JP2534146B2 - ペ―スト用金含有有機組成物およびその製法 - Google Patents
ペ―スト用金含有有機組成物およびその製法Info
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- JP2534146B2 JP2534146B2 JP2006797A JP679790A JP2534146B2 JP 2534146 B2 JP2534146 B2 JP 2534146B2 JP 2006797 A JP2006797 A JP 2006797A JP 679790 A JP679790 A JP 679790A JP 2534146 B2 JP2534146 B2 JP 2534146B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子材料の配線に用いる金レジネートペー
ストの原材料として使用できる金含有有機組成物に関
し、詳しくは溶剤溶解性に富み、印刷性、成膜性、保存
性、操作性に優れた金含有有機組成物およびその製法に
関するものである。
ストの原材料として使用できる金含有有機組成物に関
し、詳しくは溶剤溶解性に富み、印刷性、成膜性、保存
性、操作性に優れた金含有有機組成物およびその製法に
関するものである。
[従来技術] 固形物品の表面に金被膜を形成する方法は、たとえば
金を含む有機組成物であるスルホ樹脂酸金を熱分解させ
ることによりガラスや陶磁器の上に金被膜を形成させる
装飾用の絵付け技術として、既に100年以上も前から実
施されている。
金を含む有機組成物であるスルホ樹脂酸金を熱分解させ
ることによりガラスや陶磁器の上に金被膜を形成させる
装飾用の絵付け技術として、既に100年以上も前から実
施されている。
この技術は、最近になって装飾用以外に、回路基板上
の導体形成等にも用いられるようになった。
の導体形成等にも用いられるようになった。
上記方法に用いられる金含有有機組成物は、従来、天
然の樹脂酸をベースとするものであったため、不純物に
よる成膜性の不良や再現性の乏しさという問題があり、
また化学構造と熱分解過程との相関性に関する知見にも
乏しいという実情にあった。そこで、化学合成された構
造の明らかな有機化合物原料を用いて、金レジネートペ
ースト用金含有有機組成物を合成することが行われるよ
うになった。
然の樹脂酸をベースとするものであったため、不純物に
よる成膜性の不良や再現性の乏しさという問題があり、
また化学構造と熱分解過程との相関性に関する知見にも
乏しいという実情にあった。そこで、化学合成された構
造の明らかな有機化合物原料を用いて、金レジネートペ
ースト用金含有有機組成物を合成することが行われるよ
うになった。
そのような化学合成法によって得られる各種金含有有
機組成物は粘度の低い溶剤や沸点の比較的低い溶剤には
ある程度溶解する傾向があるが、ペースト調製用として
用いるには、それら低粘度かつ低沸点の溶剤によっては
所望の印刷性、成膜性、保存性を持つペーストが得られ
ないため、通常は、精油類(主にターピネオール)を溶
剤として用いてペースト化を行っている。
機組成物は粘度の低い溶剤や沸点の比較的低い溶剤には
ある程度溶解する傾向があるが、ペースト調製用として
用いるには、それら低粘度かつ低沸点の溶剤によっては
所望の印刷性、成膜性、保存性を持つペーストが得られ
ないため、通常は、精油類(主にターピネオール)を溶
剤として用いてペースト化を行っている。
また、金含有有機組成物はその形態が粉末であれば、
ハンドリングロスを大幅に防ぐことができ、抽出が定量
的にできるため、高収率でペースト化できるが、実際に
は採用する有機化合物の種類によって使用できる溶剤が
限定されるため、金レジネートペースト調製用として使
用できる有機化合物の種類が限定されてしまう。
ハンドリングロスを大幅に防ぐことができ、抽出が定量
的にできるため、高収率でペースト化できるが、実際に
は採用する有機化合物の種類によって使用できる溶剤が
