JP2524530B2 - 金属薄膜の堆積方法 - Google Patents

金属薄膜の堆積方法

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JP2524530B2 JP1216129A JP21612989A JP2524530B2 JP 2524530 B2 JP2524530 B2 JP 2524530B2 JP 1216129 A JP1216129 A JP 1216129A JP 21612989 A JP21612989 A JP 21612989A JP 2524530 B2 JP2524530 B2 JP 2524530B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金属薄膜の堆積方法に係り、特に、Chemic
al Vapor Deposition(以下CVDと略記する)法により基
板表面と良好な界面特性を有する金属薄膜を堆積させる
金属薄膜の堆積方法に関する。
(従来の技術) 従来、化学蒸着法(CVD法)による金属薄膜の堆積
は、半導体装置の製造においてコンタクト部の電極形成
などの目的で使用されている。その反応ガス雰囲気に
は、原料ガスである金属ハロゲン化物ガスと、それを還
元する作用を持つガスとを含んだものが用いられること
が多い。例えば、6弗化タングステン(以下WF6と記
す)および水素(以下H2と記す)を原料ガスおよび還元
ガスとして用いてタングステン(以下Wと記す)を堆積
する反応が代表的である。
またWを堆積する方法としては、最近、原料ガスであ
るWF6と還元ガスであるシラン(以下SiH4と記す)とを
含むガス雰囲気中に微量のシリコン(以下Siと記す)を
含むW膜をコンタクト部などに選択的に堆積する方法が
提案され、WF6とH2とを含むガス雰囲気を用いる場合に
比較して基板の侵食を抑えた状態で堆積を行うことがで
きることが示されている(例えば、H.Kotani et al.198
7 International Electron Device Meeting,Technical
digest p.217)。
金属薄膜堆積を行うための基板表面の前処理には、基
板の少なくとも一部にSi表面が露出している場合、弗化
水素酸溶液でSi表面の酸化膜をエッチングする方法が採
られることが多い。この処理によってSi基板表面に水素
原子が吸着した状態が得られ、前処理工程終了後からCV
D装着に装着されるまでの期間に基板表面が空気にさら
されることによる酸化はほとんど進行しない(例えば、
L.A.Zazzera et al., Journal of the Electrochemical
Society,Vol.136(1989)P.484)。
堆積には、金属製の反応槽を持つコールドウォール形
の減圧CVD装置を使用する例が多い(例えば、大場 他,
ECS日本支部第1回シンポジウム「超LSI用CVD技術」、
予稿集(昭和63年3月)p.60)。
この形成装置は、挿入時の基板表面の酸化を低減する
ために、CVD反応による金属薄膜の堆積を行う反応槽の
ほかにロードロック槽を備えていることが多い。しかし
反応槽の排気はメカニカルブースタポンプとロータリポ
ンプで行うことが通例であり、この場合の到着真空度は
高々0.1Paであった。
またターボ分子ポンプなどの高真空排気が可能なポン
プを利用して10-5Pa程度の到達真空度を得た装置も製作
されているが、この場合にも堆積開始時までの基板表面
温度および基板表面がさらされる雰囲気中の残留ガス分
圧を管理して堆積を行った例はない。
(発明が解決しようとする課題) 従来のCVD法による金属薄膜堆積を半導体装置の製造
におけるコンタクト部の電極形成に使用した場合、金属
薄膜が堆積する基板と金属薄膜との界面の状態が堆積開
始時の基板表面状態によって変化し、コンタクト抵抗増
加やコンタクトリーク電流増加などの不良を生じること
がある。
特に、従来の金属薄膜の堆積方法を用いてWF6とSiH4
とを含むガス雰囲気を用いた堆積を行った場合、ドナー
不純物が1020cm-3以上添加されたSi基板に対しては直接
