JP2529373Y2 - 携帯用掃除機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は真空吸引により集塵する掃除機に関し、更に
詳述すれば火気を帯びた物の吸込みが予想される用途に
用いられる掃除機に関する。

〔従来技術〕

吸込口と吸気源との間に集塵ケースを配してなり、吸
気源の動作により前記吸込口に装着された集塵管及び前
記集塵ケースの内部を経て吸気を行わしめ、該吸気に混
在して導入される塵を前記集塵ケースの内部に捕捉，収
納する掃除機が広く普及している。

この種の掃除機は、屋内及び屋外の各部における清掃
用の汎用機として実用化されてきたが、近年、使用目的
に応じた専用機が開発される傾向にあり、このような専
用機の１つとして、パチンコ店等の遊技施設における灰
皿清掃用の掃除機がある。この掃除機は、電池等を用い
てなる電源と該電源からの給電により動作する吸気ファ
ン等の吸気源とを可搬式の共通のケース内に収納してな
る駆動部と、前記吸気源との接続口及び集塵管が装着さ
れる吸込口の間に前記集塵ケースを配してなり、清掃員
の手により把持操作される集塵部とを備え、前記吸気源
の吸引口と前記接続口との間を伸縮及び屈曲自在の吸気
ホースにて連通せしめた構成となっており、灰皿内の吸
殻は、吸気源が発生する吸引力により、前記集塵管及び
吸込口を経て吸気と共に前記集塵ケースに導入され、こ
れの内部に捕捉，収納されて回収される。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが灰皿清掃用に用いられるこの種の掃除機にお
いては、集塵対称が灰皿中の吸殻であるために、前記集
塵ケースへの吸込物中に消忘れの吸殻等、火気を帯びた
ものが混在することがあり、この吸込みによって集塵ケ
ース中に既に収納されている塵が燃え出し、集塵ケース
の焼損を招来する虞があるのみならず、清掃員に危険が
及ぶ虞さえあった。このような危険を回避するため、清
掃員は、灰皿内の吸殻の残火状態を逐次確認しつつ清掃
作業を行うことを強いられ、作業時における煩わしさが
増すという難点がある。また、集塵ケースを透明樹脂製
とし、内部における発火の有無を早期に発見できるよう
にしたものもあるが、透明樹脂は耐熱性に劣り、発火が
早期に発見され、直ちに集塵ケースを取外して消化処置
を施したとしても、透明樹脂製の集塵ケースは大きく焼
損するという難点があった。

本考案は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、火
気の帯びたものを集塵対称とする場合においても、これ
により集塵ケース内に生じる発火を速やかに解消でき、
また、この発火に伴う集塵ケースの焼損を軽減し得る掃
除機を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案である掃除機は、灰皿内の灰等の塵及び吸殻を
吸引するために、吸込口と電池によって駆動される吸気
源との間に配され、該吸気源の吸引力により、前記吸込
口を経て吸気とともにその内部に導入される前記塵及び
前記吸殻を捕捉、収納する集塵ケースを備えた携帯用掃
除機において、前記集塵ケースの上方に配置され、該集
塵ケース内に水を供給するための貯水タンクと、前記貯
水タンク内の水面下にその一端を、前記集塵ケース内の
上部にその他端をそれぞれ開口し、前記両開口間が常時
連通している送水管と、前記貯水タンク内に大気圧を導
入する大気圧導入手段と、前記集塵ケースの内側に着脱
自在で、前記内側に密着することなく間隔を設けて装着
された、前記吸殻を捕捉しこの吸殻より小さい塵は通過
させる大きさの多数の開口部を略全体に有する篭体とを
具備することを特徴とする。

