JP2524982Y2 - 自動車の日除け - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車の前面窓若しくは後面窓からの入射
光を遮る日除けに関する。

［従来の技術］ 太陽光線から運転者を守るため、或は太陽光線が車内
に入り室温を上昇させるのを防止するため、自動車の前
面窓や後面窓には一般に日除け（サンバイザー）が装備
されている。特に、前面窓に装備される日除けは安全運
転の上から不可欠のものとなっているが、従来使用され
ている日除けは板状をなす日除け本体の一側端に枢着腕
を延設してこの枢着腕の端部を自動車の前面窓に近い天
井の隅部に備える枢着部に回動自由に枢着し、不使用時
にはこの枢着部の摩擦保持力によって日除け本体を天井
面に添わせて格納状態とし、使用時には上記枢着部を支
点に回動せて前面窓に添わせ日光の入射を阻止する構造
に係っている。最近では更にこれに改善が加えられ使用
時或は不使用時の姿勢を安定させるため他側端の自由端
部に係止部を備え、天井に備えるクリップに係脱自由に
係合させてこの係止部と前記枢着部の２点を支点にして
回動させるものが広く実用化されている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上述した様に従来の日除けは日除け本体の一側縁の枢
着部を支点とする回動操作によって使用，不使用状態に
変換する構造としているが、この日除けは前述した様に
枢着部の保持力、つまり摩擦力を以て姿勢を保つ構造に
係ることから、保持力が弱くなると姿勢の維持ができな
くなり垂れ下る問題があり、また強すぎると姿勢変換の
操作が不便になる。

また、従来の日除けは不使用時に天井面に添わせて格
納状態とするが、露出したまゝにあるため外観的にも好
ましくない。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上述の問題点に鑑みこれを改善するために
考案されたもので、その特徴とするところは自動車の前
面窓及び或いは後面窓の上縁に臨む屋根板下面に扁平状
の格納室を形成し、該格納室の上記窓に臨む一側縁に引
出し窓を開設すると共に格納室内部に適度の剛性と可撓
性を有する左右の日除けを各摺動自由に格納し、前記引
き出し窓を通して出し入れ自由にしてなる自動車の日除
けにおいて、前記格納室内部には中央部において交錯す
る如く２つの保持枠を重ね合せに設け、それぞれの保持
枠に前記左右の日除板の一側縁から延設する帯板状の誘
導板をそれぞれ摺動自由に滑合支持し、他方前記日除板
は格納時格納室内において互いに片半同志を重ね合せる
幅に形成して、引き出し使用時に窓の略全幅に亘って差
し出せるようにしたことを特徴とする自動車の日除け。

本考案日除けは、不使用時には日除板を格納室に収め
て露出を避け、また使用時には前面窓或は後面窓に向け
て引き出し窓ガラスの内面側に添わせて日光を遮蔽する
もので、この使用に当って日除板の引き出し量を加減す
ることによって遮蔽範囲を調節すると共に、有効視界の
範囲を最大に確保することができるものとなる。

以下、この考案を図示する実施例につき更に詳述し、
その特徴とするところを明らかにすると共にその他の特
徴を併せて説明することにする。

［実施例］ 図面第１図は要部を実線で示した使用状態の側面図
で、第２図は拡大平面図、第３図は一部を欠截した要部
の拡大平面図、第４図は要部の拡大側面図である。図面
において、１は日除板であり、２は日除板の一側縁から
延設した帯板状をなす誘導板、３は誘導板を摺動自由に
保持する保持枠である。

日除板１は自動車の屋根４と天井５との間に形成され
る扁平状の格納室６に収められるもので、この実施例で
は前面窓７と後面窓８に対して日除板を装備するため前
後に２つの格納室６を形成してある。

２つの格納室６はそれぞれ前後面の窓7,8に向けて日
除板を引き出す窓9,10をこの窓7,8の上縁に沿って横長
に形成してある。そして、各格納室には２枚の日除板１
がそれぞれ誘導板２を交錯させるようにして収めてあ
る。尚、上記前後の格納室６に収められる日除板は同一
の構成をとるため、以下の説明では後方の格納室、日除
板についての説明を省略する。

保持枠３は日除板１の出し入れを円滑にすると共に、
使用時並びに不使用時、つまり格納時における日除板の
任意の移動、ガタ付きを防止し、更には引き出し量を調
整するためにあり、この実施例では上方を開放した断面
Ｃ字形に形成して両側縁に向い合せの折り返し部3a,3a
を設け、この折り返し部に誘導板の両縁を嵌め入れ、長
さ方向に摺動自由となるよう滑合させてある。そして、
両折り返し部3aの内部の適所には板バネ製の山形係合突
起11を備え、誘導板の縁部に適宜間隔で複数個設ける係
合凹部12のいずれかを該係止突起に係合させて誘導板２
の任意の移動が止められるようにしてある。