アルミニウム(以下Alと記す)もしくはAl合金薄膜を堆
積した場合に比較して低いコンタクト抵抗が得られた場
合にも、アクセプタ不純物が1019cm-3以上添加されたSi
基板に対しては、直接AlもしくはAl合金薄膜を堆積した
場合に比較して高いコンタクト抵抗しか得られないとい
う問題点があった(例えば、大場 他,ECS日本支部第1
回シンポジウム「超LSI用CVD技術」、予稿集(昭和63年
3月)p.60)。
さらに、アクセプタ不順が添加されたSi基板表面上に
従来の方法で堆積する場合には、 (1)堆積開始まで遅れ時間が存在する、 (2)密着性に乏しい膜が堆積される、 などの問題も発生した(A.Nisiyama et al.1988 VLSI T
echnology Symposium,abstract No.10−2)。
これはアクセプタ不純物が1019cm-3以上添加されたSi
表面においては、金属薄膜堆積を行うための前処理とし
て一般的に行われる弗化水素酸溶液による表面酸化膜除
去工程の際に形成される水素吸着層が不安定であり、20
0℃以上の温度において容易に水素の脱離が生じること
に起因する。
第6図(a)〜(d)、及び第7図(a)〜(d)は
従来の金属薄膜の堆積方法の工程を示す断面図であっ
て、31はSi基板、32は絶縁膜、33は開孔部、34は水素吸
着層、35は表面酸化膜、36は金属薄膜であるW薄膜、37
はp+拡散層、38はn+拡散層である。
第6図(a),第7図(a)において、半導体装置と
して必要な構成が形成されたSi基板31の表面を覆った絶
縁膜32の必要な部分(第7図ではp+,n+拡散層37,38部
分)に開孔部33を形成する。
次に開孔部33の領域のSi基板31から露出したSi表面に
存在する表面酸化膜35を除去するための前処理工程を、
例えば弗化水素酸溶液でエッチングし、続いて純水中で
水洗いすることによって行う。このことにより開孔部33
の領域のSi表面には水素吸着層34が形成される。
第6図(b),第7図(b)において、前記Si基板31
をロードロック槽を通してCVD装置の反応槽内に装着す
る。続いて所定の温度、例えば250℃にSi基板1の温度
を設定する。この時、反応槽内の水蒸気分圧が10-2Pa以
上であると、後述するW薄膜の堆積が開始される以前に
開孔部33に露出したSi基板1の表面に部分的に表面酸化
膜35が形成される。
その上、上記温度では、第7図(b)のp+拡散層37の
領域に形成された開孔部33の表面では、1個の表面Si原
子の持つ2本の未結合手がそれぞれ1個の水素原子で終
端された状態は消失し、表面Si原子の持つ2本の未結合
手が同一の水素原子で終端された状態のみが残留するの
に対して、n+拡散層38の領域の形成された開孔部33の表
面では、1個の表面Si原子の持つ2本の未結合手がそれ
ぞれ1個の水素原子で終端された状態と2本の未結合手
が同一の水素原子で終端された状態とが混在する。
第6図(c),第7図(c)において、温度安定後に
WF6およびSiH4を含む雰囲気ガスを供給し、堆積工程を
開始する。この時、表面酸化膜35が存在する部分におい
て、水素吸着層34中の水素原子もしくはSi基板31の中の
Si原子によるWF6ガスの還元反応が抑制されて、堆積開
始が遅れたり、逆に表面酸化膜35中のピンホールや表面
酸化膜35とSi基板31との界面を通じてWF6ガスがSi基板3
1中に侵入して、Si基板31侵食が生じたりする。
また第7図(c)では水素吸着層34の状態にも不均一
性が存在するため、第6図(c)の従来例の場合以上に
不均一なW薄膜36とSi基板31との界面が形成される。
第6図(d),第7図(d)において、上述のように
して発生したW薄膜36とSi基板31との界面の不均一性
は、さらに堆積を続け、W薄膜36が所定の膜厚に達した
時点においても緩和されることはなく、多くの場合に、
さらに強調される。
このためW薄膜36などの金属薄膜とSi基板31との界面
によって決まるコンタクト抵抗やコンタクトリークなど
の電気特性も劣化する。
これに対して、例えば、まずWF6とH2とを含み、SiH4
を含まないガス雰囲気中でW薄膜を堆積し、その後にSi
H4を加えた雰囲気中で堆積を続ける二段階堆積法が提案