限定されるため、金レジネートペースト調製用として使
用できる有機化合物の種類が限定されてしまう。
一方、油状の金含有有機組成物は、溶剤溶解性に優れ
ている点では金レジネートペースト製造用原料として好
ましいが、精製を行えないので純度を高めることができ
ない等の欠点を有していた。
ている点では金レジネートペースト製造用原料として好
ましいが、精製を行えないので純度を高めることができ
ない等の欠点を有していた。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように従来用いられてきた、金レジネートペー
スト製造用の金含有有機組成物の多くは、ターピネオー
ルなどの精油類に対する溶解度が極めて低く、一方、精
油類溶剤に対する溶解性に優れているものは低収率で、
純度が低く、成膜性が極度に悪いという欠点を有してい
た。
スト製造用の金含有有機組成物の多くは、ターピネオー
ルなどの精油類に対する溶解度が極めて低く、一方、精
油類溶剤に対する溶解性に優れているものは低収率で、
純度が低く、成膜性が極度に悪いという欠点を有してい
た。
したがって、精油類(主としてターピネオール)に対
して優れた溶解性を持ち、しかも印刷性、成膜性、保存
性、操作性に優れた構造の明らかな金レジネート製造用
金含有有機組成物を高収率で得るための何らかの新規手
段が求められていた。
して優れた溶解性を持ち、しかも印刷性、成膜性、保存
性、操作性に優れた構造の明らかな金レジネート製造用
金含有有機組成物を高収率で得るための何らかの新規手
段が求められていた。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は、斯る課題を解決するために鋭意研究し
たところ、2種以上の特定のメルカプタンを適正なモル
比範囲で混合したものに金化合物を反応させて、再結晶
化することによって得られた金含有有機組成物が精油類
に対する溶解性に優れ、かつ高収率で回収できることを
見い出し、本発明が達成することができた。
たところ、2種以上の特定のメルカプタンを適正なモル
比範囲で混合したものに金化合物を反応させて、再結晶
化することによって得られた金含有有機組成物が精油類
に対する溶解性に優れ、かつ高収率で回収できることを
見い出し、本発明が達成することができた。
すなわち本発明は、金レジネートペースト製造用原料
として用いられる金含有有機組成物として、少なくとも
1種のtert−アルキルメルカプタン(ただしアルキル基
の炭素数が4〜20、好ましくは8〜16である)15〜50モ
ル%と、少なくとも1種のtert−アルキルフェニルメル
カプタン(アルキル基の炭素数が4以上、好ましくは4
〜20、最も好ましくは4〜12である)85〜50モル%とを
合計が100モル%となるように混合して得た混合物を、
塩化金の硫化メチル錯体と反応させて、金含有有機組成
物粉末を得ることを特徴とする金レジネートペースト製
造用金含有有機組成物の製造方法およびその方法によっ
て初めて得られた新規な組成の金含有有機組成物を提供
するものである。
として用いられる金含有有機組成物として、少なくとも
1種のtert−アルキルメルカプタン(ただしアルキル基
の炭素数が4〜20、好ましくは8〜16である)15〜50モ
ル%と、少なくとも1種のtert−アルキルフェニルメル
カプタン(アルキル基の炭素数が4以上、好ましくは4
〜20、最も好ましくは4〜12である)85〜50モル%とを
合計が100モル%となるように混合して得た混合物を、
塩化金の硫化メチル錯体と反応させて、金含有有機組成
物粉末を得ることを特徴とする金レジネートペースト製
造用金含有有機組成物の製造方法およびその方法によっ
て初めて得られた新規な組成の金含有有機組成物を提供
するものである。
上記の金含有有機組成物は、少なくとも1種のtert−
アルキルメルカプタン(ただしアルキル基の炭素数は4
〜20、好ましくは8〜16である)を塩化金の硫化メチル
錯体と反応させて得た金tert−アルキルメルカプチド15
〜50モル%と、少なくとも1種のtert−アルキルフェニ