この保持枠３は前述格納室６の内部に、この実施例で
は中央部で交錯する如く２つの保持枠3,3を重なり合わ
せに配置してあり、それぞれに日除板の誘導板が滑合す
るようにしてある。この保持枠３の交錯は第２図に示す
ように前面窓７の略全幅に亘って日除板を差し出せるた
めの配慮によるもので、格納室６に収められた左右の日
除板1,1は室内部においてそれぞれ片半を重ね合せた状
態におかれ、使用において引き出されたとき左右の日除
板は前面窓７の左方上半部を、右方の日除板は右方上半
部を遮ることができるものとなっている。尚、上述の様
に格納室６に２枚の日除板を格納装備する例につき説明
したが、前面窓にあっては運転席側にのみ装備する場合
のあること勿論である。

本考案日除けは上述の如く構成されるもので、日除板
１及び、これを支持する誘導板２については適度の剛性
と撓み性を有した例えば合成樹脂製の板素材が適当であ
り、更に日除板については不透明若しくは半透明板が適
当である。

この日除板１は不使用時には、第1,2図に示した様に
その全体を引出し窓９（10）から奥に差し入れて格納室
内部に収めておかれ、板の先端に備える摘み13を窓９の
縁に突き当てそれ以上の侵入が止められる。

第３図は日除板を完全に格納した状態を示しており、
このとき誘導板２の前端部に設ける係合凹部12に係合突
起11を係合させて任意の移動が止められることになる。
そして、使用する場合には、摘み13を持って窓６（７）
に向けて引き出すことになる。引き出される日除板は保
持枠３を案内にして長さ方向に沿って真直に引き出され
ると共に、屋根４に対してガラス板14が角度をもって嵌
り付いていることから第１図２点鎖線で示した如く下方
に撓められるようにしてガラス板の内面に押付けられる
状態で引き出されることになる。勿論このとき、係合突
起11が誘導板２の両側縁を押圧して抵抗となると同時
に、係合凹部12にカチカチと嵌合しながらその通過を許
すことから無節度に引き出されることはないが、ガラス
板14に対する日除板の反発力が作用することから任意の
引出し位置で止めることができ、またこのガラス板に密
着することから垂れ下ることもなく、車体の振動を受け
て異音を発することも回避される。

尚、日除板の横幅と縦幅は遮蔽範囲に合せて設計者に
おいて任意選択に委ねられる。勿論、日除板を複数枚使
用する場合には側縁部の重合を考慮して他方の日除板と
の干渉を避けるようにした方が、操作性の面から好まし
いことは言うまでもない。

［考案の効果］ 本考案日除けにつき実施例を基に詳述したが、前述説
明の様に本考案は日除板を屋根と天井との間に形成する
扁平な格納室に出し入れ自由に格納するものとしたこと
から不使用時にはこれの露出を防ぎ、併せて垂れ下り等
の問題を有効に回避することができる一方、使用時には
格納室から日除板を引き出すことによって日光の侵入を
遮蔽することができる。そしてこの遮蔽に当って本考案
日除けは引出し量を加減することで遮蔽する範囲を自由
に選択できることから日光を遮ぎりながら有効最大限の
視界を確保することができ安全運転の上から極めて効果
的である。

また、引き出された日除板は保持枠で保持され、ガラ
ス板の内面に密着した状態に支持されることから任意に
移動することがなく車体の振動等で突然視界が遮ぎられ
るようなことがなく危険回避の上で有効である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示したもので、第１図は要部
を実線で示した使用状態の側面図で、第２図は拡大平面
図、第３図は一部を欠截した要部の拡大平面図、第４図
は要部の拡大側面図である。 １……日除板、２……誘導板 ３……保持枠、４……屋根 ５……天井、６……格納室 ７……前面窓、８……後面窓 9,10……引き出し窓、11……係合突起 12……係合凹部、14……ガラス板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の前面窓及び／或いは後面窓の上縁
   に臨む屋根板下面に扁平状の格納室を形成し、該格納室
   の上記窓に臨む一側縁に引出し窓を開設すると共に格納
   室内部に適度の剛性と可撓性を有する左右の日除けを各
   摺動自由に格納し、前記引き出し窓を通して出し入れ自
   由にしてなる自動車の日除けにおいて、前記格納室内部
   には中央部において交錯する如く２つの保持枠を重ね合
   せに設け、それぞれの保持枠に前記左右の日除板の一側
   縁から延設する帯板状の誘導板をそれぞれ摺動自由に滑
   合支持し、他方前記日除板は格納時格納室内において互
   いに片半同志を重ね合せる幅に形成して引き出し使用時
   に窓の略全幅に亘って差し出せるようにしたことを特徴
   とする自動車の日除け。