されていた(A.Nisiyama et al.1988 VLSI Technology
Symposium,abstract No.10−2)。
しかし、上記の方法では工程が複雑になる上にSiH4
含まない雰囲気での堆積の条件を厳密に制御しないと、
電気特性が悪化するという問題点がある。
また特にコンタクト抵抗が高くなるという問題に対し
ては不純物添加量を増やす方法が提案されていた(大場
他,ECS日本支部第1回シンポジウム「超LSI用CVD技
術」、予稿集(昭和63年3月)p.60)。
しかし、上記の方法では、例えば、密着性の問題は解
決されず、また添加量を増やし過ぎれば電気特性の悪化
の問題も生じる。
なお、アクセプタ不純物添加濃度が1019cm-3以下であ
るSi表面においても、上記の表面酸化の問題はアクセプ
タ不純物が1019cm-3以上添加されたSi表面の場合と基本
的には同様に発生する。しかし、この場合にはアクセプ
タ不純物が1019cm-3以上添加されたSi表面の場合に比較
して、その影響は顕著ではなく、従来は問題視されるこ
とが少なかった。それは、 (1)水素吸着層が比較的安定であり、250℃程度の温
度までほとんど水素の脱離を生じないため、アクセプタ
不純物が1019cm-3以上添加されたSi表面の場合に比較す
ると表面酸化が進行しにくい。
(2)基板物質が直接原料ガスを還元する反応に必要な
エネルギは、アクセプタ不純物が1019cm-3以上添付され
たSi表面の場合に比較して小さく、基板表面が部分的に
酸化されたとしても、それによって堆積反応進行に与え
られる影響が比較的小さい、 などの原因による。
本発明の目的は、良好な界面電気特性が得られ、堆積
開始までに遅れ時間が発生せず、密着性が良好な金属薄
膜の堆積方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するため、本発明は、表面の少なく
とも一部分にシリコンが露出した基板を用い、前記シリ
コン表面に水素原子が吸着した状態を形成する前処理工
程を含み、かつこの前処理工程終了時から化学蒸着法に
よる金属薄膜堆積工程開始時までの間に、前記基板表面
が200℃以上の温度で前記基板表面が接する水蒸気分圧
が10-2Pa以上の雰囲気にさらされないことを特徴とす
る。
(作 用) 上記の手段を採用したため、表面酸化が生じていない
基板上に金属薄膜の堆積が行われ、このため均一な金属
薄膜と基板との界面が得られ、良好な界面電気特性が得
られると共に、堆積開始までに遅れ時間が八接したり、
密着性に乏しい金属薄膜が堆積されたりすることがなく
なる。
(実施例) 以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図(a)〜(d)は本発明による金属薄膜の堆積
方法の第1実施例の工程を説明する断面図であって、1
はSi基板、2は絶縁膜、3は開孔部、4は表面酸化膜、
5は水素吸着層、6は金属薄膜であるW薄膜である。た
だし、本実施例ではWF6とSiH4とを含む雰囲気中でW薄
膜6の堆積を行っている。
第1図(a)において、まず半導体装置として必要な
構成(図示せず)を形成したSi基板1の表面を覆った絶
縁膜2の必要な部分に開孔部3を形成する。
前記開孔部3の領域のSi基板1表面層にはドナーもし
くはアクセプタ不純物が大量に添加されていても、され
ていなくとも良い。
前記開孔部3の領域のSi基板1に露出するSi表面に存
在する表面酸化膜4を除去するための前処理工程を、例
えば弗化水素酸溶液でエッチングし、続いて純水中で水
洗することによって行う。
第1図(b)において、前記前処理により開孔部3の
領域の前記Si表面には水素吸着層5が形成され、その
後、CVD装置に装着されるまでに大気中にさらされるこ
とによる表面酸化膜の形成が抑制される。
なお、表面が(100)もしくはそれに近い面を有するS
i基板1を使用した場合、水素吸着層5は、1個の表面S
i原子の持つ2本の未結合手がそれぞれ1個の水素原子
で終端された状態(図中では−H2の記号で示す)と、同
一の水素原子で終端された状態(図中には=Hの記号で
示す)の両者を含んでいる。
