JP2532272B2 - 引張試験装置 - Google Patents

引張試験装置

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JP2532272B2
JP2532272B2 JP63074489A JP7448988A JP2532272B2 JP 2532272 B2 JP2532272 B2 JP 2532272B2 JP 63074489 A JP63074489 A JP 63074489A JP 7448988 A JP7448988 A JP 7448988A JP 2532272 B2 JP2532272 B2 JP 2532272B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、テレビジョンカメラ、ラインセンサーカ
メラ、レーザースキャナーカメラなどの走査装置を複数
台利用して材料の引張特性を測定する引張試験装置に関
するものである。
〔従来の技術〕
ゴム、樹脂、繊維などのゴム状の材料の引張り強さ、
伸長応力、或いは破断時の伸びなどの引張特性を測定す
る引張試験装置は、上記材料からなる試験片の両端をそ
れぞれチャックで把持し、一方のチャックを移動させて
試験片を引っ張り、伸長変形を与えるように構成されて
いる。このような引張試験装置により、例えば100%伸
長時の弾性率を測定するには、試験担当者が肉眼で試験
片が伸長する様子を常時観察しながら100%に伸長した
時点を確認しなければならない。
このため測定作業には試験担当者の高い熟練が必要であ
り、その熟練度が低い場合には測定エラーを発生するこ
とがあった。
本発明者等は、このような試験担当者の熟練度等に依
存して発生する測定エラーの問題を解消するため、試験
片に光学特性の異なる測定マークを施し、それをテレビ
ジョンカメラ(以下、単にTVカメラという)などの走査
装置を利用して自動的に測定する引張試験装置を、特公
昭56-19882号公報、特公昭56-18086号公報などによって
既に提案している。
一方、ゴムなどのように破断するまでに5〜10倍にも
大変形する材料では、その大変形したときの伸びの特性
だけでなく、低伸長域での微小な変形のときの特性も調
べることが必要な場合がある。しかし、このような微小
変形時の引張特性の測定にはますます熟練度が必要とさ
れるため、上記TVカメラを利用した引張試験装置は、こ
の微小変形の測定に好適といえる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上述した従来提案のTVカメラを利用す
る引張試験装置では、TVカメラを試験片に近づければ微
小な伸長変化を精度良く読取れるが、一台のTVカメラで
は限界があり、また逆に大きな伸長域はTVカメラの視野
から外れてしまうため測定することができず、遠ざけた
場合の読み取り精度が低下するという問題があった。
即ち、一度の測定操作で微小変形時の測定と大変形時
の測定との両方を同時に行えないという不便があり、作
業能率が上がらないという問題があった。
このような問題は、TVカメラの場合だけでなく、走査装
置としてラインセンサーカメラやレーザースキャナーカ
メラを使用する場合にも同様であった。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、かかる従来の問題点に着目して案出され
たもので、その第1の目的とするところは、大きな伸長
変形を測定できるようにしながら、微小な伸長変形も高
精度に測定することができる引張試験装置を提供するも
のである。
また、この発明の第2の目的とするところは、大きな
伸長変形と小さな伸長変形とを1回の測定操作だけで高
精度に測定することができる引張試験装置を提供するも
のである。
〔発明の構成〕
この発明は上記目的を達成するため、地色と光学特性
が異なる測定マークを施したゴム状の試験片の両端をチ
ャックで把持し、一方のチャックを移動させることによ
り前記試験片に引張荷重を加えながら前記測定マークの
引張方向の変化を走査装置で走査し、前記測定マークと
地色との光学特性の違いにより出力される電気信号によ
り前記試験片の引張特性を測定するようにした引張試験
装置において、前記走査装置は非接触式であって、前記
試験片の伸長域全体を全視野とする第1の走査装置と、
低伸長域を全視野とする第2の走査装置とからなり、か
