JP2530297B2 - 交流発電装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、特に回転界磁形の主同期機と回転電機子形
の交流励磁機とからなる無刷子形の交流発電装置に関す
る。

（従来の技術） 一般に無刷子形の交流発電機は、回転界磁形の主同期
機と回転電機子形の交流励磁機とを同一軸上に設け、交
流励磁機の出力を同一軸上に設けた整流器にて直流に変
換し、主同期機の界磁を励磁するよう構成している。そ
して従来のこの交流励磁機の界磁巻線は、１相の巻線で
構成されており、この巻線に励磁電流を流すことによ
り、主同期機の電機子巻線に電圧を誘起して、発電を行
なうようになっている。ここで界磁巻線に流れる励磁電
流は制御素子を介して自動電圧調整器で制御することは
勿論である。

（発明が解決しようとする問題点） このように構成された従来の発電装置は、交流励磁機
の界磁巻線を１相で構成し、その巻線に励磁電流を流す
ことにより、交流励磁機の電機子巻線に電圧を誘起させ
ている。このためこの発生装置から負荷に電力供給され
ると、電機子反作用により交流励磁機の界磁巻線から発
せられる磁束が一般に減じられ、負荷への電力供給を一
定に維持するためには、電機子反作用により減ぜられる
磁束を補うよう界磁巻線に励磁電流を供給する必要があ
る。一般に、この励磁電流は大きく、従ってこれに付随
する変成器などが大きくなり高価になる欠点がある。

本発明の目的は、励磁電流の供給が少なくて済み、こ
れに付随する変成器等の容量が小さく安価なものとする
ことができる交流発電装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明の交流発電装置は、回転界磁形の主同期機と回
転電機子形の交流励磁機とを同一軸上に設け、その交流
励磁機の出力を同一軸上に設けた整流器にて直流に変換
して主同期機の界磁を励磁する交流発電機において、前
記交流励磁機の界磁巻線を三相巻線としてその内の二相
の巻線を短絡制御するとともに、回転電機子巻線を単相
巻線とし、前記界磁巻線の二相の巻線に流れる短絡電流
による界磁と前記回転電機子巻線の単相巻線により生じ
る回転磁界とにより界磁巻線と回転電機子巻線との間に
相互増幅作用を生じさせ、前記回転電機子巻線の誘起電
圧を高めるよう構成したことを特徴とするものである。

（作 用） 本発明においては、界磁巻線の二相巻線に流れる短絡
電流による磁界と回転電機子巻線の単相巻線に生じる回
転界磁により、界磁巻線の二相巻線と回転電機子巻線と
の間に相互増幅作用を生じさせ、回転電機子巻線の誘起
電圧を高めるよう構成したので、界磁巻線へ供給する励
磁電流を非常に小さくでき、それに付随した変成器等の
容量を小さく安価にできる。

（実施例） 以下本発明を図面に示す実施例について説明する。図
において、主同期機１は電機子巻線1aと回転界磁巻線1b
とからなる回転界磁形同期機に構成されている。交流励
磁機２は界磁巻線2aと回転電機子巻線2bとからなる回転
電機子形交流励磁機に構成されている。

交流励磁機２の界磁巻線2aは、三相巻線２′a,2′b,
2′ｃで構成されており、その中の１相分の巻線２′ｃ
に直流の励磁電流を供給するように構成されている。そ
して他の２相の巻線２′a,2′ｂは、例えばサイリスタ
素子を用いた制御素子３を介して短絡されている。また
回転電機子巻線2bは中性点付きの単相巻線に構成してい
る。なお交流励磁機２の軸上に電機子巻線2bとその中性
点との出力を直流に変換して主同期機１の界磁巻線1bに
供給する整流器４を設けている。

このような回転界磁形の主同期機1,回転電機子形の交
流励磁機２および整流器４は、同一回転軸６上に設けら
れており、原動機等で駆動されることは勿論である。ま
た制御素子３には公知の自動電圧調整器５が接続されて
いる。

このように構成された本発明の交流発電装置は、原動
機等で回転軸を駆動し、入力端子A,Bより界磁巻線2aの
１相の巻線２′ｃに直流励磁を加えると、回転電機子巻
線2bに電圧が誘起して回転磁界ができる。そしてこの回
転磁界より、逆に界磁巻線2aに電圧が誘起する。

この状態で制御素子３によって２相の巻線２′a,2′
ｂを短絡すると、一般の三相巻線の単相短絡と同じ状態
となって短絡電流が流れる。そしてこの短絡電流によっ
てさらに大きな界磁磁束ができ、この磁束により回転電
機子巻線2bにはさらに高い電圧が誘起される。このよう
に三相で構成した界磁巻線2aの内の２相２′a,2′ｂを
短絡することにより、また回転電機子巻線2bを単相にす
ることにより、界磁巻線2aと回転電機子2bとが相互増幅
作用を生じ回転電機子巻線2bに高い電圧が誘起される。

したがって制御素子３を介して自動電圧調整器５で２
相の巻線２′a,2′ｂを流れる短絡電流を制御すること
により逆相電流による磁束量を変化でき、電機子巻線2b
に誘起する電圧を制御できる。換言すれば、通常の界磁
磁束の他に逆相電流による回転方向と逆方向に廻る磁束
を生じさせて界磁巻線2aと回転電機子巻線2bとの間に増
幅作用を持たせ、回転電機子巻線2bに電圧を誘起するよ
うにしたものであるから、界磁巻線2aの１相に供給する
励磁電流は小さいものでよい。

［発明の効果］ 以上のように本発明においては、交流励磁機の界磁巻
線を三相巻線としてその内の二相巻線を短絡制御すると
ともに、回転電機子巻線を単相巻線とし、界磁巻線の二
相巻線に流れる短絡電流による界磁と回転電機子巻線の
単相巻線により生じる回転界磁により、界磁巻線の二相
巻線と回転電機子巻線との間に相互増幅作用を生じさ
せ、回転電機子巻線の誘起電圧を高めるよう構成したも
ので、界磁巻線へ供給する励磁電流を非常に小さくで
き、それに付随した変成器等の容量を小さく安価にでき
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明による交流発電装置の一実施例を示す電気
回路図である。 １……主同期機 1a……電機子巻線 1b……回転界磁巻線 ２……交流励磁機 2a……界磁巻線 ２′a,2′b,2′ｃ……界磁巻線の三相巻線 2b……回転電機子巻線 ３……制御素子 ４……整流器 ５……自動電圧調整器 ６……回転軸

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転界磁形の主同期機と回転電機子形の交
   流励磁機とを同一軸上に設け、その交流励磁機の出力を
   同一軸上に設けた整流器にて直流に変換して主同期機の
   界磁を励磁する交流発電機において、前記交流励磁機の
   界磁巻線を三相巻線としてその内の二相の巻線を短絡制
   御するとともに、回転電機子巻線を単相巻線とし、前記
   界磁巻線の二相の巻線に流れる短絡電流による界磁と前
   記回転電機子巻線の単相巻線により生じる回転磁界とに
   より界磁巻線と回転電機子巻線との間に相互増幅作用を
   生じさせ、前記回転電機子巻線の誘起電圧を高めるよう
   構成したことを特徴とする交流発電装置。