JP2524573B2 - 酵素の抽出および精製方法 - Google Patents

酵素の抽出および精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、細菌ザイモモナス・モビリス (Zymomonas mobilis)(本明細書中では、以下、便利
のために簡素にズィー・モビリス(Z.mobilis)と称す
る)から得ることができる商業的に有用な酵素の工業的
規模での抽出および精製の方法に関する。前記ズィー・
モビリスは、エントナー−ドゥドロフの経路の酵素を多
量に含み、かつこれらの酵素を単離するにすぐれた供給
源であり、さらに糖からアルコールへの発酵に含まれる
関連酵素を多量に有している。
本発明の方法によって工業的規模で、ズィー・モビリ
スから抽出され精製され得る酵素は下記の如くである: グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ EC1.1.1.49 グルコキナーゼ EC2.7.1.2 ピルビン酸キナーゼ EC2.7.1.40 フルクトキナーゼ EC2.7.1.4 上記の各酵素は、確立した商業的有用性を有してい
る。
現在、生化学的試薬供給者から入手可能なグルコース
−6−燐酸デヒドロゲナーゼは、グルコース、ATP、他
の糖類を決定するための、および酵素活性を測定するた
めの臨床的診断試薬の成分として有用である。これらの
使用は、糖を定量するための分析的方法に関して、工業
的分野、とりわけ食品工業的分野に及び、さらに酵素活
性を測定し、糖、ATP等を測定する法科学(forensic sc
ience)的、遺伝学的および微生物学的調査に関して、
生化学的分野に及んでいる。
同様に入手可能なグルキナーゼは、グルコース、ATP
および所定の酵素、例えば、臨床診断試験におけるクレ
アチンキナーゼを測定する臨床分析および食品分析にと
りわけ有用である。同様に入手可能なピルビン酸キナー
ゼは、関係している酵素がキナーゼであり、その使用が
主に臨床的および生物学的調査にある場合の酵素活性測
定にとりわけ有用であるが、ATPが反応中で消費される
場合の化学的および生化学的合成のATP再生系にも有用
である。同様に入手可能なフルクトキナーゼは、食品工
業の分野で有用な試験である、グルコースの存在下での
フルクトースの測定にとりわけ有用である。
グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼは、ズィー・
モビリス以外の微生物細胞、例えば、リューコノストッ
ク・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides
(本明細書中では、以下、便利のために簡単にエル.メ
センテロイデス(Lmesenteroides)と称する)または
NAD−特異的グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼを
含有する他の微生物中に存在している。このような細胞
からの工業的規模での酵素の抽出および精製は、問題を
提起しそして多くの技術的困難を含んでいる。
細胞内酵素の工業的生産は、3つの個別の段階を含ん
でいると考えることができる。すなわち、この3つの段
階とは、 (i)微生物細胞の増殖および増殖培地からのペースト
状の微生物細胞の回収、 (ii)前記微生物細胞ペーストの抽出による、酵素単離
のための原料の調製、および (iii)前記原料の抽出物からの酵素の単離および精製
である。
微生物細胞、例えば、エル・メセンテロイデスおよび
ズィー・モビリスの増殖方法が公知である。また、微生
物細胞の抽出のための異なるいくつかの方法が記載され
ている。例えば、物理化学的方法は、浸透圧衝撃〔シュ
ウィングアーマー,イー.エー.(Schwinghamer,E.A)
(1980年)FEMS Microbiology Letters.7,157〜162
頁〕、リソチーム処理〔セント−ブラッカード,ジェ
イ.(Saint−Blacard,J.),マウォール,ジェイ.ピ
ー.(Mawal,J.P.),コンスタント,ジェイ.エフ.
(Constant,J.F),バーソン,ジェイ. (Berthon,J.)およびジョルス,ピー.(Jolles,P.)
(1981年)Bioscience Reports,119〜123頁〕,有
機溶剤〔ルター,ダブリュー.ジェイ.(Rutter,W.
J.)およびハンズレー,ジェイ.アール.(Hunsley,J.
R.)(1966年)Methods Enzymol,480〜486頁〕,お
よび洗浄剤〔ミオザリ,ジー.エフ.(Miozari,G.