つ共に位置を固定して設置され、前記第2の走査装置
は、前記試験片の引張方向上手側に付された測定マーク
と、引張方向下手側に付された測定マークとをそれぞれ
別々に走査する複数の局部領域走査装置で構成したこと
を特徴とするものである。
また、この発明では、より高い精度な読み取りを可能
にするため、試験片の近傍に、二つの測定マークのそれ
ぞれと対比させる基準線を設けた基準板を配設するのが
好ましく、また、試験片の引張速度を可変にし、この引
張速度を低伸長域を全視野とする第2の走査装置を作動
させるとき低速度にし、伸長域全体を全視野とする第1
の走査装置に切り換えて作動させるとき、速度を速くす
るようにするがよい。
本発明に使用される走査装置としては、工業用や放送
用等に使用されている既知のTVカメラ(撮像管)、ライ
ンセンサーカメラ(ソリッドステイト線走査素子を用い
た光電変換カメラ)或いはレーザースキャナーカメラ
(レーザースキャナーと受光器を組み合わせて光源側が
線走査するカメラ)などの非接触式のものが使用され
る。
これらの走査装置において、低伸長域を全視野とする
局部領域走査装置は、その素子数が伸長域全体を全視野
とする走査装置の素子数よりも多いものを使用するのが
よい。
例えばTVカメラの場合には、後者の走査装置を有効走
査線数512本のカメラにするのに対し、前者を有効走査
線数1024本のカメラにし、ラインセンサーカメラの場合
には、後者を有効画素数512個のカメラにするのに対
し、前者を有効画素数4096個のカメラにし、またレーザ
ースキャナーカメラの場合には、後者を振動速度1/100
秒/走査のカメラにするのに対し、前者を振動速度1/1
5,000秒/走査のカメラにしてそれぞれ利用する。
また、低伸長域を全視野とする走査装置を、伸長域全
体を全視野とする走査装置よりも拡大走査させる能力を
有するようにするには、両操作装置とも素子数は同じで
あってよいが、その拡大走査させる方のカメラにズーム
レンズを付けるようにすればよい。
一方、試験片にはJIS(Japanese Industrial Standar
d)で規定されるような引張試験片が使用され、第3図
(a)にその一例を例示した。試験片Sの表面には測定
マークとして、長手方向(引張方向)に離れた2個所に
二つの標線Q,Qが付されている。この標線Qの色は試験
片Sの地色と光学特性が異なるようにしてある。
特に標線Qの明度の方を地色のそれよりも高くなるよう
にしておくことが好ましい。例えば、試験片Sの地色に
黒色または暗い色を選び、標線Qに白色または明るい色
を選ぶようにする。二つの標線Q,Q間の距離Lは、JISで
は20mm、25mm、40mmの3種類が規定されており、これら
から選ぶように定められている。
また、試験片に施す標線としては、第4図(a)に示
すように、上記2個所の標線Q,Q間の距離Lに相当する
部分全体を塗り込んだ標識領域Q′を施した試験片S′
を使用してもよい。この例の試験片S′の場合には、標
識領域Q′の両エッジ部の境界ラインが標線に相当する
ことになる。
前述した走査装置は、このような試験片SまたはS′
を長手方向に伸長させながら、標線Q,Qや標識領域Q′
等の測定マークによって定められた距離Lの変化を走査
して測定する。
第3図(a),(b)は、この走査装置による測定の方
法を原理図で示している。
なお、この測定作業の精度を向上させるため、試験片
Sの近傍には、試験片に付した測定マークと同一の明る
さを有する標準明るさ板と、試験片の地色と同じ暗さを
有する標準暗さ板と、更に標準長さ板とを配設すること
が必要となる。
第3図(a),(b)に示すように、引張荷重を加え
つつある試験片Sを、例えば走査装置としてTVカメラで
撮像するとき、そのTVカメラの走査線HSの方向を試験片
Sの引張方向と直交するように走査させると、その出力
信号は、第3図(b)に示すように標線Q,Qに対応する
部分P0,P0が他の部分に比べて高レベルの信号になって
現れる。
従ってこの出力信号のうち、一定レベルE1以上の信号
のみを処理回路で取り出し、上記標線Q,Qの間隔Lに対
応した時間Tの間隔の信号だけを取り出すようにすれ
ば、その信号から標線間距離Lを求めることができる。
第4図(a),(b),(c)の例は、走査装置の走
査線HSが試験片S′の引張方向と同方向になるように線
走査する場合の原理を示している。この場合には、第4