ルメルカプタン(ただしアルキル基の炭素数は4、好ま
しくは4〜20、最も好ましくは4〜12である)を塩化金
の硫化メチル錯体と反応させて得た金tert−アルキルフ
ェニルメルカプチド50〜85モル%とを全体が100モル%
となるように混合することによっても製造できることが
確認された。
アルキルメルカプタン(ただしアルキル基の炭素数は4
〜20、好ましくは8〜16である)を塩化金の硫化メチル
錯体と反応させて得た金tert−アルキルメルカプチド15
〜50モル%と、少なくとも1種のtert−アルキルフェニ
ルメルカプタン(ただしアルキル基の炭素数は4、好ま
しくは4〜20、最も好ましくは4〜12である)を塩化金
の硫化メチル錯体と反応させて得た金tert−アルキルフ
ェニルメルカプチド50〜85モル%とを全体が100モル%
となるように混合することによっても製造できることが
確認された。
[作用] 一般的に金含有有機組成物は、構成成分たる有機化合
物の主鎖および側鎖の違いによって該組成物の性質が大
きく異なり、以下の3つのグループに大別することがで
きる。
物の主鎖および側鎖の違いによって該組成物の性質が大
きく異なり、以下の3つのグループに大別することがで
きる。
(1)どんな溶剤にもまったく溶けないもの (2)精油類には溶けにくいが、低沸点、低粘度の極性
溶剤にはよく溶けるもの (3)精油類によく溶けるもの これらのうち(1)に分類される組成物は、金レジネ
ートペーストにはなり得ないので問題外である。(2)
に分類される組成物は、粉末状の結晶であり、ターピネ
オールなどの精油類に対しては極めて溶解度が低いた
め、金レジネートペースト製造用原料とすることは困難
である。この目的に使用できる金含有有機組成物として
は、ターピネオールなどの精油類に対する溶解度が40重
量%以上であることが必要とされるからである。
溶剤にはよく溶けるもの (3)精油類によく溶けるもの これらのうち(1)に分類される組成物は、金レジネ
ートペーストにはなり得ないので問題外である。(2)
に分類される組成物は、粉末状の結晶であり、ターピネ
オールなどの精油類に対しては極めて溶解度が低いた
め、金レジネートペースト製造用原料とすることは困難
である。この目的に使用できる金含有有機組成物として
は、ターピネオールなどの精油類に対する溶解度が40重
量%以上であることが必要とされるからである。
しかしながら、この分類に属する組成物は粉状の結晶
で扱いやすく、また、高収率で得られる利点がある。
で扱いやすく、また、高収率で得られる利点がある。
一方、(3)に分類される組成物は、精油類への溶解
性という点では優れているが、油状物質であって扱いに
くい上に、収率も低く、精製が困難であり、ペーストに
した場合の成膜性も極めて悪い。また、印刷、焼成した
場合には焼き縮みが大きく、連続した均一な金膜になら
ないことが知られている。
性という点では優れているが、油状物質であって扱いに
くい上に、収率も低く、精製が困難であり、ペーストに
した場合の成膜性も極めて悪い。また、印刷、焼成した
場合には焼き縮みが大きく、連続した均一な金膜になら
ないことが知られている。
そこで本発明者らは、上記(2)と(3)の組成物を
適切な比率で配合することによって、両者の優れた点を
兼ね備えた金含有有機組成物を得ることができるのでは
ないかと考えて研究を行い、(2)の組成物と(3)の
組成物とを原料であるメルカプタンの段階で混合するこ
とによって、またはそれぞれの金メルカプチドを個別に
合成した後適切な比率で混合することによって、新しい
特性を持った金含有有機組成物を得ることに成功した。
このようにして得られた混合型の金含有有機組成物は、
粉状で洗浄による精製が容易にでき、反応副生成物の除
去も効果的にできるため、高純度化できることが確認さ
れた。
適切な比率で配合することによって、両者の優れた点を
兼ね備えた金含有有機組成物を得ることができるのでは
ないかと考えて研究を行い、(2)の組成物と(3)の
