JP2526393B2 - 平行平板スロットアンテナ - Google Patents

平行平板スロットアンテナ

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JP2526393B2
JP2526393B2 JP3172285A JP17228591A JP2526393B2 JP 2526393 B2 JP2526393 B2 JP 2526393B2 JP 3172285 A JP3172285 A JP 3172285A JP 17228591 A JP17228591 A JP 17228591A JP 2526393 B2 JP2526393 B2 JP 2526393B2
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真 安藤
尚久 後藤
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東京工業大学長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通信用アンテナや放送
用アンテナなどとして用いた場合に好適な平行平板スロ
ットアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の導波管スロットアンテナは、導波
管に供給された電波が管壁に設けられた複数のスロット
を通過する際に外部に漏れ出すので、これをアンテナと
して利用するものである。
【0003】また、高利得を得ようとする場合には、導
波管を並列的に多数配列する方式が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような
従来の導波管スロットアンテナでは、導波管部分や給電
系の構造が非常に複雑なものになり、重量も増すといっ
た問題点がある。
【0005】これらの問題点の解決をはかるために、構
造が簡単で高利得を得ることができる方形の平行平板導
波路を用いたスロットアレイアンテナが知られていて、
すでに文献(後藤尚久「グレーティングローブ抑圧法と
導波管型平面アンテナへの応用」電子情報通信学会信学
技報、AP87−10)や、特許出願公開平成2−28
8708号などが例としてある。
【0006】しかし、これまで所望の進行波モードを保
つための具体的なスロット設計法が示されておらず、こ
れらの構成で高性能なアンテナを実現することはできな
かった。
【0007】円形の平行平板導波路を用いたラジアルラ
インスロットアンテナについては、円板中心から伝搬す
る円筒波に対し、スロット結合により生じる反射波を抑
圧するスロット配置の概念が、文献(安藤真、高田潤
一、後藤尚久「高能率ラジアルラインスロットアンテ
ナ」、テレビジョン学会技術報告、RE88−30)で
提案されている。
【0008】しかし、方形の平行平板導波路を用いてス
ロットからの反射を抑圧させるために、2本のスロット
を放射素子単位とし、お互いのスロットからの反射を相
殺させ、素子としての反射を抑圧させた例はない。
【0009】本発明は、構造が簡単で高利得を得ること
ができ、しかも進行波に基づく動作をする平行平板スロ
ットアンテナを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の平行
平板スロットアンテナは、平行に置かれた一対の金属板
と、前記一対の金属板間に形成された導波空間と、前記
導波空間に充填された第1の遅波手段と、前記導波空間
に連なり、前記導波空間に電力を供給する給電手段とし
ての導波管と、前記導波管に充填された第2の遅波手段
と、前記一対の金属板のいずれか一方の面に縦横に多数
形成され、前記導波空間への電力の反射を抑圧して、電
力を外部に放射し、長さが略等しく間隔が約1/4管内
波長の第1のスロット対と、前記導波空間と前記導波管
との境界面に多数形成され、前記導波管から前記導波空
間に電力を放射する開口として機能し、前記開口に見か
け上ほぼ平面波の同位相面を形成しかつ前記導波管への
電力の反射を抑圧する、長さが略等しく間隔が約1/4
管内波長の第2のスロット対とを含み、前記導波管から
前記導波空間に前記第2のスロット対を介して供給され
る電力が同一のモードを保ちつつ前記導波空間を伝搬し
