JP2522077Y2 - インクシートカートリッジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、サーマルプリンタに利用されるインクシー
トカートリッジに関する。

従来の技術 従来、異なる色のインクが塗布された複数のインク塗
布面とこれらのインク塗布面の境界部に配置された色別
マークとを有する長尺状のインクシートを用いて多色印
字を行うサーマルプリンタにおいて、前記インクシート
が巻回された供給ロールとこのインクシートの先端が止
着された巻取ロールとをカートリッジケースの両端に収
納してなるインクシートカートリッジがある。このよう
なインクシートカートリッジは、一色印字する都度、プ
ラテンからサーマルヘッドとインクシートとを離し、次
の色の印字のために転写用紙の位置決めを行い、この動
作に合わせて検出器によりインクシートの色別マークを
検出しながらインクシートを巻取ロールで巻き取って所
望のインク塗布面の位置を転写用紙の位置に合わせる動
作を高速で行わせる必要がある。

考案が解決しようとする課題 サーマルヘッドがプラテンから離れた時にインクシー
トもプラテンから離れるが、この時のプラテンに対する
インクシートの離反距離は供給ロール上のインクシート
の巻回径の減少に伴い小さくなるため、静電気の発生等
によりインクシートがプラテンから離れ難い場合があ
る。このような場合には、転写用紙とインクシートとを
高速で送ることができない。

さらに、サーマルプリンタの本体側にインクシートの
経路を一定にするためのガイドローラを設けることが考
えられるが、このガイドローラをカートリッジケースの
内部に位置させながらサーマルプリンタの本体に取り付
けることは、ガイドローラの支軸の支持構造が複雑化
し、カートリッジケースが大型化する。また、ガイドロ
ーラの位置決め寸法を正確に定める上で困難であるため
にスキューが発生する。

さらに、インクシートはインクの転写密度が高い部分
程サーマルヘッドの熱を受けて皺が寄る。この皺はサー
マルヘッドをプラテンから離反させた時にこれから印字
を行う領域に波及するため、再びサーマルヘッドをプラ
テンに圧接した時に、インクシートの皺の部分が折り重
ねられ、その程度によっては正常な転写が不可能になる
場合がある。

課題を解決するための手段 異なる色のインクが塗布された複数のインク塗布面を
有する長尺状のインクシートと、このインクシートが巻
回された供給ロールと前記インクシートの先端が止着さ
れた巻取ロールとがプラテンを間にして回転自在に保持
されたカートリッジケースと、サーマルヘッドに対する
前記プラテンの対向部と前記供給ロールに巻回された前
記インクシートの最大外径の外周とを結ぶ接線よりも前
記巻取ロール側で前記プラテンと反対側に位置して前記
インクシートを引き出すローラが設けられた状態におい
てサーマルヘッドに対する前記プラテンの対向部と前記
供給ロールに巻回された前記インクシートの最大外径の
外周とを結ぶ接線よりも前記サーマルヘッド側に位置し
て前記カートリッジケースに一体的に形成されるととも
に前記インクシートを摺動自在に案内する案内部とより
なる。

作用 サーマルヘッドに対するプラテンの対向部と供給ロー
ルの外周とを結ぶ接線よりもサーマルヘッド側に位置す
る案内部とインクリボンを引き出すローラとにより、サ
ーマルヘッドをプラテンから離反させた場合には、供給
ロール上のインクシートの巻回径の変化に関係なくイン
クシートをプラテンから確実に離反させることができ、
これにより、転写用紙とインクシートとを高速で送って
両者の位置を正確に合わせることができ、また、インク
シートの供給経路を定める案内部はカートリッジケース
に一体的に形成されているため、インクシートの供給経
路に対する案内部の相対位置を正確に、かつ、容易に定
めることができる。