〔作用〕

本考案においては、火気を帯びたものの吸込みにより
集塵ケース内部に発火が生じた場合、貯水タンク内の水
が集塵ケース内に供給され、速やかな消化がなされる。
また、特に火気を帯びている虞が大きく、集塵物中にお
いて大なるサイズを有する吸殻は、集塵ケースの内部に
装着された篭体にて捕捉され、集塵ケースの内壁との接
触が回避され、前記発火による集塵ケースの焼損程度が
軽減される。

〔実施例〕

以下本考案をその実施例を示す図面に基づいて詳述す
る。第１図は本考案に係る掃除機の要部を分解した状態
を示す外観斜視図、第２図は本考案に係る掃除機の内部
構造を示す縦断面図である。

図中１は、その内部に吸気路15,17（第２図参照）を
形成してなる集塵部本体であり、また２は、上側全面に
開口を有する矩形箱形をなして成形された集塵ケースで
ある。前記集塵部本体１の下部両側面には、前記収納ケ
ース２を係止するための係止爪10,10（片側のみ図示）
が設けてあり、また集塵ケース２の上部外側両側面に
は、前記係止爪10,10に対応させて係合溝20,20（片側の
み図示）が形成されている。そして集塵部本体１と集塵
ケース２とは、後者の上側開口部内に前者の下部を嵌入
し、前記係止爪10,10を係止溝20,20に夫々係合せしめる
ことにより一体化させることができ、また、係止爪10,1
0の上部を押圧し、これらと前記係止溝20,20との係合状
態を解消させた後、集塵機本体１を持ち上げることによ
り、両者を離脱せしめることができる。

集塵部本体１の長手方向一側には、集塵管5aが装着さ
れる吸引口11が、また他側には、後述する吸気源へ連な
る吸気ホース5bの装着口12が夫々開口させてあり、集塵
部本体１の内部において、前者は吸気路15に、後者は吸
気路17に夫々連通している。これらの吸気路15,17は、
第２図に示す如く、集塵部本体１の下部に一体化された
集塵ケース２内に夫々開口しており、前記吸気源が発生
する吸引力により、吸引口11及び吸気路15を経て集塵ケ
ース２内に流れ込み、更に吸気路17及び装着口12を経て
吸気ホース5b内に流れ出す気流が生じるようになってい
る。第２図中の16は、この気流中に混在する塵が吸気ホ
ース5b内に浸入することを防止するためのフィルタであ
り、集塵対象となる塵の通過を阻止し得る多数の小孔を
有する物質、例えば、スポンジ等にて構成されている。
また第２図中の18は、前述の気流を装着口12の開口側に
偏向するための整流板である。

さて、図中３は本考案の特徴たる貯水タンクである。
該貯水タンク３は、内部が空洞化された密封構造を有す
る殻体であり、下部に漏斗状の部分を備えている。集塵
部本体１の前記吸引口11の開口側上部には、前記漏斗状
部に対応する形状の凹部が形成されており、前記貯水タ
ンク３は、これの漏斗状部分を下向きとして前記凹部内
に嵌合固定され、集塵部本体１と一体化される。貯水タ
ンク３には、これの一側側面を表裏に貫通する態様にて
注水口30が形成されており、該注水口30は、これに螺合
固定される注水キャップ31にて気密に閉塞し得るように
なっている。貯水タンク３の内部には、第２図に示す如
く、前記注水口30から注入される水が前記漏斗状部分の
上端部近傍の所定深さとなるまで常時貯留せしめてあ
り、また、その中途部にて略180゜屈曲された送水管４
が固設されている。この送水管４の一端は、貯水タンク
３の底部から外部に適長突出させてあり、貯水タンク３
を集塵部本体１に取付けたとき、該本体１の凹部底面に
形成された挿通孔14を経て集塵ケース２内に突出し、該
ケース２の内部に開口し、また他端は、貯水タンク３の
内部において適長水没させてあり、水面下に開口してい
る。