前記エッチングの条件は、例えば、 ・液組成(容量比) 弗化水素酸(46%)1: 弗化アンモニウム50 ・液 温 22℃ ・エッチング時間 60秒 である。
また弗化水素ガスを含む雰囲気中で表面酸化膜4をエ
ッチングした後に水洗を行っても、同様な水素吸着層5
を持つSi表面が得られる。
次に前記Si基板1をロードロック槽(後述する)を通
してCVD装置の反応槽(後述する)内に装着する。Si基
板1表面に吸着した水分を除去するために、反応槽内に
装着する前にロードロック槽内もしくは他に設けられた
加熱槽内で100℃以上の温度にSi基板1を加熱すること
も可能である。ただしSi表面の酸化を防ぐために加熱を
行う雰囲気および温度を選ぶ必要がある。すなわち、ま
ず雰囲気中の水蒸気分圧を、真空排気を行うか、もしく
は窒素等の不活性ガスで置換を行うことにより、加熱温
度が200℃以下である場合は1Pa以下、200℃以上である
場合は10-2Pa以下にしなければならない。
また加熱後にSi基板1を大気中に取り出してから反応
槽に装着する場合、Si基板1表面にアクセプタ不純物が
1019cm-3以上添加されたSiが露出している場合には200
℃以下に、前記Siが露出していない場合には250℃以下
にしなければならない。それ以上の温度に加熱すると、
水素吸着層5の水素が離脱し、大気中に取り出したとき
にSi表面の酸化が急速に進行するからである。
続いて反応槽内の水蒸気分圧を10-2Pa以下になってか
ら、Si基板1を所定の温度、例えば250℃に加熱する。
ただし、この時にSi基板1表面に吸着していた水分が蒸
発して水蒸気分圧が上昇するため、Si基板1の表面温度
が200℃に達した時の反応槽内の水蒸気分圧を10-2Pa以
下に保つため、例えば、10-4Pa程度の十分に低い水蒸気
圧に到達してから加熱を開始する。あるいはSi基板1の
温度の上昇速度を制御する、などの方法を採ることが望
ましい。さらに、余圧もしくは水蒸気分圧を監視し、水
蒸気分圧が10-2Pa以下に保たれるようにSi基板1温度上
昇速度を制御することも可能である。
そして温度安定化にWF6およびSiH4を含む雰囲気ガス
を反応槽へ供給し、堆積工程を開始する。SiH4とWF6
の分圧比は0.3〜1.0が適当である。また水素を反応雰囲
気に混合することも可能である。堆積工程を開始直前の
Si表面状態は、水素吸着層5の状態は前処理工程終了後
の熱履歴によって変化するものの、表面酸化膜はほとん
ど存在せず、SiO2換算で高々平均0.3分子層以下であ
る。
第1図(c)において、上述の状態により堆積工程が
施されるため、反応雰囲気供給後、遅れ時間なく、開孔
部3の表面はほぼ全域で吸着された水素もしくはSi基板
1の表面のSiによる原料ガスの還元反応が始まり、開孔
部3の表面にのみ選択的に、ほぼ均一で、かつ平坦なW
薄膜6が堆積される。そして、その結果、均一かつ平坦
なW薄膜6とSi基板1との界面が形成される。
なお、この段階ではSiH4を含まない雰囲気を供給した
方がより良好な界面が形成される場合もある。これは吸
着された水素もしくはSi基板1の表面のSiによる原料ガ
スの還元反応の進行が、反応雰囲気中のSiH4による反応
によって妨げられることがなくなるからである。
第1図(d)において、さらにW薄膜6の堆積を続
け、W薄膜6が所定の膜厚に達した時点で反応ガス雰囲
気の供給を停止する。この工程において、供給するガス
雰囲気は堆積工程開始時に同一物にすることも可能であ
るし、異なった物にすることも可能である。この場合、
非選択的な堆積を生じる雰囲気を供給することも可能で
ある。さらに、この工程で2種以上の雰囲気を取り替え
て堆積を行うこと、またSi基板1の温度を変化させるこ
とも可能である。いずれの場合においても、W薄膜6と
Si基板1との界面は均一かつ平坦に保たれ、良好な電気
特性が得られ、密着性も高くなる。
上記工程において、水蒸気分圧を測定する機構を備え
た装置を使用して、各工程における水蒸気分圧を測定
し、上記の条件を満たすように制御することが望ましい
ことは言うまでもない。しかし、残留ガス中に占める水
蒸気の比率が明確である場合には、全圧を測定し、制御