F.),ニーデルバーガー,ピー.(Niederberger,
P.),およびハッター,アール.(Hutter,R.)(1978
年)Analyt.Biochem.90,220〜233頁〕を含んでいる。機
械的方法も十分に用いることができる。
微生物細胞、例えば、エル.メセンテロイデス細胞お
よびズィー.モビリス細胞の溶剤中への酵素の溶解およ
び放出の能力は、これらの細胞が増殖する条件におおき
く依存している。例えば、これらの細胞を、(i)高
温、(ii)高アルコール量、および(iii)低pHの条件
下で集菌する場合には、条件が比較的温和である場合よ
り、細胞は溶解しやすいように思われる。
アルコールがズィー.モビリス発酵の生産物である場
合には、アルコールの存在においてのみ高収率で細胞を
得ることが可能であるが、培養培地の温度およびpHは、
集菌前の溶解を抑えるために細胞において必要とされる
強さの程度に応じて変化させることができる。
このように、いわゆる「弱い(weaker)」細胞を故意
に増殖させることに伴なう問題は、これらの細胞が集菌
前および抽出のための移送の間に溶解しがちであって、
そのため所望の酵素の収率が減少することである。一
方、いわゆる「強い(tough)」細胞は、集菌の間には
極めて溶解し難い。「弱い」および「強い」細胞の双方
を等しく十分に抽出するための確実な方法が必要であ
る。
酵素グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼの回収の
ためのズィー.モビリス細胞の生産および抽出に関する
前記指摘の問題と幾分か等しい問題が、前記した他の酵
素の回収に当てはまる場合に、前記細胞からこれらの酵
素を抽出するための確実な方法も必要となる。
発明の要旨 本発明は、 (i)ズィー.モビリス細胞から前記の酵素を抽出する
ための方法であって、特別な装置を必要とせず、かつ溶
解が1〜2時間以内で完了し、酵素の総量が集菌した細
胞の抽出物において最大であると考えることができる方
法、および (ii)ズィー.モビリス細胞から前記酵素を単離し精製
する方法 を提供する。
このようにして、本発明者らは、前記酵素を含有しそ
してズィー.モビリス細菌細胞から得られる、酵素抽出
物の調製方法を開発した。この調製方法は、部分的に水
混和性の有機溶剤、ノニオン界面活性剤およびリソチー
ムを含む抽出媒体を用いて中性からアルカリ性のpH条件
下に前記細胞を抽出に付して、前記酵素を含有する抽出
物を与えることを含んでいる。これら4つの各因子は、
個別に、ズィー.モビリス細胞、とりわけ「弱い」細胞
のある程度の抽出を行なうが、本発明者らは、これらの
因子が組み合わせられた場合に、これらの因子は共同作
用して、「強い」細胞の抽出においても同様に、タンパ
クの総量および酵素の総量を最大にするということを見
い出した。
さらに、本発明者らは、ズィー.モビリスの抽出物か
ら前記酵素を単離する方法をも開発した。この単離方法
は、前記調製に引き続くものであり、それぞれが支持マ
トリックスに結合したタンパク−結合染料であって前記
酵素に関して選択される、複数のアフィニティークロマ
トグラフィー吸着剤と、前記抽出物とを接触させ、グル
コース−6−燐酸デヒドロゲナーゼおよびグルコキナー
ゼを、対応して選択される吸着剤によって前記抽出物か
ら単離し、引き続いて、ピルビン酸キナーゼおよびフル
クトキナーゼを、対応して選択される吸着剤によって単
離し、次いで、前記複数の吸着剤の中で対応して選択さ
れた吸着剤から各酵素を溶出して回収することを含んで
いる。
さらに、本発明者らは、これらの方法を、微生物細胞
からグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ、グルコキ
ナーゼ、ピルビン酸キナーゼおよびフルクトキナーゼを
抽出し、次いで、得られた抽出物から引き続いて前記酵
素を単離する方法に総合し得ることを見い出した。この
方法は、 (A)部分的に水混和性の有機溶剤、ノニオン界面活性
剤、およびリソチームを含む抽出媒体を用いて、中性か
らアルカリ性のpH条件下に、ズィー.モビリス細菌細胞
を抽出に付して、前記酵素を含有する抽出物を与えるこ
と、 (B)引き続いて、それぞれが支持マトリックスに結合
したタンパク結合染料であって、前記酵素に関して個々
に選択される、複数のアフィニティークロマトグラフィ
ー吸着剤と、前記抽出物とを接触させ、グルコース−6
−燐酸デヒドロゲナーゼおよびグルコキナーゼを、対応
して選択される吸着剤によって前記抽出物から単離し、
引き続いて、ピルビン酸キナーゼおよびフルクトキナー
ゼを、対応して選択される吸着剤によって単離するこ
と、および (C)前記複数の吸着剤の中で対応して選択された吸着
剤から各酵素を溶出して回収すること を含んでなる。
発明の好ましい態様 ズィー.モビリス細胞から前記酵素を回収するための
本発明の抽出方法において、抽出媒体は、好ましくは約
1〜2%v/vの、さらに好ましくは約1%v/vの量の部分
的に水混和性の有機溶剤;好ましくは約0.05〜0.2%v/v
の、さらに好ましくは約0.1%v/vの量のノニオン界面活
性剤;および好ましくは細胞湿重1g当り約0.2〜2mgの量
のリソチームを含み、そのpHは、好ましくは7.0〜9.0で
あり、さらに好ましくは7.5〜8.5である。
部分的に水混和性の有機溶剤は、芳香族炭化水素、例
えば、トルエン、または低級アルキルエステル、例え
ば、酢酸エチル、または好ましくは、低級アルカノー
