JP2528801Y2 - 油塗布装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ワークに対しタンク内
で加圧された油をミスト化して塗布する油塗布装置に関
し、特に、噴霧した油の回収に係わるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、この種の油塗布装置として、
複数の噴射ノズルを有する筒状のノズルケースと、上記
各噴射ノズルに供給される油を加圧して貯溜する高圧タ
ンクと、上記ノズルケースをワークに対し進退移動させ
るエアシリンダとを備え、上記ノズルケースをワークに
近付けて外嵌し、該ノズルケース内のワークに対し、上
記高圧タンク内で加圧された油を上記各噴射ノズルから
ミスト化して塗布するようにしたものは知られている。

【０００３】そして、このような油塗布装置において、
ノズルケース内に溜った油を回収して高圧タンク内に送
るに当っては、該タンク内の圧力以上の圧力でもって油
を圧送する必要があり、この油の圧送に用いるポンプと
しては、従来、作業者の手動により駆動するタイプのも
の、またはモータ等の駆動装置を備えるものが一般に多
く使用されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
ものでは、作業者が装置についていなければならず、作
業の省人化が図れないという問題がある。また、後者の
ものでは、モータ等の駆動装置が高価で装置全体の設備
コストが高くつくという問題がある。

【０００５】本考案はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、特に、ワークにノズル
ケースを進退移動させるエアシリンダに着目し、このエ
アシリンダの作動に用いられるエアでもってポンプを駆
動することにより、作業の省人化及びコストの低廉化を
図りつつ、噴霧した油の回収を行い得る油塗布装置を提
供せんとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案の解決手段は、複数の噴射ノズルを有する筒
状のノズルケースと、上記各噴射ノズルに供給される油
を加圧して貯溜する高圧タンクと、上記ノズルケースを
ワークに対し進退移動させるエアシリンダとを備え、上
記ノズルケースをワークに近付けて外嵌し、該ノズルケ
ース内のワークに対し、上記高圧タンク内で加圧された
油を上記各噴射ノズルからミスト化して塗布する油塗布
装置において、上記ノズルケース内に溜った油を回収し
て上記高圧タンク内に圧送するエアポンプと、該エアポ
ンプのエア室に上記エアシリンダ作動用のエアを供給す
るエア供給通路とを備える構成とする。

【０００７】

【作用】上記の構成により、本考案では、エアシリンダ
作動用のエアが該エアシリンダの１ストローク往復作動
周期間隔毎にエア供給通路を介してエアポンプのエア室
に供給されることにより、上記エアポンプは、エアシリ
ンダの１ストローク往復作動周期と同じ周期でもって作
動して、ノズルケース内から回収した油が高圧タンク内
に圧送される。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００９】図１及び図２は本考案の一実施例に係わる
油塗布装置の機械構成を示し、この油塗布装置は、変速
機の入力軸Ｓに対して油をミスト化して塗布するもので
ある。

【００１０】図１及び図２において、１は基板２から水
平方向に延びて取付けられた支持プレートであって、該
支持プレート１には一対の軸受部材３，３を介して２本
のガイドロード４，４が支持されているとともに、該両
ガイドロッド４，４上にはそれらの軸方向に摺動可能な
ロッドレスタイプのエアシリンダ５が設けられている。
上記ロッドレスシリンダ５の下面には昇降枠組み６が取
付けられ、該昇降枠組み６は、ロッドレスシリンダ５の
下面に固定された上板７と、該上板７の下方に所定距離
隔てて対向する下板８と、この上下両板７，８を連結す
る垂直板９とからなる。

【００１１】上記昇降枠組み６の上板７と下板８との間
には、互いに所定距離隔てて上下方向に延びる２本のガ
イドロッド１１，１１が設けられ、該両ガイドロッド１
１，１１上には昇降部材１２がそれらの軸方向つまり上
下方向に摺動可能に装着されている。上記昇降部材１２
には、上記下板８に取付けられたシリンダ１３のピスト
ンロット（図示せず）が連結されていて、該シリンダ１
３の伸縮作動により昇降部材１２がガイドロッド１１，
１１の案内の下に昇降動するようになっている。上記昇
降部材１２は、その側面から前方（図で左側）に突出す
る突出部１２ａを有しており、該突出部１２ａには、軸
線が水平方向に延び変速機の入力軸Ｓに対して外嵌可能
な有底の円筒状のノズルケース１４の底部が嵌合連結さ
れている。よって、上記エアシリンダ５がガイドロッド
４上を往復摺動することで上記ノズルケース１４が変速
機の入力軸Ｓに対し進退移動する。

【００１２】上記ノズルケース１４の先端開口部には、
上記入力軸Ｓに外嵌してシール当接する際のショックを
緩和するためのショック緩衝装置１５が設けられている
とともに、ノズルケース１４の側壁部には複数（図では
四つ）の噴射ノズル１６，１６，…が設けられている。
上記ノズルケース１４の内周面１４ａは、内部に溜る油
が底部側に自然流下するよう径が先端開口部から底部側
に向うに従って次第に大きくなる円錐面に形成されてい
るとともに、ノズルケース１の底部近傍には、底部側に
流下した油を外部に排出する排油口１７が形成されてい
る。