組成物とを原料であるメルカプタンの段階で混合するこ
とによって、またはそれぞれの金メルカプチドを個別に
合成した後適切な比率で混合することによって、新しい
特性を持った金含有有機組成物を得ることに成功した。
このようにして得られた混合型の金含有有機組成物は、
粉状で洗浄による精製が容易にでき、反応副生成物の除
去も効果的にできるため、高純度化できることが確認さ
れた。
本発明において使用できる(3)の金含有有機化合物
としては、アルキル基の炭素数が4〜20、好ましくは8
〜16のtert−アルキルメルカプタンを金化合物と反応さ
せて得た金tert−アルキルメルカプチドがあり、(2)
の金含有有機組成物としては、アルキル基の炭素数が4
以上、好ましくは4〜20、最も好ましくは4〜12のtert
−アルキルフェニルメルカプタン(たとえば、p−tert
−ブチルフェニルメルカプタン、o−メチル−p−tert
−ブチルフェニルメルカプタン、p−tert−ヘキサフェ
ニルメルカプタン、p−tert−ドデカフェニルメルカプ
タンを金と結合させた金tert−アルキルフェニルメルカ
プチドがある。
としては、アルキル基の炭素数が4〜20、好ましくは8
〜16のtert−アルキルメルカプタンを金化合物と反応さ
せて得た金tert−アルキルメルカプチドがあり、(2)
の金含有有機組成物としては、アルキル基の炭素数が4
以上、好ましくは4〜20、最も好ましくは4〜12のtert
−アルキルフェニルメルカプタン(たとえば、p−tert
−ブチルフェニルメルカプタン、o−メチル−p−tert
−ブチルフェニルメルカプタン、p−tert−ヘキサフェ
ニルメルカプタン、p−tert−ドデカフェニルメルカプ
タンを金と結合させた金tert−アルキルフェニルメルカ
プチドがある。
本発明の金含有有機組成物の製造に際し、tert−アル
キフェニルメルカプタンまたは金−tert−アルキルフェ
ニルメルカプチドがtert−アルキルメルカプタンまたは
金−tert−アルキルメルカプチドよりも少なく配合され
た場合は、該有機組成物を用いて得られる金レジネート
ペーストは焼き縮みが大きく、連続した均一な金膜を形
成しないため、tert−アルキルフェニルメルカプタンま
たは金tert−アルキルフェニルメルカプチドの配合量は
50モル%以上とした。
キフェニルメルカプタンまたは金−tert−アルキルフェ
ニルメルカプチドがtert−アルキルメルカプタンまたは
金−tert−アルキルメルカプチドよりも少なく配合され
た場合は、該有機組成物を用いて得られる金レジネート
ペーストは焼き縮みが大きく、連続した均一な金膜を形
成しないため、tert−アルキルフェニルメルカプタンま
たは金tert−アルキルフェニルメルカプチドの配合量は
50モル%以上とした。
一方、tert−アルキルフェニルメルカプタン類の全体
に占める割合が85モル%以上になると、組成物のターピ
ネオールなどの精油類に対する溶解度が40重量%未満に
なり、金レジネートペーストを調製できなくなるので、
同化合物配合の上限値を85モル%とすべきであることか
ら、その配合比率範囲を50〜85モル%と定めた。
に占める割合が85モル%以上になると、組成物のターピ
ネオールなどの精油類に対する溶解度が40重量%未満に
なり、金レジネートペーストを調製できなくなるので、
同化合物配合の上限値を85モル%とすべきであることか
ら、その配合比率範囲を50〜85モル%と定めた。
以下実施例をもって詳細に説明する。
[実施例1] 金含有有機組成物の有機骨格部分を構成する化合物と
してtert−ドデシルメルカプタンとp−tert−ブチルフ
ェニルメルカプタンを1:3のモル比で混合したものを用
いて、下記の手順で金含有有機組成物を調製した。
してtert−ドデシルメルカプタンとp−tert−ブチルフ
ェニルメルカプタンを1:3のモル比で混合したものを用
いて、下記の手順で金含有有機組成物を調製した。
まず、0.2モル/の塩化金酸水溶液250mlを4〜20℃
に冷却し、攪拌しながら硫化メチル0.15モルを加え、白