図(b)のように標識領域Q′に対応するP1の部分が他
の部分に比べて高レベルの出力信号になって現れる。従
って、第3図の場合と同様に、P1の出力部分から一定レ
ベルE1以上の信号だけを処理回路で取出すようにすれ
ば、標識領域Q′の両端部間の距離Lを求めることがで
きる。このようにして出力信号が得られることはレーザ
ースキャナーカメラの場合にも同様である。
これに対し、ラインセンサーカメラの場合には、出力
信号が第4図(c)のようになって現れ、標識領域Q′
を走査した時間Tに対応した素子数の数のパルス状出力
信号として得られる。
この発明の引張試験装置では、伸長域全体を全視野と
する走査装置は、試験片の大きな伸長域での引張特性を
測定するようにし、低伸長域を全視野とする局部領域走
査装置は、試験片が初期の微小な伸長状態にあるときの
引張特性を測定するようにしている。
走査装置の分解能lは、それが全視野とする走査範囲
Hと素子数Aとの比(H/A)によって表されるので、上
記低伸長域を全視野とする走査装置は、伸長域全体を全
視野とする走査装置に比べて走査範囲Hが狭く、かつ素
子数が多くなっているため、その分解能は非常に高いも
のになっている。また、拡大走査を行う走査装置の場合
も、素子数は伸長域全体を全視野とする走査装置と同じ
であっても、全視野の走査範囲が狭いため同様に高い分
解能を有するものになっている。従って、上記低伸長域
を全視野とする走査装置によれば、試験片の微小伸長時
の引張特性を高精度に測定することができる。
上述した低伸長域を全視野とする走査装置は、2台の
カメラによって試験片上の二つの標線を同時に個別に見
るようにし、詳細を第1図及び第2図の実施例で後述す
るように、位置を固定して設置され、試験片上の二つの
標線のそれぞれに別に設けた基板の基準線を対比させる
ようにし、これら標線をそれぞれ2台のカメラを使用し
て独立に見るのである。
このように標線毎に1台のカメラで独立に見るように
したことにより、後述するように一層高精度の測定を行
うことが可能になる。
この発明の引張試験装置では、試験片を引張りながら
伸長させる過程において、上記低伸長域を全視野とする
局部領域走査装置が測定を行う時と、伸長域全体を全視
野とする走査装置が測定を行う時とでは、試験片の引張
速度を異ならせることが好ましい。
即ち、低伸長域を全視野とする局部領域走査装置が測
定するときは、試験片の引張速度を低速度にし、試験片
が予め設定した伸長率を越えて、伸長域全体を全視野と
する走査装置が測定を行うときは、上記速度よりも大き
な通常速度で引張るように切り換えるのである。
このような引張速度の変化により、一層高精度の読み
取りが可能になる。
上記低伸長域の引張速度としては、試験片の種類にも
よるが、0.5〜50mm/分の範囲にし、また上記低伸長域を
越えた伸長域における引張速度としては50〜500mm/分の
範囲にすることが好ましい。また、上述のように引張速
度を切換えるときの境界域としては、試験片の伸長率が
10〜500%の範囲であるときを選ぶことが好ましい。ま
た、この引張速度の切り換えは、少なくとも2台設置し
た走査装置と連動させるようにし、かつ自動的に行うよ
うにすることが好ましい。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を、第1図及び第2図を参照
しながら説明する。
第1図において、1aはゴム状の試験片Sの上端を把持
する上部チャックであり、1bは試験片Sの下端を把持す
る下部チャックである。
前記、試験片Sの近傍には、第2図に示すように試験
片Sに付した標線Q(測定マーク)と同一の明るさを有
する標準明るさ板Xと、試験片Sの地色と同じ暗さを有
する標準暗さ板Yと、更に標準長さ板Zとが配設され、
光学特性の相違をより明確にして測定精度を一層高くし
ている。
なお、標準長さ板Zは、後述するTVカメラのレンズが
可動ズームの場合には、試験片Sの伸張に合わせて視野
H(走査範囲)が順次拡大し、視野Hの範囲が異なるこ
とから目盛りを付した標準長さ板Zが必要となる。
なお、標準長さ板Zは必ずしも設ける必要はなく、TV
カメラの数と位置が固定状態の場合には、標準長さ板Z
に刻設された目盛りの数に対応するTVカメラの走査線の
数を定数として予め制御装置に設定し、これにより制御
することも可能である。
