JP2526389B2 - セシウムイオン固定材 - Google Patents

セシウムイオン固定材

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一雄 鳥居
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【発明の詳細な説明】 本発明はセシウムイオン固定材に関する。
原子力発電所の使用済み核燃料から出る高レベル放射
性廃棄物は年々その量を増しており、様々な処分法が検
討されている。有力な方法は廃棄物をガラス固体化と
し、安定な地層中に埋め、生物圏から隔離するものであ
る。その際、ガラス固化体周囲には人工バリアーと呼ば
れる幾重もの障壁が設けられ、万一固化体から核種が溶
出した場合にも、そこで封じ込め、水系に被害を及ぼさ
なくする万全の設計がなされることになっている。高レ
ベル放射性廃棄物のうち最も量の多い長半減期の核種は
137Csと90Srである。いずれも水に溶出して移動し易い
ため、現実的には最も問題となると考えられる。そのた
め、それらの吸着・固定を行なう優れた材料の開発が求
められている。
本発明は放射性廃棄物処理において問題となる核種の
うちセシウムイオンを吸着し、構造内に取込むことによ
り固定する材料に関するものである。なお、ここでの
「固定」は、水溶液中でたとえ周囲に不特定の多量の金
属イオンが存在してもイオン交換がおこらず、セシウム
イオンが結晶構造中に閉じ込められた状態を示す。
人工バリアー中で溶出核種の吸着を行なう材料として
これまでベントナイト、イライト、沸石等が候補として
あげられている。これらはいずれもイオン交換能を有す
る天然に産する鉱物あるいは岩石である。このうち最も
吸着量の大きいものは沸石であるが、準安定相であるた
め地層処分の数100〜数1000年の長期の間で、あるいは
廃棄物周辺の高温下では他の鉱物へと相変化し、吸着能
を失うおそれがある。また、イライトは吸着容量が低い
ため、大量の材料を要し、人工バリヤー材料としては不
適切と考えられる。それに対してベントナイトの主成分
であるスメクタイトは200〜400℃の水熱条件下でも安定
であり、セシウムイオンを層間に吸着する能力を失わな
い(例えば、Komarneni and White,Clays and Clay Mi
n.,26,299−308,1981)。また、スメクタイトは水中で
膨潤するため、水の通路を塞ぎ、核種の移動を妨げる効
果も示すため人工バリアーの材料として適するとされて
いる。一般にスメクタイトによる吸着は、通常のイオン
交換樹脂と同様に1価より2価の、あるいは水和イオン
半径の大きなものより小さなイオンを吸着し易いという
程度の選択性がある。また、類似の層状珪酸塩のうちス
メクタイトより高い電荷を有する種(バーミキュライ
ト)ではカリウムやアンモニアイオンを構造中に固定す
ることが知られているが、この現象は主として四面体シ
ートに電荷を有するものに特有である(白水晴雄、粘土
鉱物学−粘土科学の基礎−、朝倉書店、1988)。すなわ
ち、スメクタイト自身にはセシウムを始めとする陽イオ
ンの固定能は知られていない。そのため、放射性廃棄物
の地層処分において多量のセシウムイオンを固定できる
安定な処理材の選定・開発が求められている。本発明は
上記スメクタイト一般に共通する構造安定性と膨潤性に
加え、セシウムイオンを多量に固定することができるセ
シウムイオン固定材に関する。
本発明者らは、セシウムイオンを取り込み構造内に固
定し、系外に漏出させない材料を開発するために長年鋭
意研究を重ねた結果、膨潤性層状化合物の一種である、
ある種のスメクタイトすなわち2八面体型構造において
主として珪酸塩層八面体シートに陰電荷が存在するもの
は、その陰電荷の位置がセシウムイオンを固定しうる珪
酸塩層表面酸素六角環空き間の底部となるため、そこを
固定のサイトとして常温水溶液中で水和せず小さなイオ
ンとして存在するセシウムイオンを選択的に取り込み得
ることを明らかにした。同様な条件下では、共存する例
えばナトリウムあるいはアルカリ土類金属イオンは水和
した大きなイオンとして存在するので空き間に侵入でき
ず、結果的に、このような物質は、陰電荷が四面体シー