て、前記第1のスロット対から放射されることを特徴と
する。
【0011】前記第1のスロット対は、前記導波空間内
の前記電力の伝播方向に略直角に形成され、前記第2の
スロット対は、前記導波管内の前記電力の伝播方向に対
して略45度傾くように形成されていてもよい。
【0012】前記第1のスロット対は、前記導波空間内
の前記電力の伝播方向に対して略45度傾いた第1のス
ロットと、前記導波空間内の前記電力の伝播方向に対し
て略135度傾いた第2のスロットとからなっていても
よい。
【0013】前記第1のスロット対は、向きが第1の所
定方向のスロットからなる水平偏波放射用スロット対
と、向きが第2の所定方向のスロットからなる垂直偏波
放射用スロット対とからなっていてもよい。
【0014】前記第2のスロット対は、前記導波空間内
において前記第1の所定方向に電力を伝播させるため
前記第1の所定方向に直交する方向に配列されたスロッ
ト対と、前記導波空間内において前記第2の所定方向に
電力を伝播させるために前記第2の所定方向に直交する
方向に配列されたスロット対とからな前記第1と第
2の所定方向は互いに直交する方向であってもよい。
【0015】前記一対の金属板は第1と第2の金属板か
らなり、前記第1の金属板に前記第1のスロット対が形
成され、前記第2の金属板に前記第2のスロット対が形
成されていてもよい。
【0016】前記一対の金属板は方形であることが好ま
しい。
【0017】
【作用】本発明の平行平板スロットアンテナでは、一対
の金属板に供給される電波を、給電部から供給されたと
きのモードを保って進行波的に伝搬させる必要がある。
一般には、平行平板線路として用いる場合には、基本モ
ードとしてTEMの進行波モードが励振される。
【0018】しかし、金属板のいずれか一方の面にあけ
られたスロットは、外部に電波を放射させるだけでな
く、一対の金属板間にできた平行平板の導波空間にも電
波を放射させる。そのために、平行平板線路に高次モー
ドや反射波が生じたり、実効的な管内波長が変化したり
する。
【0019】このスロット結合により生じる高次モード
を抑圧するためには、スロットを伝搬方向に垂直な方向
に密に配列しなくてはならない。また、一方、反射波に
より平行平板線路の電磁界分布は定在波分布に近くな
り、周波数帯域が狭くなってしまう。
【0020】そこで、スロットからの反射を抑圧させる
ために、2本のスロットを対として放射素子単位とし、
お互いにスロットからの反射を相殺させ、対からの反射
を抑圧させる。
【0021】本発明はこの反射を抑圧したスロット対
を、電力放射用開口および電力供給用開口として用いた
新しい構造である。本発明によりTEMモードを利用し
た平行平板スロットアンテナにおいて、安定で広帯域な
進行波励振を実現することが可能である。
【0022】また、この平行平板スロットアンテナを受
信のために用いる場合には、送受信機能の可逆性によ
り、上述の電波の放射の場合と逆の作用が行われる。
【0023】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0024】まず、本発明の第1実施例について説明す
る。図1に示すように、方形の上部金属板1と下部金属
板2を平行に置き、平行平板導波路3が形成されてい
る。平行平板導波路3内には遅波手段としての比誘電率
εrの誘電体4が満たされている。上部金属板1には、
電力放射用開口としてのほぼ1/2波長の長さの2本の
スロット5’,5”からなる放射用スロット対5が縦横
に多数配列されている。下部金属板2の下には平行平板
導波路3を給電するための方形の給電用導波管6が取り
付けられている。下部金属板2と給電用導波管6の間に
は、電力供給用開口としてのほぼ1/2波長の長さの2
本のスロット7’,7”からなる給電用スロット対7が
多数配列されている。給電用導波管6には遅波手段とし
ての比誘電率εfの誘電体8が満たされている。また、
給電用導波管6には励振用プローブ9が取り付けられて
いる。平行平板導波路3の周壁は、電波吸収体10を取
り付けた金属壁になっている。また、給電用導波管6の
終端部も電波吸収体11を取り付けた金属壁になってい
る。
【0025】電波吸収体10,11はなくてもよいし、
文献(広川二郎、桜井仁夫、安藤真、後藤尚久「円偏波
アレイアンテナ用導波管終端スロット」、電子情報通信