前記上部チャック1aは、一定位置に静止するように設
置され、かつその上端側に引張荷重を検出するロードセ
ル2を連結している。このロードセル2が検出した引張
荷重は、増幅器12を介して中央演算部9に入力されるよ
うになっている。一方、下部チャック1bはギヤボックス
3を介してモータ4に連結されている。下部チャック1b
はこのモータ4の駆動により上下移動して上記試験片S
に引張荷重を与えるようになっている。モータ4はモー
タ制御部13を介して上記中央演算部9の指令によって駆
動され、引張速度を変えられるようになっている。
これら上部チャック1aと下部チャック1bとからなる引
張機構は、冷却コイル5を内蔵した恒温槽6の中に収納
されている。恒温槽6の側面には二重ガラスの透視部7
が設けられ、この透視部7を介して外側から内部を目視
できるようになっている。二重ガラスの透視部7の空間
部8には乾燥した熱風が通され、ガラス面に露結による
くもりが発生しないようにしてある。
この恒温槽6は、高低温下での材料特性を測定するた
めのものであり、常温条件での材料特性を測定するもの
については必ずしも必要とするものではない。
上記透視部7の外側には、内部の引張機構を臨むよう
に3台のTVカメラ10a,10b,11が第1,第2の走査装置とし
て共に位置を固定して設置され、試験片Sに対し、2台
のTVカメラ10a,10bが低伸長域を全視野とする局部領域
走査装置として設けられ、上部側のTVカメラ10aは試験
片Sの上部側の標線Q(測定マーク)を、また下部側の
TVカメラ10bは下部側の標線Qをそれぞれ独立に見るよ
うにしてある。また、2台のTVカメラ10a,10bの全視野
は、それぞれが臨んでいる標線Qを含むように極めて狭
い領域Hになっている。
なお、TVカメラの台数は、上記の3台に限定されず、
更に台数を増やして全視野を分割してそれぞれの領域を
分割測定すれば、更に高精度の測定が可能となる。
一方、TVカメラ11は、試験片の伸長域全体を全視野と
している。
なお、TVカメラ11は、上記のように試験片の伸長域全
体を全視野としても良いし、また試験片Sの伸張に合わ
せて視野を拡大してゆく方法もある。
この視野を拡大してゆく方法としては、例えば第1図
に示すように、TVカメラ11のレンズをズームレンズ11a
とし、このズームレンズ11aをモータMの回転により自
動的に動かすようにしても良い。
視野の拡大速度は、ズームレンズ11aのモータMの回
転速度によるが、これは試験片Sの引張開始時間または
引張試験機のモータ4と同期させても良い。
また、上記のように第3のTVカメラ11のレンズを、ズ
ームレンズ11aとし、このズームレンズ11aをモータMの
回転により自動的に動かすようにすることにより、通常
域の大きな伸張率、即ち20〜600%についても、±0.6%
の高精度で読み取ることが出来るようになる。
前記TVカメラ10a,10bは、TVカメラ11と走査線数が同
じカメラである場合には、ズームレンズを装着して拡大
走査できるようにするか、またはこれらTVカメラ10a,10
bを、その走査線数をTVカメラ11のそれよりも多いもの
にするのがよく、更に、これらにズームレンズを併用し
て測定精度をさらに向上させるようにすることもでき
る。
また、前記上部チャック1aと下部チャック1bに把持さ
れた試験片Sの近傍には、位置基準板20a,20bが配置さ
れ、この位置基準板20a,20bは機枠側に固定されて移動
しないようにしてある。この位置基準板20a,20bにはそ
れぞれ基準線q,qが印され、それぞれ試験片S上の二つ
の標線Q,Qに対応するようにしてある。
なお、位置基準板20a,20bは、この実施例では2枚の
位置基準板20a,20bに分割されたものであるが、1枚の
板だけから構成してあってもよい。
なお、位置基準板は機枠側に固定されているため、必
ずしも設ける必要はなく、前記基準板の位置に対応する
TVカメラの走査線の数を定数として予め制御装置に設定
し、これにより測定することも可能である。
上記の局部領域走査装置を構成するTVカメラ10a,10b
は、第2図に示すように、前者のカメラ10aは試験片S
の上部側標線Qと位置基準板20aの基準線qの間の距離
bの変化を測定し、また後者のカメラ10bは下部側標線
Qと位置基準板20bの基準線qの間の距離cの変化を測
定するようにしてある。
これらの測定によって試験片の伸長率を求めるには、