トに存在するものに比べてセシウムイオン固定量が著し
く高いという事実を見出した。本発明はこの知見に基づ
いてなされたものである。
すなわち、本発明は、珪酸塩層中の陰電荷点が主とし
て八面体シートにある2八面体型スメクタイト様構造に
おいて、表面酸素六角環空き間にイオン固定を生じせし
めることを特徴とするセシウムイオン固定材に関する。
本発明におけるセシウムイオン固定材は、2八面体型
スメクタイト様構造中の八面体シートに陰電荷が存在す
るものであれば天然産スメクタイトでも合成スメクタイ
トでも用いることができる。八面体シート陰電荷量の割
合の多いものほどセシウム固定量は増加する。
スメクタイトは層状構造を有する膨潤性珪酸塩であ
り、例えば400℃の水熱条件下でも長期にわたって安定
であることが知られている。
その化学組成について代表的なスメクタイトであるモ
ンモリロナイトおよびバイデライトを基本に説明する。
モンモリロナイトは理想的には(M+ X・nH2O)(Al2-XMg
X)(Si4)O10(OH)の構造式を有し、一方バイデラ
イトは(M+ X・nH2O)(Al2)(Si4-XAlX)O10(OH)
の構造式で示される。ここで0.2<x<0.6であり、M+
層間陽イオンを表わす。これらの構造式のうち、モンモ
リロナイトでは(Al2-XMgX)、一方、バイデライトでは
(Al2)が八面体シート陽イオンである。モンモリロナ
イトでは3価のアルミニウムの一部を2価のマグネシウ
ムで置き換えることにより珪酸塩構造中に陰電荷が発現
しており、層間陽イオンM+の陽電荷が八面体シート陰電
荷を中和している。それに対し、バイデライトでは八面
体シートに陰電荷は存在しない。前述のようにスメクタ
イト構造においてセシウムイオンを固定しうるサイトは
珪酸塩層表面酸素六角環空き間でかつその底部に陰電荷
点が存在するものであるため、モンモリロナイトでは陰
電荷は全てセシウムイオンの固定に寄与しうると考えら
れるが、バイデライトでは珪酸塩層表面の四面体シート
に陰電荷が存在するためこのサイトには固定し難い。天
然産スメクタイトでは上記の両方の構造を含む場合が多
く、両者は固溶体を作っていると考えられており、より
モンモリロナイト的なものほどセシウムイオンの固定量
は多くなると考えられる。このうち、陰電荷が主として
八面体シートに存在するもの、すなわちモンモリロナイ
トないしモンモリロナイトに近いものが発明のセシウム
固定材として使用することができる。セシウム固定量
は、八面体シート陰電荷量が多くなるにつれ指数関数的
に増加する。
合成では多様な組成が想定され、SiをGe等の4価イオ
ンで、あるいはOHをFで置き換えることが可能である。
また、モンモリロナイトの構造式のうちAl3+をFe3+等の
3価の金属イオンで、Mg2+をMn2+、Fe2+等の2価の金属
イオンで置き換えることができる。これらはいずれも本
発明のセシウムイオン固定材として使用が可能である。
本発明のセシウムイオン固定材はX線粉末回折、陽イ
オン交換容量(CEC)および化学分析によって容易に同
定できる。スメクタイトは脱水状態で10Å、通常の温度
・湿度下では12〜16Åの底面間隔を有する。また、10%
エチレングリコール水溶液と混合、風乾すると底面間隔
は約17Åへと膨張するという特徴をもつ。そのため各条
件下でX線粉末回折を測定し、001反射の面間隔が上記
の値に相当すればスメクタイトと同定されうる。また、
純粋なスメクタイトのCECは100g当り通常60〜120ミリ当
量の値である。さらに化学分析により各元素を定量し、
陰イオンをO10(OH,F)として構造式を算出すること
ができる。八面体シート陰電荷量は多い方が望ましい
が、計算された八面体シート陰電荷量が層電荷の90%以
上であれば本発明のセシウムイオン固定材として有効に
用いることができる。また、このような八面体シートに
多量に陰電荷が存在するものは、X線粉末回折測定法に
よって判別することができる。層間陽イオンをリチウム
あるいはマグネシウムイオンにイオン交換し、スライド
グラス上に沈着さた後、それを300℃で2時間以上加熱
し、冷却後10%のグリセロール水溶液を表面に滴下し、
試料全体に吸収させる。風乾後X線回折パターンを測定
すると、本発明の主に八面体シートに陰電荷が存在する