学会技術報告、AP89−56)にあるように、反射を
抑圧する整合素子で代用させてもよい。
【0026】動作原理を説明する。給電用プロープ9か
ら給電された電波は、給電用導波管6の基本モードであ
るTE10モードで図1中の破線の矢印方向に、給電用
導波管6内を伝搬し、給電用スロット対7から平行平板
導波路3に給電される。給電用導波管6の終端部に達し
た電波は電波吸収体11に吸収される。給電用スロット
対7により平行平板導波路3へ放射された電波は、今度
はその基本モードであるTEMモードで図1中の実線の
矢印方向に、平行平板導波路3内を伝搬し、放射用スロ
ット対5から外部に放射される。平行平板導波路3の終
端部に達した電波は電波吸収体10により吸収される。
【0027】図2は上部金属板1上に形成された放射用
スロット対5の配置図の1例である。放射用スロット対
5の配置について重要なことは、スロット結合によって
平行平板導波路3内に高次モードを発生させたり、素子
の反射によって平行平板導波路3の電磁界分布が定在波
分布にならないようにすることである。
【0028】図2の放射用スロット対5は直線偏波(垂
直偏波)を放射するもので、平行平板導波路3内での伝
搬方向に対して垂直な向きの2本のスロット5’,5”
を伝搬方向にほぼ1/4λrの間隔に置いたものを1組
として構成している。ここで、λrは平行平板導波路3
内でのスロット結合を考慮した管内波長である。ほぼ1
/4λrの間隔で2本のスロット5’,5”を置くと、
2本のスロットからの反射波は1/4λr×2(往復)
=1/2λr(逆相)の位相差を持ち反射方向で相殺さ
れるので、放射用スロット対5としての反射はほぼなく
なることになる。反射の抑圧された放射用スロット対5
を用いることで、平行平板導波路3内の電磁分布は進行
波に近い分布になる。
【0029】図2のように、放射用スロット対5内の2
本のスロット5’,5”を互いに横方向にずらしてもよ
い。スロットの中心は電磁界強度が強くなるので、横方
向にずらすことで平行平板導波路3内の横方向の電磁界
分布をできるだけ一様にして、高次モードの発生を抑圧
させるためである。また、放射用スロット対5のスロッ
トの向きを変えることで、偏波面を変えることができ
る。
【0030】放射用スロット対5のアレーの設計を行う
ためには、各放射用スロット対5の励振振幅と励振位相
を制御する必要がある。
【0031】各放射用スロット対5の励振振幅を制御す
る方法の1つとしては、スロットの長さを変化させて結
合量(スロット対への入射パワーに対する放射パワーの
比)を変えるこが考えられる。放射用スロット対5の設
計パラメータには、与えられた平行平板導波路3の厚さ
と平行平板導波路3内に満たされた誘電体4の比誘電率
εrに対して、2本のスロット5’,5”の長さと伝搬
方向及び直角方向のスロット間距離の、合わせて4つが
あり、所望の結合量に対して反射が抑圧されるような4
つのパラメータの関係を明らかにしておく必要がある。
【0032】図3図に、その1数値例として、電磁界解
析により求められた、結合量に対する2本のスロット
5’,5”の長さと伝搬方向のスロット間距離の関係を
示す。この例では、結合量が多くなるにつれて、スロッ
ト長が長くなり、伝搬方向のスロット間距離が狭くなっ
ていることがわかる。
【0033】一方、各放射用スロット対5の励振位相を
制御する方法としては、平行平板導波路3内の電磁界分
布は進行波分布なので、放射用スロット対5を伝搬方向
にずらすことで移送量を制御することができる。
【0034】以後は、すべての放射用スロット対5を同
振幅同位相で励振させ、アンテナ正面に主ビームを向け
る場合について説明する。主ビーム方向を傾けたり、テ
ーラー指向性などサイドローブレベルを低くしたりする
従来の手段も適用できる。
【0035】図2に示すように、放射用スロット対5は
伝搬方向にλr、横方向にarの間隔で、格子状に配列
されている。各放射用スロット対5を同位相で励振させ
るためには、その素子間隔を平行平板導波路3の管内波
長λrに一致させなくてはならない。一般に、アレーア
ンテナにおいてグレーティングローブを抑圧するために
は、素子間隔をλ0未満にする必要がある。ここで、λ
0は自由空間波長である。この条件を満たすために、平