次のような計算式に基づいて行われる。
即ち、上記試験片Sが微小伸長すると、上部側標線Q
は長さαの伸長による移動を行い、下部側標線Qは長さ
βの伸長による移動を行う。
上記二つの基準線q,q間の距離をaとすれば、初期の
標線Q,Q間の長さL0は、 L0=a−b−c であり、また伸長変形後の長さL1は、 L1=a−b−α−c+β であるから、伸長率εは ε=(L1−L0)/L0 =(β−α)/(a−b−c) の式によって算出されることになる。
従って、上記上下部2個所ずつの標線Qと基準線qと
の間の変形量α,βを読み取ることにより、上記式によ
り中央演算部9で伸長率εが演算され、プリンター16に
出力することができるのである。
即ち、それぞれのカメラ10a,10bは、試験片Sの標線
Q,Q間の距離Lを、例えば第3図(a),(b)に示し
た電気信号として検出し、それを映像回路14で処理して
中央演算部9へ入力するようにしている。
また、映像回路14で処理された出力信号は、モニター
表示部15によってモニタリングできるようになってい
る。16は測定結果を出力するプリンター、17は測定に必
要なデータを入力するキーボードである。
なお、第3図に示す実施例では、上部側の標線Qに対
する基準線qを上方側に位置させ、下部側の標準線Qに
対する基準線qを下方側に位置させるようにしたが、こ
の上下の相対関係はこの実施例に限定されることなく任
意であってよい。
上述した引張試験装置におけるTVカメラ10a,10bは、
その全視野を試験片Sの標線Q,Q間の距離Lに拘束され
ることなく設定することができる。すなわち、JISで規
定される標線Q,Q間の最小距離20mmよりも短い長さにも
任意に設定することができる。そのため全視野を可及的
に小さくすることができるため、これらTVカメラ10a,10
bの測定精度を著しく向上させることができる。例え
ば、TVカメラ10a,10bの有効走査線数を400本とし、ズー
ムレンズを使用して全視野を最小標線間距離20mmよりも
短い15mmに設定したとする。このときのTVカメラ10a,10
bの分解能lは、 l=H/A=15/400=0.0375mm/本 となる。したがって、TVカメラ10a,10bの測定精度は、
標線間距離Lが20mmの試験片に対しては±0.18%、25mm
の試験片に対しては±0.15%、40mmの試験片に対しては
±0.09%になり、TVカメラの測定精度が一段と高精度の
ものになる。
上述したように、この発明による引張試験装置は、上
部側の標線Qと、下部側の標線Qとをそれぞれ独立した
局部領域のTVカメラ10a,10bで見るようにすることで、T
Vカメラの全視野を縮小することが出来、従って、JISで
規定されている標線間距離の最小が20mmの場合であって
も、この寸法以上に全視野を縮小して測定することが可
能となり、従来の測定精度の限界を打破して高精度の測
定を可能とすることが出来るのである。
〔発明の効果〕
上述したようにこの発明の引張試験装置は、地色と光
学特性が異なる測定マークを施したゴム状の試験片に引
張荷重を加えて変形させながら測定マークの変形を走査
する走査装置を、非接触式にすると共に、試験片の伸長
域全体を全視野とする第1の走査装置と、試験片の低伸
長域を全視野とする第2の走査装置とから構成し、かつ
共に位置を固定して設置し、その第2の走査装置を、試
験片の引張方向上手側に付された測定マークと、引張方
向下手側に付された測定マークとをそれぞれ別々に走査
する複数の局部領域走査装置から構成したので、以下の
ような優れた効果を奏するものである。
即ち、測定マークの変形を走査する非接触式にした走
査装置を、試験片の伸長域全体を全視野とする第1の走
査装置と、試験片の低伸長域を全視野とする第2の走査
装置とから構成したので、試験片の大きな伸長変形を第
1の走査装置により、また、試験片の小さな伸長変形を
第2の走査装置でそれぞれ確実に追尾することができる
ため、微小な伸びから大きな伸びに至るまで、1回の試
験で同時に測定することができ、その結果、それぞれの
伸びにおける複数の引張特性を効率良くかつ容易に測定
することが可能となる。
また、第2の走査装置を、試験片の引張方向上手側に
付された測定マークと、引張方向下手側に付された測定
マークとをそれぞれ別々に走査する複数の局部領域走査
装置から構成したので、ゴム状の試験片の伸長変形が微