2八面体型スメクタイトでは約9.6Åの底面間隔を示す
整数反射が得られる。一方、八面体シートに陰電荷がな
く四面体シートのみに存在する試料では約18.0Åの底面
間隔の整数反射が得られる。両者の中間構造のものでは
001反射は9.6〜18.0Åの間の面間隔をもち、高次反射も
非整数次となるため容易に確認することができる。
本発明のセシウムイオン固定材として、例えば(Na
0.33)(Al1.67・Mg0.33)(Si4)O10(OH)を用い、
珪酸塩層表面酸素六角環空き間がセシウムイオンにより
理想的に全て埋った状態である(Cs0.33)(Al1.67・Mg
0.33)(Si4)O10(OH)にセシウムイオンを固定した
とすると11.4重量%のセシウムイオン量となる。本発明
のセシウムイオン固定材を使用することによって、水に
溶解してくるセシウムイオンを有効に固定することがで
きるため、高レベル放射性廃棄物地層処分の人工バリヤ
ー材料として有用であり、低レベル放射性廃棄物のセシ
ウムイオン除去、あるいは地熱熱水などからの資源とし
てのセシウムの回収にも利用できる。
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 底面間隔が空気中で13.5Å、エチレングリコール処理
で16.9Å、CECが109.7ミリ当量/100gおよび化学分析値
から計算した構造式が、(Na0.16Mg0.15Ca0.060.05
(Al1.39Fe3+ 0.08Mg0.55)(Si4)O10(OH)であり、
陰電荷点は全て八面体シートに存在すると計算される本
発明製品の層間陽イオンをセシウムイオンで置換し、25
℃でセシウムイオン固定率の変化を測定した。セシウム
イオン固定率は反応前の全セシウムイオン量に対し、バ
リウムイオンでイオン交換した後の製品中のセシウムイ
オン量の割合として計算した。セシウムイオンの固定率
は48.1%であった。また、層間をリチウムイオンで飽和
し、300℃、2時間加熱後グリセロール処理すると底面
間隔は9.6Åを示し、陰電荷点は八面体シートにあるこ
とが確認された。
実施例2 底面間隔が空気中で15.2Å、エチレングリコール処理
で17.0Å、CECが103.6ミリ当量/100gおよび化学分析値
から計算した構造式が(Ca0.21Na0.080.05Mg0.04
(Al1.42Mg0.52Fe3+ 0.08Mn0.01)(Si3.99Al0.01)O10
(OH)であり、八面体シートの陰電荷量が層電荷の98
%を占める本発明製品を実施例1と同様に処理し、セシ
ウムイオン固定率を測定した。その結果、セシウムイオ
ン固定率は、44.8%であった。また、実施例1と同様
に、リチウムイオンで処理した結果、底面間隔が9.8Å
を示すX線回折ピークが認められ、本発明製品の陰電荷
が八面体シートにあることが確認された。
比較例 底面間隔が空気中で12.5Å、エチレングリコール処理
で17.0Å、CECが80.4ミリ当量/100gおよび化学分析値か
ら計算した構造式が、(Na0.36Mg0.01Ca0.05)(Al1.55
Fe3+ 0.22Fe2+ 0.02Mg0.21)(Si3.93Al0.07)O10(OH)
である天然産スメクタイトを実施例と同様に処理し、
セシウムイオン固定率を測定した。この試料の八面体陰
電荷は層電荷の約77%を占めるが、実施例1と同様にリ
チウムイオンで処理したものでは001反射の面間隔は10.
0Åであり、非整数次の高次反射を示した。セシウムイ
オン固定率は実施例1、2に比べ半分以下の17.0%であ
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 拓道 宮城県仙台市宮城野区福室字高砂駅東26 番2号 (56)参考文献 特開 昭64−90036(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】珪酸塩層中の陰電荷点が主として八面体シ
    ートにある2八面体型スメクタイト様構造において、表
    面酸素六角環空き間にイオン固定を生じせしめることを
    特徴とするセシウムイオン固定材。
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