【００１３】図３は上記油塗布装置の油・エア回路を示
す。この図において、２１はノズルケース１４の各噴射
ノズル１６に供給される油を加圧して貯溜する高圧タン
ク、２２はエアを送給するコンプレッサー等のエア供給
源、２３は上記高圧タンク２１から噴射ノズル１６に油
を送給する油通路２４と上記エア供給源２２から噴射ノ
ズル１６にエアを送給するエア通路２５とを同時に開閉
するパイロットバルブであり、該バルブ２３は、そのパ
イロット通路に介設されたオンオフバルブ２６の切換え
により開閉作動し、開作動したときに上記噴射ノズル１
６で油がエアとミスト化して噴射される。

【００１４】また、２７は上記エア供給源２２からエア
シリンダ５にエアを供給するエア通路２８に介設された
電磁バルブであって、該電磁バルブ２７は、エアシリン
ダ５のピストン５ａで仕切られた二つのエア室５ｂ，５
ｃに対するエアの給排を切換えるものであり、この電磁
バルブ２７の切換えによりエアシリンダ５が作動してノ
ズルケース１４が変速機の入力軸Ｓに対し進退移動す
る。尚、本実施例では、エアシリンダ５は、前述したよ
うにロッドレスタイプのものを用いているが、図３で
は、図面の作成上の便宜からピストンロッドを有するタ
イプのものとして表している。

【００１５】さらに、３１は上記ノズルケース１４内に
溜った油を排油口１７（図２参照）から油回収通路３２
を介して回収して一時貯溜する仮タンク、３３は該タン
ク３１内の油を油回収通路３４を介して上記高圧タンク
２１内に圧送するエアポンプであって、該エアポンプ３
３は、エア室３３ａ内のエア圧とスプリング３３ｂの付
勢力との力関係により油回収通路３４の一部を構成する
油室３３ｃの容積が変化して油を圧送する構成になって
いる。上記エアポンプ３３のエア室３３ａは、上記エア
通路２８の電磁バルブ２７下流側にエア供給通路３５を
介して連通されている。

【００１６】尚、図３中、４１及び４２はそれぞれエア
通路２５に介設された減圧バルブ及び圧力計、４３及び
４４は油回収通路３４のエアポンプ３３（エア室３３
ａ）上流近傍及び下流近傍に設けられた逆止弁である。

【００１７】次に、上記実施例の作動、特にノズルケー
ス１４内に溜った油の回収作動について説明するに、ノ
ズルケース１４内の油は、その自然流下により油回収通
路３２を通して仮タンク３１内に回収貯溜される。そし
て、電磁バルブ２７の切換えによりエアシリンダ５が作
動してノズルケース１４が変速機の入力軸Ｓに対し進退
移動するときには、上記電磁バルブ２７の切換えに伴い
エアポンプ３３のエア室３３ａに対しエア通路２８の電
磁バルブ２７下流側からエアがエア供給通路３５を通し
て供給され、またはエア室３３ａ内のエアが排出される
ことにより、エアポンプ３３は、上記エアシリンダ５な
いしノズルケース１４の往復動周期と同じ周期で吐出作
動をして、仮タンク３１内の油が油回収通路３４を通し
て高圧タンク２１内に圧送される。これにより、ノズル
ケース１４内の油を自動的に回収して高圧タンク２１内
に圧送することができ、油回収作業の省人化を図ること
ができる。

【００１８】しかも、上記エアポンプ３３は、ノズルケ
ース１４を進退移動させるための既存のエアシリンダ５
の作動用エアをエア室３３ａに受けて作動するものであ
り、専用の駆動装置を必要としないので、装置の低廉化
を図ることができ、実施する上で非常に有利である。

【００１９】尚、本考案は上記実施例に限定されるもの
ではなく、その他種々の変形例を包含するものである。
例えば、上記実施例では、ノズルケース１４内に溜った
油を一旦仮タンク３１内に回収貯溜し、該仮タンク３１
からエアポンプ３３により高圧タンク２１内に圧送する
ようにしたが、場合によっては、ノズルケース１４内に
溜った油をエアポンプにより直接高圧タンク２１内に圧
送するようにしてもよい。

【００２０】

【考案の効果】以上の如く、本考案の油塗布装置によれ
ば、エアポンプがエアシリンダ作動用のエアを受けてエ
アシリンダの１ストローク往復作動周期と同じ周期でも
って作動して、ノズルケース内から回収した油が高圧タ
ンク内に圧送されるので、コストの低廉化を図りなが
ら、油回収作業の自動化・省人化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係わる油塗布装置の機械構成
を示す一部を切開した見た側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線における断面図である。

【図３】油塗布装置の油・エア回路を示す回路構成図で
ある。

【符号の説明】

Ｓ 入力軸（ワーク） ５ エアシリンダ １４ ノズルケース １６ 噴射ノズル ２１ 高圧タンク ３３ エアポンプ ３３ａ エア室 ３５ エア供給通路

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の噴射ノズルを有する筒状のノズル
   ケースと、上記各噴射ノズルに供給される油を加圧して
   貯溜する高圧タンクと、上記ノズルケースをワークに対
   し進退移動させるエアシリンダとを備え、上記ノズルケ
   ースをワークに近付けて外嵌し、該ノズルケース内のワ
   ークに対し、上記高圧タンク内で加圧された油を上記各
   噴射ノズルからミスト化して塗布する油塗布装置におい
   て、 上記ノズルケース内に溜った油を回収して上記高圧タン
   ク内に圧送するエアポンプと、 該エアポンプのエア室に上記エアシリンダ作動用のエア
   を供給するエア供給通路とを備えたことを特徴とする油
   塗布装置。