実施例 この考案の一実施例を第１図及び第２図に基づいて説
明する。１はプラテンで、このプラテン１の外周には転
写用紙２の先端を着脱自在に保持するクランプ３が設け
られている。また、サーマルヘッド４がプラテン１側に
付勢されて支軸５により回動自在に保持されている。６
はカートリッジケースで、このカートリッジケース６に
は、供給ロール８を回転自在に収納する供給側収納部９
と、巻取ロール10を回転自在に収納する巻取側収納部11
とがプラテン１を間にして形成されている。前記供給ロ
ール８にはインクシート12が巻回され、このインクシー
ト12の先端は前記巻取ロール10に止着されている。ま
た、前記カートリッジケース６には、前記プラテン１の
前記サーマルヘッド４に対する対向部７と前記供給ロー
ル８の外周とを結ぶ接線よりもサーマルヘッド４側に位
置する案内部13が一体的に形成されている。さらに、前
記サーマルヘッド４と前記巻取側収納部11との間には前
記インクシート12を引き出すローラ14がモータ（図示せ
ず）に連結されて回転自在に設けられている。さらに、
第２図に示すように、前記案内部13の両側にはインクシ
ート12の両側を案内する突片15が一体的に形成されてい
る。さらに、前記カートリッジケース６の上面両側には
突片16が形成されている。したがって、カートリッジケ
ース６は上方に付勢されているが突片16を前記サーマル
ヘッド４に当接させることにより定位置に固定される。

なお、図示しないが、前記インクシート12は、それぞ
れイエロー、マゼンタ、シアン等のインクが塗布された
複数種のインク塗布面が交互に配列された長尺状のもの
で、これらのインク塗布面のそれぞれの境界部にはイン
ク塗布面に対応する色別マークが形成されている。これ
らの色別マークは検出器により検出されるものである。

このような構成において、第１図に仮想線をもって示
すように、サーマルヘッド４をプラテン１から離反さ
せ、次の色の印字のためにプラテン１を時計方向に回転
させて転写用紙２の位置決めを行い、この動作に合わせ
て検出器によりインクシート12の色別マークを検出しな
がらインクシート12をローラ14で引き出すとともに巻取
ロール10で巻き取って所望のインク塗布面の位置を転写
用紙12の位置に合わせる。この時、供給ロール８から案
内部13に至るインクシート12の引出経路は、第１図に実
線と仮想線とをもって示すように、インクシート12の使
い初めの場合とインクシート12が残り少なくなった場合
とでは変化する。しかし、案内部13からプラテン１の外
周に至るインクシート12の供給経路はインクシート12の
残存量に関係なく常に一定である。これにより、サーマ
ルヘッド４をプラテン１から離反させた場合には、供給
ロール８上のインクシート12の残存量に関係なくインク
シート12をプラテン１から確実に離反させることができ
る。したがって、転写用紙２とインクシート12とを高速
で送って両者の位置を正確に合わせることができる。ま
た、インクシート12の供給経路を定める案内部13はカー
トリッジケース６に一体的に形成されているため、イン
クシート12の供給経路に対する相対位置を正確に、か
つ、容易に定めることができる。

次いで、他の実施例を第３図及び第４図に基づいて説
明する。前記実施例と同一部分は同一符号を用い説明も
省略する（以下同様）。カートリッジケース６には、サ
ーマルヘッド４に対するプラテン１の対向部７と供給ロ
ール８の外周との接線よりもサーマルヘッド４側に位置
する案内部17が一体的に形成されている。しかして、こ
の案内部17の両側に外側に向かうに従い次第に下方に傾
斜する傾斜面18を形成することにより、案内部17の中央
部にインクシート12側に膨出する膨出部19が形成されて
いる。

このような構成において、インクシート12はローラ14
で引き出される時に張力を付与されて案内部17に圧接さ
れる。この時に、インクシート12に対する案内部17の中
央部の膨出部19からの圧接力はその両側からの圧接力よ
りも大きくなるため、インクシート12を両側から中央に
引っ張ってインクシート12に発生した皺を幅方向に伸ば
すことができる。これにより、常に正常なインクの転写
状態を得ることができる。

次に、インクシート12の皺を幅方向に伸ばす目的で案
内部17に形成された膨出部19の変形例を第５図ないし第
８図に示す。第５図に示すものは、案内部17の供給ロー
ル８側の縁に、両側に向かうに従い次第に大きくなる面
取部20を形成することにより、案内部17の中央部に膨出
部19を形成したものである。第６図に示すものは、案内
部17のサーマルヘッド４側の縁に、両側に向かうに従い
次第に大きくなる面取部20を形成することにより、案内
部17の中央部に膨出部19を形成したものである。第７図
及び第８図に示すものは、案内部17の上面を両側に向か
うに従い次第に下方に傾斜させることにより、案内部17
の中央部に上方に膨出する膨出部19を形成したものであ
る。