するのみでもよい。真空排気能力に余裕のある装置の場
合には、残留ガスのすべてを水蒸気が占めると仮定し
て、制御を行ってもよい。これは加熱脱ガスを行わずに
排気した真空槽内では、残留ガスの大半を水蒸気が占め
ることが多いからである。さらに再現性よく上記の条件
が満されることを確認した後には、時間設定のみによっ
て処理を行うことも可能である。ただし、この場合にも
定期的に全圧もしくは水蒸気圧の測定を行い、設定値の
妥当性を確認する必要がある。
第2図は金属薄膜の堆積に使用される装置の一実施例
を示す説明図であって、1はSi基板、11はロードロック
槽、12は準備槽、13は反応槽、14,15はバルブ、16,17は
油回転ポンプ、18はクライオポンプ、19はターボ分子ポ
ンプ、20は可変コンダクタンスバルブ、21,22は真空
計、23は4重極ガス分析計、24aはWF6のガスノズル、24
bはSiH4+H2のガスノズル、25はウエハカセット、26は
ランプ、27は反射板である。
同図において、ロードロック槽11は油回転ポンプ16
で、また準備槽12はクライオポンプ18で、反応槽13はタ
ーボ分子ポンプ19と油回転ポンプ17で排気されており、
加熱脱ガスを行わない場合にも10-5Pa以下の到着圧力が
容易に得られる。この時の残留ガス中の50%以上を水蒸
気が占める。
前記準備槽12は真空計21を備え、全圧を測定すること
ができる。反応槽13は真空計22および4重極ガス分析計
23を備え、全圧および各種ガスの分圧を測定することが
できる。
前記反応槽13の排気をターボ分子ポンプ19を用いて行
うことは必ずしも必要ではなく、クライオポンプ、油拡
散ポンプなどを使用することも可能である。また反応雰
囲気供給開始前および供給終了後はターボ分子ポンプを
用いて排気し、反応雰囲気供給中の排気にはメカニカル
ブースタポンプと油回転ポンプを使用することも可能で
ある。さらにメカニカルブースタポンプと油回転ポンプ
のみで排気した場合にも、不活性ガスによるパージを適
切に行うことによって水蒸気分圧を10-2Pa以下に保つこ
とは可能であり、本実施例による金属薄膜の堆積方法を
行うことはできる。
前記準備槽12は本実施例の金属薄膜の堆積方法を行う
ために必要ずしも必須のものではない。しかし、準備槽
12を設けたことにより、反応槽13内にSi基板1を装着し
てから短時間でSi基板1の加熱を開始することが可能に
なり、処理能力向上に効果がある。また準備槽12内で水
蒸気分圧10-2Pa以下に低下するまで待った後に反応槽13
にSi基板1を移し替えるようにすれば、反応槽13へのSi
基板1の装着が終了する以前に加熱を開始するようにし
て、さらに処理能力を向上させることも可能である。ま
た準備槽12中に加熱機構を設け、Si基板1表面に付着し
た水分を除去するための加熱を行うことも可能である。
上記第1表に、約2×1023cm-3の濃度のほう素を含む
Si基板上に本実施例の方法と、従来の方法で膜厚500nm
のW薄膜を堆積することによって形成したコンタクト、
およびAl合金薄膜を直接堆積することによって形成した
コンタクトの抵抗の平均値と標準偏差の測定値の一例を
示した。
前記コンタクトの面積は1μm2であり、W薄膜堆積前
の表面処理として5%弗酸溶液中で10秒間エッチングし
た後、純水洗浄および乾燥を行った。W薄膜の堆積は、
いずれの場合もロードロック槽を有するコールドウォー
ル形CVD装置を用いてWF6およびSiH4を含むガス雰囲気中
で行った。
ただし、本実施例による方法の実施のために使用した
装置の反応槽はターボ分子ポンプと油回転ポンプで排気
されており、Si基板温度が200℃以上になる期間の槽内
の水蒸気分圧は再現性よく10-4以下に保たれた。それに
対して従来の方法の実施のために使用した装置の反応槽
はメカニカルブースタポンプと油回転ポンプで排気され
ており、常に10-1Pa程度の分圧の水蒸気が反応槽内に存
在する。
第1表から、従来の方法でW薄膜を堆積したコンタク
トでは、Al合金薄膜を直接堆積したコンタクトに比較し
て平均値、標準偏差ともに極めて大きく、良好なコンタ
クト特性を得ることができていないのに対して、本実施