また、図中21は本考案の特徴たる篭体である。第１図
に示す如く篭体21は、略同大の多数の矩形開口部を有す
る格子板を側板及び底板として用いてなる箱形をなし、
側面及び底面には外部に向けて突出する支持リブ21a,21
a…が固設されている。この篭体21は、集塵ケース２の
内部に密に挿入されて、該ケース２の内面に当接する前
記支持リブ21a,21a…にて支持され、集塵ケース２の内
面との間に、前記支持リブ21a,21a…の突出長に等しい
所定の間隙が確保される。篭体21の開口部の大きさは、
これにて捕捉すべき吸引物の大きさに応じて決定され、
灰皿清掃用の掃除機においては、吸殻の大きさを対象と
して決定される。また、前記開口部の形状は、第１図に
示すものに限らず、円形又は三角形等であってもよい
が、開口部全体の総面積が非開口部全体の総面積に比較
して十分に大きいことが望ましい。

以上の如き構成の集塵部は、前記装着口12の開口側上
部において集塵部本体１と一体的に成形された取手13を
把持することにより、集塵部本体１、これの下部に一体
化された集塵ケース２、及び同じく上部に一体化された
貯水タンク３等と共に容易に持ち上げることができるよ
うに大きさ及び重さの設定がなされており、前記装着口
12にその一端を固着された吸気ホース5bにより、第２図
の右半部に示す駆動部に接続される。

この駆動部は、箱形をなす樹脂製のケース６の内側上
半部に電源部７を収納し、また、下半部に吸気ファン7
0、これの駆動モータ71及び吸気ファン70から送出され
る空気の通流路を備えてなる吸気源を固設して構成され
ている。吸気ファン70の吸引口60は、ケース６の一側に
開口させてあり、この吸引口60に前記吸気ホース5bの他
端が装着される。駆動モータ71と電源部７とは、ケース
６の外側に操作端を有する起動スイッチ74を介して接続
されており、該スイッチ74がオン操作され、吸気ファン
70が回転した場合、吸引口60からの吸気は、吸引ファン
70の内部を通り駆動モータ71の背面側においてケース６
の底面に開口する排気口61から外部に排出される。なお
72はフィルタであり、前記吸気中に混在する極小の塵を
捕捉し、排気を清浄化するために設けてある。また75
は、電源部７への充電端子であり、ケース６の外側にお
いて該充電端子75を外部電源に接続することにより電源
部７への充電がなされる。このように構成された駆動部
は、ケース６の上部にこれと一体的に成形された取手62
を把持するか、又は、ケース６の上部に懸架された吊紐
63により清掃員の肩から吊り下げた状態にて持ち運び可
能となっている。

以上の如く構成された本考案に係る掃除機により灰皿
の清掃を行う場合、清掃員は、吊紐63による肩からの吊
下げ、又は一方の手での取手62の把持等によって前記駆
動部を、また、他方の手での取手13の把持によって前記
集塵部を夫々持ち運び、該集塵部の吸込口11に装着され
た集塵管5aの先端を灰皿上に位置させた後、駆動部のケ
ース６外に配された前記起動スイッチ74をオン操作す
る。これにより吸気ファン70が回転し、集塵管5a先端近
傍の空気が前述した如き経路を経て吸気され、前記灰皿
中の吸殻，灰等は、この吸気と共に、集塵管5a,吸込口1
1及び吸気路15を経て集塵ケース２内に達し、フィルタ1
6を通過できずに集塵ケース２内に落下する。このと
き、火気を帯びている可能性のある吸殻は、篭体21の開
口部を通過できず該篭体21内に留まるから、集塵ケース
２の内面にこれらが接触することがなく、該集塵ケース
２が耐熱性に劣る透明樹脂製であり、これへの吸込物中
に消忘れの吸殻があったとしても集塵ケース２が焼損す
る虞が少ない。また、集塵ケース２内において発火が発
見された場合、貯水タンク３の注水口30を閉塞する注水
キャップ31を弛めるだけの簡単な操作により消化処置を
施すことができる。即ち、前記操作により貯水タンク３
内には大気圧が導入され、一方前記吸気により集塵ケー
ス２の内部は負圧状態にあるから、貯水タンク３内の水
は、両者間の圧力差により、注水管４内を上昇し、屈曲
部にて方向転換をした後、集塵ケース２内部における開
口端から該ケース２中に噴出し、この噴出水により速や
かに消化がなされる。この噴出が集塵ケース２全体にい
き渡るように、注水管４の噴出端に適宜の拡がりノズル
を固着するのが望ましい。注水管４からの水の噴出は、
貯水タンク３内の水位が注水管４の他端部よりも下側と
なった時点において自動的に停止し、この停止後、前記
注水口30から水の補充を行えば新たな発火に対しても同
様の消火処置が行える。