色沈殿が析出しきった後、クロロホルム40mlを加えて上
記沈殿を含む反応混合物を希釈した。
に冷却し、攪拌しながら硫化メチル0.15モルを加え、白
色沈殿が析出しきった後、クロロホルム40mlを加えて上
記沈殿を含む反応混合物を希釈した。
次に、0.0138モルのtert−ドデシルメルカプタン
(A)と、第1表に示す割合(No.1〜No.5)に相当する
モル数のp−tert−ブチルフェニルメルカプタン(B)
との混合物にクロロホルム10mlを加えた液を、冷却した
上記希釈液中に攪拌しながら滴下し、さらに室温に加温
しながら反応を完結させた。
(A)と、第1表に示す割合(No.1〜No.5)に相当する
モル数のp−tert−ブチルフェニルメルカプタン(B)
との混合物にクロロホルム10mlを加えた液を、冷却した
上記希釈液中に攪拌しながら滴下し、さらに室温に加温
しながら反応を完結させた。
反応終了後、有機層を3回水洗し、水洗された有機層
をメタノール500ml中に滴下して生成物の抽出を行い、
抽出完了後、メタノール等の液分を除去して目的とする
金含有有機組成物の粉末を得た。
をメタノール500ml中に滴下して生成物の抽出を行い、
抽出完了後、メタノール等の液分を除去して目的とする
金含有有機組成物の粉末を得た。
得られた金含有有機組成物について、塩化金酸中の金
量を基準として計算した収率、金含有有機組成物中の金
含有量(重量%)および25℃におけるターピネオールへ
の溶解度(重量%)を第1表に併せて示した。
量を基準として計算した収率、金含有有機組成物中の金
含有量(重量%)および25℃におけるターピネオールへ
の溶解度(重量%)を第1表に併せて示した。
また、混合液の1成分を構成するtert−ドデシルメル
カプタンの代わりに、tert−ヘキサデシルメルカプタン
(C)を用いたほかは、上記と同様に行って得た実験結
果(No.6〜10)も併せて第1表に示した。
カプタンの代わりに、tert−ヘキサデシルメルカプタン
(C)を用いたほかは、上記と同様に行って得た実験結
果(No.6〜10)も併せて第1表に示した。
[実施例2] 実施例1においては、たとえば実験No.3でtert−ドデ
シルメルカプタン1モルとp−tert−ブチルフェニルメ
ルカプタン3モルとを混合したものを塩化金と反応させ
て、金tert−ドデシルメルカプチドと金p−tert−ブチ
ルフェニルメルカプチドが1モル:3モルの割合で混在し
ている金含有有機組成物を得たが、本実施例では金tert
−ドデシルメルカプチドと金p−tert−ブチルフェニル
メルカプチドを実施例1と同様な方法でそれぞれ個別に
得た後、得られた2種の金メルカプチドを1:3のモル比
で混合して粉末形態の金含有有機組成物を得た。
シルメルカプタン1モルとp−tert−ブチルフェニルメ
ルカプタン3モルとを混合したものを塩化金と反応させ
て、金tert−ドデシルメルカプチドと金p−tert−ブチ
ルフェニルメルカプチドが1モル:3モルの割合で混在し
ている金含有有機組成物を得たが、本実施例では金tert
−ドデシルメルカプチドと金p−tert−ブチルフェニル
メルカプチドを実施例1と同様な方法でそれぞれ個別に
得た後、得られた2種の金メルカプチドを1:3のモル比
で混合して粉末形態の金含有有機組成物を得た。
得られた金含有有機組成物をNMR測定により分析した
ところ、実施例1で得られたものと同一の構造を有する
ことが判明した。
ところ、実施例1で得られたものと同一の構造を有する
ことが判明した。
[比較例] 従来法では、実施例1に示したようなtert−ドデシル
メルカプタンとp−tert−ブチルフェニルメルカプタン
との混合物を金化合物と反応させたり、あるいは金tert
−ドデシルメルカプチドと金tert−ブチルフェニルメル
カプチドとを個別に形成した後混合物としたりすること
は行われておらず、各々のメルカプタンを単独で用いて
個別に金メルカプチドを合成した後、金レジネートペー
スト化する方法がとられていた。本比較例では、このよ
うな従来法によって金含有有機組成物を調製し、得られ