ル、例えば、ブタン−1−オールであってもよい。ノニ
オン界面活性剤は、好ましくは、フェニルポリエチレン
グリコール型のもの、例えば、商品名「トライトン(Tr
iton)」および「ノニデット(Nonidet)」で市販され
ている製品である。アルカリ性pH条件は、好ましくは、
約pH7.5またはpH7.5より若干高いpH、例えば、pH7.5〜
8.5である。
本発明の方法に従ってズィー.モビリス細胞の抽出を
行なうことによって得られる好都合は、エル.メセンテ
ロイデス細胞と比較した場合、ズィー.モビリス細胞に
固有のものであることがわかった。すなわち、前記方法
は、エル.メセンテロイデス細胞の抽出には実質的に役
立たないのである。さらに、ズィー.モビリス細胞は、
エル.メセンテロイデス細胞の場合より単純な栄養素混
合物で増殖し得る。培地1当りに得られるエル.メセ
ンテロイデス細胞の量は比較的低量である。エル.メセ
ンテロイデス細胞の溶解を行なうには一層の困難さがあ
る。そして、細胞1g当りについて見た場合、前記した任
意の酵素の量は、エル.メセンテロイデス細胞からより
ズィー.モビリス細胞から抽出し得る方が幾分多い。
アフィニティークロマトグラフィーによる本発明の単
離および精製方法において、各場合の吸着剤は、支持マ
トリックスとしてのアガロースのポリマーまたはコポリ
マーに結合した、いわゆるタンパク−結合トリアジン染
料から成っていることができる。
アフィニティークロマトグラフィーは、通常カラムの
形の固体媒体への選択的吸着および/または前記固体媒
体からの溶出によるタンパクの分離を含んでいることが
知られている。前記固体媒体は、通常、不活性支持マト
リックスであり、このマトリックスには、同一試料中に
存在する他のタンパクに優先して必要とする1種もしく
はそれ以上のタンパクと所定の条件下に結合する能力を
有するリガンドが結合している。しかしながら、ある場
合には、マトリックスそれ自体が、このような選択的結
合能力を有していてもよい。リガンドは、分離すべきタ
ンパク、例えば、抗原および抗体と生物学的に相補的な
ものであってもよいし、または、任意の生物学的に関係
しない分子であって、その活性基の性質および立体化学
的関係によってタンパクとの結合力を有する分子であっ
てもよい。
前記のタンパク結合リガンドと共同して通常用いられ
る支持マトリックスは、例えば、アガロース、デキスト
ランおよびアミド、とりわけ、アクリルアミドのポリマ
ーおよびコポリマー、またはガラスビーズまたはナイロ
ンマトリックスを含んでいる。セルロースおよび置換セ
ルロースは、染料を使用する場合には、通常不適当であ
ることが見い出されている。その理由は、前記セルロー
スは多量の染料と結合するが、その染料はタンパクへの
接近容易性に乏しく、その結果タンパク結合が不十分に
なるからである。
米国特許第4,016,149号明細書およびベアード(Bair
d)等、FEBS Letter,Vol.70(1976年)61頁には、リガ
ンドがモノ−クロロ−トリアジニル染料であり、かつそ
のリガンドがクロリド基における置換によってデキスト
ランまたはアガロースマトリックスに結合している、固
体媒体が記載されている。アルカリ性に緩衝化された媒
体中での結合は低いタンパク結合力という結果となる
が、アガロースマトリックスの臭化シアンによる活性化
によって染料結合を増大させることが可能である。しか
しながら、臭化シアン活性化は、とりわけ工業的および
生物学的使用には、真に不都合である。
英国特許第2015552号明細書は、最低8のpHにおいて
アルカリ金属水酸化物の存在下に、クロロトリアジニル
基または関連した基を含有するタンパク結合リガンド物
質を、遊離のヒドロキシ基またはアミノ基を含有する非
セルロース系マトリックスの水性懸濁液と反応させ、引
き続いて得られた固体媒体を洗浄して未反応の染料を除
去することを含む方法によって、臭化シアンを用いない
で有用な調節されたレベルの染料結合を達成する方法を
記載している。
英国特許第2015552号明細書に記載のタンパク結合リ
ガンドは、モノまたはジクロロトリアジニル基または関
連した基を含有する物質、とりわけ、いわゆるトリアジ
ン染料、例えば、商標「シバクロン(Cibacron)」およ
び「プロシオン(Procion)」で市販されている染料を
含んでいる。これらの染料は、通常、下記の構造式: 〔上式中、 R1は、アントラキノンから由来のスルホン化基、置換
アントラキノン、芳香族アゾ基またはフタロシアニン化
合物であり、 R2は、(a)有機基、通常はスルホン化芳香族基、と
りわけスルホン化フェニル基、または(b)塩素原子の
いずれかである〕 を有する、スルホン化アントラキノン、フタロシアニン
またはポリ芳香族アゾ化合物のトリアジニル誘導体であ
る。
本発明者らは、アガロースマトリックス、例えば、ア
ガロースビーズに結合した、プロシオンイエローH−
A、プロシオンタークワーズ(Turquoise)MX−G、プ
ロシオンレッドMX−5B、およびプロシオンブルーMX−R
から選ばれるトリアジン染料からなる吸着剤が、酵素抽
出物(本明細書中では、以下、便利のために簡単にズィ
ー.モビリス抽出物と称する)からの十分な収率のグル
コース−6−燐酸デビドロゲナーゼを与えることを見い
出したが、セファロースCL−4Bのマトリックスに結合し
た、トリアジン染料、プロシオンスカーレット(Scarle
t)MX−Gからなる吸着剤が、ズィー.モビリス抽出物
から最大の収率のグルコース−6−燐酸デヒドロゲナー
ゼを与え、さらに酵素グルコキナーゼを吸着することを