行平板導波路3内に比誘電率εrの誘電体4を充填して
管内波長を短くしている。無摂動時の平行平板導波路3
の管内波長λrは(1)式で与えられる。
【0036】
【数1】
【0037】ところで、放射用スロット対5のスロット
として共振長よりも短いものを使用すると、スロット結
合によって管内波長λrが無摂動時((1)式の値)よ
りも短くなることが種々の文献(例えば、笹沢英生、大
島康秀、桜井仁夫、安藤真、後藤尚久「ラジアルライン
スロットアンテナの結合係数」、電子情報通信学会技術
報告、AP86−142)で知られている。この影響も
考慮すると、平行平板導波路3に満たす誘電体4を省い
たり、その比誘電率εrを低めに設定できる。
【0038】一方、放射用スロット対5の横方向間隔a
rはできるだけ狭くした方が、平行平板導波路3に高次
モードが発生しない。少なくとも、平行平板導波路3の
管内波長λrよりも短くしないと、平行平板導波路3内
の所望(図2の実線矢印の方向)以外の方向にも電波が
伝搬することになる。
【0039】図4は下部金属板2上に形成された給電用
スロット対7の配置の1例である。給電用スロット対7
は、給電用導波管6内での伝搬方向に対してほぼ45度
の傾きを持った互いに平行な2本のスロット7’,7”
を給電用導波管6の管軸中央にほぼ1/4λfの間隔で
置いて形成している。ここで、λfは給電用導波管6内
での、スロット結合により摂動を受けた管内波長であ
る。ほぼ1/4λfの間隔で2本のスロット7’,7”
を置くと、2本のスロットからの反射波は1/4λf×
2(往復)=1/2λf(逆相)の位相差を持ち相殺さ
れるので、給電用スロット対7としての給電用導波管6
への反射はほぼなくなることになる。反射の抑圧された
給電用スロット対7を用いることで、給電用導波管6内
の電磁界分布は進行波に近い分布になる。
【0040】図5は、給電用スロット対7のスロット1
2が、給電用導波管6の管軸中央に伝搬方向に対してほ
ぼ45度の傾きを持って置かれる様子を説明する図であ
る。図5において、給電用導波管6の基本モードである
TE10モードの磁界は、図5のような向きのループ
(破線)で右へ向かって伝搬する。したがって、給電用
導波管6の管軸中央では磁界は垂直方向成分しか持たな
い。また、平行平板導波路3の基本モードであるTEM
モードの磁界は図5のような向き(実線)で上下に伝搬
する。すなわち、平行平板導波路3では水平方向成分の
磁界を伝搬させる必要がある。スロット12は、その向
きと平行な成分の磁界と結合するので、スロット12を
給電用導波管6の管軸に対してほぼ45度程度傾けれ
ば、平行平板導波路3と給電用導波管6の双方の所望の
モードが効率よく結合することができる。また、平行平
板導波路3内を上の方に伝搬する磁界は伝搬方向に対し
て右向きになっており、下の方は伝搬方向に対して左向
きになっている。すなわち、平行平板導波路3の磁界
は、上下方向で互いに逆相で伝搬することがわかる。し
たがって、図4において、励振用プローブ9の左右で給
電用スロット対7の向きが、給電用導波管6の伝搬方向
に対して反対になっているのは、平行平板導波路3の上
半分の給電用スロット対7が励振用プローブ9の左右で
同相に励振されるようにするためである。平行平板導波
路3の下半分の給電用スロット対7についても同様であ
る。
【0041】各給電用スロット対7を同位相で励振させ
るためには、給電用スロット対7の間隔を給電用導波管
6の管内波長λfに一致させる必要がある。しかし、給
電用スロット対7の間隔を平行平板導波路3の管内波長
λrよりも小さくしないと、平行平板導波路3内の電波
は、所望の方向(図2の実線の矢印方向)以外の斜めの
方向に伝搬してしまう。自由空間への放射でたとえれ
ば、グレーティングローブに相当する。したがって、給
電用導波管6の管内波長λfは、平行平板導波路3の管
内波長λrよりも短くしなくてはならず、給電用導波管
6内には、比誘電率εfの誘電体8を満たす必要があ
る。
【0042】給電用導波管6内に充填する誘電体8の比
誘電率εfは、次の2つの条件を満足するように決め
る。
【0043】(a) 給電用導波管6の管内波長λf
は、平行平板導波路3の管内波長λrよりも短くする。
【0044】(b) 給電用導波管6内では、基本モー
ド(TE10モード)だけが伝搬する。