た金含有有機組成物の収率(%)、金含有量(重量
%)、溶解度(重量%)について、実施例1の場合と同
様に測定し、その結果を第2表に示した。
メルカプタンとp−tert−ブチルフェニルメルカプタン
との混合物を金化合物と反応させたり、あるいは金tert
−ドデシルメルカプチドと金tert−ブチルフェニルメル
カプチドとを個別に形成した後混合物としたりすること
は行われておらず、各々のメルカプタンを単独で用いて
個別に金メルカプチドを合成した後、金レジネートペー
スト化する方法がとられていた。本比較例では、このよ
うな従来法によって金含有有機組成物を調製し、得られ
た金含有有機組成物の収率(%)、金含有量(重量
%)、溶解度(重量%)について、実施例1の場合と同
様に測定し、その結果を第2表に示した。
以上示したように、金含有有機組成物が単独で粉状の
物質として得られる場合、それらのターピネオールに対
する溶解度は極めて低いため、金レジネート調製用の好
ましい原料とはなり得ない。本例ではNo.12のtert−ヘ
キサデシルメルカプタンとNo.15のtert−ドデシルメル
カプタンを用いて合成した金メルカプチドのみがターピ
ネオールに対する溶解度が良好であった。
物質として得られる場合、それらのターピネオールに対
する溶解度は極めて低いため、金レジネート調製用の好
ましい原料とはなり得ない。本例ではNo.12のtert−ヘ
キサデシルメルカプタンとNo.15のtert−ドデシルメル
カプタンを用いて合成した金メルカプチドのみがターピ
ネオールに対する溶解度が良好であった。
すなわち、No.12とNo.15のメルカプタンをそれぞれ用
いて得た金tert−ヘキサデシルメルカプチドと金tert−
ドデシルメルカプチドだけはターピネオールに対する溶
解度が高く、金レジネートペーストを調製できたが、得
られた金含有有機組成物は実施例1の場合と異なり油状
であるため、グレーズ基板上に印刷しても乾燥被膜がで
きず、焼成時には著しい焼き縮みを生ずることが確認さ
れた。
いて得た金tert−ヘキサデシルメルカプチドと金tert−
ドデシルメルカプチドだけはターピネオールに対する溶
解度が高く、金レジネートペーストを調製できたが、得
られた金含有有機組成物は実施例1の場合と異なり油状
であるため、グレーズ基板上に印刷しても乾燥被膜がで
きず、焼成時には著しい焼き縮みを生ずることが確認さ
れた。
その他のメルカプチドを用いて得られた金p−tert−
ブチルフェニルメルカプチド(No.11)、金−βナフチ
ルメルカプチド(No.13)、金ジメチルフェニルメルカ
プチド(No.14)、金トリフェニルメルカプチド(No.1
6)、金p−クロロフェニルメルカプチド(No.17)、金
n−ヘキサデシルメルカプチド(No.20)、金iso−ブチ
ルメルカプチド(No.21)等は、全く金レジネートペー
ストにならなかった。
ブチルフェニルメルカプチド(No.11)、金−βナフチ
ルメルカプチド(No.13)、金ジメチルフェニルメルカ
プチド(No.14)、金トリフェニルメルカプチド(No.1
6)、金p−クロロフェニルメルカプチド(No.17)、金
n−ヘキサデシルメルカプチド(No.20)、金iso−ブチ
ルメルカプチド(No.21)等は、全く金レジネートペー
ストにならなかった。
これに対し第1表に示したように、本発明の方法で得
られたものは全て粉状の金含有有機組成物であり、金レ
ジネートペーストにするのに十分なターピネオールへの
溶解度を有しており、かつ焼成時に焼き縮みすることも
なく、均一な連続した金膜を形成することが確認され
た。
られたものは全て粉状の金含有有機組成物であり、金レ
ジネートペーストにするのに十分なターピネオールへの
溶解度を有しており、かつ焼成時に焼き縮みすることも
なく、均一な連続した金膜を形成することが確認され
た。
[発明の効果] 上述のように本発明は、優れた特殊溶剤溶解性を有す
るが油状で成膜性等に欠陥を持つメルカプタンと粉状で
扱いやすく成膜性に優れているが特種溶剤溶解性等の特