本発明者らは見い出した。本発明者らは、さらに、トリ
アジン染料イエローMX−3R、および好ましくはイエロー
MX−4Rが選択的にピルビン酸キナーゼと結合すること、
およびトリアジン染料イエローMX−GRがフルクトキナー
ゼとの結合にとりわけ適していることを見い出した。
好ましくは、ズィー.モビリス抽出物を、5.6〜6.0の
pHで約5〜20mg/mlのタンパクを含有する緩衝液の条件
で、選ばれた酵素に対して選ばれた染料をマトリックス
支持体に結合させたカラムに適用するか、または選ばれ
た酵素に対して選ばれた染料をマトリックス支持体に結
合させた一連のカラムに適用する。好ましくは、カラム
に適用する抽出緩衝液は1〜10mMのMgCl2を含んでい
る。
発明の実際的態様 酵素、とりわけグルコース−6−燐酸デヒドロゲナー
ゼの単離および精製のための原料を与えるズィー.モビ
リス細胞ペーストの抽出方法の詳細は、本発明のその見
地に従って、以下に説明する。前記の抽出に対する最適
の条件は、下記の第1表の例1〜32の比較から明らかで
ある。この例1〜32の中で、例1〜20は、示した条件下
での「強い」ズィー.モビリス細胞の抽出によって得ら
れた一群の結果を表わすものであり、一方、例21〜32
は、示した条件下での「弱い」ズィー.モビリス細胞の
抽出によって得られた一群の結果を示すものである。
例1〜32のおのおのにおける抽出方法は下記の通りで
ある:10g湿重のズィー.モビリス細胞を、30mMの燐酸カ
リウム、pH7.0からなる抽出緩衝液40ml中に懸濁させ
た。これを、3部に分け、その第1部をpH7に維持し、
第2部をpH7.8に調整し、そして第3部をpH8.5に調整し
た。種々の成分の添加は、下記の第1表に示す如くであ
った。各例において、有機溶剤の量は1%V/Vであり、
界面活性剤の量は0.1%V/Vであり、リソチームの量は細
胞1g当り0.4mgであった。これらの混合物を、30℃で3
時間インキュベートし、次いで20分間10,000gで、また
は60分間4,000gで遠心分離して細胞片を取り除き、上澄
液のタンパク量および酵素活性を測定した。
これらの例から、水混和性溶剤(ブタノール)+ノニ
オン界面活性剤(ノニデット)+リソチームの組合せの
みによって「強い」ズィー.モビリス細胞の十分な抽出
が達成され、また、より容易に抽出可能な「弱い」ズィ
ー.モビリス細胞を用いた場合に匹敵し得る結果が得ら
れ、このことによって「弱い」および「強い」細胞の双
方を等しく十分に抽出する信頼性のある方法が与えられ
ることがわかる。
従って、抽出媒体がn−ブタノール(1%v/v)、ノ
ニオン界面活性剤(0.1%v/v)、およびリソチーム(細
胞1g当り0.4mg)を含み、pHが7.0〜8.5の範囲にある、
例6,12,18,24,28および32は、グルコース−6−燐酸デ
ヒドロゲナーゼに対して最適の条件であることがわか
る。前記した他の酵素もこれらの条件によって抽出され
る。
ズィー.モビリス細胞ペーストの抽出物中のグルコー
ス−6−燐酸デヒドロゲナーゼおよびグルコキナーゼの
単離および精製の方法の詳細は、本発明のその見地に従
って、以下に説明する。最適の単離および精製を与える
ことが見い出された吸着剤系の染料および支持マトリッ
クスは第II表から明らかである。
本発明の単離および精製の方法を開発するに用いたプ
ロシオン染料は市販の染料である。染料を、アトキンソ
ン(Atkinson)等〔(1981年)Biochem.Soc.Trans,29
0〜293頁〕の方法に従ってセファロースC1−4Bに結合さ
せた。これらの染料の中で、特定の染料の商品名および
カラーインデックス構造番号(CICN)またはリアクティ
ヴ番号は下記の通りである: 本発明の単離および精製の方法を開発するに、セファ
ロースCL−4Bに結合した約50種類の染料の調査を行なっ
たところ、次のことが示された。すなわち、染料カラム
に適用されるべき微生物抽出物を含有する緩衝溶液およ
び染料カラムを平衡させるに用いる緩衝液からホスフェ
ートが欠けている場合に、染料カラムに結合するタンパ
ク量が増大したこと;染料カラムに結合するタンパク量
は緩衝液のpHが6.5から6.0に低下するにつれ増加したこ
と;グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼは大部分の
染料カラムに強く結合していたこと、および多くの例で
は染料カラムからグルコース−6−燐酸デヒドロゲナー
ゼを溶出するにM塩が必要であったことが示された。ピ
ルビン酸キナーゼおよびフルクトキナーゼは、調査した
カラムの半分以下に結合した。
グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼおよびグルコ
キナーゼは、一般にタンパクに対して高い親和性を有さ
ない染料にさえ十分に結合する。これらの染料は、ブル
ーHE−G,ブルーMX−R,ブルーMX−7RX,ブルー2−RA,レ
ッドMX−2B,レッドMX−5B,ルバイン(Rubine)H−BN,
スカーレットMX−G,タークワーズH−A,タークワーズMX
−G,イエローH−A,イエローMX−6BおよびイエローMX−
8Gを含んでいる。グルコース−6−燐酸デヒドロゲナー
ゼはNADPを用いてイエローH−A染料カラムから十分に
溶出させ得ることが既に見い出されていたが、イエロー
H−A染料カラムのタンパク結合力は高いものでなく、
カラム1cm3当り約15mg以上のタンパクの適用はカラム