例の方法でW薄膜を堆積したコンタクトは、Al合金薄膜
を直接堆積したコンタクトに比較して平均値、標準偏差
ともに小さく、良好なコンタクト特性を得ることができ
ていることがわかる。
この結果から、本実施例による金属薄膜の堆積方法が
良好なコンタクト特性を得るためにきわめて有効である
ことが明らかである。
また、約4×1020cm-3の砒素を含むSi基板上に形成し
たコンタクトにおいても、本実施例の方法の優位性を示
す結果を得られた。
なお、本実施例では、WF6およびSiH4を含む雰囲気ガ
スを使用して第1図の開孔部3表面にのみ選択的にW薄
膜6を堆積した例を示したが、WF6以外の原料ガス、例
えば6塩化タングステンを使用した場合や、SiH4以外の
還元性ガス、例えば水素もしくはジシランを使用した場
合にも、良好な金属薄膜とSi基板との界面を得るために
有効であるし、非選択的な堆積を行う場合にも有効であ
る。またSiH4とWF6との分圧比を10以上にしてタングス
テンシリサイド膜の堆積を行う場合にも有効である。さ
らに他の原料ガスを含んだ雰囲気を使用して他の金属薄
膜を堆積する場合にも有効である。
第3図(a)〜(d)は本発明の第2実施例の工程を
示す断面図であって、第3図(a)に示すように、第1
実施例とは開孔部3のSi基板1上に1019cm-3以上の濃度
のアクセプタ不純物を含むP+拡散層28と1020cm-3以上の
濃度のドナー不純物を含むn+拡散層29の領域が形成され
ている点で異なる。
第3図(b)において、第1実施例と同様に、弗化水
素酸溶液中でのエッチングと純水中での水洗による前処
理を行い、Si基板1に露出したSi表面に水素吸着層5を
形成する。
次に前記Si基板1を第2図のロードロック槽11を通し
てCVD装置の反応槽13内に装着する。続いて反応槽13内
の水蒸気分圧が10-2Pa以下になってから、Si基板1を所
定の温度、例えば250℃に加熱し、WF6およびSiH4を含む
雰囲気ガスを供給し、堆積工程を開始する。堆積構成開
始直前のSi表面状態、すなわち水素吸着層5の状態は前
処理工程終了後の熱履歴によって変化するものの、表面
酸化膜はほとんど存在しない。このため反応雰囲気供給
後、遅れ時間なく、開孔部3の表面ほぼ全域で吸着され
た水素もしくはSi基板1の表面のSiによる原料ガスの還
元反応が始まる。
第3図(c)において、開孔部3の表面のみ選択的
に、ほぼ均一でかつ平坦なW薄膜6が堆積される。そし
て、その結果、均一かつ平坦なW薄膜6とSi基板1との
界面が形成される。
第3図(d)において、さらに堆積を続け、W薄膜6
が所定の膜厚に達した時点で反応ガス雰囲気の供給を停
止する。
なお、第2実施例において、1019cm-3以上の濃度のア
クセプタ不純物を含む領域28と、1020cm-3以上の濃度の
ドナー不純物を含む領域29とに開孔部3を形成し、Si基
板1上にW薄膜6を堆積した例を示したが、1019cm-3
上の濃度のアクセプタ不純物を含む領域28のみに開孔部
3が形成されたSi基板1上に堆積する場合にも第2実施
例の方法は有効である。さらに1019cm-3以上の濃度のア
クセプタ不純物を含む領域28と他の領域、例えば以下の
濃度の不純物しか含まない領域、多結晶Siが堆積された
領域、金属膜が堆積された領域、金属シリサイド膜が堆
積された領域の内の少なくとも一種に開口部3が形成さ
れたSi基板1上に堆積する場合にも第2実施例の方法は
有効である。
第4図(a)〜(d)は本発明の第3実施例の工程を
示す断面図である。
第4図(a)において、第1実施例と同様に、半導体
装置として必要な構造が形成されたSi基板1の表面を覆
った絶縁膜2の必要な部分に開孔部3を形成する。
次に開孔部3の領域のSi基板1に露出したSi表面に存
在する表面酸化膜(図示せず)を除去するための前処理
工程を、例えば弗化水素酸溶液でエッチングし、続いて
純水中で水洗することによって行う。このことにより開
孔部3の領域のSi表面には水素吸着層5が形成される。
前記Si表面が(100)もしくはそれに近い面を有するS
iウエハを使用した場合、上述のように形成される水素
吸着層5は、1個の表面Si原子の持つ2本の未結合手が