性に欠陥を持つメルカプタンとを適正なモル比で混合し
たメルカプタンまたはそれぞれの金メルカプチドを、メ
ルカプチド合成原料のメルカプタン段階であるいはそれ
ぞれの金メルカプチド形成後に混合することによって、
金レジネート調製原料に要求されるすべての特性を充分
満足する金含有有機組成物を安価に製造できる効果を有
するものである。
るが油状で成膜性等に欠陥を持つメルカプタンと粉状で
扱いやすく成膜性に優れているが特種溶剤溶解性等の特
性に欠陥を持つメルカプタンとを適正なモル比で混合し
たメルカプタンまたはそれぞれの金メルカプチドを、メ
ルカプチド合成原料のメルカプタン段階であるいはそれ
ぞれの金メルカプチド形成後に混合することによって、
金レジネート調製原料に要求されるすべての特性を充分
満足する金含有有機組成物を安価に製造できる効果を有
するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 光根 裕 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同和鉱業株式会社内 (72)発明者 田▲崎▼ 雄三 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同和鉱業株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】少なくとも1種の金tert−アルキルメルカ
プチド(ただしアルキル基の炭素数は4〜20である)15
〜50モル%と少なくとも1種の金tert−アルキルフェニ
ルメルカプチド(ただしアルキル基の炭素数は4以上で
ある)50〜85モル%とを全体が100モル%となるように
配合した混合物からなるペースト用金含有有機組成物。 - 【請求項2】少なくとも1種のtert−アルキルメルカプ
タン(ただしアルキル基の炭素数は4〜20である)15〜
50モル%と少なくとも1種のtert−アルキルフェニルメ
ルカプタン(ただしアルキル基の炭素数は4以上であ
る)50〜85モル%とを全体が100モル%となるように配
合した混合メルカプタンを塩化金の硫化メチル錯体と反
応させることからなるペースト用金含有有機組成物の製
法。 - 【請求項3】少なくとも1種のtert−アルキルメルカプ
タン(ただしアルキル基の炭素数は4〜20である)を塩
化金の硫化メチル錯体と反応させて得た金tert−アルキ
ルメルカプチド15〜50モル%と、少なくとも1種のtert
−アルキルフェニルメルカプタン(ただしアルキル基の
炭素数は4以上である)を塩化金の硫化メチル錯体と反
応させて得た金tert−アルキルフェニルメルカプチド50
〜85モル%とを全体が100モル%となるように混合する
ことからなるペースト用金含有有機組成物の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006797A JP2534146B2 (ja) | 1990-01-16 | 1990-01-16 | ペ―スト用金含有有機組成物およびその製法 |
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JP2006797A JP2534146B2 (ja) | 1990-01-16 | 1990-01-16 | ペ―スト用金含有有機組成物およびその製法 |
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JPH03210371A JPH03210371A (ja) | 1991-09-13 |
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- 1990-01-16 JP JP2006797A patent/JP2534146B2/ja not_active Expired - Lifetime
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