の過負荷を生じさせ、それ以上のグルコース−6−燐酸
デヒドロゲナーゼの結合は達成され得ない。
このようにして、タンパク結合の一般的な低い親和性
と、染料カラムがカラムに負荷されたグルコース−6−
燐酸デヒドロゲナーゼの全てと結合する要件とを釣り合
わせることが必要であることを、本発明者らは見い出し
た。2cm3のカラムに対して42mgの抽出タンパクを適用
する高タンパク量負荷条件下での、下記の第II表の7種
の染料の試験は、2種の染料、すなわち、ブルーHE−G
およびスカーレットMX−Gのみがこの条件下に90%以上
のグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼを保持したこ
とおよびこれら2種の染料のうちのスカーレットMX−G
が溶出による最適な回収を与えたことを示している。次
いで、グルコキナーゼが6.5のpHにおいてこれらの染料
によっては全く保持されなかったことが決定された。
従って、酵素グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ
の単離および精製の一層の研究は、染料スカーレットMX
−Gを用いることに限定された。スカーレットMX−G吸
着剤の2cm3のカラムを、第III表に示す如き種々の緩衝
液で平衡化した。240単位のグルコース−6−燐酸デヒ
ドロゲナーゼを含有する80mgの抽出物をこれらのカラム
のおのおのに適用した。これは、前の例と比較するとか
なり高い負荷である。次いで、カラムを、おのおの、pH
6.5の50mM燐酸カリウムを用いて洗浄し、引き続いてヌ
クレオチド基質(1mM NAD+または0.1mM NADP+)を用い
て溶出を行なった。
これらの研究により、以下のことが示された。すなわ
ち、 (i)平衡緩衝液中の塩化マグネシウムの存在が染料カ
ラムへの酵素の吸着を増加させたこと、 (ii)0.1mMのNADP+は、染料カラムからグルコース−6
−燐酸デヒドロゲナーゼを溶出するときに、少なくとも
1nM NAD+と同程度に有効であったこと、 (iii)pH6.0においては、全てのグルコース−6−燐酸
デヒドロゲナーゼが保持されていたこと が示された。
次いで、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ、グ
ルコキナーゼ、ピルビン酸キナーゼおよびフルクトキナ
ーゼを本発明に従って製造するための大規模な一体化し
た抽出/単離/精製方法を下記の如く開発した。これ
は、添附の図面と共に理解される。添附の図面中、第1
図は、スカーレットMX−Gカラムからのグルコキナーゼ
およびグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼの溶出を
図示して説明するものであり、緩衝液は矢印で示すよう
に変えた。第2図は、セファクリル(Sephacryl)S−2
00カラムによるグルコキナーゼ画分の精製を図示して説
明するものである。第3図は、セファクリルS−200カ
ラムによるグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ画分
の精製を図示して説明するものである。第4図は、NaCl
のグラジエントを用いたDEAE−セルロースカラムによる
フルクキナーゼ画分の精製を図示して説明するものであ
る。
抽出 700gのズィー.モビリス(菌株ZM4)(ATCC31821)
(ブタペスト条約に基く国際受託)細胞を、pH7.0で、3
0mM燐酸カリウム、1%v/vn−ブタノール、0.1%v/vノ
ニデットP40および0.4mgのリソチーム(細胞1gに対し
て)を含有する水性媒体中に懸濁させて、1ml当り83単
位のグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼを含むもの
2800mlを得た。
第1の単離段階 前記の如く得た抽出物を、pH6.0に調整し、およそ32c
m2×24cm(750cm3)の容積のスカーレットMX−G/セファ
ロースCL−4Bのカラムに適用し、そしてpH6.0の緩衝液
(30mMのNaClおよび2mMのMgCl2を含有するpH6.0の10mM
KOH−モルホリノエタンスルホネート)2000mlを用いて
洗浄した。
緩衝液洗浄を、2mM MgCl2を含有する30mM燐酸カリウ
ム、pH7.0に変え、280nmの吸収によって測定した場合に
カラムからほとんどまたは全くタンパクが出なくなるま
で洗浄を続けた。緩衝液の変化によって溶出したタンパ
クをグルコキナーゼ活性について分析したところ、この
活性はタンパクのピークの後の部分に出てきた(第1
図)。
グルコキナーゼ活性を有する画分を集め、以下に述べ
るように次の精製のために濃縮した。次いで、0.2mM NA
DP+を含有するpH7.0の燐酸カリウム緩衝液750mlをこの
カラムに適用し、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナー
ゼを含むピークを集めた(第1図)。
グルコキナーゼを、10〜15mgタンパク/mlまたは限外
過によって濃縮した。次の二者択一の方法のうちの一
方によってさらにグルコキナーゼを精製した。すなわ
ち、 (i)試料をセファクリルS−200(25cm2×80cm)のカ
ラムに適用し、不純物からの分離をゲル過によって達
成した。その際、グルコキナーゼ活性は第2のピークと
関連している(第2図)、または、 (ii)濃縮溶液各100mlに22gの粉末の硫酸アンモニウム