次いで、さらに他の実施例を第９図に示す。本実施例
は案内部17のサーマルヘッド４側の端縁に両外側に向か
うに従い次第に大きくなる面取部21を形成することによ
り、インクシート12の走行方向に沿う案内部17の中央部
の長さａを両側の長さｂよりも長く定めたものである。
同様に、第10図は本実施例の変形例を示すもので、案内
部17の端縁を弧状に形成することにより、案内部17の中
央部の長さａを両側の長さｂよりも長く定めたものであ
る。

したがって、第９図及び第10図に示すものは、案内部
17のサーマルヘッド４側の端縁において、インクシート
12は両側よりも中央部が強く圧接されるため、両側から
中央に引っ張られる。これにより、インクシート12に発
生した皺を幅方向に伸ばすことができる。

考案の効果 この考案は上述のように、異なる色のインクが塗布さ
れた複数のインク塗布面を有する長尺状のインクシート
と、このインクシートが巻回された供給ロールと前記イ
ンクシートの先端が止着された巻取ロールとがプラテン
を間にして回転自在に保持されたカートリッジケース
と、サーマルヘッドに対する前記プラテンの対向部と前
記供給ロールに巻回された前記インクシートの最大外径
の外周とを結ぶ接線よりも前記巻取ロール側で前記プラ
テンと反対側に位置して前記インクシートを引き出すロ
ーラが設けられた状態においてサーマルヘッドに対する
前記プラテンの対向部と前記供給ロールに巻回された前
記インクシートの最大外径の外周とを結ぶ接線よりも前
記サーマルヘッド側に位置して前記カートリッジケース
に一体的に形成されるとともに前記インクシートを摺動
自在に案内する案内部とよりなるので、サーマルヘッド
に対するプラテンの対向部と供給ロールの外周とを結ぶ
接線よりもサーマルヘッド側に位置する案内部とインク
リボンを引き出すローラとにより、サーマルヘッドをプ
ラテンから離反させた場合には、供給ロール上のインク
シートの巻回径の変化に関係なくインクシートをプラテ
ンから確実に離反させることができ、これにより、転写
用紙とインクシートとを高速で送って両者の位置を正確
に合わせることができ、また、インクシートの供給経路
を定める案内部はカートリッジケースに一体的に形成さ
れているため、インクシートの供給経路に対する案内部
の相対位置を正確に、かつ、容易に定めることができる
等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの考案の一実施例を示すもので、
第１図は実装状態を示す縦断側面図、第２図は斜視図、
第３図及び第４図はこの考案の他の実施例を示すもの
で、第３図は実装状態を示す縦断側面図、第４図は斜視
図、第５図ないし第８図は案内部の変形例を示す一部の
斜視図、第９図はこの考案のさらに他の実施例を示すも
ので案内部の一部の斜視図、第10図は本実施例の変形例
を示すもので案内部の一部を示す斜視図である。 １…プラテン、４…サーマルヘッド、６…カートリッジ
ケース、７…対向部、８…供給ロール、10…巻取ロー
ル、12…インクシート、13,17…案内部、19…膨出部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】異なる色のインクが塗布された複数のイン
   ク塗布面を有する長尺状のインクシートと、このインク
   シートが巻回された供給ロールと前記インクシートの先
   端が止着された巻取ロールとがプラテンを間にして回転
   自在に保持されたカートリッジケースと、サーマルヘッ
   ドに対する前記プラテンの対向部と前記供給ロールに巻
   回された前記インクシートの最大外径の外周とを結ぶ接
   線よりも前記巻取ロール側で前記プラテンと反対側に位
   置して前記インクシートを引き出すローラが設けられた
   状態においてサーマルヘッドに対する前記プラテンの対
   向部と前記供給ロールに巻回された前記インクシートの
   最大外径の外周とを結ぶ接線よりも前記サーマルヘッド
   側に位置して前記カートリッジケースに一体的に形成さ
   れるとともに前記インクシートを摺動自在に案内する案
   内部とよりなることを特徴とするインクシートカートリ
   ッジ。