着
    ネット。
  2. 【請求項2】 発泡粘着剤が黄色又は白色に着色されて
    なることを特徴とする請求項1記載の微小害虫侵入防止
    粘着ネット。
  3. 【請求項3】 発泡粘着剤が金色又は銀色に着色されて
    なることを特徴とする請求項1記載の微小害虫侵入防止
    粘着ネット。
JP1991031235U 1991-04-05 1991-04-05 微小害虫侵入防止粘着ネット Expired - Lifetime JP2539274Y2 (ja)

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