を溶かし、20〜30分後に、沈殿したタンパク(グルコキ
ナーゼ)を、30分間15,000gの遠心分離によって集め
た。このゼラチン状沈殿物を、最小量の水を用いて遠心
管を洗うことによって、長期間4℃で貯蔵するに適当な
容器に移した。
グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼを、同様にし
て、限外過による濃縮の後、次の二者択一の方法のう
ちの一方によりさらに精製した。すなわち、 (i)試料を前記のセファクリルS−200カラムに適用
し、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼを汚染者か
ら分離した(第3図)、または、 (ii)各100mlに30gの粉末の硫酸アンモニウムを溶か
し、前記の如く、酵素を集めそして貯蔵した。
グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼおよびグルコ
キナーゼの単離の要約を下記の第IV表に示す。
ズィー.モビリスから単離したグルコース−6−燐酸
デヒドロゲナーゼは、生理学的にNAD−共同のデヒドロ
ゲナーゼであるが、NADPと共同の場合も活性を示す。こ
の酵素の性質は、エル.メセンテロイデスから単離した
グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼの性質によく似
ている〔オリーヴ,シー.(Olive,C.)およびレヴィ
エッチ.アール.(Levy H.R.)(1967年)Biochemistr
y,730〜736頁〕。
これまで得られたズィー.モビリスから本発明の方法
によって単離されたグルコース−6−燐酸デヒドロゲナ
ーゼの最大の比活性は、50mMトリス−Cl緩衝液、pH8.0;
1mMのグルコース−6−燐酸;1mMのNAD+のアッセイ条件
で、25℃において500±20単位/mgである。1mMのNADP+
用いた場合のこの酵素の活性は、NAD+を用いた場合の値
の約70%である。しかしながら、NADP+についてのKm値
0.04mMは、NAD+についてのKm値0.21mMより5倍低い。グ
ルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼについてのKm値は
0.17mMである。
このようにして得られたグルコース−6−燐酸デヒド
ロゲナーゼは、280nmにおいて高い吸光係数を有してい
る(1mg/ml溶液について1.75)。DTNBで処理しても任意
のスルフヒドリルは反応しない。しかしながら、ドデシ
ル硫酸ナトリウムで変性した後には、サブユニット当り
2個のスルフヒドリルが露出して急速に反応する。分子
量52,000のサブユニットおよびそのS−200での溶出位
置により、もとの酵素がpH7の30mMリン酸塩緩衝液中で
四量体であるかもしれないということが示唆された。こ
の酵素は、硫酸アンモニウム中での溶解性が低く、硫酸
アンモニウムの約30%飽和においてゼラチン状懸濁物か
ら晶出し、この状態で極めて安定であるものと思われ
る。
前記のように得られたグルコキナーゼは、電気泳動法
による判定でほぼ均質である。この酵素は、二量体であ
り、分子量は2×32000である。この比活性は、50mM K
−モルホリノプロパンスルホネート、30mM NaCl、2mM M
gCl2、pH6.8;5mMグルコース、1mM ATP、1mM NAD+および
2単位ml-1グリコール−6−Pデヒドロゲナーゼのアッ
セイ条件で、25℃において220±10単位/mgである。この
Km値は、約グルコース:0.2mM、ATP:0.8mMである。この
酵素は、10mM濃度の下記の物質:フルクトース,ショ
糖,ガラクトース,マンノース,2−デオキシグルコー
ス,キシロース,リボース,ソルビトール,グリセロー
ル、またはグルコネートを用いた場合に不活性であり、
そして、これらの物質によっては阻害されない。予備的
研究によって、この酵素は著しく多数のスルフヒドリル
基を有していることが示されているが、この酵素は酸化
的不活性化に対して高い感受性を有さず、さらに部分的
に不活性化された調製物はチオール化合物によって再活
性化されなかった。
第2および第3の単離段階 グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼおよびグルコ
キナーゼを単離するためにスカーレットMX−Gカラムを
通過させた後には、もとの抽出物中のピルビン酸キナー
ゼおよびフルクトキナーゼがなお存在している。これら
の酵素を連続的に取り出すために、さらに2つのカラム
を用いる。このようにして、本発明者らは、染料イエロ
ーMX−4RおよびイエローMX−3Rがピルビン酸キナーゼに
対して高い特異性を有していることを見い出した。フル
クトキナーゼは、これらの染料を含むカラムを通過する
が、さらに強くタンパクと結合する他の数種の染料に保
持され得る。これらのうち最も十分なものは、イエロー
MX−GRであり、これはすべてのフルクトキナーゼを吸着
し、さらに残りのタンパクの実質的部分を通過させる。
グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼおよびグルコ
キナーゼの単離のために用いたと同じ横断面積を有する
アフィニティークロマトグラフィー吸着剤カラムであっ
て、ピルビン酸キナーゼおよびフルクトキナーゼのおの
おのを単離するに適したカラムを直列に配置する。抽出
物を、適用し、十分な出発(pH6.0)緩衝液で洗浄した