小で、両測定マークの位置が僅かに移動するだけであっ
ても、その僅かな変形移動をそれぞれの局部領域走査装
置により確実に捉えることができるため、微小な伸長変
形を高精度で測定することを可能にし、上述した1回の
試験で微小な伸びから大きな伸びに至るまで同時に測定
できることからも、特に粘弾性的挙動の全く異なるゴム
の性質の分析において極めて有益で、得られる引張特性
をより確かなものにすることができる。
また、走査装置を移動するように設置した際には、試
験片の種類によって伸び方が一定でなく、標線も伸長方
向に一定に移動するとは限らないために、標線の移動に
常に追従させて走査装置を移動させることが困難であ
り、また、標線自身の伸びにより、標線マークが薄くな
るため、測定エラーが発生し易く、更にゴムの伸びに合
わせて移動させる機構やその制御構成を設ける必要があ
るため、試験装置のコストが大巾に増大するが、この発
明では、伸長域全体を視野とする第1の走査装置と低伸
長域を全視野とする第2の走査装置を共に固定して設置
したので、試験片が種類によって複雑な伸びをするゴム
等の場合であっても、その伸びを常に捉えることがで
き、測定エラーを発生することがなく、かつ大幅なコス
トの増加を招くこともない。
また、伸びを検出する装置として、試験片を視野とす
るカメラ等の非接触式の走査装置を用いるため、発光素
子と受光素子とを組み合わせた検出装置のように試験片
の近傍位置とならずに、離間して配置することができ、
そのため、試験片の着脱作業を容易に行うことができ
る。また、試験片交換作業中に、オペレーターが検出装
置に誤って接触して装置が破壊、故障したり、検出装置
の向きを変えてしまったりする心配がなくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例による引張試験装置を示す概
略図、第2図は第1図の装置に装着された試験片の部分
を拡大して示す正面図、第3図(a),第3図(b)
は、それぞれ走査装置を使用した引張試験装置の原理を
示す説明図、第4図(a),第4図(b),及び第4図
(c)は、それぞれ走査装置を使用した引張試験装置の
原理の他の例を示す説明図である。 1a,1b……上下チャック、10a,10b……第2の走査装置
(TVカメラ:局部領域走査装置)、11……第1の走査装
置(TVカメラ)、20a,20b……位置基準板、S……試験
片、Q……測定マーク(標線)、q……基準線。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地色と光学特性が異なる測定マークを施し
    たゴム状の試験片の両端をチャックで把持し、一方のチ
    ャックを移動させることにより前記試験片に引張荷重を
    加えながら前記測定マークの引張方向の変化を走査装置
    で走査し、前記測定マークと地色との光学特性の違いに
    より出力される電気信号により前記試験片の引張特性を
    測定するようにした引張試験装置において、 前記走査装置は非接触式であって、前記試験片の伸長域
    全体を全視野とする第1の走査装置と、低伸長域を全視
    野とする第2の走査装置とからなり、かつ共に位置を固
    定して設置され、 前記第2の走査装置は、前記試験片の引張方向上手側に
    付された測定マークと、引張方向下手側に付された測定
    マークとをそれぞれ別々に走査する複数の局部領域走査
    装置で構成したことを特徴とする引張試験装置。
  2. 【請求項2】前記試験片の近傍に、前記二つの測定マー
    クのそれぞれと対比させる基準線を設けた基準板を配設
    した請求項1に記載の引張試験装置。
  3. 【請求項3】前記試験片の引張速度を可変にし、この引
    張速度を前記低伸長域を全視野とする第2の走査装置を
    作動させるとき低速度にし、前記伸長域全体を全視野と
    する第1の走査装置に切り換えて作動させるとき、前記
    速度より速くするようにした請求項1または請求項2に
    記載の引張試験装置。
  4. 【請求項4】前記第1,第2の走査装置がテレビジョンカ
    メラ、ラインセンサーカメラ、レーザースキャナーカメ
    ラのいずれかである請求項1乃至請求項3に記載の引張
    試験装置。
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