JP2527300B2 - 洗浄水容器用汚泥トラップ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えばタイルの仕上
げ洗いの際に、バケツ等の洗浄水容器内に装着する汚泥
トラップに関する。

【０００２】

【従来の技術】タイルを貼り付けた後目地塗りを行なっ
た後などにタイル表面に付着したセメントその他の汚泥
を水で洗浄している。勿論、完全に乾燥していないの
で、水を噴射することはできないため、布やスポンジ或
は柔いブラシ等で荒ぶき、仕上げぶきと最低二度に分け
て丁寧に清掃しているが、バケツ等の容器内の洗浄水が
すぐ汚濁し、度々水を換えなければならず、多量の水と
非常に大きな労力を費している。

【０００３】

【発明の課題】特に既設の建築物内では、汚れた洗浄水
を捨てる場所がなく、トイレット等に捨てるとしても周
囲を汚すことが多く、また使用の邪魔にもなり、水の交
換を度々行うことができない。

【０００４】さらに、建設現場で足場の高い個所等で
は、水を換えるのに大変な労力を要する。

【０００５】そこで、この発明の課題は、容器に一度汲
んでおいた洗浄水をできるだけ長く使用できるような汚
泥トラップを提供することである。

【０００６】

【課題の解決手段】上記の課題を解決するために、この
発明は、フレームの内周面に、下開きのテーパ面を有す
るトラップ部材を等間隔かつフレームに対して前記間隔
の半分だけずらせて固着したトラップより成り、このト
ラップを互に１８０°回転した状態で重ね合せたとき、
それぞれのトラップ部材が互違いになるようにし、これ
を洗浄水容器の底に配置するようにしたのである。

【０００７】また、上記トラップを複数個一体に形成す
ることができる。

【０００８】

【作用】上下に重ね合せたトラップのトラップ部材が互
違いになっているため、洗浄水の攪拌によって容器の底
に沈殿した汚泥が浮遊しても、トラップ部材がこれを捕
捉するため、トラップの上方まで汚泥が浮び上らず、ト
ラップの上方の洗浄水は常に上澄みの状態に保たれる。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【００１０】図１及び図２に示すように、この発明の汚
泥トラップは、環状フレーム１とこのフレーム１の内周
面に両端が固着されたトラップ部材２、２ａより成り、
必要に応じて係止脚３が設けられている。

【００１１】前記トラップ部材２は、ほぼ逆Ｖ字形をし
た下開きのテーパ面を有するチャンネル状になっている
が、最外端のトラップ部材２ａのみ図２のように傾斜板
になっていてもよい。勿論、トラップ部材が全てチャン
ネル状になっていてもよい。

【００１２】前記トラップ部材２、２ａは横方向には等
間隔Ｈで配列されているが、フレーム１に対しては、半
間隔即ち１／２だけずらせてある。またトラップ部材
２、２ａの高さ及び傾斜は、後述するように複数個のト
ラップを重ね合せたとき、隣接するトラップ部材２又は
２ａとの間に小さなスリットができるように設定してあ
る。

【００１３】前記フレーム１は、図示の場合円形である
が、これに限らず、洗浄水容器の形状に応じて楕円形や
多角形でもよく、また環状になっていなくても、例えば
コ字状や２条の並行になったものでもよい。

【００１４】前記係止脚３は、省略することもできる
が、設ける場合には、後述するようにトラップを重ね合
せたとき互に邪魔にならず、重ね合せを可能にするよう
な位置に配置する必要がある。

【００１５】上記のようなトラップは、図３に示すよう
に積み重ねて使用する。いま、同形、同サイズのトラッ
プを３個用意し、１段目のトラップと２段目のトラップ
を１８０°回転させた位置で重ね合せると、１段目のト
ラップ部材２、２ａが２段目のトラップ部材２、２ａの
間隔内に丁度嵌り込む。何故なら、図１に示すように、
トラップ部材２、２ａは等間隔Ｈで配列されているが、
フレーム１に対しては半間隔１／２Ｈだけずらせてある
ため、左右逆向きにすると、丁度一方のトラップ部材
２、２ａが他方のトラップ部材２、２ａの中間に位置す
ることになるからである。