後、カラムを分離し別別に処理を行なう。
イエローMX−4Rカラムに吸着したピルビン酸キナーゼ
を以下の方法で溶出させる。カラムを、3カラム容積の
pH7.0緩衝液(30mM燐酸カリウム+2mM MgCl2、pH7.0)
を用いて洗浄し、次いで0.2mMのホスホエノールピルビ
ン酸を含有する同一の緩衝液1カラム容積を通し、次い
でさらに、ホスホエノールピルビン酸を含有しない1カ
ラム容積の緩衝液を通す。ピルビン酸キナーゼはその基
質によって特異的に溶出する。活性画分は限外過によ
って濃縮してもよいし、そして必要な冷凍もしくは凍結
乾燥を行なって、またはリン酸アンモニウム懸濁液とし
て貯蔵してもよい。カラムから得られた調製物は、電気
泳動的に均質になるように、さらに精製を必要とする。
1mMのADP、1mMのホスホエノールピルビン酸、0.15mMのN
ADHおよび2単位ml-1の乳酸デヒドロゲナーゼを含有す
る、pH6.8の50mMのK−モルホリノプロパンスルホネー
ト、0.15MのKCl、2mMのMgCl2中に測定した比活性は、25
℃において300単位mg-1である。酵素活性に対して、ア
ロステリックエフェクターは不要である。この酵素は、
結晶質硫酸アンモニウム懸濁液として長期間安定であ
る。
第3のカラム、イエローMX−GRに結合したフルクトキ
ナーゼを以下の方法によって溶出する。このカラムを、
2カラム容積のpH6.5の30mMのK−モルホリノエタンス
ルホネート、30mMのNaCl、2mMのMgCl2を用いて洗浄す
る。次いで、2mMのATPを含有する同一緩衝液1.5カラム
容積を用いてこの酵素を溶出する。活性画分を集める
が、この段階ではこの酵素は極めて純粋というわけでは
ない。溶出した酵素のpHは、1Mトリスを用いて8.0に調
整する。これを、pH8.0の20mMトリス−クロリドで予備
的に平衡化したDEAE−セルロースカラムに流す。この酵
素は、吸着し、そしてカラム容積の約4倍量の、トリス
緩衝液中0.25MのNaClによる塩濃度勾配によって溶出さ
れ得る。フルクトキナーゼは、約0.1MのNaClにおいて溶
出し、大部分の不純物が分離される(第4図)。
この活性酵素は、限外過によって濃縮し、冷凍また
は冷凍乾燥して貯蔵することができる。1mMのATP、5mM
のフルクトース、1mMのNAD+、2単位ml-1のグルコース
−6−燐酸デヒドロゲナーゼおよび2単位ml-1ホスホグ
ルコースイソメラーゼを含有する。pH6.8の50mMのK−
モルホリノプロパンスルホネート緩衝液、30mMのNaCl、
2mMのMgCl2のアッセイ条件で、最大の比活性は250〜300
単位mg-1の範囲にあった。この酵素は、分子量2×2800
0の二量体であり、貯蔵に関してかなり安定である。Km
値は、フルクトース0.5mM、ATP0.4mMである。この酵素
は、10mM濃度の下記の物質:マンノース、ショ糖、ガラ
クトース、キシロース、リボース、2−デオキシグリコ
ール、グルコネート、ソルビトールまたはグリセロール
を用いた場合には不活性であり、そしてこれらの物質に
よっては阻害されない。しかしながら、グルコースは、
フルクトースに対して強い拮抗的阻害剤であり、そのKi
は0.2mMである。従って、フルクトースの濃度が低い場
合には、この酵素は、5〜10mMまたはそれ以上の濃度の
グリコールの存在下に本質的に不活性である。
ピルビン酸キナーゼおよびフルクトキナーゼの単離の
要約を下記の第V表に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01) C12R 1:01) (56)参考文献 Archiv fur Mikobi ologie,63[3](1968)P. 197−213 Journal of Chroma tography,161(1978)P.127 −135 Journal of Chroma tography,236[1](1982) P.69−80

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ又
    はグルコキナーゼ酵素の製造方法であって、 ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細菌の
    細胞からの高タンパク濃度抽出物を、緩衝液中で、支持
    体マトリクスに結合しており且つグルコース−6−燐酸
    デヒドロゲナーゼ又はグルコキナーゼに関して選択的な
    タンパク結合性染料であって、次の構造式: (式中、R1はアントラキノンに由来するスルホン化基、
    置換アントラキノン、ポリ芳香族アゾ基、又はフタロシ
    アニン化合物であり、そしてR2は有機基、又は塩素原子
    である) により表わされるタンパク結合性トリアジニル染料を有
    するアフィニティークロマトグラフィー吸着剤、と接触
    せしめることにより、前記酵素抽出物からグルコース−
    6−燐酸デヒドロゲナーゼ又はグルコキナーゼを単離す
    る酵素単離・精製処理にかけ、これによってグルコース
    −6−燐酸デヒドロゲナーゼ又はグルコキナーゼを前記
    抽出物から選択的に単離し、次にグルコース−6−燐酸
    デヒドロゲナーゼ又はグルコキナーゼを実質上純粋な形
    態で前記アフィニティークロマトグラフィー吸着剤から
    回収する、ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】前記酵素抽出物を、緩衝液中で、支持体マ