なお本実施例においては、貯水タンク３を集塵ケース
２の上部に配したが、両者の位置関係はこれに限るもの
ではない。

また本実施例においては、集塵部と駆動部とが別体に
構成され、外部電源との接続なしに動作する掃除機につ
いて述べたが、集塵部と駆動部とが一体化され外部電源
からの給電により動作する一般的に用いられている掃除
機等、いかなる掃除機においても本考案の適用が可能で
あることは言うまでもない。

〔効果〕

以上詳述した如く本考案に係わる携帯用掃除機におい
ては、火気を帯びたタバコの吸殻等を集塵ケース内部に
吸込んだとしても、大気圧導入手段を用いて大気圧を導
入することにより、この吸引時に貯水タンク内の水が集
塵ケース内に導入されるため、速やかな消火が可能であ
り、灰皿内の吸殻回収作業における残火状態の確認等の
煩わしさが解消され、集塵ケースの焼損を軽減できる。

また、火気を帯びている可能性のある吸殻は、篭体の
開口部を通過できず篭体に留まると共に、篭体は集塵ケ
ースの内側に密着することなく間隔を設けて装着されて
いるので、たとえ吸殻が火気を帯びていたとしてもその
熱が集塵ケースに伝わることがなく、よって、集塵ケー
スの焼損を防止することができる。

更には、電池を電源として駆動する携帯用掃除機にお
いては、電池容量により供給電力、吸引力に制限がある
が、このような吸引力の小さい携帯用掃除機にあって
も、本考案は注水管の他端を集塵ケース内の上部に設
け、貯水タンクからの水を集塵ケース内の上部から下に
向かって噴出させることができるので吸引力が弱くと
も、火気を帯びている吸殻が溜まる篭体の底部に水を噴
出することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る掃除機の分解状態を示す要部斜視
図、第２図は本考案に係る掃除機の縦断面図である。 ２…集塵ケース、３…貯水タンク、４…注水管、７…電
源部、11…吸込口、12…装着口、21…篭体、30…注水
口、31…注水キャップ（大気圧導入手段）、70…吸引フ
ァン、74…起動スイッチ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】灰皿内の灰等の塵及び吸殻を吸引するため
   に、吸込口と電池によって駆動される吸気源との間に配
   され、該吸気源の吸引力により、前記吸込口を経て吸気
   とともにその内部に導入される塵及び吸殻を捕捉、収納
   する集塵ケースを備えた携帯用掃除機において、 前記集塵ケースの上方に配置され、該集塵ケース内に水
   を供給するための貯水タンクと、 前記貯水タンク内の水面下にその一端を、前記集塵ケー
   ス内の上部にその他端をそれぞれ開口し、前記両開口間
   が常時連通している送水管と、 前記貯水タンク内に大気圧を導入する大気圧導入手段
   と、 前記集塵ケースの内側に着脱自在で、前記内側に密着す
   ることなく間隔を設けて装着された、前記吸殻を捕捉し
   この吸殻より小さい塵は通過させる大きさの多数の開口
   部を略全体に有する篭体とを具備することを特徴とする
   携帯用掃除機。