【0045】条件(a)と条件(b)を両方満足するε
fの範囲を求める。まず、条件(a)は(2)式で与え
られる。
【0046】 λf=αλr (α<1) …(2) また、条件(b)について、給電用導波管6の広壁幅を
afとすると、afの範囲は(3)式で与えられる。
【0047】
【数2】
【0048】ところで、給電用導波管6の無摂動時の管
内波長λfは、(4)式で求められる。
【0049】
【数3】
【0050】(4)式に(3)式を代入して整理する
と、(5)式が求められる。
【0051】
【数4】
【0052】(5)式で、βはafとεfの値で決ま
る。(1)式と(5)式を(2)式に代入して整理する
と、(6)式が求められる。
【0053】
【数5】
【0054】(6)式で、β/α>1であるので、εf
の下限値が求められる。一方、(3)式より、εfの上
限値が(7)式で与えられる。
【0055】 εf<(λ0/af)2 …(7) 給電用導波管6内に充填する誘電体8の比誘電率εf
は、(6)式と(7)式を満たす範囲で決める必要があ
る。
【0056】給電用スロット対7のアレーの設計を行う
ためには、各給電用スロット対7の励振振幅と励振位相
を制御する必要がある。
【0057】各給電用スロット対7の励振振幅を制御す
る方法の1つとしては、スロットの長さを変化させて結
合量(スロット対への入射パワーに対する平行平板導波
路3内への分配パワーの比)を変えることが考えられ
る。給電用スロット対7の設計パラメータには、2本の
スロット7’,7”の長さと伝搬方向のスロット間距離
の、合わせて3つがあり、所望の結合量に対して反射が
抑圧されるような3つのパラメータの関係を明らかにし
ておく必要がある。
【0058】図6に、その1数値例として、電磁界解析
により求められた、結合量に対する2本のスロット
7’,7”の長さと伝搬方向のスロット間距離の関係を
示す。この例では、結合量が多くなるにつれて、スロッ
ト長7’,7”が長くなり、伝搬方向のスロット間距離
が狭くなっていることがわかる。
【0059】一方、各給電用スロット対7の励振位相を
制御する方法としては、給電用導波管6内の電磁界分布
は進行波分布なので、給電用スロット対7を伝搬方向に
ずらすことで位相量を制御することができる。
【0060】図7に、1例として一様振幅を実現するス
ロットアレーアンテナの素子の重み付けとしてスロット
の長さを変えた場合に、素子がスロット単体のとき(破
線)と反射を抑圧したスロット対のとき(実線)の、各
素子のスロット長の変化の設計結果を示す。スロット単
体が素子の場合、スロット長の変化がリップルを持って
いることがわかる。これは、導波路内部にスロットから
の反射によって定在波成分が生じ、振幅がリップルを持
っているためである。また、スロットの反射を考慮する
必要があり、設計手順が複雑である。それに対して、反
射を抑圧したスロットペアの場合、スロット長は単調に
増加しており、導波路内部の電磁界はスロットからの放
射により単調に減少していることが考えられる。また、
スロットの反射を考慮しないので、設計手順が簡単であ
る。
【0061】図8に、素子がスロット単体のとき(破
線)と反射を抑圧したスロット対のとき(実線)の反射
量の周波数特性の1実験例を示す。素子がスロット単体
の場合には、各素子からの反射が同相で給電点に加わる
ために反射量が全体としてかなり大きくなっていること
がわかる。スロットを対にして反射を抑圧することで反
射特性が改善されていることがわかる。
【0062】試作したアンテナ(大きさ400mm×37
5mm)において、図2のA−A’線上の開口面電界分布
の1測定例を図9に、図2のB−B’線上の開口面分布
の1測定例を図10に示す。図2のA−A’線上の開口
面電界分布は給電用導波管6の動作を、図2のB−B’
線上の開口面分布は、平行平板導波路3の動作を反映す
る。両者とも若干のリップルはあるものの、ほぼ進行波
で励振されていることが確認できる。
【0063】次に、本発明の第2実施例について説明す
ると、この例では、円偏波を放射すべく、図11に示す
ように、上部金属板1上に円偏波放射用スロット対13
を形成したものである。上部金属板1以外の構造につい
ては、第1実施例と同じである。
【0064】円偏波放射用スロット対13は、図11の
実線矢印で示された伝搬方向に対してほぼ45度傾き、