それぞれ1個の水素原子で終端された状態(図中には−
H2の記号で示す)と、同一の水素原子で終端された状態
(図中には=Hの記号で示す)の両者が含んでいる。
次に前記Si基板1を第2図のロードロック槽11を通し
てCVD装置の反応槽13内に装着する。続いて反応槽13内
の水蒸気分圧が10-2Pa以下になってから、Si基板1を35
0℃以上500℃以下の温度に加熱する。第2図の準備槽12
を備えたCVD装置を使用する場合には、準備槽12内に加
熱機構を設け、この加熱機構を用いて上記の温度の加熱
を行っても良い。
第4図(b)において、上記処理によって水素吸着層
5では1個の表面Si原子の持つ2本の未結合手がそれぞ
れ1個の水素原子で終端された状態は消失し、表面Si原
子の持つ2本の未結合手が同一の水素原子で終端された
状態のみが残留する。
次に水蒸気分圧を10-2Pa以下に保ちながら所定の温
度、例えば250℃にSi基板1の温度を設定し、温度安定
後にWF6およびSiH4を含む雰囲気ガスを供給し、堆積工
程を開始する。堆積工程を開始直前のSi表面は、第1実
施例と同様に表面酸化膜がほとんど存在しないのみでは
なく、水素吸着層5の状態も均一になっている。
第4図(c)において、上記の状態にあるため、第1
実施例の場合以上に堆積条件の最適化を容易に行うこと
が可能であり、より均一でかつ平坦なW薄膜6とSi基板
1との界面を形成することができる。
第4図(d)において、さらに堆積を続け、W薄膜6
が所定の膜厚に達した時点で反応ガス雰囲気の供給を停
止する。
なお、第3実施例では、開孔部3の表面に露出したSi
基板1の表面層に含まれる不純物を特定しなかったが、
1019cm-3以上の濃度のアクセプタ不純物を含む領域と他
の領域、例えば1020cm-3以上の温度のドナー不純物を含
む領域、1019cm-3以下の濃度の不純物しか含まない領
域、多結晶Siが堆積された領域の内の少なくとも一種に
開孔部3が形成されたSi基板1上に金属薄膜を堆積する
場合に第3実施例の方法は特に有効である。それは、す
べての領域の表面の水素吸着層の状態を一定とし、すべ
ての領域に対して最適の条件で堆積を行うことができる
からである。
第5図(a)〜(d)は本発明の第4実施例の工程を
示す断面図である。
第5図(a)において、第1実施例と同様に、半導体
装置として必要な構造が形成されたSi基板1の表面を覆
った絶縁膜2の必要な部分に開孔部3を形成する。
次に開孔部3の領域のSi基板1に露出したSi表面に存
在する表面酸化膜(図示せず)を除去するための前処理
工程を、例えば弗化水素酸溶液でエッチングし、続いて
純水中で水洗することによって行う。これにより開孔部
3の領域のSi表面には水素吸着層5が形成される。
前記Si基板1を第2図のロードロック槽11を通してCV
D装置の反応槽13内に装着する。続いて反応槽13内の水
蒸気分圧が10-4Pa以下になってから、Si基板1を550℃
以上の温度に加熱する。第2図の準備槽12を備えたCVD
装置を使用する場合には、準備槽12内に加熱機構を設
け、この加熱機構を用いて上記の温度の加熱を行っても
よい。
第5図(b)において、上記の処理によって、Si基板
1表面の水素吸着層5は消失する。
次に水蒸気分圧を10-4Pa以下に保ちながら所定の温
度、例えば250℃にSi基板1の温度を設定し、温度安定
後にWF6およびSiH4を含む雰囲気ガスを供給し、堆積工
程を開始する。堆積工程開始直前のSi表面は、第1実施
例の場合と同様に表面酸化膜がほとんど存在しないのみ
ではなく、水素吸着層も存在しない均一な状態になって
いる。
第5図(c)において、上記の状態にあるため、第1
実施例の場合以上に堆積条件の最適化を容易に行うこと
が可能であり、より均一でかつ平坦なW薄膜6とSi基板
1との界面を形成することができる。
第5図(d)において、さらに堆積を行い、W薄膜6
が所定の膜厚に達した時点で反応ガス雰囲気の供給を停
止する。
なお、第4実施例では開孔部3の表面に露出したSi基
板1の表面層に含まれる不純物を特定しなかったが、10
19cm-3以上の濃度のアクセプタ不純物を含む領域と他の