【００１６】そして、トラップ部材２、２ａの高さ及び
傾斜は、１段目のトラップ部材２、２ａが２段目のトラ
ップ部材２、２ａの間に入り込むと同時に小さなスリッ
トＳが形成されるように調節されている。

【００１７】上述と同様に、２段目のトラップの上に同
形、同サイズのトラップを左右逆にして重ね合せると、
２段目のトラップ部材２、２ａが３段目のトラップ部材
２、２ａの間に入り込み小さなスリットＳが形成され
る。

【００１８】このようにして積み重ねたトラップをバケ
ツ等の容器Ｂの底に置き、洗浄水Ｗを充満させる。この
洗浄水Ｗをブラシ等に含浸させてタイル等の荒ぶきや仕
上げぶきを行なう。

【００１９】汚れたブラシ等を洗浄水Ｗで洗浄すると、
セメントの細粒やその他の汚泥が洗浄水中に流出し、図
３の矢印のように、３段目及び２段目のトラップ部材
２、２ａの斜面に沿って沈降し、スリットＳから、さら
に２段目のトラップ部材及び１段目のトラップに沿って
スリットＳから沈降し、容器Ｂの底に沈澱する。

【００２０】沈澱した汚泥は、洗浄水Ｗでブラシ等を洗
浄する際に攪拌された水流によって上方に浮遊するが、
逆Ｖ字形のトラップ部材が互違いに配置されているた
め、トラップ部材内に捕捉されて、トラップより上方に
浮遊せず、上面の洗浄水は常に上澄み状態であり、清澄
な水だけを利用することができる。

【００２１】トラップより下方では次第にセメント等の
汚泥が濃縮されて堆積するので、ほぼ固形物として廃棄
することができる。

【００２２】上記トラップは３段重ねの例を示したが、
これに限らず、２段重ね或は４段重ねでもよい。

【００２３】また、トラップをそれぞれ別体にして着脱
自在に重ね合せて使用すると、使用後の洗浄や保管のほ
か、製造も容易である等の種々の利点があるが、２段以
上のトラップを一体化したものも勿論汚泥のトラップ効
果は同様である。

【００２４】

【効果】この発明によれば、以上のように、逆Ｖ字形の
トラップ部材を並列配置し、これを複数段重ね合せてト
ラップ部材が上下に互違いになるように配列できるよう
にしたので、トラップ部材の間隙を通って沈降した汚泥
は、攪拌等の水流によって浮遊してもトラップ部材の内
部に捕捉されてトラップ部材より上方に浮遊しないの
で、上面には澄んだ水が存在し、洗浄水を長時間使用す
ることができるため、水資源の節減と共に労力削減に大
きな効果を有する。

【００２５】さらに、１段ずつのトラップを別体にして
おけば、使用後の洗浄に便利であり、製造コストも安価
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のトラップの一例を示す平面図

【図２】同上の正面図

【図３】同上の使用状態を示す縦断面図

【符号の説明】

１ フレーム ２、２ａ トラップ部材 ３ 係止脚 Ｂ 容器 Ｓ スリット Ｗ 洗浄水

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フレームの内周面に、下開きのテーパ面
   を有するトラップ部材を等間隔かつフレームに対して前
   記間隔の半分だけずらせて固着したトラップより成り、
   このトラップを互に１８０°回転した状態で複数個重ね
   合せたとき、それぞれのトラップ部材が互違いになるよ
   うにし、これを洗浄水容器の底に配置するようにした洗
   浄水容器用汚泥トラップ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のトラップを複数個一体
   に形成した洗浄水容器用汚泥トラップ。