伝搬方向にほぼ1/4λrの間隔で置かれた2本のスロ
ットから形成されている。ここで、λrは平行平板導波
路3内での管内波長である。2本のスロットはほぼ直交
している。2本のスロットを空間的かつ時間的に直交さ
せているので、円偏波が放射される。円偏波放射用スロ
ット対13の伝搬方向の間隔、横方向の間隔について
は、第1実施例と同じである。
【0065】次に、本発明の第3実施例について説明す
ると、この例では、図12に示すように、2偏波共用を
行っている。平行平板導波路3内で電波を左右方向と上
下方向の互いに直交する2つの方向に伝搬させ、それぞ
れから2つの偏波の電波を放射させている。
【0066】図12の例では、上部金属板1に向きが上
下方向のスロットからなる水平偏波放射用スロット対1
4と向きが左右方向のスロットからなる垂直偏波放射用
スロット対15が形成されている。水平偏波放射用スロ
ットペア14は、平行平板導波路3内を左右方向に伝搬
する電波と結合する。一方、垂直偏波放射用スロットペ
ア15は、平行平板導波路3内を上下方向に伝搬する電
波と結合する。
【0067】放射用スロット対としては、直線偏波(水
平偏波、垂直偏波、任意方向偏波)や円偏波(右旋円偏
波、左旋偏波)のうち任意の2つの偏波のものが可能で
ある。放射用スロット対の構成法については、第1実施
例や第2実施例と同じである。また、2つの偏波を動作
させる周波数は必ずしも一致させる必要はない。
【0068】図13は、偏波共用を行うために、下部金
属板2上に構成された給電用スロット対の配置図であ
る。下部金属板2の下には、左右方向に置かれた給電用
導波管16と上下方向に置かれた給電用導波管17が取
り付けられている。各給電用導波管16,17には、そ
れぞれ励振用プローブ18,19が取り付けられてい
る。
【0069】図13において、左右方向に配列されてい
るのは、平行平板導波路3内を上下方向に伝搬させるた
めの給電用スロット対20である。一方、上下方向に配
列されているのは、平行平板導波路3内を左右方向に伝
搬させるための給電用スロット対21である。給電用平
行平板導波路3内を左右方向に伝搬させるため給電用ス
ロット対21である。給電用スロット対の構成法につい
ては、第1実施例と同じである。
【0070】2つの偏波を動作させる周波数が異なる場
合には、対となる放射用スロット対と給電用スロット対
の動作周波数を一致させる必要がある。
【0071】本発明は上記実施例に限定されない。種々
変形して実施できる。
【0072】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の平行平板
スロットアンテナによれば、単に2枚の金属板のみで構
成された空間に進行波的に電力を伝送させ、いずれか一
方に電力放射用スロット対が設けられた一対の金属板を
他の軽量な材料で間隔保持するのみで、高効率かつ高利
得のアンテナを構成することができる。従って、構造の
簡素化により大幅な生産コストの軽減と軽量化が可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の方形平行平板スロットア
ンテナの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の方形平行平板スロットア
ンテナに使用されている上部金属板の平面図である。
【図3】本発明の第1実施例の方形平行平板スロットア
ンテナに使用されている放射用スロット対のパラメータ
の関係を表すグラフである。
【図4】本発明の第1実施例の方形平行平板スロットア
ンテナに使用されている下部金属板の平面図である。
【図5】本発明の第1実施例の方形平行平板スロットア
ンテナに使用されている給電用スロットの動作を説明す
るための平面図である。
【図6】本発明の第1実施例の方形平行平板スロットア
ンテナに使用されている給電用スロット対のパラメータ
の関係を表すグラフである。
【図7】各素子のスロット長の変化を表すグラフであ
る。
【図8】反射量の周波数特性を表わすグラフである。
【図9】試作アンテナの開口面分布(図2のA−A’線
上)の1測定例である。
【図10】試作アンテナの開口面分布(図2のB−B’
線上)の1測定例である。
【図11】本発明の第2実施例の方形平行平板スロット