領域、例えば1020cm-3以上の温度のドナー不純物を含む
領域、1019cm-3以下の濃度の不純物しか含まない領域、
多結晶Siが堆積された領域の内の少なくとも一種に開孔
部3が形成されたSi基板1上に金属薄膜を堆積する場合
に第4実施例の方法は特に有効である。それは、すべて
の領域の表面を酸化膜および水素吸着層が存在しない一
定の状態とし、すべての領域に対して最適の条件で堆積
を行うことができるからである。
(発明の効果) 本発明によれば、表面酸化が生じていない基板上に金
属薄膜の堆積が行われ、このため均一な金属薄膜と基板
との界面が得られ、良好な界面電気特性が得られると共
に、堆積開始までに遅れ時間が生ずることがなく、密着
性が良好な金属薄膜の堆積方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(d)は本発明による金属薄膜の堆積方
法の第1実施例の工程を示す断面図、第2図は金属薄膜
の堆積に使用される装置の説明図、第3図(a)〜
(d)は本発明の第2実施例の工程を示す断面図、第4
図(a)〜(d)は本発明の第3実施例の工程を示す断
面図、第5図(a)〜(d)は本発明の第4実施例の工
程を示す断面図、第6図(a)〜(d)および第7図
(a)〜(d)は従来の金属薄膜の堆積方法の工程を示
す断面図である。 1……基板、2……絶縁膜、3……開孔部、4……表面
酸化膜、6……金属薄膜、28……p+拡散層、29……n+
散層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/3205 H01L 21/88 B

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面の少なくとも一部分にシリコンが露出
    した基板を用い、前記シリコン表面に水素原子が吸着し
    た状態を形成する前処理工程を含み、かつこの前処理工
    程終了時から化学蒸着法による金属薄膜堆積工程開始時
    までの間に、前記基板表面が200℃以上の温度で前記基
    板表面が接する水蒸気分圧が10-2Pa以上の雰囲気にさら
    されないことを特徴とする金属薄膜の堆積方法。
  2. 【請求項2】前記前処理工程において、弗化水素酸溶液
    中もしくは弗化水素ガスを含む雰囲気中で前記基板表面
    をエッチングした後、前記基板表面を水洗いすることに
    よってシリコン表面に水素原子が吸着した状態を形成す
    ることを特徴とする請求項(1)記載の金属薄膜の堆積
    方法。
  3. 【請求項3】化学蒸着法による金属薄膜堆積工程におい
    て、金属ハロゲン化物ガスを含む原料ガスを用いること
    を特徴とする請求項(1)記載の金属薄膜の堆積方法。
  4. 【請求項4】化学蒸着法による金属薄膜堆積工程におい
    て、6弗化タングステンガスおよびシランガスを含む原
    料ガスを用いることを特徴とする請求項(1)記載の金
    属薄膜の堆積方法。
  5. 【請求項5】前記基板表面の少なくとも一部に1019cm-3
    以上の濃度のアクセプタ不純物を含むシリコンが露出し
    ていることを特徴とする請求項(1)記載の金属薄膜の
    堆積方法。
  6. 【請求項6】前記前処理工程終了時から前記堆積工程開
    始時までの間に、水蒸気分圧が10-2Pa以下である雰囲気
    中で前記基板表面を350℃以上500℃以下の温度に加熱す
    る工程を含むことを特徴とする請求項(1)記載の金属
    薄膜の堆積方法。
  7. 【請求項7】前記前処理工程終了から前記堆積工程開始
    時までの間に、水蒸気分圧が10-4Pa以下である雰囲気中
    で前記基板表面を550℃以上の温度に加熱する工程を含
    み、かつ前記加熱工程終了時から前記堆積工程開始時ま
    での間に、前記基板表面が接する雰囲気中の水蒸気分圧
    が10-4Pa以上である期間を含まないことを特徴とする請
    求項(1)記載の金属薄膜の堆積方法。
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