    トリクスに結合しており且つグルコース−6−燐酸デヒ
    ドロゲナーゼ酵素に関して選択的なプロシオン系のタン
    パク結合性色素であるアフィニティークロマトグラフィ
    ー吸着剤と接触せしめることにより該酵素を該酵素抽出
    物から分離し、そして前記吸着剤からグルコース−6−
    燐酸デヒドロゲナーゼを実質的に純粋な形態で回収する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記緩衝化された抽出物を、グルコース−
    6−燐酸デヒドロゲナーゼ及びグルコキナーゼの選択的
    分離のためのアフィニティークロマトグラフィー吸着剤
    としての、支持体マトリクスに結合した識別カラーイン
    デックス構成番号No.17908を有し商品名プロシオンスタ
    ーレットMX−Gに一致するタンパク結合性トリアジニル
    染料と接触せしめ、次にグルコース−6−燐酸デヒドロ
    ゲナーゼ又はグルコキナーゼを実質的に純粋な形態で単
    離、回収及び精製する、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記抽出物がpH5.6〜6.0を有しそして5〜
    20mg/mlのタンパクを含有する燐酸緩衝液の形であり、
    これを前記アフィニティークロマトグラフィー吸着剤の
    カラムに通し、次に追加量の前記緩衝液により過剰のタ
    ンパクを洗浄除去し、そして該カラムを、約30mMリン酸
    カリウム及び約2mMMgCl2を含有するpH7.0の緩衝液によ
    り洗浄してグルコキナーゼ画分を溶出し、次に約0.2mM
    NADP+を含有するpH7.0のリン酸カリウム緩衝液により洗
    浄してグリコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ画分を溶
    出して回収及び精製を行う、請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の方法。
  5. 【請求項5】リン酸緩衝液中の前記抽出液が1〜10mM M
    gCl2を含有する、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼが
    前記アフィニティークロマトグラフィー吸着剤から、約
    pH7.0の燐酸緩衝液中0.05〜0.5mM濃度のニコチンアミド
    アデニンジヌクレオチドホスフェートにより溶出され
    る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】溶出したグルコース−6−燐酸デヒドロゲ
    ナーゼ又は溶出したグルコキナーゼをセフアクリル(Se
    phacryl)S−200のカラム上でのゲル濾過により適切に
    精製する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ又
    はグルコキナーゼを含有する高タンパク濃度抽出物が、
    ザイモモナス・モビリス細菌細胞を、中性〜アルカリ性
    pH条件下で、部分的に水と混和性の又は実質的に水と非
    混和性の有機溶剤、非イオン性界面活性剤及びリゾチー
    ム(lysozyme)を含んで成る抽出媒体による抽出処理に
    かけることにより得る、請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】前記部分的に水と混和性の有機溶剤又は実
    質的に水と非混和性の有機溶剤が約1〜2V/V%の量で存
    在し、前記非イオン性界面活性剤が約0.05〜0.2V/V%の
    量で存在し、前記リゾチームがザイモモナス・モビリス
    細胞に対して約0.2〜2mg/gの量で存在し、そして前記抽
    出媒体のpHが7.0〜9.0である、請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記部分的に水と混和性の有機溶剤又は
    実質的に水と非混和性の有機溶剤が約1V/V%の量で存在
    し、前記非イオン性界面活性剤が約0.1V/V%の量で存在
    し、前記リゾチームがザイモモナス・モビリス細胞に対
    して約0.2〜2mg/gの量で存在し、そして前記抽出媒体の
    pHが7.5〜8.5である、請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記部分的に水に混和性の有機溶剤又は
    実質的に水に非混和性の有機溶剤が芳香族炭化水素、低
    級アルキルエステル及び低級アルカノールから選択さ
    れ、そして前記非イオン性界面活性剤がフェニルポリエ
    チレングリコールである、請求項7〜9のいずれか1項
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記部分的に水に混和性の有機溶剤又は
    実質的に水に非混和性の有機溶剤がトルエン、酢酸エチ
    ル及びブタン−1−オールから選択され、そして前記非
    イオン性界面活性剤が、商標名トリトン(Triton)及び
    ノニデット(Nonidet)により特定されるものから選択
    される、請求項10に記載の方法。
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