アンテナに使用されている上部金属板の平面図である。
【図12】本発明の第3実施例の方形平行平板スロット
アンテナに使用されている上部金属板の平面図である。
【図13】本発明の第3実施例の方形平行平板スロット
アンテナに使用されている下部金属板の平面図である。
【符号の説明】
1 上部金属板 2 下部金属板 3 平行平板導波路 4 誘電体 5 放射用スロット対 6 給電用導波管 7 給電用スロット対 8 誘電体 9 励振用プローブ 10 電波吸収体 11 電波吸収体 12 スロット 13 放射用スロット対 14 放射用スロット対 15 放射用スロット対 16 給電用導波管 17 給電用導波管 18 励振用プローブ 19 励振用プローブ 20 給電用スロット対 21 給電用スロット対

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平行に置かれた一対の金属板と、 前記一対の金属板間に形成された導波空間と、 前記導波空間に充填された第1の遅波手段と、 前記導波空間に連なり、前記導波空間に電力を供給する
    給電手段としての導波管と、 前記導波管に充填された第2の遅波手段と、 前記一対の金属板のいずれか一方の面に縦横に多数形成
    され、前記導波空間への電力の反射を抑圧して、電力を
    外部に放射し、長さが略等しく間隔が約1/4管内波長
    第1のスロット対と、 前記導波空間と前記導波管との境界面に多数形成され、
    前記導波管から前記導波空間に電力を放射する開口とし
    て機能し、前記開口に見かけ上ほぼ平面波の同位相面を
    形成しかつ前記導波管への電力の反射を抑圧する、長さ
    が略等しく間隔が約1/4管内波長の第2のスロット対
    とを含み、 前記導波管から前記導波空間に前記第2のスロット対を
    介して供給される電力が同一のモードを保ちつつ前記導
    波空間を伝搬して、前記第1のスロット対から放射され
    る、 ことを特徴とする平行平板スロットアンテナ。
  2. 【請求項2】前記第1のスロット対は、前記導波空間内
    の前記電力の伝播方向に略直角に形成され、 前記第2のスロット対は、前記導波管内の前記電力の伝
    播方向に対して略45度傾くように形成されている、 ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  3. 【請求項3】前記第1のスロット対は、 前記導波空間内の前記電力の伝播方向に対して略45度
    傾いた第1のスロットと、 前記導波空間内の前記電力の伝播方向に対して略135
    度傾いた第2のスロットとからなる、 ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  4. 【請求項4】前記第1のスロット対は、 向きが第1の所定方向のスロットからなる水平偏波放射
    用スロット対と、 向きが第2の所定方向のスロットからなる垂直偏波放射
    用スロット対とからなる、 ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  5. 【請求項5】 前記第2のスロット対は、 前記導波空間内において前記第1の所定方向に電力を伝
    播させるために前記第1の所定方向に直交する方向に配
    列されたスロット対と、 前記導波空間内において前記第2の所定方向に電力を伝
    播させるために前記第2の所定方向に直交する方向に配
    列されたスロット対とからな前記第1と第2の所定方向は互いに直交する方向である
    ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ。
  6. 【請求項6】前記一対の金属板は第1と第2の金属板か
    らなり、 前記第1の金属板に前記第1のスロット対が形成され、 前記第2の金属板に前記第2のスロット対が形成され
    る、 ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  7. 【請求項7】前記一対の金属板は方形であることを特徴
    とする請求項1に記載のアンテナ。
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